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「競馬感性の法則」

Keibakannseinohousoku

調教師、そしてホースマンとして、私の尊敬する角居勝彦調教師による1冊。前著「勝利の競馬、仕事の極意」の重厚な内容には及ばないが、本著もよく読めば、競馬だけではなく馬券のヒントが随所に散りばめられている。競走馬をマシーンとしてではなく、経済動物としてでもなく、人間と同じ生き物として捉えていることが伝わってくるのが心地よい。それはサラブレッドに対する愛情であると共に、競馬の仕事に対する愛でもある。このようなリーダーに率いられた厩舎に入る馬がもっと増え(馬房数の制限が撤廃され)、日本の競馬が底上げされることを心から望む。

本書は「週刊ポスト」に連載していたものをまとめただけに、テーマが散逸しているのは否めないが、それぞれのコラムにおいてハッと気づかされる視点や情報があり、私がブックマークした箇所をメモ代わりに引用してみたい。

「女馬は春に、男馬は夏に強くなる」とよく言われるように、ヴィクトリアマイルに照準を合わせて調教することで、牝馬はより強くなります。ここで強い競馬をして、秋のG1戦線に殴り込みたいわけですね。天皇賞(秋)やマイルチャンピオンシップは、夏にどれだけ成長したかが問われますが、牝馬の場合は夏前に強くなる。

競走馬は、短期間に同じ相手に3回競り負けるとダメ。「あいつにはかなわない」と自ら順位付けをしてしまう。頭がいい馬ほどそうです。強い3歳馬なら同じ出ることも多く、気の弱い馬だと戦意喪失なんてことにもなりかねません。

(阪神ジュベナイルフィリーズ)を勝つ条件は、完成度ではなく、血統背景。持って生まれた資質が大きいと思います。ひと昔前、2歳馬の初期調教は翌年のクラシックに照準を合わせていたものですが、セレクトセールの活況など情況のスピード化もあって、2~3ヶ月ほど前倒しになった。本来、牝馬の資質を見定めるレースは桜花賞でした。それがいまは阪神ジュベナイルフィリーズになっています。

1つだけはきりしていることがあります。人間が諦めると馬も諦める。この馬は勝てないと人間が思ったら、馬は決して走らない。調教で厳しく攻めず、暴れるときにも厳しく叱らないと、「なんだ、ちゃんとしなくていいのか」と思ってしまう。馬はエネルギーを競馬だけに使うスキルが身につかず、本番ではエネルギーロスが大きくて勝てなくなる。競馬への意欲がなくなってしまうんですね。

などなど、競馬という人間のエゴの塊に馬を参加させている以上、私たちは何ができるのかを問い、そこから浮かび上がってくるノウハウや知見を隠すことなく語ってくれている。最近は競馬の本が売れなくなり、このような血の通った競馬本が希少になってしまっているからこそ、たまに出会うと20年前に大学の授業中に競馬の書籍を読みふけったあの頃に戻ったような新鮮な気持ちになれる。コアな競馬ファンにはぜひ読んで、あの頃の熱い想いを再び感じてもらいたい。


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Comments

馬券のヒントになるブログですね。ありがとうございます。最近、おもしろい競馬本少なくなったと感じます。バレットの本が出たら、おもしろいかなぁと思います。

Posted by: hagi | August 13, 2017 at 06:19 AM

hagiさん

いつもありがとうございます。

たしかにバレットの本は面白そうですね。

バレットでしか知ることのできない、騎手たちの個性が窺えそうです。

たぶん辞めるまでは書けないと思いますが(笑)

Posted by: 治郎丸敬之 | August 13, 2017 at 10:30 AM

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