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馬の顔を見て賭ける

Jiromaru

サラブレッドの頭って、よく見るとゴツゴツしていますよね。人間のような円形ではないばかりか、ところどころで骨っぽい感じがします。これはサラブレッドの品位を表す上でとても重要な表現なのですが、サラブレッドの頭部は「濡れた和紙を岩に張ったように」皮膚の薄い、「ノミで彫った彫刻のように」輪郭のはっきりとしたものがサラブレッドの利発さや聡明さを表すとされてきました。

サラブレッドの頭の形は、横から見るとよく分かります。耳の付き方や鼻筋の通り方、顎の張り方、口の締まり方など、頭の形や横顔の特徴からは、その馬の性格や知能が分かると言われています。米国ケンタッキー州にあるウィンチェスターファームの代表であり獣医師でもある吉田直哉氏は、馬を観るときは顔が整っているかどうかを見ると言います。

吉田直哉氏
新生子を見て良いと感じるその根拠となるのは、まず顔つきが整っていること。美顔であるべき理由は簡単で、競馬の歴史に名を残す優駿達は皆すっきりした顔立ちをしているからで、顔の良さは馬のレベルを表し、馬体全体のバランスを暗示するバロメーターのようなものだと考えています。私は現在いろいろな国で顧客のためにセリで1歳馬の鑑定をして購入する仕事もしていますが、目の前に曳き出された馬が歩様・馬格とも良い出来であっても、顔が気に入らなければ即リストから外します。この顔つきを観るということについては、新生子に限らず1歳馬や現役競走馬、繁殖牝馬を評価する時にも大切にしています。
「ROUNDERS」vol.4「馬を観る 当歳から1歳馬までのサラブレッド種の評価方法」

僕も馬券を買うときに、馬の顔を見ることがあります。顔が良い悪いというのはあくまでも主観的な評価であって、良し悪しの絶対的な基準はありません。前述の吉田直哉さんも「美顔」、「すっきりとした顔立ち」と表現していますが、それを具体的に述べるとなると困ってしまうはずです。正直に言うと、私たちが誰かの他人の顔立ちを評価するときと同じように、好き嫌いに大きく左右されてしまう面は否めないのです。それでも、良い顔や悪い顔(または好きな顔や嫌いな顔)はたしかにあって、相馬眼がある人が走る馬かどうかを見極めるとき、その根拠のひとつとして顔を考慮に入れていることは間違いがありません。

頭部の形や耳の大きさ、位置、目つきや顎っぱりなど、あらゆる要素が複雑に絡み合って、馬の顔立ちは構成されています。頭が大きすぎる馬はバランス良く走ることが難しく、耳が小さすぎる馬は鈍感になりかねません。気性が悪い馬は目つきが自然と悪く見えますし、カイバ食いが悪い馬は顎が小さくなってしまいます。そうしたパーツの均整が取れていて、整った顔に見えるということは、肉体的そして精神的なバランスが取れているということを暗に示唆しているということです。顔の良い馬は走るとは、つまりそういうことです。

今週のラジオNIKKEI賞に出走するエイムアンドエンドは、整った顔つきでありながら、若駒らしい幼さやあどけなさを残していて好感が持てます。父エイシンフラッシュも母ロフティエイムも大人っぽい顔つきの馬でしたから、父似でも母似でもありません。この先、競走成績を重ねていくにつれて、次第に顔つきが大人びてきて、もう少しシュッとしてくるのでしょうが、現時点では可愛らしい顔立ちをしています。もちろん、馬体もそれに伴って、ふっくらとして余裕があり、本格化までは時間がかかりそうです。それでいてこれだけ走っているのですから、将来的にはさらに走ってくる予感があります。やや先物買いになってしまうかもしれませんが、僕の好みの顔でもあるエイムアンドエイドに賭けてみたいと思います。

Radionikkei2018wt


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ラジオNIKKEI賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Radionikkei_5

■G1帰りの馬は消し
かつては「残念ダービー」と言われていたほど、ダービーに出走できなかった馬や、出走しても好走できなかった馬が好走したレースだが、過去10年では、前走がG1レース(ダービー、NHKマイルC、オークスなど)であった馬の成績は【1・1・1・18】と奮わない。前走が500万下であった馬の成績【4・4・2・32】と比べると、その差は明らかである。

それもそのはずで、前走がG1レースであった馬は、そのレースに向けて100%の仕上げで臨んでいるからである。目に見える見えないにかかわらず、ほとんどの馬の体調は、良くて前走から平行線、悪ければ下降線を辿って出走してくる。たとえG1レースに出走したような力のある馬でも、走られる状態になければ好走は望めない。

■1800m以上のスタミナ
この時期の福島競馬場は、芝が傷んで力を要する馬場になっている。野芝が成長を始めるものの、1回開催から期間が短いため、馬場の傷みは回復することなく進行していくからである。特に3~4コーナーにかけて内側の芝はかなり傷んでおり、各馬が馬場の良い外々を回すため、必然的に1800m以上の距離を走ることになる。

