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ダメージが抜けているかどうか

Jiromaru

ケンタッキーダービーから始まり、2週間後のプリークネスステークス、3週間後のベルモントステークスと続く、アメリカ3冠レースも苛酷ですが、2000mの皐月賞から始まり、2400mの日本ダービー、そして夏を越して3000mの菊花賞と連なる日本の3冠レースもまた違った意味において苛酷です。特に、スピードが重視されている現代のサラブレッドにとって、3歳秋の時点で3000mの長距離レースを走ることは簡単ではないはず。しかも雨が降って馬場が重くなってしまったりすれば、字ズラ以上のスタミナと精神力を問われる厳しい試練になることは間違いありません。

馬にとって最もダメージが残ってしまうのは、以下の3つの条件下で行われるレースです。

1、 長距離戦
2、 不良馬場
3、 レコード決着

ここで言う長距離戦とは、3000mを超えるレースのことを指します。前述したように、スピード化が進む現代の競馬において、長距離戦を走るために生産・育成された馬は珍しく、ほとんどの馬は本質的にはマイル前後を得意とするスピード馬です。そのような馬たちにとって、さすがに3000mを超えるような長距離のレースを完走することは容易ではありません。

本質的には合わない距離のレースを走ると、それだけダメージが残ります。自分の慣れた環境や得意とする舞台であれば感じなかった肉体的・精神的疲労が、そうではない状況下においては尾を引くのは私たち人間も同じではないでしょうか。たとえば、菊花賞を勝った馬や最後まで力を出し尽くして激走した3歳馬が、しばらくの間、目に見えない疲れを引きずって勝ち切れなくなってしまうという現象は毎年のように見られます。現代の日本馬たちにとって、3000mを超える距離のレースはそれだけで苛酷なのです。

不良馬場で行われるレースは、単に走りにくいという理由で、字ヅラの距離以上のスタミナを要求され、肉体的・精神的な疲労も想像を絶します。いつもとは違うフォームで走ったり、必要以上に力を入れて踏ん張ったりすると、あとから身体がガタガタになっていることに気づくことは私たち人間も同様でしょう。

ただでさえ走りにくい中、前を行く馬たちが蹴り上げる泥や芝生の塊が飛んできて顔面を直撃するのですから、レース自体が嫌になってしまう馬もいるかもしれません。そもそも不良馬場を得意とする馬などいません。本質的に合わない馬場を無理して走ったことでダメージが残ってしまうのです。

レコード決着とは、単に硬い馬場で行われたレースということではなく、極限のスピードが問われるようなパンパンの馬場において、全体的に速いラップを刻んだ、内容的に厳しいレースということ。ラスト3ハロンだけの競馬であれば消耗は少ないのですが、スタートからゴールまでしのぎを削るような激しい争いをしてのレコード決着を制する、またはその争いに加わることはサラブレッドの肉体をむしばむのです。

昨年(2017年)の菊花賞は上記の2つ(長距離戦であり不良馬場)に当てはまる苛酷なレースでした。勝ったキセキが未だに復活できていないのは、肉体的にもそうですが、精神的に燃え尽きてしまったことにも原因はあるのではないでしょうか。トリコロールブルーも母父がスピード馬のPivotalであり、3000m戦は間違いなく長かったはずですが、無理をして激走しなかった分、回復も早かったのかもしれません。菊花賞後に2連勝を果たし、休み明けの鳴尾記念では3着と好走しました。精神面に関しては外に表れにくく、見極めにくいという難しさがあるため、まずは肉体的に回復しているかどうかを見るべきでしょう。

函館記念2018出走時
http://www.keibado.com/keibabook/itw/photo06.html

牡馬にしては腹回りがやや巻き上がり気味に映りますが、皮膚は柔らかく、筋肉はふっくらとしていてリフレッシュされた状態を保っています。前走を叩いて、今回は肉体的にも精神的にも走れる状態に仕上がりつつあります。札幌記念まで見据え、今回はどれぐらいの仕上げになるのかがポイントです。友道調教師はマカヒキやワグネリアンを究極の仕上げで日本ダービーを勝たせたように、ここぞと狙いを定めて勝ちにいく手腕には目を見張るものがあります。最終追い切りは上々の動きでしたが、今回は90%ぐらいの仕上がりで臨めるのではないでしょうか。札幌記念とセットでこの馬は狙ってみたいと思います。


