昨年の覇者は買い?それとも消し?
私たちが馬券の検討をする際に、昨年の覇者をどう扱うかという問題に直面することがあるだろう。昨年そのレースを勝った馬が今年も再び出走してくることができる重賞レースでは、そういった問題が起こりやすい。特に夏競馬や隙間の重賞で、その傾向は顕著である。G1レースに比べて、ある特定の条件のレースにある特定の馬が目標を定めて、何度も出走してくることが多いからである。
昨年の覇者を考えると、2面性が浮かび上がってくる。プラス面でいうと、昨年の覇者はそのレースにおける適性が高い。その馬の特性(個性)が、その特定のレースで要求されているスピードやスタミナ、脚質や器用さ等と合致したからこそ、昨年は勝てたのである。マイナス面でいえば、昨年の覇者はひとつ歳を取っているということである。高齢まで活躍できる馬もいることは確かだが、1年という年月の経過によって、基本的には昨年に比べると力が衰えているケースが多いだろう。また、昨年の覇者ということでマークされる立場に回ることにもなる。
結論から述べると、昨年の覇者をもう一度狙うかどうかの基準は人気である。昨年よりも人気になっていれば消し、人気になっていなければ買いということだ。なぜ人気を基準にするかというと、あくまでも妙味の問題である。つまり昨年の覇者には、そのレースに対する適性は高いという好材料と力が衰えている上にマークされるというリスクが同居している以上、人気になっている馬を買うのは美味しくなく、人気が下がっている馬は狙いどきということである。
たとえば、マツリダゴッホがオールカマーを3連覇したことは記憶に新しい。どのレースも、他の馬たちには手も脚も出させない完勝であった。マツリダゴッホのオールカマーにおける人気(単勝オッズ)は以下のとおり。
2007年 2.3倍(1番人気)
2008年 1.4倍(1番人気) 消し!
2009年 4.6倍(3番人気) 買い!
オールカマーにおけるマツリダゴッホの場合、2008年は昨年よりも人気になっているので消し、今年2009年は昨年よりも人気になっていないので買いということだ。そうすると、昨年は外れてしまうことになるが、それは仕方ないことだろう。1.4倍の馬券を買わずに外れても、今年の4.6倍の単勝を当てる方が良い。つまり、結果的に見ると、マツリダゴッホの力は衰えていなかったわけだが、そのリスクを考慮に入れると2008年は買うべきではない馬券であり、逆にオールカマーというレース(特に中山2200m)に対する適性を考えると、人気が落ちた今年は絶好の買い時だったといえる。
もう1頭、今年もサマースプリントチャンピオンに輝いたカノヤザクラを例に取り上げたい。カノヤザクラが連覇を狙った、アイビスサマーダッシュとセントウルSにおける人気と着順は以下のとおりである。
アイビスサマーダッシュ
2008年 5.4倍(2番人気) 1着
2009年 7.5倍(3番人気) 1着 買い!
セントウルS
2008年 7.6倍(3番人気) 1着
2009年 3.4倍(2番人気) 4着 消し!
アイビスサマーダッシュは昨年あれだけの強さを見せつけたにもかかわらず、臨戦態勢等が不安視されたのか、7.5倍の3番人気にとどまった。スタートからゴールまで折り合いを気にすることなく一気に走り切る、新潟の直線競馬に対するカノヤザクラの適性の高さを考慮すると、この7.5倍は非常に美味しい馬券だったといえるのではないか。対照的に、セントウルSでは昨年と打って変わって3.4倍の2番人気に支持されてしまい、牝馬の5歳であることを考えると、昨年ほどの勢いを期待するのは酷だったということになる。
あくまでも私が述べているのは妙味の話である。もちろん、昨年の覇者といっても各馬それぞれの状況があるが、もし買いか消しかで迷ったら、昨年よりも人気になっていれば消し、人気になっていなければ買いという基準で判断してみて欲しい。そして、もう勘の良い方ならばお気づきになったと思うが、昨年の覇者は昨年よりも人気になりやすいので基本的には消しになることが多い。今年の京都大賞典には、昨年の覇者トーホウアランが出走してくる。昨年は9.1倍の4番人気で見事勝利したが、今年はおそらくそれよりも人気になりそうな雰囲気である。よって、今年は買うつもりがないのだが、果たして結果はいかに。

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連勝している馬は、それだけで人気になってしまう。馬柱に1、1、1…と数字が並んでいれば、誰が見ても勢いを感じるだろうし、その馬の能力の高さが分かるからである。競馬をよく見ている人ほど、その勝ちっぷりの良さを知っていて、そしてここ最近ではその馬が勝つところしか見ていないように思えるだろう。そんな馬をいきなり馬券の対象外とするのは難しく、どちらかというともう一丁を期待して、渾身の◎を打ちたくなるのも当然である。
夏競馬攻略法のひとつに、牝馬を狙うというものがある。これまで20年近く競馬を観てきて、夏競馬における牝馬の強さはよく分かっているつもりだが、牝馬が暑さに強いという理由にはどうしても納得がいかない。生物学的に、牡馬に比べ牝馬は暑さや痛みなどに対して我慢強く、また環境の変化への対応力にも長けているとされる。本当だろうか。
夏競馬が終わり、ようやく開催が中央に戻ってきた。もう来月にはG1シリーズが始まるのだから、サラブレッドたちも忙しい。この9月いう時期は、秋のG1シリーズに向かうにあたっての過渡期にあたるシーズンである。そこで、期間限定ではあるが、9月競馬の攻略法について少し考えてみたい。
20世紀の後半、世界の血統勢力図をもの凄い勢いで塗り替えたノーザンダンサーは、夏は高温多湿で、冬は氷点下30度前後まで冷え込むというカナダの牧場で生まれ育った。それだけでなく、神経をイラつかせるハエやアブにたかられるため、特に夏は炎天下の狭い馬房の中に閉じ込められて過ごさざるをえなかった。もちろん、エアコンや扇風機のようなものはない。そんな過酷な環境の下で育ったノーザンダンサーが、並はずれた精神力や環境への適応能力を身につけていったのは当然のことである。



今月号の「優駿」で、騎手自身が選ぶ「マイ・ベスト・レース」という企画を読んだ。安藤勝己騎手からペリエ騎手、そして岡部元ジョッキーまで、15人のジョッキーらが自ら騎乗したレースの中でも最高のものを1つだけ選ぶという企画なのだが、私の印象に深く残ったのは、横山典弘騎手が選んだ2006年のフラワーカップである。
日本人ジョッキーの中では、武豊→安藤勝己→横山典弘→岩田康成騎手の順に上手いという仮説を私は持っている。これはあくまでも現在の仮説であるし、「どの騎手が上手いか」という問いは、「どの馬が強いか」という問いと同じくらいナンセンスであることは百も承知である。





コスモバルクが62kgの負担重量を背負って、今週の札幌日経オープンに出走する。まさに酷量であるが、この苛酷なハンディキャップは、サラブレッドにとってだけではなく、実は騎手にとっても大きなハンデとなる。









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