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集中連載:現代のコアな競馬ファンがすなる一口馬主というものを(第25回)

Hitokuti25

勝っても負けても、レースが終わったあとの愛馬の状況は気になる。怪我をしていないか、疲れは出ていないか、飼葉食いが落ちていないか、などなど。もしできるならば、厩舎を直接に訪ねて確かめたいほどの気持ちである。まずは無事を願いつつ、あわよくば次走につながることを期待する。一口馬主にとっても、サラブレッドは愛着を抱くべき存在であると同時に経済動物でもある。我が子に抱くような労わりを覚える反面、再びレースに行って走ってもらいたい(もらわなければならない)というアンビバレントな感情を持たざるをえない。裏腹な想いにうしろめたさを感じつつ、一口馬主ライフは続いてゆくのだろう。

高野友和調教師「トレセンに戻って状態を確認しましたが、すぐ飼い葉を食べてくれていることもあって、馬体はふっくらとしていますし、体調も落ち着いています。もう少し様子を見て変わりがないようであれば、このまま続戦させるつもりですが、今週いっぱいしっかり状態を確認したうえで検討させていただきます」

高野友和調教師「前走後もこの馬なりに飼い葉を食べてくれていますし、体調面は変わりなく来ています。10日の追い切りではサッと時計を出した程度ですが、動き自体は前走と変わりなくしっかり走っていましたし、良い状態を維持しています。このまま変わりなければ来週の京都か新潟のダート1,800mの番組を予定したいと考えています」

調教タイム
クインアマランサス[父 キングカメハメハ : 母 ヒカルアマランサス]
 助 手 5.17栗坂良 56.1- 40.8- 26.3- 13.0 一杯に追う

高野友和調教師「17日に坂路で追い切りました。ジワジワペースを上げて終いの脚を伸ばす形で行いましたが、しっかり動けていましたし、いい追い切りが出来たと思います。フットワークはもう一つ伸びてきませんが、ここに来て気持ちの面がだいぶ前向きになっているので、そのあたりがレースに行っていい方に出てくれると思います。上手く立ち回れば前々走のようにいい競馬をしてくれると思うので、出来るだけロスのないようにレースをしてもらおうと思います。5月21日の新潟ダート1,800m(牝)も視野に入れていましたが、出来れば同じ乗り役の方がこの馬の持ち味を活かせるでしょうから、5月20日の京都・ダート1,800m(牝)を荻野極騎手で投票させていただきました」

相変わらず坂路調教で55秒台を切ることはないが、気持ちの面でも前向きになり、それなりに動いているらしい。高野友和調教師からの的確なコメントはありがたいが、重賞に出走するような馬たちの調教タイムばかりを見ている私は、一杯に追って56秒台なんていうタイムでは到底勝ち負けにならないだろうと思ってしまう。前走後も順調に来て、気がつくと、次の出走が決まっていた。5月20日(土)の京都ダート1800m戦(牝馬限定)である。今度こそ現地に応援に行こうと、手帳のカレンダーをめくってみると、何とその日は今年小学校5年生になる息子の運動会があるではないか!

巡り合わせの悪さに悶々としたが、さすがに我が子の運動会はスキップできない。今回はあきらめて運動会に集中しようと思うと不思議なもので、前夜までは覚えていたものの、当日は朝から運動会の場所取りをして、開会式を見て、写真を撮る準備をしていると、競馬のレースのことはすっかりと忘れてしまっていた。

開会式の直後に行われる徒競走(100m)に息子は出ることになっていた。「練習で勝てていないので、今日は1位にはなれないと思う」と本人が言っていたので、まあ一生懸命に走る姿を見られたらよいという軽い気持ちでカメラを握った。スタートが切られ、道中は先行しながら、大外を回って息子は先頭に立った。勝ち馬を捉える必要はないため、私は息子だけにピントを絞り、競馬カメラマンばりにシャッターを切り続けた。ファインダー越しに観ても、ゴール前は写真判定になりそうなぐらいの大混戦となった。1のゼッケンをつけた子どもが、息子の下に駆け付けてきた。そう、息子は勝ったのだ。

