針の穴を通せ

Jiromaru

オグリキャップが有馬記念を勝った年に競馬を始めた私にとって、トウカイテイオーの勝ったダービーが初めてのダービーでした。トウカイテイオーがあまりにも悠々と勝ってしまったので、あの時はダービーの重みが分かりませんでしたが、競馬と共に歳月を過ごせば過ごすほど、ダービーという言葉が重くのしかかってきます。毎年生まれる1万頭近いサラブレッドの中から、たった1頭だけが頂点に立つことができる一生に一度のレース。競馬に携わるものであれば、誰もが一度は夢見る檜舞台。今年もまた眠れない夜を過ごすことになりそうです。

さて、ルドルフおやじさん、オークスに続いてお手紙ありがとうございます。今年のダービーは役者が揃いましたね。どの馬が先頭でゴール板を駆け抜けても、どのジョッキーが勝利の拳を握り締めても、ドラマチックな結末になりそうな予感がします。

まずは皐月賞馬アンライバルドについて。レース毎に成長していて、ダービーで堂々の1番人気に推されるまで上り詰めました。ただ正直に言うと、ここまでの馬になるとは想像すらしていませんでした。馬を観る人が観れば、アンライバルドにはこの血統に特有の馬体の幼さや気性的な心配があることが分かります。能力の高さは疑いようがないのですが、それを発揮することを妨げる潜在的な悪さや弱さが見え隠れしている馬です。伝説の新馬戦を勝ち、あたかもエリート街道をそのまま走ってきたようにも見えますが、そうではないでしょう。

アンライバルドに関わる全ての人々が、この馬の潜在的な悪さや弱さを出さないよう、慎重に慎重を重ねてケアしてきた結果がここに繋がっているのです。離乳から始まり、仔別れ、馴致、トレセンへの運動、そして入厩に至るまで、ひとりひとりの愛情がこの馬を最高の形でダービーに導いたのです。道を分けた選択もたくさんあったのではないでしょうか。たとえば、京都2歳を3着に破れたのち、もし友道調教師がラジオNIKKEI杯にアンライバルドを出走させていたとしたら、勝っても負けても、おそらく別の馬になってしまっていた可能性もあると思います。それぐらい表裏一体の馬ということです。1番人気のオッズが示しているほど、陣営は簡単に勝てるとは思っていないはずです。

岩田康誠騎手の手綱が担ってきた役割も少なくありません。アンライバルドの走ったどのレースを観ても、先につながるように、技術の限りを尽くしてゴールまで持ってきていることが分かります。運に恵まれた部分も確かにありますが、アンライバルドが走ることを嫌いにならないよう、その時点での力を出し切れるよう、馬にレースを教えながら導いてきました。田原成貴元ジョッキーは、「針の穴を通すようなレース」と表現していましたね。かつては馬を壊すなどと揶揄された時代を乗り越えて、ようやくここまでたどり着きました。もしこの難しい馬でダービーを勝つことが出来れば、喜びもひとしおでしょう。

皐月賞でスキャンダラスな惨敗を喫したロジユニヴァースも巻き返してくるはずです。「サラ系」として蔑まれた母系なんですね。もう一度書きますが、この馬の皐月賞の敗因は、無敗で連勝してきたことによる人間のプレッシャーが馬にも伝わってしまったことに尽きます。負けられない、負けたくないという陣営の気持ちがロジユニヴァースに伝わり、思わず早く仕上がってしまい、ピークを保っていた精神状態がちょうど皐月賞前にプッツリいってしまったのでしょう。

ただ、変な言い方ですが、あそこで大敗を喫して良かったと思います。下手に食い下がって余力を使い果たしてしまうよりも、底をついた状態からの方がダービーに向けての回復が望めるからです。あれから6週間の間に、少しずつコップに水が溜まってきているはずです。そもそも、2歳時に2度関西に輸送して圧勝してきた馬ですから、その素質は一級品であることに疑いの余地はありません。連勝が途切れた馬が巻き返すのは極めて難しいことなのですが、横山典弘騎手の言うように、この馬の生命力、回復力、成長力に賭けたいと思います。

リーチザクラウンも巻き返しが期待できます。大跳びの馬だけに、小回りの中山競馬場よりも、伸び伸びと走れる府中の方が合うことは間違いありません。無理して行かせることのない枠を引きましたし、前半はひたすら折り合いに専念するはずです。体がグニャグニャしていて、実が入ってこれから強くなる馬だと思いますが、この馬の走りが出来れば、直線ではあわやというシーンを作ることもあるかもしれません。気楽に乗って一発を狙ってくる武豊騎手は怖いですね。

アプレザンレーヴは、内田博幸騎手が最高に上手く乗って、どこまで来ることが出来るでしょうか。青葉賞を勝った父シンボリクリスエスと同じ道を歩んできていますが、父の方がこの時期の完成度は高かったですね。私のイメージとしては、同じ藤沢和雄厩舎のゼンノロブロイと同じぐらいではないでしょうか。皐月賞組と比べると、やはり完成度という点で劣る気がします。それでもダービーはネオユニヴァースの2着なのですが。それから全然関係ないかもしれないのですが、実はこの馬は芦毛なのですね。芦毛は私の中でキーワードなので、そういった意味では2着候補としては注目しています。

今年もダービーを見ることができて、ありがとうと私も言いたいです。
感謝の意を込めて、ダービーの印を打ちたいと思います。

◎アンライバルド
○リーチザクラウン
▲ロジユニヴァース
△アプレザンレーヴ

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アプレザンレーヴは次代の競馬を担っていく血統

Rudolf

こんにちは。
今年は録画でダービー観戦かな、と思って残念がっていたところ、なんたる僥倖!
出張がキャンセルになって、今年も馬券を握りしめて観戦できるようになりました。
うれしいです。
ただ、これでもう運を遣い果した気もしないではない。・・たぶん馬券ははずれるなあ。
というわけでダービー出走予定馬の短評をば急いで書いてしまいました!

ロジU。
皐月賞での敗戦はまさにスキャンダルな敗戦でした。堕ちた偶像、大いなる挫折、そんな感じの敗北かな。この母系は今はきちんとサラブレッドと認められているんですが、40年ほど前までは、血統書がなくていわゆる「サラ系」として蔑まれた母系なんです。プリンスリーギフトが流行した時代に、その直仔のソーブレスドという種牡馬が輸入されたのを覚えていますか?確かなスピードをもった母系なのですが、「サラ系」ということで誰にも見向きもされなかった。あの馬もロジUの母系から出てました。So blessed(たいそう祝福されたる)という名が悲しいですな。

やるせないロジUの敗北。何が災いしたのかなあ?2歳にして2度の関西遠征、ちと過酷だったかもしれない。その2度目の遠征の2歳Sがあまりに激しいレースで消耗度が大きかったのかもしれない。短期放牧で立て直されたというが、角居調教師などは短期放牧の効用を認めていないという・・。この手の血は良くないことをいっぱい手繰り寄せる・・・うーむ。

Uライバルド。
ソーブレスドと同時期に輸入された種牡馬にサンプリンスという馬がいました。この馬も種牡馬としては失敗しました。しかし、こちらは英国の至宝といっていいほどの良血!なかでもこの血統から出たサンプリンセスは、12馬身差でオークスを圧勝した伝説的な名牝であります。彼女の娘にバレークイーンというのがいて・・・ここからはもう書く必要はありませんね。奇跡の馬Fコンコルドを筆頭に、リンカーン、ヴィクトリー、ボーンキング・・・・両手の指でも数え切れないほどの活躍馬がこの血統から出ています。

四白流星のUライバルドはまさに、プリンスとプリンセスの中で育った貴公子ですね。うらやまのしいたけである。ちなみにUライバルドの父親のネオやレディーパステルもこの一族から出ています。この血統の魅力は単なる良血のボンボンを生まないところにあるんですな。Uライバルドにはそうした荒々しい、有無を言わせぬ血が唸っているように思えてなりません。雨のスプリングSを圧勝したあの強さはこの血の良さがもたらしたものです。

リーチザC。
並の世代だったら、この馬が5連勝で皐月賞馬になっていたはずです。そうはいかの○○玉!デビュー戦でUライバルやビスタに出会ってしまったのがケチのつき始め。Uライバルドに負けたせいで2歳S前に1戦多く走るはめになってしまった。狂った歯車はなかなか元にはもどらぬものです。ただ、母系は6クラウンズから出ている非常に勢いのある血で捨てがたい魅力のある馬です。

トライアンフマーチ。
この馬の皐月賞2着をもって、日本の血統用語に「クインナルビー系」という言葉を加えてもいいでしょう。クインナルビーは牝馬のクラシックには縁はなかった馬ですが、天皇賞1着、ダービー、菊花賞3着など牡馬を相手に華々しい活躍をした女傑ですね。レダなど、この世代の牝馬を牝馬最強世代という人もいます。クインナルビーを起点に、オグリキャップ、オグリローマン、キョウエイマーチに、このTマーチ、ぽつぽつと怖い馬を出しています。3着の穴候補といった評価でしょうか。

セイウンワンダー。
この馬を侮ってはいけませんよ。この馬によって名門サンキスト系は完全復活を果たしました。Mサムソンとは同系になります。成長力と底力ならこの馬だと思います。岩田Jもこの馬を捨てるのに悩んだはずです。久々に朝日杯の王者がダービー馬になるかもしれません。

ナカヤマフェスタ。
タイキブリザードを出す良血ですね。しかし、この血統がダービーを勝てるのかなあといつも疑問に思っています。捨てようと思っているのでおやじにとって怖い1頭です。

ベストメンバー。
ブルリーの出ている血統ですが、これは良血とはいいません。日本ではチョーカイキャロルを出した血統です。タフで強い血統です。あっ、骨折したのですね、残念。

デルフォイ。
シックスセンス、スペルバインドの弟。走っていますねえ。この血統!出走可能であればベストメンバーよりもこちらに魅力を感じます。

ジョーカプチーノ。
スタミナをスピードと切れ味に転換する父、Mカフェの本質を体現したような馬です。母系もスピードがかった血統です。何としてもダービーには参加してみたかったのでしょうか。感心しません。

ブレイクランアウト。
NHKを勝てなかった馬がダービーを勝てるのかと考えればほんの少し穴で押さえればよい程度の馬かなと思えてきます。母系に代々気難しい馬が配されているのも気になります。

アイアンルック。
この馬もあまり買いかぶらないほうがいい馬なのかもしれませんね。

フィフスペトル。
遠く遠く遡れば上のルックと同系ですが、こちらはネバーベンドやボールドリーズンの出た本流。NHKカップ組ではこれが大穴、あめ雨ふれ降れ、といったところですか。

ケイアイライジング。
種牡馬、ホットスパークやライジングライトの出る血統です。父がゴーンウェスト系というのに興味をそそられます。上のフィフスとどっちを買うんだと問われればこっち!

アントニオバローズ。
今年の闘魂はこの馬です。この前の手紙で書いたとおり配合のお手本のような馬!拍手、パチパチパチ。慎重にそっとそっと乗っていただければひょっとひょっとするかもしれないほどのいい馬なのですが、騎手が大胆に乗っちゃうので・・・うーむ残念。秋のマイルCSに乞うご期待!1,2,3あなうまダーッ!

シェーンヴァルト。
これぞ、良血馬。古くは米3冠馬ギャラントフォックス、最近ではトリプティックやジェネラスなど途切れることなく活躍馬を出す血統です。配合もいいですねえ!うむ、うむ、明らかに東京コースで走ります、といった配合です。それでいて皐月賞4着です。まぐれだ、恵まれた4着だとなめてかかったら、泣きをみるかもしれません。切れ味勝負になったときの穴馬です。

マッハヴェロシティー。
Mボーラーの出ている血統です。残念ですが、この馬は父Mカフェの魅力を受け継いでいないような気がします。

トップカミング。
その名とは裏腹のMr3着。しかし、ありがとう、ありがとう。君こそ、この不況下の星だ、エースだ!どんな場合でもきちんと走って己の仕事をする。うむ、うむなるほど血統も地味だな。この馬が3着に負けたときの1、2着馬からダービー馬がでるかも・・・・しれない。因みに、ダービーに関係ありそうな馬を挙げておくと、BRアウト、Aバローズ、Tマーチ、Mヴェロシティー、そしてアプレザンレーヴ。

アプレザンレーヴ。
この血統は次代の競馬を担っていく血統だと思います。母のレーヴドスカーはバレークイーンのように血を広げていける基礎牝馬です。しかし、昨年の暮れ、娘のレーヴダムールが亡くなったのはこの血にとって大きな痛手でした。貴重な後継牝馬を早くもなくした!ダムール!覚えていますか?阪神JFでは1頭だけ際立って強い競馬をしてましたね。わずか1戦1勝の経験で臨んだG1で3角からまくる競馬をしたのだから大したものでした。弟のAレーヴも体力まかせの荒々しい競馬をしてますね。レースが終わるたびに次のレースではもっと強い競馬ができるという期待を抱かせてくれます。

レベルの高いダービーをまた見ることが出来て幸せです。
20万人の人が府中に訪れるとすれば、20万のダービー物語がつむがれます。おやじはアプレザンレーヴとアンライバルドの新旧良血馬の血の物語を見たいと思っています。

◎アプレザンレーヴ
○アンライバルド

2頭をホイールにして、Sワンダー、Aバローズ、Tマーチ、KIライジング、Tカミング、シェーンヴァルトの6頭へ3連複。

ことしもダービーを見ることができて、ありがとう、と大声で誰かに言いたい。

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馬が空を

Jiromaru

ルドルフおやじさん、久しぶりの長いお手紙ありがとうございます。お元気そうで何よりです。先週で終わってしまいましたが、プレミアムギャラリーに来て欲しかったなあ。でも仕方ありませんよね。東京競馬場だけではなく、小倉そして全国の競馬場で開催できる日が、いつか来ることを願います。そう、全てはつながっているのですから。

それでは、今回お越しいただけなかった方々のためにも、展覧会の様子を報告させていただきます。雰囲気が少しでも伝わるといいなあ。

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「プレミアムギャラリー~東京競馬場で輝いた名馬たち」は5月2日~5月17日までの間、東京競馬場フジビュースタンドの3Fセンターコート内で行われました。ウオッカを中心に、東京競馬場で活躍した馬たちの写真とエッセイが12点、絵画が11点という内容でした。写真はPhotostud、絵画は武藤きすいさん、そして、主宰はグリーンチャンネルでもお馴染みの浅野靖典さんでした。

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浅野靖典さんからのあいさつ文です。
今回は様々な面で支えていただき、本当にありがとうございました。

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本馬場からスタンドやパドックへと行き来する往来の多い場所でした。

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非常に多くの競馬ファンに観ていただくことが出来ました。

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モノクロの格好いいレース写真ですね。「死闘」というタイトルをつけました。

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ウオッカとダイワスカーレットが愛くるしく描かれています。
個人的に大好きだった絵です。

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写真とエッセイが融合して、最も人気の高かった作品のひとつです。

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ウッドバーニングという製法を採っているそうです。
ブエナビスタの父スペシャルウィークですね。

ご来場いただいた皆さま、本当にありがとうございました。おかげさまで、とても楽しい6日間を送ることが出来ました。さすがに全ての作品を紹介することは出来ませんが、私のエッセイはこれからも少しずつ紹介していきますので、楽しみにしていてください。今回は2003年天皇賞秋のシンボリクリスエスについて書いたエッセイです。

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「空飛ぶ馬」として最も有名なのはディープインパクトだと思いますが、私の中では、シンボリクリスエスが最初に観た「空飛ぶ馬」です。今となっては、シンボリクリスエスとディープインパクトでは飛び方に違いがあることが分かります。シンボリクリスエスは、他馬がバテて失速した瞬間に、自身のエンジンが掛かり、高く大きく跳んだことで、あたかも飛んだように見えたのでした。対照的にディープインパクトは、低く深く跳ぶ走り方の馬でした。跳びは大きいのですが、低く深く跳ぶため一完歩に要する時間が短いのです。よって、他馬よりも速く遠くへ走ることが出来たのです。

ブエナビスタも明らかにディープインパクトに似た走り方をする馬です。低く深く跳ぶ走り方です。他馬と同じようにもしくはゆっくりと走っているように見えて、実は速く遠くへ進んでいるのです。桜花賞の時、私が「脚が速い」と称したのはこのことですね。普通に走った時のスピードが他馬とは違うということです。この真似するのが極めて難しい走り方をする2頭(ディープインパクトとブエナビスタ)を見ると、どちらも薄くコンパクトな馬体をしていますね。ずんぐりムックリの馬体では、筋肉が邪魔をして、低く走ることが出来ないのかもしれません。

当然のことながら、ブエナビスタにも危険な点はあります。それは前走で33秒台の豪脚を使って勝ったということです。安藤勝己騎手はオークスを意識した完璧な勝ち方をしたのですが、結果的にはラスト3ハロンで33秒台の脚を使うことになってしまいました。そうしなければ勝てなかったわけです。大外を回ってあれだけ鮮やかな勝ち方をしてしまうと、並の馬であれば肉体的な反動が出てしまいます。次走で人気になって飛びやすい(この場合負けてしまうという意味)、典型的なパターンです。

ただし、ブエナビスタは並の馬ではないかもしれません。彼女にとっての33秒台は、もしかすると他の馬の34秒台なのかもしれませんね。実は、ディープインパクトは、私の知る限りにおいて、33秒台の脚を使っても反動がこない唯一無二の馬でした。そう考えると、このオークスがブエナビスタにとっての最初の関門になるような気がしてなりません。果たして、シンボリクリスエス、ディープインパクトにつぐ、「空飛ぶ馬」になれるのでしょうか。最後の直線では安藤勝己騎手になったつもりで、手綱をワッセ、ワッセ!としごいて、ドイチェ、ドイチェ!と応援したいと思います。

ブエナビスタ以外に1頭挙げるとすれば、ワイドサファイアが面白いのではないでしょうか。もしブエナビスタに反動があって伸びあぐねるようなことがあれば、足元をすくうことができるかもしれません。外枠を引いてしまったことは悔やまれますが、そうなった以上は、最初の直線から第1コーナーにかけて、切れ込むような形でインに潜り込むしかありません。イメージとしては、レディパステルやトールポピーが勝った時のような乗り方です。岩田康誠騎手も分かっているでしょうから、隙あらばインを狙ってくるでしょう。クラシックシーズンに向けて成長するアグネスタキオン産駒ですし、折り合いさえつけば、直線ではスパッと切れるはずです。

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Sラインは凱旋門を目指さなあかん!

Rudolf

前回の手紙では、ドイツ血統について書かせてもらいました。父系ではアルヒミスト系がドイツ独自の父系として繁栄していること、母系には優れているAラインがあること・・・

錬金術師という名が災いしたのか、赤軍に喰われてしまうという数奇な運命をたどったアルヒミストは、晩年になって「黒い金」という不思議な金を錬金していました。「シュバルツゴルト」ですね。彼女こそドイツ競馬史上最強の牝馬という人も多いと思います。ディアナ賞(オークス)とドイツダービーを連勝している。同時代に日本ではクリフジがダービーとオークスの両レースを勝っています。クリフジのイメージをもてばいいのでしょうか。それとも最強馬から出た最強牝馬ということで、AタキオンとDスカーレットの父娘をイメージすればいいのでしょうか。いずれにせよ、ドイツの伝説の牝馬ということで神秘的ですね。

シュバルツゴルトは残念ながら、13歳という若さで夭逝してしまいます。しかも残した牝馬はわずかに1頭。普通ならばここでこの牝系は絶たれてしまいます。ところが・・・、この「ところが」があるから、競馬で人生は救われる。

ところが、その1頭から出た「シエラザード」と「ズライカ」が黒い金脈を深く掘り進めて行きます。シエラザードの血が開花したのは80年代になってからです。ルティエという仏が育てた父系と結ばれて、凱旋門賞馬サガスがでます。この馬は降着にならなければ凱旋門を連覇していた最強クラスの馬ですが、残念なことに早世してしまいました。弟のスターリフトも仏G1馬です。さらにシエラザードの血は米でBCのスタンレーン、愛でダービー馬ザグレブとG1馬を輩出します。ザグレブは日本でコスモバルクを出します。バルクの3歳の頃の不思議な強さに黒い金脈の輝きを見ていいのかも知れませんね。

「黒い金」の血はズライカからサヨナラを経てついにエプソムダービーの頂にまで上り詰めました。スリップアンカーですね。そして頂から裾野へ、サヨナラの妹、サンタルチアの血は日本に根付いていきます。95年はドイツSラインが、アグサンを経てビワハイジを送り出し、日本で初めてG1を制した年として記憶に留めておかなくてはなりません。

そしてアグサンの妹、サトルチェンジからはMカフェ。この馬で大切なのは最強世代の菊花賞馬ということでしょう。半端な体力ではこの世代の菊花賞は勝てないのですよ。Mカフェは我が肉体のなかにその体力を留めることができない、といった風情の物凄い体力の持ち主でしたね。これこそシュバルツゴルトだ、なんて勝手に想像していたおやじです。往々にしてこの手のステイヤーはその体力をスピードや切れ味に転換して仔に伝えることがある。どうですか?Mカフェの仔はマイラーや中距離馬にいい馬が多いのではないでしょうか。桜花賞2着のMカフェ産駒、Rディザイアーが連を外すことがあるかもしれません。

この3月2日名門Aライン牝馬アーバンシーが逝きました。少し寂しい思いをしたその週末に、Sラインしかも「黒い金」の末裔、ハイジの娘ブエナビスタは英雄Dインパクトのように日本の競馬場を軽やかに飛んでみせました。2009年3月第1週にドイツAラインとSラインは交差していたんですね。

ドイツの英雄、アルヒミストが倒れて64年、この短い手紙に書いたいくつかの出来事に、治郎丸さんも、読者のみなさんもつながっていたはずです。おやじは自分がアーバンシーの馬券を握り締めたことと父親が赤軍にとらえられたということでつながっていました。

全てのことがつながっている、この週末はビスタが飛ぶ姿のなかに神秘の名馬、アルヒミストとシュバルツゴルトの姿を見つけようではありませんか。

ビスタはもしオークスを勝つことができれば凱旋門賞に挑戦するそうですね。えーでえ、えーでえ、えーでえー!なぜか大阪弁でドイツを応援したくなった。Sラインは凱旋門を目指さなあかん!

今週はシュバルツカッツをギンギンに冷やして、ドイチェ、ドイチェ、ドイチェ!である。

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ドイツ競走馬の理想像アルヒミスト

Rudolf

治郎丸さん、こんにちは。
プレミアムギャラリー!おやじも見たかったなー。
なにせ、1000里も離れて暮らしているので、下駄履きでちょいと見てこようか、とはいきません。

ブログで紹介してもらった、プレミアムギャラリーに展示された「全てがつながっている」という治郎丸さんの文に、おやじも感化されて手紙を書かせてもらっています。

おやじくらいの年になると、まさにこの世の「すべて」が輪廻のようにつながってしまって見えるんです。だから怖いことも不思議なこともない。

今回は、オークスのヒロイン、ブエナビスタとルドルフおやじがいかにつながっているかというとりとめのないお話です。

この3月2日は少しだけ悲しい日になってしまいました。というのは93年の凱旋門賞を13番人気で勝利して世界をあっといわせたアーバンシーが亡くなったからです。この年の凱旋門賞は馬券ファンにとっては地獄のようなレースでした。13番人気のアーバンシーが2着に連れてきたのが17番人気のホワイトマズルだったからです。ホワイトマズル産駒は父に似て人気薄で好走する傾向があって今でもおやじに迷惑をかけているというのはこの田舎町ではちょっとした有名な話です。

アーバンシーはレガシーワールドが勝ったJCにも招待されました。このときは10番人気。凱旋門賞以外はG3を2勝しただけの彼女が人気を集めることはありませんでした。おやじはこの低評価に胸をしめしめさせて単勝を握りしめていましたが・・・。

アーバンシーが凱旋門賞馬にふさわしい底力の持ち主だったことが証明されたのは、彼女が引退してガリレオの母となってからです。ガリレオ、21世紀のスーパーホースですね。エプソムダービー、アイリッシュダービー、キングジョージを3連続して勝つという驚天動地の偉業を成し遂げた。ガリレオということで驚天動地?

キングジョージで負かしたのが当時の最強馬の1頭、ファンタスティックライトというところも凄い。あっ、TMオペラ王やステイゴールドもFライトを負かしていますよね。日本馬も強くなったものです。

アーバンシーの底力を支えていたのはドイツ最古のそして最強の血統、Aラインだろうとおやじは思っています。ドイツ産馬は母の頭文字を仔が受け継ぐことによって、その母系がすぐにわかるようになっていますね。アーバンシー(Urban Sea)は米国産の仏調教馬ですからAの文字は継いでいないのですが、母親(Allegratta)からは代々Aの頭文字が連なっています。

母親(Allegratta)の血統図を開くとすぐにアルヒミスト(Alchimist)の4×5のクロスが目に飛び込んできます。この馬こそがドイツ競馬の歴史を体現したようなヒーローなのです。彼は1930年生まれの馬だからハイペリオンの同級生になります。3歳でウニオンレネン、ドイツダービー、ベルリン大賞などを連勝して底を見せないまま引退というのだから、ガリレオ以上の馬ですね。

このヒーローには他に類を見ない、過酷な運命が待っていました。1945年、不可侵条約を破ってドイツに侵入した赤軍はソ連にドイツの優秀な血統馬を持ち帰ろうとします。アルヒミストもその中の1頭でしたが、運悪く骨折してしまう。赤軍のクレージーなのは骨折した馬は無用ということで自分たちのお腹にいれちまったこと!この年ルドルフおやじの父親も赤軍にとっつかまっている。

しかし、アルヒミストは残した産駒から延々と自らの父系をつむいでいくのです。馬産の中心地、アイルランドやケンタッキーでNダンサー系やネイティブD系が発展するのとはわけがちがう。これはもう奇跡に他なりません。日本で最も長く続いている父系はMアサマ、Mティターン、Mマックイーンの3代ですね。アルヒミストはJCの勝ち馬ランドに至る半世紀、7代の種牡馬たちの祖になった。

例えば、アーバンシーと共にJCを走った、プラティニ(独ダービー馬)やその父ズルムーはこの父系から出ています。それにしてもランドのJCは圧倒的でしたね。逃げるTブリザードを難なくとらえて追いすがるあの、あのヒシアマゾンを1馬身半葬ってしまった。すばらしいスピードと強さ!ドイツ馬は重い馬場専用と思い込んでいたおやじにはいい勉強になりました。

そしてランドのJCから14年、あのヒシアマゾンの血統から出たAムーンがJCを勝ち、岩田騎手を男にしてやった。その男の技量と人格に感心して「全てがつながっている」と書いたのが治郎丸という男。ねっ、やはり全てはつながっていた、治郎丸さんの横には赤軍の兵士が、そしてスターリンがいたんですんな、もう怖いものなしです、がっはははは。

軽く半世紀を越えて尚、スピードとパワーを伝え続けるアルヒミストって恐ろしい種牡馬ですね。残念ながらその命脈を絶とうとしている同じ1930年生まれのハイペリオンとくらべると一層その感を強くします。では偶然奇跡的にアルヒミスト系が続いているかといえば、決してそうじゃあない。それはドイツ流の馬産によってもたらされた必然なのです。

ドイツには競走馬の理想像というものがあるようです。アルヒミストもその理想に近い1頭だと思います。理想形を未来に残すために非常に強い近親交配を行い、近親交配の限界点にたっしたときに、アイルランドや仏や米からドイツ競馬にとってどうでもいいような二流三流のNダンサーなどの血を導入して血を薄め、また理想馬の近親交配ができるようにし、未来にドイツ競走馬の理想像をバトンタッチしていく。

これを計画的にやっていくというのだから、おやじよりもドイツ人は少しおつむがいいようだ。というわけでランドにもアーバンシーにもアルヒミストの血が色濃く滲んでいる。ランドとアーバンシーの国際競争の勝利はドイツ馬産が理想を追究した結果だったのですね。(アーリア人の理想を追究したのはヒトラーだったということも忘れないでおきたいな。悪い面もあるってこと!)

おい、こら。ブエナビスタはどこへいったという、治郎丸さんの声が聞こえてきました。さすがに今回は長くなりそうです。ということで「つづく」となりました。・・・つづく

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4白流星のアンライバルドも強い

Rudolf

おげんきですか?
 
昨日、関西出張3日間を終え、無事帰宅しました。
大切なクラシックウィークの週末なのに、新聞もネットも見ることができませんでした。
 
しかし、怒らない、怒らない、・・・・
 
桜花賞はドイツSライン祭で決着がつきましたね。恐るべしドイツ血統!
 
パドックでは1頭、4歳馬が周回しているようでした。無論ビスタのことです。
 
1、2番人気の決着で馬券にはありつけませんでしたが、感動しました。飛んでましたね。
 
今、ブログを拝見しました。2強の見立てなんですね。なるほど。
Rクラウンのフォームは美しいですね。タマモクロスを思い出しています。
血統もDスカイの一族ということで勢いがあります。
 
ロジUというのはルドルフかもしれません。
今日その「かも」がとれるといいですね。
左後肢1白は名馬の証でしたね。
 
おやじは4白流星のアンRも強いと思っているので3強を唱えておきます。
これは新貴公子でしょう。おやじは自分に似たものをもつアンRに惹かれています、がはははは。あーあ。
 
他にも血統のいい馬が多くて楽しみです。
 
アントニオは、配合の手本のような馬ですね。
この馬が牝馬ならばアルマムードの再来となっていたことでしょう。
アントニオもドイツならば牧場専用種牡馬として重宝されたでしょうね。
(トウショウ牧場のトウショウサミットのような存在)
穴はこの馬とおやじは見ています。
 
そして、18頭のなかで最も血統のよろしくないのが、ロジU。
というのが、なんとも面白い今回の皐月賞。
 
ルドルフを今日の夕刻に思い出す人も多いでしょう。
 
では、また。

注)ルドルフおやじさんより、久しぶりに頂戴していた手紙です。レース後になりますが、せっかくなので紹介させてください。私の見立ては外れてしまいましたが、アンライバルドを拾ったルドルフおやじさんはさすがですね。ロジユニヴァースの血統のよろしくなさをサラッと指摘してもいます。

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◎ディープスカイ

Jiromaru

こちらこそ、お手紙ありがとうございます。

ルドルフおやじさんのおっしゃるように、ここ最近のジャパンカップは甘くないですね。かつては外国馬がアゴアシ付きの旅行気分で来日して、賞金まで持って帰られたレースでしたが、日本馬のレベルが格段に向上したことにより、よほど実力のある馬でないと輸送の不利を克服してまで勝てなくなっています。軽い馬場への適性があるだけではもはや通用しません。エアグルーヴを抑えたピルサドスキーや、シングスピール、ファルブラブ、アルカセットという超一流馬がその目安となると思います。2000年にファンタスティックライトで3着したデットーリ騎手が、勝ったテイエムオペラオーのことを「クレイジーストロング!」と称しましたね。ジャパンカップはクレイジーストロングな馬ではないと勝てないレースになってきています。もちろん日本馬にも同じことが言えるのですが。

さて、今年のジャパンカップを占う前に、まずは伝説のレースとなった天皇賞秋について改めて触れておかないわけにはいきません。何度見直してみても凄いレースでした。たとえハイペースのレースであっても、どこかしら流れが緩むところがあるのですが、今年の天皇賞秋はスタートからゴールまで息をつく隙の全くない激しいスピードレースでした。その激流を最後まで追いかけて食らいついていったのがウオッカとダイワスカーレット、そしてディープスカイでしたね。3着以下との着差はそれほど大きくありませんでしたが、上位3頭だけが全く別の次元でレースをしているようでした。

本命はクレイジーストロングな3歳馬◎ディープスカイに打ちたいと思います。天皇賞秋で最も苦しい競馬をしたのは、もしかするとこの馬かもしれません。四位騎手が馬を出して行ったのですが、意外にも流れが速くなったことにより、ダイワスカーレットのスピードについていきながらも、後ろからウオッカにマークされる形になりました。3歳馬であれだけのレースをして一歩も引かなかったことは褒められていいですし、貴重な経験になったはずです。

思えば天皇賞秋はわずかに馬体を緩く造っていたところもありましたね。ダービーをピークに持ってきた馬ですから、そこから疲れを取りつつ、わずか数ヶ月で100%の状態にネジを戻すのは困難でしょう。それでも3着に走ったことにこの馬の非凡さが窺えます。当初からの目標であった今回のジャパンカップは、明らかに馬体も絞れ、臨戦態勢が整いました。ダービーの疲れを克服して3歳馬を制したのはジャングルポケットだけですが、ディープスカイにも十分にその資格はあります。

勝負のポイントは、スタートしてから1コーナーまでにどれだけ内に進路を取れるかでしょう。今回は天皇賞秋の時ほどに押して出しては行かないはずですが、中団もしくは流れによってはそれよりも後方でも十分に間に合うはずです。メイショウサムソンやウオッカを内に見る形でレースを進めるのではなく、2頭よりも後ろでも構わないので、とにかく内にもぐり込んで欲しいものです。そこさえクリア出来れば、あとはディープスカイの末脚を信じるのみですね。

このメンバーに入っても、ウオッカの実力は上位です。もはや牝馬の肉体を超越していますので、まともにぶつかり合う形になったとしても、この馬を負かせる牡馬は見当たりません。エアグルーヴを彷彿させる正攻法で、世界にこの馬の強さを見せ付けて欲しいものです。そうすれば、私のエアグルーヴという宿病もいささか癒えることでしょう。それでもウオッカに本命を打たなかったのは、前走がかなりの仕上がりに映ったからです。パドックでもトモの筋肉が削げたように見えるほど、ギリギリの仕上がりでした。競走馬というのは、100%の仕上がりの後は必ず下降線を辿ります。今回のジャパンカップは、ウオッカが下降線の体調の中でどこまで踏ん張れるかに注目です。そういった意味で、ディープスカイに逆転のチャンスがあるかなと評価しました。それでも心からウオッカの好走を祈っています。

天皇賞秋組では、アサクサキングスが面白い存在です。前走はぶっつけで多少体が重かったように、決して完調ではありませんでした。休み明けであれだけのスピードレースは厳しいですよね。途中まで付いていったのですが、最後の直線で脚が止まってしまいました。菊花賞を勝ったように、もともとじっくり行く方が良さの出る馬なので、400mの距離延長は明らかにプラスになります。ひと叩きされて、馬体を見る限り、体調は大きくアップしているようです。ただ、長く良い脚を使うタイプなので、府中2400mというコースで切れ味が問われるレースになった際には弱みを出してしまうかもしれません。あとはフランスの魔術師ルメール騎手の腕に期待しましょう。

もう1頭のダービー馬メイショウサムソンは、フランスから帰国後の初戦になります。天皇賞秋を回避してきたように、このジャパンカップに賭ける意気込みが伝わってきます。武豊騎手から石橋守騎手への乗り替わりは、偶然のようで必然のような気もします。サムソンを知り尽くしている石橋騎手がどのように馬を御すのか興味津々です。好枠を引きましたので、前半からかなり積極的に攻めていけるのではないでしょうか。果たして昨年の悔しさを晴らすことができるでしょうか。ただ、馬体を見る限りにおいては、海外遠征で減った馬体が戻っていないのかなという印象も受けました。もしかすると、ひと叩きされた次走が狙い目なのかもしれませんね。

ルドルフおやじさんの評価も高いオーケンブルースリですが、おっしゃる通り、前走の勝ち方は並の馬には出来ない、真のステイヤーの勝ち方でした。メルボルンカップを勝ったあのデルタブルースのようなロングスパートでした。そういう意味では、今年のメンバーで言うと、アサクサキングスに近い特性の持ち主であるとも言えるでしょう。ということは、府中の2400m戦で切れ味勝負になってしまうと分が悪いということです。3歳馬にとってはタフな条件の菊花賞を勝った馬だけに、疲労残りも心配です。別の言い方をすると、この馬の真価を問われるレースということですね。

外国馬ではシックスティーズアイコン、というよりもムルタ騎手に注目しています。今年はエイダン・オブライエン厩舎の主戦ジョッキーとなったことで、キングジョージやアイルランドの5大クラシックを含むG1レースをなんと21勝!という驚異的な活躍をしています。近年は外国馬よりも外国人ジョッキーの活躍が目立ちますので、ぜひ世界レベルの腕を見せてもらいたいものです。もちろん、父ガリレオ、母がイギリスのオークス馬という超良血馬だけに、チャンスがあるからこその来日だと思います。

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ペイパルブルとウオッカの叩き合いが目に浮かぶ。

Rudolf

お手紙ありがとうございました。

治郎丸さんの青い空にはいまだにエアグルーヴいたんですな。それを宿病と表現するのは、言いえて妙でした。治郎丸さんはJCにウオッカがその宿病を癒してくれるか、問うているんですね。わかりました。JCとウオッカがどんな答えを返してくれるか、楽しみです。ただおやじは前回も書いたとおり、今回のJCは甘くはないと思っています。

落ち目だ、落ち目だと陰口を叩かれているJCですが、その気位はますます高くなっていますね。最近は半端な志で臨んだ半端な招待馬は絶対に勝たせません。エアグルーヴをおさえたピルサドスキーのようにチャンピオンSを勝ったり凱旋門賞で2着するような真の実力馬が本気でやってこないとJCは相手にしません。ファビラスをおさえたシングスピールもBCターフ2着を経たよいローテでJCに臨みました。ファルブラウの勝利は完成前のSクリスエスを相手にしたものだから、これはかなり恵まれた勝利だった。

ピルサドスキーのような馬が今回の招待馬のなかにいれば、冷静に日本馬の実力を教えてくれるでしょう。その馬はペイパルブルだと思うんです。今年の英国競馬の白眉はなんと言ってもKジョージ6世&QエリザベスSでしょう。4歳になって急に力をつけG1を3連勝してきたデュークオブマーマレードの独壇場かと思われていたレースです。デュークは、大方の予想通り4角から外目を回って楽な手ごたえで他馬をねじ伏せにかかりました。デュークが2着に何馬身差をつけるかということだけがレースに残された興味かと思われたとき、1頭、デュークに猛然と襲いかかる馬がいたんです。

ペイパルブル。直線半ばペイパルブルはデュークを内らちに追い詰め、半馬身リードします。そこからの叩き合いが凄まじかった。内に閉じ込められたデュークが巻き返す。ペイパルブルも譲らない。最後はデュークの執念に屈し、もう少しのところで金星を逃したペイパルブルでしたが、3着のユムゼインには9馬身もの差をつけていました。ユムゼインは凱旋門賞でザルカヴァの2着を確保した底力のある馬です。7月のアスコットの風は思っていたより冷たかったなあ、がはっははは。

ペイパルブルの父はあのモンジュなんですね。モンジュはきっとJCでシラオキ系のスペシャルウィークに負けたことを覚えていたんでしょう。今度はシラオキ系のウオッカをJCに呼び寄せて仕返ししようとしている。恐るべき執念、モンジュ。

おやじの目にはペイパルブルとウオッカの叩き合いが目に浮かんでいます。実力ではペイパルブルですが、ウオッカには地の利がありますね。ウオッカは勝とうとする意欲のとても高い馬で、この点もペイパルブルを上回っていると思います。岩田騎手が乗るのもいいですね。安田記念の背筋の凍るようなウオッカの強さが忘れられません。彼はきっとウオッカの闘争心をうまく引き出してくれると思います。好勝負が期待できます。

レベルが低いと言われた3歳世代ですが、ディープスカイはやはり強い馬でした。治郎丸さんと同じくおやじも天皇賞でこの馬に◎を打って観戦していました。異種色の濃い父タキオンと超良血の母系の組み合わせに、異種色を強調したスカーレットとは違った血の趣を感じます。天皇賞の馬体を見ているとウオッカ以上に今回は上積みを期待できます。「勝ったも同然だった」と言い放った天皇賞後の四位騎手のコメントに頼もしさを感じました。

怪力サムソンは人気を落としていますが、こういうときは押さえておいたほうがいいのかな。春の天皇賞の長ロングスパートは圧巻でした。年齢を重ねて母系のフォルティノの切れ味が顔を見せ始めたのかもしれません。ペイパルブルは早目に動く馬ですので、じっと内で脚を溜めておくと最後の最後にチャンスが巡ってくるかもしれません。ただ、鞍上の石橋騎手はそのような乗り方を選択しないと思います。鞍上が石橋騎手ならば次走の有馬記念で期待したいと思います。

穴馬にはならないとは思いますが、王拳ブルースリ、アチャ、アチャ、アチャは非常におもしろい存在です。この馬は世間が思っているよりうんと強い馬です。前走の菊花賞のようなレースは並の馬には到底できません。最強と讃えられたAタキオン世代。ジャングルポケットの仔にもこんな強い馬が現れたことをうれしく思っています。グレイソブリンの命脈はこの馬によって保たれ、再び発展していくことでしょう。よかった。母系はあのMrプロスペクターの母、ゴールドディガーなんですね、アチャ、アチャ、アチャ。

その他の招待馬も今年は面白いですね。ただ60'S ICONはペイパルブルより落ちる馬なので買う気は起こりませんでした。名前と血統は素晴らしいのですが・・・。他は大穴としての魅力がある馬たちです。

ウオッカにとって今年のJCが甘くはないのは英国の一流馬と、3歳の超良血馬2頭が彼女の行く手を阻んでいるからなんです。それでもウオッカは、進んでいくでしょう。それでも・・・。

では結論です。
◎ウオッカ
○ペイパルブル
▲王拳ブルースリ
△ディープスカイ
この4頭の3連複ボックスもかって、ビールもかって観戦です。

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高慢なJCにどうウオッカが挑むか

Rudolf

ご無沙汰しております。お元気ですか?

