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オペラオーが後押ししてくれた


宝塚記念2018―観戦記―
サイモンラムセスが刻んだラップは、前半1000mが59秒4、後半が60秒2。やや前傾ラップではあるが、G1レースとしては決して速くはない。結果から考えても、前が止まらない馬場状態であったと言えるだろう。勝ち馬と3着馬は経済コースを通って、積極的に前々を攻めたことが功を奏し、2着馬は有利とは言えない後方のポジションから外を回してよくぞ差してきた。押し出されるように人気になったサトノダイヤモンドとキセキは前半から行き脚が悪く、どちらもスムーズなレースができなかった。

勝ったミッキーロケットは、前走の天皇賞・春でハイペースを攻めて4着していただけに、冷静に考えるとこのメンバーでは力上位の存在である。好枠を引いて、スタートから勝負所まで、不利なく絶好のポジションを走ることができた。この馬は一瞬の速い脚こそないが、ジワジワと伸びて止まらないタイプだけに、最終コーナーにて前が開いて、早目に動けたことが大きかった。晩成のキングカメハメハ産駒が強いメンバーと走りながら少しずつ力をつけ、自分の型で持てる能力を全て出し切ったからこそG1に手が届いた。

和田竜二騎手は17年ぶりのG1制覇となった。そんなに勝っていなかったのかというのが正直な感想だが、本人にとっては長いトンネルだったに違いない。これと言って技術的に秀でているわけではないが、どんなレースでも積極的に、攻める騎乗を貫くことができる。それゆえに人気よりも上の着順に持ってくることが多いのだろう。自分のスタイルを貫いて、あとは運を天に任せた結果、気が付くと勝利が転がり込んできたということだ。勝つことができる馬はたった1頭であり、最後の勝敗は競馬の神様が決める。その感覚を和田騎手は「テイエムオペラオー後押ししてくれた」とインタビューで表現したのだ。

香港馬ワーザーは、勝ちに等しい内容であった。外枠であったものの、できる限りロスの少ないコースを走らせ、最後はこれ以上ないタイミングで外を回して追い込んできた。それでも勝ち馬と比べると距離ロスがあった分、最後は脚がなくなってしまった。H・ボウマン騎手は、馬を動かせてよし、抑えてよし、追ってよしの3拍子が揃っていて、馬が走る。このレベルの外国人ジョッキーが続々とやってきて、同じレースで勝負しなければならないのだから、和田竜二騎手がテイエムオペラオーで宝塚記念を勝った時代とは隔世の感がある。日本人ジョッキーには厳しい時代だが、ぜひ強い馬が出たら乗せ続けてあげてもらいたい。

3着に入ったノーブルマーズは絶好枠から、勝ち馬の後ろの絶好のポジションを確保し、あらん力を出し切ってみせた。もともと相手なりに走る馬であり、ここに来て少しずつ力をつけてきてもいる。この馬のデビュー戦から、ずっと高倉稜騎手を乗せ続けている宮本博調教師も素晴らしい。ドバイ遠征帰りのヴィヴロスは、間隔が開いて仕上がりが万全とは言えない中でも、自身の力を発揮した。前半で口を割って、力んでしまったのが最後の伸びに響いた。それでも最後まで伸びようとしていたように、今回の好走は秋につながるはずで、エリザベス女王杯が楽しみである。

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