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それだけ魅力的であった


ジャパンカップ2017―観戦記―
好スタートを切ったキタサンブラックが、内枠から素直に先頭に立ち、前半1200mが72秒3、後半が71秒4というスロペースでレースを進めた。昨年ほどではないが、G1レースにしてはペースが遅く、前に行った馬たちにとって有利なレースとなった。さらに4つのコーナーを回る東京2400mのコース設定によって、内ラチ沿いの経済コースを走られた馬たちの脚がたまり、外を回らされてしまった馬たちは脚を失ってしまうという、内枠有利の実に分かりやすい結果となった。率直に言うと、これだけ豪華なメンバーが揃ったにもかかわらず、枠順が決まった時点でおおよその勝敗が分かれてしまうジャパンカップはどうしたものか、という思いは拭い去れない。

勝ったシュヴァルグランは、好スタートと内枠を生かし、絶好のポジションを走れたのが最大の勝因である。道中は内の3番手でひたすら脚をため、最後の直線に向いてから外に出されると、ゴールまでしぶとく伸び切ってみせた。もともと実力のある馬であり、今年に入ってから馬体に実が入って、スタートしてから前のポジションを走れるように成長してきたのは確か。前走は休み明けで仕上がっていなかったが、ひと叩きされた今回は、仕上がりと枠順、脚質が見事に噛み合って、待ちに待ったG1制覇を成し遂げてみせた。今回はミルコ・デムーロ騎手がサトノクラウンとシュヴァルグランのどちらに乗るか最後の最後まで迷って前者を採ったが、それはシュヴァルグランが力をつけていて、それだけ魅力的であったという意味でもある。テン乗りのヒュー・ボウマン騎手は、無心で乗って、最高の結果を出した。

レイデオロはスタート直後に他馬によられてしまい、ほしかったポジション(シュヴァルグランが走ったそれ)が取れなかったことが最後まで響いた。ルメール騎手もなんとか前にポジションを上げようと、外に出してみたりとあがいてみたが、これだけ密集していては外に出すのも難しい。レイデオロ自身も伸びそうで勝ち馬と同じ脚色になってしまったあたり、どれだけゆったりとしたローテーションを組んでいたとしても、日本ダービーを勝った反動がわずかに残っていたかもしれない。大きく崩れなかったあたりは、さすが走ることが好きな馬であり、どのような状況でも力を出し切ることができるのが強み。有馬記念をパスして来年に向けて充電する選択は、全くもって正しい。

1番人気に推されたキタサンブラックは、非の打ち所のないレースをして、それでも3着に敗れてしまった。どこが悪いという明確な原因はなくとも、最後は伸び切れなかった以上は、天皇賞秋をピークにして体調がやや下降線を辿っていたということである。G1レースを3つ続けて勝つ(好走する)ことがいかに難しいか。理想としては3戦すべて100%の仕上げを施して出走させたいだろうが、そんな陣営の思いとは裏腹に、下がれば上がり、上がれば下がるという体調のバイオリズムがある。それはキタサンブラックとて例外ではない。次走はさらに体調が下向きになるので、今回と同様に、好走はするも何らかの馬に足元をすくわれるのではないだろうか。

サトノクラウンは6枠からの発走となり、終始、馬群の外を回らされて、脚がたまるところがなかった。直線に向いてからも、逆に先行馬に突き放されることになり、全くと言ってよいほど見せ場がなかった。これはキタサンブラックやソウルスターリングなどにも当てはまることだが、やはり不良馬場で行われた天皇賞・秋を激走した反動が少なからずあったのかもしれない。陣営は中間の様子から疲れはないと判断していたようだが、今回の結果を見る限り、多かれ少なかれ前走からの反動はあったのではないだろうか。

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