天皇賞(秋)はすばらしいレースでしたね。あと30年くらいは、あのレースを知ってるんだぞ、4着に来たカンパニーってのはおやじの古いカンパニーで、いつでも携帯で呼び出せるんだぜ、などと自慢することができますね。3強の父にAタキオンとTギムレットの内国産種牡馬が名を連ねたというのも味噌で、日本のサラブレッドの到達点を示すことができました。彼らはレースをつくった父親として永遠に語り継がれるでしょう。競馬を長い間見ていてよかった。

それにしても長い長い写真判定でした。TV観戦していたおやじにはDスカーレットが優位に見えました。半年の休み明けのせいか、パッドックではずいぶんと機嫌が悪そうだったので、最後の直線で彼女が馬群に呑み込まれそうになったときは、「こりゃあ、だめだわ」と思わず呟いたのですが、その瞬間から彼女の中の異形の血が騒ぎだすんですな。ロイヤルスキーやら、リマンドやら、クリムゾンサタンやら、果てはテディーやら、報われない亡者たちがワイワイ言いながらスカーレットを後押しする。OS!OS!おおっ、ついでにルドルフおやじも走っておる。まるで亡者のお祭りのようにしてたどりついたゴール。これが1着でなかったとしたら競馬のご先祖さまに申し訳ない。頭があがらない。

それにしても武騎手は冷静に乗りましたね。写真判定の間、首をかしげる安藤騎手の横で100分の1ほどの笑みをもらしていましたもの。武騎手はレースをつまらなく見せる天才ですね。いやいや、言い方が違う、つまんなく見せることを繰り返せたところに彼の天才が閃いているですな。そこが他に天才と言われた騎手と武騎手の決定的に異なるところです。彼にとって今年初のG1制覇ですか?1着武豊、2着安藤勝己という結果は日本競馬史のメルクマールを示しています。

それにしても3着と4着の写真判定も微妙でしたね。カンパニーのような一流馬でなければ、このレースで4着にたどり着くことはできなかったでしょうね。しかし我が友、カンパニーを誰も褒めようとしません。むべなるかな!自分でレースをつくった3強とレースの流れにのったカンパニーの実力の差は歴然としていますから。3着Dスカイと4着カンパニーの鼻差には埋めようのない力の差が横たわっています。今回の天皇賞(秋)は「超」のつく一流馬が何たるかを解説するもっとも分かりやすい教科書となりました。

それにしても日本人の美徳は失われてしまいましたね。何かというと物事をあいまいにしておく、決着をつけないという美徳です。あのすばらしいレースの後、勝者と敗者にウオッカとスカーレットを振り分ける必要があったのか?あいまいにできるという能力というのは大人の能力ですよ。子供に98円を恵んでやっても、なぜ100円じゃないのかと抗議されるのがおちですが大人は「おおよそ」という言葉で98円を受け入れられるんです。そうやっておやじは10年間給料を下げ続けられていますが、これはおやじが大人だからではなく馬鹿だったからです。

それにしてもいつから競馬はオリンピックのような幼稚な競技になってしまったのでしょうか?あのレースを見て2cmにこだわる子供は誰だい?間近で判定写真を見てる奴なんていないんだから、白黒つけるおせっかいなどはいらなかった。1着同着ということでウオッカとスカーレットに花をもたせてあげてほしかったなあ。花があったり、彩があったりするのが文化なんだから、競馬はスポーツではないということを、競馬会はきちんと理解してほしい。2cmで猛抗議がきたらどうするって?無視してやりすごす。あいまいに事を済ませるというのは大変なことなんです。ウオッカとスカーレット、咲き続ける花の物語を永遠に見たかった。

サッカーにだって、マラドーナの「神の手」によるゴールがあったでしょ。ある日、マラドーナに神が降り給ひ、その「御手」で彼のゴールを助け給ふた。一瞬、マラドーナは反則を犯したのではないかと疑いをもたれたましが、今ではやはり神がいたんだ、という神話になっています。なぜ東京競馬場に神のご降臨はなかったのか。長い写真判定の後に「同着」という2文字を掲げてスカーレットとその血の素晴らしさを讃えてあげてほしかった。東京競馬場の夕暮れはもっと素敵な歓喜と喝采とそして幸福に包まれていたはずです。ただスカイとカンパニーを同着にしてはいけませんよ。こちらは大きな鼻差でしたから。

さて、今回のJCもおもしろそうですね。まずスカーレットの回避。これはよかった。安心しました。彼女がJCを勝てないからというわけではなく、名馬は大切にされなくてはならないからです。ウオッカには有馬記念はパスしてほしいと思っています。かつてない、そしてこれからもありえない名牝の対決は天皇賞(秋)で幕をとじていいんです。2度とないことをもう1度と願うところに天罰はくだる気がするんです。

ウオッカは1番人気に推されそうですね。JCというレースはなんとも意地が悪くて気位の高い高慢なレースです。ヒシアマゾン、エアグルーブ、そしてファビラスラフィン。3頭の狂ったように強い牝馬の冠を奪っている。これより弱い牝馬は歯牙にもかけないという高慢さ。嫌な奴ですな。そのくせ金髪娘には甘い。日本女性の敵ですな。この3頭に共通するのは、3歳春に東京で強烈な印象を残すレースをしたという点かな。ファビラスのNZTの凄まじい差し脚は今でも鮮明に思い出すことができます。3歳春にダービーを勝ち、4歳で安田記念と天皇賞を勝ったウオッカは3頭を凌駕しつつあるのかも知れません。凌駕したとはいいませんよ。だって3頭が鎬を削っていたのは超一流の牡馬でしたから。

見所はこの高慢なJCにどうウオッカが挑むかですね。さらに、さらにですよ、JCというのは皮肉屋で、東京2400を勝つために営々と築かれてきたはずの日本の古い血脈をなかなか勝たせてくれないですよ。勝たせてくれるのはディープのような輸入牝馬の仔か、ルドルフのように輸入牝馬の2代目、あるいは3代目あたりの馬がほとんどなんです。唯一、シラオキのスペシャルウィークを勝たせてくれたのは、例外というべきなのでしょうか。今回もシラオキはウオッカによって、何を日本の血脈が求めてきたか、明かそうとしています。

天皇賞(秋)のウオッカの馬体を見ていると難なくJCの高慢さや皮肉を越えていきそうな気もしますが、今回のJCはそう甘くはないでしょう。

治郎丸さんが今回のJCに何を問おうとしているのか、お返事がとても楽しみです。

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夕陽よ、急ぐな

Jiromaru

突然のお手紙ありがとうございます。私も今週のスプリングSを前にモヤモヤしていたところでしたので、なんというタイミング!と驚いてしまいましたよ。遠く離れていても、競馬テレパシーで繋がってしまうのでしょうね。有難いことです。

血統評論家でもない限り、ブリガディアジェラードは聞き慣れない名前ですね。かくいう私も記憶の片隅の片隅に知っていた程度です。そこで、ブリガディアジェラードについてちょっと調べてみたのですが、もの凄く強い馬だったのですね。18戦17勝。エプソムダービー馬ロベルトに逃げ切りを許すまで16連勝をして、6ハロンから12ハロンまでのG1レースを6つ勝利しました。

大きく見せるゴツイ馬格や、レースに行っての凄まじいばかりの闘志は、まさにショウナンアルバに受け継がれている気がします。ちなみに、ブリガディアジェラードは重馬場を嫌うことはなかったそうです。唯一、違う点としては、ブリガディアジェラードは後ろから追い込む馬だったのに対し、ショウナンアルバは逃げ・先行するタイプであることぐらいでしょうか。

ウォーエンブレム産駒ということで注目されていますが、毛色や風格から見ても、ルドルフおやじさんのおっしゃる通り、ショウナンアルバはブリガディアジェラードなのでしょうね。そう考えると、ショウナンアルバの連勝はどこまで続くのか楽しみになってきます。ここに新しい物語が生まれましたね。

私もまた別の物語を見ています。ルドルフおやじさんは寺山修司が好きでしたよね?私も好きです。寺山修司の書く物語は傑作揃いですが、その中でも私の大好きな「夕陽よ、急ぐな」という競馬エッセイがあります。ルドルフおやじさんもご存知かもしれません。私は何度も読み返しました。

主人公は李という男です。李は祖国の韓国にいた頃、貧しくてかっぱらいを働き、少年院にブチ込まれて以来、ずっと逃げることだけを青春として生きてきた男です。「オレは弱いから逃げてばかりいた」というのが李の口癖でした。「夕陽よ急げ」という言葉が好きで、下宿の壁に大きく書いていたのですが、寺山がその意味を尋ねても教えてくれなかったそうです。この李という男が、キーストンという希代の逃げ馬に己を投影して、馬券を買い続けるという話です。

デビューしてからのキーストンは連勝街道まっしぐらに進み、一方の李も警察から逃れ続け、キーストンの馬券のおかげで貯金も少しずつ増えていきました。ところが、スプリングSを境目として、キーストンと李の運命は少しずつ変わり始めます。彼らの前に立ちはだかったのは、ダイコーターというスゴイ追い込み馬でした。このダイコーターにキーストンは4コーナーであっさりと捕まってしまいます。あまりの強さにショックを受けたのか、キーストンは続く皐月賞でも14着と惨敗を喫してしまいます。

そして、ダービーの朝、どしゃぶりの雨の中、激しくドアを叩く音に目を覚ますと、玄関のところに李がレインコートを着て立っていました。「どうした?」と聞くと、警察に追われていて、これから海峡を渡って祖国である韓国に密航するのだと言う。そして、李は「今日のダービーで、俺の残していく金全部で、キーストンの単勝を買ってくれ」とだけ言い残して、雨の中に消えて行きました。寺山は無茶だと思ったのですが、李の切迫した何かを感じたそうです。

レースでは、評価のガタ落ちしたキーストンが、1番人気のダイコーターを振り切って、捨て身の逃げ切り勝ちを収めたのです。このレース以来、キーストンは再び連勝を続けました。キーストンが逃げ切るたびに、寺山は警察から逃れている李の身を思って安心したといいます。キーストンの逃げ切りと李の逃亡生活を、二重写しにして考えないわけにはいかなかったのです。

Keystone_2暮れの阪神大賞典の4コーナー。キーストンは突然もんどりうって倒れます。折れた肢を引きずりながらも、気を失った騎手のもとまで歩き、鼻づらを押しつけて無事を心配したシーンはあまりにも有名です。寺山修司はキーストンの骨が折れた音が、遠い異国にいる李が拳銃で撃たれた音に聞こえたそうです。キーストンには安楽死処分が採られ、李の消息もそれ以来プッツリと途切れてしまいました。

マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや

寺山修司による名歌が哀しく響きます。「8頭のサラブレッドが出走するならば、そこには少なくとも8編の叙事詩が内包されている」と寺山は言いましたが、まさにその通りですね。

さて、今週のスプリングS、そしてクラシックに、キーストンの影を見てしまう馬がいます。サダムイダテンという馬です。韋駄天のイメージからはほど遠い、フォーティナイナー産駒らしからぬ細身の体躯は、まるで盗みを働いた少年が必死で裏町を逃げていくような、悲劇的なムードを漂わせていたキーストンを思わせます。繊細な馬でもあり、前走は初の輸送で気を遣ってしまい、力を出し切れませんでした

そもそもサダムイダテンは逃げ馬なのではないかと私は思っています。道中の耳の動きや、走り方、そして華麗なる一族の血統背景を見ても、あり余るスピードを生かして小細工なしの競馬をした方が、この馬に合っているのではないでしょうか。直線で他馬と叩き合うような競馬は本質的には向かないはずです。安藤勝己騎手は将来のことを考えて、抑える競馬をしてきたのだと解釈しています。急がず逃げて、最後まで無事に逃げ切って欲しいですね。

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気まぐれルドルフおやじからの特別寄稿

Rudolf

忙しそうですね。凄い嗅覚でしょ。お元気ですか。
おやじは元気でもやもやしてますよ。

さよならはなしよ、のサンアディユのさよならで少しめげていたところです。サンアディユ怪死事件として後世に語り継がねばなりませんね、治郎丸さんが。相もかわらぬ無責任なおやじですが、今週のスプリングSが楽しみでメールさせてもらいました。

1971年の2000ギニーは、昨秋の秋華賞のようなレースだったのでしょうか。ゲートが開くのが待ちきれないほどワクワクさせられるレースはめったにありませんね。2強対決は見ていて胸が痛くなりますが3強は楽しい。

1番人気 マイスワロー
2番人気 ミルリーフ
3番人気 ブリガディアジェラード

2008年に生きているおやじは、この人気を見て英国の競馬ファンの目は節穴か、なんて偉そうに思うわけです。どうみても力はジェラード、ミルリーフ、スワローの順ですよね。がっははは、競馬は終わってみればすべてがわかる。ミルリーフはマイスワローにミドルパークSで負けていたから、素人には少しわかりにくかったかな、がっははは。

この3頭に逆らう馬鹿者は3頭。いつでもこういう人がいるのでなぜかおやじも心強い思いをしています。その中の1頭がニジンスキーの弟、ミンスキー。

で、結果は。
1着 ブリガディアジェラード
2着 ミルリーフ
3着 マイスワロー
ついでに4着がミンスキー

71年のギニーレースで3強と讃えられた3頭ですが、その血脈を残せたのはミルリーフだけだというのが競馬の辛いところです。ミルジョージはたいそう良い種牡馬でしたね。最近ではフジキセキがミルリーフの面影を伝えています。

3着に敗れたマイスワローはその後、勝ち星に恵まれず、種牡馬としても完全に失敗してしまいます。この脱落者を敢えて輸入したのがテンポイントの吉田牧場。すぐにワカクモの娘と交配させダービー2着のワカテンザンを送り出しています。恐るべし吉田牧場。ハギノカムイオーの時代です。ミンスキーも輸入され良血ぶりを発揮しましたが早逝してしまいました。71年の史上最高のギニーレースは意外なことに我々の身近なところにありました。

最強馬のジェラードはロベルトのタフネスに屈するまで連勝を重ね続けます。世紀の敗北として有名な一戦でしたが、素人にはロベルトの強靭さが見えにくかったのですね。競馬はゴールするまで何もわからない、がっはははは。

種牡馬として失敗し、亜国へ追い払われたジェラードの血を日本で見つけ出すのは至難のわざです。ミルリーフを最強馬という方は今でもたくさんいらっしゃいますが、ジェラードを語る人は少なくなりました。ちょいとさびしい結末。

ところが・・・。人生には「ところが」はないのですが、競馬にはある。Sアルバには5×3の強烈なジェラードのインブリード。なるほど史上稀な混戦を演出しながら、ジェラード准将が名誉を取り戻しにきたのかも知れない今年のクラッシック。

配役は以下の通りです。
主演   Sアルバ(ブリガディアジェラード)
助演   Aダンディー(ミルリーフ)
友情出演 Mチャールズ(ロベルトクレメンタイン)
共演   Sイダテン(マイスワローが敗れたカムイオーにちなんで)
監督   武豊

というような馬鹿を考えて、もやもやをはらしているおやじでありました。
来週からの治郎丸さんの予想、はやくはやくと心待ちにしておる次第です。


関連エントリ
ガラスの競馬場:さよならはなしよサンアディユ

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◎メイショウサムソン

Jiromaru

最後のお手紙ありがとうございました。そして、1年半の長い間、本当にありがとうございました。お子さんと遊ぶ大切な時間や睡眠を削ってまで、競馬に対する愛情を綴っていただいたことに感謝しております。深夜に届くお手紙を拝見して、100キロ離れていても、気持ちはつながっていることを深く感じておりました。無理を言ってお願いしたやりとりですが、楽しかったと最後に言っていただけたことを嬉しく思います。最後のお手紙をアップする時、さすがにジーンときてしまいました。

私だけではなく、たくさんのルドルフおやじファンがいましたね。ルドルフおやじさんから私たちが教えてもらったことはたくさんありますが、その中でも一番の教えは、競馬はがっはははははと笑って楽しむものだということです。競馬は負けることの方が多いですもんね。あの武豊騎手でさえ、競馬は負けることの方が多いので楽しんで乗ることが何よりも大切と言っていました。勝とうと思えばこそ負けることの方が多く、それでも勝っても負けてもがっはははははと楽しめるようになりたいと思います。それでこそ、初めて競馬が好きだと言えるのかもしれませんね。

それからもうひとつ、ルドルフおやじさんには血統の奥深さを教えてもらいました。特にサラブレッドの母系に流れる大河のような血脈を、これほどまでに分かりやすく、面白く教えてもらったことは初めてでした。たとえ血統の奥行きを知らなくても馬券は当たるかもしれませんが、知ることによって1頭1頭の馬の輪郭がよりハッキリと見えてくるものですよね。包み隠さずに言うと、それまで私が持っていた血統の知識がどれだけ浅はかなものだったかも思い知らされて、ひとり赤面したものです。

最後にこれまで頂いていたお手紙をもう一度読み直してみました。宝塚記念の◎アドマイヤムーンや今年の菊花賞の3連複はお見事でしたね。誰もルドルフおやじさんの印が冗談だとは思っていませんよ。私の知っている方がこんな賭け方をしていたそうです。ルドルフおやじさんの本命と私の本命とその方の本命でボックス馬券を買うそうです。当たったことはあるのかなあ?まあそんなことは大した問題じゃありませんよね。

お手紙を読み直してみて、私の勝手ですが、ルドルフおやじの名言集を作ってみました。この他にもたくさんありましたが、私の心に残った名言をピックアップさせていただきました。

「綾のあるゲーム」
実力があっても負けることはあるものです。だから競馬がギャンブルとして成立しているわけです。日本の競馬場がギャンブルという要素によって支えられていることは忘れてはいけません。ここに競馬の胡散臭さがあります。失礼、魅力があります。一言いっておきます。競馬は綾のあるゲームです。

「2強3強について」
2強とか3強といって、レース前によく煽り立てられることがありますよね。レースの綾が出るのは2強と言われたときですよ。互いを意識して、自分のレースができないからですね。(中略)馬券というものは、それほど無理して当てるものではないので、黙って見ておくのが競馬の神様仏さまというものです。

「メイショウサムソンについて」
サムソンを皐月賞馬にしたのは、父オペラハウスのタフネスではなくこの鋭さです。この鋭さはエールのブルードメアサイアー、フォルティノからきているんだろうなあ、と想像しています。フォルティノは、マンノウオー系レリックの肌馬に快速馬グレイソブリンというとても分かりやすい配合で生まれた名馬です。フォルティノ系は確実に切れ味を代々伝えることによって、世界的血脈になっています。日本にいた種牡馬で、これほどの血の広がりをみせた馬はいませんね。

「ウォッカについて」
来年のクラシックということになると、この馬に注目です。力のある馬だと思います。母系は名門シラオキです。シスタートウショウ、シーズトウショウが血統的に近いところにいます。女の子にウォッカという名前、おもしろいですねえ。バクシンヒロインなんていう勇ましい女の子も出走しますが、こちらもシラオキ系、メイショウサムソンの近親です。今年はシラオキ復活年、実にめでたい年だったんですね。

「シメシメ馬券について」
クラッシクロードが続いていきます。本番までわたしはいつもシメシメ馬券を小額買って馬を見るようにしています。やはり馬券を買ってレースを見るのと買わずにみるのとでは違いますなあ。どんなに人気薄でもシメシメと思えば買って観戦する。小額ですよ、あくまで。ほとんど外れますが、時にシメシメの馬たちの中におもしろい発見をすることがあるんです。この発見が競馬をするわたしの喜びのひとつになっています。

「記憶というものは」
だいたい記憶というものは、おおよそ25年ほど過ぎれば美しくなるということが、最近わかってきました。30年前ひどい目に遭ったあの馬この馬、今ではすべてこのおやじの名馬か、愛馬であります。競馬ファンをながくやろうと思えば忘れっぽくならなくてはいけません。

「ラップについて」
慣れないラップを見ましょうか。このおやじがついていけてたのはレゲーのボブ・マーレーまでで、どうもラップは苦手なんですなあ。Everything gona be all right!

「さあどっちだ」
ムーンは勝つ馬、サムソンは負けない馬、さあどっちだ。

「幸運」なんてものは
「幸運」なんてものはブゼンキャンドルのように意図せぬところから突然やってくるものかもしれないし、ダイコーターのように掴み取ろうとするとするりと逃げていってしまうものかもしれない。競馬が賭け事に過ぎぬものならば、これほど危ういものはありません。

「大種牡馬の大種牡馬たるゆえん」
大種牡馬の大種牡馬たるゆえんは母系の良さを引き出すところにあります。もちろんサンデーも例外ではありません。多様なサンデー産駒のなかにあって特にDメジャーは異質なスピードの持ち主ではないでしょうか。彼の異質なスピードはメジャーの母系で生きているヒムヤー系50年代の傑作クリムゾンサタンに由来するものかも知れません。

「イージーなレースを創ってどうする」
鏡のようなグリーン、絨毯のようなラフの上で毎日戦っている国のゴルファーがジ・オープンを制するなんてジ・オープンの歴史が終わるまでありえないでしょう。タフなコースをつくってタフなレースが行われてはじめて血は鍛えられる。イージーなレースを創ってどうする。おやじは、来年からJCDは買いません。損したなJRA、いいのかい、いいのかい。

「晴雨不問は名馬の条件」

「本格化馬恒常的好走伝説」

さて、最後の有馬記念です。本当に素晴らしいメンバーが揃いました。どの馬にも勝つ理由ある、どの馬からでも馬券が買えるドリームレースですね。たとえ重馬場になろうが、人気があろうがなかろうが、そんなことどうでもいいのです。自分の信じた馬に夢を託しましょう。

私の本命は◎メイショウサムソンに打ちます。重馬場はあまり得意でない馬ですが、なんとかこなしてくれると思っています。晴雨不問は名馬の条件ですからね。それよりも、この馬の唯一の不安は距離に対する適性でしょう。天皇賞秋で武豊騎手がこの馬に初めて跨った時、「思ったよりもスピードがあるのでビックリした」と語っていましたが、そのとおりの楽勝でした。メイショウサムソンは4歳の秋を迎え、胸前からキ甲にかけて、それから体の幅が一段と広くなり、もの凄く力強い馬体に成長しています。そのことがもしかすると距離適性を縮めているかもしれません。

サラブレッドは成長とともに距離適性が狭くなり、その馬の本質的な適距離に近くなりますが、メイショウサムソンの場合、今は2000mという距離がベストになってきているのでしょう。武豊騎手がジャパンカップで少し位置取りを下げて進めたのは、そういうことも考慮に入れてのものだと思います。4コーナーで外を回してしまったことは悔いているはずですが、道中の位置取りはあれで良かったのではないでしょうか。ジャパンカップは負けてはしまいましたが、武豊騎手としては、ロスなく乗れば、中山の2400mならばスタミナ切れは起こさないという手応えを掴んだはずです。

おそらく、今回もガツンと出していくことはないので中団からの競馬をするでしょうが、4コーナーでは先頭に立つくらいの積極的な競馬をしてくるはずです。そうあのオグリキャップがラストランを飾った有馬記念のように。

ただ、そのためには道中がスローからミドルのペースで流れることが条件です。万が一、4コーナーに縦長の馬群で向かうようなハイペースになってしまうと苦しいかもしれません。4角で先頭に立つ形に持ち込めないばかりか、もしかするとジャパンカップ以上のスタミナが要求されてしまうかもしれないからです。どのようなペースになるかは予測しがたいことですが、過去の有馬記念のラップを見比べてみることによって糸口を掴んでみましょう。

過去10年の有馬記念のラップです。
7.2-11.1-11.8-11.8-12.2-12.8-13.5-12.6-11.9-12.4-12.9-12.2-12.4
2:34.8 シルクジャスティス
7.1-12.0-12.9-11.3-11.4-12.5-12.5-12.2-11.6-12.2-12.3-12.5-11.6
2:32.1 グラスワンダー
7.1-12.6-13.1-12.5-13.2-13.4-12.9-12.7-12.1-12.3-12.4-11.0-11.9
2:37.2 グラスワンダー
7.2-12.0-12.5-12.2-12.3-13.0-12.7-11.9-11.3-11.8-12.3-12.2-12.7
2:34.1 テイエムオペラオー
6.9-12.0-12.1-12.1-12.7-13.6-13.2-12.6-11.8-11.5-11.3-11.3-12.0
2:33.1 マンハッタンカフェ
6.8-11.5-12.5-12.9-12.0-12.7-12.8-12.3-11.5-11.8-11.4-11.7-12.7
2:32.6 シンボリクリスエス
7.0-11.2-11.2-11.2-11.6-12.3-12.9-12.6-12.2-12.7-11.7-11.7-12.2
2:30.5 シンボリクリスエス
7.0-11.6-11.5-11.7-12.3-12.4-12.0-11.7-11.8-11.9-11.6-11.6-12.4
2:29.5 ゼンノロブロイ
7.0-11.4-11.7-12.1-12.9-13.0-12.2-11.8-12.0-12.3-12.0-11.4-12.1
2:31.9 ハーツクライ
7.1-11.5-11.4-11.3-11.8-12.8-12.9-12.7-12.2-12.8-12.2-11.2-12.0
2:31.9 ディープインパクト

ここで注目したいのは、前半の3ハロン(最初の100mは除く)とラスト5~6ハロン(向う正面)のラップです。大体の場合において、この2つのラップタイムはどちらかが速くなればどちらかが遅くなる傾向があります。つまり、前半が遅く流れたレースでは向う正面で各馬が動き、前半が速く流れたレースでは向う正面での動きは少なくなります。ただし、どちらがより重要かというと、前半の3ハロンのラップです。ここの動きでレースの質が変わってきます。

ちなみに、前回の手紙で紹介したテンポイントとトウショウボーイの有馬記念がありましたよね。このレースを振り返ってトウショウボーイに騎乗した武邦彦調教師(武豊の父)はこう語っています。

「勝負をファンサイドから見ると、直線の攻防がいちばんなのでしょうが、やっているほうから言えばスタートなんです、大事なのは。直線で競り負けるのは、そこまでに脚を使ってしまってるんです。」

トウショウボーイはスタートしてからスタンド前の直線でわずかに引っ掛かってしまっているように、大切な前半3ハロン部分でわずかにロスをしてしまっているのですね。その分、最後の直線でテンポイントに競り負けてしまったということです。

全体のタイムとの比較になるのですが、前半3ハロン部分で、全て11秒台のラップが刻まれているようなレースは前に行った馬にとって厳しいレースです。10年前のシルクジャスティスが勝った有馬記念は、珍しく前崩れが起きて、あのエアグルーヴでも3着に力尽きたレースでした。このレースの前半3ハロンは11.1-11.8-11.8と、時計の掛かる馬場状態であったことを考えると、かなり速いペースだったことが分かります。

また、昨年と一昨年の有馬記念は奇しくも同じタイムですが、前半3ハロンのラップタイムが違います。ディープインパクトが勝った昨年は11秒台が続き34.2、ハーツクライが押し切った一昨年の35.2と比べても1秒も速いラップになっています。昨年の有馬記念は向う正面が緩んでいるので前に有利なレースだったと誤解されることが多いのですが、一昨年に比べると厳しいレースでした。

武豊騎手が「最後の有馬記念が一番強いレースだった」と語るのも頷ける気がします。あれだけのペースで前半を引っ張ってもらえれば、ディープインパクトにとっては最も末脚を炸裂できる展開ですから。逆に言うと、前半を攻めて2、3着したポップロックやダイワメジャーはよく頑張っていると言えます。今年の成績を見ても、なるほどという感じですよね。

何が言いたいかというと、今年の前半3ハロンはどのようなペースで流れるのかということです。出走馬と枠順を見渡してみると、案外、前に行きたい馬は多いですよね。ダイワメジャー、レゴラス、ダイワスカーレット、ポップロック、ロックドゥカンブ、サンツェッペリン、コスモバルク、デルタブルース、もしかしたらチョウサンと半数以上が先行馬です。しかし、もっとよーく見ると、絶対に逃げたい馬というのも見当たりません。どの馬も、行く馬がいるなら抑えてもいいよという柔軟な先行馬たちです。

そうなると、果たしてどの馬が逃げるのでしょうか。もしサンツェッペリンに松岡騎手が乗っていたら、迷わずハナを切って、大逃げをかましていた可能性はあります。しかし、今回は折り合いをつけるのが巧い北村騎手です。強引に逃げるタイプではありません。となると、やはりダイワスカーレットが逃げることになるのでしょうか。そうなると、おおよそ前半の3ハロンはスローに流れるのではないでしょうか。たとえダイワスカーレットが逃げなくても、お見合い状態が続けば、スローになる可能性は高いでしょう。

そう考えると、メイショウサムソンの勝ちパターンに持ち込める可能性が高いと思います。たとえ向う正面で各馬の動きが速くなったとしても、全体のペースはミドル以上にはなりません。馬群に包まれないように、どこかで外に出しておけば、自らの脚力でマクっていける態勢が整うはずです。

とまあ、最後にこんな夢を観ることが出来たら最高だなと思います。寺山修司はこう語りました。「競馬ファンは馬券を買わない。財布の底をはたいて自分を買っているのである」と。私も今日は自分を買いに、中山競馬場まで行ってきます。

ルドルフおやじさんとのやりとりはこれで一時お休みということになってしまいますが、頂いた手紙は「ガラスの競馬場」のアーカイブとして永遠に残り続けます。カテゴリーの「ルドルフおやじからの手紙」をクリックすると、いつでもルドルフおやじ節が現れます。つまり、ルドルフおやじさんの想いは、常に「ガラスの競馬場」にあるということです。これから苦しいこと、つらいこと、逃げ出したくなるようなこともあると思います。そんな時は、いつでも「ガラスの競馬場」に遊びにきてください。お待ちしております。

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ルドルフおやじから最後の手紙

Rudolf

女傑ツキシロの末裔にジンクエイトという馬がいました。66,5キロを背負わされたテンポイントが競走を中止した、凍える日本経済新春杯の4角。そこで起きていることに競馬場の視線が集められるなかを、静かに1着でゴールした馬がジンクエイトです。26戦6勝、うち重賞1勝。最も静かなゴール。人間にとってはありふれたことなのだが競馬場でこんなに静かなゴールを見たことはない。主戦、清水英次。病床で自らの死を公表してほしくないとおっしゃったそうだが、敢えてお悔やみ申しあげたい。

朝日杯当日の関西テレビで放映された、サムソンのオーナー松本好雄氏のインタビューは秀逸な企画でした。「僕は高橋騎手の豪快な騎乗ぶりが好きでね、それ以来のお付き合いなんですよ」と語る松本氏、なんとなく高橋成忠師のことが分かったような気がしました。

トウメイの天皇賞で「マイルの競馬を2回走るつもりで乗れば勝てる」と清水英次騎手に助言した高橋成忠。どうやら信ずることができるという資質は誰しも持ち合わせているものではないようです。勝負師としてもっとも大切な力だと思います。奔放に馬を御すと見えた騎乗ぶりには高橋成忠の馬に対する「信」があったのかもしれません。

仮にですよ、サムソンの騎手が石橋守ならば、高橋成忠は迷わず「信じて乗れ」と言ったに違いありません。ところが騎手は武豊ですね、うむうむここが味噌で、しょうゆ、失礼しょうぶの綾が生まれそうな気がしているんです。高橋成忠、なんと言うのかなあ。「任せたよ」ならばウケにまわっている。

「ちょっと内がゴチャついていたし、馬場も内が荒れていた。1番人気馬だから無理にインに入っていくのもどうかと思いましたから」サムソンは前走、はじめての1倍台の人気で出走して敗れました。どんな名手でもはウケにまわったときは案外もろいですね。武豊のコメントはそういう騎手の心理を語っているように思えました。

馬の力を信じてウチを突き進んだ岩田騎手のムーンとは対照的に、サムソンは最大の武器である闘争心を眠らせたままゴールしたように見えました。鞍上が冷静にレースを読める名手だったからこそ負けたのでしょうね。石橋騎手ならば勝てたなんてことは言えません。が、石橋騎手ならば迷うことなくウチを突いてゴチャつく馬群をこじ開けようとしたと思います。それが信じて乗るということだからです。時に勝負の世界では冷静な分析よりも信じることの方が大切な場面があるようです。

今回、ポップロックという強力なライバルがいるのは、殺戮の神サムソンにはむしろ好都合でしょう。この馬は自分でレースをつくったときよりも強い敵がいたり混戦になったときの方が強い競馬をしてきたと思うんです。1枠1番否応なくサムソンの荒ぶる魂が掻き立てられます。

治郎丸さんはJCのサムソンを少し余裕があるように見たのですね。秋は3走、なんとか2勝1敗でいきたいと、高橋成忠は3という数字を繰り返し言っています。秋3戦を同じ体調で走られるように作ってきていると治郎丸さんのおっしゃる通りです。インフルエンザ、天皇賞制覇、JCの敗戦、まさに禍福はあざなえる縄のごとし、有馬の勝利はそこに見えています。後は武騎手がどれだけサムソンを信じて乗るかでしょう。

「関係者に、勝っていると言われてホッとしたよ。これで3冠騎手? いや、それよりこの馬が菊花賞を勝ってくれた喜びの方が大きいね」と語るのは、菊花賞の四位騎手です。この方はダービーの後で「もう騎手をやめてもいいです」と言っておられました。やめなくてよかった、がっはははは。

この方は気持ちのやさしい人なんでしょうね。菊花賞4番人気の馬で勝ってホッとしたり、ダービーを勝って騎手をやめたくなったりするんですから。彼岸の清水騎手もこの方になら、「信じろ」と助言しやすいかもしれません。

「力があることが改めて分かったよ。一瞬、オッ!という感じがあったから」というのがJC後のコメントです。おやじも一瞬、オッと感じましたよ。力があることが改めて分かったのならそれを信じて乗るでしょう。今回、ウオッカが挑もうとする相手はどんな競馬をしても勝てるというような相手ではありません。勝つチャンスがウオッカに訪れるのは、先行する古馬より鋭い末脚を繰り出せた時だけです。ワンチャンス。ならば四位騎手はウオッカの最大の武器である末脚を信じて賭けるほかありません。

中山開催は外の伸びない、内にいる先行馬有利の馬場で開幕しました。少しは馬場も荒れて追い込みがきくようにはなりましたか。それでもウオッカにとっては苦しい馬場には違いありません。しかし負けを恐れてはいけません。勝負だから負けはあります。それどころが競馬ならば九割以上は負けます。大きく負けるのは負けを恐れる人なのです。レースの流れに乗って・・・など考えてはいけないような気がします。先行して末脚をさらに伸ばそうという馬がそろって先行馬群から脱落する馬も多いと思います。この馬にもチャンスはありと見ました。

角居勝彦師は頭脳派の調教師として有名ですが、おやじにはおおらかな人柄が魅力です。この方のコメントは正直でおもしろいですよ。秋華賞の前には「ウオッカは一流馬だからそのレベルを維持することに努めている」というウッカを褒めているんだか、自信がないんだかわからないようなコメントを出していました。エリザベスを取り消してJCに向かう時には「ご迷惑をかけました。損を取り戻してもらいます」と軽口を叩いている。そして今回はコメントの冒頭で「ご心配をおかけいたしました」ときた。心配は過去のものなんですね。もう大丈夫、心配はいりません。

「スタートが良く、スムーズに流れに乗れた。勝った馬は強いね。でもこの馬の強さも分かってもらえたはずだ」ペリエ騎手はJCのあと、ポップロックをこう評しています。確かに去年の暮れよりもポップロックは強くなっていると思います。

ポップロックは日本のG1に参戦して毎回堅実な走りを見せています。外国人騎手や地方の騎手は馬の特長をつかむのが本当に上手です。ポップロックの母系はパワー血統なんです。来年ここから必ずダートの大物が登場しますよ。ペリエ騎手はパワーを生かす積極的な競馬をしてくると思います。徹底的に逃げ馬をマークして底力勝負に持ち込むでしょう。先行馬の死命を制するのはペリエ騎手です。

父のエリシオはポップロックを唯一の活躍馬として送るワンホースサイヤーですね。実は有馬記念はワンホースサイヤーの歴史でもあるんですよ。ポップロックという歴史の1ページが加わるかも知れません。

ダイワスカーレットの松田国英師は「なぜ人気がないのか」と語っています。その通りですね。フサイチパンドラを破った(失格になった)Kプリンセスが宝塚で強い競馬をしたことを思うと、スカーレットにも十分すぎるほどの勝機はあります。コースや距離はむしろウオッカより向いています。今回はこの馬を頭にしないのでおやじにとっては実に怖い存在です。しかしウッカのようにダービーやJCなどで一流の牡馬に揉まれた経験がないというのが負い目となります。ただ雨の降る有馬記念ならば1着も考えておくべきだと思います。

Dメジャーはラストランですね。お疲れ様でした。なぜおやじに馬券を取らせてくれませんでしたか。失礼。不屈の魂をもった馬です。アメリカから種牡馬としてオファーがあったそうですね。もったいない。日本での初年度の種付け料は500万だそうです。おやじの月収ほどでまあまあかな。因みにユートピアのアメリカでの種付け料は30万ほどだそうですので、アメリカへ渡れば価値が下がるということかな。それでもこの血は明らかにアメリカ競馬向きなので本当に惜しい気がします。

ロックドゥカンブはMキネーンを配してきました。キネーンはカンブの父も母も知っているそうです。うむ、うむ、これが競馬だ。前走はもう少し前につけられれば、という恨みを残したのでこの手がわりはいいかも知れません。それにしても3歳牡馬はか弱いですね。菊花賞1、2着馬がJCにも有馬にも顔を見せない。

堀宣行調教師がおもしろいことを言っています。
「いいえ、必ずしもそうとは思っていません。ディープインパクトが負けた時もこの臨戦過程だったように、むしろ仕上げは難しいかもしれません。だから、一度放牧に出して心身ともにリフレッシュさせたのです。」

冒頭の「いいえ」というのは「余裕をもったローテですね」という言葉を否定したものです。堀宣行調教師という方はおやじには馴染みのない調教師なのですが、このインタビューを読んで恐ろしい人物のように思えました。ディープの失敗をきちんととらえて自らのとるべき方策を打ち出している。セントライトの強い競馬を忘れたら痛い目に遭うかもしれません。

佐藤哲三とインティライミにはJCで悪いことをした。おやじの気合いが馬に乗り移ってしまいましたね。おまけに佐藤さんは怪我までして本当に申し訳ない。

Dパスポートは世代最強馬だと思っています。ただ20年に一度出てくる無冠の帝王というやつですね。治郎丸さんは無冠の帝王といえば何を思い出しますか。おやじならバンブトンコートなんですがそれ以外は思い浮かびません。帝王であって無冠という二律背反した命題を解く存在なので3冠馬より珍しいわけだ。なるほどこの馬、無冠の帝王でいたいがためにわざと負けてるんだな。よし次は無冠の帝王特集でいこう、いや、有馬記念ワンホースサイヤー伝説でいこう、しまった!おやじは隠居するんだった。

治郎丸さん、今日までありがとうございます。

手紙でよかった、往復書簡がこの1通で区切りを迎えると思うとやはり泣けてくるからねえ。

1年半付き合ってもらったのですか。「楽」のある時間を過ごさせてもらいました。だって好きなことをバンバン書けるわけでしょう。ノーコンピッチャーが好きに投げていいよ、と言われて「楽」しんでいたようなもんです。こんな「楽」な時間をもたせてもらった人間はおらんだろう。

受けとめる方は毎回大変だったと思います。あらためて治郎丸さんに感謝です。おやじの方は治郎丸さんの球を受け損なったことがある。これは反省だ。分からなかった部分はこれからまたひとつひとつ考えます。

惜しむ、惜しむ。おやじの隠居のことではありませんよ。病床にあるオシム監督のことです。とんとサッカーの分からぬこのおやじがオシムサッカーを見て何となくサッカーが好きになった。本当に物が分かっている人ってすばらしいですね。サッカーが見えなかったおやじにちゃんとサッカーを見せてくれている。

治郎丸さんが目指しているのはたぶんそういうことなんだと思っています。競馬、好きですか、がっはははは。おやじは大好きです。がっははははは。しかし競馬を競馬として見せるというのは難しいですね。サッカーや野球はスポーツという言葉で括れるんでしょうが、競馬は競馬ですからね。スポーツだと誤解されたりギャンブルだと誤解されたり、数学や統計学だと思われたり、色々難しい。

1000キロも離れていますがおやじは治郎丸敬之を応援します。そしてちょくちょく邪魔させてもらいますよ。ありがとう、ありがとう、感謝の言葉しかありません。

最後になりましたが手紙を読んでくださったみなさん、ありがとうございました。てめぇーのせいで大損こいた、なんて苦情がないのは心外だったなあ。これでも毎回当てにいってたんですよ。いつも手紙の最後に載せている◎とか○とか、あれ、冗談ではなかったのですよ。がっはははは。ガラスの競馬場に訪れていらっしゃる方は皆手強い。お元気で、またお目にかかれればと念じております。ありがとうございました。

◎ウオッカ
○メイショウサムソン
△ポップロック
×ロックドゥカンブ
×ダイワスカーレット
穴パンドラ

雨はだいじょうぶかな、事故のないようにお願いしたいものです。

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一時お休みさせていただきます。

Rudolflast

大変残念なお知らせがあります。昨年秋より始まった人気コーナー「ルドルフおやじからの手紙」を、来年から一時お休みさせていただきます。次がルドルフおやじさんからの最後の手紙ということになりますので、しっかりと拝読させてもらいましょう(1通目のトウメイの話も珠玉のストーリーでしたね)。血統表を読む天才であっただけではなく、競馬のイロハを名文で語るルドルフおやじ節がしばらく聞けなくなるのは悲しいことですが、新たな旅立ちを笑顔で送り出したいと思います。ルドルフおやじさん、振り返ってはいけませんよ。後ろには夢はありませんから。私の感謝の気持ちは、次の手紙にて書かせていただきます。「ガラスの競馬場」は私が生きている限り続いていきますので、また良きタイミングが来たら手紙のやりとり始めましょうね。長い間お疲れさまでした。そして、ありがとうございました。

photo by fake Place

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こんな名勝負を観てみたい。

Jiromaru

お手紙ありがとうございます。前回の馬インフルエンザ騒動があった年に、有馬記念を制したのが牝馬のトウメイでしたね。トウメイは牝馬として、ガーネット、スターロッチに次ぐ史上3頭目の有馬記念の勝ち馬になったのですが、それ以降、ずいぶん長いこと牝馬から勝ち馬が出ていませんね。やはり、常識的に考えて、古馬の牡馬に混じって、2500mもの距離を走って先頭に立ち続けることは並大抵のことではないのでしょう。また、暮れの中山だけに、通常より力の要る馬場になっていることも関係していると思います。

トウメイという名前は、本当は銘刀(メイトウ)と付けたかったところが使用できず、仕方なくひっくり返して付けられた名前だそうですね。名前のひっくり返しとしては、これは母と子の名前ですが、クモワカとワカクモが思い浮かびます。どっちがどっちだか分からなくなってしまうのですが、テンポイントの母がワカクモで、祖母がクモワカです。クモワカは馬伝染性貧血という、伝貧(でんぴん)とも呼ばれるウイルス性の伝染病であると診断されて、一時は殺処分命令を受けた馬です。

今年の馬インフルエンザどころの騒ぎではなくて、馬伝染性貧血は発熱を繰り返して死に至る病です。当時、治療法はおろか正確な診断法すらなく、伝貧(でんぴん)と診断されてしまったクモワカは処分しなければならなかったのですが、診断に疑いを持っていた関係者は秘かにクモワカをかくまい、子供を産ませました。結局、裁判にもなって感染していないことが認められ、クモワカの仔ワカクモは晴れて競走馬としてデビューし、桜花賞馬になりました。

寺山修司は「ワカクモは幽霊の仔であった。なぜなら死んだ馬から生まれたからである」と書きましたが、まさにそのとおりで、クモワカは当時の規定に従っていれば死んでいた馬でした。その幽霊の仔からテンポイントという名馬が出たのですから、競馬というのは本当に奥が深いというかドラマチックですね。貴公子と呼ばれたテンポイントは幽霊の孫ということになります。

ちょっと強引にトウメイからテンポイントにつなげてしまいましたが、有馬記念といえば、いつもフト思い出すのがテンポイントとトウショウボーイの有馬記念です。もちろん、私はこの名勝負を生で観てはいませんが、それは鳥肌が立つほどの素晴らしいレースだったそうですね。

私がこの名勝負のことを知ったのは、ナリタブライアンとマヤノトップガンがお互いに一歩も引かないマッチレースをした阪神大賞典の時でした。私の周りにいた人たちは皆、立ち上がって感動していて、私が知っている中でもベスト3に入る名勝負でした。そんな名勝負に対して、マヤノトップガンに乗った田原成貴元騎手は、「あれは名勝負なんかじゃない。マヤノトップガンが打てるもんなら打ってみろと真っ直ぐに投げたストレートを、ナリタブライアンが見事に打ち返しただけのレースだ。もしあの阪神大賞典が名勝負だとしたら、テンポイントとトウショウボーイがスタートからゴールまで馬体を併せた、あのマッチレースの有馬記念はどうなるんだ?あれこそが名勝負だ。」とコメントしたのですね。私はそれを聞いて、田原騎手がそれだけ言うテンポイントとトウショウボーイの有馬記念って、どんなレースなんだろうと観てみたのがきっかけです。

