« 函館SSを当てるために知っておくべき3つのこと | Main | 宝塚記念を当てるために知っておくべき3つのこと »

返し馬で見るべき2つのポイント

Jiromaru

今週の週刊「Gallop」の拙コラムにて、パドックにおける馬の見かたについて書きました。各論を説明し始めると1回のコラムに収まらないため、最も大切なポイントに絞って述べました。つまり、パドックでは馬の身体ではなく心を見よ、ということです。大切なのはこれだけと言っても過言ではありません。パドックという場所で私たちに分かることは、その馬の馬体の良さや仕上がりというよりも、競馬(レース)に向かうにあたっての精神状態だということです。私たちはパドックを歩く馬が発する心のメッセージを読み取らなければならないのです。

そこでは今週のユニコーンSに出走するグリムを例に挙げました。なぜかというと、前走で見た動きや姿が、実に素晴らしかったからです。今年のヴィクトリアマイルが行われた日、私は東京競馬場のパドックにいました。東京10R青竜ステークスの出走馬がパドックを歩き始め、私はいつものように馬の雰囲気を見始めました。さすがにこの時期にダートのオープン戦に登場するだけあって、どの馬たちもパワーに溢れた馬体を誇り、いかにもダート馬らしい身体つきをしていました。

競馬新聞に目を移してみると、6番のスマハマと4番のオメガパフュームが圧倒的な1、2番人気を争っています。勝つのは2頭のどちらかというのが大方の見解ということです。正直に言うと、オメガパフュームは小さくまとまっていてピンときませんでした。対して、スマハマは誰が見ても惚れ惚れするような好馬体で、畏怖堂々と歩き、このメンバーではダート馬としては抜けていると感じました。この馬で間違いないと確信した私は、マークカードを塗り潰そうとしてペンを手に取りました。

しかし念のため、全頭に目を通しておこうと思い直し、9番、10番の馬たちが私の前を通り過ぎ、最後の11番が眼前に現れた瞬間、私はハッと息を飲んだのです。タイプこそ違え、スマハマと同じかそれ以上に馬体を良く見せ、歩き方もスムーズで、それらがこの馬の精神状態の良さを物語っていました。先ほどまではスマハマで鉄板だと考えていた私の心は揺れ動きました。どちらを本命にしようか迷い悩んだ挙句、返し馬を見ることにしました。返し馬を見て馬券を買うことはほとんどありませんが、今回はそれほどに決めあぐねていたということです。

私は返し馬を見るときは、2つのポイントを重視しています。ひとつは、動きの滑らかさです。馬それぞれの身体には個性があるので、絶対にそうでなければならないというわけではありませんが、滑らかに返し馬に入り(走り出し)、滑らかにキャンターに入り、滑らかに止まる、一連の動きの滑らかさを見ます。身体のどこかが痛かったり、体調が悪くて苦しかったり、仕上がりが悪くて硬かったりすると、滑らかさを欠くという形で表出してしまうからです。返し馬への入りは硬かったけど、走っていると柔らかくなったり、ほぐれてきたりする馬もいますので一概には言えないのですが、一連の動作を見て滑らかな馬は良い返し馬と評価するのです。

もうひとつのポイントは、騎手とのコンタクトです。厩務員さんの手を離れて、騎手と1対1になったときに、どのような動きを見せるか。騎手の指示や扶助に対して、どのような反応をするのかをつぶさに観察します。分かりやすくいうと、騎手が行けと行けば行くし、右に行けといえば右、左といえば左、止まれという指示が出たらきっちり止まる。こういった意思疎通ができる馬なのか、また今日は走れる精神状態にあるのかということは非常に重要です。車でたとえると、ハンドルが利くのか、操作性が高いのかということを意味します。

騎手も同じような感覚で返し馬に臨んでいるはずで、ここでのコンタクトが悪いと騎手は不安になるはずです。レースに行って制御が利かなくなって暴走してしまったり、上手くポジションが取れなかったり、馬群を割れなかったりする心配が出てくると、できるだけ安全なレースをしようとして、消極的な騎乗につながってしまうかもしれません。逆に正しく騎手の指示に応えることができる馬であれば、ジョッキーも積極的なレースができ、またその馬もレースの流れにスムーズに乗れて、力を十全に発揮できる可能性が高まるはずです。

青竜Sのグリムの返し馬を見たとき、動きの滑らかさという点でも、騎手とのコンタクトという点でも満点でした。これだけ申し分ない返し馬を見たのは久しぶりな気がして、迷うことなくグリムを本命にすることに決めました。あとは見てのとおりです。馬も人も完璧なレースをしてくれて、スマハマを抑えて勝利したのです。前走は何もかもが思い通りに運んでの勝利だっただけに、今回のユニコーンSも同じように勝てるとは限りませんが、グリムが肉体的にも精神的にも素晴らしい馬であることは確かです。パドックや返し馬でどのような動きを見せてくれるか楽しみですし、レースでも力を発揮して、勝ってくれることを願います。

Unicorns2018wt


|

Comments

治郎丸様

記事ありがとうございます。
私もこのレース、珍しく単勝を買って、ゴール前で川田〜ぁぁぁ!と絶叫した記憶があります。

内面ってやっぱりわかんないですが、馬の見方は大分変わった気がします。明日、買うかわかりませんが、楽しみです。

Posted by: Nobu | June 17, 2018 at 01:31 AM

Post a comment