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この時期の牝馬にとっては


阪神ジュベナイルフィリーズ2018―観戦記―
2番人気のクロノジェネシスが出遅れ、1番人気のダノンファンタジーも抑えて後方から進み、スタンドがやや騒然とする中、前半800mは47秒0、後半は47秒1というフラットなペースで流れた。最後の直線の長さを考えると、どのポジションで走った馬にとっても有利不利のない展開となり、その分、馬群から離れてストレスなく走った2頭での決着となった。2歳牝馬にとっては、多少の距離ロスがあったとしても、馬群の中で気を遣って走るよりも、伸び伸びと外を回った方が良い結果が出ることが多いのだ。

勝ったダノンファンタジーは、2着馬とは半馬身差ではあったが、どこまで行っても抜かされないだけの手応えが残っており、完勝と言ってよいだろう。新馬戦こそグランアレグリアに敗れたが、その後、馬体も成長してパワーアップしている。肉体の完成度が高く、気性が前向きであり、レースに行ってきっちりと力を出し切れる真面目な牝馬でもある。ウオッカやブエナビスタなど、阪神ジュベナイルフィリーズを制した名牝ほどの素質は認められないが、来年の桜花賞に向けては最有力候補に躍り出た。

クリスチャン・デムーロ騎手はテン乗りにもかかわらず、腹を決めて後方からダノンファンタジーを走らせたことが吉と出た。正攻法で攻めていたら、もっと力んで走っていたかもしれず、これほどの切れ味を発揮できたか分からない。一回性の騎乗で最良の選択をして、結果を出してしまうのはさすがである。昨年のG1ホープフルステークスでもタイムフライヤーを後方から導いて勝利したように、これだけ動じずに後ろから行けるのは、馬を瞬時に動かせて、追える自信があるからだろう。勝利ジョッキーインタビューにて、日本語を少し話そうとしたところに、彼の意志を垣間見た気がした。

クロノジェネシスは、出遅れたことが結果として良かったのかもしれない。後方の外から行った馬たちのワンツーとなったように、この時期の若い牝馬にとっては、ペースや馬場や距離よりも、精神的なスタミナをロスすることなく走れる影響の方が大きい場合がある。馬群から離れたポジションを気持ち良く走られることが、ラストの切れ味につながるのだ。最後の直線では馬が苦しがって左にもたれ、真っ直ぐ追えなかったのは残念だが、最後まで良く食い下がっている。あと少しのところまでG1に手が届きかけていたのだから、北村友一騎手にとっても悔しい騎乗だったはず。

上位2頭の切れ味に屈してしまったビーチサンバも、最後まで良く伸びている。結果として出し抜けを食らってしまった形となったが、先々へとつながる内容であった。福永祐一騎手も道中は完璧に折り合って進めていたし、満点とは言えないものの、80点の騎乗で力を出し切った。100点の騎乗ができないと勝てないのがG1レースであり、あえて言うならばビーチサンバを勝たせるためにはもうひと呼吸、いやふた呼吸早めに追い出しても良かったかもしれない。もちろん、外から出し抜けを食らったという結果を受けての結果論である。

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