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ステイヤーの首を見極める


今回のテーマは、「ステイヤーの首を見極める」ということです。ユーキャンスマイルやフィエールマン、エタリオウ、キセキなど、天皇賞春2020の出走馬の馬体解説をしながら、ステイヤーの首について解き明かしていきます。

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2つの命題


皐月賞2020―観戦記―
皐月賞は前半1000mが59秒8、後半が60秒9と、馬場が渋ってややラストの時計が掛かったことを考慮すると、およそ平均ペースで流れた。勝ったコントレイルは、日本ダービーに向けてゆったりと走る折り合いを教えつつ、しかし皐月賞を勝利するという、同時に叶えることが困難な2つの命題をこなしてみせた。

コントレイルはゴール前で左耳が浮いていたように、着差以上に強かったと言える。とにかく、筋肉の弾力性とバネが素晴らしい。昨年のホープフルS馬であり皐月賞馬であるサートゥルナーリアとは馬のタイプが全く異なるが、コントレイルは気性的に幼い面がまだ残っていて、課題としてはそのあたりか。休み明けにもかかわらず馬体はキッチリと仕上がっていたので、本番までこの調子をいかに維持することができるか。距離が延びても行きたがることはないだろうから、内枠さえ引くことができれば、日本ダービーの栄冠に最も近いところにいるのは間違いなくコントレイルである。

福永祐一騎手は、先々のことを見越しつつ、自信を持ってコントレイルに騎乗していた。陣営と乗り方についてのコンセンサスが取れていたからこそ、前半も無理について行かずに冷静でいられたのだろう。皐月賞で負けても日本ダービーを勝ちたいという想いが、観ている僕たちにもヒシヒシと伝わってきた。

サリオスは横綱相撲をして、西の横綱に寄り切られてしまった。それでも3着以下を3馬身以上離しているのだから、皐月賞馬が2頭いたと言っても過言ではない。朝日杯FSの強い勝ち方は伊達ではなかった。キッチリ仕上がっていたので、本番に向けて上積みはあまりなさそうだが、大崩れするタイプでもない。

ガロアクリークは外枠からの発走となり、外々を回されて勝負どころの4コーナーでは勝ち馬とは勢いが違ったが、最後まであきらめることなく伸びて3着を確保した。馬っぷりも抜群で、前走のスプリングSの勝利がフロックではなかったことを証明してみせた。距離延長はプラスではないが、こなせる範囲か。

3強の一角とみなされていたサトノフラッグは、悪くない形で勝負どころを迎えたが、外から捲り切られてしまい、さらには直線では伸びを欠いた。前走で見せた飛ぶような走りが嘘のよう。弥生賞からの間隔が中途半端なことぐらいしか理由は思いつかない。ダービーに向けて、見限ってしまうにはまだ早い。

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後ろ肢のつき方を観る(皐月賞2020出走馬馬体評価)


今回のテーマは、「後ろ肢のつき方を観る」ということです。コントレイルやサリオス、サトノフラッグなど、皐月賞2020の出走馬の馬体解説をしながら、後ろ肢の付き方について解き明かしていきます。

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大きく見える


桜花賞はスマイルカナが内枠を利して逃げ、前半マイルを46秒5、後半マイルを49秒6というハイペースでレースを引っ張った。前に行った馬たちにとっても苦しかったが、最後はどの馬も脚が上がって歩いてしまった。そんな中、1頭だけバテることなく伸びたのがデアリングタクトであった。際立って強い。

良馬場で行われた場合、デアリングタクトは脚質的に届かないケースもあると考えていた。道中をゆったりと走らせて、終いの脚を爆発させる競馬があっているタイプだけに、レースの上がりが(たとえば33秒台と)速すぎると物理的に届かないかもしれないと。もしかすると、重馬場が吉と出たかもしれない。デアリングタクトはパドックでも馬を大きく見せて、気性面での不安を全く感じさせないほど、集中して歩けていた。プレッシャーのかかる中、完璧に仕上げた杉山晴紀調教師の手腕は称賛に値する。得てして仕上げすぎてしまったりするものだ。それに応えたデアリングタクトの精神力とパワーも素晴らしい。

松山弘平騎手も馬を信じて、前に行った馬が止まらない馬場でも、デアリングタクトのレースをすることだけに集中できていた。変に押していくこともなく、慌てず騒がず。外に出して押し上げていくタイミングも絶好であった。これまで多くの素質馬に乗り、大舞台で積んできた経験がここで生きた。デアリングタクトの強さが証明されたことは間違いないが、オークスに王手をかけたかと言うと疑問が残る。オークスが良馬場で行われた場合、内枠を引いて内埒沿いの前目のポジションを走り、ラスト3Fを33秒台で上がれる馬でないと勝てないからだ。果たしてそのような競馬ができるのか。

レシステンシアは、自分に向いた馬場で完璧なレース運びをもってしても、勝ち馬には及ばなかったということだ。仕上がりは良かったが、相手が悪かった。この馬のパワーとスピードを生かす競馬はできているので悲観することはない。さすがにオークスは距離が長いので、NHKマイルCを目指してもらいたい。

スマイルカナも最後まで頑張っている。行き切った方が良さが出るタイプだし、前のレース(阪神10R)でも逃げた馬が止まらなかったように、後続の馬たちの脚が上がってしまったことで粘り込めた。この馬もオークスよりもNHKマイルCでスピードを生かす方が合っている。

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目つき、顔つきから性格や気性を捉える


今回のテーマは、「目つき、顔つきから性格や気性を捉える」ということです。
レシステンシアやデアリングタクト、サンクテュエール、マルターズディオサなど、桜花賞2020の出走馬の馬体解説をしながら、馬体における馬の表情について解き明かしていきます!

