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明るい未来しか見えない


チャンピオンズC2017―観戦記―
前走でスプリント戦を使っていたことで前向きになっていたコパノリッキーが、内枠を利して先頭に立った。行きたがる1番人気のテイエムジンソクを古川吉洋騎手が抑えるようにして、第1コーナーを2番手で回ってゆく。このあたりの動きで全体の流れは決まり、前半が48秒9、後半が48秒5という平均ペース、このメンバーとしてはややスローペースとなった。結果としても、前に行った3頭がそのまま上位を占めた中、道中は馬群の中でじっと脚をため、最後の直線だけで先頭に立ったゴールドドリームの強さだけが際立った。

勝ったゴールドドリームは、春のフェブラリーSに続き、JRAのダートG1を同年で両制覇したことになる。左回りも同じで距離も200mしか変わらないのだから、何ら不思議はないのだが、ドバイ遠征の疲れもあったのか近走は成績が冴えなかったことで人気の盲点になっていた。それでも馬体は完璧に仕上がっており、むしろ古馬になってますます筋肉量が増えて強靭な馬体を誇示するようになっていた。本来は末脚がしっかりしている馬だけに、馬を御せる騎手が道中で脚を温存することができれば、確実に差して来るのである。ライアン・ムーア騎手の言うように、この馬には明るい未来しか見えない。

前日のステイヤーSに続いて、ムーア騎手が大舞台でその力をいかんなく発揮して見せた。おそらくスタートからゴールまで、ムーア騎手の思い描いていた通りのレースであったに違いない。スタートしてからすぐに内に切れ込んで、馬群の内に進路を確保し、最終コーナーでは先行馬が抜けて、後続の馬が外を回しているその一瞬の間を縫って外に出した。全てが計算通りであるが、計算通りにレースを運ぶことができる高い技術と冷静さが、ムーア騎手を世界一のジョッキーたらしめる理由のひとつである。馬群の外を回して敗れた他の騎手は、縦から横から、繰り返しレースリプレイを見直してみてほしい。

先週のヒュー・ボウマン騎手に続き、短期免許で騎乗する外国人ジョッキーがG1レースを制したことになり、春はクリストフ・ルメール騎手、秋はミルコ・デムーロ騎手が大活躍して、国内G1レースのほとんどを日本人騎手以外のジョッキーが勝っている。この事実をどう捉えるかは人それぞれであるが、外国人ジョッキーばかりが良い馬に乗っているわけではない中で、なぜ外国人ジョッキーばかりが勝つのかを真剣に考えてみるべきだと私は思う。

その要因はひとつではないが、今回のチャンピオンズCにも特徴的な要因のひとつがある。それは前述したように、コーナーを回るときの内外のロスに対する感覚があまりに違うということだ。たとえば、今回のレースにおけるミツバに騎乗した松山弘平騎手とムーア騎手の進路の取り方の違いを比べてみてもらいたい。松山弘平騎手は内枠からスタートしているにもかかわらず外に進路を取り、ムーア騎手はその逆である。少しでも距離ロスを抑え、コーナーにおいて外を回さずに脚をためることを全馬(すべての騎手たち)が徹底すると、馬群はもっとタイトになる。外を回すことについて言及すると、日本人騎手は「馬の気性によっては外を回した方が良い」とか「綺麗なフットワークで馬のリズムを崩さないように外を回した」と返ってくることがあるが、それでは勝てないと言いたい。気難しさを出さずに内を回して勝つ、馬のフットワークを大切にしながら内を回して勝つのが答えである。普段からそのような競馬をしていないと大舞台ではできないし、普段はそのような競馬をしても勝ててしまうことも問題なのである。

惜しくも2着に敗れたテイエムジンソクは、2番手に控えてしまったことが裏目に出た。気持ちの勝った馬であり、大一番でその気性の前向きさが表に出てしまい、また控える競馬もできるタイプだけにそうしたのだが、結果論としては、行き切ってこの馬のスピードの持続力をフルに発揮した方が良い結果が出たかもしれない。すでにG1を勝てるだけの力は持っていることは確かである。古川吉洋騎手は悔しいだろうが、なぜ勝てなかったのか、何が足りなかったのかをしっかりと考えてみてほしい。

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