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尻高馬と前高馬

Jiromaru

先月、出演させていただいたグリーンチャンネルの番組では、馬体のプロポーションについて、四角形と三角形を使う見かたを語りました。それ以外にも、プロポーションを大きな枠で捉える方法はあって、今回は拙著「馬体は語る」から抜粋する形で、「尻高馬」と「前高馬」、そして「前勝ち」と「トモ勝ち」について説明していきます。

き甲から後ろへ背のラインを辿っていくと、鞍を置く部分が低くなり、再び尻にかけて高くなっていきます。尻のいちばん高いところから地面までの距離を尻高(しりだか)といい、基本的に体高(き甲から地面までの距離)と尻高は同じ高さになります。

ところが、明らかに体高よりも尻高が高い馬、または尻高よりも体高が高い馬がいます。前者を尻高馬、後者を前高馬といいます。一般的に、尻高馬には一瞬のスピードに優れた短距離馬、前高馬には持久力のある長距離馬が多いとされています。尻の方が高いと、前躯が疲労しやすく、長い距離を走り続けることが難しいからです。

ただ、この尻高と体高の高さを基準にしたプロポーションの見方は、成長の過程で一時的に現れるものでもあります。2歳の若駒の頃まではトモが高く映っていたとしても、背が伸びて逆に体高の方が高くなってくる馬もいます。僕もまさにそうでしたが、小学校ぐらいまでは身長が低く、前から2、3番目の背の順だったのに、中学生や高校生になって急激に背が伸びて、他をごぼう抜きにする子どもっていますよね。馬によっては、3歳の春から秋にかけて大きく成長することで、プロポーションが変わってくる馬もいるのです。

さらに今度は馬体を3つに分断してみましょう。き甲から地面に垂直に線を引き、そこから胸前までを前躯とします。そして、腰角(こしかど・ようかく)から地面に垂線を引き、そこから尻端までを後躯とします。その間が中躯です。前躯が後躯よりも大きく、たくましく見えるときは前勝ち、逆に後躯が前駆よりも大きく、発達して映るときはトモ勝ちと言います。

大ざっぱに区分すると、ダートは前脚で砂をかき込むようにして走る必要がありますので、前駆が強い前勝ち馬が多く、芝は道中で溜めたパワーを最後の直線で絶対的なスピードに転換するためのキック力が求められるため、後躯が強いトモ勝ち馬が有利です。また、前駆が発達している馬は先行力があり、後躯が力強い馬は道中でペースが上がっても遅れることなくついて行くことができます。

もちろん、前躯も後躯もバランス良く充実していることが望ましいのですが、どちらかに偏って発達しているとすれば、ダートで走るかもしれない、芝でこそ良さが生きるかもしれない、または先行力がある馬になるかも、ハイペースで追い込んでくる馬になるかもと想像し、期待しても良いということです。

今週の関屋記念に出走するプリモシーンの馬体を見たとき、「おっ、大きく変わってきたな」と思わず声が漏れました。なぜパっと見た瞬間にそう感じたかというと、春シーズンのプリモシーンの馬体は極端に尻高であり、前勝ちであったからです。前駆の力強さに対して、トモの実の入りが物足りず、腹も巻き上がっているように映っていたということです。3歳牝馬らしいといえばその通りですが、良血ということもあり、人気になっていた割には馬体が不完全だと見ていました。

ところが、プリモシーンが夏を完全休養にあてるのではなく、関屋記念から復帰するのを不思議に思っていましたが、その馬体を見てなるほどと納得しました。目立っていた尻高、前勝ちが薄れて、前後のバランスの良いプロポーションになってきているのです。その理由としては、腹回りがふっくらとして、胴部にも少し伸びが出てきたことです。NHKマイルCから数か月しか経っていませんが、その間、とても有意義な休養を過ごすことができたのではないかと想像します。毛艶の良さを見ても仕上がりは良いですし、ピリピリとした気性の持ち主ですから、こういう馬は使い込まれるよりも、休み明けの方が力を発揮しやすいはずです。3歳牝馬があまり人気になりすぎるのは嫌ですが、プリモシーンに本命を打ちたいと思います。

Sekiyakinen2018wt

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