Hakodatekinen2018wt

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函館記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Hakodatekinen

■1■上がり馬が狙い目
G1       【0・2・2・12】 連対率13%
G2       【4・0・1・16】 連対率19%
G3       【3・2・2・22】 連対率17%
オープン特別 【2・5・3・56】 連対率11%
条件戦    【0・0・1・9】 連対率0%

函館競馬場で行われた過去19年で前走がG2レースから4頭、G3レースから3頭、オープン特別から2頭の勝ち馬が出ているように、これまでに実績のある馬ではなく、この夏に力を付けてきた(調子を上げてきた)馬が狙い目である。また、前走がオープン特別であった連対馬7頭中、5頭が巴賞出走馬である。函館記念1本に狙いを定めてきた上がり馬に注目すべき。

■2■2000m以上のスタミナが必要
トニービン、ニジンスキー、ノーザンダンサーなどの血を引く馬たちが活躍しているように、函館競馬場独特の洋芝によって、パワーはもちろんのこと、字ヅラ以上のスタミナが必要とされる。また、速い上がりが求められるレースになることはほとんどないので、瞬発力勝負では分が悪かった馬の巻き返しにも期待したい。

■3■内を通って差を詰めることの出来る差し馬
12.6-11.8-12.7-13.0-12.9-11.9-12.0-11.9-11.7-12.3(63.0-59.8)S
12.2-11.2-11.4-12.1-12.1-12.4-12.0-12.1-12.1-12.7(59.0-61.3)H
12.3-11.0-11.2-11.5-11.8-12.1-12.6-12.4-11.4-12.2(57.8-60.7)H
12.2-11.0-11.5-12.2-12.8-12.4-12.3-12.0-11.8-12.1(59.7-60.6)M
12.5-10.8-11.6-12.0-12.2-12.4-12.4-12.3-11.8-12.4(59.1-61.3)H
12.2-11.0-11.7-11.8-12.1-12.1-12.0-12.0-11.6-12.1(58.8-59.8)H
12.3-11.3-12.2-12.0-11.8-11.7-12.0-11.8-12.3-12.7(59.6-60.5)M
12.6-10.8-11.5-11.7-12.0-11.9-11.8-12.1-12.1-12.6(58.6-60.5)H
12.3-11.0-12.0-12.4-12.3-11.6-11.9-11.7-11.9-11.9(60.0-59.0)S
12.5-11.1-12.0-12.4-12.6-12.3-12.1-12.2-11.8-12.2(60.6-60.6)M

過去10年間のラップ構成を見ると(札幌競馬場で行われた年は除く)、ミドルペースからハイペースとなり、案外スローにはならない、毎年異なった展開で流れていることが分かる。ジョッキーが262mと短い直線を意識するため、向こう正面から既に動き出すからである。そのため、ペースや競馬場のコース形態のわりには逃げ馬が残りにくく、先行馬、そしてさらに、内を通って差を詰めることの出来る差し馬にとって有利なレースになる。


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君の名は

Yuichi

熱狂的というわけではなく、どちらかというと付かず離れずという表現が適切だろうか、福永祐一騎手をデビューの頃からずっと応援してきた。その名前の由来を知って、彼を応援しないわけにはいかないと思ったのだ。私の敬愛するミスター競馬と称される野平祐二騎手の祐と、日本競馬史上に残る偉大なジョッキーである父福永洋一騎手の一を取って、彼は名付けられた。彼がジョッキーになるのは運命であり、必然でもあった。ただそうした大きな期待が、彼にとっては大きな重圧や失望となり続けたこともまた事実である。なぜなら彼は野平祐二や福永洋一ではなかったからだ。

どの世界においても、努力の上に才能がある。努力し続けることができるのも才能のひとつだが、頂点を極めるためにはそれ以上の才能が求められる。努力だけでは如何ともしがたい才能である。頭脳でも肉体でも精神でも、ある世界を極めようとすると、そうした自分にはない種類の才能を持った人間が目の前に現れる。どれだけの時間を掛けて努力しても敵わないと悟ったとき、私たちは夢をあきらめて彼らを応援する立場に回ったり、別の生きる場所を探したりするだろう。でもそうはできない人間もいる。その世界で生きることが定められている人たちである。