レースを観ただけでも、これぞ名勝負というのが伝わってくるのですが、さらにこの2頭のそれまでの生い立ちや戦績を知ると、このガチンコ勝負がどれだけ大きな意味を持っていたか分かるのです。トウショウボーイにとってはこれが引退レースでしたし、テンポイントにとってもこのレースが実質最後のレースになってしまったのですから。それまでトウショウボーイに苦杯を喫し続けてきた貴公子テンポイントが、最後の最後に先着した瞬間でもありますし、また天馬トウショウボーイが生涯初めて、負けたくないという自らの意志を見せて、差し返した瞬間でもあります。こんな名勝負を今年の有馬記念でも観てみたいものです。

さて、いよいよ有馬記念です。粒ぞろいの面白いメンバーが揃いましたが、必ずしも強い馬が勝つとはいえないレースです。それはシーズンの最後であるため、強くてもピークを過ぎている馬がいるということ、そしてもうひとつはスタートしてからゴールまで、なんと6つのコーナーを回らなければならず、展開のアップダウンが激しいということが理由です。

3歳馬であれば、この秋の最大目標は菊花賞や秋華賞であったはずです。古馬であれば、それはジャパンカップやエリザベス女王杯であったりしたはずです。有馬記念が目標でローテーションを組む馬は皆無ですので、最大の目標で最高に仕上げて、そこからおつりが残っていればこれ幸いという感じで仕上げてきます。そして、大抵の場合、おつりが残っていないことが多く、あれだけ強い勝ち方をした馬たちが凡走してきたのはそこに理由があります。

ですので、いささか逆説的ではありますが、最大目標のレースであった前走で好走してしまった馬は、有馬記念ではおつりが残っておらず惨敗して、前走で思わぬ凡走をしてしまった馬の方が平行線以上の上積みが望めるはずです。有馬記念を2連覇したシンボリクリスエスは、ジャパンカップで凡走したからこその走りだったとも考えることが出来るでしょう。

有馬記念が荒れやすいもうひとつの理由として、スタンド前を通ってコーナーを6つ回りながら1周するというトリッキーなコースであることが挙げられます。レースの流れというのは、コーナーを回るところで落ち着きますので、そのコーナーが多いということは、ペースのアップダウンが激しいということになります。ペースが上がったと思ったら落ち着いて、落ち着いたと思ったら急激に上がってという乱ペースになりかねません。

秋華賞→エリザベス女王杯を連勝して、堂々の1番人気に推されて臨んできた牝馬のファインモーションが、タップダンスシチーにハナを奪い返され、惨敗したことは記憶に新しいですよね。あのレース以来、ファインモーションは自分のリズムで走ることが出来なくなってしまいました。

そんなことをアタマに入れながら有力馬を見ていきましょう。

1番人気に推されるのは、当然、メイショウサムソンでしょう。ジャパンカップは負けてしまいましたが、内外を通った分が、ゴール前の差として出てしまったアンラッキーなレースでした。この馬としては、最後まで良く走っていると思います。馬インフルエンザの影響で凱旋門賞に出走することが出来なくなってしまいましたが、秋3戦に目標を切り替えて調整されてきました。逆にジャパンカップで負けているのも好ましいですね。もし勝ってしまっていたら、反動が出たり、おつりのない状態で出走していたかもしれません。

前走のジャパンカップ時に思ったのは、高橋調教師はジャパンカップを獲りに来たというよりも、秋3戦を同じ体調で走られるように作ってきているなということです。私にとっては、その分、ジャパンカップの体調は100%のものではなかったように映りました。ほんの少し余裕残しという感じでしょうか。引退レースとして100%に仕上げたアドマイヤムーンとの差が、ゴール前での着順になって表れたということでもあります。今回は本年最後のレースでもありますので、ビッシリと仕上げてくるはずです。今度こそ、高橋調教師も馬を信じて自信を持って送り出してくるのではないでしょうか。

ポップロックは道中ゆったりと行って、ラストの末脚で勝負する馬ですが、ほんの僅かエンジンの掛かりが遅いことが勝ち味の遅さにつながっています。その分、府中のような直線の長いコースを得意とするはずで、中山競馬場は昨年で2着しているとはいえどうでしょうか。昨年のようにスムーズに回ってくることが出来なければ、直線伸びたものの届かないということにもなりかねません。ペリエ騎手の手綱さばきと、枠順にかかっていると思います。

ウオッカはダービーの疲れが抜けきれていないのか、秋2走は精彩を欠いた走りをしています。四位騎手がこの馬を前に付けられないのは、ウオッカ自身がどこか苦しいところがあって折り合いを欠いてしまうからでしょう。ジャパンカップは満足な体調ではなかったので、そんな中、よくぞあそこまで走っていると思います。この馬が本来の体調を取り戻したら、このメンバーでも正攻法で勝負して勝てるだけの能力を持っています。それが来年になるのか、それとも今回の有馬記念になるのか、見極めなければなりませんね。

ダイワスカーレットは鞍上に安藤勝己騎手を得て、まさに百人力ですね。おそらく、この馬が逃げてまた主導権を握ることになるのでしょう。しかし、私としてはファインモーションと被るのですが、もし道中で絡まれるようなことがあれば惨敗も覚悟しなければならないかもしれません。そうでなく、誰も競りかけてこなければ、この馬は止まらない馬ですので、あわやという見せ場を作ってくれるのではないかと期待しています。

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清水英次騎手が肩入れしているのはどちらなんでしょう

Rudolf

そろそろ年賀状のことが気になり始めました。この歳になると12月に入って続々と喪中の葉書が届きます。ほとんどが年賀状だけのお付き合いの方からの便りで、はてどういう方が亡くなられたかで済むところですが、たまに喪中の葉書で遠方に住む友の父上や母上の訃報にはじめて接することがあります。そうした場合は無性にやるせない気持ちになる。歳をとるというのは悲しいことです。

清水英次騎手はすでに鬼籍に入っておられたのですね。牝馬が人気を集める有馬記念ということでトウメイでも書いてみようかな、とネットを眺めていてはじめて知りました。おやじが知らなかっただけのお話なんですが、やるせない。申し訳ない気になった。12、3年前でしょうか、おやじが競馬から少し離れているときに落馬事故に遭われて、それ以来懸命にリハビリに取り組んでいらっしゃったそうですが、ついに体調は戻ることはなかったようです。

愚息が騎手になりたいなんていったら、バカの一言で済ますことにしている。理屈などない。命がいとおしいから。一生涯勝てないかもしれぬ馬の背から落とされ、どんじりを走っている馬の蹄に背骨を砕かれる悪夢を背負わされ、それでも勝ちにいかねばならぬのが騎手ならば、騎手というのはもはや生業とはいえないないだろう。年に1度は畏怖の念をもって競馬を見たいものです。

岡部幸雄、柴田政人、福永洋一など、清水英次騎手と同じ年にデビューした騎手は花の15期生なんて呼ばれてもてはやされていました。天才もいれば哲人もいる、アローエクスプレスからタイキシャトルの時代を体をはって支えてくれた偉大な騎手たちです。レスター・ピゴットが福永騎手の天才を一瞥して見抜いたという治郎丸さんの話はおもしろかった。

清水英次騎手は花の15期生とは呼ばれません。長期騎手講習を経ず、短期講習によって騎手免許を取得したからです。よって花はない、といったらあまりにも失礼か。だが15期生のなかに職人と呼ばれた騎手はいなかったはずです。清水英次騎手は玄人を唸らせる職人でした。素人のおやじの目には凄みのある追い込みが今でもやきついています。自らも京都の外回りコースや東京で追い込みを決めるのが好きだと語っておられたと思います。

1967年にデビューした騎手のなかで最初に世間に注目されたのは、どの騎手だったのでしょうか。1970年はアローエクスプレスの年でしたが、皐月賞前までアローの馬上には柴田騎手がいました。1971年の秋には福永洋一もニホンピロムーティエで初めてクラシックを勝っていますし、春には既に岡部騎手が、カネヒムロでオークスを制しています。ああ、岡部騎手はこの中では遅咲きの花でしたね。

1971年、牡馬の強豪を何度も退け強いマイラーと目されていた女傑トウメイの手綱は清水英次騎手に託されました。もともと3着を外さない金になる馬だったトウメイですが、清水英次騎手に乗り替わってからは連勝を続けました。以後清水英次騎手はリーディングの上位に顔を出す騎手になっていきます。

トウメイといば牡馬相手に秋の天皇賞を勝ち、天皇賞馬テンメイの母になったことからステーヤーのイメージをもっていらっしゃる方も多いと思うのですが、当時の評価はあくまでマイラー。トウメイが天皇賞を勝ったときは3番人気でした。貧弱な母親から生まれ、売れ残って「ネズミ」と呼ばれた410キロそこそこの馬に天皇賞3200Mを走りぬく力を期待するのは酷でしょう。

おやじが実際に見た小柄な牝馬ならラフォンテースかな、かわいい馬でずいぶん入れあげたものです。彼女も秋の天皇賞に出て健闘はしたものの掲示板にのれませんでした。仮に牡馬であっても400キロ前後の馬には天皇賞2マイルを勝つのは難しい。

ところで花の15期生にはどうも名言がないような気がしているのですが、いかがでしょうか。なにせ天才や哲人たちなので言葉にする前に腕で語ってみせる。トウメイで天皇賞に挑んだ清水英次騎手にはひとつの名言があります。「マイルの競馬を2回走るつもりで乗ればいい」トウメイの距離不安について尋ねられたときの言葉でした。 

ここまではすべて若いころに耳にしたり読んだりした話なのですが、この言葉の真意がおやじにはずっと分かりませんでした。この言葉に2マイルの競馬の奥義が隠されているんじゃあないか、清水英次騎手は若くして奥義を窮めた仙人じゃないかと、天皇賞のたびにいつも清水英次騎手のことが気になっていました。今から思えば彼が倒れた後もずっとそう思っていたわけですね。

今回、1マイル+1マイル=2マイルという競馬では成立しえぬ足し算の謎が少し解けた気がしました。マイルの競馬を2回すれば勝てる、と清水英次騎手が言ったというのはどうもおやじの思い込みだったようでして、ネットをたどっていくとどのページにも先輩の助言だったと書いている。

その先輩というのが高橋成忠騎手。桜花賞(2着)を経てオークス(3着)までトウメイの主戦を務めていました。「トウメイは確かにマイルを得意としているが、強い馬だ、馬を信じて乗れば2マイルだって勝てる。」助言ならばそういう意味だろう。

高橋成忠は天皇賞を2度制して全国リーディング1位にもなった大騎手ですが、おやじは騎手時代の晩年をかすかに覚えているだけです。調教師となってからは実に個性的な馬を育てていらっしゃいますね。サンレイジャスパーやメイショウバトラー、情を感じさせる馬が多いのは人柄のせいでしょうか。

これまでG1勝ちはありませんでしたが、今年の春、サムソンを引き受けて天皇賞を勝たせています。そのときの高橋成忠師のコメント。「石橋くんはすごい自信でのったんじゃないですか」菊花賞で負けたメイショウサムソンもトウメイと同じように距離を云々されていましたね。人気も2番人気でしたか。

馬券を買う者なら分かるはずですが、必ずチャンスは何度か訪れる、訪れるがそれをチャンスだと信じることはむずかしい。おおよそ、あの時なあという話になっている。1枚の馬券でさえあの時なあである。それがトウメイならどうだ、サムソンならどうだ、と思う。高橋成忠師は清水英次にも石橋守にも「信じろ」と説いたのかもしれません。

トウメイは続く有馬記念も勝ちました。わずか6頭の競馬でしたがこのときも2番人気。メジロムサシに1番人気を譲っています。我々は既にトウメイが名馬であることを知っているので2番人気だったことをとても不思議に思いますが、牝馬に対する評価というものはそんなものでしょう。どんなに強くても、信じるというのはなかなかむずかしい。ただ、清水英次騎手はトウメイに「すごい自信でのったんじゃないですか」

余談ですが、トウメイの有馬記念を少し軽く扱う人もいますね。インフルエンザの大流行で有力馬が出走を取りやめていたからでしょうが、八大競争の勝利をけなすのは上品な態度ではありません。

彼岸にいらっしゃる清水英次騎手の目には今年の有馬記念はどう映っているのでしょうか。強い牝馬の挑戦、インフルエンザの流行。自らの1971年を思い出していらっしゃるかもしれません。物語は1971年に始まりました。そして今年、牝馬の挑戦を受けるのは、清水英次騎手に「信じろ」と助言した高橋成忠です。これが物語に仕組まれたプロットです。

2007年春、自らに訪れたウオッカというチャンスを信じて今年のダービーを制した角居勝彦師を清水英次騎手なら見守ってくれていたはずです。高橋成忠と角居勝彦、清水騎手が肩入れしているのはどちらなんでしょう。年の瀬には不思議な時間が流れているのでしょうか。時間に追いまくられながら1年の始末をつけているうちに、過ぎこし年月や別れた人を思い出してしまいました。

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◎サブジェクト

Jiromaru

丁寧な血統解説ありがとうございます。ここまで奥深く血統について語れる人は希少だと思います。マルゼンスキー記念というのは、昨年、ルドルフおやじさんに命名していただいたのですが、やはりそれほどマルゼンスキーという馬は人々の記憶に残る凄い馬だったのでしょうね。残念ながら、私は現役のマルゼンスキーを知りませんし、当時の競馬ファンの興奮も知りません。それでも、当時、持込馬であったためダービーに出走することができなかったマルゼンスキーの主戦の中野渡清一騎手が言った、あの有名なセリフは強烈に印象に残っています。

「賞金なんか貰わなくていい。
28頭立ての大外枠でもいい。
邪魔なんかしない。
頼むから出してくれ。
そうすれば、どれが日本一かわかる」

この言葉だけでも、マルゼンスキーがどれほど強い馬だったか想像がつきます。結局、後続につけた合計の着差が61馬身という圧倒的な強さを見せ付けて、8戦8勝の戦績で引退していきました。引退式の日に、スタンドから上がった垂れ幕には、こんな文字が躍ったそうですね。

「さようなら、マルゼンスキー。
語り継ごう、おまえの強さを」

その通り、マルゼンスキーの強さは多くの人々によって語り継がれてきたわけですし、またマルゼンスキー自身も種牡馬として己の強さを証明してきましたよね。本当に素晴らしい馬だと思います。

もう1頭、後世に語り継いでいきたいマルゼンスキー記念の勝ち馬がいます。フジキセキです。私が実際に見てきた中で、最も強烈な強さを誇ったマルゼンスキーの後継者です。フジキセキが勝った平成6年のマルゼンスキー記念は曇天の下行われたのですが、内ラチにぶつかりながらも抑えきれない手応えで直線に向いたフジキセキが、ラチ沿いをスルスルと伸びた時の興奮は今でも忘れられません。外からスキーキャプテンが伸びてきて、あわや交わされるかというところがゴールでした。着差以上に余裕があったのですが、レース後の角田騎手の「ムチを入れていませんから」というコメントが印象的でした。実際には肩ムチを一発だけ入れているのですが、そう言わせたのはフジキセキが圧倒的に強いという角田騎手の意地なのでしょうね。

フジキセキは坂路コースの申し子でもありました。栗東トレセンに坂路コースが出来たのは、今からおよそ20年前のことです。今でこそ関西馬が強くなったのは坂路コースのおかげなどともてはやされていますが、完成当初の調教師たちの反応は冷ややかなもので、実際に坂路コースを使って追い切られる馬などほとんどいませんでした。そんな中でも、坂路コースに活路を見出し、坂路コースに己の調教師生命を賭けた2人の調教師がいました。戸山調教師と渡辺調教師です。

戸山調教師は、ミホノブルボンやレガシーワールドを育てた、スパルタ式の調教で有名です。今ではちょっと考えられないかもしれませんが、通常では1日3本で限界の坂路コースを、ミホノブルボンなどは1日5本も追われて鍛え上げられていました。後ろからミホノブルボンのお尻を見ると、他馬の2倍くらいの大きさがあったそうです。戸山調教師のスパルタ調教には賛否両論が飛び交いましたが、ミホノブルボンやレガシーワールドの活躍が救ってくれましたよね。戸山調教師の試行錯誤が現在の坂路コースのノウハウにつながっています。

もう一人がフジキセキを育て上げた渡辺栄調教師です。戸山式のスパルタ調教を受け継ぎながらも、入厩当初のヒ弱なフジキセキを鍛え上げていきました。幸いなことに、フジキセキは食欲の旺盛な馬だったため、どれだけ苛酷な調教を課してもカイバの量が落ちたことは全くなかったといいます。だからこそ、坂路で猛特訓を受けながらも、デビュー戦では472kgだった馬体重がマルゼンスキー記念では492kgにまで増えていました。

フジキセキは全くの無駄のない素晴らしいフォームで走る馬でした。坂路を駆け上がってくるところを真正面から見るとよく分かるのですが、脚を外に振り回しながら上がってくる馬もいます。これは無駄のある走り方で、フジキセキはどれだけ速いタイムで上がってくる時にも、脚を真っ直ぐに伸ばして駆け上がってきていましたね。坂路コースがなければ、フジキセキもあれだけの強さを発揮することもなかったかもしれません。

残念ながら、フジキセキは弥生賞を圧勝した後に屈腱炎を発症してしまい、幻の3冠馬になってしまいました。弥生賞も凄いレースだったのですよ。外からホッカイルソーがもの凄い脚で強襲してきたのを一旦受けて、そこからエンジンをふかして3馬身ほどチギってしまったのですから。フジキセキはその漆黒の馬体やレースぶりや気性からも、サンデーサイレンスに最も似ている馬と言われますが、私もそう思います。鋭敏な馬が多いサンデーサイレンス産駒の中でも、最も鋭気を感じさせる馬でした。

さて、今年のマルゼンスキー記念は、そのフジキセキ産駒の◎サブジェクトに本命を打ちます。父ほどに鋭気を感じさせる馬ではありませんが、新馬戦の末脚はなかなかのものでした。直線が短く先行馬に圧倒的に有利な札幌競馬場の1800mコースで、直線だけで差し切ってしまったのですから、その能力と完成度はかなり高いと言っても良いのではないでしょうか。ルドルフおやじさんのおっしゃる通り、札幌2歳Sでは自ら動いて勝ちに行った強い競馬でした。展開の綾で負けてしまいましたが、底力を証明しましたね。前走は初の当日輸送で馬が気負っていたこと、やや重馬場で他馬よりも1kg重い56kgを背負って、しかも出遅れてしまったことに敗因を求めます。巻き返しは十分可能とみます。

母系はトゥールビヨンを生んだ牝系なんですね。知らなかったです。典型的なアメリカ血統ですので、この馬の完成度やスピードはこちらから受け継いでいる部分もあるのでしょう。そういった意味では、前回の手紙にも書きましたが、マイルへの距離短縮は好材料だと思います。マルゼンスキー記念は厳しいレースになりますので、マイル以上のスタミナが要求されます。だからこそ、意外と中距離を使ってきた馬に分があるレースになります。距離が短縮されて、サブジェクトの中距離での実績とスピードが生きてくるはずです。

心配はやはり大外枠ですよね。中山の1600mコースの外枠は、JRAの全競馬場のコースの中で最も不利と言われていますので、決してプラス材料に働くことはありません。しかし、決まってしまったことをあれこれ言っても仕方ありませんので、私がサブジェクトに乗るつもりで作戦を考えてみました。

幸いなことに、この馬は末脚で勝負できる馬ですので、スタートしてから無理に好位を取りに行く必要はありません。ですから、他馬よりも少し遅めにフワッとゲートから出して、最初のコーナーである2コーナーへ向けて、内に切れ込みながら経済コースを取ります。最初のコーナーを回る時には馬場の内を進んでいますので、コーナリングのロスは少なくてすみます。

この時点で、前から数えてどれぐらいの位置にいるかが重要ですね。最後方にいるようであれば、向う正面の中間から3コーナーにかけて、ある程度位置取りを上げておく必要があります。内ラチピッタリを進めればいいのですが、そうはいかない場合は、馬の間を縫わなければならないかもしれません。

3コーナーから4コーナーまではジッと我慢ですね。坂を下るような形になりますので、外から動き出す馬も多くいるはずですが、もうひたすら我慢の子です。内ピッタリを回っていますので、動かなくてもそれほど他馬から離されることはないでしょう。勝負所の4コーナーを向くまでは、ピクリとも動いてはいけません。最後の直線310mに全てを賭けるのです。

そして、ここからが最大のポイントです。最後の直線は内を突くのです。外枠発走のロスを取り戻すには、最後の直線は内を突くしかないでしょう。一か八か内を突けば、先に抜け出した馬たちとの差は一気に詰まるはずです。あとは最後の高低差2mの急坂で、前の馬たちの脚色が鈍るかどうかです。これは道中のペース次第ですが、マルゼンスキー記念はハイペースになりがちなレースですので、最後の最後で先行馬の脚が上がって逆転できる可能性はあります。

もちろんシナリオどおりに進まないのが競馬のレースですが、安藤勝己騎手もこのようなイメージを描いて臨んでくるのではないかと思います。あとは、その場その場での安藤勝己騎手の判断に任せましょう。それが出来るのが、不可能を可能にしてきた安藤勝己騎手だと思っています。マルゼンスキーの28頭立ての大外枠に比べれば、16頭など大したことないとも思えますしね。

アポロドルチェはやはり1番人気に推されていますね。前走の勝ちっぷりを見ても当然だと思います。この馬の強さに関しては、前の手紙で書きましたので詳しくは書きません。マルゼンスキー記念に出走できる確率が4%で、勝てる確率は0%という異系(マンノウォー系)なのですね。勝てばミホランザン以来35年ぶりか。クシュン、ここに赤ん坊からおやじになった人がいますよ。そんな話を聞くとつい応援したくなっちゃいますね。

後藤騎手の騎乗スタイルから考えて、外枠を引いたということもあるので、かなり強引に攻めてくるはずです。前走で立ち遅れていたのは心配材料ですが、今回は前半から中団よりも前につけて、4コーナーでは先頭に立つぐらいの勢いで回ってくるはずです。そうするためには外々を回らなければならず、スタミナがもつかどうかの1点に勝敗はかかってくると思います。この馬の体型は短距離馬のそれですが、走りに柔軟さとスケールの大きさがありますので、パタッと止まる馬ではありません。ただ、ハイペースの中を最後まで押し切れるかどうか微妙なところです。この馬が最後までレースの主導権を握りそうなのは間違いありませんが。

スズジュピターが2歳Sを使わないのはマイラー色が出ているからなのですね。馬っぷりも抜群に良いですし、長いところを使っていけば距離も持ちそうなだけに残念です。この時期の若駒は、どの距離のレースを使うかで将来が変わってきてしまうので、もし本気でダービーを目指すのであれば2歳Sに使って欲しかったなあ。ということは、逆に考えると、ここは勝負が掛かっているということでもありますよね。後藤騎手はアポロドルチェを選びましたが、ことマイル以上のスタミナという部分ではこちらに分があると私は思っています。あとは器用に立ち回れるかどうかです。アポロドルチェに比べると少し鈍重なイメージがありますので、柴田騎手がどのように捌いてくるでしょうか。枠順は文句なしです。

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名門ビューチフルドリーマーのフォーチュンは託された

Rudolf

武文のお話はおやじも聞いたことがありました。泣かせる話ですね。
ありがとう、でしたね。そのとおりです。そう、そう、一生を賭けたのですから、ありがとうですね。名馬にめぐりあったのですから、ありがとうですね。名人にあったから、ありがとうですね。

さて、キャプテントゥーレなどおやじが切ろうとしていた馬が何頭かいたのですが、お手紙を読ませてもらうとどうも侮ってはいけないようですね。おやじも思い込みが激しいのでもう1度きちんと考えて結論を出そうと思います。

アポロドルチェ。やはりこれが1番人気か。お手紙には余裕綽々、圧巻なんて言葉があって頼もしい。おやじはステップレースのなかでは京王杯のレベルが高いのかなと思っています。心情的にはマンノウォー系のこの馬は是非買ってみたいなあ。ここ20年ほどで日本の父系地図もすっかり塗り替えられてしまって、もはやエクリプス系、その中でもファラリス系以外の馬の出る幕はないようですね。ヘロド系のトウカイテイオーが頑張っているなんていうのは奇跡に近い話です。前の手紙で書かせてもらったように、朝日杯に異系が出走できる確率は4%。何年かに1頭出走するか、しないか。そしてこの10年のデータ上では勝つ確率は0%。

名馬中の名馬というのは己が負けた馬の名前まで歴史に残すことができるのですね。21戦して1敗、マンノウォー唯一の敗戦は6ハロン戦で大きく出遅れてしまったという偶然によってもたらされた出来事でした。負けた相手につけられていた名はアップセッター(どんでんがえし)。ついでにネイティブダンサーに黒星をつけたのはダークスター。なんともおもしろい。

もしマンノウォーが勝つとすれば35年ぶりか。ミホランザン以来となります。忘れられた馬ですが35秒台の時計で朝日杯を勝った快速馬です。キタノカチドキやイットーと同世代で当時はマンノウォー系を異系なんていってませんでしたよ。主流とはいわないが大種牡馬の「月友」、イットーの父ヴェンチア、オグリの母父で有名なシルバーシャークなど、日本の競馬とマンノウオーは相性がいい。ダービーではトウショウボーイもマンノウォーに敗れていますね。

最近ではサニングデールがマンノウォーの目ぼしい活躍馬ですか。彼は青森で種馬生活を送るそうです。マンノウォー系の現在の地位を物語っていますね。ミホランザン以来の35年といのは馬にとってはとてつもなく長い時間です。人間だって赤ん坊がおやじになる。今、くしゃみしませんでしたか。現役では美形で有名なブラックバースピンもこの系統です。気になるのはこの系統が淡白なスピードを押し出していることですね。Aドルチェ、先週のオディールのように強い馬なのでこの馬も掲示板は確保できると思います。しかし不世出の名馬マンノウォーの血にとって大切なのは、ドルチェが35年の時を経て勝利できるか否か、です。異系に追いやられたマンノウォー、今度は彼がアップセッターになる番です。ここが第2回マルゼンスキー記念の見所だと思います。

ターントゥはエントリーした馬の半数を送り込んできました。有力馬もたくさんいますね。なかなか掘り尽くすことのできない鉱脈です。

キョプテントゥーレ。父のタキオンには早く一流の牡馬を出してほしいものです。活躍馬が牝馬に偏るというのは種牡馬にとって危険な兆候ですから。おやじはタキオンを競走馬としても種牡馬としても高くかっています。タキオン産駒AアークはマイルCSでなんとも惜しいことをしました。Aアークの力は相当なもので種牡馬としても期待していいのですが、このまま引退となるとその道も厳しくなりますね。治郎丸さんはトゥーレを高く評価しているのかな。感性が大切という治郎丸さんは一見凡庸にうつる前走に何か感じとっているのですね。この馬は父と母それぞれの母方にロイヤルスキーをもっている点がユニークなところであり、長所だと思います。競走馬としても種牡馬としても一流と呼べないロイヤルスキーのような良血馬は母系に入ってその血の良さをきちんと伝えてくれます。次の手紙が楽しみです。感性ですよねえ。まず感性があって次に血統だ。そしていろいろあって、最後におやじがもうけるのが望ましい。

スズジュピター。これは治郎丸さんのおっしゃるように父ギムレットの影響の強い馬かも知れません。何度か書いたようにギムレットは大種牡馬になる可能性のある馬です。仕上がりが早くマイルから選手権距離まで力をきちんとだせる。2歳Sを使わないのはギムレットのマイラー色がこの馬に濃く出ているためなのかも知れません。

スマートギャング。父のグラスワンダーからはなぜG1馬が出ないのですかねえ。あれ、忘れた、出ているのかもしれない。良血で素晴らしい能力の持ち主なのに不思議です。ちょっと良血を集めすぎてよくばったかな。スマートギャングの母系は芳しくないのでグラスワンダーと足して2で割ってちょうどいいさじ加減になっているかもしれませんよ。くんくん、穴の臭い。

サブジェクト。フジキセキは父サンデーの死を待っていたかのように強い馬を送り出しています。やはり恐ろしい種牡馬です。サブジェクトが洋芝の札幌2歳Sで力を出せたというのは底力のある証です。このレースは武騎手と安藤騎手の駆け引きの見えたとても良いレースだったと思います。馬の力を信じたのは安藤騎手の方だったかな。強いレースをさせています。母系はとてもいいですよ。近いところではジョリーズヘイローなんかがいます。ルドルフの祖、トゥールビヨンを生んだ牝系だと知ったら驚きですよね。安藤騎手を乗せても人気は出ないかな。くんくんくん。

ミリオンウェーブもフジキセキ産駒です。ユートピアの出る一族で意外と活気のある牝系ですがサブジェクトの牝系の魅力には勝てません。

ギンケイ。父も母もおやじには馴染みの薄い馬ですが、前走は意外と強い競馬をしているのではないでしょうか。ミリオンウェーブを穴で買うならこっち、こっち。

勢いはネイティブダンサーです。前の手紙のエントリー馬の割合より出走馬の割合がぐっと多い。レベルの高い馬を出していることがうかがえます。

ドリームシグナル。例のファンシミン系で底力ならどの馬にも負けません。前走を見ていると無類の道悪後者なのかもしれません。雨ならばこの馬です。強い部類の馬ですが、まだまだ成長しそうですし今回狙っていくのは案外得策ではないかもしれません。

セレスハント。父のコロナドズクエストは先週書いたようにダービーで1着か未勝利でどんじりか、といった魅力をもった種牡馬だと思います。セレスの成績も極端です。ただ芝とダートのマイルで勝っているのは頼もしいですね。母系はなつかしいリボッコ、リベロという兄弟種牡馬が出る牝系でスタミナを蓄えていると思います。リベロについては治郎丸さんの以前の手紙でも触れられていましたね。

ドリームガードナー。新馬でスマイルジャックの2着していますね。ここでも好戦できると思います。母系は江川卓さんのところで書いたレディーゴシップと同系です。すばらしい活力の血脈ですねえ、一言、驚きです。この血脈からは今年コイウタがG1を勝ち、Aアークが2着していますね。

ヤマニンキングリー。Aデジタルの牡馬のエースに育ってほしい馬です。使われるごとによいレースをするようになっているのは父の特長なのかも知れません。ちらっと見ただけですが、大きなフットワークで走る馬だと思いませんか?中山マイルはちと苦しいか。この馬は2歳Sに出てほしかった。まあ、いいか。母系はティファニーラスが出る超のつく良血でキングリーと命名したのもうなずけます。キョプテントゥーレを良血というならこの馬はもっと騒がれなくてはいけません。前走トールポピーをおさえた末脚は見事。あとは小回りをどう乗るか、武騎手が乗ってくれるのはいいですね。

Nダンサー系はやはり少数精鋭できました。いい馬をそろえています。

フォーチュンワードがどんなレースをするか、クラシックのクの字が少し見えてきそうです。父のデヒアをはじめとしてこの牝系にかけられているのは頑健な種牡馬ばかりです。祖母のビクトリアクラウンは今年亡くなったのですか。名門ビューチフルドリーマーのフォーチュンはこの馬に託されています。京王杯は4着でしたがすばらしいレースをしています。今回は中段につけるレースをするはずです。松岡騎手というのもいいなあ。

ゴスホークケン。前走は少し馬体に余裕があったと思います。今回はきちんと仕上げてくるはずです。穴人気以上の評価をされて然るべき馬だと思います。はずかしいので理由はいえませんがこの馬は東京コース向きだと思っています。気になるでしょ、今度お会いしたときに長い長い理由を話しましょう。この馬が3着までにきたときには忘れてください。はずかしいことって多いですよね。母系はこれまたレディーゴシップの一族ときた、怖い血統です。

エーシンフォワード。上と同じストームキャット系ですが、近親には活躍馬が見当たりません。それでずーっと、ずーっとさかのぼると、なんとプラッキーリエージュにたどりついた。サーギャラハットやブルドックそしてボワルセルを生んだ20世紀の母ですね。しかしリエージュの仔の活力も母系そのものの活力も失われています。ボアルセルが最後の戦いに敗れたのは今年のエリザベスの日でしたね。痛い目にあった。

レッツゴーキリシマ。はい、手拍子、手拍子。GO、GO、GO!もっともっとGO、GO、GO!おやじは日本酒党だが、焼酎なら霧島だ、GO、GO、GO!はい、これが今年のマルゼンスキーですね。母系がマルゼンスキーを出しています。だから強いなんて理屈はないがG3級の兄のキリシマよりもいいんじゃないかな。父のMライアンの産駒は中山コースに相性がいい。Nダンサーのサイヤーラインはなぜか日本に根付きにくいのですが、この父系は別ですね。名馬にして名種牡馬、ライアン最後の代表産駒に育ってほしいものです。前走もなかなかの競馬をしていると思います。

ナスルーラからは1頭。ウイントリガー。トウショウボーイの母ソシアルバタフライから出る血統ですね。ここまでくるとですよ、なんだか分からなくなるところが血統のおぞましところですな。がっはははは。結局、馬が見えてないときは血統を見てもだめだな。

まず主流血脈から1頭ずつチョイスしましょうか。

ターントゥ系からはサブジェクト
ネイティブダンサー系からはヤマニンキングリー
Nダンサー系からはフォーチュンワード

この3頭に挑むのがアポロドルチェ
そして焼酎を呑んでいい機嫌なのがレッツゴーキリシマ

◎フォーチュンワード
○サブジェクト
▲アポロドルチェ
△ヤマニンキングリー
×エアトゥーレ
×レッツゴーキリシマ 

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名馬の条件とは

Jiromaru_3

名馬の条件ですか?とても難しい質問ですが、私は「ほとんど負けないが、負けても大きくは負けない」ことじゃないかなと思っています。いくら名馬とはいえ、やはり色々な理由があって負けることもあります。それでも、そんな中でも意地を見せるというか、底力を見せる馬こそが真の名馬だと思います。ですから、勝つ時は強いけど、負ける時はあっさりという馬は真の名馬ではないのではないでしょうかね。また、マルゼンスキー(8戦8勝)のような無敗馬も、もし走り続けていたとしたら…と考えてしまいます。

「ほとんど負けないが、負けても大きくは負けない」の代表馬はシンザンとシンボリルドルフでしょうか。長くなってしまいますが、日本の名馬の代表ですので、ぜひその全成績を記させてください。まずはシンザンから。

競馬場レース名距離着順騎手調教師
京 都 3歳新馬 1200 1 栗田 勝 武田 文吾
阪 神 3歳オープン 1400 1 栗田 勝 武田 文吾
阪 神 3歳中距離特別 1600 1 栗田 勝 武田 文吾
京 都 4歳オープン 1600 1 栗田 勝 武田 文吾
東 京 スプリングS 1800 1 栗田 勝 武田 文吾
東 京 皐月賞 2000 1 栗田 勝 武田 文吾
東 京 4歳オープン 1800 2 栗田 勝 武田 文吾
東 京 東京優駿 2400 1 栗田 勝 武田 文吾
阪 神 4歳以上オープン 1800 2 栗田 勝 武田 文吾
京 都 京都盃 1800 2 栗田 勝 武田 文吾
京 都 菊花賞 3000 1 栗田 勝 武田 文吾
阪 神 4歳以上オープン 1600 1 武田 博 武田 文吾
阪 神 4歳以上オープン 1850 1 武田 博 武田 文吾
阪 神 宝塚記念 2000 1 栗田 勝 武田 文吾
阪 神 4歳以上オープン 1850 1 武田 博 武田 文吾
東 京 目黒記念(秋) 2500 1 栗田 勝 武田 文吾
東 京 天皇賞(秋) 3200 1 栗田 勝 武田 文吾
中 山 4歳以上オープン 2000 2 武田 博 武田 文吾
中 山 有馬記念 2600 1 松本 善登 武田 文吾

もうため息が出てしまうような成績ですよね。シンザンは19戦中4戦しか負けていません。しかも負けているのはG1レースへの叩き台であったオープン戦がほとんどです。なんとG1レースでは一度も負けていないのですね。おそらくかなり太目で使ったであろう叩き台のレースでも、全て2着とほとんど負けていません。この時代において、シンザンはそれほど抜けた存在だったのでしょう。「シンザンを超えろ」というのがホースマンたちの合言葉だったのが良く分かりますね。

次に皇帝シンボリルドルフです。

競馬場レース名距離着順騎手調教師
新潟 3歳新馬 1000 1 岡部 幸雄 野平 祐二
東京 いちょう特別 1600 1 岡部 幸雄 野平 祐二
東京 3歳オープン 1600 1 岡部 幸雄 野平 祐二
中山 弥生賞 2000 1 岡部 幸雄 野平 祐二
中山 皐月賞 2000 1 岡部 幸雄 野平 祐二
東京 東京優駿 2400 1 岡部 幸雄 野平 祐二
東京 セントライト記念 2200 1 岡部 幸雄 野平 祐二
京都 菊花賞 3000 1 岡部 幸雄 野平 祐二
東京 ジャパンC 2400 3 岡部 幸雄 野平 祐二
中山 有馬記念 2500 1 岡部 幸雄 野平 祐二
中山 日経賞 2500 1 岡部 幸雄 野平 祐二
京都 天皇賞(春) 3200 1 岡部 幸雄 野平 祐二
東京 天皇賞(秋) 2000 2 岡部 幸雄 野平 祐二
東京 ジャパンC 2400 1 岡部 幸雄 野平 祐二
東京 有馬記念 2500 1 岡部 幸雄 野平 祐二
アメリカ サンルイレイS 2400 6 岡部 幸雄 野平 祐二

シンボリルドルフは15回走って、ルドルフおやじさんが書いてくれたジャパンカップと天皇賞秋の2回しか負けていません。これだけを見ても、シンボリルドルフは負けてはいけないという使い方をされていますね。シンザンは悪く言えば本番を勝てばいいやという使われ方だったのに対し、シンボリルドルフはたとえ叩き台のレースでさえも負けられないという陣営のプライドのようなものが感じられます。

その完璧主義が裏目に出てしまったのが、負けた4歳時(現3歳時)のジャパンカップと天皇賞秋でした。ジャパンカップは無敗で3冠を制した疲れがドッと出てしまったレースです。当日はシンボリルドルフも下痢をしていたと言いますね。天皇賞秋はブッツケで馬が気負ってしまっての2着でした。負けてもいいからどこかで叩いていれば、間違いなく勝っていたレースでしたね。付け加えるとシンボリルドルフは最後にアメリカのサンルイレイSにも出走し6着に敗れましたが、左前脚繋靭帯炎を発症したため、まともに競走をしていません。

このように、シンザンもシンボリルドルフもどれだけ体調が悪くとも、惨敗を喫しなかった馬でした。負け方に名馬の意地があったというか、勝ったレースよりも負けたレースでその強さを競馬ファンに見せ付けた馬だったのではないでしょうか。この2頭が20世紀の真の名馬であることに異論を挟む余地はないと私は思います。

21世紀の名馬はやはりディープインパクトでしょう。私は幸いなことに、この馬のレースを新馬戦から同時代で観ることができました。ルドルフおやじさんはシンボリルドルフとディープインパクトの2頭の名馬を観ているのですから、羨ましい限りです。名馬と同時代に生きた幸せは、年月を経るに従って大きくなっていきますよね。

競馬場レース名距離着順騎手調教師
阪神 3歳新馬 2000 1 武 豊 池江泰郎
京都 若駒S 2000 1 武 豊 池江泰郎
中山 弥生賞 2000 1 武 豊 池江泰郎
中山 皐月賞 2000 1 武 豊 池江泰郎
東 京 東京優駿 2400 1 武 豊 池江泰郎
阪神 神戸新聞杯 2000 1 武 豊 池江泰郎
京都 菊花賞 3000 1 武 豊 池江泰郎
中山 有馬記念 2500 2 武 豊 池江泰郎
阪 神 阪神大賞典 3000 1 武 豊 池江泰郎
京 都 天皇賞春 3200 1 武 豊 池江泰郎
阪神 宝塚記念 2200 1 武 豊 池江泰郎
フランス 凱旋門賞 2400 3 武 豊 池江泰郎
東京 ジャパンカップ 2400 1 武 豊 池江泰郎
中山 有馬記念 2500 1 武 豊 池江泰郎

ディープインパクトも、フランスの凱旋門賞を含め14戦走って2回しか負けていません。負けた菊花賞にしても、3冠達成の反動から、まともに走れる体調にありませんでした。凱旋門賞はシーズンオフに近い宝塚記念を勝ったことによる反動がありましたし、現地(フランス)での調教で仕上げが少し緩かった気がします。それでも有馬記念は2着、凱旋門賞は3着ですから、今から考えても信じられないぐらいの能力を持った名馬でした。

「ほとんど負けないが、負けても大きくは負けない」という私の名馬の条件は、ルドルフおやじさんのおっしゃる「晴雨不問は名馬の条件」ということと重なりますよね。雨が降ったから、ドロドロの馬場だからなどと言ってあっさりと負けてしまうのは、真の名馬ではないということでしょう。

そして、ひづめ、性質、体格、血統、生産地の「五調」。これらが揃っていなければ、どんな条件でもどんな状態でも「ほとんど負けないが、負けても大きくは負けない」ということを実現するのは難しいでしょう。ディープインパクトは蹄が薄く、決して強い馬ではありませんでしたので、現代の装蹄の技術に助けられたという部分もあるとは思います。また、体格という面でも決して恵まれた方ではありませんでしたが、天性のバネと性質の良さで補っていたのかもしれません。

シンボリルドルフが菊花賞で3冠制覇に臨む直前に、和田共弘オーナーと野平祐二調教師のもとを、シンザンを管理していた武田文吾調教師が訪れた話はご存知ですか?ちょうど20年前に3冠馬シンザンを送り出した武田文吾調教師は、これからシンボリルドルフで3冠を目指す二人に対してこう言ったそうです。

「ありがとう。私の生きている間にシンザンを超える馬が出ない。それが実に寂しかった。つい最近までは諦めていたのだが、君たちはシンボリルドルフという立派な馬をこしらえた。ルドルフは完全にシンザンを超えた。私はもう思い残すところはないよ。ありがとう和田君、そして野平君」

真のホースマンたちは、こういう絆で結ばれているのですね。もし和田共弘オーナーや野平祐二調教師が生きていて、ディープインパクトの走りを見ることが出来ていたら、彼らは何を思ったでしょうか。ディープインパクトはシンボリルドルフを超えたと思ったでしょうか。それともまだまだシンボリルドルフの域には達していないと感じたでしょうか。彼らもまた、吉田勝己さんや池江調教師の手を握って「ありがとう」と言ったに違いない、と私は思っています。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、今週は朝日フューチュリィティS改めマルゼンスキー記念でしたね。先週のウオッカ記念は、同厩舎で同じようなローテーションで臨んできた馬が勝ちましたが、果たして今回はどうでしょうか。ちなみに、マルゼンスキーは府中3歳Sを勝って、旧朝日杯3歳Sに臨んできました。府中3歳Sとは今でいう東京スポーツ杯2歳Sのことですね。

マルゼンスキー記念をひとことで言えば、「絶対能力と完成度が問われるレース」ということです。この時期にしてはかなり速い時計での決着となりますので、現時点においてマイルを1分33秒台で走れるかどうかという資質を試されるということになります。つまり、実力の有無がはっきり出てしまうレースということになります。だからこそ、1番人気が強くて、過去10年間の成績は【3・4・4・0】となっています。1番人気が強いマイルCSと比べても高い数字で、今となっては最も1番人気の信頼度が高いG1レースと言ってもよいのではないでしょうか。

その1番人気になりそうなのはアポロドルチェですかね。この馬の前走のレース振りは圧巻でしたね。出遅れ気味のスタートでしたが、余裕綽々で上がって行き、4コーナーでは大外を回しての楽勝でした。2着馬との差はわずかでしたが、着差以上の力差があったと思います。パワーのある馬ですので、重馬場が向いていたと解釈することも出来ますが、晴雨不問という名馬の条件はクリアしていることになりますね。

3着に負けてしまったいちょうSは、折り合いを教えている過程でのものですので、それほど心配することもないかもしれません。あそこで控える競馬をしっかり教えたからこそ、行ったっきりの馬にならずに済んだということでもありますから。欲を言えば、負けるにしても2着は確保して欲しかったなと思います。名馬は負けても2着ですからね。ただ、この馬の武器はスピードとパワーで、それに加えて柔軟性も持ち合わせているようです。外国産馬にありがちな一本調子のところがなく、スッと抑えられて、ゴーサインにも瞬時に反応する素直さが強みでしょう。

スズジュピターは、タニノギムレット×サンデーサイレンスという血統の良さが、馬体にも如実に表れていますね。タニノギムレットの種牡馬としての価値は、これまでも何度か書きましたが、2歳の種牡馬チャンピオンでないにもかかわらず、初年度からクラシック馬を出したという点に集約されていると思います。外的要因などもありますので一概には決められませんが、タニノギムレットはサンデーサイレンスやトニービン級の影響力のある種牡馬になる可能性を十分に秘めていますよね。

この馬も仕上がりが早く、夏の新潟で早々に2勝した後、新潟2歳Sには目もくれずに休養に入りました。まるでシンボリルドルフのような使い方ですね。そして休み明けで東京スポーツ杯2歳Sを使って、敗れてしまいましたがキッチリと2着は確保しています。休み明けを叩いて、ここはさらに良化してくることは必然で、好勝負になることは疑いようがありません。

ただ、どうしても引っ掛かるのが、高橋調教師は「ゆくゆくはダービーを目指したい」と語っているにもかかわらず、なぜここを使ってくるのかということです。もし本気でダービーを目指すならば、ここ(朝日杯フューチュリティS)ではなく、ラジオNIKKEI杯を使うべきなのではないでしょうか。この時期にマイルのスピードレースを経験してしまうと、来年ダービーの2400mをこなせるようなリズムで走れなくなってしまいます。かつてサクラプレジデントという素質馬がいましたが、あの馬は無理にここを使ってダメになってしまいました。特に若駒だけに、ちょっとしたローテーションの違いで大きく歯車が狂ってしまうことがあります。そんな馬をたくさん見てきただけに、スズジュピターのような馬は、もっと長い距離を使ってあげるべき馬だとも思っています。

キャプテントゥーレは、近代日本の競馬の申し子のような血統ですね。あのスキーパラダイスを祖母、スキーキャプテンを祖父に持ち、母は阪神牝馬Sを勝ちフランスのモーリスドゲスト賞で2着したエアトゥーレ、そして父が今をときめくアグネスタキオンです。前走のデイリー杯は楽勝でしたが、馬体を見ても、まだ距離が伸びても良さそうなタイプです。

デイリー杯はスローの逃げでしたのでフロック視されるでしょうし、デイリー杯の勝ち馬自体が軽視される傾向にありますが、この馬をあまり見くびらない方がいいと思います。新馬と野路菊Sはコロッと負けていますが、これはソエを気にしていてシッカリ調教できていなかったからです。ソエが治まり、ビシッと追い切れるようになった前走は全くの楽勝でした。今回も坂路でビシッと仕上げてくるはずですので、好勝負は間違いなしです。

サブジェクトは3戦共に1番人気を背負いましたが、1度しか期待に応えられていません。新馬戦は追い込みの利きにくい札幌1800mコースで、直線だけで差し切ったように、スピードに乗ってからの脚は素晴らしいものがあります。札幌2歳Sは早めに動いてオリエンタルロックに差されてしまいましたが、内容は悪くありませんでした。

ただ、前走の萩Sに関しては、スタートで出遅れたにしても、最後もこの馬らしい伸びもありませんでしたし、不可解な負け方でした。やや重馬場で他馬より1kg重い斤量を背負っていたということもあったのでしょうか。いずれにせよ、3戦の走りを見る限り、この馬には距離が長かったという印象を受けました。こういうタイプの馬はマイルで末脚を生かす乗り方をしたほうがいいですね。安藤勝己騎手も今回は一発狙ってくるでしょうし、ハマれば勝ち負けになるはずです。

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Nダンサーの鉱脈を探ってみよう

Rudolf

いきなりで申し訳ありませんが、人のふんどしを借りて寄り道してよろしいですか?

