ロジユニヴァースは皐月賞とダービーを勝てるのか?
毎年、この時期になると、クラシックに向けて有力馬について占ってほしい、という主旨のメールを頂戴する。実は毎年、私もそうしたいと思っているのだが、なぜか機会を逸してしまう。そこで今年はようやく重い腰を上げてみたものの、どうやら期待に応えられそうにない。なぜかというと、これまでの若駒戦を振り返ってみても、およそ大方の予想と同じことしか書けそうにないからである。牡馬で言うとロジユニヴァース、牝馬で言うとブエナビスタ。この2頭の素質が他を圧倒していることは明らかであり、順調に行けば順当な結果が待っていることだろう。
それでは面白くもなんともないので、ロジユニヴァースについて書いてみたい。正直に言って、ロジユニヴァースの父であるネオユニヴァースの初年度産駒から、こんな大物が現れるとは思いもしなかった。というのも、サンデーサイレンス産駒の後継者たちの中でも、ネオユニヴァースは線の細いイメージがあったからである。先に種牡馬としても成功を収めているアグネスタキオンやフジキセキに比べ、ネオユニヴァースはスケールが小さかった。皐月賞とダービーの2冠を勝ってはいるが、唸るように強かった2頭に比べると、大物感は少なかった。だからこそ、初年度産駒の牧場での評判が良いと聞いても、あまり大きな期待はしていなかった。
しかし、こうしてロジユニヴァースという馬を目の当たりにして、種牡馬としてのネオユニヴァースを改めて見つめてみると、その血に眠る秘密が少しずつ分かってくる。ネオユニヴァースには5代に遡ってみてもクロスされている血が全くない。ほぼ完全なアウトブリードが成立しているということだ。さらに、現在の世界の競馬を席巻しているミスタープロスペクター系やノーザンダンサー系の主流血統が全く入り込んでいない。そして母系には、重苦しいと言ってもさしつかえのないほど、欧州のスタミナと底力に溢れる血が流れている。これはアグネスタキオンやフジキセキの血統構成と共通する点である。種牡馬としてのスケールや大物感は前記2頭と双肩するのだ。これがネオユニヴァースとロジユニヴァースを紐解く鍵となる。
私がロジユニヴァースを超がつく大物だと感じたのは、札幌2歳Sを勝ったレースである。休み明けでプラス26kgの馬体重で重賞をあっさり勝った馬など、私の記憶にはほとんどない。しかも、直線での走る格好が非常に素晴らしかった。およそ休み明けで大幅な馬体増のサラブレッドが走るフォームとは思えない力強さに溢れていた。力の要る馬場での走りだけに、スピードや瞬発力だけではなく、相当なパワーも秘めていることが分かった。暮れのラジオNIKKEI賞はそれほど強さを感じさせなかったが、それでもさらにプラス10kgの馬体重なのだから、成長著しいとはこの馬のことを言うのだろう。今年から騎乗に対する考え方を変えてきた横山典弘騎手と、関東屈指の敏腕調教師が支えているのも心強い。
ただし、懸念材料もあるにはある。これは私だけの杞憂に終わるのかもしれないが、弥生賞を使うことが気に食わない。クラシックへの王道であることは百も承知なのだが、これから先の本番を見据えると、言い方は悪いが、もう少し楽なレースをステップにしても良いのではないだろうか。特に今年はなかなかのメンバーが集まりそうなので、勝つためにはきっちりと仕上げなければならなくなる。逆に中途半端に仕上げて万が一負けてしまっても、ずっと連勝してきている馬だけに、本番前に気持ちが切れてしまう恐れもある。どちらにしても、関東馬として久しぶりの皐月賞とダービー連勝を狙う以上、弥生賞に出走することが悪手となる可能性は高い。あのアグネスタキオンやフジキセキでさえ、クラシックを断念せざるを得なかった、魔のローテーションなのだから。
夏競馬が終わり、ようやく開催が中央に戻ってきた。もう来月にはG1シリーズが始まるのだから、サラブレッドたちも忙しい。この9月いう時期は、秋のG1シリーズに向かうにあたっての過渡期にあたるシーズンである。そこで、期間限定ではあるが、9月競馬の攻略法について少し考えてみたい。
20世紀の後半、世界の血統勢力図をもの凄い勢いで塗り替えたノーザンダンサーは、夏は高温多湿で、冬は氷点下30度前後まで冷え込むというカナダの牧場で生まれ育った。それだけでなく、神経をイラつかせるハエやアブにたかられるため、特に夏は炎天下の狭い馬房の中に閉じ込められて過ごさざるをえなかった。もちろん、エアコンや扇風機のようなものはない。そんな過酷な環境の下で育ったノーザンダンサーが、並はずれた精神力や環境への適応能力を身につけていったのは当然のことである。



今月号の「優駿」で、騎手自身が選ぶ「マイ・ベスト・レース」という企画を読んだ。安藤勝己騎手からペリエ騎手、そして岡部元ジョッキーまで、15人のジョッキーらが自ら騎乗したレースの中でも最高のものを1つだけ選ぶという企画なのだが、私の印象に深く残ったのは、横山典弘騎手が選んだ2006年のフラワーカップである。
日本人ジョッキーの中では、武豊→安藤勝己→横山典弘→岩田康成騎手の順に上手いという仮説を私は持っている。これはあくまでも現在の仮説であるし、「どの騎手が上手いか」という問いは、「どの馬が強いか」という問いと同じくらいナンセンスであることは百も承知である。





コスモバルクが62kgの負担重量を背負って、今週の札幌日経オープンに出走する。まさに酷量であるが、この苛酷なハンディキャップは、サラブレッドにとってだけではなく、実は騎手にとっても大きなハンデとなる。









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