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走ることが好き


天皇賞秋2018―観戦記―
ダンビュライトの放馬にどよめきが起こった場内も、天皇賞秋のスタートが切られる瞬間には静寂に包まれ、ゲートが開いた途端に再び沸いた。1番人気のスワ―ヴリチャードが立ち遅れてしまったのだ。あとからパトロール映像を観て分かったことだが、隣のマカヒキがいきなり左に倒れるように寄りかかってきたことで、スワ―ヴリチャードの進路が閉じられてしまうアクシデントに見舞われていたようだ。スタートがほんの少し悪かったことは確かだが、スワ―ヴリチャードにとっては何ともタイミングの悪い一瞬の出来事であった。しかも前半1000mが59秒4、後半が57秒4という超スローペースになったのだから、スタートで万事休す。これも競馬である。

勝ったレイデオロは3歳時の日本ダービー以来の勝利となった。ダービーを勝つことの消耗は私たちには計り知れないものがあり、これまで数多くのダービー馬たちが、ダービー以後に肉体的にも精神的にも燃え尽きてしまってきた。私が思いつく限りにおいても、ダービー以後に復活を果たすことができたのは、オルフェーヴル、ウオッカ、ディープインパクト、スペシャルウィーク、ナリタブライアンぐらいではないか。これらの名前を見るだけで、レイデオロの今回の勝利がどれだけの意味を持つか分かるだろう。レイデオロの復活を支えたのは、彼の走ることが好きという気持ちである。

クリストフ・ルメール騎手はスローペースを読み切っていたのだろうか、スタートしてからレイデオロのリズムを崩さないように気を付けながらも、少しでも前のポジションを走らせようと心掛けていた。あれ以上後ろから行くと厳しかっただろうし、あれ以上急かせることはできなかっただろうから、勝つためには完璧なポジションであった。アーモンドアイからフィエールマンに続き、これでG1レース3連勝となり、神がかっているとしか表現しようがないぐらい見事な騎乗である。

サングレーザーはレイデオロよりも後ろから進み、直線でも良く伸びているが、2着を確保するのが精いっぱいであった。脚質を考えると、この馬としては前目につけて追走できた方であり、力を出し切ったと考えるべきであろう。ジョアン・モレイラ騎手もテン乗りにもかかわらず、サングレーザーの力を十全に発揮させた。キセキは川田将雅騎手の積極的な騎乗が功を奏して、3着に粘り込んだ。秋華賞もそうであったが、各ジョッキーの出方をうかがうことなく、決め打ちしていたかのようにハナに立つ割り切りが素晴らしいく、バテた馬を最後までファイトさせる技術もさすがであり、外国人ジョッキーに太刀打ちできる唯一の日本人騎手という評価で間違いない。

スワ―ヴリチャードはレースの流れに乗ることができず、自ら動くことさえできず、最後の直線半ばでは流すようにしてゴールした。不完全燃焼といえばその通りだが、道中の反応や動きを見る限りにおいて、仕上がりが万全であったかにも疑問がある。最終追い切りを馬なりの不完全な形で終わらせたことで、スワ―ヴリチャードの気持ちも浮ついてしまっていたのではないだろうか。パドックでの姿を見た印象としては、馬体が仕上がっていなかったのではなく、気持ちが仕上がっていなかった。次走のジャパンカップこそは、気持ちもビッシリと仕上げて本気で臨んでもらいたい。

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目を見れば分かること

Jiromaru

「目は口ほどにモノを言う」ということわざがあるように、もともと口がきけない馬にとって、目は心を映し出す窓になります。ディープインパクトやキングカメハメハ、マカヒキ、今年のダービー馬であるワグネリアンなど、数々の名馬を探し当てた金子真人オーナーは、馬選びの際に「まずは目を見る」とおっしゃっていました。馬の目には、喜怒哀楽といった感情だけでなく、その馬の性格さえも映し出されます。気性が穏やかで賢い馬は、黒く澄んだ目をしているものです。

レースにおいても、やる気や気合は目に表れてくるものであり、生き生きとして底光りするような眼光の馬は、間違いなく体調が良く、走ることに対して前向きです。逆に精彩を欠き、どんよりと濁っているような目の馬は、明らかに調子を落としています。走る気のない馬は、相手をうかがいながら走るフリをしているズルそうな目になります。

それでは、具体的にどのようにして、サラブレッドの目つきから体調を推し測ることができるのでしょうか。恥ずかしながら、私も言葉で説明するのは難しいと思っています。しかし元来、僕たち人間には、相手の目を見て心を推し量る能力が備わっているのではないでしょうか。あなたが馬を見て、「走る気に満ちている」、「元気がなさそう」などと感じたら、その直感をまずは大事にしてみることから始めてください。

たとえば、今週の天皇賞秋に出走してくるスワ―ヴリチャードの目だけを見てみてください。そして、前走の安田記念のときの目と比べてみてください。もしかすると私の主観が少し入ってしまっているかもしれませんが、安田記念時はどんよりと曇っていて、どこか寂し気で、何かをこちらに訴えているような目に映りませんか?それに対して、今週の天皇賞秋の目は、いくらか活気に満ちていて、闘争心が宿っているように映りませんか?

瞳には僕たちの姿も映りますので、なるべく思い込みを排して観ることが大切です。それでもやはり、僕には安田記念時と今回の天皇賞秋時のスワ―ヴリチャードの目には違いがあるようにしか見えないのです。ただ単純に距離適性がない(距離が短い)という理由だけで、安田記念ではスワ―ヴリチャードに本命を打ちませんでしたが、陣営の言うように、夏負けの傾向があったのかもしれませんし、大阪杯を強引に勝ったことによる反動が出ていたのかもしれません。調子の悪さをスワ―ヴリチャードは目で訴えかけていたのです。それでも、あれだけの走りを見せて3着したのですから、この馬の能力は相当なものです。

ということで、今回の天皇賞秋の目を見る限りにおいて、スワ―ヴリチャード自身の体調は良さそうなので、迷わず本命を打ちたいと思います。まるで恋人同士みたいですが、目を見れば分かるということですね(笑)。能力的にはぶっつけでも天皇賞秋を勝つだけのものは十分にあります。あとは展開やミルコ・デムーロ騎手の乗り方、そして最後は運次第でしょうか。本格化した今のスワ―ヴリチャードならば、無理に押したりせずとも先行でき、あとは最後の直線でタイミングを見計らってゴーサインを出すだけです。