いや、10月27日付け朝日新聞(夕刊)に載った「漢字んな話」(前田安正氏)というコラムがあまりに興味深かったので、是非治郎丸さんに紹介したくて今日までとっておいたんです。

漢字んな話に移る前に治郎丸さんに質問。おやじはよく「晴雨不問は名馬の条件」なんてほざいてますが、名馬の条件ってなんだと思います?いくつか挙げてみていただけますか・・・うむうむなるほど。

で、漢字んな話です。「がんじょう」という言葉には今は「頑丈」という漢字を当てますが、江戸時代までは「五調」と書いて「がんじょう」と読ませたそうなんです。この「ごちょう(五調)」というのが元々は昔の名馬の条件だったそうです。

ひづめ、性質、体格、血統、生産地。

この5つを「五調(ごちょう)」といって、5つそろって丈夫でたくましい名馬が誕生すると昔の日本人は考えたようです。そして、たくましい名馬を連想させるということで「五調」を「がんじょう」と読んだそうです。

いかがですか、5つの名馬の条件。もちろん昔の話ですので在来馬の名馬の条件ですが、そっくりそのままサラブレッドの名馬の条件に当てはまるような気がして驚いた次第なんです。インティライミはひづめの病に悩まされましたね。もっとも美しいダービー2着馬だけれども名馬の域には達していないのかもしれません。性質は従順な方がいいのか、かん性がきついのがいいのか、おやじはサムソンのようなかん性のきつい馬が名馬だと思ってます。サラブレッドの理想体重は480キロなんておやじの若いころいってたけど、ウソうそ。血統がなければ競馬は成り立ちません。生産地も大事ですね、牧草の栄養分やミネラル分、そして水は大地が育むものですね。いい土地で育った馬はやっぱり強い。

平家物語には10頭ほど名馬が登場するんですか?木曾義仲や義経を鞍上にすえてずいぶん格好がよろしいが、体高は120センチあまり。これが在来種なんですな。おやじが跨ると足が地についてしまいます。プッ。今笑い声が聞こえました。木曾義仲や義経の馬を見る目と武豊が馬を見る目が同じ、なんて想像するとなんだかうれしくなってしまいます。ネアルコやリボーを育てたFテシオだって「五調」という言葉にうむ、うむとうなずくかもしれません。

明治時代、北海道に渡って牧場を開いた人たちには四国の武家が多かったという話を聞いた覚えがあります。案外、今の競馬の隆盛を支えているのは日本の伝統的な馬文化なのかもしれません。おやじもパドックで芦毛馬の調子を見るとき、連銭芦毛(れんぜんあしげ)なんて古い言葉をブチブチいいながら、銭形の模様を探しています。

あっ、忘れてました。第2回マルゼンスキー記念ですね。マルゼンスキーが記念碑的レコードを打ちたて今尚その血を送り続けるレースということで、去年、勝手におやじが命名してみました。去年はスペシャルウィークの母親を通して、1番人気3着のオースミダイドウをこのレースに送りこんでいます。さて今年はどうなりますか。

先週のウオッカ記念は良血馬がそろって前評判よりもうんといいレースだったと思います。レースの質は血の質なんですね。おやじの馬券は外れましたがなぜか満足しています。

先週に続いてちょっと2歳ステークスと朝日杯の過去5年間の父系の勢力をみてみましょうか。大種牡馬なき後の今が大切なときなのでしつこくやらせてくださいね。
※数字は全出走馬にしめる各父系の割合です。
( )の中は3着までに入った全馬にしめる各父系の割合です。
         

2歳S朝日杯登録馬
Nダンサー 30%(20%) 15%(33%) 20%
ターントゥ 44%(47%) 41%(47%) 50%
ネイティブ 11%(20%) 18%(7%) 15%
ナスルーラ 8%(6%) 22%(13%) 12%
異系 7%(7%) 4%(0%) 4%


やはりターントゥの勢いは凄いですね。うーむ、凄いとも言えるし、こういう偏りは問題だとも言える。この数字をながめてみて面白いと感じるのはNダンサーです。( )の数字をみると2歳Sに比べて朝日杯でNダンサーがうんと力を発揮していることがわかりますね。マイルCSや安田記念でもNダンサーは健闘していて、その血は底力を生かしながらマイルで勢力を温存しようとしているのかもしれません。この辺りがNダンサーの強かなところです。出る杭は出させておいてしっかり大切なポジションだけは確保しておく。おやじには真似できねえや。今、我々はNダンサーと名づけられたエクリプスを見ているのかもしれませんね。そんな気がしました。

登録馬の父系をみると、ここ5年の勢力図と変わらないような気がします。注目はこの5年少数精鋭で臨んで結果をだしてきたNダンサー系の馬です。探鉱夫になったつもりでこの血統を探ってみましょう。メリーナイス、アイネスフージン、サクラチヨノオー、ナリタブライアン、朝日杯がダービー馬を育てた栄光を思い出しながら。

なんて言ったら、いつしか時も杉村春子、あした(朝)も、はや夕べとはなりぬるかな、と叱られそうですね。朝日杯はすっかりクラシックとは無縁のレースになってしまいました。ところがどっこい、今秋、朝日杯の卒業生がきちんと仕事をしてくれましたね。うれしかった。スワンSのFリシャールとマイルCSでDメジャーを追い詰めたSホーネット。どちらもNダンサー系の良血(母系がいいこと)馬でした。くんくん、金鉱はこの辺りに埋まっていそうだな。

待てよ、リシャールとホーネットの年の3着馬は確か、くんくんAデジタルの弟だったな。先週のエイムアットビップのようにAデジタル産駒はレースを使うごとに走るようになる。もしかして金鉱はここにあるのかもしれませんな。くんくん。

ターントゥの鉱脈はすでにこの5年を振り返ると掘り尽くされた感があります。かつてはフジキセキのような宝石がごろごろ埋まっていたものですが・・・。すでに朝日杯では無人と化した鉱脈ですがもう一度さらっておくべきか。

もうひとつ、マルゼンスキーが今年はどんな名前でこのレースにエントリーするか、これも楽しみです。去年はオースミダイドウという名前で3着賞金を彼岸にもって帰りましたね。恐るべしマルゼンスキー。くんくん、金鉱はこの辺りにも埋まっていそうだな。

名馬の宝庫だったことを思うとちょいとさびしい今年の朝日杯、治郎丸さんの楽しみ方はいかに。おやじは、日本のマイルG1の基本、Nダンサーの鉱脈をまず探ってみようと思います。幸いなことにおやじは花粉症ではないんですよ、くんくん。あれは高等な人類の罹る病気です。くんくん、おやじは今週も元気です。

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◎アロマキャンドル

Jiromaru

そうですよね。ロジータ記念とかホクトベガメモリアルという冠もありますよね。競馬は馬が一生懸命走ってくれて初めて成り立つものですから、サラブレッドに対する愛と感謝を忘れてはいけません。それでは、阪神ジュべナイルF改めウオッカ記念でいきましょう。

ルドルフおやじさんはノーザンダンサー系とネイティヴダンサー系から2頭ずつですか。特に出走馬の母系を丁寧に解説していただいたので、各馬の特徴がより分かりやすく見えてきましたよ。あのレスター・ピゴット騎手がニジンスキーよりもサーアイバーの方を高く評価していたなんて初めて聞きました。サーアイバーというのは、そんなに優秀な馬だったのですね。知らなかったなあ。

レスター・ピゴット騎手は、言わずと知れた20世紀後半における世界最高の騎手です。18歳の時にネヴァ-セイダイで英ダービーを勝ち、25歳で初めてチャンピオンジョッキーになりました。そして、ジョッキーを引退するまでに、なんと英ダービーを9勝、通算5300勝という大記録を収めました。

レスター・ピゴット騎手の馬を見る目(選馬眼)は、並大抵のものではなかったそうですね。ピゴット騎手ほどのジョッキーになると、大きなレースになれば、必ずと言ってよいほど3、4頭の有力馬への騎乗依頼があります。その中で、最も勝てる可能性のある馬をチョイスしなくてはならないのですが、ほぼ100%の確率で、勝てる馬を見極めることが出来たそうです。

たとえば、先ほどのお手馬サーアイバーは二千ギニーと英ダービーの2冠を制していますが、英ダービーの1ヶ月後に行われたアイルランドダービーでは、ピゴット騎手は騎乗をしていません。彼が選んだのはリベロという馬で、リベロに乗ったピゴット騎手は見事サーアイバーを下してアイルランドダービーに勝利を収めました。サーアイバーの能力をそれだけ評価していた上での選択だったのであれば、英ダービーを勝ったサーアイバーの調子落ちを完全に見極めていたのでしょう。

また、サラブレッドだけではなく、人間の見極めも恐ろしいほどに正確だったそうです。人間と言ってもジョッキーのことです。ピゴット騎手が来日した際、「あの騎手は誰だい?」とピゴット騎手に聞かれた競馬関係者が、「あの子ですか?あの子はつい最近デビューしたばかりで、まだ見習いのようなものですよ。名前をお教えするほどの騎手ではありませんよ。」と答えたところ、「いや、あの騎手はもの凄く上手いよ。」とピゴット騎手が反論したそうです。もうお分かりかと思いますが、その騎手とはデビューしたての福永洋一騎手だったそうです。天才は天才を知るのでしょうね。

そんなピゴット騎手ですが、晩年の1987年に脱税の容疑で3年の実刑判決を受けてしまいます。ジョッキークラブに届けている以上の騎乗料を受け取っていたということや所得の過小申告、所得隠しのための海外の会社の摘発など、脱税が悪質で長期にわたっていたという罪です。ピゴット騎手は1年間の刑務所生活を送ったのち、仮釈放を経て、2年後の1990年の秋にはジョッキーとして復帰します。そして、なんとその10日後、ロイヤルアカデミーに乗って、ブリーダーズカップマイルを勝利してしまったのですね。

このブリーダーズカップマイルでの勝利は、英紙「レーシングポスト」が2006年に企画した歴代ベスト騎乗の2位にランクインしています。1位はフレッド・ウィンター騎手が勝った1962年のパリ大障害です。これは障害好きのイギリスの競馬ファンらしいチョイスですが、2位にこのレースが入っているのは驚きでした。パット・エデリー騎手がダンシングブレーヴで勝った1986年の凱旋門賞(4位)よりも上なのですよ。それだけ伝説のジョッキー、ピゴットが復活したということが衝撃的だったのでしょう。とても55歳とは思えない、迫力ある追い出しですよね。

1990年ブリーダーズカップマイル

そんなピゴット騎手がニジンスキーよりも強いとしたサーアイバーと、シャダイアイバーは同族なのですね。この前マイシンザンのところで少しお話したガレオンの母で、仔のアイシーゴーグルからはエアジハードも出ています。日本が輸入した屈指の牝系というのも大いに頷けます。そのシャダイアイバーにターゴワイス→サンデーサイレンス→フレンチデピュティと掛けて出たのがアロマキャンドルで、ロイヤルスキー→エリシオ→タヤスツヨシと掛けたのがカレイジャスミンですね。

どちらにするか迷いましたが、私の本命は◎アロマキャンドルに打ちます。ルドルフおやじさんもおっしゃるように、この馬の強みはマイル戦を走って、既に2勝を挙げているということです。さらに直線に急坂のあるコースを経験しているということもプラス材料になります。特に、いちょうSで重賞クラスの牡馬を相手に振り切ったことには価値があります。ペース自体は速くありませんでしたが、道中で外から来られても折り合いを欠くこともなく、最後までしっかりと伸びていました。昨年よりこのレースは新阪神マイルコースで行われていますが、外回りで行われる分、距離の感覚的には東京のマイル戦に近いものがあると思います。いちょうSの勝ち馬とウオッカ記念との結びつきは、これまで以上に強くなっていくのではないでしょうか。

内枠を引きましたので、出たなりで好位を確保できそうですし、あとは直線に向いてからゆっくりと追い出すだけです。アロマキャンドルは、追われると重心が低くなっていく走りがいいですね。こういう馬はなかなか渋太いですし、最後までバテませんよ。心配は初めての長距離輸送になりますが、こればかりはどうなるか分かりませんので、心配しても仕方ないかなと思います。それよりも、長距離輸送を控えているにもかかわらず、ニューポリトラックのコースを使用して、2週続けて手加減されることなくシッカリと追い切られていることに注目したいですね。

1番人気に推されそうなオディールは、安定して力を発揮できるタイプです。行きたい時に行けて、控えたい時に控えられる馬ですので、ジョッキーも安心して乗れそうです。前走のファンタジーSは時計も速く、レベルの高いレースでしたので、今回のメンバーでもこの馬が中心になることは間違いありません。距離が伸びてパタッと止まる馬でもありませんし、血統的にもマイルが長いということはないはずです。

ただ、この馬に本命を打たなかったのは、馬体を見る限りにおいて、やはり距離が伸びて良いという馬ではないと思ったからです。これはファンタジーSで2着だったエイムアットビップにも言えることなのですが、馬体がコロンとしていて、スピードを生かす短距離馬のそれですので、距離が伸びる今回はそこに他馬の付け入る隙が生まれるのではないでしょうか。そうはいっても、今年G1レース7勝の記録が懸かっている熟練の安藤勝己騎手が乗りますので、そこをどう御してくるかが見ものです。

トールポピーはこのメンバーの中では、最もゆったりと走られる馬です。角居調教師がそのようなレースを選んできたからですが、外から見る以上に乗り難しい馬ですので、長い距離から使って正解だったと思います。少しずつ競馬を覚えて、前走も惜しいースでしたね。ただ、ウオッカと臨戦過程が似ていますので人気になるのは仕方ありませんが、私はウオッカよりも遥かに脆さを抱えた馬だと考えています。最終追い切りの動きを見ても、首を急に上げたりして幼いところを見せています。スムーズに走らせることが出来れば良いのですが、G1レースの厳しい中でどうでしょうか。

穴として興味があったのがシャランジュです。前の手紙にも書きましたが、どちらかというと村田一誠騎手に魅力を感じます。ここにきて成長著しいジョッキーですので、ここは大きなチャンスかなと思います。シャランジュ自身も、デイリー杯では道中で不利がありながらも5着と好走していますし、牝馬同士ならば大きな力差は感じません。内枠を引きましたので、無理に下げたり上げたりせずに折り合いに気をつけて乗れば、直線であわやというシーンを作ることもあるのではないでしょうか。

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もういうことのないオディールの素晴らしい血!

Rudolf

歩く将軍、いましたよね。地方馬のターフでの活躍がなぜかうれしかった。あのころは確か中央よりも地方の方が調教技術は上だ、なんて言う人もいましたね。おやじも半分以上は納得していました。ロッキータイガーの父ミルジョージはとてもいい種牡馬でしたね。今何してるのかなあ。

今週のJFも来週のFSもインフルエンザの影響でもうひとつ盛り上がりに欠けるような気がしますね。強い馬はまだ眠っているようです。われらがPOG馬(といっても治郎丸さんの指名ですが)のポルちゃんもラブちゃんも雌伏して力を蓄えているところですね。ラブちゃんは2戦2着2回という成績ですがオークスに間に合えばおもしろい馬ですな。そんなにおやじを香港に連れて行きたいのかい、いい仔だねえ。

さて今回の手紙では父系別に有力馬を見ていきたいと思います。

<Nダンサー系>
オディール。安藤騎手が乗るのでこの馬が1番人気に推されるのでしょうね。これはJF2着馬のキュンティアの娘だったんですね。キュンティアの血統というのが凄くてですね、おばに80年代のG1を勝ちまくったミエスクがいるんです。スターバレリーナの父ソヴィエトスターとの激戦は有名です。もしミエスクの直系(孫)なら見たこともないようなお金で取引される血です。ミエスクの仔には日本でもお馴染みのキングマンボがいますね。もういうことのないオディールの素晴らしい血!父の黒船にも阪神コースの適性を感じます。

ファンタジーSは確かに軽いスピードに乗った馬が勝つ、本番には直結しにくいレースですね。オディールの買えない理由のひとつはファンタジーSを勝ったということです。しかし今秋の京都コースはスピードだけでは押し切ることのできないグッド馬場だったと思います。それはエリザベスやマイルCSの1、2着馬の血統が教えてくれていますね。どうでしょうか、今年のファンタジーS組は案外侮れないのかもしれませんよ。

アロマキャンドル。父のフレンチは好調ですね。こういう血統に日本の競馬も追いついたんですな。母系はオークスを制したシャダイアイバーの直系です。社台がこのオークス馬にアイバーと名づけたのは世紀の名馬、サーアイバーと同じ一族だからなんです。今では伝説となったサーアイバーの主戦、レスター・ピゴットはニジンスキーよりもサーアイバーを高く評価していたそうです。日本に輸入されている牝系のなかでも屈指の牝系です。治郎丸さんはこれを狙ってるのかなあ。この馬の買える理由は治郎丸さんのおっしゃる通り、前走で強い(かもしれない)牡馬を退けている点ですね。マイルを2走しているのもオディールより好感がもてます。が、おやじはこの馬を見ていない、線香臭いおやじにはアロマキャンドルは少し似合わないかもしれないと思ってます。

レジッタ。これもフレンチ。母系の活力は出走馬のなかでもっともあるんじゃあないかなあ。近親にステークスウィナーがずらっと並んでいます。母系を見て馬を判断するときは今の活力をとるか、かつての活力をとるか、迷うところです。まあ、おやじは欲張りだから昔の活力のソロソロをとって馬券の妙味を味わうことにしています。当たりの感激を味わったことは少ないのですが・・・

ヤマカツオーキッド。ヤマカツスズランの娘ですね。名門フラストレート系、ソロソロに期待するならこの馬かなあ。父ダンスは今年その本質をはっきり示したような気がします。かん性(気の強さ)の強さが露わになってきました。気の悪いところを見せなければいいのですが。

レーヴダムール。われらのサムワントゥラブの2戦目は圧巻でした。パドックも見たのですが後肢の踏み込みが深くて雰囲気のある馬です。何の雰囲気かというと、お○も○なんですよ。ところが機嫌が初めから悪くて出遅れ、後方をふてくされて追走。それでいて2着というのは直線だけで追い上げたものなんです。○お○のでしょ。ラブちゃんを新馬戦であっさり退けた馬というわけで、レーヴダムールの買える魅力は大きいですね。父のファルブラウは中山のJCを勝った馬なので地味な印象をもっていましたが、やわらかい感じの馬を出していると思います。スピードと底力のうまく調和した良い種牡馬かもしれません。

ラルケット。これもファルブラウですね。ルドルフの一族は案外地味なんですが、最近活力を取り戻し始めたようですね。

<ターントウ系>
エフティマイア。混戦といわれた新潟2歳Sを制した馬だけあって勝負強い面がある馬かもしれませんね。ところが前走の京王杯2歳Sでは惨敗を喫してしまいました。陣営からは「前走は度外視」というコメントが出されています。重馬場にのめって競馬にならなかたったというのです。おやじはこれを度外視しないんですな。むしろ大きな買えない理由と考えるんです。G3なら良馬場で巻き返しというのは許されますが、重馬場で入着できない馬が底力を試されるG1で好走するのは難しいと思います。治郎丸さんもサムソンは本当は重馬場が苦手だと教えてくれましたね。

カレイジャスミン。父タヤスツヨシはこの馬でおおきなチャンスを得ました。母系はアロマキャンドルと同系です。古馬になってさらに力を発揮するタイプかもしれません。

ハートオブクイーン。良血です。ボールドアンドエイブルというとてもよい種牡馬が出る一族が地方競馬にいるというのが競馬の不思議ですね。

<ネイティブダンサー系>
エイムアットビップ。このピップエレキバンのような名の馬が2番人気になるのでしょうか。3番人気か?この母系はマイリー系でした。しかもイットーの直系ということで驚いています。もうだめかと思っていたのでやはりうれしいなあ。それにしてもこの血統はこの10数年不振を極めていましたねえ。オディールの母キュンティアはJF2着馬でした。イットーもJFの前身レース阪神3歳Sの2着馬です。1着がキタノカチドキだから価値は高い。今回のJFでオディールとビップで1、2番人気を分け合うのならちょっとした因縁話になりますね。

この牝系の魅力は卓越したスピードでしょう。ビップの前走の逃げをみてこの牝系の速さを思い出しました。逃げるところまで逃げて、そこにゴールがあったという趣。ちょっと切なくなるような、そんな逃げをうつ馬は今はいませんねえ。カムイオーはいますが牝馬に大物が出る牝系なので、この馬ヒョットするかもしれません。エイムアットヒョット、ちと苦しい。

父のアグネスデジタルがネイティブダンサーなんですな。ネイティブダンサーの速くて強くて、不気味という特長をそなえている。しかしこういう馬がネイティブDの種牡馬として失敗してきた。ヒョットはAデジタルの命運を握っていると思います。こらー!こらー!なんていいながらすべてをひっくり返すネイティブダンサーの爽快な力をデジタルは見せてほしいものです、おやじに。

ヴァリアントレディ。父ウォーエンブレムの切れ味はすばらしい。残念なことに受胎率が悪いそうですが、さすが社台が導入した種牡馬ですね。おやじが馬主なら、大金持ちの馬主なら、この馬に種付けを申し込みます。有馬で大金持ちになる予定なので待っててね、牝馬10頭連れてくからね。ネイティブダンサーのよさをそのまま伝えられる種牡馬です。

ヴァリアントレディの母系はNダンサーの母ナタルマから出ています。しかもNダンサーのクロスをもたないという100%ナタルマ。ナタルマの血統は結構輸入されているのですが、これほど清潔なナタルマはなかなかお目にかかれません。おやじは暇だから血統表を見るのですが、もし時間があればヴァリアントの血統表をご覧ください。Nダンサーがない。こんなすばらしい血統をおやじははじめて見て感激しています。おやじが馬主なら、けちな馬主ならもったいなくってJFでは無理させません。ヴァリアントレディ、名の通り価値ある女の子です。

エイシンパンサー。父コロナドズクエストも早世して産駒は少ないようですね。こちらはエンブレムとはちょっと趣が異なって、一発大物タイプの種牡馬かもしれません。ダービーを勝つか、未勝利でどんじりか、そんな魅力のある種牡馬かなあ。パンサーの母系はタイランツクヰーン系の本流です。トキノミノルやマックスビューティーが出てますね。この血統は決してコンスタントに走る馬を出す血統ではないのでパンサーに過剰な期待を寄せることは控えておくことにします。JFを好走するとすれば1着でしょう、そうでないときは凡走するかもしれません。

トラストパープル。父のマイネルラブは奮闘してますね。条件戦ではいい馬を出しています。良い牝馬にめぐり合えばもっといい仔を出せる種牡馬ですが、どうも牝馬には恵まれてはいないようですね。マイネルラブに愛を!

<ナスルーラ系>
トールポピー。牡馬相手に好走したこと、マイル以上のレースを勝っていること。買える魅力の多い馬ですね。兄のフサイチとは違ってこの馬はグレイソブリン系らしい切れ味をもっていると思います。うーむ、治郎丸さんはこれでいきますか・・・

マイネブリッツ。パラダイスクリークってしぶといですね。ここにもいた、という趣。リバーマンの強いクロスをもっているというユニークな馬で、母系はいいですよ。いかにもマイネル好みの血統だと思います。前走はレッツゴー霧島に勝っています。うーむ、距離が問題となりそうですが、穴ならこれかもしれません。

はい、終わりましたよ、治郎丸さんねてませんかあ。
馬券作戦は4点の3連複でいきます。

Nダンサー系2頭+ネイティブD2頭の良血を狙います。
◎オディール
○ヴァリアントレディ
△エイムアットビップ
▲レーヴダムール

つまんないなと思っていたJF、案外おもしろいレースになりそうです。
ところでJFという呼び方はよくないですね。
先週でしたかハイセイコー記念というレースがありましたね。地方競馬には愛があるなあ、馬に対する感謝があるなあ、JF改め「ウオッカ記念」でどうか、お願いします。

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オディールの母キュンティアがキャリア1戦で2着した衝撃

Jiromaru

お手紙ありがとうございます。シンボリルドルフが遂にリベンジを果たしたジャパンカップ当日の様子が、まるで手に取るように伝わってきました。熱狂が冷めやすいのは、いつの時代も同じですね。改めてレースを観てみましたが、あのクールな岡部騎手から、なにがなんでも勝ってやる、いや勝って当然だという気迫が伝わってくるように感じました。最後の直線でシンボリルドルフが先頭に立った瞬間、岡部騎手が重ねていた最後のゴーグルを取るシーンが私は好きです。

このレースではロッキータイガーという地方馬が2着に突っ込んできて、ジャパンカップ史上初めての日本馬同士のワンツーとなったことでも有名ですよね。もちろん、2004年のコスモバルクに至るまで、地方馬としてのジャパンカップ2着は快挙でした。雨で馬場が渋っていたことが好走につながったのでしょうが、当時の南関東のレベルは相当に高かったようですね。キングハイセイコーやステートジャガーなどと鎬を削って、実力をつけていったのでしょう。450kgぐらいの小柄な馬ですが、父ミルジョージから受け継いだバネを全身に漲らせながら、シンボリルドルフに迫ったのですから大したものです。

Rockytiger

この2着に勇気付けられて、地方馬がジャパンカップに挑戦する気運が高まりました。翌年にはジュサブローが出走し、これまた7着と健闘しました。しかし、それ以降、パタリと地方馬の勢いは止まってしまいます。中央競馬のレベルが上がったのか、それとも地方競馬のレベルが下がってしまったのか。ロジータ→ジョージモナーク→ハシルショウグンと最下位を迷走してしまいます。ジョージモナークとハシルショウグンはいずれも2年連続最下位という不名誉な記録を打ち立ててしまい、ハシルショウグンは最後にはアルクショウグンと言われてしまいましたね。

個人的には、白いシャドーロールをした芦毛馬のジョージモナークが大好きでした。オールカマーで2着に来た時には、「もしかしたらジャパンカップを勝ってしまうのではないか」と思いました。当時、私の高校の担任が山本という名前で、ジョージというあだ名で呼ばれていて、そういうこともあって「もしかしたら…」の幻想はどんどん膨らんでいったのです。結局、15番人気の15着という人気どおりの結果になってしまいましたが、ずいぶんと長い間、夢を見させてもらった記憶があります。これからまた夢を見させてくれる地方馬の挑戦を期待したいですね。

そういえば、ロッキータイガーもロジータもジョージモナークも、ミルジョージの仔でしたね。今年の10月に永眠してしまいましたが、本当に素晴らしい種牡馬でした。南関東の競馬は、ミルジョージによって支えられていたところもあったのではないでしょうか。

さて、そのジャパンカップも終わり、今週は阪神ジュべナイルFです。昨年から新設の阪神コースで行われましたが、ウオッカという相応しい馬が勝ったように思います。もし昨年のレースが以前の阪神1600mコースで行われていたら、アストンマーチャンが楽勝していたでしょう。それぐらい、レースの特性が大きく変わってしまいました。

阪神1600mのコースの特徴は3~4コーナーの形状にあると思います。大きくグルっと回る、典型的なスパイラルカーブですので、ゆったりと回りながらも、後続が差を詰めるタイミングがありません。直線が長いことも含めて、後続が動き出すのが遅くなりますので、逃げ・先行している馬にとってはコーナーを回りながら息を入れられる楽なコースとなります。そうなると、直線に向いてからの瞬発力勝負になりますので、速い脚のない馬にとっては苦しいレースになるでしょう。もちろん、前に行ける馬の方が有利になることは間違いありません。

ペース感覚から言うと、マイルよりも長い距離を走るような感じでしょう。ですので、マイル以下のレースを走ってきた馬の中では、折り合いを欠いてスタミナを失う馬も出てくるかもしれません。そういった意味でも、1600m以上の距離でのレース経験は必要です。また、最後の直線には高低差約2mの坂が待っていますので、坂のあるコースで勝った経験のあるパワーを持った馬にとっても有利になるはずです。

以上のことを頭に入れながら、出走馬を眺めてみると、今年のメンバーは一長一短があって難しいですね。

ファンタジーSの1、2着馬であるオディールとエイムアットビップが人気にはなるのでしょうが、ファンタジーS組の取捨は慎重に行ったほうが良さそうです。というのも、ファンタジーSはスプリント的な要素が求められるレースですので、スタミナがそれほどない馬でも勝ててしまうからです。

ファンタジーSを勝ったオディールは、気性の素直な馬で、とても乗りやすそうですね。コロンとした体型からは、スタミナが豊富な馬には思えませんが、引っ掛かってスタミナをロスしない分、昨年のアストンマーチャンのように何とかごまかすことが出来るかもしれません。内枠を引いて、経済コースを進めることが好走の条件でしょう。G1レース年間7勝の記録が掛かっている安藤勝己騎手が、どのようにこの馬の力を発揮させるか楽しみです。

オディールの母であるキュンティアは、今からちょうど10年前にこのレースを2着した馬です。それもキャリア1戦ですから、当時は少なからず衝撃を受けたほどです。当時、つけていた競馬ノートに、「そのうちキャリア1戦の馬からも勝ち馬が出るであろう」と書いた記憶があります。それ以降、ヤマニンアルシオン、シークレットコードの2着があるのみで、いまだ勝ち馬は出ていません。一昨年のシークレットコードはチャンスだなと思っていたのですが、最後の最後で差し切られてしまいました。さすがに1戦のキャリアでは苦しいのかもしれませんね。

アロマキャンドルのいちょうSは牡馬を従えての強い勝ち方でした。2着のスマイルジャックが東京スポーツ杯で3着、3着のアポロドルチェが京王杯2歳Sで勝利していますので、その勝利にも大きな価値があります。1頭前に置いて追走しても引っ掛からなかったように、折り合い面に心配もなさそうです。フレンチデピュティ産駒らしい、骨太な骨格をしていて、牝馬ながらにパワーを感じさせてくれる馬です。スピードは母父であるサンデーサイレンスから受け継いだものでしょう。あとは初めての輸送を克服することが出来るかどうか。それだけが心配です。

牡馬に混じって走ってきているシャランジュも面白い1頭だと思います。関東馬はどうしても輸送の不安があるので不利ですが、この馬はデイリー杯で経験していますから心配いらないでしょう。デイリー杯は唯一の牝馬でしたが、スローペースをあわや2着というところまで追い上げました。中間にも美浦の坂路で49秒台の時計を出しているように、ここに来て力をつけてきています。410kg台の小さな馬ですが、折り合いさえつけば、最後の坂もしっかり駆け上がってくるのではないでしょうか。

また、鞍上の村田一誠騎手も魅力です。天皇賞秋の日に、東京競馬場で平場のレースものんびりと観戦していましたが、最も印象に残ったのがアドマイヤスバルが勝ったレースでした。馬の背中に張り付くようにして先行させ、直線に向いても追い出しをしっかり待ち、いざ追い出すと豪快なアクションで最後まで馬を伸ばしていました。騎手は誰だと思ってみたところ村田騎手だったのですね。トップジョッキーかと思っていたら村田一誠騎手だったので、失礼ながらも少し驚いてしまいました。その後、アルゼンチン共和国杯を勝ったように、ここに来て成長著しいジョッキーだと思います。

トールポピーも抽選をクリアしてくれば、上位争いをする1頭でしょう。あのフサイチホウオーの全妹になるのですが、走り方などはそっくりですね。前脚のかき込みがしっかりとしていて、パワーを感じさせますので、京都競馬場よりも直線に坂のある阪神コースの方が合いそうです。マイルよりも長い距離を使ってきていることや、伸びのある馬体からも、スタミナも十分にあることが分かります。あとはデビュー時より20kg減っている馬体重をどう捉えるかでしょう。若駒の馬体重は分からない部分もありますので、しっかりと追い切って来られるかどうかに注目です。

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NダンサーとネイティブD馬連1点

Rudolf

で、続きですが。
何かと言うと負けられない馬、ルドルフが天皇賞で負けた話の続きです。
このおやじの睡眠障害はいまだに続いていて、うとうとすると決まって何かに追われる悪夢にうなされるはめになってしまいました。(秋の天皇賞でルドルフは直線で早めに先頭に立って追い込み馬に差された)

1985年11月24日は、シンボリが会ったこともない者たちとの約束を果たす日でした。朝から季節外れの生暖かい雨が蕭然と落ちている。この日の昼過ぎ、シンボリはJCを勝ってみせなくてはならなかった。

その日はシンボリだけをみればよかったのでおやじはいつもより遅くに起床し、例の大阪球場横の場外へ足を運んだ。雨はまだ降り続いていて心なしか午前中よりも暗くなったような気がする。シンボリの単勝はいつまでも2倍を割ることはなかった。少し単勝を買って実況用テレビの前の人だかりに潜り込んだ。

今日は大人しい。シンボリは素直に名手の指示に従っている。淡々とレースは流れるがいつもの喚声はあがらない。最後の直線半ば、シンボリが馬群を割る。静まり返った人だかりの後ろから、突然、「シンボリ、今日は大丈夫やでえ」という絶叫が響いた。振り向いて見ると、痩身の50がらみの男が脱力するかのごとく、膝を折っていた。人だかりから少し失笑がもれる。シンボリは1完歩ごとに差を広げてゴールしたが歓声はない。ようやく地方馬ロッキータイガーが2着に押し上げたところで、よっしゃあ、などといつもの場外の気合が入った。

人の熱狂なんてこんなものなんですね。頂点に達した瞬間に凍りつく。ただ雨中のターフを照らす照明の中をゴールしたルドルフの美しさと脱力しひざまずいた男とのコントラストが目に焼きついている。ルドルフはこの男にどんな約束を果たしたのだろうか・・・。

さて、ウオッカとマーちゃんのすさまじい叩き合いからもう1年がすぎたのですね。それにしてもJCのウオッカの強かったこと。パドックは秋華賞よりは若干よかったかな。それでもまだピンとくるものはない。いやあ、実に恐ろしい馬である。

今年の2歳牝馬はどんな走りを見せてくれますか。今年はポストサンデー元年ということで、この十数年あまり日本で猛威をふるったターントゥ系の勢いはどうなったんだろうという興味がわいて下のような表をこしらえてみました。数字は阪神JFの6年間の年度ごとの出走頭数に占める各主流血脈の割合をパーセントで示したものです。今年は全登録馬29頭をあたって調べてみました。

6年前5年前4年前3年前2年前昨年今年
Nダンサー 28% 56% 0% 22% 11% 28% 38%
ターントゥ 44% 17% 50% 61% 50% 44% 24%
ネイティブD 17% 11% 11% 17% 17% 0% 24%
ナスルーラ 11% 17% 17% 0% 11% 28% 14%
異系 0% 0% 22% 0% 11% 0% 0%

本来なら全種牡馬に占める各主流血脈の割合と上の数字を比較してこそ意味のある表なんですが、時間がない。そもそも数学や統計で最も大切なのは「だいたい」とか「おおよそ」なんですから、まあいいじゃないですか。

昨年まではターントゥ系が出走馬の約5割を送り込んでいます。日本にいるサラブレッドの半分がターントゥというはずはないのでこれは驚異的な数字というほかありません。ところが今年は25%に落ち込んでいる。おやじはよく血の勢いという言葉を使いますが、半分に減るというのはターントゥにとって危機的な状況が現れているというのは間違いありません。サンデー系の種牡馬でもタキオンやディープのような異種の臭いのする種牡馬しか生き残れないかもしれません。

Nダンサーの数字はばらつきがあるように思えますが、数学的にみると30%ということでいいでしょう。あっ、算数的でしたね。今年は38%と好調なようですがNダンサー系のサラブレッドの数を想像すると、やや勢いを取り戻したと理解するべきなんでしょう。アイルランドの種牡馬の90%以上がNダンサー系で占められていることを考えればものたらないといっていいのかも知れません。

ナスルーラ系の不振は目を覆いたくなるばかりです。おやじの若いころはナスルーラの黄金時代でしたがね。この血統で活躍するのはグレイソブリン系ばかりです。Aコジーンやジャングルには今後も何年かに1頭、大物を出してほしいものですし、その期待ももてると思っています。しかしブラッシンググルーム(オペラオーの母系に入っている種牡馬)のように母系に入って力を発揮する種馬がナスルーラ系から出てきているというのは、この血がすでにアウトサイダーに追いやられているということなのかもしれませんね。パラダイスクリーク(9歳馬アサカデフィートの父)なんてのは異種の臭いのプンプンする種牡馬です。おやじが主流血脈といっているのはすべてファラリスという20世紀初めの種牡馬から出た父親たちなのですが、ナスルーラはファラリス系の異種になりつつあるのかもしれませんね。

ファラリス系以外の種馬もなかなか元気なところを見せています。異系の活躍が他のG1より目立つのはよい母馬決定戦にふさわしいですよね、阪神JFは早熟な血の争いだけではなく、それなりに底力も試されているんですね。

今年目立つのはネイティブダンサーの躍進です。この血統こそサラブレッドの魅力のすべてを兼ね備えた血統だとおやじは思っています。速くて強くて不気味、そして万能。日本ではこの血統がターントゥにとってかわるのかも知れません。

優勝馬の父系をみるとやはりNダンサーが強いですね。16年のJFの歴史の中で7頭の優勝馬を出しています。今年も有力馬のほとんどがNダンサー系の牝馬です。ターントゥの優勝馬は4頭、意外に少ないので驚きました。今年はエントリーした馬の4分の1ほどしかターントゥはいないので確率的には優勝馬を出すのは更にきびしくなりました。逆にいうとNダンサーの馬を狙えば馬券はとれるかも・・・ということになりますか。そんな単純がまかり通ればおやじも今頃大金もち!

