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最後まであきらめない


フェブラリーS2018―観戦記―
内枠から2頭が飛び出し、外からテイエムジンソクが番手を取る形でレースは始まった。乾いた砂の前が止まらない馬場において、前に行かなければ勝負にならない、少しぐらい無理をして前に行っても止まらないというジョッキーの総意がバブルのように膨らんで、前半マイルが45秒8、後半が50秒2という超絶なハイペースとなって弾けた。前に行った馬たちが総崩れする中、後方からレースを進めた3頭、外にノンコノユメ、中にゴールドドリーム、内インカンテーションの叩き合いは壮絶であった。

勝ったノンコノユメは展開が向いたことが最大の勝因だが、ラスト1ハロンにてゴールドドリームに襲い掛かったときの脚は素晴らしかった。出走馬中で最も馬体重が軽いように、ダートの一線級に入ってしまうと、どうしても肉体的なパワー勝負になってしまうと分が悪い。それでもこの馬がG1レースを制することができたのは、並はずれた気持ちの強さがあるからである。最後の直線で耳を絞りに絞って追い込んでくる姿は、サラブレッドというよりは獲物を捕らえようとする猛獣に近い。それは気性の激しさと表裏一体であり、せん馬となって長いスランプに陥ってしまったが、ようやくこの馬らしい気の強さが前走から戻ってきていた。扱いの難しい同馬をあきらめずに走らせ続けた関係者には、称賛の言葉しかない。

内田博幸騎手は4年ぶりのG1勝利となり、久しぶりに力強く右手が上った。勝つためにはこれしかないという騎乗をして、全てがピタリとはまったという表現が相応しい。スタートしてから、外に出して馬群から少し話して走らせたのがひとつめのポイント。ノンコノユメのような馬格がなく、切れ味を生かす競馬をするタイプの(特に牝馬に多い)馬は、馬群に入れてしまうと消耗してしまって末脚が鈍ることがある。馬群からポツンと離すとリラックスして走り、それが最後の直線における一瞬の切れにつながる。もうひとつのポイントは、ゴールドドリームに照準を定めて襲い掛かったこと。右ムチを使って叱咤激励しながら、ゴールドドリームを前に置くことで、ノンコノユメの負けん気の強さを最大限に生かしてみせた。迫力あるフォームは全盛期の内田騎手のそれであった。

ゴールドドリームは惜しくも敗れてしまったが、この馬の力は出し切っての結果である。この馬にとっても展開が向いたのは事実であり、力強い末脚を発揮していた。チャンピオンカップ以来の実戦で仕上がりを心配したが、全く問題なし。ライアン・ムーア騎手は先頭に立つのが少し早かったと反省しているようだが、あくまでも結果として仕掛けが早かったというだけで、あれ以上待つわけにはいかないドンピシャのタイミングであったと思う。勝ち馬にあれだけの迫力で追い詰められては仕方ない。それでもこの馬の強さは本物であり、負けてなお強し、紛れもない今年のダート戦線の主役である。

インカンテーションもあらん力を振り絞った見事な走りであった。筋肉の柔らかみも豊富さも8歳馬とは思えないそれであり、今回は特に仕上がりも体調も良かった。長期休養を挟みつつ、不屈の精神で走り続けている同馬に三浦皇成が跨って勝利すれば、ひとつのドラマであったが惜しくも3着に敗れてしまった。上位2頭に比べて、前に行っての僅差の3着だけに、この馬も負けて強しの競馬であった。

2番人気に推されていたテイエムジンソクは、この馬の競馬はできたが今回はペースがあまりにも速すぎた。それでももう少し粘ってほしかったが、あっさりと失速してしまった。昨年は夏場も使われてずっと来ていただけに、どこかに目に見えない疲れがあったのではないだろうか。ケイティブレイブも同じく、厳しいペースに巻き込まれ、昨年からの連戦の疲れが露呈してしまった。

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