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集中連載:現代のコアな競馬ファンがすなる一口馬主というものを(第32回)

Hitokuti32

この連載を始めてから、ずいぶん長い歳月が流れた。私の初出資馬となるクインアマランサスはもう5歳になる。1歳時に見初めてから4年が経ったということだ。その間にたくさんのことがあった。個人的でここには書けないようなことばかりだが、良いも悪いも、一人の人生の中で起こるであろう程度の出来事が起こったということだ。私の人生に何があっても競馬が続いていくように、出資馬が走っている限り一口馬主ライフも続いていく。

しばらく連載が書けていなかったのは、忙しかったからというよりも、慣れてしまったからだろう。見直してみると、昨年の2月以降書いていないということは、およそ1年間、私の心は一口馬主ライフから離れていたことになる。初めて子どもが生まれて、4、5歳ぐらいまでは写真やビデオを撮ったり、子どもの様子を友だちや知り合いに発信したりする熱狂の時を過ぎてしまったという感覚に近いのかもしれない。決して熱が冷めたのではなく、一口馬主ライフとはこのようなものかと平常心に戻ったということだ。

クインアマランサスや2頭目の出資馬であるジャスパーゲランが、トントンと勝ち上がったり、重賞やG1レースに出走するようなことがあれば、また違った高揚があったのかもしれない。横断幕を張ったり、口取り写真に収まったり、ゼッケンを手に入れたりと、出資馬が活躍することによって体験できる喜びを味わえたのかもしれない。しかし、この2頭に関しては、自分の子どもがそうであるように、私の期待とは外れてきてしまっている。それは年月が経てば経つほど、傾きの違う線が少しずつ離れていくように、理想と現実は確実に違うものとして目の前に現れている。

そこには絶望も失望も全くなく、そのようなものであると最初から分かっていたことが、実感できるほど近くにやってきたということだ。実際に当事者として経験してみないと手に入れることができない現実であり、その現実を身をもって知れたことは価値があると思う。その現実から何を学び、今持っているものを工夫することによって、どうすればさらに楽しむことができるかを考えてみたい。そして、最も大切なのは、それでも夢や希望を失わないことだ。あきらめないで関わっていくと、思わぬチャンスが生まれることがある。

そう思わせてくれたのはジャスパーゲランである。3歳新馬戦でデビューして14着と大敗したのち、交流戦を求めて園田、笠松、金沢競馬場を旅して、ようやく金沢で初勝利を挙げることができた。競走生命を長めることができたのもつかの間、次走では再び12着と敗れた上、脚元の異常が発覚し、およそ半年の休養を取ることになったのだ。復帰戦の阪神ダート1400m(500万下)では、坂路で52秒台のタイムが出ていたので密かに期待していたにもかかわらず、レースの流れにまったく付いていくことができず15着とブービーの結果で終わってしまった。

「休養明けの一戦で最後は息が保たなかったにしても、追い切りの動きから道中はもう少し付いていけると思ったのですが…。距離が合わないわけではありませんし、現状、中央のこのクラスだとまだまだレース慣れが必要なようです。この後は障害転向も予定されているとのことでしたが、調教の走りから器用さは感じられるので、飛越は上手かもしれません。試してみる価値は十分にあると思います。私の力及ばず申し訳ないですが、ジャスパーゲランの新たなステージでの活躍を願っています」(高野友和調教師)

この結果を受けて陣営の取った決断は早かった。出資者でひいき目のある私でさえ、この馬は走ることで食べていけないと分かったのだから、シビアな目で見れば、競走馬としては失格という烙印を押されて仕方ない。ところが、私にはなかった選択が提示されて驚いた。転厩と障害転向の可能性である。美浦の厩舎に転厩し、環境が変わることはプラスに働くかもしれない。何よりも関東の競馬場で走ってくれると、生で彼の走りを見ることができる。障害転向はオジュウチョウサンの影響があるのかもしれないが、その手があったかと思わせる、あきらめかけていた自分が恥ずかしくなるような、素晴らしい視点である。もしかするとジャスパーゲランは第2のオジュウチョウサンになるかもしれない。これでもう少し夢と希望を持って生きていけるような気がする。

クインアマランサスは走りながら休み、休みながら走りをして、年始にようやく11戦目を迎える。一時は1000万下で3着に食い込んだこともある頑張り屋さんだが、モレイラ騎手が乗って500万下で敗れてしまったときは、さすがに目を覆ってしまった。この馬がダートでトントンと勝ち上がって、交流重賞を盛り上げる存在になってもらいたいと願ってきたが、今年の春がラストチャンスとなるだろう。あきらめたわけではない。あきらめた時点で勝負は終わってしまう。ここからが勝負である。そう自らを鼓舞しつつ、クインアマランサスの走りを見守りたい。

発走は1月5日(土)の京都第6レース。1枠2番と絶好の枠を引いた!