ナスルーラの優勝馬は1頭、やはり厳しい。ことしも勝ち馬を送り出すまではどうでしょうか?異系からは2頭、いずれもトゥルービヨン系からのチャレンジでした。今年の異系からのエントリーはありませんでした。

ネイティブD系の優勝馬は2頭、今年はこの血統のエントリー馬が例年の倍近くあるので、勝ち馬を出す期待がもてますね。人気はNダンサーに集まると思うので馬券の妙味もあると思います。そういえばJFが牝馬限定G1となった、初回の勝ち馬、ニシノフラワーはネイティブDの娘でした。河内師の全盛時代の名馬です。初めて西山牧場にクラシックの栄冠をプレゼントした馬だったと記憶しています。

ニシノフラワーから8年後、2頭目のネイティブDの娘がJFを勝っています。ヤマカツスズランです。今年はというと、それからまた、8年後にあたるわけです。それはいい・・・。先週は佐藤哲三に全部もっていかれたので、今週は地道に血統の研究でもして楽しみたいと思っています。NダンサーとネイティブD馬連1点に少額賭けて楽しむとしようかな。

母系については次回の手紙で書かせてください。

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◎メイショウサムソン

Jiromaru

今から12年前のジャパンカップが行われた日、私は東京競馬場のスタンドにいました。11月も末になると寒さが増しますので、朝からずっとスタンドに立ち続けると、身体の芯から冷え切ってしまいます。それでも一歩たりともスタンドを離れなかったのは、その日の3時45分に、私の目の前を、ある牝馬が先頭に立って走り抜けることを信じていたからです。

ルドルフおやじさんは、テリー・ラムスデンという人物をご存知ですか?バブル期直前、デリバティブ取引で莫大な成功を収め、イギリスの競馬界に颯爽と現れるや、わずか数年間で200億円を競馬に投じたとされる、「競馬史上最大のギャンブラー」です。1レースで1頭の馬に数千万円単位で賭けるなんてザラで、多いときには2億円も賭けたこともあったそうです。当然、イギリスはブックメーカー相手の賭けだからこそ出来ることですよね。日本の競馬でそれをやったら、オッズが下がりまくって大変なことになってしまうでしょう。

テリー・ラムスデンは競馬のレースに賭けることも大好きでしたが、また競走馬を所有して走らせることも誇りにしていました。多いときには、70頭以上のサラブレッドを走らせていたそうです。彼が所有して走らせた馬の中で、最も有名なのはケイティスという牝馬です。ケイティスを買った時、テリー・ラムスデンはこう言ったそうです。「僕はこの馬を見ないで買った。予感があったからだ。僕は結果を恐れていなかった。人生にはリスクがつきものだからね。」この賭けにもテリー・ラムスデンは勝ち、ケイティスはアイルランドの千ギニーを勝つ名牝になりました。

しかし、その栄光も長くは続きませんでした。テリー・ラムスデンを破滅させたのは、競馬ではなく、彼の本業であった株取引でした。ブラックマンデーの到来によって、彼の失った額はおよそ100億円。イギリスのジョッキークラブからは追放され、ブックメーカーからは借金の取り立てに追われ、歴史の表舞台から姿を消してしまいました。そして、最愛の馬であるケイティスも手放すことになってしまったのです。

そして、ケイティスはひょんなことから日本人の手に渡り、当時は評価のさほど高くなかったシアトリカルという種牡馬をつけて、あのヒシアマゾンが誕生しました。私が今から12年前、府中のスタンドから走りを見守っていた、その牝馬です。賭けた金額はテリー・ラムスデンの1万分の1ほどにしかすぎませんでしたが、テリー・ラムスデンがケイティスを愛したと同じくらい、私もヒシアマゾンという牝馬に惚れ込んでいました。ヒシアマゾンがランドというドイツの屈強な血の前に敗れ去ってしまったあの日は、私にとってのまさにブラックサンデーでした。

今年のジャパンカップには、あのブラックサンデーを思い出させる馬たちが2頭出走してきます。ウオッカとアドマイヤムーンです。ウオッカはヒシアマゾンの面影を感じさせる牝馬です。雄大な馬体や走りだすと空の上を飛んでいるような大きなフットワーク。顔つきや毛色こそ違え、その美しさという点においては変わりません。ウオッカの阪神ジュべナイルFの走りを見た時に、まるでヒシアマゾンが走っているのかと見間違うほどでした。それ以来、この馬のことは秘かに見守っていました。まさかダービーまで勝ってしまうとは夢にも思いませんでしたが。

もちろん、今回のジャパンカップでも応援したいと思っています。この応援というのは、勝ち負けになると思っているという意味です。ダービーを勝った肉体的、精神的な疲れがどこまで回復しているかが不安ですが、悪い部分はエリザベス女王杯の出走取り消しで吐き出してしまったと考えてもよいでしょう。それは何よりもウオッカの最終追い切りに表れていると思います。あれだけ続けて脚元に不安の出たウオッカに対して、角居調教師は坂路で攻めの調教を施してきましたね。ウオッカが走る気持ちになっているということと、秋の最大の狙いはこのジャパンカップであるということの表現以外のなにものでもないでしょう。

もう1頭のアドマイヤムーンは、祖祖母にケイティスがいます。ケイティスにクリス→サンデーサイレンス→エンドスイープと掛けたのがアドマイヤムーンですね。つまり、ヒシアマゾンと母系が同じということになります。3歳時はコロンとしていたアドマイヤムーンの胴が、古馬になって伸びたのは、母系の影響が大きいのではないでしょうか。もちろん、本格化した今ならば、2400mというチャンピオンディスタンスが長すぎるということはないでしょう。

前走の天皇賞秋は、宝塚記念から間が開いていなかったということも含め、とても力を出し切れる体調にはなかったと思います。直線の不利がなくても、メイショウサムソンには勝てなかったことでしょう。前走を勝てばそのまま引退という予定だったのでしょうが、ルドルフおやじさんもおっしゃっていたように、あれでは難しいですよね。そんなに競馬は甘くありません。しかし、天皇賞秋をひと叩きされて、馬自身に走る気が蘇ってきたように見えます。馬体を見る限りにおいては、前走とは比べ物にならないぐらい、筋肉のメリハリが出てきました。あとは展開ひとつだと思います。望むべくは、スローの上がり勝負になってほしいところですね。

もし私がテリー・ラムスデンなら、ウオッカかアドマイヤムーンを買ったことでしょう。「僕はこの馬を見ないで買った。予感があったからだ。僕は結果を恐れていなかった。人生にはリスクがつきものだからね」と言いながら。しかし、私にはテリー・ラムスデンほどの精神的な強さがありません。結果を恐れてしまいますし、無意識のうちにリスクを避けてしまっていると思います。だから、予想がブレてしまうのでしょうね。馬券も人生も最後は精神的な強さなのかもしれません。

ジャパンカップの本命は◎メイショウサムソンに打ちます。メイショウサムソンにははっきり言って死角が少ないと思います。他の有力馬にはない、自分でレースを作れるという強みがありますし、今年のG1戦線ではそういった馬たちがトレンドです。良馬場であれば、どんな距離を走っても34秒台の上がりでコンスタントに上がってくる馬ですので、自然と後ろの馬たちが勝つために要求される上がりは厳しいものになってきます。怖いのは極端なスローか極端なハイペースだけでしょう。それ以外の展開であれば、勝利の計算が成立するだけの強い馬ですね。

オペラハウスの血か、この馬自身も古馬になって肉体的に成長しています。真横から見た時の、胸前からキ甲までの幅がさらに拡がったように見えます。まさに怪力サムソンといった感じで、これだけ前から見ても横から見ても幅の大きな馬は見当たりません。まるで牛のようですが、走らせたら速いのですよね。府中の芝コースも11月になり、やや力の要る馬場になってきていますので、パワーを増したサムソンにとっては望むところでしょう。3歳時のように、舌がハミを越す癖も解消されたようで、それが最後のもうひと伸びにつながっていると思います。天皇賞秋のように簡単に勝てるとは思いませんが、武豊騎手の言うように、あまり細かいことを考えて乗らなくても結果が出てしまう馬ですよね。

実を言うと、私も当初はインティライミを本命にしようかと考えていました。あっ、ルドルフおやじさんは佐藤哲三騎手に◎でしたね。この馬が今年の秋に大仕事をしそうだと感じたのは、朝日チャレンジカップでの走りを見た時です。メルマガにも書いたのですが、以前とは打って変わった理想的なフォームで直線を駆け抜けていたからです。ぜひ一度朝日チャレンジカップのゴール前写真を見ていただきたいのですが、まさにサラブレッドの理想的なフォームで走っているのが分かります。首の下がり具合や前脚の伸び方など、何ともいえない優美さを漂わせています。続く京都大賞典も同じものでした。

なぜこれほどまでに変わってきたのかというと、おそらく慢性の疾患として抱えていた脚元の病気が治まり、しっかりと調教(追い切り)が出来るようになったということが大きいのではないでしょうか。それは秋緒戦のマイナス10kgの馬体重にもはっきりと表れていますよ。これは馬体重が減ったということではなく、しっかり調教が出来るようになって絞れてきたということです。1週間前にはDWコースで1番時計を叩き出し、今週の最終追い切りはもう仕上がったと言わんばかりにサラッと流しました。今回も万全の出来で出走してくるはずです。最終的にこの馬ではなくサムソンを取ったのは、この馬が秋2戦で走ってきたレースがどちらとも軽い馬場でのものだったからです。今回のジャパンカップはある程度力の要る馬場になり、スタミナ勝負になる可能性が高いので、そのギャップに戸惑うかもしれないという心配だけです。もちろん、この馬が2番手評価ですね。

今回のジャパンカップは買いたい馬がたくさんいて、1頭を選ぶのが勿体ない気がしました。ディラントーマスが出てくれば、史上最高のメンバーになったことでしょう。もちろん、ディラントーマスがいなくても近年稀に見る好メンバーであることに違いはありませんが。どんなレースになるのか、今から楽しみでなりません。

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佐藤哲三に全部

Rudolf

お返事ありがとうございました。JCDを調べていてわからないことが1点。外国馬の競走成績に全天候型という言葉が出ていて、はて?と思っていたところだったんですよ。ポリトラックのことだったのですか?従来の米国のダート(土)とは違う。そこで結果をだしたスチューデントカウンシルは侮れないというわけですね。おもしろくなってきました。幻のように短かった東京2100MのJCDの歴史をしめくくるにふさわしい大変意義のあるレースになりました。血統を考えるのが好きなおやじにはJCよりも楽しみなレースです。僭越ながらふたりの手紙をまとめてJCDの見所とさせてもらっていいですか。

1、日本と米国のアメリカ血統の攻防(来年のJCDを予言する戦い)
2、日本の血統とアメリカ血統の攻防(今までのダートの歴史の総括)

歴史的な戦いにヴァーミリアンは終止符をうつことができると思います。

さて、久々に海外から有力馬が何頭か参戦して楽しみなJCになりましたね。怪力サムソンを日本の代表として応援する人もいればディラントーマスの名声に惹かれている人もいることでしょう。あっ、ディランは取り消しになりましたね。おやじは日本馬だけでもかなりおもしろいレースだと思っていたのですぐに立ち直りました。多士済々、日曜日は爽やかな熱狂が東京競馬場を包みます。

今の時点で招待馬の体調を推し量ることは非常に難しいですね。やはりパドックはみたい。種牡馬入りが決まっている馬もいてJC参戦の意図をはかるのも難しい。自慢じゃあないが、ファビラスラフィンのJC以来馬券は当たってない。去年も同じこと書きましたかなあ。去年もしくじっている。今年も、うーむ悪い予感だけはしています。

なまじ馬の力量や体調を悪い頭で無理に考えようとするもんだから当たらない。それならよーし、今回は人でいこう、人で。馬に乗ったことはおろか触ったことさえないおやじなので騎手の腕を云々する資格はまるでない。まるでないが、騎手の気合ならばわかるような気もする。

◎は佐藤哲三。競馬は馬券を買わないと見えてこないことが多いのですが、偶然買った若いころの佐藤騎手の騎乗ぶりを見て、彼がよく馬を追う騎手だということに気づきました。そのころからのファンなんです。きっぷがいい、タップダンスの好走はまさに人馬一体。タップが佐藤なのか、佐藤がタップなのか、そんな趣。上手な騎手は何人もいるのでしょうが、個性的な騎手は少なくなったようで少し寂しい思いをしていたところです。

ところで落馬寸前の状態でスタートを切ったのにもかかわらず圧勝劇を演じたディープの皐月賞から、もう2年も立ちましたか。あのインパクトの強い走りを見て、ダービーでこの馬を負かしてやれと思った騎手はいったい何人いたでしょうか。いやそんな騎手はいたか、どうかですね。

そのダービーで佐藤哲三は自分の追い込み馬に先行を命じ、4角で先頭に立ってディープとの距離を広げていきました。ディープを負かすには4角過ぎで何メートルディープの前にいるかということを考えるしかありませんね。佐藤哲三は間違いなくディープに勝つことだけを考えてダービーに臨んだと思っています。2着に敗れたとはいえ、ダービー史上もっとも美しい敗戦としてディープの衝撃よりも深くおやじの心にはやきついています。あのダービーを見て佐藤哲三がますます好きになりました。

佐藤哲三の勝利騎手インタビューほどぶっきらぼうなものはありません。京都大賞典のインタビューを再現してみましょうか。
 アナ おめでとうございます。
 佐藤 うーむ、ありがとうございます。
 アナ どういうところに気をつけて乗りましたか。
 佐藤 全部
 アナ どの馬がライバルでしたか。
 佐藤 全部
アナ 勝因を教えてください。
 佐藤 全部
 アナ 馬のいいところを教えてください。
 佐藤 全部
 おやじ がっはははは。

いつもはもう少し口を開く佐藤哲三なんですが、この日は特に口数が少なかった。なにせ「全部」としか言ってない。余程期するものがあるんでしょう。翻訳すると「黙ってJCの結果をみてろ」ということです。凄い気合のりですねえ、勿論佐藤哲三の気合。単に機嫌が悪かったのかもしれませんが・・。

ディランがJCに出走していたならば凱旋門のようにゴール前200M辺りで先頭に立つような競馬をしたでしょう。待っているのは怪力サムソン、そして両馬のすさまじい叩きあい。これを見て猛然と佐藤哲三が鞭を振るう、というゴール前を想像してたのですが、ディランの回避は競馬にも予想にも「綾」を生じさせましたなあ、と全く心配しなくてもよいのが佐藤哲三なんですよ。信じた馬に賭けることができるところが、他の神経質な騎手とは断然違うところなんです。どうですか、治郎丸さん、やるでしょ。このアンちゃん、いや、おっさん。大橋巨泉のクイズダービー風にいえば、今回のJC、佐藤哲三に「全部」となります。

鞍下は蹄の病気さえなければディープ時代の名脇役をつとめたはずの馬です。ひょっとするとディープの調子が悪いときにはディープを苦しめたかもしれない。佐藤哲三は朝日CCで鞍下に手ごたえをつかんだはずです。そのとき鞍下が楽々と負かした相手は毎日王冠でそこそこの競馬をしています。日本馬の中でも最もローテに好感のもてる実に怖い存在です。

鞍下の血統もいいですよ、とは言いません。兄弟にサンヴァレンティン、近親にワンモアチャッターにフォルテベリーニ。言わずと知れたどさまわり血統です。えっ、どさまわりの何処が悪い。おやじだって3回転半どさまわっているんだぞ。この血統にいわゆるクズはでません。非常にポテンシャルの高い血統です。遠くにテスコボーイなんかいて、こりゃあ世界的などさまわりだ。もし1977年に中山2000MでJCやったら7馬身つけてテスコボーイの仔トウショウボーイが優勝したはず。

対抗は武豊になるでしょうか。この騎手のコメントを読んだり聞いたりしていると、馬券のヒントになるものがあるのでいつも注目しています。今年はこんなのがありました。

・桜花賞トライアルの後の勝利騎手インタビュー。通り一遍の返答で、なぜか浮かぬ顔。
・桜花賞後のコメント。「馬が短距離にシフトしている」

1400Mの勝利で浮かぬ顔をして1600Mで強い競馬をしたことのある馬を短距離にシフトとしたと言うのだから、アストンマーチャンについて迷うことがあれば、例えばスプリンターズSでは買う方向で考えればいいし、スワンSでは切ればいいわけだとおやじは参考にするわけです。

今回の作戦について武豊は「あまり細かいことは考えていない」というコメントを出していますね。翻訳すると「一流馬だからこそ細心の注意を払って乗れば勝てますよ」となります。さて、佐藤哲三が武豊にどんな戦いを挑むのでしょう。2年前のダービーの対決が思い出されます。

残りは手短に書かせてください。

外国馬の実力はAムーンが教えてくれているような気がします。香港でプライドに迫ったムーンは世界的な実力をもっている馬ですし、ドバイできちんと結果も出しています。今回の外国馬にレイルリンクに迫るような馬はいるでしょうか。オッズの上ではたいそう妙味はありそうですが、無理に買おうとは思えませんでした。逆に人気を落とすAムーンは無理をしても買う必要があります。それが馬券のセンスというものです。あっ、はいはいナンセンスでしたね。

ウオッカ。大丈夫かなあ、おやじも年だからあまり心配させんでくれよ、という思いで見守るのは切ないですね。切ない。そうとしかいいようがおやじにはありません。

パンドラちゃん。エリザベスでは強いところを見せました。昨年より断然強くなっています。さすがにベストインショーの血統ですね。ドイツ馬のサデックスと同じ牝系です。騎手がルメールからの乗りかわりになって人気を下げるでしょうから、おやじには妙味のある馬に思えます。

お返事に困るような手紙もたまにはいいじゃないですか。あっ、いつものことですね。
ではまとめます。

◎佐藤哲三に全部(インティライミ)
○武豊(怪力サムソン)
▲Aムーン
△パンドラちゃん
×Dパスポート(好きなので買わせてください)

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◎ヴァーミリアン

Jiromaru

今から7年前に始まったJCダートの歴史の流れを、一通のお手紙で堪能させてくれるなんて、さすがです、ルドルフおやじさん。あのクロフネの衝撃は、日本の古い血脈が葬り去られた衝撃だったのですね。「これがG1か?」って思ったほどの圧勝、楽勝劇でしたが、あれが米国血統のパワーとスピードの象徴だったとは…。

おっしゃる通り、フェブラリーSならばなんとかなっても、JCダートはなんともなんらんという馬はたくさんいますね。この東京2100mという設定は、JRAもうまいことやるなと常々思っていたのですが、来年から阪神1800mになるということで残念です。売り上げの問題や、WSJSとの絡みもあったのでしょうが、せめてもう少しタフなコースでやって欲しかった。阪神1800mだと、もしかすると東京のマイル戦よりもスタミナは必要ないかもしれません。

ルドルフおやじさんのお話と少し矛盾するように思えるかもしれませんが、この阪神1800mという設定は、アメリカ馬にとって有利なものに直したのではないかと私は思っています。普段、スタートからガンガン飛ばし、どこまでそのスピードを持続できるかに全てを賭けているアメリカ馬にとって、府中の2100mで同じことをやったら最後まで持たないのです。もちろん、アメリカはダート(土)で日本はサンド(砂)であるということも大きいです。府中の2000mまでならギリギリ粘りこめるかもしれませんが、2100mは苦しいかなと思います。結局、条件があまりにも違いすぎて、強いアメリカ馬は積極的に来日しなかったというのが現実ですよね。つまり、東京の2100mを阪神の1800mにすれば、スピード優先の競馬になって、アメリカ馬が出走しやすくなるという算段ではないでしょうか。強いアメリカ馬が参加してくるのは大いに結構ですが、日本古来の血脈が育たないのでは本末転倒ですね。強いアメリカ馬を米国血統の日本馬が迎え撃つという構図になるのでしょうか。うーん。

アストニシメント系のサンフォードシチー、もちろん覚えていますよ。なにせ、第1回JCダートの私の本命ですから。今から思い返しても、渋いところに印を打ったものだと思います。その頃からひねくれた馬券を買っていたのですね。あのレースは、アメリカ馬がウマシカみたいにすっ飛ばして、殺人的なハイペースで進みましたね。前に行った馬は4コーナー手前でみんなバテてしまって、直線に向いた途端、岡部騎手のウイングアローが持ったままの手応えで先頭に立りました。ウイングアローの鬼のような強さの前にひれ伏してしまいましたが、サンフォードシチーもよく走っていたと思います。村山明騎手にもG1を勝って欲しかったですね。

あっ、それから、ルドルフおやじさんが?にしてくれていたビューチフルドリーマー系の90年代代表には、ぜひレオダーバンをいれてあげたいなあ。ダービーではトウカイテイオーの影さえ踏めませんでしたが、夏を越して成長し、菊花賞を勝った大物です。マルゼンスキー産駒の最後の大物でもあったのではないかと記憶しています。


さて、今年のJCダートですが、ビューチフルドリーマー系とアストニシメント系の対決は見ものですね。ドラゴンファイアーとブルーコンコルドですね。古馬G1の壁をブチ破れるか、それとも古豪健在を見せつけられるか、新旧世代の対決でもありますね。どちらも己の意地にかけても負けられないところでしょう。

3歳馬のドラゴンファイアーは、まだ成長途上といった体つきで、歴戦のダート馬たちの中に混じると少し見劣りしますね。それでも4連勝してきているように、潜在能力は優にG1級でしょう。前走も直線でヒヤッとさせられましたが、本人は何ともなかったように抜け出してきましたから、精神的にも相当太いものがあります。ここ2年、3歳馬が勝っていますし、去年も4連勝で条件戦から臨んできたアロンダイトが突き抜けたように、決して越えられない古馬の壁ではありません。久保田厩舎からはワイルドワンダーとの2頭出しになりますが、私はこちらを上位に見ます。ワイルドワンダーはプロキオンSでの切れ味や、その後のローテーションからも、2100mという距離が微妙に長い気がします。

ブルーコンコルドは前走のJBCクラシックで惨敗して人気を落としましたが、昨年よりもローテーション的には良い形での出走となります。実は私の昨年のJCダートの本命だったのですが、よーく考えてみると昨年は前走がマイル戦(JBCマイル)だったのがマズかったですね。マイルのペースで走ってしまい、道中で引っ掛かっていました。内が開いていたとしても、勝ち負けにはならなかったでしょう。もし昨年の勢いを持って、今年のローテーションで臨んで来ていれば、この馬で勝負したかもしれません。ただ、馬体を見る限り、昨年時の迫力が感じられませんでした。この馬も7歳。すでに39戦をこなしているのですから当たり前ですよね。

メイショウ闘魂は前走エルムSを強烈な末脚で勝ちましたね。フェブラリーSでも書きましたが、この馬は非常に珍しいタイプのダート馬で、スローの瞬発力勝負に強いんです。平安Sにせよ、東海Sにせよ、エルムSにせよ、ゆったりとしたペースで先行馬は楽勝と思っていると、後ろから芝のレース並みの末脚で飛んでくるのです。芝のレースではサンデーサイレンス産駒がこういうレースを得意としますが、それをダートで体現している個性的な馬です。でも、道中が速くなって追走に手一杯になってしまうと、意外と伸びを欠いてしまう面があります。フェブラリーSはそんな負け方でした。今回のJCダートは例年ハイペースになりますので、そのあたりが不安です。

ずいぶん引っ張ってしまいましたが、私も本命は◎ヴァーミリアンに打ちます。前走のJBCクラシックの勝ち方にはウイングアローに通ずる「鬼」を感じてしまいました。ダートの鬼とは、今まさにこの馬のことでしょう。昨年の秋あたりから、馬が良くなってきましたよね。昨年のJCダートも6ヶ月の休み明けでも4着と好走しましたし、その後、ドバイを挟んで馬が変わってきました。ドバイから帰ってきてから無理をしなかったのも良かったのでしょう。石坂調教師の「無理をさせなければ、馬はいつか恩返ししてくれる」っていう言葉は素敵ですね。世間では逆にとられていますが、馬も人間も実は休んでいる間に成長するものです。

地方での勝利が多いだけに、深いダートが合っていると思われがちですが、そんなことはないでしょう。芝の重賞を勝っているように、このメンバーでもスピードは抜けています。そもそも、大井のダートは砂厚7cmで、東京の8cmよりも浅いぐらいで、速い時計の出る競馬場です。中央のレースの方が時計が速いのは、ペース自体が速いからです。その速いペースについて行って、最後にもうひと伸びすることが出来るかの勝負ですが、そこでドバイの経験が生きてくるはずです。世界のハイペースに食らいついて行ったヴァーミリアンにとっては、もしかしたら周りが止まって見えるかもしれませんね。

フリオーソはJDDを勝って、JBCで2着に好走したように、ここにきて力を付けてきています。内田博騎手も相当な意気込みで臨んでくるはずです。ただ、速い時計での決着となったJDDを圧勝したように、走りやすい馬場を得意とする馬ですので、微妙に厚い中央競馬の砂と2100mという距離が微妙な気がします。かなりタフなレースになるはずですので、ここで結果を出せれば本物でしょう。

サンライズバッカスは安藤勝己騎手をしても乗り難しい馬です。安定して追い込んできていますが、自分でレースを作れない分、どうしても全てが嵌らないと勝ちまで届きません。ただ、展開を考えると、ハイペースになることは間違いありませんので、この馬の末脚が生きる流れにはなりそうです。あとは2100mという距離をどこまで克服できるかどうかでしょう。私はこの馬はマイル前後のスピード馬だと思っていますので、嵌っても2着までかなと評価しています。

フサイチホウオーは価値ある挑戦だと思います。この馬の走り方を見ると、間違いなくダート向きではありますので、一発狙いということではJCダートは正解でしょう。ただ、この馬の場合、ダービー以降、精神的に切れてしまっている様子が窺えますので、その点がどうでしょうか。道中で砂を被って、嫌気を出してしまわないとも限りません。ダートは合っているとは思いますので、今回だけの結果で判断して欲しくないところですね。

最後にアメリカ馬のスチューデントカウンシルです。アメリカ馬は府中2100mの砂をこなせないと前述しましたが、この馬は少し違うようです。先週、美浦トレセンにも導入されて話題になりましたが、ポリトラックという合成素材で作られた馬場をデルマー競馬場でこなしてきているようです。簡単に説明しておきますと、アメリカ競馬の通常のダート(土)に比べ、ポリトラックの馬場はスタミナとパワーを要します。そのポリトラックの馬場で行われたパシフィッククラシックSを勝っているということは、つまり府中2100mの砂にも適性があるかもしれないということになります。もちろん、日本の砂とポリトラックは別物ですので、何とも言えないところはありますが、これまでのアメリカ馬と同じだと思っていると痛い目に会うかもしれませんね。

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米国血統の恐ろしさを見せてくれる

Rudolf →ルドルフおやじってどんな人?

来年からJCDは阪神で行われるそうですね。しかも1800Mで。なんでもJCの前日に行われるために、G1の中でもJCDの売り上げは不振を極めていたらしい。東京2100Mだからこそ試される力があったはずなのにね。イージーなレースをつくって競争馬の能力の向上につながろうはずはあるまい。平坦なターフの上を10マイル走っても意味はあるまい。

鏡のようなグリーン、絨毯のようなラフの上で毎日戦っている国のゴルファーがジ・オープンを制するなんてジ・オープンの歴史が終わるまでありえないでしょう。タフなコースをつくってタフなレースが行われてはじめて血は鍛えられる。イージーなレースを創ってどうする。おやじは、来年からJCDは買いません。損したなJRA、いいのかい、いいのかい。

JRAはクロフネを越える馬を作りたくないわけね。クロフネのJCDはカーラジオで聞きました。テレビ実況のないころ場外で競馬をはじめたので、アナウンスの声を聞くだけでレースの様子を理解するという秘儀を身につけた。1着はクロフネというアナウンス、そこから2着はウィングアローまでの間(ま)の長いこと。衝撃的でしたね。おやじがくたばるまで日本馬の凱旋門賞制覇を見せたくないわけね、JRA。冥土の土産をとりあげるわけだな。来年からJCDは買いません。損したなJRA。

フェブラリーSの手紙でダートコースというのは日本の競馬風土だと書きました。だからダートレースで日本の血統が今でも健闘する。第1回JCDの優勝馬が輸入されて5代続いている母系から出たウィングアローだったというのはそのことの象徴的な出来事だったと思います。G3時代からG2、G1と格上げされてもフェブラリーSは古い血脈の牙城そのものでした。今回のJCDにエントリーはありませんが、ウィングアローの血脈はロングプライドを送り出しています。

今回のJCDのひとつの見所はビューティフルドリーマーとアストニシメントの久々の対決です。ここで云々するまでもない日本の代表的な牝系ですね。いささか気がひけるのですが、それぞれの牝系の年代ごとのおやじのベストホースをあげてみましょうね。

ビューティフルドリーマー     アストニシメント
50年メイジヒカリ          50年ヤマイチ(クリフジの娘)             
60年シンザン            60年チトセホープ
70年タケホープ          70年レディースポート(テンモンの母)
80年ニッポーテイオー       80年ブロケード(テンモンのライバル)
90年?               90年メジロマックイーン
00年ティーエムオーシャン    00年?

一概にはいえないのですがビューティフルドリーマー系は牡馬に大物を出し、アストニシメント系は牝馬に大物を出すと言われてましたね。ところが90年前後のニッポーテイオーとメジロマックイーンを最後にこの帝国を思わせるような牝系から大物は現れていません。活躍馬の数も少なくなってきているような気がします。シラオキの系統の隆盛を思うとさびしい限りですね。

不思議なのことに、ターフの大物を失ったころから続々とこの両血統からダート馬が現れる。第1回JCDの2着馬、サンフォードシチーを覚えていらっしゃいますか。あれはアストニシメントから出ています。ターフを駆けるスピードは失われたが底力は満々と湛えられているということか。ならばきっと帝国はいつか復活するはず。その日まで競馬、止められんわ。

今回、ビューティフルドリーマーはドラゴンファイヤー、アストニシメントはブルーコンコルドを送りこんできました。ドラゴンはニッポーテイオーの血をコンコルドはチトセホープの血を背にどんな走りを見せてくれるでしょうか。夢のようです。

しかし夢は夢。シラオキの血脈だって70年代半ばから80年代にかけて不振を極めていたのですから。底力のある血統と地味な主流血脈を交互に何代も重ねてシラオキ系にウオッカが誕生したことを忘れてはいけませんね。帝国復興への道は緒についたばかりです。

社台ファームが導入し育てた牝系といのは実にたくましい。他の牧場に移っても花を咲かせ実をつける。特にナイトアンドデイという牝馬から続く血脈は、春に種を蒔き秋に収穫する年々の農業の営みように堅実で、大地の広がりを思わせます。70年代にはNテーストという種を蒔き、皐月賞馬ダイナコスモスという大輪を咲かせ、80年代はファバージから名牝カッティングエッジを得て、90年代は人目にはつきにくいが小さな実をたくさんつけていました。そして今、この血脈は豊穣年を迎えています。シャドウゲートは今回出走しないようで残念でしたが、この馬の海外G1制覇ほどこの血脈にとって喜ばしい出来事はありません。

今回のJCDにはアントニオ猪木がこの血脈の切り札としてエントリーしてますね。メイショウ闘魂は新冠で種を蒔かれて根をはった、メイショウトウ根。底力は凄いのかもしれない。東海Sのレースぶりをみていて、今回も大いに期待できるのではないかと思いました。

今年のフェブラリーSで久々に古い血脈の底力を証明してくれましたのはサンライズバッカスでした。人気を落としている今回は要注意です。ああ、できればNFDC(G1)というのをつくってあげたい、何のことかって、日本のふるい血統ダートカップ(G1)ですよ。

確かにフェブラリーSでは今も古い血脈と新しく導入された血脈がしのぎをけずっています。ところがです、ここからが肝心なんですけど、JCDにおいては早くも第2回にしてクロフネが一気にその流れを変えてみせました。第1回JCDの覇者ウィングアローを7、8馬身葬って、米国血統のパワーとスピードの恐ろしさを見せつけた。クロフネはダート競馬の黒船。太平の眠りを覚ます蒸気船というわけです。以来JCDの1、2着馬から古い血脈は締め出されています。古い血脈は東京1600Mの壁を越えることはできるけれども、東京2100Mの壁は打ち破れない。現在の日本の血統の到達点と限界を示す、これが東京2100Mの本質だと思います。米国血統の強い馬がいるかぎり、残念ながら古い血統の馬が2100Mの向こう側にたどり着くことは難しいと考えています。

ビューティフルドリーマーやアストニシメントの敵は外国馬でも米国血統でもなく東京2100Mです。JRAはそういう壁を日本馬のために壊してくれるのね、ああ親切だ。損したなJRA。

結論は出ました。スチューデントカウンシルはパシフィッククラシックSを勝った格上馬ですね。この馬には東京21
00Mを悠々と越えていく力はあるでしょう。しかしおやじは去年のJCDでもっとも強い競馬をしたヴァーミリアンを狙います。おやじもしつこくてね、1年も待てるんですわ。この馬が米国血統の恐ろしさを見せてくれると思います。おやじ儲けて損したJRA。

これだけの馬がそろっているのでヴァーミリアンの単にも複にも妙味があるかもしれませんね。◎ヴァーミリアン以上です。

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◎アグネスアーク

Jiromaru

私も関西で中学生時代を過ごしましたので、「もろうた!」と「あかんわ…」の2つがセットであることはよーく知っていますよ。「もろうた!」と思った馬券があかんかったり、「あかんわ…」と思った馬券の方が案外もろうてたり、馬券は思ったとおりにはいきまへんなぁ(関西弁?)。

さて、スランプ時の買い方のお話、まことに身に染みました。当たらぬことを前提に絞り込んで、穴馬の買えない要素を見つけて、買える魅力は他の馬のそれと比較して、できれば買わないのですね。この4か条は、治郎丸家の家訓として、掛け軸に書いてかけさせたいと思います。

で、教えの通り、実際に今回のマイルCSでもやってもみましたよ。私がみたお化けはベクラックスです。実はこの前の手紙を書いた時に、この馬の存在自体を見落としてしまっていました。あの後に気付いて、この馬もクサイなと気になり始めたのです。というのも、他の日本馬でどうしてもこの馬という馬が見当たらなかった、またどの馬にも買えない理由が見えてしまっていたからです。日本馬でなければ外国馬なのでは、ということですね。

もちろん、それだけではありません。何よりもこの馬が魅力的に思えたのは、ベクラックスを管理するのがニール・ドライスデール調教師だからです。おそらく競馬ファンよりも日本の調教師たちの方が、ドライスデール調教師が連れてきたベクラックスを恐れているのではないでしょうか。ドライスデール調教師はアメリカではそれはもう有名な調教師で、日本でブレイクしたフレンチデピュティやラーイ、米国の種牡馬チャンピオンであるエーピーインディ、そしてあのフサイチペガサスを育て上げた敏腕調教師です。今年でもう60歳になるのですね。

そのドライスデール調教師が若き頃に師事したのが、これも世界的に有名なチャーリー・ウィッティンガム調教師です。もうここに書くまでもないかもしれませんが、あのサンデーサイレンスを育てた調教師です。あれだけ気性の激しいサンデーサイレンスが引退するまで連対を外すことなく走り続けたのは、ウィッティンガム調教師の手腕があったからでしょう。その他、アックアックやファーディナンドなども彼の管理馬ですね。ウィッティンガム調教師について面白いエピソードがありまして、ある調教師に「もしあなたの馬が口が利けるとしたら何て言うでしょうね?」と聞いたところ、「ウィッティンガム厩舎に入れてくれ!って言うに決まってるだろう。」と答えたそうです。

そんなウィッティンガム調教師に教えを受けたドライスデール調教師が連れてきたのが、このベクラックスです。ジャパンカップにアルティストロワイヤルを連れてきていて、べクラックスは帯同馬として見られがちですが、どうして、ドライスデール調教師が付きっ切りで調整をしているではありませんか。どちらの馬でも勝ちに来ているようにしか私には思えません。

だからといって、勝つとは限らないのが競馬ですね。この馬の買えない要素は、マイル以上の距離で実績がないということでしょうか。マイル戦で6勝しているように、典型的なマイラーなのでしょう。日本のような速い時計の出る馬場も得意としているようですが、マイルがギリギリという感じがしないでもありません。マイルCSは3コーナーの下りからゴールまで、坂を下りながら一気に流れが厳しくなりますので、2000mの中距離を走られるくらいのスタミナを持った馬でないと最後が苦しいのです。これが、天皇賞秋組がスワンS組よりも良績を残している一因ですね。ベクラックスは中距離をこなせるスタミナに欠けるという理由で、勝ち切るところまではいかないと判断しました。

そうしたら、なんだかスッキリと答えが出ました。私の本命は◎アグネスアークに打ちます。あれれっ?ルドルフおやじさんと同じですね。おかしいな(笑)。

アグネスアークについての不安点はこの前の手紙で十分に書きましたので、今回はこの馬を買う理由を書きたいと思います。ひとつはマイル戦3戦2勝という実績があるからです。負けたマイラーズCにしても、前の止まらない流れでしたからね。その後、休養を挟んで本格化しましたし、毎日王冠で速い時計にも対応できることを証明しました。

ちなみに、この1年、京都芝1600mの種牡馬成績のトップはアグネスタキオンです。1位のアグネスタキオンは【10・5・3・16】の勝率29.4%、連対率44.1%に対して、2位のサンデーサイレンスは【5・2・0・35】で勝率11.9%、連対率16.7%です。この条件はアグネスタキオン産駒が最も得意とする条件といっても過言ではありませんね。

もうひとつは、札幌記念や天皇賞秋で示したように、アグネスアークは中距離を走りきるだけのスタミナを有しているからです。札幌記念はスローの展開に泣き、天皇賞秋は道中の不利があっても2着を確保しました。道中で遊びがあるのも、距離をこなせる一因になっているのかもしれません。3コーナーの丘を越えてから少しずつスパートをかけて、ゴールまで十分に伸び切れることでしょう。

さらにもうひとつ。河内調教師は、この馬に長谷川騎手、津村騎手、吉田隼人騎手と若手を乗せ続けてきました。今の調教師にしては珍しく、若手を育てようという姿勢がこちらにも伝わってきます。そして、それぞれの若手がその期待に見事に応えて、アグネスアークと共に成長しましたね。それだったらここも若手で行けよ、という声も聞こえてきますが、私はあらゆる方面から考えても最良の決断だったと思います。若手騎手たちから受け継いだバトンを、藤田騎手はなんとしても最後までつなげなければなりません。今の藤田騎手なら、その大仕事を果たしてくれるはずです。

福永祐一騎手が騎乗するカンパニーは、私も最後まで悩みました。おっしゃる通り、買えない要素の少ない馬ですよね。マイルの連対率が低いことが気になっていましたが、ルドルフおやじさんが心配ないとおっしゃるのであればそうなのでしょう。となると、買えない要素は年齢でしょうか。とはいえ、クラフティワイフの晩成の血統のなせる業もあるかもしれません。最後に私が買えない要素として導き出したのは、天皇賞秋のあの3着という着順です。2着のアグネスアークとの間にあるあのクビ差は、見た目以上に大きい気がします。先に抜け出したカンパニーが最後の最後に差されたのは、2000mの距離が少し長かったのではないでしょうか。もちろん、今回はマイルに距離が短縮されるのですが、先ほど書いたように、マイルCSは中距離のスタミナを問われるレースになりますので、その点においてアグネスアークを上に取りました。

ダイワメジャーは前走で大きな不利を受けてしまいましたが、まともに走っていてもメイショウサムソンには勝てなかったでしょう。それでも、あの惨敗で人気を少し落とすならば、今回は逆に妙味があると思っています。前走の天皇賞の4コーナーで、なぜあんなにも手応えが悪かったのか不思議に思っていたのですが、安藤勝己騎手がああいう乗り方をしていたようですね。安田記念で最後にビュっと伸ばすレースが出来たので、行き過ぎた毎日王冠の敗戦を受けて、前走は少し後ろから脚を伸ばすレースを意識的にしていたようです。安藤勝己騎手は、「こんなことだったら、前に行っておくべきだった」というような言い訳をする騎手では決してありませんので、真意を図りかねていましたが、そういうことだったのです。今回は距離も短縮されますので、この馬の良さを最大限に活かす攻撃的な騎乗をしてくるはずです。精神面での衰えはあると思いますが、私はこの馬に勝たれてもおかしくないと思っています。

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小柄な馬体に何かが秘められているはず。

Rudolf

治郎丸さんは気がついてないとは思いますが、おやじは予想した段階でほとんど「もろうた!」(注関西地方の方言で成就の可能性が極めて高いときに口をついて出る言葉)と思っているんですよ。どう思われます。がっはははは。今回は年に1度あるかないかの弱気な予想をしています。

競馬をして楽しいのは、これだと思って賭けた馬が走ってくれることに尽きますね。穴馬ならばその喜びも格別ですな。もちろんこういう場合おやじは知人のひとりひとりに花柄地の電報を送りつけることにしています。例 サケダイスキ号快走御礼 など

しかし、どの馬も穴馬に見えるときは馬券のスランプだと断じていい。こういう場合は勇気をもって自重すべしですね。当たったときの快楽が身にしみているもんだから、自重するのは本当に難しい。だから勇気が必要なんですね。今回、おやじには穴馬が数頭も見えているんです。まあ秋に幽霊を見ているというわけですわ。

しかし、折角のG1だから参加料を払うつもりで買うことにします。ただきちんと買い方を決めて外れても悔いの残らないようにすることにして。

<スランプのときの買い方>
1、当たらぬことを前提に絞り込む。(見る目が間違っているのだからいくら買っても当たらない)
2、買えない要素を探す。(穴馬に見えることから冷静になれる)
3、買える魅力を各馬で比較する。(買える馬の魅力から冷静になれる)
4、できれば買わない。(無理だ!)
こんなもんでどうでしょうか?

