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ハートばかりは真似しようとも真似できない


NHKマイルC2020-観戦記ー
好スタートからレシステンシアがあっさりと先頭に立ち、前半マイル46秒0、後半が46秒5という、このメンバーにしてはスローに落としてレースの主導権を握った。前に行った馬は止まりにくく、後ろからは差しづらい絶好の馬場状態(嫌味)も加わり、道中のポジションが勝敗を分けた。

勝ったラウダシオン(M・デムーロ騎手)は1頭だけ、明確な意思を持って、スタート直後から馬を出して前のポジションを取りに行った。もしかするとレシステンシアがペースを上げて、鈴を付けに行った自分が大バテてしまう可能性があったにもかかわらず、前残りのチャンスに賭けた。もちろん、馬場も計算の内にあっただろうが、他の騎手にはできなかったことをデムーロ騎手がしてのけたからこそ、勝利の2文字を手に入れた。その差は何だろう。騎手としての技術や経験ではない。度胸や勇気のようなものだと思う。このハートばかりは真似しようとも真似できない。

ラウダシオンはリアルインパクトの初年度産駒として初のG1ウィナーとなった。父リアルインパクトから良さを受け継ぎ、馬体の完成度が高く、特に前駆の力強さは古馬のよう。気性は前向きであり、それゆえやや単調な面もあるが、今回はそのパワーと前進気勢がプラスに働いた。今回は展開や馬場に恵まれた面があるだけに、次のレース(たとえば安田記念)でも即通用するかどうか、また完成度の高い馬体だけに、夏を越しての成長度にも疑問が残る。再び大きなタイトルが獲れるかどうかは別にして、馬体の完成度と前進気勢は確実に武器になる。

牝馬ながらも1番人気に推されたレシステンシアは、自分のペースでレースを作り、最後まで踏ん張った。最も逃げ馬にとって不利な東京芝マイル戦でここまで走ったのだから素晴らしい。馬体は完成されていて、これ以上の姿は望めないが、現時点での完成度の高さを生かしてみせた。ルメール騎手は、実に絶妙なペースで逃げたと思う。遅くても切れ負けしてしまうし、速ければバテてしまうだろう。その中間のペースを、テン乗りにもかかわらず刻んだのはさすがである。府中のマイル戦を逃げ切るということは、それだけ難しいのだ。

デムーロ騎手とルメール騎手のワンツーフィニッシュという良く見た風景だが、今回もたまたまだろうか。互いがマークして目標にしていることは確かにある。それでも彼らのレースにおける戦略が高い確率ではまるのは、頭で分かっていることを、心と体で実行できるからである。

ギルデッドミラーは好スタートを決め、スムーズに先行できたのが功を奏した。福永騎手が道中でスッと内に入れた判断も素晴らしい。ひとつ前のポジションが取れなかったのは、(シャインガーネットも同じだが)オルフェーヴル産駒ゆえに気性的に燃えてしまうのを恐れたからだろう。

タイセイビジョンは内枠を生かして、絶好のポジションを走ることができた。道中で隣の馬にこすられて嫌がるシーンはあったが、それ以外はパーフェクトに乗られて力を出し切った。仕上がりも良く、これ以上の走りは望めないだろう。

ルフトシュトロームは末脚を生かす競馬に徹して5着に食い込んだ。到底勝てるレースではなかったが、現時点では完成度の高くないこの馬の力を最大限に発揮するにはこれしかなかった。古馬になってから強くなるはず。レーン騎手も最後の直線で落ち着いて馬群をさばいていた。

サトノインプレッサは連勝を伸ばすことができなかった。前半はペースについていくのがやっとで、ラストもこの馬なりに脚を伸ばしているが、現時点ではこれが限界だろう。素質はかなり高いが、まだまだ完成度が低く、これから強くなる馬である。今は負けても、いつか勝てば良い。

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