過去10年間のラップ
12.6-10.8-11.7-12.6-12.2-11.7-11.6-11.4-12.2(47.7-46.9)M
12.4-11.3-12.0-12.3-12.1-11.9-11.9-12.0-12.4(48.0-48.2)M
12.6-11.5-11.4-12.6-12.3-11.5-11.6-11.7-12.1(48.1-46.9)S
12.3-11.8-11.5-12.2-11.9-12.1-12.0-11.4-11.7(47.8-47.2)M
12.4-11.2-11.9-12.6-12.4-12.2-11.7-11.5-12.0(48.1-47.4)M
12.5-10.9-12.4-12.5-12.2-12.2-11.5-11.5-12.2(48.3-47.4)M
12.2-10.4-11.6-11.9-12.1-12.3-12.0-11.7-11.7(46.1-47.7)H
12.4-10.4-12.2-12.3-12.2-11.8-11.8-11.6-11.7(47.3-46.9)M
12.4-10.6-12.3-11.9-12.4-12.4-11.8-11.5-11.7(47.2-47.4)M
12.6-10.9-11.8-12.2-12.0-11.7-11.9-11.6-11.9(47.5-47.1)M

また、過去10年間のレースラップ(上記)を見てみると、アロマカフェが勝った2010年以外は、スローペースにはなっていない。各ジョッキーが直線の短さを意識し、好位を確保するために、前半からある程度厳しいペースでレースが流れていることが分かる。

つまり、以上の2点から、小回りの1800mというコース設定ではあるが、実は字ヅラ(1800m)以上のスタミナが必要とされるのである。

■長くいい脚を使える馬
福島競馬場の最後の直線は297mと短い。そのため、直線に向いてからの追い出すのでは遅く、各馬のスパートは3~4コーナーにかけて既に始まっている。コーナーを回りながらの仕掛けとなるため、一瞬の切れ味は生かしにくく、どちらかというとジワジワと伸びるタイプの馬にとって有利となる。もちろん、福島競馬場で実績のある馬は求められている適性に近いということだろう。

また、菊花賞を勝ったダンスインザダークの産駒や、将来の菊花賞2、3着馬が活躍していることからも、ラジオNIKKEI賞と菊花賞の間には深い連動性があることが分かる。求められている適性(長くいい脚を使える)が似ているということである。つまり、ラジオNIKKEI賞で好走した馬は菊花賞でも好走の確率は高く、逆に菊花賞で好走しそうな(血統の)馬がいれば、ラジオNIKKEI賞でも狙ってみても面白いということだ。

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オペラオーが後押ししてくれた


宝塚記念2018―観戦記―
サイモンラムセスが刻んだラップは、前半1000mが59秒4、後半が60秒2。やや前傾ラップではあるが、G1レースとしては決して速くはない。結果から考えても、前が止まらない馬場状態であったと言えるだろう。勝ち馬と3着馬は経済コースを通って、積極的に前々を攻めたことが功を奏し、2着馬は有利とは言えない後方のポジションから外を回してよくぞ差してきた。押し出されるように人気になったサトノダイヤモンドとキセキは前半から行き脚が悪く、どちらもスムーズなレースができなかった。

勝ったミッキーロケットは、前走の天皇賞・春でハイペースを攻めて4着していただけに、冷静に考えるとこのメンバーでは力上位の存在である。好枠を引いて、スタートから勝負所まで、不利なく絶好のポジションを走ることができた。この馬は一瞬の速い脚こそないが、ジワジワと伸びて止まらないタイプだけに、最終コーナーにて前が開いて、早目に動けたことが大きかった。晩成のキングカメハメハ産駒が強いメンバーと走りながら少しずつ力をつけ、自分の型で持てる能力を全て出し切ったからこそG1に手が届いた。

和田竜二騎手は17年ぶりのG1制覇となった。そんなに勝っていなかったのかというのが正直な感想だが、本人にとっては長いトンネルだったに違いない。これと言って技術的に秀でているわけではないが、どんなレースでも積極的に、攻める騎乗を貫くことができる。それゆえに人気よりも上の着順に持ってくることが多いのだろう。自分のスタイルを貫いて、あとは運を天に任せた結果、気が付くと勝利が転がり込んできたということだ。勝つことができる馬はたった1頭であり、最後の勝敗は競馬の神様が決める。その感覚を和田騎手は「テイエムオペラオー後押ししてくれた」とインタビューで表現したのだ。

香港馬ワーザーは、勝ちに等しい内容であった。外枠であったものの、できる限りロスの少ないコースを走らせ、最後はこれ以上ないタイミングで外を回して追い込んできた。それでも勝ち馬と比べると距離ロスがあった分、最後は脚がなくなってしまった。H・ボウマン騎手は、馬を動かせてよし、抑えてよし、追ってよしの3拍子が揃っていて、馬が走る。このレベルの外国人ジョッキーが続々とやってきて、同じレースで勝負しなければならないのだから、和田竜二騎手がテイエムオペラオーで宝塚記念を勝った時代とは隔世の感がある。日本人ジョッキーには厳しい時代だが、ぜひ強い馬が出たら乗せ続けてあげてもらいたい。

3着に入ったノーブルマーズは絶好枠から、勝ち馬の後ろの絶好のポジションを確保し、あらん力を出し切ってみせた。もともと相手なりに走る馬であり、ここに来て少しずつ力をつけてきてもいる。この馬のデビュー戦から、ずっと高倉稜騎手を乗せ続けている宮本博調教師も素晴らしい。ドバイ遠征帰りのヴィヴロスは、間隔が開いて仕上がりが万全とは言えない中でも、自身の力を発揮した。前半で口を割って、力んでしまったのが最後の伸びに響いた。それでも最後まで伸びようとしていたように、今回の好走は秋につながるはずで、エリザベス女王杯が楽しみである。

