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朝日杯フューチュリティSを当てるために知っておくべき3つのこと

Asahihaifs

■1■絶対的能力と完成度が問われる
傾向としては1番人気、2番人気が強く、過去10年間で1番人気【4・2・1・3】、2番人気【2・1・2・5】という成績である。どちらも連対率6~3割と高い。かつては人気馬が好走することで有名であったマイルチャンピオンシップよりも高い数字である。理由としては、かなり速い時計での決着となるため、実力の有無がはっきりと出てしまうことが考えられる。さらに2014年からは、トリッキーな中山競馬場のマイル戦から阪神競馬場に舞台を移し、この傾向には拍車がかかっている。

また、過去10年の勝ち馬を見ると、すべての馬が前走1着していることが分かる。これは現時点での絶対的な能力や完成度が問われるレースになることを示している。重賞ならば最低でも3着以内に好走していること、もちろん条件戦で負けているようでは×。

■2■生粋の逃げ馬は通用しない
ここまで逃げて勝ってきた馬がまったく通用していないことにも注目したい。中山1600mのコース形態上、2コーナーまでの位置取り争いが激化するため、ほぼ毎年、前に行った馬には厳しいペースとなる。さらに、最後の直線に急坂があることによって、スピードだけで押し切るのは難しい。この傾向も舞台が阪神1600mに変わっても同じ。中山競馬場で行われていたときよりも、長く良い脚を使えるかどうか、末脚の確実さが問われる。

このレースを逃げ切ったのはゴスホークケンだけ。そもそも、この年はペースがそれほど速くはなかったし、ゴスホークケンはその前走で抑える競馬をしていた。つまり、スピードを武器にした一本調子の馬ではなく、抑えが利いて、終いの脚を生かすような競馬ができる馬でないとこのレースは勝てないということだ。

■3■クラシックへつながるレースへ
このレースはペースが速くなることが多く、スピードこそ絶対だが、スタミナもないと勝ち切ることはできない。そのため、1600m以上の距離のレースを経験していることはほぼ必須条件になってくる。特に、阪神に舞台が変わる以上、中距離をこなせるぐらいのスタミナは必要であり、このレースを勝ち馬が来年のクラシックにおいて有力になってくるはず。そういう意味では、中山競馬場で行われていたときとは一線を画するレースであり、クラシックへつながる未来を見据えて馬券も買うべきだろう。


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この時期の牝馬にとっては


阪神ジュベナイルフィリーズ2018―観戦記―
2番人気のクロノジェネシスが出遅れ、1番人気のダノンファンタジーも抑えて後方から進み、スタンドがやや騒然とする中、前半800mは47秒0、後半は47秒1というフラットなペースで流れた。最後の直線の長さを考えると、どのポジションで走った馬にとっても有利不利のない展開となり、その分、馬群から離れてストレスなく走った2頭での決着となった。2歳牝馬にとっては、多少の距離ロスがあったとしても、馬群の中で気を遣って走るよりも、伸び伸びと外を回った方が良い結果が出ることが多いのだ。

勝ったダノンファンタジーは、2着馬とは半馬身差ではあったが、どこまで行っても抜かされないだけの手応えが残っており、完勝と言ってよいだろう。新馬戦こそグランアレグリアに敗れたが、その後、馬体も成長してパワーアップしている。肉体の完成度が高く、気性が前向きであり、レースに行ってきっちりと力を出し切れる真面目な牝馬でもある。ウオッカやブエナビスタなど、阪神ジュベナイルフィリーズを制した名牝ほどの素質は認められないが、来年の桜花賞に向けては最有力候補に躍り出た。

クリスチャン・デムーロ騎手はテン乗りにもかかわらず、腹を決めて後方からダノンファンタジーを走らせたことが吉と出た。正攻法で攻めていたら、もっと力んで走っていたかもしれず、これほどの切れ味を発揮できたか分からない。一回性の騎乗で最良の選択をして、結果を出してしまうのはさすがである。昨年のG1ホープフルステークスでもタイムフライヤーを後方から導いて勝利したように、これだけ動じずに後ろから行けるのは、馬を瞬時に動かせて、追える自信があるからだろう。勝利ジョッキーインタビューにて、日本語を少し話そうとしたところに、彼の意志を垣間見た気がした。