自分が生きていかざるを得ない世界で、自分には才能がないと知ることはどのような気持ちだろうか。自分にトップに立つ人間が持つ輝きがないと悟り、騎手を続ける気持ちを失ってしまったこともあったに違いない。私たちには見えないところで、福永祐一騎手の心は右往左往していたはずである。それでも彼はいつしかジョッキーを続けることを選んだ。ただ続けるだけ、辞めないだけではなく、ジョッキーとしてできる限りの努力をしようと決心したのだ。藤原英昭厩舎の門を叩き、プライドを投げ捨てて、馬乗りの基本から学んだ。初心に帰り、動作解析やプロのトレーナーをつけ、フィジカルトレーニングを積み、科学的なアプローチで騎乗姿勢を見直し、安定化させた。

今年のダービーの最後の直線で、福永祐一騎手がワグネリアンを追う姿には、そんな彼の努力が凝縮されていた。勝ちたいという気持ちが先走って、少しだけ姿勢が浮いているように見えるのは愛嬌だが、あれだけの状況でも基本に忠実に馬に負担を掛けないように追うことができたからこそ、最後のひとムチに応えて、ワグネリアンがグッと伸びてくれたのだ。もちろん、道中のポジション取りも、馬の御し方も、脚の溜め方もパーフェクトであった。何よりも大一番で、馬を出していく決断をし、実行に移した最後の決め手は、福永祐一騎手の日本ダービーを勝ちたいという強い気持ちであった。それは努力をし続けてきたことで鍛えられた心であり、彼の強い心は才能がない人間による努力の賜物なのである。私には、福永洋一と野平祐二の名を継ぐ福永祐一が輝いて見える。

Photo by fakePlace

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プロキオンSを当てるために知っておくべき3つのこと

Prokions

■1■1番人気が圧倒的に強い
過去11年間で1番人気は【3・3・4・1】と連対率約50%、複勝率約90%という圧倒的強さを誇る。これはが実績馬に有利な別定戦であることが最大の理由である。だからといって1番人気を買えばよいというのは早計で、実績馬がそれほど重い斤量を背負わされないため、力のある馬が順当に勝つというのが本当の意味である。

■2■結局のところ前に行った馬にとって有利なレース
12.3-10.5-11.5-12.0-11.8-11.6-12.6(34.3-36.0)H
12.2-10.6-11.1-11.7-11.9-12.1-12.3(33.9-36.3)H
12.0-11.0-11.5-11.7-11.6-12.0-12.2(34.5-35.8)H
12.3-10.1-11.0-11.9-12.1-12.4-12.9(33.4-37.4)H
12.0-11.0-11.6-11.8-11.6-11.7-12.3(34.6-35.6)H
12.3-10.8-11.5-11.8-12.1-11.8-12.4(34.6-36.3)H
12.1-10.9-11.4-12.1-12.0-11.4-11.9(34.4-35.3)M
12.0-10.7-11.3-11.6-11.5-11.9-13.6(34.0-37.0)H
12.1-11.0-11.0-11.5-12.0-11.8-12.5(34.1-36.3)H
12.2-11.0-11.5-11.8-12.0-11.8-12.3(34.7-36.1)H
12.0-11.1-11.5-12.0-12.3-11.4-12.2(34.6-35.9)H
12.2-10.7-11.2-11.3-11.8-12.0-12.9(34.1-36.7)H
12.2-10.9-11.1-11.8-12.1-12.4-12.4(34.2-36.9)H

過去10年のうち、阪神ダート1400mで行なわれた4レースは、ほぼ例外なくハイペースに流れていて、前に行く馬にとってはかなり厳しいレースとなっていた。なぜなら、阪神1400mダートコース(内回り)の最後の直線は352mと短く、前に行った馬にとって有利という意識がジョッキーに共通に働くため、どの馬もとにかく前に行きたがるからである。それでも先行馬が活躍していたのは、最後の直線が短いから。後ろから行く馬向きの展開になるにもかかわらず、意外と直線が短くて差し切れないという現象が起こっていた。この傾向は2012年から行なわれている中京ダート1400mコースでも変わらず、ハイペースにはなっても、結局のところある程度前に行った馬にとって有利なレースになるはず。

