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先入観を持たず


エリザベス女王杯2019ー観戦記ー 
クロコスミアが楽々とハナを切り、前半1000mが62秒8という、昨年(61秒4)や一昨年(62秒ジャスト)よりもさらに遅いペースで単騎逃げを打った。2番手を人気のラヴズオンリーユーが走ったことで蓋をされる形になり、後続は動くに動けず、完全な最後の直線における瞬発力勝負に。

オルフェーヴル産駒だけに、スタミナ勝負になればと考えていたラッキーライラックが、まさか32秒8の末脚を繰り出して勝つとは夢にも思わなかった。道中は中団を走り、決してポジションに恵まれたわけでもない。1年半ぶりの勝利であり、ここまでメンタル面も含めて立て直した陣営には称賛を送りたい。何と言っても素晴らしいのはスミヨン騎手の手綱さばき。先入観を持たず、ラッキーライラックとの折り合いをつけることに専念し、スローペースでも全く掛かることなく、最後の直線に向いたときには十分に脚がたまっていた。静と動を見事に演じ分ける、欧州のトップジョッキーの凄みを見せつけられた。凱旋門賞でオルフェーヴルに騎乗して敗れた悔しさを、娘のラッキーライラックに乗って晴らす、という美しい物語ができあがった。ちなみにあの凱旋門賞は多くの批判があったが、あれはオルフェーヴルが外を回されたことで最後苦しくてヨレたことが原因で、決して早仕掛けではなかったと僕は思っている。

ラヴズオンリーユーのテンションの高さを生かし、そのまま番手につけたデムーロ騎手の好判断が光った。結果的に前に行くことになり、絶好のポジションを走ることができた。直線伸び切れなかったが、未完成の馬体でこれだけ走っていること自体が素晴らしく、順調に成長すれば来年以降はもっと強くなる。

センテリュオはルメール騎手がスローを読み切り、抑えることなく早めに動いたことが、4着という結果に現れた。騎乗馬の能力とペースを正確に判断することで、絶妙なポジションに導くことができるのは、勘の良さとしか表現しようがない。逆に後ろから行った騎手は、絶対勝てない競馬をしたということ。

クロノジェネシスは、道中も理想的なポジションを走ったが(欲を言えばもう一つ前だが)、最後は伸び切れなかった。秋華賞の反動かそれとも距離か。僕は前者であると考えているが、コンスタントに力を発揮して走るタイプだけに、意外な凡走である。この時期の牝馬は難しい。

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Comments

すばらしい観戦記をありがとうございます。
動画を見ながら何度も読み返しています。
当日は自宅観戦でしたが直線は息を飲んで声も出ませんでした。
もし現地で見ていたら不覚にも涙が出ていたと思います。
クオカード楽しみにしていてくださいね。

Posted by: アダチ@おかやま | November 13, 2019 01:11 AM

アダチ@おかやまさん

どういたしまして。

長いこと勝てなかったので、より今回の勝利は嬉しいでしょうね。

あの内から伸びた鉈のような末脚は別世界のもののようでした。

僕もアダチさんと同じような体験をしたいものです。

Posted by: 治郎丸敬之 | November 13, 2019 08:44 AM

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