クロノジェネシスは、出遅れたことが結果として良かったのかもしれない。後方の外から行った馬たちのワンツーとなったように、この時期の若い牝馬にとっては、ペースや馬場や距離よりも、精神的なスタミナをロスすることなく走れる影響の方が大きい場合がある。馬群から離れたポジションを気持ち良く走られることが、ラストの切れ味につながるのだ。最後の直線では馬が苦しがって左にもたれ、真っ直ぐ追えなかったのは残念だが、最後まで良く食い下がっている。あと少しのところまでG1に手が届きかけていたのだから、北村友一騎手にとっても悔しい騎乗だったはず。

上位2頭の切れ味に屈してしまったビーチサンバも、最後まで良く伸びている。結果として出し抜けを食らってしまった形となったが、先々へとつながる内容であった。福永祐一騎手も道中は完璧に折り合って進めていたし、満点とは言えないものの、80点の騎乗で力を出し切った。100点の騎乗ができないと勝てないのがG1レースであり、あえて言うならばビーチサンバを勝たせるためにはもうひと呼吸、いやふた呼吸早めに追い出しても良かったかもしれない。もちろん、外から出し抜けを食らったという結果を受けての結果論である。

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馬の性格や心理状態も観る

Jiromaru

先日、東京の両国で行われた「日本ウマ科学会」に参加するために北海道からやってきた獣医師さんと、ちゃんこ鍋を突きながら競馬の話をしました。僕がオーストラリアにメルボルンカップを観に行っているとき、彼はちょうどブリーダーズカップを観にアメリカに行っていたそうです。お互いに海外の競馬を見て得た情報を交換しつつ、新しい種牡馬やその産駒の出来から、出産時の大きさの話、日高の現状まで語りました。僕にとって、生産の最前線で働く彼の意見や見識は貴重です。

その中で、馬の気性の話になりました。アメリカの馬たちは、ダート競馬で土を全身に受けながらひたすら前へ前へと突き進むことが求められますので、気性的には激しいものを持っている馬が多い。それは生産の配合の段階から、育成・調教、そしてレースに至るまでの中で、そのようなメンタリティへとつくられていきます。逆にヨーロッパの競馬は長距離を走る馬が多いので、ゆったりとした気性でリラックスして走れる気持ちの穏やかな馬が求められます。それに応じて、生産から育成調教までが1本の線となり、つながっていきます。

それにしても、と話をさえぎるようにして私は言いました。

「メルボルンカップのパドックを見て驚いたのは、どの馬もまったく入れ込んだり、チャカついたりしていなかったことです。日本から参戦したチェスナットコート以外は」

これは決して大げさではなく、私が日本のパドックで見て、消していくタイプの馬はただの1頭もいなかったのです。どの馬もゆったりと歩けていて、厩務員さんに変に甘えることもなく、汗ひとつかいていません。これから激しいレースを走る馬とは思えない平常心を保っているのでした。

パドックで馬の心理状態を見て、それをよりどころにする僕にとっては、明らかに悪くて消せる馬が1頭もいなくて困り果てました。ヨーロッパやオーストラリアの超一流のステイヤーたちには、私のパドック理論は通用しなかったのでした。結局、長距離戦での実績を評価して、ベストソルーションという人気馬に賭けましたが、ハイペースに巻き込まれてしまい8着に敗れてしまいました。勝ったクロスカウンターはもちろん、敗れた馬たち全てがしっかりと歩けていて、どの馬を本命にしてもおかしくないほどだったのです。

なぜそのようなことが起こったのでしょうか。メルボルンカップの出走馬がステイヤーだからという理由だけではないと思います。オーストラリアは短距離戦が中心の競馬であり、ほとんどの馬たちはスプリンターです。他のレースの出走馬を見てみても、たとえスプリンターであっても、同じように落ち着いてパドックを歩いていたのです。

馬が感じているストレスが全く違うのだと僕は思いました。日本やアメリカの馬たちは、おそらく日常的にストレスフルな環境の中で過ごしているのです。さらにレースに臨むにあたって、そのストレスはピークに達します。どこかが痛かったり、苦しかったり、調子が悪かったりする馬は、得にパドックで走りたくないという気持ちを全身で表現します。それに対して、ヨーロッパやオーストラリアの馬たちは、普段からリラックスして過ごしており、人間との信頼関係も厚いのではないでしょうか。それがパドックでの姿に如実に表れていたのです。

