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2人だからこそ


オークス2018―観戦記―
サヤカチャンがレースを引っ張って、前半1200mが71秒8、後半1200mが72秒0というイーブンペースで流れた。とはいっても、2番手以降は1秒以上遅いスローペースであり、前が止まりにくい馬場であったことも含めて、後ろから行った馬では勝負にならないレースであった。勝ち馬の上がりが33秒2、上位に来た馬たちも33秒台の上がりで決着となったように、いつもオークスらしいスローの瞬発力勝負であった。

勝ったアーモンドアイはスタートが良く、クリストフ・ルメール騎手も無理に抑えることをせずに中団から前のポジションで走ることができた。これまでのように後ろから行っていたら、さすがに今回は厳しいレースとなっていただろうが、ポジションが取れたことで、「向こう正面で勝利を確信した」とルメール騎手が感じたのもうなずける、余裕を持った勝利となった。とにかくアーモンドアイは脚が速い馬である。走るのが速いということだ。あのディープインパクトと同様に、もともと速く走るために生まれてきたサラブレッドの中でも突然変異的に脚が速いということである。牡馬を含めても同世代にライバルはいないので、少しでも早く海外に目を向けて、大きな舞台で活躍してもらいたい。

簡単に勝ったように見えるし、結果として楽に勝ったことは間違いないが、その過程においてはルメール騎手の腕が光っていた。アーモンドアイのような馬は、ひとたびスイッチが入ってしまうと一気にトップスピードに乗って、スタミナを失ってしまう恐れがある。だからこそ、武豊騎手はディープインパクトを後方からソロッと走らせることに徹したのだが、ルメール騎手は中団で抑える腕力と自信があるからこそ、馬を変に抑えることをせず中団を走らせることができた。簡単に見えても、他のジョッキーであれば、引っ掛かって行きすぎてしまったり、抑えすぎて後ろから行く羽目になっていたかもしれない。そう考えると、アーモンドアイも強力なパートナーに支えられていることになり、この2人だからこそ余裕で2冠を獲ることができたということだ。

2着に入ったリリーノーブルも、川田将雅騎手の好騎乗が光った。内枠を引いたら、そこを走らせたいと誰もが思う、スローの内2、3番手のポジションを走らせて、リリーノーブルの力を出し尽くした。最後までアーモンドアイに抵抗したように、リリーノーブル自身も馬体が研ぎ澄まされて、桜花賞からさらに成長している様子が見て取れる。コロンとした馬体であったが、2400mが乗り切れるぐらいに絞れて、筋肉にも少しずつメリハリが出てきている。もっと良くなりそうな馬だけに、夏を越して、秋シーズンにはどんなレースを見せてくれるのか楽しみでならない。

ラッキーライラックは、もうひとつ前の(リリーノーブルが走った)ポジションを取りたかったはずだが、スタートがあまり良くなく、リリーノーブルには前を閉じられ、さらにアーモンドアイには外から蓋をされてしまう形となり、最後の直線に向くまでは思い切った競馬ができなかった。瞬発力勝負ではなく、地脚の強さ勝負に持ち込みたかったはずだが、川田騎手とルメール騎手の方が、石橋脩騎手よりも一枚上であったということだ。さすがに凱旋門賞というレベルではないが、決して悲観する内容ではなく、また秋に向けて成長に期待しつつも馬をつくっていけばよいのではないだろうか。サトノワルキューレは、前走よりも前のポジションで進めたが、馬群の外を回されて脚を失ってしまった。

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