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騎手が違えば、結果も違う


エリザベス女王杯2018―観戦記―
昨年のリプレイのようにクロコスミアが先頭に立ち、前半1000mが61秒4、後半1000mが59秒2という超スローペースをつくりだした。道中で脚をしっかりとためられた馬や前目のポジションを走れた馬にとって有利であり、後ろから行き過ぎては勝負にならないレースとなった。分かっていても後ろから行って同じように負けてしまう日本人騎手と分かっているから積極的にポジションを取りに行く外国人ジョッキーとの差は、最後の着順という形で如実に現れることになる。もし仮に騎乗馬に明らかな力差があるとすれば、その差を少しでも縮めるために日本人騎手こそが動かなければならないはずである。

リスグラシューはようやくG1のタイトルを手にすることができた。マジックマンの手を借りてというありがちな勝利ではあるが、リスグラシュー自身の成長も大きい。特に昨年のエリザベス女王杯から今年にかけての馬体の成長が著しい。馬体重にしておよそ20kg。これまで惜しくも届かないレースが続いていたが、今回は最後の直線で1頭だけ異次元の伸びを見せた。本来はこれぐらい中団から追走しても、末脚の破壊力は鈍らない馬なのであろう。

ジョアン・モレイラ騎手は日本で初めてのG1レース制覇となった。これほどのジョッキーであっても、異国での初G1勝利は嬉しいものに違いない。リスグラシューの背に張りつくようにして乗り、道中は馬群の真ん中で我慢を重ね、他の有力馬が先に動いても気にすることなく脚をためることに専念していた。その結果として、1頭だけ3ハロン33秒台の末脚を繰り出すことになり、リスグラシューの良さを生かし切る見事な騎乗であった。たまたまリスグラシューが充実してきたときにモレイラ騎手が乗ったと考えるか、それともモレイラ騎手が充実してきたリスグラシューの力を出し切ったと見るかはあなた次第である。

クロコスミアは無心で乗られたことで、シンプルに自身の力を発揮することができた。距離も2200mぐらいある方が良く、最後の直線が平坦なのも合っている。全ての条件が重なるのがエリザベス女王杯ということだ。1番人気のモズカッチャンは内の3番手を進み、昨年の再現をするかと思わせる騎乗であった。それでも伸び切れなかったのは、この馬自身がやや調子を落としていているからであろう。馬体は充実してきているが、その分、脚元に不安があるのではないだろうか。

レッドジェノヴァはスタートしてから第1コーナーのところで、外から発送したモズカッチャンに前に入られてしまったことが痛かった。ひとつ前にいれば、もう少し早目から動くことができたはずだが、結果的に最後の直線に向いてから追い出す形となり、上位の馬たちに切れ負けしてしまった。瞬発力よりもスタミナ型の馬だけに、もう少し早目に動きたかったはず。序盤のスタミナロスを避けたい気持ちは分かるが、明確な意思を持ってポジションを取りにいかなければ、外国人ジョッキーたちに先を越されてしまうのである。

ノームコアは人気になりすぎていた。紫苑ステークスを勝ったばかりの馬がG1初挑戦でいきなり古馬に勝てるわけがない。クリストフ・ルメール騎手が乗っていたことも過剰人気の要因のひとつだが、さすがに相手が強すぎた。この先、少しずつ強くなりそうな馬だが、現時点での5着は褒められるべきである。ルメール騎手も5週連続G1制覇とならなかったのは残念だが、この馬の力は出し切っている。


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