Tennoshoaki2018wtumajin

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東京芝2000m

Tokyo2000t1

改修前の東京2000mのコースは、スタート地点から最初のコーナーまでの距離が極端に短く、急激に左に曲がることから、外枠に入った先行馬は非常に不利であった。コーナーを回りながらのポジション取りになるため、先へ行こうと思うと遠心力で外へ外へと振られてしまい、1番と10番に入った馬とでは約1秒のタイム差があると言われていたぐらいである。

しかし、平成14年の改修によって、東京競馬場の2000mコースは生まれ変わった。スタートから最初のコーナーまでの距離が23m延長されたことにより、スタートしてから各馬がスムーズに最初のコーナーに入って行けるようになったのだ。このことにより、各馬(騎手)が力を出し切れるコースへと一変した。さらにゲートを外目に置くようになったため、外枠の馬も最初のコーナーへゆったりとロスなく入れるようになり、内外の有利不利はほとんどないと考えてよい。そうはいっても、10番手以内のポジションを確保するためには、やはり内の方が乗りやすいのは確かである。

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天皇賞秋を当てるために知っておくべき3つのこと

Akiten

■1■前から10番手に付けられる馬
平成14年の改修によって、東京競馬場の2000mコースは生まれ変わった。スタートから最初のコーナーまでの距離が23m延長されたことにより、スタートしてから各馬が比較的スムーズに最初のコーナーに入って行けるようになったのだ。さらにゲートを外目に置くようになったため、最初のコーナーに各馬が殺到して、馬群が詰まってしまうということが緩和された。

最初のコーナーへの先行争いが緩和されたことにより、ハイペースが常であった天皇賞秋が平均ペースになりやすくなった。サンデーサイレンス産駒のワンツーフィニッシュ(平成16年、17年においてはサンデーサイレンス産駒のワンツースリー)が目立つように、「瞬発力」が求められるレースに様変わりしたということである。牝馬の活躍が目立つようになったのもここに理由がある。

馬場がまだ軽さを保っている時期ということも含め、前に行ける馬でないと、もう少し具体的に言うと前から10番手に付けられなければ、勝つことは難しい。

■2■穴は夏競馬を使ってきた馬から
かつては天皇賞秋→ジャパンカップ→有馬記念が古馬の王道であったが、最近は3戦全てに全力投球する馬は珍しくなった。ひとつのG1レースを勝つことによる消耗が激しくなったことに加え、良い意味でも悪い意味でも各路線が分業化されたことにより、それぞれの有力馬がどこかのレースに照準を絞るようになった。

そのため、実績馬であっても天皇賞秋にはビッシリ仕上げてこない馬もいるため、ここがピークになるように夏競馬を使われてきた伏兵馬が台頭することもありうる。たとえば、2005年を制したヘヴンリーロマンスなどはその典型で、2006年のスウィフトカレント、そして2007年のアグネスアーク、2011年のトーセンジョーダンなどが激走して穴を開けた。特に札幌記念はG1の登竜門でもあり、ここを好走してきた馬には注目しておきたい。

■3■宝塚記念とは直結しない
同じ中距離で行われる春と秋のG1レースである宝塚記念と天皇賞秋であるが、意外なことに勝ち馬が直結しない。過去20年でこの2つのレースを連勝した馬はテイエムオペラオーとラブリーデイのみである。その理由としては、以下の2つが考えられる。

ひとつは2つのレースで勝ち馬に求められる資質が違うということ。6月の阪神競馬場で行われる宝塚記念は、ほぼ洋芝100%に近い力の要るオーバーシード芝で行われるため、勝利を手にするには何よりもパワーが求められる。それに対し、10月の東京競馬場で行われる天皇賞秋は、ほぼ野芝100%に近い極めて軽い馬場で行われるため、勝ち馬には何よりも軽いスピードが要求される。全く反対のベクトルを持つ資質が問われるだけに、宝塚記念と天皇賞秋を2つとも勝つのは至難の業である。

ふたつ目は、宝塚記念と天皇賞秋との間がわずか4ヶ月しかないということ。シーズンオフに近い宝塚記念を勝つということは、一滴も残らず春シーズンの力を使い果たしてしまったということを意味する。そこからわずか4ヶ月の間で、疲労を回復して、秋のG1シリーズ初戦である天皇賞秋に万全の体調で臨むことはなかなか難しい。見た目は出来ていても、目に見えない疲れが残っていたり、精神的な消耗が回復していなかったりすることは案外多い。


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このようなジョッキーに騎乗してもらえて幸せ


菊花賞2018―観戦記―
内枠からポンと飛び出して、ジェネラーレウーノがハナ争いを一瞬で制したことにより、2ハロン目も速くなることなく、前半からペースが軒並みに落ち着いた。道中はどれだけ折り合いをつけながら、最後まで脚をためておくことができるかの勝負になり、そのようなレースはお手の物である、欧州出身のクリストフ・ルメール騎手とミルコ・デムーロ騎手のワンツーとなった。決してどちらもが抜けて強い馬に乗っていたというわけではなく、騎手の腕だけでワンツーにした。裏を返すと、日本人騎手たちは道中で脚をためながら折り合いをつけることができておらず、下手に乗ったということでもある。

勝ったフィエールマンは、前走1800mからの一気の距離延長を物ともしない走りで、最後の3冠を手にした。この馬がステイヤーであるのかと問われると、現時点では自信を持って首を縦に振れないところだが、ステイヤーとしての秘めたポテンシャルがあったということは確か。たとえ上り3ハロンが34秒2の瞬発力勝負のレースになったとしても、2400mを走ってそこからのラストスパートである。豊富なスタミナがなければ、発揮できない末脚である。道中も我慢が利いたように、ジョッキーの指示に従うことのできる賢さもあるのだろう。

ルメール騎手は、勝ちぐせがついているというべきか、常にどのレースでも騎乗馬を勝たせようと無心で乗っている。変に消極的に後ろに下げてみたり、強気に先行しようとしてバタついたりすることなく、馬のリズムを優先しつつも一緒に勝ちを目指している。日本で騎乗をスタートしてからも、日々、経験と実績を重ねながらも上手くなっているように思え、現時点でもすでに非の打ちどころがない、完璧なジョッキーである。このようなジョッキーに騎乗してもらえる、馬はもちろんのこと、その関係者は幸せだ。