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ステイヤーか中距離馬か、それが問題だ。

Jiromaru

宝塚記念というレースは、中距離馬やマイラーだけではなくステイヤーもが活躍できる舞台です。2000mではなく2200mという僅か200mの違いにより、中距離馬にとってはドンピシャ、マイラーにとってはやや距離が長いがギリギリこなせるかもしれない、ステイヤーにとっては距離が短すぎずという設定になるのです。かつてはメジロマックイーンやマヤノトップガン、ヒシミラクル、最近ではゴールドシップというステイヤーたちが、この宝塚記念を制しています。

ステイヤーと中距離馬のガチンコ対決として思い出すのは、1999年のスペシャルウィークとグラスワンダーの一騎打ちです。結果としては、中距離馬であるグラスワンダーの圧勝に終わりましたが、スペシャルウィークは天皇賞・春で激走したあとの出走であり、安田記念でまさかの敗戦を喫して余力が十分に残っていたグラスワンダーと勝負付けが済んだ訳ではありません。どちらも完調であれば、僅差の勝負になったと僕は今でも思っています。

今年の宝塚記念は小粒なメンバーと言われますが、菊花賞馬や有馬記念馬が満を持して出走するのですから、名勝負を期待できるのではないでしょうか。サトノダイヤモンドとキセキは、どちらも菊花賞馬ではありますが、馬体を見る限りにおいてはタイプが全く異なります。サトノダイヤモンドは典型的な中距離馬の馬体であり、キセキはステイヤーのそれです。

まずは見比べてみてください。

☆サトノダイヤモンド 2018年宝塚記念
http://www.keibado.com/keibabook/itw/photo02.html

サトノダイヤモンドはキセキに比べて手脚が短く、その分、重心が低く映ります。筋肉量は豊富なので、まるで重戦車のようです。菊花賞は能力がずば抜けているため勝てましたが、本質的には2000m前後のパワー勝負を得意とする馬です。そういう意味では、アップダウンの激しい2400mの凱旋門賞では明らかにスタミナ不足でした。

☆キセキ 2018年宝塚記念
http://www.keibado.com/keibabook/itw/photo03.html

キセキは手脚がスラリと長く、胴部や首もスッキリとして伸びがあります。ルーラシップ産駒にしては珍しく馬体が軽く、大きなフットワークを駆使して走り、距離が延びる方が良さを発揮できるタイプですね。決して道悪が得意な馬体ではないため、菊花賞後にガタっと疲れが出てしまったのは頷けます。

両者とも、天皇賞・春をスキップして、宝塚記念に狙いを定めてきたローテーションには好感が持てます。そのせいもあり、サトノダイヤモンドは海外遠征の疲れも癒え、キセキは菊花賞を激走した疲労から回復している兆しが見えます。中距離馬のサトノダイヤモンドとステイヤーであるキセキが、どちらも完調で臨んでくるのですから、あのグラスワンダーとスペシャルウィークでは成し得なかった名勝負を見せてくれるのではないでしょうか。中距離馬が勝つのか、それともステイヤーか?サトノダイヤモンドとキセキの馬体を繰り返し見るたび、まだ見ぬ未来に想いを馳せるのです。2頭の馬連と行きたいところですが、それでは僕らしくありませので、今回はスペシャルウィークのリベンジも兼ねて、ステイヤーのキセキを本命に推したいと思います。

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宝塚記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Takara

■1■天皇賞春組有利へ
平成12年より、6月下旬へと日程が変更された。それまでは天皇賞春からの間隔が開きすぎていたため、調整が難しく、多くの馬は本来の力を出し切れない、もしくはここを使わなかった。

しかし、開催時期の変更後は、一転して天皇賞春組の活躍が目立つ。天皇賞春で1~3着だった馬は【5・3・2・20】、天皇賞馬に限っては【3・3・1・5】と実に堅実に走っている。天皇賞春からの間隔が適度に短くなったことが、天皇賞春組にとって有利になったことは間違いがない。もっとも、天皇賞春を勝つには極限に仕上げられたと考えてよく、その反動を考えると、天皇賞春→宝塚記念という連勝は意外と難しい。

そして、当然のことながら、この変更は安田記念組にはマイナスの影響を与える。特に安田記念を目標にして仕上がっていた馬や、安田記念で激走してしまった馬にとっては、中2週で宝塚記念というローテーションはあまりにも厳しい。安田記念は負けていた馬の方がかえって宝塚記念での成績は良い。

■2■スピードとスタミナの高い次元での融合が求められる
宝塚記念をひと言で表現すると、「スピードとスタミナの高い次元での融合が求められるレース」ということになろうか。これは阪神競馬場の2200m内回りというコース設定に拠るところが大きい。

スタンド前の直線を延長したポケット地点からの発走。スタートしてから第1コーナーまでの距離は525mと長いため、前半のラップは速くなりがちである。1~2コーナーにかけてペースは落ち着くが、向こう正面から再び速くなる。3コーナーを回ると、擬似直線が待ち構えていて、ここでさらにペースが上がる。このように、全体的にメリハリのない速いペースになるため、スピードの持続力が問われるだけではなく、確かなスタミナの裏付けがなくてはならない。 枠順による差はほとんどないが、1~2コーナーのカーブがきついため、内に入れなかった馬は外々を回されるはめになる。そういった意味では内枠の方がレースはしやすい。

