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巻き込まれることなく


NHKマイルC2018―観戦記―
内枠を利してテトラドラクマが先頭に立ち、それをファストアプローチやダノンスマッシュらが追いかける。どの騎手も前が止まらない馬場を意識してとにかく前に行かなければ勝負にならないと、前のめりにレースは進んだ。その割には、前半マイルが46秒3、後半が46秒5というイーブンペース。ペースが速くないからこそ各馬脚が残っていた分、ごちゃついたレースとなった。勝ち馬はそのようなごちゃつきに巻き込まれることなく、後ろから行って、自身の切れ味を引き出してみせた。

ケイアイノーテックは、レースの流れに応じたポジション取りが見事にはまった。応じた、またははまったというよりも、スタートしてから馬が動いて行かなかったことで、藤岡祐介騎手も腹をくくって最後の直線に賭けることができたということだろう。まだ競走馬としての身体つきも完成していない馬だけに、末脚に賭けたことも吉と出た。内の押し合いへし合いを横目に、大外を駆け抜けてみせた。今回はたまたまハマっての勝利であるが、素質は極めて高く、この先、馬が成長して良くなっていけば、さらなる活躍が期待できる。

藤岡祐介騎手は、15年目にして初のG1勝利となった。元々乗れる騎手であり、これまでも惜しいチャンスは幾度となくあったが、今回は全てが良い形でかみ合った。第3コーナーでは「先生(調教師)に怒られる」と思っていたというぐらいだから、本人としては上手く乗った感はないだろうが、そういうこと全てをひっくるめて、G1レースを勝つときはそんなものだろう。これまで地道に努力をしてきたからこそ、何らかの拍子に、幸運が転がり込んだのである。それにしても今年、藤岡騎手は乗れていて、レースの流れや有利なポジションを掴むのが早く、良い馬も回ってきている。この流れに乗って行ければ、トップジョッキーの仲間入りができる実力はある。

ギベオンは勝ったかに思った瞬間、外から来られてしまったが、最後まで力を尽くして走っている。デムーロ騎手もこの馬のスピード能力を生かした競馬をし、最後の直線でも追い出しをギリギリまで待って、手は尽くした。それでも勝ち馬の切れ味に屈してしまったのだから、今回はあきらめるしかないだろう。この後は日本ダービーに向かうはずで、距離は延びて良いが、さすがに現時点での完成度では勝負にならないはず。

レッドヴェイロンは岩田康誠騎手が良さを引き出しての3着。クラレントの下であり、血統的にも府中のマイル戦は得意とするはずで、地脚の強さを生かし切った。それでも、最後の直線で内に切れ込んだことにより、将棋倒しのように内の馬たちが窮屈なレースを強いられたことは否めない。騎乗馬の力を引き出すことと同じように、真っ直ぐ馬を走らせることは大切である。

ミスターメロディはあと一歩のところまで粘ったが、最後は僚馬のギベオンに突き放された。前が勝った馬で、どちらかというとダート向きのパワータイプだが、ここまで走らせてくるのはさすが藤原英昭調教師である。パクスアメリカーナはやや鈍重なところがあり、今回はギアチェンジが上手く行かず、競り負けてしまった。カツジは勝ち馬と同じような競馬ができていれば突き抜けたかもしれないが、今回は前を追いかけてしまったことで脚を失ってしまった。

1番人気のタワーオブロンドンは、終始前が壁になり、一瞬だけ前が開いた隙をついた瞬間に外から一気に来られてしまうという最悪のタイミングであった。逃げ馬の内に1頭分のスペースがあったのだから、そこを突けなくもなかったが、そうしなかったのは手応えがそこまでなかったからか。全く力を出していないことは確かで、陣営にとっても競馬ファンにとっても消化不良の走りであった。


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