エタリオウは惜しくも敗れてしまったが、この馬の力は出し切った。スタートしてから少しずつ馬の集中力を高めていき、それに伴って道中のポジションも上げていく騎乗はさすがであった。今年の菊花賞のスローペースにおいては、2回目の坂越えをしたのちのロングスパートでは間に合わなかったはず。たらればではあるが、もう少し流れてくれたら、勝負どころから一気にまくり上げて、先頭でゴールできていただろう。デムーロ騎手にとっても陣営にとっても、どうしようにもどうにもできない、もどかしさの残るハナ差であった。

3着に入ったユーキャンスマイルは、レースの流れに乗って、持てる限りの力を発揮した。これ以上求めようのない結果であり、武豊騎手もしっかりと仕事をしていた。それにしても、友道厩舎は中距離以上のスタミナを問われるレースに強い。道中は行きたい気持ちを抑えて、勝負どころでは最後まで踏ん張ることを、調教を通して馬たちに教えている。

1番人気のブラストワンピースは、思っていたよりも後ろのポジションになり、外を回してしまった分、切れ負けてしまった。先々週の京都大賞典で池添騎手は前が詰まって力を出し切れなかった競馬をしただけに、外を回そうとしたのは仕方ないし責められない。この馬においても、もう少しペースが速くなり、上りが掛かる展開になれば勝ち負けになっていたことは間違いない。

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良く見える馬がたくさんいるときには

Jiromaru

僕は馬の立ち写真をずっと見てきました。スペシャルウィークやグラスワンダーが活躍していた時代から、今に至るまで、星の数ほどのオープン馬やG1馬たちの馬体を見続けてきました。最初は見るだけだったのですが、いつしかブログ上で評価を書くようになり、気が付くと予想をしていました。その重賞レースに出走する馬たちの立ち写真を見て、いちばん良く見えた馬に本命を打つというシンプルな予想です。

ただ単純に馬体が良く見えるという根拠だけで馬券を買うのは、最初の頃は抵抗がありました。各馬の力関係やジョッキー、馬場、展開、コースなど、競馬の予想をする際にほとんどの競馬ファンが利用するであろう要素(ファクター)を、全く考慮しないからです。

ところが、半信半疑で予想をしているうちに、かなりの良い確率で、しかも高配当の馬まで、馬券が的中ことに気づき始めたのです。僕があらゆる要素を使って延々と悩んで出したそれまでの予想よりも、ほとんど時間をかけていない(パッと見るだけ)にもかかわらず、当たるのです。G1レースを4連勝したこともあれば、7000円台の単勝が当たったこともあります。

自分の知識や経験を総動員した予想よりも、立ち写真だけを見た予想の方が回収率が良いという事実は、たとえ事実であっても、僕には受け入れがたいものでした。なぜなら、新しい予想法を手に入れる代わりに、それまでの自分が競馬予想に費やしてきた膨大な時間を否定しなければならないからです。葛藤の末、僕は立ち写真を使った予想法を受け入れることにしました。それぐらい、結果に明らかな違いがあったからです。

結論としては、馬体が良く見える馬は体調と仕上がりが良く、そのレースで力を十全に発揮できるということです。当たり前のことですが、競馬は調子の良い馬が勝ちやすいということなのです。もちろん、体調や仕上がりが良ければ勝てるというわけでありませんが、各馬の力関係やジョッキー、馬場、展開、コースなど、レースの結果を左右する要素はたくさんあるにもかかわらず、その中でも馬の体調と仕上がりは最優先されるべきなのでしょう。

前置きが長くなりましたが、つまり僕の予想法は、そのレースに出走する馬たちの中で最も良く見える馬を1頭ピックアップして本命を打ちます。しかしごく稀に、本命が決まらないレースがあります。それには2パターンがあって、ひとつはどの馬も良く見えないレースです。1頭もピンとくる馬がいない重賞というのも稀にあるのです。そして、もうひとつは良く見える馬が複数いて、1頭を選べないレースです。甲乙つけがたいというレースが、こちらも稀にあるのです。

今年の菊花賞は、後者の良く見える馬がたくさんいるパターンです。それはレースレベルの高さを示していて、ワグネリアンというダービー馬不在であっても、素晴らしい馬体の出来を誇る有力馬が多くいるということです。このようなレースは、観る前から楽しみですし、必ずや激しいレースになるはずです。僕の中では、ブラストワンピースとエタリオウ、ジェネラーレウーノ、そしてメイショウテッコンが最後まで残った4頭です。ここから1頭に絞りたいところですが、今回ばかりはどうしても1頭だけを選び切れません。

ブラストワンピースは、新潟記念時は決して良い仕上がりとは言えませんでしたが、菊花賞に向けてきっちり仕上がってきました。エタリオウは前走の神戸新聞杯は余裕残しでしたが、さすが友道厩舎ですね、本番に向けて絞り込んできたのが分かります。ジェネラーレウーノは皐月賞時の馬体が最高でしたが、そのときとそん色ない仕上がりです。メイショウテッコンは前走時の研ぎ澄まされた馬体をそのまま維持しており、夏から使っていたことによる調子落ちはありませんね。

上記4頭のボックスを買うかどうか迷いますが、そこは単勝のスタイルを崩さず、週刊Gallop誌上で晩成のステイヤーという理由で本命に推した、メイショウテッコンの単勝を買いたいと思います。春時点では体質が弱く、クラシック路線には乗れませんでしたが、ここに来て馬体に芯が入ってきて完成されつつあります。雄大な馬格を誇り、フットワークが大きく、簡単にはバテないタイプであり、3000mの距離は全く問題ありません。父マンハッタンカフェも菊花賞で表舞台に現れた、奥手のステイヤーでした。

Kikka2018wt


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京都芝3000m

Kyoto3000t1

京都競馬場の3000mを完走するには、3コーナーの丘を2度越えなければならない。3~4コーナーの中間点にかけて急激な丘の下り坂になっているため、スピードが乗りやすく、馬が行く気になってしまわないようにゆっくりと坂を下るのが、このコースの最初のポイントとなる。

その後、スタンド前を走ることになるため、ここでも馬がエキサイトして引っ掛かってしまうことがある。馬の行く気を削ぎ、スタンドの大歓声から馬を守るためには、他馬を前か横に置くことができれば理想的である。

