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馬ではなく騎手で買う意味

ヴィクトリアマイル2019―観戦記―

アエロリットが堂々とハナに立ち、前半マイル44秒8、後半マイルが45秒7というハイペースに近い流れでレースを引っ張った。自身が瞬発力勝負になると分が悪いと分かっていても、速いペースで走るのは勇気が要るだけに、さすが横山典弘騎手。スタミナも問われるレースになった。

勝ったノームコアはここ数戦、前が詰まって脚を余らせたりと、勝ち切れないレースが続いたが、今回は完璧なレースをして力を示してみせた。このペースでこれだけのタイムで走ったのだから、スピードとスタミナを兼ね備え、4歳世代だけではなく古馬牝馬の頂点に立つ馬に相応しいことを証明した。

3歳秋時点から素質の高さは見て取れたが、正直に言うと、ここまで強い馬とは思っていなかった。ハービンジャー産駒らしく、古馬になってグッと成長したことを、ここ数戦の走りで見過ごしてしまっていた。厩舎関係者は手応えを掴んでいたはずで、5番人気は見下された評価と感じていたのではないか。ノームコアが成長を遂げたとはいえ、どのあたりがと聞かれると特筆すべきはない。それは悪い意味ではなく、総合力の高い馬であるということ。ひとつ挙げるとすれば、気性の素直さというか穏やかさ、ジョッキーにとっては乗りやすさである。また厳しいレースになったことも、この馬にとっては吉と出た。

ダミアン・レーン騎手は来日3週目にしてG1レースを制してしまった。たしかに馬を御するのが上手で、追って味のあるジョッキーではあるが、まだ凄みまでは感じさせない。若くて賢いから、日本競馬という新しい環境に適応するのも早いのだろう。大レースでも普通に乗れる心の安定も素晴らしい。それでもこれだけ勝てるのは、ノーザンファームのバックアップがあるからである。今回のノームコアも元々はルメール騎手が乗ることになっていたもので、つまりノーザンファームはノームコアにかなり期待をかけていて、それがたまたま回ってきたということだ。馬ではなく騎手で買う意味はそこにある。

プリモシーンは、スタートからゴールまで完璧な走りをして、持てる能力を最大限に出し切った。福永祐一騎手もこれ以上ない騎乗をしている。それでも勝てなかったのは、単純に相手が強すぎたのであり、あえて言えば、枠順の内外がそのままポジション取りにつながり、勝ち負けに直結してしまった。

これ以上走れといっても無理な話で、福永騎手にこれ以上上手く乗れといっても難しいだろう。力を出し切れずに負けるのも悔しいが、全力を出し切って敗れるのも悔しい。これだけ走った後は少なからず反動が出るので、十分な休養を取ってケアしてもらいたい。

クロコスミアは正攻法で攻めて、最後まで伸びてみせた。470kg以上の馬体を誇る馬たちが掲示板を占める中で、この馬だけが440kgと軽量。馬格で明らかに劣るにもかかわらず、ここまで食い下がってくるのはステイゴールドの血のなせる業である。とにかく人智を超えた種牡馬である。

ラッキーライラックも真っ向勝負を挑み、自身の力は出し切って4着に敗れたのだから仕方ない。じわじわと伸びているものの、上位2頭には一瞬にして前に出られてしまった分の負け。この馬にとってはもう少し距離が長い方が合っているし、マイル戦では今回の走りが限界だろう。

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