まず買える、買えないの基準を探さなくてはね。G1馬4頭、G1好走馬(3着以内)6頭という今回のマイルCSのレベルですが、これを額面どおりに受け取ると並のG1のレベルのように見えますが、例年にない高いレベルの天皇賞の好走組が今回のマイルCSのレベルを押し上げていると思います。水準以上のレベルを勝ち抜くだけの魅力ある馬を探しましょう。

フサイチリシャール。スワンSでは久々に走るところを見せつけました。G1馬ですし、買えない要素は少ないのですが前走、レースの流れにのって最もスムーズに競馬できたという印象を受けました。京都1400は外枠を狙えという古い格言もあって、7枠発走のこの馬にはうってつけのレースだったと思います。先行馬に厳しい流れだったのですが案外魅力は乏しいですね。

スーパーホーネットとキングストレイルがスワンSを追い込んできて好印象を得ました。トレイルは治郎丸さんが指摘したように内で揉まれて競馬をしていません。でもゴール前は鋭い足を使っています。近年、軽いレースをしたスワンS組が本場で不振を極めていますが、この両馬は底力を見せたのではないでしょうか。嫌われるスワンS組ということで案外魅力はありますね。ホーネットは6枠発走だったので内で揉まれたキングストレイルの方に穴の魅力があるのかもしれません。

Sフェニックス。距離を云々された高松宮をあっさり勝ったスプリントの力には驚かされました。秋ひと叩きされて絶好調が伝えられます。高松宮を勝ってマイルCSを2着した馬にキングヘイローがいますが、問題はフェニックスがキングヘイローと同等以上の力をもっているかということですね。マイルと6ハロンのG1を制するというのはひとつの事件ですからね。もしフェニックスにその力があるのなら、春の安田記念のDメジャー以外のメンバーなら勝てていたように思います。人気落ちの実力馬とはいいますが、そこまでの魅力は感じません。

ジョリーダンス。これもレディーゴシップの近親でしたね。凄い勢いのある一族ですねえ。今スランプだからこそ、この勢いにはなんかあると思っちゃあいけない。春のヴィクトリアMと安田記念は先行ペースのレースになりました。そこで追い込んで5着、先行して3着、今回のマイルCSを勝つためには少なくとも連は欲しかった。同族、コイウタは先行してヴィクトリアを優勝。厳しい言い方だけれども高い評価はどうかなと思います。マイルCSを制する牝馬は名牝中の名牝です。そう考えるとレディーゴシップの牝馬2頭の魅力は一気にかき消されてしまいます。ごめんね。

エイシンドーバー。9ハロンのレースでも好走できる力のある馬です。夏場をしっかり休養ににあてて体調もいいらしく、カイ喰いもいいよ、というコメントも漏れてきているようです。ポン駆けもきいてまさに穴馬らしい穴馬ですね。しかしG1レースを休養明けでポンポン勝つというのはディープやサムソンに任せておいた方がいいんじゃあないかと、ここは冷静に判断しておきます。

トウショウからはカレッジとヴォイス。ラストタイクーン産駒の両馬をマイルCSに送り込んだ牧場のすばらしさは賞賛に値します。あっ、ヴォイスは回避ですか。ちょっとひと言、トウショウボーイの母、ソシアルバタフライの血統ですね。この名牝系に地味な種牡馬ばかりをかけ続けている牧場の営みには頭がさがります。また来年会おう。カレッジはシラオキの血統でウオッカの近親です。先行有利の富士Sで3、4番手を進んで勝ったマイネルシーガルを買うなら、追い込んだカレッジに食指が動きます。穴の魅力というやつですね。

ピンクカメオ。牝馬を比較して買える魅力をもっているのはこの馬です。秋華賞はともかくローズSではおっと思わせるところを見せていました。治郎丸さんの好きなブラックホークの下ですね。この血統の底力は素晴らしいですね。血統表だけを見るとステイヤーと見まごうばかりの配合でいてマイルで力を発揮する、これぞまさしく底力血統。秋華賞が底力血統のワンツーで決着したように今の京都にはぴったり合っている。カレッジという大穴の魅力を狙うのならオカメの底力の魅力をとるべきか。待てよ、マイルCSで活躍する牝馬は桜花賞でも力を見せていたはず、オカメは遠慮させてもらおう。

穴の魅力のある馬はキングストレイル、スーパーホーネットということになりました。馬券の調子がよければ2頭とも買っていいのですが、今回は当たらないということを前提としての予想なので1頭落とす決断をします。

Kトレイルは真の良血馬ですね。本格化したと言われてますね。しかし、シンコウラブリーの血統にふさわしい目の覚めるような勝ち方をこれまでにも見せたことがあります。元々強い馬だけど少しひ弱なところがある馬だと考えるほうが無難なんでしょう。トレイルには今回も期待を裏切るかも知れないという買えない要素が顔を出しました。でもね、前走惨敗したというのがなんとなく臭うんだよなあ。

Sホーネットの母系はフレーミングページの一族ですね。世紀の名馬ニジンスキーを送り出した牝系というのは魅力があります。この10年マイルCSを振り返ると父か母父にNダンサー系の種牡馬がかけられている馬が3着以内に20頭も入っています。中でもニジンスキーの血脈が強い。ホーネットの場合はG1朝日杯で2着したという買える要素を思い出した方がいいような気がします。でもね、前走勝っているというところがいやなんだよなあ。

迷いに迷いますが雨のスプリンターSでおっというところを見せたトレイルを穴馬とします。

では人気馬をみてみましょう。

ダイワメジャー。治郎丸さんも調子落ちと年齢を気にかけているようですね。年齢だけはどうしようもないことなので、この馬にははっきりとした買えない理由があるといっていい。残念ですがね。しかし無印にするというのは根性がいりますよね、どうしよう。スピードと底力が試されるという点でマイルは競馬の基本だと常々思っています。NPウィナーとTシャトルがマイルCS2連覇、安田記念制覇を果たしたというのはうなづけます。今回メジャーが勝てばこの2頭に並ぶ、うむ、そういう歴史的事件が今回あるの?ないの?と考えて◎は打ちません。

カンパニー。この晩成血統をPOGで指名した馬鹿おやじです。まあ、馬鹿にも馬がついているからいいじゃないですか。出走馬のなかで驚くほど買えない要素の少ない馬です。福永騎手が乗るのはなんともいいんじゃあないかと思っています。彼は肝が据わっている。エリザベスでは秘策があるとコメントしてスカーレットの直後につけて競馬しましたね。買って痛い目にあったけれども納得、納得。マイル実績が乏しい点も関屋記念のすばらしい勝ち方で気にする必要はありません。ちょっと怖いなと思うほどすっきり買える馬です。こういう馬こそ、○にとどめておくのが馬券のセンスというものです。だって見えてない今だからきっとおやじの気づかない欠点があるはず。失礼、ああ、さっきのセンスはナンセンスでしたね。

アグネスアーク。これはレディーゴシップの血統だけにちょいと陰がありますよね。やはり不利を受けたあとの精神的なダメージは心配です。さらに好事魔多しで1週前の追いきりでは他馬と接触寸前のアクシデント。冷たい向かい風の中を進んでいる。しかし、この馬には天皇賞で強い競馬をしたという魅力があります。天皇賞ではカンパニー以上の不利を受けていたと思います。毎日王冠でも大外をまわって追い込んだこの馬が一番強い競馬をしたのでしょう。マイルCS3勝2着2回、数々の名馬に乗ってきた河内師が自らセレクトセールで競り落とした馬だそうです。小柄な馬体にマイルCSを勝つための何かが秘められているはずです。真っ白な馬より少々傷がある方が強いのかもしれない。

最後にベクラックス。外国馬1頭というのは買える要素です。複数いるならばチョイスが必要ですけれど。簡単だあ?

スランプ馬券のまとめ。おやじが切り飛ばした馬のなかに真実が隠されているので注意ですぞ。そして残った馬のなかに治郎丸さんの◎がないようにお祈りします。
◎アグネスアーク
○カンパニー
△キングストレイル
×ベクラックス

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福永祐一騎手を応援しないわけにはいかない。

Jiromaru

お手紙ありがとうございます。まさか落合監督の采配に対する返答をいただけるとは思ってもみませんでした。なるほど、勝利を優先させたのではなく1球に集中していたのですね。そう考えれば、あの采配は誰にとっても納得のいくものになります。私もレースに勝つことばかりではなく、1頭1頭の馬に集中しなければなりません。そして、たとえ孤独であっても、本質を言い当てて実行できる人間にならなければなりませんね。

私が最初にテレビで観た野球選手が王貞治選手でした。その日から、野球と王貞治選手が大好きになりました。小さい頃は、私もボールが見えなくなるまで草野球をやっていましたよ。5時に「カラスが鳴くから帰りましょ~」という放送があってトモダチが皆帰ってしまった後も、壁に向かってボールを投げていました。いわゆる壁当てというやつですね。壁にストライクゾーンを書いて、それに向かってストレート、カーブ、落ちないけど落ちているつもりのフォークなどを投げるんです。この壁当てが私は大好きでした。なぜって、いつでも好きなピッチャーになって、相手バッターをビシバシと三振に取れるのですから。9回2アウト満塁なんていう苦しい状況を勝手に作り上げて、外角低めにストレート、空振り三振!なんてやって一人で楽しんでいました。

その中でも、一番、よくマネをして投げたのは江川だったかもしれません。あの独特のピッチングリズム覚えていらっしゃいますか?両手でシッカリと振りかぶって、左足は90度上げて、右足はつま先まで伸び上がってワンテンポためを作って、それから投げるんです。全盛期の江川のストレートはホップして伸び上がっていましたが、私が壁に向かって投げた球は残念ながら真っ直ぐ下に落ちていました。それでも私にはホップしているように見えたのですけどね。

小学生の私にとって、江川のゴシップは聞いてもよく分かりませんでした。巨人のエースでヒーローということだけで十分だったのでしょう。もちろん、レディゴシップのことも知りませんでした。小林繁氏とのCMはあのぎこちなさがまた良いですね。人って、もっとぎこちなくてもいいと思うのですよ。私も含めた現代人はスマートに生きすぎているような気がします。って、なんの話でしたっけ?そうここはガラスの野球場、ではなかった、ガラスの競馬場です。

ルドルフおやじさんは天皇賞秋でカンパニーに対抗○を打っていましたね。まさに期待通りの走りだったのではないでしょうか。私も注目して見ていましたが、それは間隔を空けた方が走るタイプなのではないかなと考えていたからです。でもそうではないのかも知れませんね。長期休養明けの関屋記念をあれだけのタイムで勝った反動を考慮して、じっくりと乗り込んでいたということでしょう。ルドルフおやじさんは大器が開花したと見ているのですね。我らがPOG馬サバースもデビューを目前にして放牧に出されてしまったようですが、このクラフティワイフの母系は晩成なのでしょうか?

ルドルフおやじさんも福永祐一騎手に注目しているのですね。私は安藤勝己騎手の大ファンですが、彼が引退した後は、福永祐一騎手をつぶさに観て行きたいと思っています。それぐらい魅力のあるジョッキーだと思います。何といっても、父はあの福永洋一騎手ですから。競馬ファンは人間の血統は重んじないところがありますが、血は水よりも濃いのです。そして、彼の祐一という名前の祐は、私が尊敬してやまないあの故野平祐二調教師の祐に由来します。これだけ揃ったジョッキーを私が応援しないわけにはいきません。

父親の福永洋一騎手については、語るまでもないかもしれませんが、日本競馬史上に残る伝説のジョッキーです。伊藤雄二元調教師は、武豊騎手のことを「何千年に1人の名手」と評価しながらも、「日本競馬最高の騎手は福永洋一」と断言しています。福永洋一騎手を乗せると、能力的に足りないと諦めていた馬でも走ってしまったそうです。しかも、レースの内容が他の騎手を乗せていたときとは全く違い、追っ付けても進んで行かなかった馬をスイスイと逃げさせたり、先行してはバタバタになっていた馬を最後方から一気で勝たせてみたりして、周りは呆気に取られました。エリモジョージで逃げ切った天皇賞春などが有名ですよね。同じ騎手の立場から見ても、なぜ福永洋一騎手の乗る馬が走るのか分からなかったそうです。それほどに卓越した技術、もしくは並みのジョッキーとは違う何かを持っていたということでしょう。

その福永洋一騎手を不幸な落馬事故が襲ったのは、福永祐一がまだ2歳の頃でした。頭蓋骨骨折、脳挫傷、舌裂傷という大怪我を負って、それでも奇跡的に一命を取り留めたのですが、それ以降今もリハビリの日々が続いています。福永祐一は中学生になって競馬のことを知るまで、父がなぜ怪我をして、どうしてこんなに頑張っているのかも分からなかったそうです。福永祐一が小さい頃からずっと見てきた父の姿とは、母と一緒に懸命にリハビリに取り組んでいるところだったそうです。「それだけで僕にとって父は尊敬できる存在だった」と福永祐一は言います。

福永祐一が騎手になりたいと言った時、母親はもちろん大反対しました。しかし、福永祐一が「僕も騎手になるよ」と父に耳打ちした時、父洋一はにっこりと笑い返してくれたそうです。この笑顔に支えられて、現在の福永祐一ジョッキーが誕生したのです。

Hukunagayuiti by fake Place

正直に言って、福永祐一騎手はジョッキーとして父ほどの素質を持ち合わせてはいないと思います。近づいては来ていますが、現在のトップジョッキーたちと比べても、まだまだ足りないところがたくさんあります。それは本人が一番分かっているはずです。それでも、父のおかげもあり、たくさんの人々にサポートしてもらいながら、その期待に少しでも応えられるように懸命に騎乗しているのが伝わってきます。手の届かない父の背中と、父のおかげで恵まれている環境と、騎手としての自分の力の間にある蜃気楼をいつも彷徨っているのでしょう。福永祐一騎手の右目と左目は形が違いますよね。葛藤を物語っている彼の目が私は好きです。

さて、マイルチャンピオンシップは大混戦で、どこからでも狙えそうな面白いレースとなりました。

当然のことながら、天皇賞秋でカンパニーに先着したアグネスアークには注目すべきです。レディゴシップと同じ母系に、あのヒッティングアウェーがかかっていますね。いかにも底力のありそうな母系です。この馬は前走の直線で不利を跳ね返して、最後はカンパニーを差し切ったように、見た目からは想像もつかないほど根性のある馬ですね。馬体だけを見ると、とてもG1を勝てるような馬には見えませんが、前走で58kgの斤量も克服してしまいました。

重賞でなかなか勝ち切れていませんが、どのレースも恵まれなかったものです。札幌記念はスローの展開に泣きましたし、毎日王冠は外を回しすぎました。そして天皇賞秋は直線で挟まれる形になってスタミナをロスしてしまいました。それでも大きく負けていないあたりに、この馬の大きな成長を感じます。河内調教師も鞍上を藤田騎手に替えて、必勝体勢で臨んできています。河内調教師に初のG1タイトルをもたらすことができるかもしれません。

ただし、不安材料がないとはいえません。それは夏から使い詰めで来ていることです。馬体重の430kgはこの馬のベスト体重の下限なので心配はないでしょうが、ローテーション的にはピークを過ぎている可能性があります。今回で5戦目となりますので、充実の4歳の秋とはいえ、さすがに上がり目はないでしょう。今の勢いをして、どこまで踏ん張れるかといったところです。

もうひとつ大切なことは、前走の不利が後を引かないかどうかということです。落馬などの大きな事故や不利に巻き込まれた馬は、そのことを必ず覚えています。そのレースではアドレナリンが出て、アグネスアークのように好走する馬はいるのですが、次走では思わぬ惨敗をしてしまったりします。それは精神的にショックを受けてしまうからでしょう。勝負どころで怯むようになってしまい、それ以降、当分の間、走らなくなってしまう馬は結構多いのです。

昨年の覇者ダイワメジャーはどうでしょうか。本命を打っていたから言うのではありませんが、天皇賞秋で最も大きな不利を受けたのはダイワメジャーだと思います。というのは、これはコーナーを回る時にも当てはまるのですが、遠心加速度は外に振られるにつれ2倍、3倍ではなく2乗、3乗と大きくなってきます。つまり、アグネスアークよりもシャドウゲイト、シャドウゲイトよりもダイワメジャーに、2乗3乗のG(重力加速度)がかかったということです。アドマイヤムーンは一番外でしたが、馬体の接触はこの3頭に比べると軽いものだったように見えました。トップギアに入ったところで、2乗3乗のGがかかったのですから、その圧力は想像を絶する大きさだったと思います。ですので、あの結果(9着)を鵜呑みにすると痛い目に遭いそうな気がします。とはいえ、ルドルフおやじさんのおっしゃるように、年齢的なものもあってか、調子、特に精神的なものが下降線を辿っているのは間違いありませんので、積極的には買いたくない馬ですね。

もう1頭、岩田騎手に手替りをするキングストレイルにも注目したいですね。スプリンターズSでは追い込みにくい不良馬場を猛然と追い込んできましたし、しかも外枠を克服してのものだけに価値があります。スワンSは内に閉じ込められてまともに走っていませんので、巻き返しのチャンスは十分にあります。何といっても、藤沢調教師が遂に岩田騎手に騎乗を依頼したところを見ると、今回のレースはなんとしても勝ちたいという気持ちが伝わってきます。関西のトップジョッキーとなった岩田騎手が、関東のトップトレーナーである藤沢調教師の管理馬をどのようにして勝利に導くのか見ものです。

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レディーゴシップの演出

Rudolf →ルドルフおやじってどんな人?

前の手紙で落合監督の話が出ましたね。

落合が好きなのでいつか書こうと思っていたのですが、競馬との接点が見つからないので出し惜しみしていたところなんです。何をやっても誤解を受けたり、疎まれたりする人はいるものですが、落合はそういうタイプの人なのかもしれませんね。野球では「名選手、名監督にはあらず」という言葉がありますが、落合は名選手にして名監督、そして名伯楽だと思っています。ドラゴンズの二遊間は落合のノックバット1本で育て上げられたそうです。うむうむ、治郎丸さんがおっしゃるように例の投手交代劇には、名伯楽落合の山井投手を育てようという深慮が隠されているのかもしれませんね。

第2戦の勝利監督インタビューを落合は「ボールに集中することが大事だ」という言葉で締めくくりました。短期決戦では力が劣っているチームでも集中力があれば勝つことが出来ます。それがボールゲームの本質だと思います。おやじもヘボヘボ卓球チームのヘボヘボ監督をやっていて「勝ち負けに集中する方は負けますよ、ピン球に集中してくださいねえー」なんて選手のみなさまにお願いしています。選手も少ないし練習ぎらいの監督だから結果はまだ出てないんですが、どんなヘボ選手でも集中する姿は美しい、と思いながら見ています。

第5戦8回表、外野に飛んだ1球を見て落合は考えたのでしょうね。次はホームランもありえるな、おやじもそう思ったので、例の交代劇は得心できました。日本シリーズ7戦の戦略よりも「ボールに集中することが大事だ」と初めに言い切った言葉の結末にふさわしい交代だったと思います。センターフライを打たれた投手の1球の球威を見た監督の決断には他意はなかった。勝利を優先させたのではなく監督としてただ1球に集中していたのだと思います。

本質を言い当てて実行するような人は世間からはなかなか理解されませんね。それが落合です。そういえばこの方、名球会にも入ってらっしゃいませんねえ。爽快な孤独、落合博満氏。

治郎丸さんは野球少年だったそうですね。
王貞治のファンだったとどこかで書いてましたか?それはよかった、このおやじの正体をここではじめて明かしますが、わたくしは王貞治だったんです。これからは「王貞治からの手紙」ということでお願いいたします。

このおやじの世代は毎日寒くなって青洟(注青い色のはなみずで現代の人類からは分泌されない)が出るまで草野球をやってました。ガキの数も昔は多かったので2チーム18人なんてすぐに集まる。で、打席に入る前に必ずひとりひとり大声で叫ぶんですな。「1番セカンド、王」「2番ピッチャー、王」「4番サード、長島」そして、このおやじが「9番ライト、王」と叫べば、さすがに「てめーは黒江だろ、おやじ」なんてやじも飛んでましたかな。

そのころ堀内恒夫というピッチャーがいてこれも凄かった。150キロは超えているだろう速球に鋭く落ちるカーブ。当時はこれをドロップなんていってましたな。彼はこんなことを言って引退したんです。「ON(王長島)はきちんと書いてもらってないけど、俺はきちんと書いてもらったよ。」

何のことかというと伝記のことなんです。ONの伝記はうわべだけをなぞったものが多いけれど、俺はきちんとした作家に伝記を書いてもらって俺の人生を残せたぞ、というのです。ONと自分を並べてみせる堀内氏の強烈な自負心がうかがえるエピソードだと感心した覚えがあります。一度読んでみたいと思っていましたが、まだその伝記を手にしたことはありません。

怪物と呼ばれた江川卓氏の人生は伝記ではなく小説で読んでみたいなあと思っています。日本酒のCMで小林繁氏と江川氏が顔を合わせてますよね。ご覧になりましたか。CMでもおふたりの表情がとても硬く、うーむと考えさせられました。この辺りの経緯を書くとまたガラスの野球場になってしまうので止めときますね。

江川氏ほどスキャンダラスな半生を送ったスポーツ選手はいませんし、今後も現れることはないと思います。彼を巡るひとつひとつの事件の真相は問いません。が、その事件は彼が本物の怪物だったからこそ引き起こされたということだけは間違いありません。時代もONという怪物の後を襲う本物に飢えていた。

江川卓の最盛期は高校時代だったのではないかと今でも思っています。とにかく速い。何かで読んだのですがそれでもキャッチャーが捕球できるように加減して投げていたといいます。甲子園といえばチームワークだとか友情なのだが、江川卓はひとりで野球をやっていた。やっていたように思わせる、とても18才の少年とは思えない孤独感をにじませるマウンド。30年以上前のことですが、江川卓が敗れた甲子園は静かで、雨も落ちていたことをはっきり覚えています。

日本中を敵にまわしたことのある江川氏の人生がどんなものだったか、うーむとこれも考えさせられます。ただその孤独感はひとり図抜けた才能をもって生まれ、そして育った彼の幼少のころからずっと続いているようにおやじは思います。

そんな江川氏が共同馬主になった馬がレディゴシップ。ゴシップなんです。

今でもそうかもしれませんが、あの頃はプロスポーツ選手や芸能人の方が社台ファームの共同馬主になっておられました。ダイナという冠語のつく馬たちはことの他よく走って社台ファームの経営基盤を安定させました。ホームランキングのランディー・バース氏はダイナキングダムという馬の共同馬主。女優、南田洋子氏はダイナアクトレス。江川氏がゴシップと命名したのは、世間に対して少しすねてみせていたのかもしれません。

しかし、その名とはうらはらにゴシップは堅実に走りましたよ。月に1度は走ってたかなあ。そして賞金をいつもくわえて帰ってきた。タフな母系かもしれません。この一族から今回のマイルCSに2頭のエントリーがありました。コイウタとアグネスアーク。同一G1にひとつの母系が2頭の馬を送り込むといのは繁殖牝馬の数が増えた現代においては大変価値のあることですね。

袖ふれあうも多少の縁とはいいます。江川氏にとって人の縁も馬の縁も2007年は宿縁というものを感じさせた年だったのではないでしょうか。

アグネスアークには何かの印がいるんでしょうね。今年の天皇賞で外に弾き飛ばされても追い込んできた馬はやはり強い馬だと思っています。ただこの馬は体重を減らし続けているのが心配ですね。父の母系からも母からもタフな血を受け継いでいるのと、天皇賞のパドックは馬体を減らしながらもぎりぎりには映らなかったので、個人的には大丈夫だとは思っていますが・・・。

天皇賞で不利を受けた有力馬のなかで唯一最後の伸びを欠いていたのはDメジャーです。やはり彼の調子は下降曲線をたどっているのでしょうか。毎日王冠でもプラス体重とはいいながらおやじには馬体を戻しているようには見えませんでした。

カンパニーには今回厚い印が並びますね。天皇賞で思い切って○を打った馬なので個人的には買いにくくなりました。こういうとき印を打っても打たなくても外れるというのは競馬の不思議です。間隔を空けて使ったほうがよい馬だという意見がありましたが、おやじは晩成の器が完成したと思っています。天皇賞のパドックには既に一流馬の雰囲気を感じました。鞍上も一歩々々、父に近づいていると思いますよ。武騎手と安藤騎手をのぞいて、今おやじが積極的に買いたいと思っているのは福永騎手です。

メガワンダーは1発狙っているようなローテで参戦します。前走はいかにもひと叩きといった感じのレースで好感がもてました。レベルの高い世代の隠れた存在ですので侮れないと思っています。

スワンS組ではキングストレイルに魅力を感じます。人気を下げるのならば買ってみたい1頭です。

レディーゴシップの演出する2007年マイルCS、意外な結末が待っているかも知れません。

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◎アサヒライジング

Jiromaru

お手紙ありがとうございます。ウオッカは淡々と自らの道を歩んで行っているのですね。オークスを捨ててダービーを目指した角居師が「スカーレットにエリザベスで借りを返す」とは考えていない、というお考えにはナルホドと思わされました。そういう志の馬や人たちではないですよね。でもそのおかげで、古馬の女王を決めるエリザベス女王杯に相応しいメンバーが揃いました。ここにベッラレイアがいたら、なおさら華やかなレースとなったことでしょう。

そういえば、1週間お手紙のやり取りをしていないうちに、中日ドラゴンズが日本シリーズで日ハムを破って日本一に輝きましたね。最後は山井-岩瀬の継投で完全試合という劇的な幕切れでした。山井投手の完全試合を目前にした落合監督の采配に賛否両論が飛び交ったようですが、ルドルフおやじさんはどう思われました?野球少年だった私は、小さい頃からテレビの前に噛りつくようにしてプロ野球を観てきたわけですが、ああいう状況で投手を交代させたのは初めてだと思います。私は続投だと思っていたので、ピッチャー交代が告げられた時には少し驚きました。でも、その後に分かったのです。

あの日の山井投手のリズムと振れていない日ハム打線を考えると、あのまま投げさせた方が勝利の確率は高いことは落合監督も分かっていたはずです。ですから、「記録よりも勝利を取るのが監督の当然のミッション」というマスコミの意見には、大きな誤解が含まれていると思います。それでも代えたのは、山井投手の将来のことを考えてのことではないでしょうか。山井投手の肉体(肩)のことだけではなく、精神的な面も含めて、ここで完全試合をしてしまうことが山井投手ひいては中日ドラゴンズのために良くないと判断したのだと思います。

言葉ではうまく説明できないのですが、もし日本シリーズという大舞台で完全試合を達成してしまったら、その投手は精神的に燃え尽きてしまうのではないでしょうか。失礼な言い方になりますが、あの日の山井投手の投球は普段の実力ではなく、なにか神がかった極限の力を発揮していたように思えます。そういう形で大記録を達成してしまった、一本の線を越えてしまった投手のその後には何が起こるのか。落合監督はそのあたりを直感的に知っていたのではないでしょうか。

「宇宙からの帰還」(立花隆 著)の中に、月に降り立った宇宙飛行士のその後が書かれていました。アポロ11号でアームストロングに次いで人類2番目に月面にたどり着いたバズ・オルドリン氏は、その達成とともに人生の目標を失い、終には精神病院に入ったそうです。これは極端な例ですが、月面を描く画家になった人、普通の生活を送ることが出来なくなり離婚してしまった人、超能力研究者、宗教の伝道者、政治家など、極限の体験をした人たちには大きな内的変化が起こるようですね。

また競馬ではない方向に話が進んでしまいました。話を戻しましょう。

エリザベス女王杯の本命はミナガワマンナ、ではなく、◎アサヒライジングに打ちます。この夏を挟んで、ようやく立ち直ってきました。昨年のクラシックで頑張りすぎた影響だと思うのですが、今年の春は走る気持ちが失われていましたね。ヴィクトリアマイル(2着)までに少しずつ立て直してきて、良いタイミングで休養に入れたのだと思います。クイーンSはまだ太目残りでしたが、地力で押し切りました。府中牝馬Sは勝ち馬の切れ味に屈してしまいましたが、開幕2週目の馬場だけに仕方ないですね。外枠発走のロスもあった中、アドマイヤキッスやディアデラノビアの末脚を退けて、よく2着に粘ったと思います。

今回は軽いとはいえパンパンの馬場ではありませんし、アサヒライジング自身もペースを引っ張っていくでしょうから、切れ味勝負にはなりにくいはずです。京都の2200mは逃げ馬にとっては厳しいコースですが、私は逃げてしまっても構わないと思っています。下手に折り合って上がりの競馬にしてしまうよりも、自らのペースで4コーナーを回る競馬をするべきです。幸い今回は乗り慣れた柴田騎手に手綱が戻りましたし、主導権を握ると精密なラップを刻める騎手ですので安心して任せられますね。

そもそも、この馬がG1を勝っていないのが不思議です。桜花賞4着、オークス3着、アメリカンオークス2着、秋華賞2着、エリザベス女王杯4着と、自ら厳しいラップを刻みながらも、惜しいところで勝利を逃してきました。切れる脚がないので勝ち味に遅いのは分かりますが、体調も良く、古馬になって完成された今なら、逆に地脚の強さを生かして押し切ってしまう競馬が出来るはずです。この中間はビッシリと追い切りをこなし、この秋最高の仕上がりにあることは間違いありません。3歳馬に光が当たっているからこそ、強い古馬牝馬を狙う妙味も生まれますしね。こういう血統表にカタカナ馬名が並ぶ在来血統、しかも父、母の父ともにマイナー種牡馬という馬が活躍してくれると嬉しいですね。

対抗はというか、本来であれば本命に推すべきなのでしょうが、ウオッカには勝つためのお膳立てが整いました。休み明けをひと叩きして、調子はグンと上がってきています。ルドルフおやじさんのおしゃるように、秋華賞時はパドック写真を見ても少し薄く映りました。この中間のパドック写真をみると、筋肉が盛り上がってきていますね。私はスラっとした体、いや馬体が好みですので、4つ☆評価にしましたが、ウオッカはこういうゴツく見せる時の方が走っています。桜花賞は薄く見えましたが、ダービーはゴツかったです。

外々を回りがちな四位騎手も内枠を引いては、道中は好位でジッとしているしかないでしょう。折り合いの不安はまだ完全には解消されていないでしょうが、休み明け2戦目ということもあって、普通に出せば普通に走ってくれると私は思っています。アサヒライジングとダイワスカーレットがレースを引っ張るでしょうから、今度は脚を余すような流れにはならないはずです。この馬に初めて◎を打ったルドルフおやじさんも、大好きな私も安心して見ていられるのではないでしょうか。心配といえば、この前の手紙で書いた、ダービーを勝った後遺症を引きずっていないかどうかということです。ダービーという極限のレースを制した反動を振り切れるかどうかは、この馬の生命力に懸かっています。

ダイワスカーレットは非の打ち所のないとても強い馬ですが、前回の手紙で書いたとおり、前走で完全に仕上がっていたことによる反動を考慮して消します。もちろん、京都の2200mというコース・距離に対する適性の問題もあるでしょう。京都の2000mと2200mの間には、200mという距離以上に大きな差があります。内回りの2000mは高低差が3.1mであるのに対して、外回りの2200mは4.3mです。これは内回りコースが3コーナーにかけての坂を途中で曲がってしまう形になるためです。外回りコースは最後まで坂を登りきらなくてはならないので、200mの延長以上にスタミナが要求されることになります。ダイワスカーレットはこなせない馬ではありませんが、決して上向きではない体調のことを考えると、今回は苦しいレースになるのではないでしょうか。

スイープトウショウはマイルCSではなく、こちらに出てきました。今回で引退という話もありますが、最後までその強さを見せて欲しいですね。ハーツクライやタップダンスシチー、ゼンノロブロイを破った宝塚記念は圧巻でしたし、一昨年のエリザベス女王杯の末脚には鳥肌が立ちました。肉体面の強さだけ見ると、エアグルーヴやメジロドーベルに伍するものがあると思います。前走のパドックが案外良かったというルドルフおやじさんのお言葉には、スイープファンの皆さんも喜ばれるのでは。なかなか調教が上手く進まず、衰えも隠せませんが、それでも期待してしまうのは、この馬の持つ魔女としての魅力なのでしょうか。これだけ現役として走り続けた牝馬に、最後の声援と感謝を送ってあげたいと思います。

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ウオッカは淡々と自らの歩みを進めている

Rudolf

お手紙ありがとうございました。2強対決ムード一色に染められているエリザベス女王杯。体調さえよければこの2強は図抜けてますよね。ただウオッカに関しては春競馬の終わり方、スカーレットに関してはマイナス体重で走った反動が気になるというわけですね。

この辺りの判断はデリケートで本当にむずかしい。今年は春競馬の終わりの宝塚も秋緒戦の毎日王冠がともに激しい競馬だったので余計に考え込んでいるところです。オークスから直行したローズSで余裕ある仕上がりに見えたベッラレイア、おやじにはエリザベスまで大丈夫だな、と思えたのですが、秋華賞では気負いこんでしまってました。そして故障。案外春先のローテの狂いとオークスの激しい競馬がこたえていたのでしょうか。秋華賞3強のなかでこの馬こそ、将来を案ずべきなのかも知れません。

ウオッカの秋華賞のパドックは古いモノクロームの写真をみるようなぼんやりした印象を受けました。それに馬体も張ったところがなかったような気がしました。これはひと叩きして大きな変わり身が見込める馬体だと思います。気になったのはおやじの目には馬体が薄く映った点です。宝塚記念のダメージは本当に癒されたのでしょうか。調教とパドックは必見です。

角居師の言葉には慎重さがうかがえます。「ウオッカは能力の高い馬だから今はそのレベルを維持することに努めている」こういうニュアンスのコメントを秋華賞の前に読みました。春のコメントとは趣が少し違うかなあ。JCは使わずに慎重にやっていこうということでしょう。オークスを捨ててダービーを目指した角居師が「スカーレットにエリザベスで借りを返す」とは考えていないと思います。32回エリザベス女王杯からはウオッカの復讐物語は読めません。

ウオッカは淡々と自らの歩みを進めているようにおやじの目には映ります。体調はJCに挑戦しない程度のレベルを想像すればいいのかな。ただ治郎丸さんが手紙の最後で書いていたように、それでもウオッカがすごい馬だということは忘れないようにします。怖いのは淡々としたウオッカの歩みです。意外と気を張らずに騎手も乗れるんじゃないでしょうか。3番に入りましたね、馬の力を信じて先行策を採るでしょう。

スカーレットにとって、秋華賞との連覇のかかるエリザベスの勝利は大変価値のあるものとなりますね。この馬もおやじには秋華賞のパドックで薄く見えました。治郎丸さんのおっしゃるように馬体重もマイナスでの出走でした。デビュー以来最低の体重を記録したのですか。なるほど突然がくっときてもおかしくはありません。しかし、この馬の見方も実は難しいのではないかなとおやじは思っています。春はゴツゴツしてパワーを感じる印象でしたが、秋はいかにも切れそうな馬体に変化している。これを究極の仕上げととるか、馬が完成したととるか、うーむおやじにはわからない。

印象だけをだらだら書いてしまいましたが、京都2200Mの適性ではスカーレットはウオッカに1歩、2歩譲ることだけは間違いなさそうです。ウオッカがまずまずのコンディションならば両雄並び立たず、あれっ?牝馬だからなんというか、うーむ、いじわるした方が負けなのよ、ということになるかも知れません。

アサヒライジングは騎手が積極的に競馬をすればおもしろいと思います。昨年は厳しい競馬を強いられましたがよく粘った。地味ですが海外でも好走する実力の持ち主です。柴田騎手が乗るのかなあ、誠実な騎手で好感をもっていますが、スカーレットの出方をみてなんて考えないで、がんがん行ってほしい。底力のある血統なのできっと期待にこたえてくれるはずです。ライジングは美人じゃないからスケベ心は通用しませんよ。他の馬が音を上げるようなタフなペースをつくるといい。振り向くな振り向くな、という寺山修司の言葉におやじも励まされたことがありました。

スイープは調教がわりにスワンSを使いましたね。すでに6歳の秋ですので終わった馬と思われても仕方のないところですが、この馬の正体は魔女なので案外侮れないかも知れませんよ。ほら、おばあちゃんがサマンサです。「奥様は魔女」というコメディーのサマンサ。この馬券を買えるのも今回が最後かなあ。調教ができないと言われていたころの方がよく走っていた、という怖さがあるし、スワンSのパドックが案外よかった。魔女の馬券などめったに買えない、この馬を1着にした3連単を少々買いますよ、おやじは。

デアリングは最強世代の生き残りでさすがに強いところを今でも見せてくれています。彼女の母系にはニアークティックのクロスがあって今回の2200Mでは遠慮しておきます。ディアデラノビアは強いし怖い馬です。武騎手が乗るので馬券の上での妙味はないのでしょうが、コースも距離もいいと思います。これも最強世代の生き残りでね。ただこの馬の母系はこれから日本で発展していくはずの母系なので、この馬にG1勝ちを期待するよりも仔や孫に期待すべきだと思います。ああ最強世代なんて言葉も死語になるほど牝馬のレベルがあがっている。

「デ」のつく馬がもう一頭?、ディアチャンス。これも母系はいいですよ、エリザベス女王杯にゆかりのある血統です。この母系にかかっている種牡馬のラインアップは最高ですよ。この馬の仔や孫からG1ホースが出てもおかしくはありません。

デコルテは新最強世代で・・・あっ、最強世代って言葉やめましょうね、もう意味がない、これは父系のフォルティノに期待できます。母系もスティルインラブが出ている切れ者血統ですね。ウオッカの仕掛けは四位騎手の人柄を思うと必ず早くなるはずです。そのときものを言うのがデコルテの切れ味です。案外人気がないのですが、鞍上の腕と度胸とともに是非買ってみたいと思います。パンドラのタフネスよりこの馬の切れをとります。

うーむ、うーむ、治郎丸理論によって脳トレができました。馬券はトレないかもしれませんが結論を思い切っていきましょう!

◎ウオッカ    (この馬に◎をうってみたかった)
○アサヒライジング(ボアルセル最後の戦い、これを見ずして何をみる)
▲スカーレット  (とても強い、これを馬券の根拠として言ってみたかった)
△スイープ    (意外によかった前走のパドック、魔法は衰えない)
△デコルテ    (鞍上の度胸と馬の実力に妙味あり、来週もお願いね)

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ダイワスカーレットにとっては試練のレース

Jiromaru

お手紙ありがとうございます。エクリプスからボワルセル、ヒンドスタン、シンザンへとつながる大河の流れを、十分に堪能させていただきました。ルドルフおやじさんにかかると、難しい血統もまるで物語のように面白いなあ。

シンザンの父ヒンドスタンは、産駒が113もの重賞を勝ったように、日本で大成功した馬でしたね。この記録はサンデーサイレンスに次ぐ歴代2位です。ヒンドスタンはアイリッシュダービーを勝った後、種牡馬入りしたものの結果を残すことが出来ず、日本へシンジケートを組まれて輸入されました。

この時、おまけが付いてきたのをご存知ですか?ブッフラーという全く無名の種牡馬ですが、なんとヒンドスタンよりも先にダービー馬を出しちゃうんです。1960年のダービー馬、コダマです。母はあのシラオキですね。ブッフラーはコダマ以外には大物を出していませんので、母シラオキの繁殖能力によるところが大きかったのかなあ。

コダマもシンザンと同じ武田文吾調教師によって育てられました。「シンザンはナタの切れ味、コダマはカミソリの切れ味」と後に評されたように、シンザンが持続力に優れた馬だったのに対し、コダマは瞬発力を身上とする馬でした。お尻のもの凄く大きな馬だったそうです。その名前の親しみやすさもあったのか、超特急コダマの名は普段は競馬など見たこともない人たちの間まで浸透していき、競馬ブームが起こり始めたのはこの頃からだったとされています。コダマは人々の期待に応え、無敗でダービーを制し、「トキノミノルの再来」とまで言われました。

Kodama

そして、その4年後にシンザンが登場するのですね。シンザンの競走馬としての栄光は語るまでもありませんが、種牡馬としては意外に苦労した馬だったのですね。それでもミナガワマンナやミホシンザンなどたくさんの名馬を出しているのですから、偉大な名馬です。そうですか、ミナガワマンナはボワルセルの末裔なのですね。私も古い人間ですので、ぜひともミナガワマンナ、いやアサヒライジングを応援したいと思います。

私がかろうじてシンザンの栄華の残り火に触れたのは、マイシンザンという馬でした。ミホシンザンの産駒で、獅子のようなタテガミを揺らし、ワッサワッサと走る豪傑だったことを憶えています。私の中で最も印象に残っているのは皐月賞ですね。3コーナーから4コーナーにかけて、幻のダービー馬と呼ばれたガレオンと互いに斜行し、何度も何度も馬体をぶつけ合いました。まるで力士のぶつかり稽古のようでした。

おかげでマイシンザンは惨敗してしまうのですが、次走のNHK杯ではガレオンにきっちりと借りを返します。借りを返して燃え尽きてしまったのか、ダービーでは4番人気に推されたものの惨敗してしまいましたね。その後は屈腱炎との戦いでしたが、松永幹夫騎手がナリタブライアンの騎乗依頼を断ってマイシンザンに乗ったほどで、脚元さえ悪くなければG1のひとつやふたつは獲れた馬だったと思います。

話は戻りますが、マイシンザンとガレオンがぶつかり稽古をした皐月賞で、その争いのもっと後ろから光速の寄せをみせたのが武豊騎手のナリタタイシンでした。まるで届かない位置からの差し切りで、テレビがウイニングチケットばかりを映していたため、まるで画面の外から飛んできたような感じがしました。あの頃から、誰しもが武豊騎手をアイドルではなくトップジョッキーとして見るようになったのではないでしょうか。

そういえば、武豊騎手が3000勝を達成しましたね。「こんなにあっさりしてすいません」なんて余裕のコメントで、あくまでも通過点という気持ちが強いのでしょう。武豊騎手の最大の長所は「目」、だと田原成貴元ジョッキーが語っていました。視力が良いということではなく、レース中におけるポジショニングや、レースの流れを読む「目」が優れている。他の部分部分では武豊騎手に勝っている騎手は何人もいるのですが、この「目」という部分では他の人を大きく引き離してナンバーワン、世界にも十分通用すると。天皇賞秋の直線で不利を受けることもなく、メイショウサムソンをスムーズに勝利に導けたのは、この「目」によるところが大きいですね。

さて、エリザベス女王杯です。今年は3歳馬のレベルが高いので、秋華賞の再戦のムードが漂っています。秋華賞を楽勝したダイワスカーレットに、ダービー馬ウオッカが挑み、その間隙を虎視眈々と古馬勢が狙うといった図式でしょうか。

ダイワスカーレットは本当に強い馬ですね。前にも書きましたが、この馬の強さは素軽いスピードの持続力にあるので、少々上がりが掛かるぐらいの流れの方が合っていると私は思っています。ですので、スローでヨーイドンの瞬発力勝負になると分が悪いのですが、そういった流れになりそうな中でも常に勝ち続けてきているのは、鞍上の安藤勝己騎手のスパートのタイミングが絶妙だからでしょう。最後まで止まらないダイワスカーレットの能力を信頼して、勇気を持って早目から動いて行っていますね。兄ダイワメジャーにも乗って結果を出してきた経験も大きいと思います。

ダイワスカーレット自身、前走でも示したとおり、緩急のある流れにも対応できる馬です。エリザベス女王杯の流れに乗られるでしょうし、200mの距離延長も全く気にならないでしょう。京都の2200mコースはスタートから最初のコーナーまでの距離も長いので、無理することなくスッと先手が取れるはずです。道中はキッチリと折り合って、あとはペースに応じてどの時点から動けばいいかを判断するだけです。ウオッカに比べると、主導権を握れる、自らレースを作れるという点においては一日の長があります。こうして見ると、ほとんど非の打ち所のない馬ですね。

しかし、今回のエリザベス女王杯に限っては、ダイワスカーレットは負けると思っています。その理由は前走の秋華賞を-6kgの馬体重で勝った反動です。春と比べ体質が安定したということが大きいのでしょうが、しっかりと乗り込まれ、細く映るくらいビッシリと仕上げてきていました。この馬としては究極の仕上げにあったのでしょう。あれだけのレースが出来たのも頷ける気がします。しかし、秋華賞を勝ちに行った反動が、ここで噴出してしまうのではないでしょうか。

松田国調教師は、「ローズSの後より心身ともに回復が楽だった」と語っていましたが、にわかに信じることは出来ません。ダイワスカーレットぐらいの超一流馬になれば、どんな体調にあっても肉体的、精神的にもしっかりしているもので、普段の動きや調教から疲れが見えないこともよくあります。もちろん、ダイワスカーレットが全てを超越するだけの強さを身につけているのであれば、ここもあっさりと勝ちあがってしまうでしょう。ただ、私としては、ダイワスカーレットにとっては試練のレースとなると思います。

それに対して、前走よりも全てにおいて上向きで出走してくるのがウオッカです。ひと叩きされた効果は必ずありますし、距離延長も望むところでしょう。前走の秋華賞で折り合いに専念して、ゆっくり行かせたことも、今回のレースではプラスに出るはずです。これで逆転というパターンは、競馬の歴史で幾度となく繰り返されてきました。おそらく、今回はダイワスカーレットを逆転する可能性はかなり高いはずです。そのために陣営もジャパンカップを回避してまで臨んできていますし、ダイワスカーレットに勝つことがウオッカと四位騎手に課せられた至上命令です。今回は徹底的にダイワスカーレットを意識してマークしてくるはずです。

ただわずかに不安に感じるのは、秋華賞の手紙にも書いたとおり、ダービーを勝ったことによる疲れを引きずっていないかどうかということです。最近のダービー馬は、秋緒戦だけではなく、秋シーズン全体を通して、勝てそうで勝てないレースを続ける馬が多くいます。唯一巻き返したのは、菊花賞4着の後、ジャパンカップを制したジャングルポケットですが、あれは極めて珍しいパターンでしょう。叩いて秋2戦目ともなれば、肉体的には回復してきているのですが、精神面で疲れが残っていて最後まで伸び切れないのです。秋華賞では展開に恵まれなかったとはいえ、レインダンスを交わしきれなかったあたりに精神面での不安を感じます。

そういえば、秋華賞の4コーナーで写真を撮っていたPhotostudが、「ウオッカが4コーナーでマクって来た時の勢いは凄かった。あのディープインパクトほどではないけど、ちょっと衝撃的なスピードだった。さすがダービー馬だね。」と言っていましたよ。もしかすると、私の心配など杞憂に終わるかもしれませんね。

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ミナガワマンナは生きています。

Rudolf →ルドルフおやじってどんな人?