■3■前走G1レース以外で負けている馬は×
宝塚記念は定量戦であるため、実力の差がはっきりと出てしまうレースである。宝塚記念の連対馬は、ほとんどが天皇賞春か安田記念からの直行組であって、別路線組はごくわずかである。これは、宝塚記念は実力が正直に反映される紛れのないレースであることを意味しており、前走G1以外のレースで敗戦していた馬ではまず勝負にならない。

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返し馬で見るべき2つのポイント

Jiromaru

今週の週刊「Gallop」の拙コラムにて、パドックにおける馬の見かたについて書きました。各論を説明し始めると1回のコラムに収まらないため、最も大切なポイントに絞って述べました。つまり、パドックでは馬の身体ではなく心を見よ、ということです。大切なのはこれだけと言っても過言ではありません。パドックという場所で私たちに分かることは、その馬の馬体の良さや仕上がりというよりも、競馬(レース)に向かうにあたっての精神状態だということです。私たちはパドックを歩く馬が発する心のメッセージを読み取らなければならないのです。

そこでは今週のユニコーンSに出走するグリムを例に挙げました。なぜかというと、前走で見た動きや姿が、実に素晴らしかったからです。今年のヴィクトリアマイルが行われた日、私は東京競馬場のパドックにいました。東京10R青竜ステークスの出走馬がパドックを歩き始め、私はいつものように馬の雰囲気を見始めました。さすがにこの時期にダートのオープン戦に登場するだけあって、どの馬たちもパワーに溢れた馬体を誇り、いかにもダート馬らしい身体つきをしていました。

競馬新聞に目を移してみると、6番のスマハマと4番のオメガパフュームが圧倒的な1、2番人気を争っています。勝つのは2頭のどちらかというのが大方の見解ということです。正直に言うと、オメガパフュームは小さくまとまっていてピンときませんでした。対して、スマハマは誰が見ても惚れ惚れするような好馬体で、畏怖堂々と歩き、このメンバーではダート馬としては抜けていると感じました。この馬で間違いないと確信した私は、マークカードを塗り潰そうとしてペンを手に取りました。

しかし念のため、全頭に目を通しておこうと思い直し、9番、10番の馬たちが私の前を通り過ぎ、最後の11番が眼前に現れた瞬間、私はハッと息を飲んだのです。タイプこそ違え、スマハマと同じかそれ以上に馬体を良く見せ、歩き方もスムーズで、それらがこの馬の精神状態の良さを物語っていました。先ほどまではスマハマで鉄板だと考えていた私の心は揺れ動きました。どちらを本命にしようか迷い悩んだ挙句、返し馬を見ることにしました。返し馬を見て馬券を買うことはほとんどありませんが、今回はそれほどに決めあぐねていたということです。

私は返し馬を見るときは、2つのポイントを重視しています。ひとつは、動きの滑らかさです。馬それぞれの身体には個性があるので、絶対にそうでなければならないというわけではありませんが、滑らかに返し馬に入り(走り出し)、滑らかにキャンターに入り、滑らかに止まる、一連の動きの滑らかさを見ます。身体のどこかが痛かったり、体調が悪くて苦しかったり、仕上がりが悪くて硬かったりすると、滑らかさを欠くという形で表出してしまうからです。返し馬への入りは硬かったけど、走っていると柔らかくなったり、ほぐれてきたりする馬もいますので一概には言えないのですが、一連の動作を見て滑らかな馬は良い返し馬と評価するのです。

もうひとつのポイントは、騎手とのコンタクトです。厩務員さんの手を離れて、騎手と1対1になったときに、どのような動きを見せるか。騎手の指示や扶助に対して、どのような反応をするのかをつぶさに観察します。分かりやすくいうと、騎手が行けと行けば行くし、右に行けといえば右、左といえば左、止まれという指示が出たらきっちり止まる。こういった意思疎通ができる馬なのか、また今日は走れる精神状態にあるのかということは非常に重要です。車でたとえると、ハンドルが利くのか、操作性が高いのかということを意味します。

騎手も同じような感覚で返し馬に臨んでいるはずで、ここでのコンタクトが悪いと騎手は不安になるはずです。レースに行って制御が利かなくなって暴走してしまったり、上手くポジションが取れなかったり、馬群を割れなかったりする心配が出てくると、できるだけ安全なレースをしようとして、消極的な騎乗につながってしまうかもしれません。逆に正しく騎手の指示に応えることができる馬であれば、ジョッキーも積極的なレースができ、またその馬もレースの流れにスムーズに乗れて、力を十全に発揮できる可能性が高まるはずです。

青竜Sのグリムの返し馬を見たとき、動きの滑らかさという点でも、騎手とのコンタクトという点でも満点でした。これだけ申し分ない返し馬を見たのは久しぶりな気がして、迷うことなくグリムを本命にすることに決めました。あとは見てのとおりです。馬も人も完璧なレースをしてくれて、スマハマを抑えて勝利したのです。前走は何もかもが思い通りに運んでの勝利だっただけに、今回のユニコーンSも同じように勝てるとは限りませんが、グリムが肉体的にも精神的にも素晴らしい馬であることは確かです。パドックや返し馬でどのような動きを見せてくれるか楽しみですし、レースでも力を発揮して、勝ってくれることを願います。