3コーナーからの勝負所でバテて下がってくる馬がいるため、内を進んだ馬が不利をこうむることがあることにも注意。道中は馬群が縦長になって進むことが多いため、基本的には内枠・外枠発走の差はほとんどないと考えてよい。

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菊花賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Kikka

■1■再びスタミナの裏づけが必要に
京都競馬場3000mで行われる菊花賞は、前半折り合いをつけながらゆっくりと行き、残り4ハロンからの瞬発力勝負になるレースがほとんどであった。つまり、折り合いさえついてしまえば、瞬発力のある中距離馬でも十分に対応できるレースであった。しかし、ここ最近は、その傾向に少しずつ変化が生じてきている。

過去20年間の菊花賞における、上がり3ハロンのタイムを比較してみたい。

平成8年  34秒4
平成9年  34秒4
平成10年 35秒1
平成11年 34秒2
平成12年 36秒1
平成13年 35秒3
平成14年 35秒4
平成15年 35秒8
平成16年 35秒8
平成17年 35秒7
平成18年 35秒6
平成19年 36秒2
平成20年 35秒3
平成21年 35秒8
平成22年 35秒6
平成23年 35秒1
平成24年 36秒1
平成25年 36秒1
平成26年 34秒9
平成27年 35秒4
平成28年 34秒7
平成29年 40秒0 不良馬場

平成11年までの上がりタイムを見ると、とても3000mのレースとは思えない典型的なヨーイドンの競馬であることが分かる。菊花賞を3000mで行う意義が問われ始めたのが、ちょうどこの頃。しかし、時代の流れとは不思議なもので、平成12年に開催が2週間早まったのを境として、最近は35秒台後半の上がりで決着することが常になってきている。

理由としては、道中のペースがそれほど緩まなくなってきているということ以上に、各馬の仕掛けが早くなってきていることが挙げられる。瞬発力勝負では劣るが、スタミナには自信のある遅咲きの馬たちが、春の実績馬を負かすために、一斉に仕掛け出すタイミングが早くなってきているということである。

このことによって、スタミナに不安のある馬たちの台頭は難しくなった。もちろん、この時期の京都競馬場の高速馬場や直線が平坦であることを考えると、ある程度の速い脚は要求されるだろう。しかし、実質3000mを走る上に、ペースが上がるタイミングが早くなってきている以上、スタミナの裏づけがない馬の末脚は不発に終わる可能性が高い。

■2■神戸新聞杯で切れ負けした馬
開催が2週間早まり、スタミナの裏づけが要求されるようになってからの過去10年間で、3着以内に入った馬30頭のうち20頭は神戸新聞杯組である。最大のステップレースであり、勝ち馬も8頭出ているが、なぜか神戸新聞杯→菊花賞と連勝した馬はディープインパクトとオルフェーヴル、ゴールドシップ、エピファネイアという最強クラスのみ。

これは神戸新聞杯が中距離での資質を問われるのに対し、菊花賞が長距離でのそれを問われたからである。つまり、神戸新聞杯で中距離に対する適性を見せて快勝したような馬は菊花賞で苦戦を強いられるということになる。むしろ神戸新聞杯でスピード、切れ負けしたような馬を菊花賞では狙うべきである。

たとえ神戸新聞杯の距離が400m延長されても、その傾向は変わらないだろう。神戸新聞杯は前半1000mと後半1000mの間の400mが緩むレースになり、最後の瞬発力が問われるレースになる。だからこそ、スピードを持続させるスタミナが問われる菊花賞では、むしろ神戸新聞杯でスピード、切れ負けしたような馬を狙うべきである。

■3■内枠はリスクあり
京都競馬場の3000mを完走するには、3コーナーの丘を2度越えなければならない。3~4コーナーの中間点にかけて急激な丘の下り坂になっているため、スピードが乗りやすく、馬が行く気になってしまわないようにゆっくりと坂を下るのが、このコースの最初のポイントとなる。その後、スタンド前を走ることになるため、ここでも馬がエキサイトして引っ掛かってしまうことがある。馬の行く気を削ぎ、スタンドの大歓声から馬を守るためには、他馬を前か横に置くことができれば理想的である。そういった意味では、内枠が有利ではある。

しかし、内を進む馬には大きなリスクもある。まだ競走馬として完成していない3歳馬同士のレースであることや、クラシック最後の一戦であることも手伝って、3000mの距離を最後まで完走できない馬が出てくる。その勝負にならなかった馬たちが、急激にペースが上がる2度目の坂越えの時点でバテて下がってくるのである。ズルズルと下がってくる馬たちを上手く捌ければ問題ないのだが、もし上がって行かなければならないタイミングで前が壁になってしまうような事態に陥れば致命傷となるのだ。

過去にもゼンノロブロイやロックドゥカンブといった人気馬たちが、バテて下がってくる馬を捌き切れずに、スパートのタイミングを逸して負けてしまったことは記憶に新しい。ペリエ騎手は菊花賞であれほどバテた馬が下がってくることを知らず、あの位置にいたことを相当に悔いたらしい。柴山騎手はスタートで出負けして後方のインに閉じ込められ、簡単にG1レースを勝たせてはもらえないことを実感したはずである。つまり、ジョッキーとしては2周目の3コーナー手前までには外に出しておきたいレースなのである。

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3冠の中で最も苦しいレース


秋華賞2018―観戦記―
外枠からミッキーチャームが思い切って先頭を奪い、前半1000mが59秒6、後半1000mが58秒9というスローペースで流れた。2番手以降が離れて、隊列が縦長になったことを考慮すると、後続集団は超がつくスローペースと解釈してよい。結果的にも逃げた馬が残り、2、3番手の内を走った馬が掲示板を占めたように、典型的なスローペースの競馬であった。そのレースを後方の外から楽々と交わし去った勝ち馬は圧倒的に強く、その後ろから差してきた3着馬も敗れはしたものの力のあるところを示してみせた。

3冠馬となったアーモンドアイにとって、今回の秋華賞が最も苦しいレースであったはず。休み明けということで、馬自身に気負いが感じられ、スタートでは出負けして後方からのレースとなった。しかもレースが超スローに流れているのにもかかわらず、他馬はアーモンドアイを気にしたのか、金縛りにあったように動くことができずにいた。普通の馬であれば、最終コーナー手前で万事休すの展開であった。そこを捲りきったのだから、レース後に反動が出るのが心配されるほどの負担の掛かる勝ち方であった。次走については、レース後の反動を見極めつつ選ばないと、思わぬ凡走を喫してしまうかもしれない。