エリザベス女王杯はその名に相応しい良血馬の勝つレースですね。

お世辞にも良血と呼べないのはグリーングラスの娘リワードウィングと、キョウエイタップかなあ。ただウイングの勝利は種牡馬グリーングラスの名をG1の歴史に残したのと、Mサムソンの祖母アサクサスケールを2着に退けたという点でたいそう価値のある勝利だったと思います。勝ち時計も当時としては優秀でさわやかな印象がこの馬には残っています。キョウエイタップのことはどうしても思い出せない。たまにこんな馬もいますねえ。

ホクトベガを良血というかどうかは、血統を見る人によって意見が分かれるところでしょうね。レディージョセフィンの名を彼女の血統表の中で見た瞬間、おやじなんかは手を合わせて拝んでしまいます。この血を失ったというのはあまりにも悲しい。

リンデンリリーはどうか、クインナルビーの一族なんですね。オグリキャップに始まったこの血の復活はとても印象的だった。亡くなった岡潤一郎騎手がのってらっしゃいましたね。リンデンリリーからはヤマカツリリーが出て岡騎手の名を今でも思い出させてくれています。

最近のエリザベスを勝つ馬は本当に良血がそろってますね。人気馬では、メジロ菩薩の三代目ドーベルが2勝、エアグルーブの仔Aグルーブが2勝、穴馬ではSチトセオーの妹Sキャンドル、というように人気馬であろうが、穴馬であろうが良血馬が強い、そしてついに昨年はエルグランセニョールの母セックスアピールの孫が勝ちました。調教技術が向上して、良血馬にも強い調教が施されるようになったからなんでしょうね。ひと昔前は良血牝馬といえばまさに箱入り娘だった。悪い意味で可愛がられていた。

そういう点でいうとアサヒライジングってのはどうなのかなあ。決して良血ではない彼女が今年のエリザベスを勝つのは難しいのかもしれませんね。良血でもないし小町娘でもない、オカメじゃあないが人が寄ってくるタイプじゃあない。でも実に健気じゃあないか、堅実に走って父の名を広めている。まさに「家貧しゅうして孝子出ず」のたとえどおりですね。たぶん◎は打たないと思いますが、情にほだされますなあ。今回も掲示板は外さないでしょう。タフな流れを作り出すとおもしろいかも知れない。

おやじは彼女がなぜ強いか知っているんですよ。それは彼女がミナガワマンナだからなんです。ミナガワマンナを覚えていらっしゃいますか?シンザン晩年の傑作にして初のクラシックホース。ミナガワマンナが彼女の母父です。

シンザンは内国産種牡馬として大変苦労した馬です。シンザンが種牡馬になったころからナスルーラ系の種牡馬が台頭してきて、3冠馬のシンザンであっても決して繁殖牝馬に恵まれていたわけではありません。それでいてリーディングの上位に常にいて晩年にクラッシックホースまで出したシンザンはやはり偉大な種牡馬です。因みにシンザンの父系はヒンドスタン→ボワルセルとたどるセントシモン(セントサイモン)系でしたね。

Mrシービーやルドルフがシンザン以来の久々の3冠馬として脚光を浴びる直前だったと思いますが、本格派の対決と賞せられる戦いがありました。一方の雄はアンバーシャダイ。父はNテーストでしたね。日本の古い血統と決別して新時代を築こうとする社台牧場の決意を象徴するような血統と馬格の持ち主でした。一方はミナガワマンナ。父シンザン、母系はオートキツなどで有名なマンナ系、脈々と続く在来の血を受け継いでいます。いかにも鍛えられた血の結晶のような馬格の持ち主でした。

両馬とも先行して更に脚をのばしてゆく競馬を得意としていました。この底力みなぎる両馬の対決を「本格派の戦い」とファンは褒め讃えていたのです。両雄はアルゼンチン共和国杯などであいまみえましたが、ほぼ互角の勝負だったと思います。ただAシャダイは60キロを背負わされることもありました。

既に歴史の彼方に置き忘れられた感のある対決ですね。当時のファンの方でも思い出せない方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。しかし今思い返せば凄い血の対決でした。捨てられようとしている血が主流血脈に最後の戦いを挑んだのですから。

ヘロド(ルドルフの祖)、マッチェム(サニングデールの祖)そしてエクリプスを3大基礎種牡馬というのですか。1935年はネアルコとボワルセルの2頭の名馬を世に送り出して、3大基礎種牡馬のうちの1頭、エクリプスの血の優位を決定づけた年です。現在のサラブレッドの父系の98%以上はエクリプス系ではないかなあ、いやそれ以上か。

アンバーシャダイはネアルコの末裔、そしてミナガワマンナはボワルセルの末裔です。

ネアルコは14戦不敗の名馬にしてチャンピオンサイアー。イタリア生まれでしたね。ボワルセルは英ダービー馬。両国の誇りをかけて両者はパリ大賞典であいまみえ、ネアルコはボワルセルを3着に退けます。種牡馬としても両者は激しく競い合いました。ボワルセルは1度だけネアルコを退けてリーディングに輝いています。ネアルコはご存知のようにNダンサーやターントゥ、ナスルーラを介して現在の一大父系を築き上げていますね。

ボアルセルもミゴリやテヘランを送り出し、さらに快速馬ギャラントマンなどへ続いていく父系を築きました。しかし、ギャラントマンの種牡馬成績は期待外れに終わり、ボワルセルの血は急速にネアルコに圧倒されていきます。ただ日本だけは例外で、ボワルセルが送り出した、愛ダービー馬、ヒンドスタンの活躍に助けられ、その血は絶えることはありませんでした。

1935年に生まれ、競走馬としても種牡馬としても覇を競ったネアルコとボワルセル。半世紀後の1982年、ネアルコはアンバーシャダイと名のり世界の果てまで、まるで隠れ潜んでいたものを暴き出すかのように、ボワルセルを追いかけてきたんですね。ボワルセルはミナガワマンナと名のって久々のクラシック制覇の美酒に酔いしれていたところでした。ちょっと怖い話でしょ。これが血の争いなんです。寛容なんていうものはどこにもありません。アンバーとミナガワ、本当はどっちが強かったかって、このおやじにはアンバー優勢に見えたなあ。

1980年代の日本はネアルコ系の父親たちが他の父系を次から次に駆逐していった時代です。先日の菊花賞で掲示板にのった馬はすべてネアルコの末裔たちですね。若いころのおやじがアンバーシャダイとミナガワマンナの血の争いに気づいていたかって?当然ボーッとして見過ごしていたのでご安心をば。

ああ、9月11日、ミナガワマンナも死んじゃいましたねえ。でも、どうですか、何かの歌みたいに死んでなんかいません~と歌ってもいいじゃないですか。アサヒライジングの母系にミナガワマンナは生きてますよ。おやじはサラブレッドの母系に滅んだものの嘆き節を聞いているわけです。

さて今回のエリザベス女王杯、スカーレットの作り出すタフな流れにミナガワマンナ、失礼Aライジングはどんな抵抗をみせるのでしょうか。1935年に始まった戦いの本当の終末をしっかりと見届けたいと思います。

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◎ダイワメジャー

Jiromaru

我らがPOG馬である、サムワントゥラブとエイシンチーターが京都の3Rで仲良くツー、フォーフィニッシュ(2着4着)を決めましたね。詰めが甘いのはいかにも私らしいのですが、2頭が揃ってデビューできただけでも嬉しい限りです。これで香港も見えてきたかなぁ。

ルドルフおやじさんの「本格化馬恒常的好走伝説」、しかとお受けしました。本格化した一流馬に大崩れはない、どんな条件でも走り抜いてしまうということですね。まさにその通りだと思います。そして、タマモクロスを見つけてくるとはさすがですね。過去10年より前に歴史を遡ると、実はテイエムオペラオー以外にも宝塚記念→天皇賞秋を連勝した馬が1頭います。それがあの時、7連勝中とまさに本格化していたタマモクロスですね。しかも、宝塚記念から天皇賞秋はブッツケでしたから驚異的です。上がり馬が天まで昇って行った良い例だと思います。

しかし、それはまだ宝塚記念が6月の頭に行われていた時の話でもあります。宝塚記念は平成8年に開催日程が7月の頭に移行し、現在は6月の末で定着していますよね。開催時期が1ヶ月ほど後倒しになったことで、宝塚記念で激走した馬が秋の緒戦に完調で出てくることが難しくなったような気がします。そして、無理をして出てきたばかりに、その後のレースに支障をきたしてしまうというケースが多くなったのではないでしょうか。せっかく「宝塚激走馬秋下降曲線説」と命名していただきましたが、「宝塚記念激走馬秋調整困難説」とした方が分かり易いかもしれません。

宝塚記念で激走した疲れを秋シーズンまで引きずる馬がいることに私が気付いたのは、おそらくグラスワンダーが毎日王冠を辛勝した時だったと思います。宝塚記念でスペシャルウィークを力でねじ伏せて休養に入り、秋緒戦の毎日王冠を勝つには勝ったのですが、そのレース内容はとてもグラスワンダーらしくないものでした。その後、グラスワンダーは左肩のハ行を起こしてしまい、ジャパンカップを回避しました。疲れが癒えた有馬記念では、再びグラスワンダーらしい走りを見せてくれましたが、毎日王冠時の精彩を欠いた走りは今でも忘れられません。

思い返してみると、マヤノトップガンは秋緒戦である産経オールカマーでアッと驚く凡走をしました。もちろん、春シーズンを天皇賞春で早めに切り上げたサクラローレルとは仕上がりの違いもあったのでしょうが、牝馬2頭にも遅れを取ったことは、単なる休み明けということだけではない、明らかな体調不良が感じられました。その次の天皇賞秋では、一度使ったこともあってか、少し立ち直っていました。私は2000mという距離であったことが、逆にマヤノトップガンには刺激になっての好走だったとも思います。その後の、有馬記念ではまたらしくない凡走をしてしまいました。精神的にも疲れがあって、気力がないような走りに私の目には映りました。

ルドルフおやじさんは、ディープインパクトの凱旋門賞の遠因として、宝塚記念に出走して勝ったことを挙げられていますよね。私もそれはあると思います。そして、これはあまり大きな声では言えないのですが、もしかしたらサイレンススズカが天皇賞秋を最後まで走りきれなかった遠因として、宝塚記念を勝ったにもかかわらず、秋緒戦の毎日王冠でもあれだけの走りをしてしまったことにあるのではと考えてしまうことがあります。橋田調教師に言わせると、サイレンススズカの毎日王冠はかなりの急仕上げだったそうです。エルコンドルパサーやグラスワンダーが出るということで、レースを盛り上げるために、少し無理をして出走させたのですね。そういえば、もうすぐサイレンススズカの10回目の命日ですね。

私も偉そうに書いていますが、競馬がひとつの切り口でスパッとやれるとはこれっぽっちも思っていませんよ。白か黒か分からないグレーの霧の中で、いつも彷徨うのが競馬だと思っています。ひとつの切り口の裏には、全く別の切り口が隠されていることが多いですよね。たとえば今回、「宝塚記念激走馬秋調整困難説」の裏には「本格化馬恒常的好走伝説」がありました。そして、実はこのどちらの説も正しいのだと思います。アドマイヤムーンは、シーズンオフに近い宝塚記念で激走した疲れが完全には回復していないでしょう。それでも本格化した今ならば、圧倒的な能力の高さで他馬を差し切ってしまうかもしれません。私たちが頭で考えるよりも、現実はもっと複雑で豊かなのだと思います。

しかし、そんな不確実な状況でも、白か黒かを選ばなければならないのが競馬です。せっかく挑まれた勝負ですから、私も受けて立ちましょう!宝塚記念で激走したメイショウサムソンとアドマイヤムーンの2頭は思い切って消しますよ。どんな結果が出ても恨みっこなしで。

本命は◎ダイワメジャーに打ちます。宝塚記念での惨敗は、ドバイ遠征→安田記念快勝という疲れ(反動)がガタっと出てしまったもので、6歳馬という年齢を考えても仕方ない結果だったと思います。出張馬房が騒がしかったという外的要因もあったようですね。「宝塚記念激走馬秋調整困難説」から逆に言えば、あそこでほとんど走っていないからこそ、順調に毎日王冠をステップとすることが出来たということです。その毎日王冠は極端なハイペースを前々で追走し、59kgを背負って最後までよく粘り通していました。最終追い切りの時計が遅いことが心配されていますが、ダイナミックな動きを見る限り、全く心配はありません。願ってもみない外枠を引き当てましたので、レースの流れにスムーズに乗っていけるはずですし、渋った馬場で他馬の切れ味が削がれることも、この馬にとって有利です。

もちろん、サラブレッドにも人間にも必ず衰えがあります。サラブレッドの場合、特に精神面から衰えていきます。最後まで頑張り通せなくなってしまうのです。ノド鳴りでほとんど走っていなかった間はあったとしても、この馬は3歳の頃から一戦級で活躍し続けている馬ですので、ピークであった昨年の勢いをどこまで維持し続けることができるのかという心配は当然あると思います。そのピークは半年とも1年とも1年半とも言われます。しかし、ルドルフおやじさん風に言うと、これはとてもデリケートな問題です。馬には個体差がありますので、全ての馬が半年とか1年とか1年半で力が落ちるとは限りません。私が精神的な疲労を心配したその裏には、もしかしたらダイワメジャーは常識の壁を超えていくのではという期待もあるということですね。今年47歳にしてまだまだ勢いを失わない安藤勝己騎手がこの馬に乗るというところも、また面白いところです。


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「本格化馬恒常的好走伝説」ムーンで勝負

Rudolf

お返事ありがとうございます。
宝塚を目一杯走った馬は、秋、不調に陥ることがあるというお話ですね。

馬券を買う立場のおやじでもこういうことがある。春バンバン当てたのに秋はサッパリ。春の快走馬のイメージに引きずられて、秋も同じ馬を買い続けていたのですな。一度の成功体験にのっかかってしまうのがそもそもの失敗の始まりだな。

治郎丸さんが例に挙げたスイープトウショウはずばりこの例に当てはまるんじゃあないかなあ。宝塚で凄い切れを見せた年の秋、後肢が流れるようなパドックの歩様でした。それでもそこそこの成績を残すのだからこの馬は強い。

他の例はどうか。少し違和感を覚えるものもありましたので、敢えて書かせてもらいます。G1で何度も好戦するというのは超のつく一流馬の証です。ハヤヒデやワンダーは超がつきますね。その他の馬はどうですか。必ずしも超のつく実力馬ではない彼らの敗因を能力に求めるのか、体調に求めるのかは実にデリケートな問題です。トップガンは天皇賞(秋)でバブルガムに半馬身差で退けられています。しかしバブルガムの東京2000Mの適正の高さを考えるとこれは好戦だったといえるのではないでしょうか。トップガンは秋の緒戦、調子は良かった? おやじはドトウには超一流馬のイメージをついにもつことはできませんでした。彼が入着を繰り返した秋の戦いをどう見るかも案外難しいことではないでしょうか。

昨年の春、ディープが目を見張らせるような天皇賞の勝ち方をしました。おやじはあの後宝塚を使ってはほしくなかった。ディープといえども最高のパフォーマンスを見せた後ですからねえ。凱旋門の敗戦の遠因のひとつはここにもあったかなあと思っているんです。

じゃあ、今回の3強と言われる馬をどうみるんだという話ですよね。

Aムーンは今年の2月の京都記念で化けましたね。それまではいかにも切れそうな繊細な馬体をしていました。昔から言われているパドックの格言に、巨体馬は小さく、小さな馬は大きく見せているときが買いだ、というのがありますね。Aムーンは決してちびっ子ではありませんが、このときは裕に500キロ以上はあろうかというくらいに大きく馬体を見せてました。

武騎手がドバイでAムーンに先行策を指示したのは馬が完成したからですね。タフなレースをしても今のムーンならば、とムーンの力に賭けたわけです。ムーンも見事期待にこたえてくれました。そして香港で3着、宝塚で1着。海外であのようなレースが出来るというのはすばらしい強さです。こういうように本格化した一流馬に大崩れはないんだと思っています。タマモクロスがそうだったような気がします。春馬体を減らし続けて宝塚記念を勝って休養に入った彼は、天皇賞(秋)でオグリを叩いています。ただ気になるのはムーンが香港Cを強行軍で使ったことですね。余計な一戦だった可能性は捨て切れません。

サムソンはどうか?この馬の売りはその名の通りの怪力と狂ったような悍性ですね。こういう馬は多少調子が悪くとも、たとえば昨年の菊花賞のように頑張ってくれるもんだと思っています。これは治郎丸さんのお返事にある通りです。サムソンが、「こんなのやってられっかー、てめーらのために生きてんじゃねえんだぞ、おりゃあ帰って酒くらって寝るわ」という気分のときにはパドックできちんと教えてくれるはずです。きっとふてくされているはずです。サムソンてえのはそういう馬ですから、負けるときは4、5着に負けるんじゃなくて惨敗になるんでしょうね。今回、武騎手は番手を外して後ろからDメジャーに迫るかもしれませんよ。先行馬のイメージが定着してますが、1ハロンの切れなら、きさらぎ賞のゴール前で見せたように一流のものをもっています。母系にはフォルティノが入ってますからね。武騎手がどんな作戦をとるか、興味は尽きません。

前回の手紙で少し触れたようにDメジャーに関してはおやじも一抹の不安を抱いています。体調不良明けの激走、パドックを見てもこの馬にしては薄く映りました。一方で妹の秋華賞でのパドックも同様に薄く見えた。ありゃりゃあ、おやじの目は当てにならんがやはり心配ですなあ。しかし前走は本当に強い競馬をしました。クリムゾンサタンに支えられた母系の底力は簡単に萎えるものではありません。6歳の秋を迎えた今ならマイルより2000Mの方が競馬がしやすいかもしれません。昨秋のピークの次にもう1つのピークが聳え立っているかもしれません。なんとも怖いタフな血統です。これは「辞めてやらあ、辞表はここおいとくぞ」と言ったときでも掲示板は確保して、にやっと笑うタイプです。うらやましい!

じゃあ、おまえは何が言いたいのかって話ですよね。

ひとつの切り口でスパッとやるのはあまりにも惜しいレースが今回の天皇賞じゃないか、というお話でした。というわけで、治郎丸さんの「宝塚激走馬秋下降曲線説」に対して「本格化馬恒常的好走伝説」という切り口で◎をムーンにしておいて、久々に治郎丸さんと勝負だ。楽しいねえ。

体調に不安のないのは、待ってました、4番サード長嶋茂雄。チョウサンですね。この馬のローテはいかにこの馬が大切に使われているかを物語っています。毎日王冠を勝ったのは決してフロックでないのは、陣営のコメントの通りです。確かに前走は先行馬には厳しい流れでした。しかしこの馬は後ろで遊んでゴール前のおいしいところだけつまみ食いしたわけではない。レースの流れにのってきちんと追走してました。そもそもDメジャーを差しきるというのは並みの力じゃない。2走前にマイルのレースを使ったことで天才は目覚めたか。それに7代前はラフショッドとは驚きですよ。ラフショッドの娘の名牝ソングには直接つながらないがソングの一族には違いありません。なるほどあのハイペースを差し切るほどの底力だ。人気の高い牝系で何頭か繁殖牝馬が輸入されてきたが、チョウサンの一族からは目ぼしい馬は出てませんよ。待ってました、4番サード長島、というわけだ。こういう牝系からはいつかでるんですよ、長島クラスの大物が。見事にパワーとスピードの調和のとれた馬です。まさに長島茂雄。天覧試合といえば長島のホームランです。

ところが今年は天皇陛下の行幸はない。そこで登場するのが我友カンパニー。何でおやじのおともだちが出てくる。まあいいじゃあないですか、クラフティーワイフのパワーと晩成の血を受け継いでいるんですから。これもパワーとスピードの調和のとれたすばらしい馬なんです。関屋記念の勝ちっぷりは尋常ならざるものです。次に重い印を打つなら今回打っておくのが馬券のセンスというものですが、ナンセンスといわれるかもしれませんね。それでも○です。

シャドウゲイトは有馬記念にでるのなら印を用意しておこうと思える強い馬です。有馬記念まで爪を隠しておいてほしいものですが、今回も×を打っておいて、年末嫁さんに、おやじは天皇賞から印をうってるんだぞ、とさんざん自慢してやりたいと思っています。忘れられた名牝、グローバルダイナの出る母系。いつか必ず大仕事をやってくれるはずです。

また長話になってしまいましたね。まとめます。
ムーンとカンパニーの馬連とワイドで勝負です。

◎アドマイヤムーン「本格化馬恒常的好走伝説」
○カンパニー(遅れてきたおともだち)
△チョウサン(隠れた良血)
△怪力サムソン(狂おしい悍性)
△ダイワメジャー(真紅のスピード、クリムゾンサタン)
×シャドウゲイト(待ってろ、嫁さん?)
重馬場でも晴れでも印は変わりません。晴雨不問が名馬の条件です。

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メイショウサムソンは良馬場でこそ

Jiromaru

先日の手紙の続きになります。

ダイワメジャーの不安点は、これはよく挙げられていることですが、精神的な疲労です。サラブレッドの精神的なピークが続くのは、およそ1シーズン、長くて2シーズンだと私は思っています。G1レースのような激しいレースを連戦すると、サラブレッドは肉体的にだけではなく精神的にも消耗します。サラブレッドが走らなくなってしまう原因は、肉体的なものよりも、精神的なものが大きいですね。いわゆる“燃え尽き”ということです。燃え尽きてしまった馬の特徴として、ゴール前での踏ん張りが利かなくなります。レースで最も苦しい最後の叩き合いでは、他馬に抜かれまいとする気持ちが何よりも大切になります。燃え尽きて、気持ちが萎えてしまっている馬は、あっさりと負けてしまいます。肉体的には走られるので好走はするのですが、最後の詰めのところで、体ひとつふたつ前に出ることが出来なくなるからです。

昨年の秋シーズンのダイワメジャーには鬼気迫る強さがありました。ルドルフおやじさんと同じ意見で、もしジャパンカップに出走していたらディープインパクトを最後まで苦しめたはずだと思っています。距離が長かった有馬記念でも3着と走っていますし、まさにこの馬にとってのピークのシーズンでした。そして、今年の春も立派な走りを見せてくれましたね。ドバイではアドマイヤムーンに負けてしまいましたが、3着の成績は立派だと思いますし、安田記念は楽勝でした。長い目で見ると、3歳の皐月賞をも勝っているのですから、本当に素晴らしい馬です。けれども、生涯最高の出来であった昨年以上の走りが、また出来るかというと疑問です。精神的な燃え尽きが、最後の最後でダイワメジャーの脚色を鈍らせるような気がします。

3強の中では、これといった不安点がないのがメイショウサムソンです。この夏は、凱旋門賞への挑戦プランもあって、放牧に出されず厩舎で過ごしました。宝塚記念の疲れも癒えて、さほど馬体を緩めることなく調教を続けてきました。馬インフルエンザに罹ったとはいえ、幸いにしてほとんど調教を休ませていませんし、調整の狂いという点では全くといってよいほど心配はないでしょう。この秋は3戦(天皇賞、ジャパンカップ、有馬記念)する以上、今年の春シーズンのことを考えても4戦はしたくないはずで、この天皇賞秋から始動するのが妥当だと思います。気持ちで走る馬なので、休み明けもほとんど問題ないですし、むしろゆったりと余裕を持って調整してこられたのではないでしょうか。

ひとつだけこの馬の不安点を挙げるとすれば、道悪になることです。この週末は雨が降る可能性があるとされていますので、もし道悪になった場合、この馬にとっては厳しいレースとなるでしょう。これは結構誤解されていることですが、メイショウサムソンは決して道悪が得意な馬ではありません。力の要る荒れ馬場は得意ですが、どちらかというと道悪は苦手な部類に入るのではないでしょうか。

私も意外に思ったので覚えているのですが、確かきさらぎ賞の時、石橋騎手が「こういう馬場は苦手なので、良いところを選んで走らせた」と語っていました。能力の高い馬なので、多少の渋った馬場ならばこなしてしまいますが、道悪までなってしまうとどうでしょうか。宝塚記念は、早く動いたこともありますが、道悪だったことも大きな敗因だったと思います。メイショウサムソン陣営としては、是非とも良馬場でやりたいはずです。事前に予想をするだけに、当日の馬場を把握することはなかなか困難ですが、雨が降って道悪になるようであればメイショウサムソンも苦しいのではないでしょうか。

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3強はかなりアヤシイ

Jiromaru

菊花賞は残念な結果になってしまいましたね。ロックドゥカンブの力を買っていた私は、悔しくて悔しくて久しぶりにふて寝をしてしまいましたよ。

競馬を始めた頃は、馬券が外れると悔しくてよくふて寝をしたものです。馬券を当てたいという見栄ばかりで、なかなか当たらない現実とのギャップにいらだっていたのかもしれません。今から思い返しても恥ずかしいのですが、当たったら当たったで○戦○勝!とか回収率○○%!とか言いふらして、自慢ばかりしていました。自分の都合の良いところだけを取り出していただけなんですけどね。その頃は1点予想で外してばかりいた井崎修五郎先生をバカにしていましたが、今となっては先生の偉大さがよく分かります。自分の負けを認めることができるか、外れてもガッハッハと笑い飛ばせるかどうか、そして自己批判できるかどうかを、競馬は私たちに問うているのですね。反省。

シンボリルドルフは負けられない馬だったのですね。私はまだ小学生ぐらいでしたので、ルドルフの凄さを生で観たことはありませんが、その当時の競馬ファンの熱気とパニックがお手紙からも伝わってきました。期待を一身に背負って走った天皇賞秋でギャロップダイナにまさかの敗北、「あっと驚くギャロップダイナ!」ですよね。東京競馬場はもちろんのこと、大阪球場横の場外も、静寂に包まれたのですか。あのレースの後、ルドルフは馬房に戻り、瞳から涙を流したといいます。よほど悔しかったのでしょう。私たちだけではなく、サラブレッドも負けたら悔しいのですよね。

私にとっても、シンボリルドルフはえも言われぬ魅力を持った馬であることは確かです。それは何よりも、私が尊敬してやまない故野平祐二調教師が管理されていた馬ということ。そして、父パーソロン、母の父スピードシンボリという血統。最後にトウカイテイオーの父であるということが理由だと思います。

パーソロンはシンボリルドルフの父として有名ですが、今は亡きシンボリ牧場の故和田共弘オーナーの名を不動のものにした名種牡馬でもあります。実はパーソロンが故和田共弘オーナーによって日本に輸入された当初は、短距離血統と決め付けられて、あまり注目される存在ではありませんでした。しかし、産駒のメジロアサマが天皇賞を制したのをきっかけとして、カネヒムロから4年連続でオークス馬を輩出し、サクラショウリでダービーをも制覇しました。故和田共弘オーナーのパーソロンに対する思い入れはもうハンパではなく、麻雀をする時でさえ“パーソロンルール”というのがあったそうです。どんな形であれ八索(パーソー)で上がれば、一翻高くなるパーソ・ロンということですね。

ルドルフの母スイートルナの父スピードシンボリは、“祐ちゃん”こと故野平祐二調教師が最も愛した運命の馬です。野平調教師がジョッキーだった時、アメリカ、イギリス、フランスを共に戦って回った、海外に挑んだパイオニアの1頭でもあります。今の日本競馬があるのも、こういう人や馬がいたからこそだと私は思っています。スピードシンボリは、線が細く、迫力のない、どこから見ても強さを感じさせない馬でしたが、とにかく我慢の馬だったそうです。直線に向いてもうダメかと思わせたところから、もうひと踏ん張りふた踏ん張りをするのです。

気性の激しいシンボリルドルフがあれだけの名馬になれたのは、このスピードシンボリの精神力の強さが遺伝したからだと私は密かに思っています。また、彼らがヨーロッパ遠征から貨物機に乗って一緒に帰った話は有名ですよね。故野平祐二調教師は、「結局騎手としては牡馬三冠を勝てなかったけど、スピードシンボリに乗れたことだけでも幸せだよ」という素敵な言葉を残しています。

Sinborirudolf

シンボリルドルフは馬体重の増減が大きかった馬ですが、天皇賞春を-12kgの馬体重で圧勝した反動で、宝塚記念は出走を取り消しました。この取り消しを巡って、故和田共弘オーナーと故野平祐二調教師の間に確執が生まれました。見た目には問題ないルドルフを故和田共弘オーナーはどうしても宝塚記念に出走させようとしましたが、ルドルフの体調に明らかな異常が発生し、休養を必要としていることを見抜いた故野平祐二調教師は、断固として首を縦に振りませんでした。その後の天皇賞秋の負け方を見ても、私は故野平祐二調教師の考えが正しかったと考えているのですが、どうでしょうか。

さて、今年の天皇賞秋には負けられない十字架を背負った馬はいませんね。でも、負けたくない馬はたくさん揃いました。ダーレーに40億円で買い取られたアドマイヤムーンは、さすがに休み明けとはいえ、引退して種牡馬入りするまでの残された戦いは負けたくないはずです。凱旋門賞への挑戦の道を不運にも絶たれたメイショウサムソンも、日本国内のレースでは負けたくないはずです。妹のダイワスカーレットが2冠馬となり、自身の天皇賞秋連覇もかかるダイワメジャーも負けたくないはずです。そして、この負けたくない馬たちの背に跨る3人のジョッキーも、互いのプライドにかけて負けたくないはずです。負けたくない馬や人がたくさんいるレースは本当に面白いですね。

しかし、今回の天皇賞秋に限っては、この3強はかなりアヤシイと私は思っています。

というのも、まずアドマイヤムーンについては、今回のレースに果たして万全の体調で臨めるのかという不安があります。「天皇賞秋を当てるために知っておくべき3つのこと」でも触れていますが、宝塚記念を制した馬が同一年に天皇賞秋も勝つことは至難の業です。理由としては、求められる資質が異なるということと、宝塚記念でピークを迎えた馬がわずか4ヶ月で再び完調に戻すのは難しいということです。唯一、宝塚記念→天皇賞秋を連勝したのはテイエムオペラオーですが、私は天皇賞秋で雨が降って馬場が重くなったことに助けられたと思っています。

アドマイヤムーンは札幌記念や宝塚記念を勝っているように、どちらかというとパワーが勝っていて、多少なりとも重い馬場を得意とするタイプです。おそらくドバイもそういう馬場だったのでしょう。だからといって、軽くて瞬発力の生きる馬場が全くダメだとは私も思いません。母父はサンデーですし、これぐらいのレベルに達してしまったエンドスイープ産駒はどんな馬場でも切れ味を発揮します。ということで、この馬に資質うんぬんを言うのは失礼な気がします。

私が不安に思うのは、アドマイヤムーンの体調の方です。春シーズンをドバイ→香港と連戦していた関係で、宝塚記念にどのような体調で出走してくるのか分からない部分がありましたが、あの勝ち方を見る限りは、ピークの出来で宝塚記念に出走してきたことは間違いないでしょう。100%の仕上がりで、持てる力を最後の1滴まで使い果たした勝ち方でした。おそらく、レース後には、肉体的にも精神的にもかなりの疲れが出たことでしょう。

私の覚えている限りで、かつてビワハヤヒデ、マヤノトップガン、グラスワンダー、メイショウドトウ、ヒシミラクル、タップダンスシチー、スイープトウショウという数々の名馬たちが、宝塚記念で力を出し尽くして、秋シーズンを不調に過ごしました。しかも恐ろしいのは、これらの馬たちは調教では普段と変わりない動きを見せていたことです。超一流馬は体調が悪くても調教は動いてしまうので、見た目では好不調の判断が難しいのですよね。いざ走ってみたら凡走してしまったということです。果たしてアドマイヤムーンはどこまで回復して出走してくるのでしょうか。

長くなりましたので、メイショウサムソンとダイワメジャーの不安点については、次の手紙に書かせてください。

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アドマイヤムーンは王道を歩めるか

Rudolf

負けられない戦いがここにある、おっぱっぴーである。

最近テレビのスポーツ中継を観戦していて一番鼻につくのがこの言葉なんですな。ついこの前まで、試合を楽しんでくださいと選手にお願いしてたのにね。そして背水の陣をしいた割にはコロコロ負ける、ざんねえーえんである。どんな素敵な言葉でもマスメディアにのったとたん消費され尽くされてしまう、おっぱっぴー。

天皇賞(秋)といえばシンボリルドルフを思い出します。負けたことのない奇跡的に強い馬は確かに何頭かいますが、彼は、ただ一頭の負けられない馬じゃなかったかなと思っているんです。

天皇賞(秋)が2000Mに短縮されて2回目にシンボリは登場します。この年の春、天皇賞をマイナス馬体で圧勝したシンボリは体調を崩して宝塚記念をパスしています。半年振りの天皇賞、今なら治郎丸理論の餌食となるところであったが、幸いにしてこの時、治郎丸氏はこの世に生を受けていませんでしたね。(未確認)

シンボリほど大外枠を引き当てた馬も他にいないだろう。当時は単枠指定といって、競馬会が人気を予想して人気馬を予めシードしていました。シードされた馬は8分の1で大外を引く不運にさらされます。この時も案の定といおうか、またもといおうかシンボリは大外を引き当てた。単勝1.4倍。

ご存知のように以前の東京2000Mの大外はスタートしてすぐにカーブの待ち受ける、人気馬の鬼門でした。鞍上の名手は絶妙なスタートをきり鬼門を通過する。シンボリが種牡馬として大成しなかったのは気位の高さと気性の激しさを仔に伝えたせいだと聞きます。それまでのレースでは素直に名手の指示に従ってきたルドルフでしたが、鬼門を通過し終えるころから名手の手をはなれ、2、3番人気の馬たちとやり合おうとする。ニシノライデンやウィンザーノット、それからスズマッハもいたか。

この頃の競馬界は一種異様なパニックに陥っていたのではないかと思います。それはジャパンカップで海外にレースを開放したからなんです。なんとか己の身を守りたいのだがその方法がわからない。自信もない。こういうとき己のプライドだけは肥え太り、虚勢をはる。第1回JCでは日の丸特攻隊と称して短距離馬のサクラシンゲキが無謀な大逃げをうったが他の日本馬とともに完敗。肥満気味のプライドはすぐに傷つきます。

その3年後、今まで見たこともないような立派な馬体の三冠馬が登場して、シンボリならばとヒステリックにJC制覇を期待しました。ああもちろんおやじもその一人でした。カツラギエースが快挙を成し遂げてはいたのですが。

かくしてシンボリは負けられない馬とあい奉られた。JCを制覇するまでは日本馬には負けられないのです。テンポイントに寄せられる期待とは明らかに異なる期待がシンボリに寄せられていました。

4角過ぎ、名手の手をはなれたシンボリは早々と人気薄の逃げ馬に襲い掛かる。今はない大阪球場横の場外におやじはいたのだが、日本一うるさい場所だと思っていたその場外は鎮まりかえっている。おやじだって東京の直線の長いことは心得ていました。

それでもシンボリの怒りは収まらない。もう何秒も独走を続けている、これはまるで必ず破綻の訪れる悪夢じゃないか。沈黙が喚声に変わる、ゴールが目の前に迫りひょっとするとこれで悪夢から開放されるのだと思えた刹那、ギャロップの鋭い影が馬群の最後方から伸びてきて、破綻の待ち構える悪夢は永遠に続くこととなりました。多くの人の、決して良くはない夢の中でシンボリは今も東京の直線を独走しているのではないでしょうか、ゴール前で湧き上がった悲鳴に包まれながら。

JCで凱旋門賞馬、モンジュを心から応援する方のいらっしゃる今から思えば、滑稽な話に思えるかもしれませんが、JC黎明期の雰囲気ってこんな感じだったかなあと思い出しています。まさにニッポン、ニッポンの雰囲気のなかをシンボリは走っていたような気がします。負けられない馬を必要とする時代は危い時代です。もしシンボリがいなければどうなっていたか、途方もない無秩序が続いていたにちがいありません。しかし負けられない馬はシンボリルドルフ1頭でもうたくさんなのです。

第135回天皇賞、ここには負けられない戦いはありません。なんと幸福なレースでしょうか。我々は人馬の全力を尽くす様を想像し、勝ち馬のことを考え、そしてレースを堪能すればよいのです。

テーマは「アドマイヤムーンは王道を歩めるか」につきるでしょう、と決め込みました。
武騎手がムーンに乗るならば微塵も逡巡せずに先行馬群を(競輪用語でいう)大名マークしてゴール前で突き放す競馬をするはずです。

挑戦者は怪力サムソン、前走宝塚ではムーン以上の強いレースをしていますね。なんて言ったら釈迦に説法ですな。真紅のスピード、Dメジャーの毎日王冠はどうみまた。おやじは途轍もなく強いレースをしたもんだという印象をもっています。問題は体調を崩した休養明けの激走が今回どう影響するかですね。最近のおやじは治郎丸さんの教えをよく守る優等生だ。

おやじはカンパニーにも注目しています。大外一気の前走は近年のレースのなかでもインパクトの強いレースだったのではないでしょうか。休養明けの一戦でしたがその後また2ヶ月間隔をあけられて反動はないのではないかと思います。

最後は4番サード、チョウサン。待ってました。7代前がラフショッドとは驚きですね。そこからソング、スペシャル、フェアリーブリッジと続くこの血統の本流にチョウサンはいないのですが、フロックだと高をくくっているとまた痛い目に遭う。G1馬は3頭、しかしG1レベルの馬は5頭いるとおやじは見ています。あら?他にもいますか。

間違いなく天皇賞の名に相応しいすばらしいレースが繰り広げられるはずです。

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◎ロックドゥカンブ

Jiromaru

ロックドゥカンブは江夏豊級ですか。江夏豊と言えば、1971年オールスターでの9連続三振や日本シリーズで9回裏、無死満塁のピンチにスクイズを見抜いた江夏の21球が有名ですよね。実は私が物心ついた頃、江夏豊はもう晩年で、日ハムで抑えの切り札として活躍していました。ですから、その凄さを生では観ていないのですよね。

私にとっての怪物ピッチャーといえば江川卓です。江川卓もオールスターゲームで8連続三振まで達成したのですが、最後の最後に近鉄の大石大二郎選手に当てられてしまったのですよ。あの時、野球少年だった私は、テレビの前で正座しながらドキドキして観ていた記憶があります。松坂や上原がスゴイとは言っても、まだまだ江夏豊や江川卓級の凄みはないなぁ。

あっ、ここは「ガラスの野球場」ではありませんでしたね。競馬、そう、菊花賞の話をしましょう。

Roc_2ロック・ドゥ・カンブとはフランスのワインの銘柄が由来だそうですね。蒸留酒によって失われた希望を取り戻すのは、醸造酒のなせる業かもしれませんと読者の方が教えてくれました。それから、私のワイン好きの友人も、なぜか急に思い立って恵比寿までロック・ドゥ・カンブを買いに行ったそうです。中身は飲んじゃうけど、エチケット(ラベル)はプレゼントしてあげると言ってくれました。

だからということではありませんが、本命は◎ロックドゥカンブに打ちます。ラジオNIKKEI賞の勝ち方を見た時に、もし菊花賞に出てくれば勝てるのではないかと思いました。なぜなら、ラジオNIKKEI賞というのは、福島競馬場の小回りコースで行われるため、全体的に緩みのない厳しいラップが刻まれやすいレースだからです。また、その時期の福島は馬場がかなり傷んでいるため、どの馬も馬場の外々を回るレースになります。外々を回りながら厳しいラップを刻むのですから、実際には1800m以上のスタミナを要求されるレースになりますよね。そういえば、昨年の覇者ソングオブウインドもラジオNIKKEI賞2着と好走していましたね。ロックドゥカンブは、そのラジオNIKKEI賞を持ったままで4コーナーで先頭に立ち、楽々と押し切ってしまいました。スタミナ面での心配はないでしょう。

そして、ロックドゥカンブの現時点での馬体の緩さも、距離延長に関してはメリットとして働くはずです。というのも、馬体が緩いからこそ、距離がこなせるというところもあるからです。若駒の頃には距離をこなせた馬が、古馬になってから次第に距離適性が縮まってしまうのは、馬体が締まって硬くなってくるからです。重厚になってくる分、サスペンションが失われるというイメージでしょうか。ロックドゥカンブも将来的には2000~2400mあたりを最も得意とする馬になるでしょう。ただ、現時点での3000mの距離は、ゆったりと走られる分、かえって合っているかもしれませんね。

不安材料を敢えて挙げるとすれば、やはり一度も負けていないということでしょうか。どれだけ強い馬でも連勝を伸ばしていくことは非常に難しいからです。5連勝となるとなおさらです。連勝が難しい理由は2つあって、ひとつは相手が強くなるから、もうひとつは好調を維持しなければならないから。この2つを同時にクリアしていくことが難しいのですね。今回のロックドゥカンブについては、まず他馬との力関係に関しては実際のところ走ってみないと分かりませんが、これまでのレース振りを見る限り十分に通用すると思います。そして、体調に関しては、前走の休み明けから、叩いて良くなることはあっても、悪くなることはありません。こう考えると、まだ連勝を伸ばすことは十分に可能だと思います。もちろん競馬に絶対はありませんが、菊花賞は通過点のひとつにしてもらいたいものです。

あっさりと本命が決まったと思われるかもしれませんが、本当のところは最後まで悩みましたよ。それは神戸新聞杯で3着したヴィクトリーの巻き返しが怖かったからです。本来、菊花賞は神戸新聞杯とつながりの強いレースですし、今年から距離が2400mに延長されて、なおさらその結びつきは深まるはずです。神戸新聞杯のラップ構成を見ても、菊花賞のそれと同じタイプのものでした。ということは、神戸新聞杯で上位に来た馬は素直に評価していいということですね。その上位組の中でも、最も本番に向けて巻き返してきそうなのがヴィクトリーです。

夏を挟んで馬体には大きな成長が感じられますし、兄に菊花賞2着のリンカーンがいる血統からも、3000mの距離に不安はありません。道中で我慢することに徹した神戸新聞杯でしたが、本番に向けてレース内容も良く、岩田ジョッキーも手応えを感じているはずです。唯一の不安材料といえば、やはりまだ激しさを残した気性と大外枠でしょう。上手く前に馬を置いて、ペースが急激に緩む中盤を我慢しきれるかどうか。地力のある馬だけに、岩田騎手が上手く乗れば、この馬が最も脅威ですね。

展開面でのカギは、横山典弘騎手のホクトスルタンが握っています。横山典弘騎手が過去10年、この菊花賞で連対を外したことがないのは周知の事実ですが、それはこのレースの勝ち方を知っているからです。京都競馬場の3000mは、1986年~96年の間で一度も逃げ切りがなかったコースです。それぐらい逃げ馬にとっては苦しいコースなのですが、1997年の万葉Sで南井元ジョッキーがビッグシンボルで逃げ切るや、1998年に横山典弘騎手のセイウンスカイが菊花賞を逃げ切りました。逃げ切りが難しいとされている京都競馬場の3000mを逃げ切るには、ちょっとしたコツがあることを彼らは発見したのです。