Unicorns2018wt


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函館SSを当てるために知っておくべき3つのこと

Hakodatess

スプリント路線は別定条件が実績馬に有利なことが多く、夏のローカルG3であるこのレースにも例年メンバーは揃う。独特の重い馬場とコース形状によって、底力のあるスプリンターでないと勝ち切ることが出来ないレースとなっている。

■1■重い洋芝で構成される特殊な馬場
函館競馬場の最大の特徴は、路盤に野芝のない重い洋芝である。過去ほとんどのレースの勝ちタイムが1分9秒台で、かなり時計の掛かる特殊な馬場あることが分かる。このことによって、勝ち馬に求められる要素は以下の2つ。

1、ダートをこなせるぐらいのパワーがあること
2、1200m以上のスタミナを有していること

1はダート戦で実績のある馬、もしくはダートに強い血統構成の馬ということである。軽快なスピードや切れ味だけでは苦しく、速い時計のレースで強さを見せたことは、かえってマイナス材料になることもある。

2は1200m以上のレースで実績のある馬ということである。直線に坂のない小回りコースとはいえ、これだけ時計の掛かる馬場だと、軽快なスピードを武器にした1200mがギリギリという馬では厳しい。1400m~1600mをこなせる底力が問われる。そういった意味からは、安田記念(好走)組も信頼できる。

そして、こういった函館特有の馬場だけに、函館競馬場で実績を残している馬はもちろん素直に評価したい。

■2■余裕を持って先行できる馬、もしくは差し馬
過去10年のラップは以下のとおり。
12.0-10.4-11.4-11.7-11.2-12.2 (33.8-35.1)H
11.7-10.2-10.9-11.7-11.9-12.0(32.8-35.6)H
12.1-10.5-11.2-11.5-11.4-11.8(33.8-34.7)M
12.0-10.2-10.9-11.6-11.4-12.1(33.1-35.1)H
11.8-10.4-10.9-11.5-11.4-12.0(33.1-34.9)H
12.1-10.8-11.4-11.9-11.4-11.8(34.3-35.1)M
12.0-10.7-11.4-11.6-11.0-11.8(34.1-34.4)M
11.9-10.8-11.1-11.4-11.3-12.0(33.8-34.7)M
11.7-10.3-11.0-11.6-11.8-11.9(33.0-35.3)H
11.7-10.1-10.4-11.0-11.4-12.2(32.2-34.6)H

スタートしてから第1コーナーまでの直線は489mと長い。ダッシュを利かせた先行馬がそのままの勢いで行ってしまうので、ペースは自然と速くなる。ほとんどのレースは前が速い前傾ラップとなり、直線が短いことを考慮しても、逃げ馬には厳しいペースとなる。余裕を持って先行できる馬、もしくは差し馬を狙うべきである。枠順の内外による有利不利はほとんどない。

■3■牝馬の活躍
平成24年、27年こそ牡馬同士の決着となったが、平成15年のビリーヴから5年連続で牝馬が制したこともある。過去10年の連対率も15%【4・2・5・30】と、牡馬の14%【5・7・4・72】に比べわずかに高い。直線に坂のある中央のコースに苦しめられていた牝馬がローカルの競馬場で巻き返すというパターンである。また、総じてスプリント戦は牝馬でも活躍できる舞台でもある。

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ユニコーンSを当てるために知っておくべき3つのこと

Unicorns

■1■現時点での完成度が問われる
過去10年の人気別の着順を見ると以下のとおり。
1番人気  【4・3・0・3】連対率70%
2番人気  【3・3・1・3】連対率60%
3番人気  【3・1・4・2】連対率40%
4番人気  【0・1・0・9】連対率10%
5番人気以下【0・2・6・111】連対率1%

分かりやすいほどに、人気馬が強く、人気順に連対率も高いという結果が出ている。東京ダート1600m戦というコース設定上、実力に劣る馬が勝ち切るのは難しい。とはいえ、将来的にG1馬となったのは過去10年でカネヒキリぐらいしかおらず、このレースの勝ち馬の将来性が高いとは言えない部分もある。つまり、実力だけではなく、現時点での完成度も問われるレースであるということだ。

■2■関西馬が強い
過去10年の関東・関西馬の成績は以下のとおり。
関東馬 【3・4・5・63】連対率9%
関西馬 【7・6・6・64】連対率16%

関東で行われる重賞レースであるにもかかわらず、関西馬が圧倒的に強い。ダートに適性を見いだされた3歳馬が集結する舞台であり、現時点で最も強いダート馬を決めるレースでもある。また、これまでは関西の競馬場で昇竜S、端午Sといった適切なステップレース(マイルよりも距離が長い)があることも、関西馬がユニコーンSで好成績を残せることにつながっている面もあったはず。

■3■スタミナが問われる
ポケットからの発走でスタート直後に80mほど芝コースを走る。外枠の方が若干長く芝コースを走ることができ、それを利して外側の馬が内側に圧力をかけながらコーナーに突入するため、内側の馬は窮屈になりやすい。実質的な第1コーナーは3コーナーとなるため、スタートから第1コーナーまでの距離は670mと非常に長く、先行馬にとっては息を入れることのできない速いペースになってしまうことが多い。それでも、意外と前に行った馬も簡単には止まらない。全体的にペースが緩むところがあまりなく、スタートからゴールまでスピードを持続することが求められ、スタミナがないと克服することが出来ないコースでもある。