家に帰ってから息子が誇らしげに語る顔を思い浮かべつつ、私もにやにやしていると、スマートフォンに振動が溢れ始めた。ちらっと見て見ると、画面には「おめでとうございます!」の文字が踊っていた。なぜSNS上で息子の勝利が祝われているのかと、現実とインターネットの世界の境界が分からなくなり、頭がクラクラした。一度、スマホをポケットにしまい、ひと呼吸置いて、冷静になってみると、クインアマランサスのことが突如として思い浮かんできた。そういえば、第1レースがちょうど終わった頃だ。

クインアマランサスも勝ったらしい。息子が駆けっこで1位になった数分後に、クインアマランサスも1着となり、未勝利戦を勝ちあがったのである。


2枠3番、黒の帽子がクインアマランサスです。

Photo by 三浦晃一

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Comments

なんとまあ!
うまくいく時はこういうものですね。
読んでいるこちらまでうれしさのおすそ分けをいただいたような気持ちになりました(^^♪

そして(当たり前ですが)クインアマランサスのレースでなく、息子さんの運動会を選択されたことに敬意を表します(笑)
ウチの娘たちの小学生時代ははるか昔ですが、もし、そのような状況だったら私は真剣に悩んでいたかもしれません(笑)
それほど、一口愛馬というのはいとおしいものですね。

Posted by: 桜 富士子 | June 15, 2017 at 04:45 PM

息子さんの優勝おめでとうございます。
私は息子の運動会で思わず「差せ!○○(息子の名前)」と叫んでしまいました(^_^;)
ビデオにもしっかり音声が・・・。

Posted by: アダチ@おかやま | June 15, 2017 at 07:29 PM

「差せ!」ですか~。
思わず出ちゃうのはよく分かります。でも、競馬知らない人には「刺せ!」に聞こえてたりして・・。

僕の一口馬主ライフは始まったばかりですが、初めて出資した馬が出たレースで惨敗と苦い経験をしてから、競馬の見方が少し変わりました。これまでは馬券を買った馬のレース運びが悪かった時に、「何やってんだ!」と馬や騎手、陣営を責めてましたが、最近は「何があったんだろう?」と思うようになり、レースを見直す視点も変わったと思います。

2戦目はまだ未定ですが、敗因はハッキリしてますし、人気も落ちるでしょうから馬券的にも楽しみにしてます!(同じ原因でまた力を発揮できずに終わる可能性もありますが)

Posted by: やっとこ | June 15, 2017 at 11:29 PM

桜 富士子さん

ありがとうございます。

一口ではなく1頭持ちだとしても、息子の運動会の方に行ったと信じています(笑)。

それにしても、上手く行くときは行くものですね。

まさかの2連勝ができるとは、思いもよりませんでした。

息子にもクインアマランサスにも、今後も期待します。

Posted by: 治郎丸敬之 | June 17, 2017 at 09:56 PM

アダチ@おかやまさん

差せー!ですね(笑)

僕たちは「抜かせー!」とは決して言いませんものね。

うちの場合は、「残せ~!」だったかもしれませんが、そのような余裕もありませんでした。

Posted by: 治郎丸敬之 | June 17, 2017 at 09:58 PM

やっとこさん

一口馬主ライフを通して、競馬を学んでいるのですね。

私もレースに出走してくる馬たちにはそれぞれ生まれた時からの背景があり、たくさんの人々の期待を背負って、どの馬たちも陣営も勝とうとしていると知ることができました。

その中で勝つことはどれだけ難しいことか。

クインアマランサスで初めての勝利を味わせてもらって、私は幸せですね。

Posted by: 治郎丸敬之 | June 17, 2017 at 10:00 PM

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