前置きが長くなりましたが、その馬の気性や性格など、立ち写真からでは分からない情報が確かにあります。特に2歳戦などは、各馬に関する情報が少ないため、立ち写真以外も見る必要が出てくるのです。その馬の気性や性格などを知るために、私はまずパドックを見ることにしています。新馬戦から時系列的にパドックを見てみることもあれば、前走のパドックを見て分かることもあります。レーシングビュワーではいつでもパドック映像を観られるサービスがあり、とても便利ですね。

今週行われる2歳G1阪神ジュベナイルフィリーズに出走するメンバーの馬体を見渡してみると、どの牝馬たちも目移りするほどに素晴らしい馬体を誇っています。グレイシアは牝馬らしからぬ重量感に溢れ、いかにもパワーがありそう。シェーングランツは姉ソウルスターリングよりもコンパクトに出ていますが、それゆえにより切れ味は鋭そう。ダノンファンタジーもコロンとした中にまとまりがあって、安定して力を出し切れそう。ビーチサンバはフサイチエアデールの仔にしては全体に長さがあって、将来性が高そうです。

これだけ素質や将来性の高い馬たちが揃うと、立ち写真だけでは本命を決めかねるのが正直なところです。そこで次に見たいのはパドックでの姿です。パドックにおける立ち振る舞いには、その馬の気性や性格が出ますので、それらを含めて予想してみましょう。各馬のパドックの動きを見て、とても落ち着いていて、苦しいところもなく、レースに行ってもジョッキーの指示を素直に聞いて反応することができそうだと最も感じさせてくれたのはビーチサンバです。調教の動きも素晴らしく、本命に推したいと思います。立ち写真とパドックでの立ち振る舞い、そして調教の動きを見ると、この馬が好走しそうなイメージしか湧きません。

Hanshinjf2018wt


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阪神ジュベナイルFを当てるために知っておくべき3つのこと

Hjf

■1■2つの経験
平成3年より従来の阪神3歳Sは牝馬限定に変更され、さらに平成13年より名称を「阪神ジュベナイルフィリーズ」と改められた。わずか数戦のキャリアで臨んでくる馬がほとんどで、各馬の力の比較が難しい。実はこれといった傾向はないのだが、以下2つの経験をしている馬にとっては、かなり有利なレースになる。このレースを勝つためには、いずれかを経験していることが望ましい。

1、1600m以上の距離
2、坂のあるコース

「早熟の短距離馬」が多く出走してくるため、このレースに臨むまでのステップとして、1600mよりも短い距離を使ってくる馬が多い。これまでにマイルの距離や直線に坂のあるコースを走ったことがない馬たちが、いきなりG1レースの厳しい流れの中に放り込まれ、直線に坂のある1600mのコースを走ると、確実にスタミナ切れを起こすことになる。1600m以上の距離、もしくは直線に坂のあるようなタフなレースを走った経験がないと、このレースで勝ち切ることは難しい。

■2■抽選をクリアした馬の台頭
これは来週の朝日杯フューチュリティSにも当てはまることだが、抽選をクリアした馬、滑り込み出走が叶った馬たちには着目すべきである。それは運が良いからということではなく、彼ら彼女たちの「ローテーション」と「成長曲線」に秘密が隠されているからだ。

まず「ローテーション」については、抽選をクリアしてきた馬は、これまでの出走過程において無理を強いられていない馬が多いということである。多いと書いたのは、全ての馬がそうではないからである。本番に出走する権利を取るために、何度もレースに出走してそれでも抽選待ちになってしまった馬もたくさんいるはずだ(こういう馬は能力的に疑問符がつく)。そのあたりは1頭1頭を検証する必要があるが、例えば2007年のトールポピーはキャリア3戦、ゴスホークケンは2戦、レーヴダムールに至ってはわずか1戦であった。そして、2011年はキャリア1戦のジョワドヴィーヴルがこのレースを制した。