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ハービンジャー産駒は脚元の軽い馬を狙え

Jiromaru

僕が競馬を始めた頃は、ほとんどの種牡馬は輸入されてきたもので、父内国産なんて言うと、決して良血馬ではなく、走らない馬とイコールぐらいに考えていました。およそ四半世紀が経ち、サンデーサイレンスの影響もあって、日本の競馬のレベルが格段に高まったことで、現在はほとんどの種牡馬は内国産になりました。ディープインパクトやキングカメハメハ、ハーツクライ、ロードカナロアなど、私たちが現役時代の走りを見ている馬たちの子がターフを駆け回っています。これは日本の競馬ファンにとって幸せな風景ですね。

そんな中でも、ハービンジャーは海外から輸入された種牡馬であり、アウェーの状況をはね返すように、産駒は昨年大きくブレイクしました。ディアドラが秋華賞、ペルシアンナイトがマイルCS、モズカッチャンがエリザベス女王杯を勝ち、あっと言う間に世間の評判を高めることに成功しました。種牡馬リーディングも、2015年の14位から2016年の9位、2017年の6位と順調に成績を上げてきています。果たして今年、産駒たちはどのような活躍を見せてくれるのでしょうか。

日本での走りを見たことがないので、ハービンジャーが勝ったキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを観てみることにしました。その走りを映像で見てみると、実に手脚が軽く、フットワークが綺麗で、速い時計にも対応できるスピードがある、まさに日本の競馬向きの馬であると確認することができました。サンデーサイレンスを父に持つ繁殖牝馬につけるという明確な目的もあったのでしょうが、社台グループが輸入を決めた気持ちが良く分かります。

馬体については、雄大な馬格があって、筋肉の付き方も量も理想的で、いかにもセリ市では評価が高い産駒を出しそうな種牡馬のそれです。 分かりやすく言うと、見た目が非常に良い、グッドルッキングホースということです。


結論から述べてしまうと、これは拙著「馬体は語る―最高に走るサラブレッドの見つけ方」にも書いたように、ハービンジャー産駒は脚元が軽い産駒が走ります。脚元が軽いというのが抽象的だとすれば、手脚がスラリと細くて長くて、重心が高いということです。逆に言うと、脚元に重さがある産駒は走らないということです。重心が低くて、筋骨隆々でパワーがありそうな、良く見えすぎる馬体の馬を買うと、日本向きの軽さがなくて走りません。

具体的に説明すると、ペルシアンナイトやモズカッチャンは走るハービンジャー産駒の典型的な馬です。それに対して、ディアドラはどちらかというと走らないタイプのハービンジャー産駒です。ディアドラは走ったじゃないかと言われそうですが、あの馬体の重さを考えると、秋華賞は重馬場になったからこそディアドラは勝てたと考えるべきです。軽いスピードが要求されるようなレースになると少々苦しいはずです。

☆ペルシアンナイト 2017年マイルチャンピオンシップ 出走時
http://www.keibado.com/keibabook/171120/photo02.html

☆モズカッチャン 2017年エリザベス女王杯 出走時
http://www.keibado.com/keibabook/171113/photo12.html

ハービンジャー産駒のこの見方は、一口馬主やPOGでも使ってもらえますし、馬券にも有効です。もちろん、生産者たちも脚元の軽い馬が走る傾向を掴みつつありますので、今後はそのような走る産駒が増えてくる可能性が高いです。そうなってしまうと、見分けることが難しくなってきますので、来年ぐらいまでが消費期限の見かたになってしまうかもしれませんね。今のうちに走るハービンジャー産駒を狙っておきましょう。

ということで、エプソムカップの本命はサーブルオールにします。腹回りに少しだけ余裕はありますが、手脚はスラリと伸びて、胴部にも長さがあり、重心が高く映ります。特に左前肢はまっすぐに伸びて、理想的な脚元ですね。今回は重賞初挑戦となり、力関係はどうか分かりませんが、この馬自身の体調は良く、走ってくる馬であることは間違いありません。

☆サーブルオール エプソムカップ2018
http://www.keibado.com/keibabook/itw/photo03.html

Epsomc2018_2


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マーメイドSを当てるために知っておくべき3つのこと

Marmaids

■1■スタミナ型を狙え
阪神2000mで行われるマーメイドSは、上がり3ハロンが33秒台のような瞬発力勝負にはならず、この時期の馬場が傷んでいることも加わり、上がりの掛かるレースになることが多い。また、ハンデ戦となった過去4年の勝ち馬の血統を見ても、ステイゴールド産駒が2頭とスペシャルウィーク産駒、ゼンノロブロイ産駒が1頭ずつと、サンデーサイレンス系の中でもスタミナ寄りの馬が活躍している。字ズラ以上にスタミナを問われるレースとなることは明白で、中距離以上のスタミナを有している馬を狙いたい。

■2■馬体重の少ない軽ハンデ馬の活躍
ハンデ戦となった過去10年間で、トップハンデ馬は【1・0・2・7】と振るわず、1番人気馬に至っては【2・1・1・6】と連対率は決して高くない。逆に、狙い目は軽ハンデ馬で、1~3着馬の30頭のうち、21頭がハンデ53kg以下という成績を残している。特に、普段は別定戦での斤量を負担に感じている馬体重の少ない馬が、ハンデ戦で軽量となった時にあっと驚く好走をすることもある。

