9月競馬を攻略する2つのポイント
夏競馬が終わり、ようやく開催が中央に戻ってきた。もう来月にはG1シリーズが始まるのだから、サラブレッドたちも忙しい。この9月いう時期は、秋のG1シリーズに向かうにあたっての過渡期にあたるシーズンである。そこで、期間限定ではあるが、9月競馬の攻略法について少し考えてみたい。
まずは、休み明けの馬よりも夏競馬を使ってきた馬を狙うということだ。この時期はまだまだ暑く、休み明けの馬にとっては調整が難しく、レースに行っていきなり能力を発揮しづらい。ところが、休み明けの馬は実績のある馬であることが多いため、たとえ仕上がりが悪くても、どうしても人気になってしまう面は否めない。私たちは春競馬での強い姿を覚えているので、ある程度の期待と幻想を持って、休み明けにもかかわらず実績馬を人気に祭り上げてしまうのだ。
実績馬がひと叩きされた後(10月以降)では、夏競馬を使ってきた馬の力関係は逆転する。夏に酷使された馬たちは力を使い果たし、夏を休養にあてていた実績馬たちの体調が上向いてくるということだ。つまり、9月いう時期は秋のG1シリーズに向かうにあたっての過渡期にあたるシーズンではあるが、厳密にいうと、夏競馬の延長線上にあるということになる。確かに休み明けの実績馬の取捨は難しいが、人気的な妙味を考慮すると、夏競馬を使ってきた馬を狙う方が妙味だろう。
さらに、前に行くことの出来る逃げ・先行馬を狙うということだ。普段は酷使されることの多い阪神競馬場や中山競馬場の芝だが、この時期だけは夏の間にしっかりと養生されたことで、芝がしっかりと根を張った野芝100%の状態になっている。どの馬にとっても走りやすい絶好の馬場であり、それゆえ速い時計が出やすい高速馬場でもある。マイル戦で1分32秒台の時計など当たり前で、全馬の上がり3ハロン時計が33秒台であるレースも珍しくない。
このような極めて速い上がりで決着するレースにおいては、多少のハイペースで道中が流れたとしても、前に行った馬はなかなか止まらない。たとえ後ろから行った馬が32秒台の強烈な脚を使って突っ込んできたとしても届かないということが頻出する。さすがにサラブレッドの使える脚には限界があるので、後ろから行ってしまうと物理的に届かないということである。もちろん、前有利をジョッキーたちが意識しすぎてオーバーペースになり、前崩れが起きることもあり得るが、それでも、私たちが思っている以上に、スムーズに前に行くことの出来る馬に妙味がある。
以上2つのポイントは、ごく当たり前のことではあるのだが、どんなテクニックよりも9月競馬においては効果的なので書き留めておくことにした。私たちが思っている以上に、休み明けの馬よりも夏競馬を使ってきた馬の方が優勢であり、また前に行くことの出来る逃げ・先行馬に有利であるということだ。これらのポイントを頭のどこかで意識しておくことで、危険な人気馬や意外なダークホースを見つけることが出来るかもしれない。競馬は私たちが考えるよりも複雑なゲームであるが、意外と単純な文脈から結果が出ることもあるのだから不思議である。
photo by fake Place
20世紀の後半、世界の血統勢力図をもの凄い勢いで塗り替えたノーザンダンサーは、夏は高温多湿で、冬は氷点下30度前後まで冷え込むというカナダの牧場で生まれ育った。それだけでなく、神経をイラつかせるハエやアブにたかられるため、特に夏は炎天下の狭い馬房の中に閉じ込められて過ごさざるをえなかった。もちろん、エアコンや扇風機のようなものはない。そんな過酷な環境の下で育ったノーザンダンサーが、並はずれた精神力や環境への適応能力を身につけていったのは当然のことである。



今月号の「優駿」で、騎手自身が選ぶ「マイ・ベスト・レース」という企画を読んだ。安藤勝己騎手からペリエ騎手、そして岡部元ジョッキーまで、15人のジョッキーらが自ら騎乗したレースの中でも最高のものを1つだけ選ぶという企画なのだが、私の印象に深く残ったのは、横山典弘騎手が選んだ2006年のフラワーカップである。
日本人ジョッキーの中では、武豊→安藤勝己→横山典弘→岩田康成騎手の順に上手いという仮説を私は持っている。これはあくまでも現在の仮説であるし、「どの騎手が上手いか」という問いは、「どの馬が強いか」という問いと同じくらいナンセンスであることは百も承知である。





コスモバルクが62kgの負担重量を背負って、今週の札幌日経オープンに出走する。まさに酷量であるが、この苛酷なハンディキャップは、サラブレッドにとってだけではなく、実は騎手にとっても大きなハンデとなる。