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馬体のメリハリを観る


【ROUNDERSチャンネル】今回は「馬体のメリハリを観る」をテーマに話します。馬体をパッと観る上で、意識すべき5つのポイントのひとつであるメリハリ。付くべきところに筋肉がついているのか、大阪杯の出走馬の馬体を題材として解説します!

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「血統のトリセツ」

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「競馬オタク」の坂上明大さんが、生駒永観さんとの共著という形で、「血統のトリセツ」(サラブレBOOK)という本を出版されました。坂上さんとは何度か競馬場でも一緒に馬券を買ったり、競馬について熱く語り合ったりした仲であり、まるでふた回り年の離れた弟が本を出したような嬉しい気持ちです。勢い余って発売日前日に書店に行ったところ、ありましたよ、「血統のトリセツ」が。好スタートを決めて、もう書棚にしっかりと並んでいました(ちなみに僕の「馬体は語る」は並んでいなかった…笑)。その場で購入し、自粛中のゆったりとした時間の中、さっそく読んでみました。

まず僕自身は、血統についてはある程度の知識しかないことを白状しておきます。たぶん熱心な競馬ファンならば誰もが知っているという程度にしか、血統については詳しくありません。学生時代から、世に出ている競馬に関する書籍はほとんど読み漁ってきたつもりですが、マニアックな血統本だけは無意識のうちに避けていました。それは競馬における血統というファクターは、知れば知るほど奥が深く、どこまでも枝葉が分かれて、迷宮入りしてしまいそうな気がしていたからだと思います。もしかすると、ハマってしまいそうな感覚があったのかもしれません。やればハマってしまうのを恐れて学生時代に麻雀に手を出さなかったように、僕は血統の世界に深い入りする勇気がなかったのです。しかし、「血統のトリセツ」の著者の2人はハマってしまったのですね。素晴らしい。

冒頭において、血統を料理にたとえている箇所は実に分かりやすいと思いました。父や母その祖先の馬たちは具材であり、スピードやスタミナなどは味覚。いろいろな食材が混ざり合って、ひとつの料理ができ上がるわけですが、そこには辛みやうま味、スパイスが利いて、料理全体の味をつくりあげるというイメージです。

ただ、サラブレッドというレシピには1点だけ難点がある。それが「分量」の記載がないこと。そのため、同じ食材で調理しても全く同じ味には一度としてならない。サンデーサイレンスとウインドインハーヘアの間に産まれたブラックタイドとディープインパクトという2頭のサラブレッド。彼らは同じ父母のもとに産まれた全兄弟だが、パワー型の兄ブラックタイドに比べて、弟は日本競馬史に残る瞬発力を幾度となく見せた。さらには、名馬の全兄弟でも全く走らなかったというケースも数えきれないほどある。基本的に血統の再現性は非常に低いのだ。ただ、分量は分からなくても、食材以外の味がすることはない。

血統予想の最大のアキレス健は、全く同じ血統(父と母)であっても違う馬が出るということだと僕は思っています。それは血統というファクターだけで予想をすることが、常に自己矛盾をはらんでいることの証明でもあります(生まれた年が違うというロジックもあるが、それは無理筋に僕には思える)。ディープインパクトが勝つならば、ブラックタイドも勝たなければならないのです。しかし、血統を料理にたとえるという彼らのスタンスは非常に納得できるものがあって、まさに同じ具材を使っているつもりでも、それぞれの要素が複雑に絡み合うことで結果としては全く(もしくは少々)違うものができるが、それでも食材以外の味には決してならないということ。血統は全てを教えてくれないという前提に立つからこそ、坂上さんたちはそこに馬体や走法、性格を組み合わせていくのです。

そういう観点で、各種牡馬別のトリセツを読んでいくと、血統と馬体、走法、性格等の見事な融合というか、ひとつの料理ができあがっていく過程やそこにある隠し味、スパイス、うま味のようなものが手に取るように感じられるから不思議です。個人的には、キングカメハメハの産駒であり、後継種牡馬の1頭であるベルシャザールが父に最も似ているという箇所に何度も頷きました。血統という記号を追うのではなく、アナログな部分も垣間見えるところが良いですね。そして何よりも上手いなと思ったのは、この取扱説明書は実際の馬やレースに当てはめてみることで実用性に気づくものであって、つまりこの「血統のトリセツ」を片手に、YouTubeチャンネル「競馬オタク」を観るべきということなのです。


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