■3■ヴィクトリアマイル組は疑問
ヴィクトリアマイル組は実績上位であるので、出走してくれば人気になるはず。ただし、以下の2つの理由で好走を望むのは難しい。

1)ヴィクトリアマイルで仕上がっているので、体調が下降線を辿っている。
2)ヴィクトリアマイルよりも豊富なスタミナが問われる。

1)はヴィクトリアマイルが目標である牝馬がほとんどである中で、ヴィクトリアマイル後、マーメイドSに出走してくるのは、ヴィクトリアマイルで勝てなかったため消化不良のケースが多い。ただ、当然のことながら、ヴィクトリアマイルに向けて100%に仕上げた馬の体調は、下降線を辿るため、ピークが過ぎた段階での出走となり、力を出し切れない。

2)ヴィクトリアマイルはヨーイドンの瞬発力勝負になることが多く、マイル戦とはいえ、意外とスタミナを問われないレースになりやすい。そこからいきなり阪神の2000m戦でレースをしてしまうと、要求されるスタミナが全く違うのである。求められる要素が違うためヴィクトリアマイルの好走馬が、そのままマーメイドSでも好走するのは難しい。

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エプソムカップを当てるために知っておくべき3つのこと

Epsomc

■1■4、5歳馬が中心
4歳   【7・6・2・10】 連対率36%
5歳   【2・2・1・38】 連対率9%
6歳   【1・2・3・36】 連対率7%
7歳以上【0・0・4・44】 連対率0%

5、6歳馬が中心であった先週の安田記念と比べると、明らかに4、5歳馬が強い。これといった理由は思いつかないが、安田記念より距離が200m伸びて、ペースが落ち着きやすいということだろうか。前半3ハロンの平均が35秒8、後半3ハロンの平均が35秒7と、ほぼミドルペースで流れる。その分、スピードに任せて前に行ける若い馬の方が有利になるということだ。

■2■馬場によって適性が180℃変わる
東京の1800mはコーナーが2つで、サンデーサイレンス系のタメて切れる脚質が合う舞台である。ただ、この時期は雨が降りやすく、馬場が変化しやすい。ダービーが終わって、さすがに芝も荒れてくる頃だけに、雨が降ってちょっと時計の掛かる馬場になるとジワジワと脚を使う血統の馬が台頭する。具体的に言うと、キングマンボ、ペンタイア、マヤノトップガン、フレンチデピュティなど、非サンデーサイレンス系の馬である。サンデーサイレンス系でいえば、ダンスインザダークやマンハッタンカフェなど、どちらかというと長距離を得意とする種牡馬の産駒たちの方が適しているか。

■3■マイラーにとっては厳しいレース
ヨーロッパの血を持つ馬が活躍しているように、府中の1800mはスピードだけでは押し切れない、スタミナが問われる舞台である。過去10年の連対馬20頭のうち、18頭が芝1800m以上の中距離で勝ち星を挙げていたことからも、マイラーにとっては厳しいレースになることが分かる。

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ルメール・マジック


安田記念2018―観戦記―
公言どおりウインガニオンが先頭に立ち、レーヌミノルとアエロリットがその後に続いた。(馬場が絶好だったので)レース全体の時計1分31秒3は速くても、道中で馬群が密集していたように、前半マイルが45秒5、後半が45秒8というG1レースとしてはややスローな流れであった。そのため、馬群の外を回してなし崩し的に脚を使ってしまった馬は末脚が鈍り、前に行った馬か馬群の内で最後まで脚を溜めた馬が馬券に絡んだ。このようなレースでは、引いたり押したりと馬を御す力量が試されることになり、外国人騎手と地方出身のジョッキーたちが上位を占めたのもうなずける。

勝ったモズアスコットは出走すら危ぶまれていたが、なんとか席が空いた運を見事に生かしてみせた。連闘が案じられてはいたが、先週負けてしまったから無理をして賞金を稼ぎに出たようなものではなく、予定通りの連闘であっただけに、杞憂に終わった。オーストラリアの競馬に精通している矢作調教師らしく、馬さえきちんとケアしていれば連闘は仕上げやすいことを知っており、また連闘に対する固定概念がなかったことも今回の勝利を呼び込んだのではないだろうか。モズアスコット自身も充実した馬体を誇っていたし、パワーとスピードが融合されたフランケルらしい産駒でもある。

クリストフ・ルメール騎手は、道中はやや窮屈になるところはあったが、慌てず騒がず、ゴール前ではきっちりと抜け出してみせた。決して望ましい形ではなかったが、その分、馬群の内を回って距離ロスを抑えたこと、さらには前を行くスワ―ヴリチャードの動きをマークした判断力が素晴らしかった。ルメール騎手の上手さを挙げていくとキリがないが、今回に限っては、レースの全体図を見た上でのコース取りと冷静なヘッドワークによるところが大きく、それがルメールマジックを生んだ。外国人ジョッキーと地方競馬出身の騎手がワンツースリーを決めたように、とにかく彼らは道中で距離ロスを抑えて脚を溜めることが、ゴール前の首差、頭差、ハナ差につながってくることを知っているのだ。