クリストフ・ルメール騎手にとっても、ヒヤヒヤものの勝利であったに違いない。ゲートではガタガタして好スタートを切ることができず、想定していたよりも後方からのポジションを強いられ、勝負どころを迎えても誰も動かない。しかし、最悪のシナリオであったにもかかわらず、慌ててゴーサインを出すのではなく、ひと呼吸置いて、なるべく外を回らないで済むような形でコーナーを回らせた。直線に向いて、グッと伸びたところで安堵したことだろう。エンジンがかかってからは、ほとんどノーステッキで(右によれそうになったのを修正したのみ)ゴールまで駆けさせた。これだけの能力があって人気にも推される馬の鞍上は冷静なヘッドワークを誇るルメール騎手が相応しい。

逃げ粘ったミッキーチャームは、思い切った競馬をしたことが功を奏した。自分のペースと型に持ち込むことができ、素質の高さを十分に発揮してみせた。3連勝の勢いをそのままに、人気を背負っていない分の気負いのなさを生かしての好走であった。対して、3着に入ったカンタービレは序盤にポジションを下げてしまったことが、最後まで響いてしまい、実にもったいない競馬になってしまった。武豊騎手はあのような場面で手綱を引いてしまう(長く持っているので細かくコントロールできない)からポジションを悪くしてしまう。2着馬と3着馬の差は、騎手の思い切りの良さと騎乗スタイルが現代の日本競馬に合っているかどうかによって生じたと言っても過言ではない。

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毛艶から夏の過ごし方が伝わってくる

Jiromaru

僕が競馬を始めた頃、週刊誌や新聞にしか載っていない有力馬の情報を、目を皿のようにして、穴が開くほど見ていた記憶があります。特に有力馬が夏休みに入ってしまうと、途端に情報が少なくなり、あの馬は今のような気持ちになることも少なくありません。そんな時、「優駿」や「週刊Gallop」、「競馬ブック」などに有力馬の夏休み企画などが載ると、あの馬は順調に来ているらしい、あの馬は調整が少し遅れているのでぶっつけ本番になるらしい、といった貴重な情報に食いつくようにして読んでいました。それほどに、一流馬がG1レースで走る姿を心待ちにしていたのです。

今はインターネット上に情報があふれており、G1ホースたちの夏休み企画にもざっと目を通す程度になってしまいました。そんな心境にもかかわらず、「週刊Gallop」8月5日号の表紙を飾ったアーモンドアイの姿を見たとき、ふとあの頃の熱狂が蘇ってきたのです。アーモンドアイの瞳はきらきらと輝いて、柔和な顔つきからは気持ちにゆとりがあることが伝わってきました。そして、あまりの毛艶の美しさに、まじまじと見とれてしまったのです。順調に夏を過ごせたことが手に取るように分かり、秋初戦と言われている秋華賞での走りが楽しみで仕方なく思いました。

岡田スタッドの岡田牧雄さんと、サラブレッドの毛艶について、こんな会話をしたことがあります。

岡田 皮膚の厚い馬は(特に夏場の)パドックなどではビカビカに光り、たとえばジェンティルドンナやブエナビスタのような皮膚の薄い(繊細な)馬は、(特に冬場になると)馬体がくすんで映ります。ハイビジョンになってからはテレビで見ても分かるようになってきましたね。競馬ファンの皆さまも、一生懸命に見たら分かると思いますよ。

治郎丸
ピカピカに光っている馬の方が皮膚は柔らかそうですが、そうではないのですね。繊細な毛の馬は光を反射するのではなく吸収してしまうから、しっとりとくすんで映ってしまうのでしょうか。毛艶と皮膚の薄さの関係性について、僕は逆に考えていましたので、とても勉強になりました。

夏を順調に過ごしたアーモンドアイの毛艶のどこが素晴らしいのか、言葉で表現するのは意外に難しいです。ピカピカというよりは、しっとりしているように映ります。光を反射する毛艶の良さというよりは、光を吸収して吸い込んでしまうようなそれ。筋肉の柔らかみが皮膚の柔らかみとつながり、それが毛艶を通して表現されている。大げさかもしれませんが、ほんとに美しい毛並みでした。その後も、夏休み中や美浦トレセンに戻ってきて、秋のレースに向けて調整を重ねるアーモンドアイの写真を見るたびに、美しい毛艶は相かわらずで、順調に来ていることが伝わってきます。毛艶は語るのですね。

アーモンドアイにとって、春シーズンの疲れも癒え、休み明けとしてはこれ以上ない完璧な仕上げによる秋初戦となりそうです。本番前にひと叩きされ、体調がアップして臨んでくる他の有力馬もたくさんいると思いますが、それでもアーモンドアイが順調に来ている以上はこの馬以外に本命は打てません。ロードカナロア産駒の夏を越しての成長は試金石ではありますが、たとえ成長力に乏しいとしても、春は圧倒的な力差を誇ったアーモンドアイに他の3歳牝馬が勝つのは至難の業でしょうか。馬券的には面白みに欠けることは百も承知で、今回は大人しく単勝馬券を片手にアーモンドアイの3冠を応援したいと思います。

Shukasyo2018wt


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京都芝2000m

Kyoto2000t

スタンド前の直線の半ばからスタートして、1コーナーまでの距離が最長のAコースでも308.7mとなる。スタートしてから1コーナー、そして1コーナーから2コーナーまでの距離が短いことによって、フルゲートにもなると先行ポジション争いは自然と激しくなる。

しかし、京都2000m内回りコースは「先行ポジション争い激化」という定説がすでに浸透してしまっている今、それゆえの盲点もまたある。つまり、これだけ「先行争い激化」のイメージが先行してしまうと、もちろんジョッキーたちもそれを意識するわけで、1コーナーまでのポジション争いには巻き込まれたくないという意識(または無意識)が働く。その結果、1コーナーから2コーナーにかけて、ゆっくりと安全に回ろうという騎手の総意が“お見合い”を生み、かえってスローペースを形成してしまうこともあるということだ。

また、3コーナーから下りが続くこと、直線が平坦なことによって、ラスト800mの時計は驚くほど速く、前に行っている馬は簡単には止まらない。そして、直線が短いことを含めて、騎手に先行馬有利という意識が強く働くため、3コーナーからすでに各馬の動きが激しくなり、展開を大きく左右することになる。後続の仕掛けどころが遅れると前がそのまま残り、後続が早く仕掛けすぎると前崩れが起きるという現象が起こる。