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Comments

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくおねがいいたします。

さて、久しぶりの一口馬主連載ですね。
シルクの明け4歳馬にはアーモンドアイをはじめとする重賞勝ち馬やそれに準ずる成績の馬がごろごろしています。
それらの馬たちの募集時カタログを見直してみるのはいかがでしょうか?
きっとなんらかの発見があるはずです。
自分にはどう考えても出資できない・・・そんな発見でも良いのではないでしょうか?
(レースが終わって「こんな馬券は買えないよぉ~」と叫ぶのと同じ気持ちですね)
そしてそれは今後の成長につながると思います。
いわばテストの見直しみたいなものですね(笑)

シルクとノルマンディまったく違った方向性を持つクラブを掛け持ちするのはそれはそれで楽しいと思います。
シルクにはシルクの楽しみ方があり、ノルマンディにはノルマンディの楽しみ方があるはずです。

一口馬主はある程度の頭数がいたほうが楽しめると思うので一年に一頭は出資したほうが良いと思います。
それと一口専用の銀行口座を持つべきだと思います。
その方が収支がはっきりしますから。

Posted by: アダチ@おかやま | January 04, 2019 at 10:59 PM

アダチ@おかやまさん

あけましておめでとうございます。

今年も年末年始は岡山に帰省しましたよ。

募集カタログや動画の見直しは面白いですよね。

実際のところ、今年の明け4歳馬の世代は出資するつもりがなく、ほとんどカタログを見ていなかったのですよね。

ぼんやりとアーモンドアイは覚えていて、ごく普通の馬体だったことは記憶しています。

一生懸命に選んだ世代の見直しは必要だと思います。
それも馬券と同じですね。

実は今年(2017年生まれ世代)は2頭に出資しましたので、これからが楽しみです!

Posted by: 治郎丸敬之 | January 05, 2019 at 12:15 PM

こんばんは。
クインアマランサスは良いレースでしたね。
もう少しで勝てそうでしたが欲を言えばきりがありません。
次走に期待しましょう。

Posted by: アダチ@おかやま | January 05, 2019 at 11:44 PM

治郎丸さんの1年後に一口馬主を始めたので、この連載が道標になってます。最初の出資馬は未勝利のまま引退。最後の数戦はゲートの後ろ扉に尻餅をついた状態で出るのを嫌がり、道中も足を突っ張る感じだったようです。牝馬が精神的にダメになると回復は難しい、というのはこういうことかと身をもって知りました。大井に転厩後も燦々たる物で休養に入りましたが、復帰初戦がらり一変を狙うのが密かな楽しみです。毎回次の出走が待ち遠しくて仕方なかったのが無くなり、僕の中でも一口馬主ライフが当たり前になってきたのかなと思います。

クインアマランサスは惜しかったー!乗り方1つでどうにかなった気はするんですが。。個人的には2戦目?のとても届かないと思うような所から突っ込んできた脚が忘れられないです。

Posted by: やっとこ | January 06, 2019 at 03:55 AM

アダチ@おかやまさん

ありがとうございます。

そうですね、欲を言えばきりがありません。

まずは頑張って好走したことを喜びます。

近いうちにチャンスは転がり込んで来るはずです!

Posted by: 治郎丸敬之 | January 11, 2019 at 01:09 AM

やっとこさん

そうだったのですね。

牝馬は精神的なダメージから回復するのは簡単ではありませんし、精神的に燃え尽きてしまうことが多いですよね。

そう考えると、無理をして走らせないことで、クインアマランサスはまだ頑張れているのかもしれません。

人間もサラブレッドも塞翁万事が馬ですね。

復帰初戦がらり一変を期待する気持ち、よくわかります!(笑)

一口馬主ライフは、重賞クラスに当たらないと、次のステージに行けない気がしています…。

また報告しますね。

Posted by: 治郎丸敬之 | January 11, 2019 at 01:13 AM

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