これが何を意味するかというと、これらの馬たちは、本番であるG1レースに合わせたローテーションを組んで走らされてきたのではなく、自分たちの仕上がりに合わせて大事に使われてきたということである。人間の都合ではなく、馬優先の余裕を持たせたローテーションであったということだ。あくまでもその延長線上に、たまたまG1レースがあったということに他ならない。だからこそ、そこまでの過程において無理をさせてきていないからこそ、馬に余力が十分に残っているということになる。

次に「成長曲線」についても、余裕を持たせたローテーションということとリンクしてくる。馬の仕上がりに合わせるとは、馬の成長に合わせたローテーションということである。特に若駒の間は、レースを使うことによって、成長を大きく阻害してしまうことがある。2歳戦~クラシックにかけて、数多くのレースを使うことは、マイナス材料にこそなれ、決してプラス材料にはならない。レース経験の少なさは、馬の能力と騎手の手綱で補うことが出来る。つまり、本番のレースに出走するために、馬をキッチリ仕上げて勝ってきた馬たちに比べ、成長を阻害しない程度のゆったりとした仕上がりで走ってきた馬たちは、上積みが見込めるばかりではなく、本番のレースへ向けて上向きの成長カーブで出走してくることが可能になるのだ。

これらのことからも、余力が十分に残っていて、上向きの成長カーブを辿っている馬が、もし抽選をクリアして出走することが出来たとしたら、本番でも好走する確率が高いことは自明の理であろう。これが2歳戦からクラシック戦線においては、抽選をクリアして出走してきた馬、滑り込みで出走してきた馬には大いに注目すべき理由である。

■3■関東馬とっては厳しいレース
この時期の牝馬にとって、長距離輸送をしてレースに臨むことは条件的に厳しい。よって、関東馬がこのレースを勝つには、関西に一度遠征した経験があるか、もしくは実力が一枚も二枚も上でなくてはならない。現に過去10年で、初長距離輸送でこのレースを制した関東馬は3冠馬となったアパパネと後にNHKマイルCを制したメジャーエンブレム、オークスを勝つことになるソウルスターリング、その他ショウナンアデラである。彼女たちぐらいの実力を持っていないと、初めて長距離輸送をして、並みいる関西馬たちを倒すことはできない。逆に言うと、このレースを勝った関東馬は相当な実力の持ち主であるということになる。


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砂のアーモンドアイ


チャンピオンズカップ2018―観戦記―
最内枠から唯一の牝馬アンジュデジールがハナを主張し、そのすぐ後ろに1番人気の3歳馬ルヴァンスレーヴが続いた。積極的に前に行くかと思われたサンライズソアがそのさらに後ろに控えたことで、前半800mが49秒6、後半800が48秒2という超スローペースで、前に行った馬たちにとって有利な流れになった。有力馬が勝負どころから外を回して追い上げる中、ぽっかりと開いた最内を突いたウェスタールンドが漁夫の利を得た形となり2着。レコード決着ではあるが、先週のジャパンカップと同様に、内容としては前残りのやや単調なレースであった。

ルヴァンスレーヴは56kgを背負って歴戦のダート馬たちを完封したのだから、この先、国内には敵はいないだろう。調教ではそれほど走るタイプではないため、案外使い減りすることなく、長く走れる可能性が高い。また、馬の気持ち(ハート)が強く、燃え尽きてしまうこともない気がする(こればかりは馬にしか分からないが)。カネヒキリやクロフネのように3歳時から頭角を現した名ダート馬と同じもしくはそれ以上に、ルヴァンスレーヴのダート馬としての未来は明るい。来年は海外へと飛び出して、ドバイワールドカップやブリーダーズカップクラシックなどにおいて、世界の強豪を相手に世界を変えるような走りを見せてもらいたい。

ミルコ・デムーロ騎手は、秋のG1シリーズでは勝ち星から遠ざかっていたが、ようやくデムーロ騎手らしい横綱相撲で勝利してみせた。前日のチャレンジカップをエアウインザーで圧勝し、その勢いをそのままルヴァンスレーヴに当てはめたような積極的な騎乗。デムーロ騎手が騎乗して負けていないように、まさにルヴァンスレーヴとは手が合っている。ルヴァンスレーヴの前向きさとデムーロ騎手の攻める気持ちの波長が合うというべきか。デムーロ騎手も乗っていて気持ち良いはずだし、ルヴァンスレーヴも安心して走っているはず。「ダート界のアーモンドアイだね」とデムーロ騎手はコメントしていたが、そういえばディープインパクトと同世代のカネヒキリは「砂のディープインパクト」と呼ばれたこともあった。

