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馬の首から上は100kg以上

Jiromaru

僕は馬体を見るときに、パッと見ることを大切にしています。パッと見るなんて言うと、あまりにも抽象的だと思われるかもしれませんが、つまりは部分を見ずに全体を見るということです。木を見ずして森を見るというか、サラブレッドの馬体を評価するときに重要なのは全体性なのです。だからこそ、最初に見るときにはパッと見ることを意識し、そこから細かいところに目を移していくという流れになります。そして、自分が無意識に馬体のどこを見ているのか意識してみると、意外にも首から頭にかけてを見ていることに気づきます。首の太さや長さ、角度から頭との関係性まで、パッとみているようでいて、実は細かく見ているのです。

サラブレッドが走るために、首は重要な役割を担っています。馬は首を使って走るため、全力疾走後の馬の首の疲労は大変なものです。首の使い方が上手ければ、それだけ疲労も少ないのです。首と頭を加えた重量は、なんと100kg以上(体重の約20%)を占めます。そのバランスがいかに走りに大きな影響を与えるかは想像がつきますね。

長くて、筋肉が良く発達し、輪切りにしたときの切り口が長い卵型に見えるような(薄っぺらではない)首が理想的です。首が長ければ、走っているときにそれだけ重心を大きく移動させることができ、歩幅も大きくなり、速さを生み出すことができます。長い首を上手く使って走ることができると、効率の良い走りができるということです。

首の太さと長さは、その馬の体型と関係してくるため、距離適性を測るための材料にもなります。胴が分厚い馬体には、肉体の構造上、しっかりとした太い首が付いているのが自然です。その逆もまた然り。直感的にお分かりいただけるはずですが、マッチョでズングリムックリしている馬の首は短くて太く、ヒョロっとしてスマートな馬の首は長くて細いのです。あまりにも首が太くて短い馬は、無駄な力が入り、消耗しやすく、距離が長くなると息がもたなくなってしまいます。つまり、短距離に適性のある馬の首は短くて太く、長距離に適性のある馬の首は長くて細いということです。

そして、首の太さと長さだけではなく、馬の首と頭の角度や位置も見るべきです。まず首と頭の角度については、自然な形で立っているとき、頭の軸と首の中心線の交わる角度は90度が理想的です。この角度が90度よりも小さいと、咽喉(のど)の空間がなくなって窮屈そうであり、実際にこうした馬はノド鳴りや呼吸障害になりやすいとされます。

頭と首の角度にさらに位置を加えると、首の形ができあがります。まず理想的なのは、首の方向が地面に対して45度であり、よって頭の方向も45度が自然な形です。この首の形で立っている馬は、僕たちから見ても、リラックスして立てているように見えるはずです。肉体の構造にも無理がなく、普通に立つと、自然な首の形になるということです。

以上の首に関する知識を元に、今週行われるレパードSの出走馬の立ち写真を見てみましょう。まずは1番人気に推されるはずのグレートタイムから。この馬は前駆の筋肉が非常に発達していて、それに伴って首回りにも豊富な筋肉がついています。いかにもダートを得意としそうなパワー溢れる馬体ですが、敢えて言うならば、首が太くて短いため、それほど大きく身体を使って走れないでしょうし、距離も延びて良さが出るタイプではありません。前走よりも距離が短縮されるのはプラス材料ですが、現時点では完璧な馬体とは言い難いです。

次に、対照的な馬体を誇るグリムです。他の出走馬と比較してみると実に分かりやすいですね。この馬の首から頭にかけての部分は理想的です。首には長さがあって、細からず太からず、断面が卵型になってそうです。首の角度も地面に対して45度ぐらいですし、頭と首との間の角度はちょうど90度を保っています。これはグリムの馬体に無駄がなく、力みもなくリラックスして立てているということを意味します。長い首を振り子のように使って走ることができますので、距離が延びても問題ありませんし、スタミナが生きるはずです。首だけを見ても、この馬を本命に推したいです。

アルクトスは首の長さや太さは標準的ですが、やや頭が上を向いてしまって、首と頭の間の角度が90度以上に見えます。やや集中力を欠いている部分があるのかもしれませんし、まだ気性面での幼さが見え隠れしています。

ドンフォルティスは首が短くて、高いですね。いかにもダートの短距離馬という前駆のつくりであって、馬体全体の中で前駆が特に発達しすぎているがゆえに、首が短く高くなってしまい窮屈に映ります。しかも、首と頭の間の角度が90度よりも小さいです。このような馬は首に力を入れて走るので、距離が延びると苦しくなります。前走からの距離短縮は歓迎ですが、あまり好んで買いたい馬ではありません。

エングローサーは首の太さや長さは平均的ですが、位置がやや高いです。父のトランセンドも首の高い馬でしたので、その点は父譲りかと思います。このようなタイプの首の馬は、長い脚を使うことが難しいため、先行して粘り込むような競馬が合っているはずです。父の良さは受け継いでいますので、スムーズに先行できれば好勝負になるはずです。馬連を買う方は、グリムにこの馬を絡めてみてくださいね。

Leopards2018wt_2


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Comments

治郎丸さん いつもお疲れ様です(^^;流石は見事に的中おめでとうございます。全体的なシルエットも大事ですが各所のバランスも大事ですよね。夏競馬を攻略と思ってはいるのですが夏は調教の動きとレースとがなかなか線にならず直前のパドックも見ているんですがやはりそこは夏競馬…一筋縄ではいきませんね。治郎丸さんの馬体は語るの本を読んでまた違う角度から馬を見れるように頑張ります。

Posted by: ユビキタス | August 06, 2018 at 08:06 PM

ユビキタスさん

ありがとうございます。

グリムは理想的なシルエットの馬で、前走狙って失敗してしまったリベンジを果たすことができました。

でも今回逃げてしまったので、次走以降は引っ掛かり癖が付いてしまうのが気がかりです。

馬体やパドックはとにかくたくさん見て、何かに気づくしかありませんね。本もぜひ読んでみてください!

Posted by: 治郎丸敬之 | August 07, 2018 at 06:00 PM

治郎丸さん
おめでとうございます
流石です
自分はビックスモーキーから狙いましたが、ヒラボクタージュまでは買えませんでした
グリムで乾杯ですね。
本も購入しました、この見方の本は勉強になります、何度も読んで頭に叩き込みます。

Posted by: 鬼太郎 | August 08, 2018 at 05:30 PM

鬼太郎さん

ありがとうございます。

ビックスモーキーから狙っている時点で凄いと思います。

単行本も買ってくださって嬉しいです。

読みやすく書いたつもりですので、ぜひ何度も読んでみてください!

Posted by: 治郎丸敬之 | August 09, 2018 at 11:52 AM

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