このように、「1コーナーまでの先行争い」、そして「3コーナーからの仕掛けどころ」という2点において、レース自体の展開におけるアップダウン(緩急)が非常に激しくなってしまうのだ。そして、そのアップダウンが逃げ馬・先行馬に有利になるのか、それとも差し・追い込み馬にとって有利になるのかは、実際のところ走ってみないと分からない。各馬のほんのわずかな動きがペースを大きく左右する、極めて敏感なコースなのである。これが京都2000m内回りコースの真実だろう。

さらに、勝負所である3コーナー入口と4コーナーが狭くなっているため、馬が密集しやすいという特徴もある。この地点でゴチャついて不利を被ってしまった馬は、直線の短さを考えると、余程力が抜けていない限り挽回することは難しい。

だからこそ、強い馬が力を発揮することなくレースが終わってしまうような展開になることも少なくない。騎手の間では、「1番人気の馬に乗っては臨みたくないコース」とされている。レースに行ってからの各馬の出方が展開に大きな影響を与えるため、レース前にどのような展開になるのかも予測しづらいのだ。そのレースごとに極端なハイペースになったり、極端なスローペースになったりするのである。騎乗するジョッキーだけではなく、予想をする私たちにとっても、非常に難解なコースと言える。

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秋華賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Syuka

■1■ジョッキーの腕が大きく結果を左右する
京都の芝2000m(内回り)に変更された年以降、過去15年間の前半5Fと後半5Fのラップを比較してみたい。前傾ペースとは前半のラップの方が速く、後傾ペースとは後半のラップの方が速いレースのことを示す。

平成13年 58.4-60.1 →前傾ペース
平成14年 59.0-59.1 →平均ペース
平成15年 59.8-59.3 →平均ペース
平成16年 59.9-58.5 →後傾ペース
平成17年 60.1-59.1 →後傾ペース
平成18年 58.4-59.8 →前傾ペース
平成19年 59.2-59.9 →平均ペース
平成20年 58.6-59.8 →前傾ペース
平成21年 58.0-60.2 →前傾ペース
平成22年 58.5-59.9 →前傾ペース
平成23年 58.3-59.9 →前傾ペース
平成24年 62.2-58.2 →後傾ペース
平成25年 58.9-59.7 →前傾ペース
平成26年 58.0-59.0 →前傾ペース
平成27年 57.4-59.5 →前傾ペース
平成28年 59.9-58.7 →後傾ペース
平成29年 59.1-61.1 →前傾ペース

ここ数年は前傾ペースに流れているが、平成24年と28年は一転して後傾ペース。それ以前はランダムなペースになっていることが分かる。開幕2週目の絶好の馬場と短い直線を考慮に入れると、基本的には先行馬にとっては非常に有利に働くコースである。しかし、逆にそのことを意識しすぎると、各馬の仕掛けが早くなり、極端なハイペースが創出されることになる。

また、道中のペースの緩急も激しく移り変わる。たとえば2007年の秋華賞では、道中(6ハロン目)でなんと13秒台のラップが刻まれた。スタートから2ハロン目はそれ以前の5年間で最速なだけに、ペースが速いと思わせておいて、急激に遅くなるというアップダウンの激しいレースであった。

2007年 ダイワスカーレット
12.3 - 10.4 - 11.5 - 12.2 - 12.8 - 13.6 - 12.4 -11.3 - 11.1 - 11.5

わずかな展開の綾によって、ペースの緩急が激しく移り変わり、前に行った馬に有利な流れになったり、一転して差し脚が生きる展開になったりする。こういうレースでは、馬をコントロールする技術やペース判断に長けたジョッキーの腕が大きく結果を左右することになる。レースの位置取りや道中での駆け引きなどを含め、騎手が占めるウエイトは大きいのだ。

■2■スピードの持続が求められる
この秋華賞でサンデーサイレンス産駒が苦戦を強いられたのは有名な話である。過去に行われた秋華賞に60頭のサンデーサイレンス産駒が出走して、2003年のワンツーフィニッシュと2005年にエアメサイアの勝利があるが、ほとんどの馬は4着以下に沈んでいる。1番人気に推されたトゥザビクトリーやダンスインザムードというビッグネームすらも惨敗しているのが、この秋華賞である。2006年も1番人気に推されたアドマイヤキッスが4着と凡走した。

【2・2・1・55】 連対率6%

この数字は、サンデーサイレンス産駒の秋華賞における成績である。サンデーサイレンス産駒の秋華賞での連対率は6%という極めて低い数値を示す。他のG1レースと比較してみても、10%を切るのはNHKマイルカップぐらいで、それ以外のG1レースではほとんど20%以上の連対率となる。たとえば、同じ牝馬限定G1レースであるエリザベス女王杯の31%と比べると、サンデーサイレンス産駒の秋華賞での不振は明らかになる。

サンデーサイレンス産駒がこのレースを苦手とした理由はただひとつ。小回りのゴチャつきやすいコースで、スピードの持続が極限まで求められるレースになりやすいからである。サンデーサイレンス産駒は、ゆっくり行って終いを伸ばすレースには滅法強いのだが、スタートからゴールまで速いラップを刻み続けなければならないレースを苦手としたからだ。つまり、秋華賞は瞬発力ではなく、地脚の強さで勝負する馬にとって有利なレースである。

■3■4つコーナーでも外枠有利
過去10年の秋華賞は全てフルゲートで行われたが、内外に分けた枠順別の勝率、連対率は次頁のとおり。

1~4枠 【5・4・6・74】 勝率6% 連対率10%
5~8枠 【5・6・4・65】 勝率6% 連対率14%

4つコーナーの小回りコースである以上、内枠有利が基本と考えてよいが、勝率、連対率共にほぼ同じという結果が出ている。ペースによっても内枠・外枠の有利不利は違ってくるので一概には言えないが、京都芝2000m(内回り)コースはゴチャつきやすいこともあり、距離ロスがあっても、外をスムーズに回した方がレースをしやすいということだろう。

