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勝ちポジが最大の勝因


マイルCS2018―観戦記―
内からアルアイン、ロジクライが押し出されるようにして先頭に立つかと思いきや、外からこちらも押し出されるようにしてアエロリットがハナを切る形で、まるで中距離戦のようにゆったりとした序盤でレースは始まった。それは最後の直線に向くまで変わることなく、レースが終わってみれば、前半マイルが47秒1、後半マイルが46秒2という、G1のマイル戦としては考えられないほどのスローペース。1、2、3番の馬が1、2、3着したように、内が伸びる馬場であったこと以上に、馬群の内で脚をためた馬が極めて有利になる展開であった。

勝ったステルヴィオは、スローペースの内の2、3番手という基本の勝ちポジ(勝つためのポジション)を走ったことが最大の勝因である。一列後ろのポジションであれば、ひとつ着順が下がるという繊細なポジション争いを制したのも、1番枠を引いたことが全て。この馬自身、マイラーとしての資質が高く、夏を越して古馬にも通用する成長を遂げたこともあるが、今回は展開とポジションに恵まれての勝利であることは間違いない。ロードカナロア産駒の成長力を裏付ける勝利と言うには、やや物足りなさの残るレースレベルであった。

ウイリアム・ビュイック騎手は大仕事をやってのけた。スタートしてから普通に馬を出して、ステルヴィオのペースで走らせ、直線に向いて追い出したら勝ってしまった、と言えばその通り。陣営からは抑えて後ろから差し脚を生かすという指示が出ていたが、スタートしてから変に抑える必要がないと判断して、素直に行かせたことが吉と出た。一瞬の判断の良さではあるが、簡単なようで簡単ではない。自信と経験がそうさせたとも言えるし、また海外の競馬場で無心に乗ったことがそうさせた面もあるのではないか。

昨年の覇者であるペルシアンナイトは、もうひとつ前のポジションであったならというところだろう。ひとつ枠番が違うだけで、全てが勝ち馬の後手に回ってしまい、最終的にも頭ひとつ競り負けてしまったのだから、競馬における枠順の差は大きい。レースの綾を抜きにすれば、ペルシアンナイト自身は力を出し切っているし、ミルコ・デムーロ騎手としても完璧な立ち回りをしている。同じことはアルアインにも言えるが、この馬にとっては瞬発力勝負になってしまい、生粋のマイラーに切れ負けしてしまった。

この展開の中、後方から差して差を詰めたカツジとミッキーグローリーの兄弟は、揃って切れ味があることを証明した。もう少し前目のポジションを楽に走られるようになれば、持ち前の瞬発力がさらに生きるはず。今回のようなレースで後方から行けば、どれだけ走っても、掲示板に載るまでがやっとである。

1番人気に推されたモズアスコットは見せ場なく大敗を喫してしまった。前進気勢に欠けるところを見せ、走ったポジションも悪く、最終コーナーでは他馬と接触するシーンもあり、最後まで脚を使うことができなかった。安田記念までタイトなローテーションで使われてきたことの反動が出ている面もあるかもしれない。牝馬ながらも2番人気に推されたアエロリットも馬群に沈んだ。切れ負けしてしまったというよりは、この馬自身が自分の脚を使えておらず、長距離輸送がこたえたのか、精神的にムラがあるところが出てしまった。

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