牝馬ながらも2着に粘ったアエロリットは、自らのペースで先行して、持てる力を出し切ってみせた。瞬発力勝負になると分が悪いので、ヴィクトリアマイルのような軟弱なペースよりも、今回の安田記念の平均ペースの方がこの馬の良さが出たと言える。今後は牡馬混合のマイル戦を中心に使っていくのが良いだろう。戸崎圭太騎手も先週のエポカドーロに続いて、スムーズに流れに乗せて抜け出し、最後まで持たせた技術はさすがである。 

スワ―ヴリチャードは初のマイル戦がG1となり、見事に対応してみせた。結果としては残念だったが、スタミナが豊富なタイプの同馬が、マイル戦を1分31秒台で走ってスピード能力を示してみせた。今回マイル戦を使ったことで、馬が前向きになりすぎてしまうのが最も怖いため、このまま休養に入り、秋は京都大賞典→天皇賞秋→ジャパンカップと使ってもらいたい。ミルコ・デムーロ騎手はスワ―ヴリチャードをマイル戦に対応させるため、できる限りの騎乗をしている。どのレースも勝つために騎乗するのがデムーロ騎手の良さでもあるが、先々のことを考えると、後ろから回って差して届かずの方が良かったかもしれない。

サトノアレスは良い脚で伸びたが、最後は止まってしまった。内から抜け出すような競馬ができればチャンスはある、と思わせるだけの力は示した。サングレーザーは少し前に行きすぎた。終いの脚を活かす方が良いタイプだけに、先週の日本ダービーとは対照的に、今回は福永祐一騎手の積極性が裏目に出てしまった。ペルシアンナイトは川田将雅騎手も認めているように、最後の直線で進路を探しているうちに、馬がファイトする気持ちを失ってしまった。川田騎手ほどのジョッキーでも、迷ってしまうと抜け出せないことがある。

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少し立派に映る馬を狙う

Jiromaru

僕は立ち写真を見て本命を決める予想法を、10年以上にわたって続けてきました。立ち写真を見始めたのは20年ほど前からですが、実際に1頭を選んで、お金を賭けてということをすると、また違った視点で馬体が見えてくるから不思議です。決断をしてお金を賭けてみることで、その結果を受けた反省が生まれます。なぜ当たったのかよりも、なぜ当たらなかったのか考察する過程が生まれるのです。そのようなサイクルを回すことで、自分の馬体を見るときの癖も分かってくることがあります。

ある時期、自分が5つ☆を付けた馬が、そのレースでは走らず、次のレースで走るという傾向が目に付いたことがありました。今回のレースで走ってもらいたいのに、なぜか次走で走るというもどかしさ。さすがにそのようなことが何度も続くと、僕も自分の馬体を見る目を疑わなければいけません。何がどう間違っているのか。自分が選んで走らなかったときの立ち写真自と、その次に走ったときの立ち写真を見比べて、自らに問うてみたのです。

そのとき気がついたことは、僕は少し立派に見える馬が経験的に良く見えているということでした。たとえば、ロードカナロアが本格化したのは4歳秋でしたが、秋初戦であるセントウルS出走時の馬体を見て思わず5つ☆を付けてしまったのです。それまでの馬体とは違い、トモにしっかりと実が入って、全体に一本芯が入ったという印象でした。いかにもスプリンターという体型が際立っており、素晴らしい成長具合だと感じたのです。

☆ロードカナロア 2012年セントウルS出走時

残念ながら、セントウルSではロードカナロアは2着に敗れてしまいました。これだけの立派な馬体に成長したのに、エピセアロームに差されてしまったことが不思議で仕方ありませんでした。次走のスプリンターズSでは、セントウルS時ほどに良く見えず、他の馬たちがもっと良く見えたことで評価を下げてしまいました。すると、僕のセントウルS時の見立てどおりに、本格化したロードカナロアは完勝して、以降は日本競馬史上最強のスプリンターとして君臨することになったのです。

☆ロードカナロア 2012年 スプリンターズS出走時

立ち写真を撮影しているのは、本番のレースの1週間前の週中ですから、ほとんど馬体は仕上がっている状態です。そこからさらに最終追い切りを経て馬体を仕上げていきますので、立ち写真を見る限りにおいては、ギリギリに絞り込まれている馬体よりも、少し余裕を持たせている馬体の方が、結果としては走っているのが事実です。ただし、あまりに立派に映りすぎて目を引くほどの馬は、その馬体の立派さの裏返しとして、レースまでには仕上がり切らず、レースでひと叩き必要である可能性もあるということです。そのあたりの線引きが難しいため、前述のロードカナロアのように、今回ではなくひと叩きされた次走で激走してしまうという現象が起こるのでした。

今週の安田記念に出走するモズアスコットは、パッと目を引くほどに立派な馬体をしています。これは安田記念の1週間前に撮影された立ち写真ですから、これぐらい立派に映って良いと思います。僕はこのような馬体を誇る馬に5つ☆をつけたい衝動に駆られますが、立派すぎる可能性もある以上、安土城Sを使ったことで馬体が仕上がったことがプラスに働くかもしれないのです。オーストラリア競馬に精通している矢作調教師にとって連闘は想定内ですから、完璧な仕上がりで出走し、走ってくれるのではないかと期待しています。

☆モズアスコット 2018年安田記念

Yasuda2018wt


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