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他流試合は自分のルールでやった者の勝ち


凱旋門賞2018―観戦記―
日本馬はクリンチャー1頭のみ参戦となった今年の凱旋門賞。オブライエン厩舎のペースメーカーであるネルソンが先頭に立ち、クリンチャーは内の2番手、その外を昨年の覇者エネイブルという隊列で進んだ。例年どおりのスローペースに流れ、道中は各馬折り合いに専念して脚をため、最後の直線に向いての攻防は迫力満点であった。その中でも、終始抑え切れない抜群の手応えで進み、早めに抜け出したエネイブルは力が一枚上であった。

凱旋門賞連覇となったエネイブルは、昨年の凱旋門賞以来、9月に行われたセプテンバーSを1戦使われたのみでの出走であった。ヒザの故障や勝負勘が戻るかという心配をよそに、他の18頭を正面から受けて立ち、まったく危なげない内容で勝利してみせた。これで10戦9勝、眩いばかりの戦績を。祖父のガリレオの生き写しのようであり、牝馬とは思えない非の打ち所のない理想的な馬体を誇っている。このような名馬が数年に1度、誕生するのだから、さすが欧州の競馬は奥が深い。ラフランコ・デットーリ騎手も、自信を持って騎乗していた。人馬共に、勝つべくして勝ったレースである。

2、3着にはシーザスターズ産駒のシーオブグラスとクロスオブスターズが入った。特に、2着に入った愛オークス馬のシーオブグラスの最後の直線での伸び脚は際立っていた。もう少し前の隊列でレースを進められていれば、あっと言わせたかもしれない。シーザスターズは私がこれまで観てきた中でも、最強の中の最強の凱旋門賞馬であると評価しているだけに、その産駒が血を見事に受け継いで走っていることが嬉しい。シーザスターズは意外にもコロンとしえ映る馬体であり、フットワークの大きさよりも、パワーと心肺機能が極めて優れていたのであろう。

クリンチャーは完璧なレース運びであったが、最後の直線に向いてズルズルと失速してしまった。伸び切れないでもなく、届かないのでもなく、馬の脚がなくなって止まってしまったという表現が相応しい。雨が降って馬場が悪くなっていたら、もっとスタミナが要求されて脚が上がってしまっていただろう。一昨年のマカヒキや昨年のサトノダイヤモンドが完全に馬が止まってしまった姿を見ても、いかに日本の競馬と凱旋門賞で問われている資質が異なるかが分かる。

格闘技で言うならば、その違いは立ち技とMMA(総合格闘技)のそれと同じだろうか。先日、行われたRIZIN13の那須川天心と堀口恭二の試合を青木真也が占って、「他流試合は自分のルールでやった者の勝ち。ワンサイドで那須川天心が勝つ」と予想していたのが印象的であった。ワンサイドにこそならなかったが、結果的には那須川天心の勝利に終わった。同じ格闘技であり、一見通用して(好勝負して)しまいそうに思えるが、実は目に見えない高い壁が横たわっている。つまり、相手の土俵でいきなりは勝負にはならず、堀口恭二が立ち技ルールで勝つためには、かなりの年月を立ち技のトレーニングに費やし、立ち技の試合を段階的に数試合行い、完全に自分自身をつくりかえる必要があるのだ。同じことは競馬にも当てはまる。それは逆でも同じことで、那須川天心が総合ルールで堀口恭二に勝つためにはそうしなければならないし、エネイブルがジャパンカップを勝つためにもそうしなければならないのである。

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シンボリクリスエス産駒の弱点と強み

Jiromaru

「たとえば、象が空を飛んでいるといっても、ひとは信じてくれないだろう。しかし、四千二百五十七頭の象が空を飛んでいるといえば、信じてもらえるかもしれない」

と作家ガルシア・マルケスは語りました。

同じことが、天皇賞秋のシンボリクリスエスにもいえます。たとえば、馬が空を飛んだといっても、ひとは信じてくれないでしょう。しかし、シンボリクリスエスが空を飛んだといえば、信じてもらえるかもしれません。実際に生でこのレースを観た方ならば、間違いなく信じてもらえるはずです。

2003年天皇賞秋、史上初の天皇賞秋連覇となったシンボリクリスエスは、中間に強い調教を課せられていたにもかかわらず10kgも馬体重を増やしていたように、前年の良かった頃の調子を完全に取り戻していました。僕が単勝馬券を握りしめていたローエングリンが、前半1000mが56秒9(スプリント戦並みのハイラップ!)という絶望的なハイペースで飛ばしたことによって、シンボリクリスエスは外々を回されるロスもなく、広々とした東京コースを大きなフットワークで走り、最後の直線を滑走路にして、飛んだのです!

その瞬間、僕は思わずアッと声を上げてしまいました。それぐらい、シンボリクリスエスの伸び脚は際立っていました。一完歩の長さは他馬のそれよりも長く、4本の脚全てが地面から離れている滞空時間も長かった。シンボリクリスエスが遠くへ高く飛んでいる間に、他馬は一瞬のうちに置き去りにされ、周りの風景もあっという間に通り過ぎていきました。だからこそ、私たちの目にはシンボリクリスエスが飛んでいるように映ったのです。いや、厳密にいうと、シンボリクリスエスは空を飛んでいたのだ。ノンフィクションのようでフィクションで、フィクションのようでノンフィクションである競馬の魅力を体現してくれた馬でした。

当然のことながら、大いなる期待を背負って種牡馬入りしましたが、産駒は気性が激しい馬が多く、それがレースに行っての前向きさに変われば走りますが、そうならない馬は大きな活躍をできないままターフを去ることになりました。エピファネイア、ストロングリターン、サクセスブロッケン、サンカルロなど、シンボリクリスエス産駒の活躍馬を上から並べて行くと分かるように、ほとんどが牡馬で占められています。牝馬の場合は、気性の激しさや難しさがカイ葉食いの悪さやレースに行って気持ちをコントロールできないことに直結してしまうのでしょう。

シンボリクリスエス産駒に気性が激しい馬が多い理由としては、様々な意見があると思いますが、僕はサンデーレイレンスの肌馬を中心として配合されたからだと考えています。つまり、サンデーサイレンスの気性の激しさが、そのまま産駒に伝わっているケースが多いということです。大きな期待をかけられ、サンデーサイレンスを父に持つ良血馬に配合されたのは良かったものの、残念なことにサンデーサイレンスの気性の激しさが伝わってしまい、せっかくの競走能力や馬体の良さを生かせずに終わってしまった馬が多かったということになります。

