天下一品
by echizen
宝塚記念2009-観戦記-
誰も行かないんだったら俺が行くよ、と言わんばかりのダービージョッキーを外から交わし、コスモバルクが玉砕覚悟の逃げを打った。前半1000mが59秒ジャストとやや速めだが、2番手以降はおよそ平均ペースで流れた。展開に有利不利が少なく、どこから行った馬でも力を発揮できる、紛れの少ないレースとなった。
勝ったドリームジャーニーは、ディープスカイを終始マークして、直線だけであっという間に突き抜けた。2歳時に軽く飛んだと表現された末脚は、古馬になってからさらに力強さを増し、3年という歳月を経て、再び頂点へと上り詰めた。母父メジロマックイーン譲りの成長力に加え、父ステイゴールドからは旺盛な闘争心を見事に受け継いでいる。特に今回の宝塚記念は、420kg台の馬とは思えない、馬体のボリュームと筋肉の盛り上がりを誇示していた。今年に入って4戦を使われつつ、最高の体調にあったことは間違いない。ゴール前では抑える余裕も見せて、本当に強い競馬であった。
池添謙一騎手は完全にドリームジャーニーを手の内に入れている。道中での折り合いの付け方から仕掛けどころまで、文句なしの騎乗であった。こういった後ろから行く馬に乗せると本当に上手い。チャンスがあると思えば思うほど、仕掛けのタイミングを我慢することは難しく、分かっていても、気持ちが先に動いてしまう。デュランダルやスイープトウショウといった名馬たちに、無心を演じることを教えてもらったのだろう。勝負どころでスッと馬を動かす技術も天下一品である。
サクラメガワンダーは正攻法の競馬で勝ちに行ったが、勝ち馬の切れ味に屈してしまった。とはいえ、昨年の鳴尾記念あたりからの成長は著しく、このメンバーに入っても見劣らないだけの力を付けている。クラシックでも期待された馬だが、祖母サクラクレアーから流れる血脈がようやく6歳にして開花してきた。もう少しトモに筋肉がついてくれば、最後のひとふん張りが利き、G1のタイトルにも手が届くのではないだろうか。夏を越しての成長を楽しみに待ちたい。
1番人気に推されたディープスカイは、4コーナー手前ですでに手応えが怪しくなり、直線に向いて勝ち馬に交わされると、全く抵抗できなかった。馬体は絞れ、最高の仕上がりを見せていただけに、不甲斐なさだけが残った。数字的には体調は戻っているだけに、考えられる敗因としては、ダービーを勝ったことによる精神的なダメージをまだ引きずっているということだろうか。細かいことを言えば、今回も道中で舌がハミを越しかけていたように、ハミ受けの悪さが出てきているように映る(安田記念の最終追い切りでもそのような仕草は見られた)。それもこれも走ることに対して苦しがっているからである。この結果を受けて、凱旋門賞うんぬんの前に陣営が採るべき選択肢はひとつ。厩舎に置いておくのではなく、勇気を持って放牧に出すことだ。
カンパニーは外枠発走からスッと先行し、4番手で見事に折り合った。最後は上位3頭に交わされてしまったが、この馬の力は出し切っている。今回は体調も良く、悔いのないレースであっただろう。アルナスラインは馬体重こそマイナスではあったが、最終追い切りでバタバタしていたように、前走時に比べると仕上がりが優れなかった印象を受けた。追い切りで動かないこの馬にとっては、天皇賞春からおよそ2ヶ月という間隔の長さが裏目に出てしまった。

シルクロードS2008-観戦記-
好発の武豊レジネッタが先制攻撃を仕掛ける形で、マイネブリッツがハナに立ち、途中からエイシンパンサーが先頭に踊り出たレースは、前半46秒2、後半47秒6という前傾ペース。新阪神マイルコースは3コーナーから4コーナーがゆったりと流れることが多いが、今回はジョッキーたちがそのことを多分に意識しすぎた結果、まさかのハイペースとなった。外枠を引いたジョッキーたちが、スローに流れることを嫌い、前々へと位置しようと積極的に動いたことの影響も大きい。そのため、早熟のスピード馬たちが直線の坂で力尽き、後発の中距離馬が逆転した。

高松宮記念2007-観戦記-



高松宮記念2006-観戦記-