ウェスタールンドは最初からこのような競馬を狙っていたのだろう。外枠から一旦最後方まで下げ、内ラチ沿いを走り、外に膨れやすい最終コーナーで開いた内を突く。狙っていたとおり、まさかこんなに上手くはまるとは思ってもいなかっただろうが、捨て身の作戦勝ちであった。他馬と比べて最短距離を走ったにしても、2着まで追い上げたのは力をつけている証明である。

サンライズソアはもう少し積極的に乗っても良かったと感じる。先々を見据えて抑える競馬を試みたのだろうが、今回のペースを考えると、もう1段前に行っていれば、もう1つ着順を上げることができたかもしれない。前走、前々走と積極的に行ったことでハイペースに巻き込まれ、惜敗を喫してしまった影響もあったのか。今回もまたポジションとペースが裏目に出てしまった。

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首の太い馬の方が乗りやすい

Jiromaru

11月頭に行われたメルボルンカップを観戦にオーストラリアに行ったとき、現地で頑張っている日本人ジョッキーに話を聞く機会がありました。僕たちにはあまり知られていませんが、オーストラリアで活躍している日本人騎手は多くいるのです。彼ら彼との話の中で、サラブレッドの馬体について話が及びました。馬の背中に乗って、一緒に走っている立場からの馬体の見かたは新鮮でした。僕の著書「馬体は語る」をプレゼントすると、目を皿のようにして読んでくれて、「競馬学校ではここまで詳しく馬体について教えてもらわないので新鮮です」と言ってくれました。それぞれが違う方向から馬体を見ているので、お互いに新鮮なのでしょうね。

彼らの話の中で印象に残っているのは、「首の太い馬の方が、細い馬よりも乗りやすい」ということです。「首の細い馬は乗っていて頼りないんです。首の太い馬の方が、乗っていて安定感がありますよ」というのが理由だそうです。なるほど、首が太い馬は胴部もがっしりとしているため、パワフルで安定感があって、ジョッキーとしては乗りやすいのですね。

僕は首が長くて細い馬の方が乗りやすいのではないかと想像していたのは、ベガ(父トニービン、母アンティックヴァリュー)という馬のことがあったからです。あのアドマイヤベガやアドマイヤドンの母であり、ハープスターの祖母にあたる名牝です。「一本の線の上を走るような、美しい走りをする馬でした」と武豊騎手はベガのことを振り返ります。なぜジョッキーが一本の線の上を走っているような感覚になるかというと、ベガの馬体の幅がそれだけ薄く、両脚(前脚も後ろ脚も)がほぼ同じラインの上に着地して走っていたからでしょう。

スプリンターによくある、首が太くて、馬体の幅が厚い馬であれば、どうしても左右の脚の着地点は異なり、乗っている者としては、太いレールの上を走っているような感じになります。一本の線の上を走るような軽快さではなく、両脚で広く地面を捉えているような力強い走りになります。たしかにベガは美しい走りをする馬でしたが、どちらがジョッキーにとって乗りやすいかというと、首が太くて安定感のある馬ということなのですね。

今週のチャンピオンズカップに出走するルヴァンスレーヴは、パッと見ただけで、首が他馬よりも圧倒的に太く、いかにも乗りやすそうです。昔、マイクタイソンというボクサーがいて、どこからが顔で、どこからが首なのか分からないぐらい、首が太かったのを覚えていますが、まさにマイクタイソンのような首をしています。典型的なパワータイプのダート馬であり、ダート馬になるべくして生まれてきたダート馬なのでしょう。ミルコ・デムーロ騎手が「これまで乗ったダート馬の中で一番強い」とコメントする気持ちも分かる気がします。そこには最高に乗りやすいという、ジョッキーとしての感覚も含められているはずです。ダートのチャンピオンを決める争いで、この馬体の馬に本命を打たないわけにはいきません。

Championsc2018wt


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