■3■外枠がやや有利
中京ダート1400mコースはスタート地点が芝となっていて、外枠から走る馬の方が芝を走る距離が長い。そのため、外枠に入った馬(特に先行馬)は、内枠に入った馬に比べ、スピードに乗りやすいという利点が生じる。先行・差し馬向きのレースと前述したが、特に外枠に入った先行馬には要注意である。

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七夕賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Tanabata

■1■上がり時計不問
12.4-11.5-11.8-11.6-11.7-11.7-11.8-12.0-12.1-12.7(59.0-60.3)H 
上がり3ハロン36秒8
12.3-11.1-12.1-12.2-12.1-11.9-12.0-12.0-12.1-12.5(59.8-60.5)M 
上がり3ハロン36秒6
12.5-11.3-11.9-12.1-12.5-12.0-11.7-11.9-11.7-12.2(60.3-59.5)M 
上がり3ハロン35秒8
12.5-11.5-12.2-12.3-12.6-12.0-11.8-11.7-11.3-12.3(61.1-59.1)S 
上がり3ハロン35秒3
12.5-11.4-12.1-12.2-12.8-12.0-11.7-11.8-12.0-11.9(61.0-59.4)S
上がり3ハロン35秒7
12.3-11.1-12.4-12.4-13.2-12.0-11.7-11.5-11.7-12.2(61.4-59.1)S
上がり3ハロン35秒4
12.3-11.2-12.0-12.3-12.5-12.4-11.8-12.0-12.2-12.4(60.3-60.8)M
上がり3ハロン36秒6
12.1-10.7-10.9-12.3-12.6-12.3-12.1-12.1-11.7-12.1(58.6-60.3)H
上がり3ハロン35秒9
12.2-11.4-11.2-12.0-12.1-11.9-11.9-11.6-11.8-12.6(58.9-59.8)M
上がり3ハロン36秒0
12.0-11.3-11.5-12.2-12.5-12.4-11.8-11.4-11.1-12.0(59.5-58.7)M
上がり3ハロン34秒5
12.0-10.5-11.4-12.2-11.9-12.0-11.6-11.8-11.9-12.9(58.0-60.2)H
上がり3ハロン36秒6

最近はスローに流れる競馬が多く、上がりが速くなる傾向が出てきているが、それ以前は上がりが35秒を切るレースの方が圧倒的に少なかった。馬場の劣化と、息の入らないペースによって、上がり時計が不問になりやすい。軽い瞬発力ではなく、その対極にある、パワーとスピードの持続力が求められるレースである。当然のことながら、こういう上がり時計不問のレースでは前に行った馬が有利になる。

■2■マイラーでもステイヤーでも厳しい
直線の短い小回りコースということもあって、スタート直後からガンガン飛ばしていく速い流れになりやすく、最後は底力の勝負になり、豊富なスタミナが要求される。そのため、純粋なマイラーにとっては厳しいレースとなる。かといって、ステイヤーに向くかというとそうでもなく、ステイヤーは道中の速く厳しい流れに戸惑ってしまうことになる。どちらかに偏っていない、中距離馬を狙い打つべきである。

■3■ハンデがハンデにならない!?
斤量         成績       連対率
51kg以下     【0・0・0・12】   0%
52kg        【2・0・1・12】  17%
53kg        【1・2・2・14】  18%
54kg        【0・1・1・23】   4%
55kg        【1・2・5・20】   12%
56kg        【1・3・2・23】   11%
57kg        【6・2・1・13】   26%
57.5kg以上   【1・2・1・9】   25%

ハンデ戦にもかかわらず、ハンデが重くなるにしたがって連対率が上がる傾向がある。そして、勝ち馬は55kg~57kgのゾーンに集中している。ハンデキャパ―に評価された実力馬が、そのまま素直に力を発揮して結果を出す舞台と考えてよい。

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