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3冠の中で最も苦しいレース


秋華賞2018―観戦記―
外枠からミッキーチャームが思い切って先頭を奪い、前半1000mが59秒6、後半1000mが58秒9というスローペースで流れた。2番手以降が離れて、隊列が縦長になったことを考慮すると、後続集団は超がつくスローペースと解釈してよい。結果的にも逃げた馬が残り、2、3番手の内を走った馬が掲示板を占めたように、典型的なスローペースの競馬であった。そのレースを後方の外から楽々と交わし去った勝ち馬は圧倒的に強く、その後ろから差してきた3着馬も敗れはしたものの力のあるところを示してみせた。

3冠馬となったアーモンドアイにとって、今回の秋華賞が最も苦しいレースであったはず。休み明けということで、馬自身に気負いが感じられ、スタートでは出負けして後方からのレースとなった。しかもレースが超スローに流れているのにもかかわらず、他馬はアーモンドアイを気にしたのか、金縛りにあったように動くことができずにいた。普通の馬であれば、最終コーナー手前で万事休すの展開であった。そこを捲りきったのだから、レース後に反動が出るのが心配されるほどの負担の掛かる勝ち方であった。次走については、レース後の反動を見極めつつ選ばないと、思わぬ凡走を喫してしまうかもしれない。

クリストフ・ルメール騎手にとっても、ヒヤヒヤものの勝利であったに違いない。ゲートではガタガタして好スタートを切ることができず、想定していたよりも後方からのポジションを強いられ、勝負どころを迎えても誰も動かない。しかし、最悪のシナリオであったにもかかわらず、慌ててゴーサインを出すのではなく、ひと呼吸置いて、なるべく外を回らないで済むような形でコーナーを回らせた。直線に向いて、グッと伸びたところで安堵したことだろう。エンジンがかかってからは、ほとんどノーステッキで(右によれそうになったのを修正したのみ)ゴールまで駆けさせた。これだけの能力があって人気にも推される馬の鞍上は冷静なヘッドワークを誇るルメール騎手が相応しい。

逃げ粘ったミッキーチャームは、思い切った競馬をしたことが功を奏した。自分のペースと型に持ち込むことができ、素質の高さを十分に発揮してみせた。3連勝の勢いをそのままに、人気を背負っていない分の気負いのなさを生かしての好走であった。対して、3着に入ったカンタービレは序盤にポジションを下げてしまったことが、最後まで響いてしまい、実にもったいない競馬になってしまった。武豊騎手はあのような場面で手綱を引いてしまう(長く持っているので細かくコントロールできない)からポジションを悪くしてしまう。2着馬と3着馬の差は、騎手の思い切りの良さと騎乗スタイルが現代の日本競馬に合っているかどうかによって生じたと言っても過言ではない。

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