今週の京都大賞典に出走するレッドジェノヴァは、父シンボリクリスエスを彷彿させる馬体を有しています。見栄えする黒鹿毛の毛艶も光り輝いて、父よりも手脚の長さはありませんが、胴部や首はスラリと長く、大きな骨格に支えられた美しいシルエットの馬体です。特に胸前の筋肉のつき方は素晴らしいですね。他の有力馬が休み明けで8分程度の仕上がりであるのに対し、レッドジェノヴァの臨戦態勢の良さは目立ちます。表情(顔つき)も実に聡明であり、耳も大きく真っ直ぐ前を向いており、人間に対する信頼感を物語っています。

レッドジェノヴァは気性的には前向きな部分はありますが、コントロールできないほどではなく、前進気勢を保ちながらレースの流れに乗ることができます。シンボリクリスエス産駒の牝馬ではありますが、サンデーサイレンスの血が3代前となり、薄まっているからかもしれませんね。内枠を引いて馬群の内で脚をためて先行できれば、父シンボリクリスエスが2003年の天皇賞秋で僕たちをそうさせたように、アッと言わせる大金星を挙げることを期待しても良いのではないでしょうか。

Kyotodaishoten2018wt


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毎日王冠を当てるために知っておくべき3つのこと

Mainitioukann

■1■とにかく逃げ・先行有利
府中の1800展開いらず、どんな展開になっても強い馬が勝つという意味の格言だが、開幕週に限っては当てはまらない。この時期の東京競馬場は、夏の間に十分根を張った軽いオーバーシード芝となる。洋芝はまだ芽が出かけた程度で、ほぼ野芝100%の極めて軽い馬場であるため、前に行った馬が簡単には止まらない。たとえかなりのハイペースになったとしても、とにかく逃げ・先行馬に有利なレースとなる。

■2■前走がG1、もしくは重賞勝利馬
過去10年間の、前走をクラス別で分けると以下のとおり。
G1    【4・7・3・40】
G2    【2・1・2・11】
G3    【3・2・4・36】
OP以下 【1・0・1・10】

過去10年の連対馬中で、11頭が休み明けの前走G1組、その他8頭はG2、G3をステップとしている。休み明けにもかかわらず、前走G1組が勝利しているように、この時期になると夏を使ってきた馬よりも実績のある実力馬にとって有利なレースとなる。前走がG1組であれば着順は関係ないが、G2、G3もしくはOP以下のレースをステップとしてきた馬は、前走勝って臨んできている上り馬であることが必須条件となる。

■3■5歳馬中心も3歳馬には注目
世代別の成績は以下の通り。
3歳馬【2・3・0・9】 連対率36%
4歳馬【3・3・3・179】 連対率21%
5歳馬【3・2・2・27】 連対率15%
6歳馬【1・2・2・18】 連対率13%
7歳馬以上【1・0・3・24】 連対率4%

連対率こそ変わらないが、勝ち馬、連対馬共に、夏を越して本格化した5歳馬の活躍が目立つ。秋の中距離G1シリーズに向けてキーとなるステップレースである以上、ひと夏を越しての成長が見込まれる馬を探すべきレースである。

また、3歳馬の連対率が46%と圧倒的に高い。出走頭数こそ少ないが、この時期に古馬にぶつけてくるような素質を見込まれた3歳馬が出走してきたら、かなりの確率で好勝負になるということである。

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世界へ


スプリンターズS2018―観戦記―
台風を控えた雨が降りしきる中、やや重馬場にてスタートが切られた。内枠を利してワンスインナムーンが先頭に立ち、好スタートを決めたナックビーナスとラブカンプーが続く。前半600mが33秒0、後半600mが35秒3という、やや上りが掛かる馬場を差し引くと、このメンバーとしては平均ペースに流れた。前に行った馬も止まりにくい馬場であり、その状況の中、ゴール前で計ったように全馬を差し切った勝ち馬は、力が一枚上であった。

ファインニードルは、高松宮記念に続く春秋スプリントG1連覇となった。スピードとパワー、そして追われてから前の馬を捕らえようとする闘争心がこの馬の強さを支えている。5、6分の仕上がりで快勝した前走からの反動だけが心配であったが、まったくの杞憂に終わった。香港のチェアマンズスプリントは4着と惜敗してしまったが、もう1度、暮れの香港スプリントに出走し、世界へと挑戦してもらいたい。もう日本国内のスプリント戦には敵がいない。

川田将雅騎手は落ち着いて騎乗し、何とかファインニードルを勝利に導いた。スタートから最終コーナーを回るまで、決して走りたいポジションを走ったわけではなく、むしろ高松宮記念よりも道中は苦しい流れになったはず。それでもジタバタすることなく、最善手を選び、最後の直線まで極力マイナスを大きくしないように心掛けていた。貯金はできていないが、借金も最小限に抑えるイメージ。さすが外国人ジョッキー2人に続いて、連対率0.359(9月30日時点)という高さと安定感を誇る日本のトップジョッキーである。

2着に敗れたラブカンプーは、天性のスピードと前向きさで馬体の小ささを見事にカバーしている。今回のゴール前もそうだが、片方の耳が後ろに絞られていないように、意識の半分は後ろから迫りくる勝ち馬を気にしつつ、もう半分は力まず最後までリラックスして走れているのだ。もうひと踏ん張りさせるために、できるだけ最後まで馬を両側に置いて気を抜かせないような工夫が必要かもしれない。それにしても、3歳牝馬の身でアッと言わせてしまうのだから、この先、馬体がさらに大きく成長していけば、G1レースを勝ち切れる資質の高さは備えている。

ラインスピリットはスタートから最後の直線に向くまで、馬自身もジョッキーも絵に描いたような完璧なレースをすることができたが、前が開きそうで開かず、やや脚を余してしまった。もし前が壁にならず、1頭分のスペースが開いていたとしたら、2着にラブカンプーは交わしていただろうし、ファインニードルともかなり際どい勝負になったのではないか。関係者にとっては驚くほどの激走であり、それゆえ悔やみきれないほどの口惜しさであろう。

ダイメイプリンセスは重い馬場が合わなかったというよりも、体調がピークを過ぎていて、いつもの行きっぷりの良さに欠けていた。終始ポジションが悪く、勝ち負けには加われなかった。ナックビーナスは力の要る馬場は得意なはずだが、長い首を低く使って走る馬だけに、上滑りするような馬場ではバランスを崩してしまったのかもしれない。

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