そのコツとは、前半の1000mを60秒前後の速いペースで行った場合、上がり3ハロンが35秒前後になるため、意外や逃げ、先行馬に有利になるということです。それまで逃げ、先行馬に乗った騎手は、とにかく前半をスローで乗り切ろうと躍起になっていたのですが、発想の転換で、前半に速いラップを刻んでいくことによってスタミナを奪い、後続の末脚を封じることが出来ることが分かったのです。横山典弘騎手はこの逃げ切りを体現してきたジョッキーだけに、ホクトスルタンの脚質と豊富なスタミナを考慮すると、今回はまず間違いなく前半は速めのラップを刻もうとしてくるはずです。速く行く馬がいなければ自ら逃げるでしょうし、速いペースで行ってくれる馬がいれば好位に控えるはずです。展開というのはゲートが開いてみないと本当に分からないものですが、体内時計の正確な横山典弘騎手が前に行けるホクトスルタンに乗っているだけに、差し馬にとっては厳しいペースになるのではないでしょうか。当然のことながら、メジロマックイーン産駒のホクトスルタンにも有利な流れになるはずです。

ということは、前に行くサンツェッペリンにとっても有利な流れになるはずです。この馬の表面的な血統は短いところ向きですが、過去に遡ればステイヤーの血が脈々と流れています。ジワジワと伸びるタイプであることや、休み明けは走らないこと(ステイヤーの特徴)を見ると、一変する可能性を大いに秘めている馬だと思います。走っても走っても人気にならない馬ですので、妙味もありますね。

*この手紙の続きは、メールマガジンの方で配信させていただきます。
配信希望の方は、本日の12時までに、右サイドバー上のボックスからご登録ください。

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エラマナムーがかかっているというのがなんともいい。

Rudolf

お手紙ありがとうございました。見事に菊花賞の歴史をまとめあげましたねえ。ダービー馬はダービー馬から、というのは競馬のスローガンですね。ダービー馬からダービー馬が生まれるはずだ。生まれるべきだ、生まれてほしいといった意味ですが、血の更新を輸入馬に委ねる日本ではなかなか実現しない。しかし、菊花賞馬は菊花賞馬から、というのはありなんですね。菊花賞血統というのもありなんですね。

このおやじが勝手に掘り起こしたテーマは「ウオッカによって奪われた希望を取り戻せるか」でした。半端な勝ち方ではだめなんですよ。また勇気が湧き上がってくるような、感動を覚える勝ち方が是非ほしいところです。

去年の菊花賞はおやじの菊花賞のなかでベストレースでした。3冠馬誕生の瞬間は4度拝見しましたが去年のレースがベストです。Aメインの乾坤一擲の逃げを渾身の力を振り絞って捕らえようとするDパスポートとMサムソン、激しかった!勝ち馬のウィンドを含めてこのレースで力を出し切ったものはMサムソン以外すべて故障している。死力を尽くすとはこのこと。

こんなレースを期待できるのはどの馬か。
中学生エースが甲子園球児に挑むようなもんですが、おやじの希望はロックドゥカンブに託します。他の馬では希望を取り戻せるようなレースは期待できないと思っているんです。甲子園球児が中学生エースを相手にしているようなもんですから50%以上の確率で他の馬が勝つ可能性はあるんですが・・・。ただこの中学生エース、江夏豊級じゃあないかしら。実力もふてぶてしさも。

カンブはマカオJCTというレースを勝っていますね。その前日カルバニックという馬が同じようなラップを刻んで条件戦を勝ち上がりました。JRAの場外でこの2つのレースをラジオ日経賞の参考レースとしてたまたま見比べることができました。ラップは少しカルバニックが勝っていたようですがインパクトは断然カンブが上なんです。ゾクっとするような抜け出し方!前走もGダリアに並ばれそうになってからの脚が際立っていました。Mサムソンと同じでラップとラップの間で強さを見せる馬なのかもしれません。怪力が売り物のサムソンと違ってどことなくカンブには上品さが漂っていますが・・・なんて言ったらまた叱られますね。

今回は強敵に先行馬がそろっていますね。これも前走、次から次に並びかけられる厳しいレースを経験できたので心配はないと思います。血統を不安視する向きもありますね。母系のベースはファインモーション、ピルサドスキーでしょ、しっかりしている。去年のソングオブウィンドのように異種がかかっている母系ではありませんが、まずBSとして定評のあるフェアリーキングから底力を受け継いでいます。

それだけでも十分なんですが、次にエラマナムーがかかっているというのがなんともいい。覚えていらっしゃる方もいるかと思いますが、競馬会が購入したピットカーンが欧州に残してきた大物で古馬になってG1を勝ちまくった馬です。ペティション系といってファラリスから出ている系統なので異種とはいいませんが、ネアルコ系とは別系統なので傍流のひとつには違いありません。この父系には先ほどのエラマナムーやサンプリンセスなど、底力のある馬が並びます。この父系は軽い競馬の日本ではたびたび失敗しているのですが母系に入ると心強い。ディープの母系にもクィーンズフザーを介してペティションがかかっています。

中学生エースですが、彼が江夏豊だと信じてここからいきましょう。キンシャサの10倍強いというありがたいお言葉!おまけにヒッタイトグローリーだか、ヒクソングレーシーだか知らないがとても強いらしい。今年は意外な出来事で彩られる1年かも知れませんよ。ただ武騎手の最新のコメントに「主役不在」とある通り、カンブはあくまで中学生エースなんだと肝に銘じて◎を打とうと思います。1番人気に祭り上げられるのはすこし癪ですが。

対抗はアルナスラインでいきましょう。これは中1週という無茶なローテですね。前走の京都大賞典はG2の中でもレベルの高いレースでした。神戸新聞杯組ではポップロックとはかなりの差が開いたのではないでしょうか。世代屈指の実力馬だと思います。母系はレディージョセフィン系ですのでクラッシックでは十分に注意を払う必要があります。ただこの馬はLJ系でもマムタズビガムを経ない血統なんで、近親には最近これといった活躍馬は出てません。マムタズ経由のLJ系にはギムレットがいますよね。ちょっと前にはベガはベガでもホクトベガがマムタズ系ですね。なにベガだと、アルナスラインのてておやはアドマイヤベガではないか。こりゃあカンケーネーや。世代屈指の実力とありがたい血統、中1週という不利を上回る魅力はありますよ。

Aキングスはどうか。この血統はジェニュインのころから苦手なんです。この血統にもずいぶんいじめられたなあ。ダービーではツェッペリンより強い競馬をしていると思います。おやじが思うよりうんと強い馬かもしれませんね。カンブの1着に賭けてますので▲は打てませんが怖い馬です。

春の牡馬最強はフサイチでしょう。グレイソブリン系ですからスランプはある。夏をはさんで2走の凡走をどうみるか、今回ではっきりするでしょう。とりあえず展開も向きそうなので△は打っておいた方が無難でしょうか。

8枠はメジロマックイーンゆかりの枠になりましたね。特にDジャーニーは今回展開が向きそうです。武、横山、岩田、騎手も名手が3人そろって怖い枠です。無印にさせてもらいますが、おさえでカンブとの枠連は買っておこうかな。

×はエーシンダードマン、ヒラボクロイヤル、デュオトーンに打ちます。
エーシンは大穴になると思います。春、この馬が条件戦を走るところをみました。何とも大きなストライドで走る馬です。京都コースでの一発が・・・。ダンスの仔ということでほんの少し3着候補として期待してます。ヒラボクロイヤル、ボクはカレのスタミナに期待してます。デュオはエーシンを完封しています。

さて、まとめますか。
カンブとアルナスの実力が抜けていると思います。特にカンブには今後とも大きな期待を寄せていいんじゃないかなあ。この2頭の馬連とワイドに賭けることにします。

◎ロックドゥカンブ
○アルナスライン
△Aキングス、フサイチ
×エーシンダードマン、ヒラボクロイヤル、デュオトーン
押さえ 8枠
なんか、すっきりしたー!

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ロックはキンシャサの10倍強い

Jiromaru

今年の菊花賞は、失われた希望を取り戻せるかがテーマですね。そういえば、昨年の私たちも、惜しいところで勝ち馬を取り逃がしてしまいました。ソングオブウインドの母系に眠るヒッティングアウェーという異種の塊に、20数年間、代々トニービン、サンデーサイレンス、ノーザンテーストなどの力を注入しながら、走る仔を出すように育ててきた社台のソロソロでしたね。

菊花賞は日本競馬のレース体系の中でも特殊な部類に入るレースですので、やはり血統的にも他のレースとは異なった偏りが求められます。そのことは、菊花賞の父仔制覇がダービーのそれよりも多く見られることからも分かります。

今年のダービーはタニノギムレット→ウオッカという父仔制覇でしたが、これは歴史上5ケース目に当たります。その前はシンボリルドルフ→トウカイテイオーですから、実に16年振りということになります。

★ダービーの父仔制覇

父馬名仔馬名
1組目 カブトヤマ マツミドリ
2組目 ミナミホマレ ゴールデンウエーブ
3組目 ミナミホマレ ダイゴホマレ
4組目 シンボリルドルフ トウカイテイオー
5組目 タニノギムレット ウオッカ

対する菊花賞はというと、これまでに8ケースの父仔制覇があります。

★菊花賞の父仔制覇

父馬名仔馬名
1組目 セントライト セトノオー
2組目 トサミドリ キタノオー
3組目 トサミドリ キタノオーザ
4組目 トサミドリ ヒロキミ
5組目 シンザン ミナガワマンナ
6組目 シンザン ミホシンザン
7組目 ダンスインザダーク ザッツザプレンティ
8組目 ダンスインザダーク デルタブルース

「ダービー馬はダービー馬から」というよりも、「菊花賞馬は菊花賞馬から」と言った方がより適切だということが分かります。最近でいうと、ダンスインザダーク→デルタブルースがそれで、実はその前の年もダンスインザダーク→ザッツザプレンティという父仔制覇でした。また、パッと見て分かるように、8ケースが4頭の種牡馬で占められています。これは明らかに菊花賞に強い種牡馬があるということを表していると思います。

さらに、菊花賞の血統的な偏りを示すのは父仔制覇の多さだけではありません。菊花賞は兄弟制覇もまたダービーのそれよりも多いのです。ビワハヤヒデ→ナリタブライアンを最後にして出ていませんが、4組もの兄弟が菊花賞を制覇しています(ダービーは2組のみ)。

★菊花賞の兄弟制覇

兄馬名弟馬名母馬名
1組目 セントライト トサミドリ フリッパンシー
2組目 キタノオー キタノオーザ バウアーヌソル
3組目 メジロデュレン メジロマックイーン メジロオーロラ
4組目 ビワハヤヒデ ナリタブライアン パシフィカス

菊花賞の父仔制覇と兄弟制覇を比べてみると面白いですね。セントライトとトサミドリは兄弟で、なおかつ父として菊花賞馬を計4頭も生み出しています。また、トサミドリの仔であるキタノオーとキタノオーザは兄弟として菊花賞を制していることになります。ちなみに、キタノオーとキタノオーザの母であるバウアーヌソルは、血統表上で純粋なサラブレッドと証明されていないサラ系でした。

何が言いたいかというと、ここで名前が出てきている種牡馬の血を引く馬がいたら要注意だということです。メジロマックイーンは、天皇賞春を親子3代制覇したように、長距離血統の権化のような馬です。昨年に急逝したことが惜しまれますが、残った産駒が天皇賞春を勝てばまさに歴史的な勝利となりますし、もちろん菊花賞を勝つ可能性も十分にあります。ダンスインザダークはもしかするとトサミドリの記録を超えるかもしれません。ドリームジャーニー、ホクトスルタン、ローズプレステージ、エイシンダードマンからは目が離せませんね。もちろん、菊花賞2着馬リンカーンを兄弟に持つヴィクトリーも侮れないでしょう。

さて、今年の菊花賞には無敗で挑戦してくる馬がいます。「競走馬とは、どんな名馬であれ、負ける理由を背負って走っている」。これはルドルフおやじさんの名言ですね。私も数々の名馬が負けるシーンをこの目で見てきましたので、競走馬とは基本的には負けるものだと考えています。どんな名馬でも、明日には負けるかもしれない。あのディープインパクトでさえ、有馬記念と凱旋門賞の2つを落としました。そのレースでたまたま負けなかった馬が勝ち馬となるのだと思います。

菊花賞を無敗のまま制した馬は、シンボリルドルフとディープインパクトだけです。シンボリルドルフは7戦7勝、ディープインパクトは6戦6勝での挑戦でした。シンボリルドルフとディープインパクトだけという事実が意味するところは深いですね。ルドルフおやじさんのおっしゃる通り、皐月賞の頃の成長段階の馬が、4戦4勝の僅かなキャリアで菊花賞を制することがあるとすれば、まさに空前絶後の快挙でしょう。

ロックドゥカンブ。しかし、この馬は恐ろしく強い馬ではないかと私は思っています。実は生で馬を見たことはないのですが、ラジオNIKKEI賞のレース振りを見て、この世代でナンバーワンであることを確信しました。スピード、スタミナ、パワーが高い次元で融合され、それらが体全体から漲っているのがこちらまで伝わってきました。レース後にガタっとくるというのが信じられないくらい、レースに行くと古馬顔負けのしっかりとしたレースをしますね。

南半球生まれということで思い出されてしまうのはキンシャサノキセキです。同じオーナーの馬でもあって、ロックドゥカンブにとっては兄貴分のような存在だと思います。兄貴分のキンシャサノキセキが人気になりながらも期待に応えられないのと対照的に、弟分のロックドゥカンブは負け知らずというところが面白いですね。

ルドルフおやじさんは、ヒクソン・グレイシーという挌闘家をご存知ですか?400戦無敗という戦歴の持ち主で、日本では高田延彦や舟木誠勝にも勝っています。このヒクソン・グレイシーはグレイシー一族最強の男とも呼ばれていて、この一族にはホイス・グレイシーという実弟がいます。この弟もまた強くて、UFCと呼ばれる何でもありのトーナメントで、グレイシー柔術を武器に、第1回、2回、4回大会で勝利を収めている1990年代の格闘技界に最も影響を与えた一人なのです。その弟をして、「兄は私より10倍強い」と言わしめたのがこのヒクソン・グレイシーなのです。

えっ、それがどうしたのかって?
格闘技も好きなので、つい脱線してしまいました、スイマセン。

これはキンシャサノキセキのファンの方には失礼に当たるかもしれませんが、もしキンシャサノキセキが口をきけたなら、「弟分のロックドゥカンブは私よりも10倍強い」って言うと私は思うのですよね。もちろんキンシャサノキセキも能力の高い馬であることは間違いありません。しかし、ちょっと大袈裟かもしれませんが、ロックドゥカンブはそれぐらいの強さを持った馬ではないでしょうか。菊花賞うんぬんではなく、将来的にはかなりの大仕事をやってのける器だと思っています。

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失われた希望を取り戻せるか

Rudolf →ルドルフおやじってどんな人?

去年は、治郎丸さんもこのおやじもソングオブウィンドでちょいと悔しい思いをしましたね。今年はいいことあるかなあ。

とは言ってもこのおやじ、いつものように最初から躓いてます。バブルウイズアランに期待を寄せていたのですが、故障したようです。3角からまくった小倉のレースを見て、馬力のあるバブルガムから出た最後の大物かな、と思ったのですが、残念です。ハイペリオンの遠いクロスを何本ももっていて今後も期待できる馬なので来春を楽しみに待つことにします。と、心の広いところを見せていたら、ゴールデンダリア、蹄に不安ときたもんだ。セントライトは最後の坂で息切れしたようなので、平坦コースの京都ならばどうだ、3着以内はあるぞと意気込むおやじになぜ競馬の神さんは辛くあたる!レースが始まる前になぜ負けさせる。

競走馬というのは、どんな名馬であれ負ける理由を背負わされて走っているんだ、と思うときがあってたまに馬券を買うのが怖くなることがあります。ことしのダービーではすべての牡馬が負けてしまいました。ウオッカの勝利は永遠に賞賛されて然るべき偉業ではありますが、すべての牡馬が負けたという競馬の怖さにはやはり戦慄を覚えずにはいられません。牡馬の勝つ理由と希望のすべてが奪われてしまったわけですから。

今回の菊花賞には失われた希望を取り戻せるか、というテーマが隠されていると思っています。半端なレースや勝ち方ではだめですね。3歳クラッシックに立ち込める深い霧を晴らしてくれるような胸のすくレースを期待したいと思います。

3歳チャンピョンが神戸新聞杯を勝つというのは珍しい。ドリームジャーニーは父のステイゴールドからも、トゥルービヨンのクロスをもった母系からも成長力を受け継いだようです。阪神コースを追い込んで勝ったというのは、この馬の力が3歳牡馬のトップクラスにあることを示しているように思います。しかし武騎手の口からは「距離がどうか」という慎重なコメントがもれていますね。ドリームジャーニーは、弥生賞で中位でレースを進めるレースを試みて失敗しています。融通のきかない気性と420キロ台の体力から距離うんぬんと武騎手は言っているんでしょうか。この馬の負ける理由はこのあたりにあります。しかし、魅力は不安を口にする騎手の腕ですね。最近ますます凄みを増してます。

アサクサキングスは強い馬なのか、弱い馬なのか、このおやじにはよくわかりません。ただダービーで2着を確保したというのはきちんと評価しておかねばなりませんね。この馬の魅力は母系の良さと父ホワイトマズルのスタミナですね。でもこの馬ヴィクトリーと相性がわるいんじゃあないかしら。ヴィクトリーがまともに競馬をしたときには惨敗しています。負けるとすればヴィクトリーとやりあったときかな。

神戸新聞杯で最も強い競馬をしたのは、そのヴィクトリーではないでしょうか。行くのか行かないのか、ちぐはぐな競馬をしてもきちんとゴール前は伸びています。皐月賞馬という名は伊達ではありません。派手な勝ち方こそありませんが、その名に恥じない実力のある馬だと思っています。しかし岩田騎手が神戸新聞杯で控える競馬を試みたは、やはり距離に不安があるからなのでしょう。それほど荒々しい気性の馬です。

フサイチホウオーはいかにもグレイソブリン系らしい神経質な馬なんですね。人生嫌なことのほうが多いんだからまあ一杯呑もうや、なんて誘っても無駄なのがグレイソブリン系の主たる特徴なんですな。傍からみていると少しこっけいに見えたりもするのですが、自己主張の強いタイプでいつか必ず立ち直る。それが今週の菊花賞だったらどうします?

ホクトスルタンはやはり成長してますね。覚えてくれていますか?春に変な情報を流してご迷惑をかけたのを。ラインクラフト、ソングオブウィンドと続く、ファンシミン系の血の勢いは止まりません。おやじが競馬を始めたころ、ファンシミンといえば勝負弱い血のイメージしかなかったのですがねえ。

菊花賞といえば神戸新聞杯組が毎年強いのですが、今年は多少趣が違うようです。別路線組に希望を託しておられる方も多いのではないでしょうか。

ロックドゥカンブ。この馬が負ける理由は明々白々、南半球生まれということですね。9月27日が満3歳のお誕生日ということで、皐月賞のころの成長段階の馬がいきなり菊花賞に挑戦するというわけです。もし菊花賞を勝つようなことがあれば、空前絶後の快挙となりますね。陣営からは「レースの後にはガタッとくる」という主旨のコメントが少し前に出されていました。まだまだ幼さの残る馬なのでしょう。しかし、この馬、言い知れぬオーラを放っている馬ですなあ。ファインモーションの一族だそうですね、ふむふむ。

アルナスライン。この馬の負ける理由も明々白々、中1週で菊花賞とはちと無謀かと。かつて京都大賞典をたたいて本番に臨んだのは、古くはテンポイント、最近ではシルクジャスティス、セイウンスカイ、ティーエムオペラオーあたりですか。京都大賞典での成績は、順に3、1、1、3着。本番での成績は2、5、1、2着。このころの京都大賞典は京都新聞杯の前週に行われていて、菊花賞まで中3週というローテだった。かつては中3週あける、というゆとりあるローテを狙って京都大賞典をつかったわけだ。無論、古馬一線級と十分に戦えるという見込みもあった。しかし、アルナスライン、ゆとりはないがG1級の古馬と堂々と渡り合いましたね。これ最近ちょっと冴えてませんがレディージョセフィン系の馬なんです。ふむふむ。

1番人気に推されるのはロックドゥカンブか。もしこの馬を買うならばダービーでウオッカを本命に推すほどの気概が必要ですよね。ダービーで牝馬だからといってウオッカを本命にできなかったこのおやじはここできちんと考えるべきだと思っています。治郎丸さんは実際にロックドゥカンブをご覧になったということですので、ぜひそのときの印象などを教えていただきたい。

ウオッカによって剥奪された希望を取り戻せる馬は果たしてどの馬なんでしょう。昨年のDパスポートほどのパフォーマンスがなければ3歳牡馬の霧は晴れることはありません。ちと厳しいかなあ。

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◎ベッラレイア

Jiromaru

ありがとうございます。ウオッカ陣営以上にプレッシャーが掛かりますが、スプリンターズSのルドルフおやじさんのようにバッチリと当てて、妹には気持ち以上のものをプレゼントしたいですね。

前田長吉騎手については、いつか書きたいと思っていました。お父様(ルドルフじいさん)もシベリア抑留経験者だったのですね。シベリアについて私は詳しくは知らなかったのですが、今回の件で調べたことで、当時、抑留者がどれだけ苛酷な状況に置かれていたかを思い知らされました。氷点下40~50度の、顔をこすっただけで鼻がもげるくらいの寒さの中で強制労働をさせられ、食料もほとんどなく、木の芽を食べて飢えを凌いでいたそうです。

次元こそ違え、私たちロストジェネレーション(就職氷河期世代)も時代の波に翻弄されていることに違いはありません。この問題は、他の世代の人たちには見えにくいだけに、根が深いと思います。ルドルフおやじさんのようにシンパシーを寄せていただける人は意外と少ないものです。私たちはまっとうな仕事に就くことすらままならないのですが、ようやく仕事につくことが出来たとしても、その組織の大きな歪みを一手に引き受けさせられます。

さらに、私はこれが最大の問題だと思うのですが、私たちロストジェネレーションがそのことに慣れ切ってしまっているということです。うすうす気付いてはいても、レジストするだけのパワーがないのですね。そればかりか、大きな権力やメディアに取り入ろうとしてしまいます。そうすることで、あたかも自分だけは救われるかもしれないという錯覚を起こすのですが、実は持てる者に取り込まれてしまうだけなんですね。

私たちがすべきことは、大きな力や声に迎合することではなく、新しい局面を自らの手で創造することだと思います。そして、私はこのロストジェネレーション(就職氷河期世代)の中からこそ、“本物”が出てくると思っています。これはワイン作りをしている農家の人から教えてもらった話ですが、貧しい土壌であればあるほど、良い葡萄が出来るそうです。これは葡萄の木が苦しみながらも深くまで根を伸ばすため、それだけ力強く豊かな作物が生まれてくるそうです。ヌクヌクと育った葡萄にはロクなものがありません。時代の波に翻弄されてもタダでは死ないぞ!それぐらいの気概を私たちは生きていかなければならないと思います。

さて、そろそろ秋華賞の話をしましょう。

前回の手紙でも書いたとおり、ウオッカはこれだけのメンバーの中でも、実力は一枚上の存在です。完成度が高く、スピード、スタミナ、瞬発力、全ての面で秀でていて、およそ非の打ち所がありません。ダービーは牝馬の切れ味を生かして圧勝しましたが、凱旋門賞に挑戦しようとしていたように、2400mくらいまでならば自ら動いて勝負できる馬です。それはルドルフおやじさんがずっと昔から唱えてきたように、母系に脈々と流れるスタミナと底力がウオッカを支えているからです。

宝塚記念を使ったことは、この馬にとっては良い経験になったのではないでしょうか。初めて体験する古馬のレースの厳しい流れと道悪馬場に加え、ダービーであれだけの勝ち方をした後だけに、体調も完全ではなかったはずです。負けて当然だったと思います。それでも直線では伸びようとしていたように、改めてこの馬の精神力の強さを思い知らされました。古馬になって牡馬と混じって走っても、勝ち負けになる牝馬ですね。

しかし、今回、私がウオッカの体調に一抹の不安を覚えてしまうのは、この馬が「ダービー」というレースを勝っているからです。

過去10年のダービー馬の秋シーズンにおけるG1レース成績を見てみましょう。

平成9年  サニーブライアン →不出走→引退
平成10年 スペシャルウィーク→菊花賞2着→ジャパンカップ3着
平成11年 アドマイヤベガ  →菊花賞6着→引退
平成12年 アグネスフライト →菊花賞5着→ジャパンカップ13着
平成13年 ジャングルポケット→菊花賞4着→ジャパンカップ1着
平成14年 タニノギムレット →不出走→引退
平成15年 ネオユニヴァース →宝塚記念4着→菊花賞3着→ジャパンカップ4着
平成16年 キングカメハメハ →不出走→引退
平成17年 ディープインパクト→菊花賞1着→有馬記念2着
平成18年 メイショウサムソン→菊花賞4着→ジャパンカップ6着→有馬記念5着

一目瞭然ですが、あの怪物ディープインパクト以外のダービー馬は、秋のG1レースで凡走を繰り返しています。もしくは、故障してしまい、出走すら出来ていません。唯一、ジャングルポケットがジャパンカップで挽回しましたが、この無理が祟って、これ以降のレースでは一度も勝つことなく引退してしまいました。ディープインパクトさえも、最後の有馬記念ではついに力尽きてしまいました。

なぜこのような現象が起こるのでしょうか。その世代の最強馬であるはずのダービー馬が、なぜわずか4ヶ月後に行われる菊花賞でいとも簡単に負けてしまい、その後のレースでも凡走を繰り返してしまうのでしょうか。

答えは簡単です。ダービーを勝つためには、極限の仕上がりが要求されるからです。目一杯の調教に耐え、レースでは自身の持つ力の全てを使い切るほどでないとダービーを制することはできないからです。ダービーとは、それほどまでに苛酷なレースなのです。そして、ダービーで全ての力を使い果たした馬を、わずか4ヶ月で再び100%の状態に持って行くことは至難の業です。

たとえば、平成10年のダービー馬スペシャルウィークが菊花賞、ジャパンカップと凡走したのは、ダービーの疲れが抜け切れていなかったからです。スペシャルウィークほどの馬でも、ダービー後には一時的なスランプに陥っているのです。昨年のダービー馬であるメイショウサムソンもそうでしょう。気持ちは前に行くのですが、体が付いてこないというスランプに秋シーズンは陥っていました。サニーブライアン、アドマイヤベガ、タニノギムレット、キングカメハメハのように、肉体的な疲労が故障という形で表れて引退を余儀なくされる馬もいます。

さらに難しいのは精神面での回復です。極限の状態で苛酷なレースを制した馬は、その後、精神的に燃え尽きてしまうことが多いのです。それが一時的なものになるか、完全に燃え尽きてしまうかはそれぞれですが、他馬に抜かれまいとする闘争心、苦しくても走り続ける気力が失われてしまうのです。平成7年のダービー馬タヤスツヨシや平成15年のネオユニヴァースはその典型です。ダービーを勝つほどの能力を持った馬でも、闘争心や気力が失われている状態では凡走を繰り返してしまうことになります。

もちろん、ウオッカが細心の注意を払われて調整を重ねられていることは誰もが知っています。実際に馬に跨ってみて、どこも悪くなく、心配な点もないからこそ、こうして秋華賞に出走してくるのでしょう。凱旋門賞を回避した以上、こんなところで負けていられないでしょうし、ダイワスカーレットに連敗することも避けたいに違いありません。角居調教師は勝つためにウオッカを秋華賞に出走させてくるのは間違いありません。

しかし、本来、疲れというのは目に見えないものなのです。過去のどのダービー馬たちも、陣営は寸分の狂いのない調整を重ねて、本番のレースへと出走させてきました。そして、レース後にはいつもこう言ったのです。「目に見えない疲れがあったのかもしれない」と。ウオッカだけが例外ではないでしょう。

次はダイワスカーレットについてです。ダイワスカーレットは、楽に先行して、そこからさらに33秒台の脚を使って他馬を突き放すことが出来る、馬場の高速化が著しい近代競馬に最もマッチした走りが出来る馬です。新馬戦とシンザン記念以外のレースは全て33秒台で上がっていますよね。あれだけ先行力がある馬に33秒台で上がられては、後ろから行く馬はなす術がありません。

ところが、これだけを見ると、ダイワスカーレットの本質を見誤ってしまいます。確かに、ダイワスカーレットは速い上がりにも対応できる先行馬なのですが、それだけの馬ではないと私は思います。この馬の本質は、ジワジワと伸びる地脚の強い馬です。高速馬場のおかげもあって、この馬のジワジワが33秒台という数字になっただけです(そこがスゴイところなのですが)。この馬の真骨頂は、血統的にクリムゾンサタンを母系に持っていることからも分かるように、持続力を問われるようなレースでこそ発揮されるのです。だからこそ、この馬にとっては、多少なりとも上がりが掛かる秋華賞のようなレースの方が、ヨーイドンの瞬発力勝負よりも合っているはずです。安藤勝己騎手もそのことは知っているので、厳しい流れになってくれた方がやり易いと思っているのではないでしょうか。

さらに、夏を越して体質も強くなってきたようですし、精神的にも安定してきたそうです。前走のローズSの勝ち方も、ゴール前では耳を立てる余裕がありました。今回は外枠を引いて、包まれてしまうこともないでしょう。たとえ途中で外から来られても、我を忘れてしまう馬ではありませんので、我慢もできるはずです。書けば書くほど、ダイワスカーレットは隙のない馬ですね。

しかし、ひとつだけこの馬の負けパターンがあります。どういうパターンが嫌かというと、馬体を併せないで、後ろから一気に来られるようなレースになることです。私がダイワスカーレットは今回苦しいと思っているのは、京都競馬場はそういうパターンの競馬になりやすいからです。阪神競馬場に比べ、京都競馬場は直線が平坦であることも手伝って、後ろからズドンと行く馬にとっては乗りやすいコースになっています。スローに落としてもハイペースで引っ張っても、後ろから一気に来られやすい舞台です。些細なことのように思えますが、ダイワスカーレットにとっては展開云々ではなく、京都競馬場の平坦な直線がネックとなる可能性は大いにあります。

本命は◎ベッラレイアに打ちます。最終追い切りも唸るような手応えで、走りたくて仕方がない気持ちが伝わってきました。理想的な枠順を引きましたし、武豊騎手を背に、今回はギリギリまで溜める競馬を試みるはずです。ローズSはスローに流れましたが、道中ずっと窮屈な格好をして走っていました。位置取りとしては悪くなかったのですが、この馬の強靭な末脚が生きる流れではありませんでした。この馬がこれまでで最も力を発揮したのは、中京競馬場で行われたあざみ賞ではなかったかと思います。小回りコースで、道中が厳しいペースで流れてこそ、首を沈めてどこまでも伸びるこの馬の末脚が生きます。

そういった意味では、オークスの流れもこの馬には合っていたはずです。だからこそ、この点だけはルドルフおやじさんと意見が異なるのですが、オークスは消極的な騎乗に映りました。田原成貴騎手は、オークスの騎乗を「仕掛けが1000m早かった」と評していましたが、私は2400m早かったと思っています。スローになって脚を余すのだけは避けたかったのでしょう。とにかく気持ちだけが先走って、スタート時点から無意識のうちにベッラレイアを仕掛けていたのではないでしょうか。これは秋山騎手だけではなく、おそらく陣営にも、包まれるぐらいなら前に行こうという恐れの意識が強く働いていたのだと思います。でも、そうして負けたことによって、騎手も馬も陣営も成長していくのですよね。あのハイペースを早めに動いて、最後の最後まで先頭を譲らなかったベッラレイアは立派だったと思います。

*その他、穴馬については、メールマガジンの方で配信させていただきます。
配信希望の方は、日曜日の9時までに、右サイドバー上のボックスからご登録ください。

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3強3連福1点

Rudolf

妹さんのご結婚おめでたいですね。最近おやじの職場にも高齢化の波が押し寄せてまいりまして、まず若い人が少なくなった。そして結婚式もなくなった。もう職場の結婚式は8年も行われていません。久々の吉報ですよ。治郎丸さんは妹さんのためにご祝儀馬券を用意するんですね。このおやじはまた変なことを書いて治郎丸さんを惑わすようなことは止めときましょうね。今回だけですが。

前田長吉騎手のお話ははじめて聞いたお話だったんですが、このおやじの父親、すなわちルドルフじいさんもシベリアに抑留されていたので、とても他人ごととは思えませんでした。捕虜として強制労働させられた父親の仲間に力士がいてお腹をすかせては泣いていたという話などを聞いてこのおやじは育ったんですよ。前田騎手だけでなく、時代に翻弄されるのが人間の宿命なんですね。治郎丸さんの世代はいわゆる日本のロストジェネレーション世代にあたるのですか。就職難でこの世代がバブルのつけを払わされている。身に覚えのないことで苦しんでいる。このおやじが憤ったからといって何の足しにもならないのですが、もしこの手紙の読者にロストジェネレーション世代の方がいらっしゃったら、おやじがシンパシーを寄せていることだけはお伝えしたいなと思います。

さて、いよいよ決戦のときが近づきました。本当に楽しみですね。馬券が外れるのはやはりいたいのですが、どの馬から買っても悔いのない馬券になりそうです。

おやじが一番楽しみにしているのはDスカーレットの走りです。2週間後には兄のメジャーも天皇賞で走ります。この母系の本質が見られるといいなあと思っているんです。去年の今頃だったでしょうか、メジャーの母系について、クリムゾンサタンに支配された一本調子血統と表現してちょいと顰蹙をかいましたかね。

アメリカの馬産は本当に奥が深い。クリムゾンサタンは今なおアメリカで大切にその血を守られているヒムヤー系から出た快速馬です。去年はテディー系についてさんざん書きました。ヒムヤーもテディーもエクリプスから出て細々と現代に生き延びてきたアウトサイダーです。日本ではテンポイントの祖に入っているピーターパンがヒムヤー系の馬では有名ですね。血統の世界で非主流に追いやられるとスピードが失われてしまいます。スピードを求めて主流派が形成されるのだからどうしようもないことです。しかしヒムヤーのすばらしいのは主流からはずれた今も豊かなスピードを維持しているところです。

大種牡馬の大種牡馬たるゆえんは母系の良さを引き出すところにあります。もちろんサンデーも例外ではありません。多様なサンデー産駒のなかにあって特にDメジャーは異質なスピードの持ち主ではないでしょうか。彼の異質なスピードはメジャーの母系で生きているヒムヤー系50年代の傑作クリムゾンサタンに由来するものかも知れません。そしてもう1頭、サンデーの中でもおやじはサイレンススズカのスピードにも異質なものを感じていました。スズカには「音速の貴公子」というあだ名がついていると教えてもらいましたが、このおやじには妖怪かバケモノのイメージしか残ってないんですよ。それほどスズカの力強いスピードには恐ろしいものがあった。スズカの母系にはアックアックがかかっています。アックアックはヒムヤー系70年代の傑作です。クリムゾンの命脈は絶たれましたがアックアックの血は細々と現代につながっています。アメリカというのはなんと凄い馬産を行う国なんでしょうか。

今回の秋華賞に登録のあったエイシントゥルボーはヒムヤー系の貴重な直系です。狂ったように走るこの馬、本番には出られませんでしたがいつかきっと走り出しますよ。そういえばサンアディユの母系にかかっているユースもアックアックの直仔でした。ハイペースのレースを2、3番手で追走して5馬身ちぎって勝つというアディユの力強いスピードはこの血統の特徴なんだと思っています。クリムゾンサタンを母系にもつ力強いスピード馬、Dスカーレットにとって秋華賞は絶好の舞台です。どんな展開になっても3着以上を期待してよいと思います。

ダービー馬のウオッカについて牝馬限定のG1競争で云々するのは失礼ですが、ちょっと想像をたくましくして、もしDスカーレットが桜花賞をパスして皐月賞に出走していたらどうなっていただろう、と考えてみました。うむうむ、ケッコーケッコーコケコッコー、いい線いったんじゃあないかなあ。もしローズステークスに神戸新聞杯の牡馬が出走していたら、何頭の馬が上位争いできたんだろう、と考えました。うむうむ今年の3歳牝馬はやはり強いや。今回の秋華賞が決着の場だとおやじは思っています。

ローズステークスを見るかぎり、体調が万全なのはベッラレイアだと思います。体重を戻してさらに成長している。パドックを周回する雰囲気も落ち着いて好感がもてました。本番ではさらに前進が見込めるはずです。対するスカーレットは少しいらついてましたね。本番でこれがどう出るか。パドックはじっくり見たいものです。強行軍でのぞんだ宝塚で厳しい競馬をしたウオッカの体調はどうなんでしょう。これもパドックで確かめるほかはありません。四位騎手は「ダービー馬ということを意識せずに乗りたい」というコメントを出しています。こりゃあ、相当意識してるなあ、無理もない。

ローブデコルテも強い世代の一翼をになう良い馬です。ただ休養明けでこのメンバーを相手に1着になれるか、というと疑問です。ピンクカメオも底力のある馬ですが良馬場の予想される本番では少し苦戦しそうです。穴人気しているルミエールは下級条件で連勝した馬ですね。前走はなかなか強かったそうです。しかし、これを買うなら紫苑Sで3角をまくって出たアルコセニョーラを買いたいと思います。ラブカーナもさすがにオークスで3着した馬です。前走の瞬発力は凄かった。ただぎりぎりの馬体をしていたのは気にかかりました。最後にレインダンスですが、これは相当強い牝馬だと思っています。姉のレンドフェリーチェは能力の高い馬でしたが大成できませんでした。この血統の潜在能力には期待していいと思います。

上に書いたように今回が決戦の場だと思っています。従ってこのおやじには1着馬のイメージがまだ湧いてこないんですよ。ただ3強だとは思います。

そこで印なんですが・・・
◎3強(ウオッカ、スカーレット、ベッラレイア)3連福1点とさせていただきます。
細かい話なんですが今回は結婚を祝して「3連福」とさせていただいております。

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ウオッカは別格の存在

Jiromaru

今年の3歳牝馬世代は、私が知っている限りでは、スペシャルウィーク、エルコンドルパサー、グラスワンダー、セイウンスカイ、キングヘイローの世代ぐらい、レベルの高い個性豊かな馬たちが揃っていると思います。ルドルフおやじさんに言わせると、テンポイント、トウショウボーイ、グリーングラス、クライムカイザーの世代なのですね。彼らはレースで覇を競っただけではなく、貴重な血を残したことで日本競馬の発展に大きく貢献しました。これから彼女たちが見せてくれる白熱したレースも楽しみですが、10年後、20年後、彼女たちが祖となって新しい牝系が生まれていくのかと思うと、1頭1頭の姿をこの目に焼き付けておきたいくらい愛おしく思えます。

その中でも、シラオキから流れる日本古来の牝系の血を引くウオッカは、別格の存在と言っても過言ではないでしょう。昭和18年のクリフジ以来、牝馬による43年ぶりのダービー制覇には驚かされましたが、今年の3歳牝馬世代のレベルの高さを思えば、それも必然だったかと思わせられます。凱旋門賞に出走できなかったのは残念ですが、もしかするとこれで来年もウオッカの走りが見られるのかもしれませんね。秋華賞は休み明けの1戦となりますが、他のメンバーの強さを誰よりも知っている角居調教師だけに、キッチリと仕上げて臨んでくるはずです。

クリフジといえば、ダービー、オークス、菊花賞を勝った最強牝馬ですね(当時、オークスは秋に行われていました)。ダービーの賞金が1万円の時代に、4万円で落札されたように、かなりの期待と素質を背負って走った馬だったようです。毛色こそ違え、額に大きな流星が目立つ美しい顔立ちは、ウオッカと通じるものがあります。私が尊敬してやまない故野平祐二氏は、クリフジほど体積のある馬は後にも先にも見たことがないと語り、自身が管理したシンボリルドルフと同じくらい、クリフジの競走馬としての強さを評価していたそうです。

Kurifuji

そのクリフジに乗って、弱冠20歳の若さでダービーを制する「幸運」を手にしたのが前田長吉騎手です。第二次世界大戦後、シベリア抑留中に若くして病死した伝説の騎手でもあります。これまであまり語られることはありませんでしたが、これほど時代の波に翻弄された騎手もいないのかもしれません。もし彼が生きていたならば、今は殿堂入りしている保田隆芳騎手、野平祐二騎手を超える勝ち星を上げていたことは確実とされています。

招集令状が来たとき、彼は泣いて、家族にも「(戦争に)行きたくない」と言ったそうです。当時のトップジョッキーであった保田隆芳騎手も、戦争によってジョッキーにとって大切な時代を奪われた一人です。今でいえば、たとえば武豊騎手や若手の松岡騎手、川田騎手らが、鞭ではなく銃を持って戦地へ赴いて行くということです。どれだけ残酷な時代であったか。前田長吉騎手の遺骨は昨年6月、62年の時を経て、ようやくシベリアから故郷の青森に帰ってきました。彼の乗った馬の血統表のどこかに「No Luck」が入り込んでいたのかもしれませんね。

話が暗くなってしまいましたね。ハッピーな話をしましょう。

実は今週末に私の妹の結婚式があります。そこで、ご祝儀の一部を馬券で渡そうと計画しているんですよ。縁起の良い名前の馬が相応しいので、有力馬それぞれの名前の由来を少し調べてみました。

・ウオッカ…ロシアを代表するアルコール度数40%の無色の蒸留酒。父(ギムレット)よりも強くあって欲しいという願いを込めた。
・ダイワスカーレット…冠名+深紅色。母はスカーレットブーケ。
・ベッラレイア…イタリア語で「美しい」を意味するベッラと、ギリシア神話の「女神」レイアを組み合わせた。
・ピンクカメオ…シャクヤク(芍薬)の一種。開花時期は5~6月。カメオの花言葉は「ぜいたくの美」
・ローブデコルテ…胸・肩・背などが大きく開いた、女性の正礼装にあたるイブニングドレスのこと。女性の最高礼装。

牝馬のG1レースだけあって、男勝りのウオッカ以外は、どの馬も結婚式のご祝儀としては相応しい、美しい名前を付けてもらっています。中でもダイワスカーレットは母にブーケが入っていますので、これが最も有力でしょうか。ベッラレイアとローブデコルテも悪くありませんね。ピンクカメオは5月~6月に開花する花なんですね。知っていればNHKマイルCは取れたかもしれません(笑)。まあこれは半分冗談ですが、兄貴の面目も掛かっていますので、自分の頭でしっかりと考えて、ぜひとも勝ち馬の名が刻まれた投票券を渡したいな思っています。

さて最後に、少し真面目に秋華賞を占いましょう。今回の秋華賞に関しては、私もウオッカ、ダイワスカーレット、ベッラレイアの3強だと思っています。実力的に言うと、ウオッカの1強だと思うのですが、今回は休み明けというマイナス材料があります。別の言い方をすると、ウオッカが休み明けぐらいで丁度、ダイワスカーレットとベッラレイアと互角の勝負になるかなというところです。そして、その後にローブデコルテとピンクカメオが僅差で続いていると思います。展開やレースの綾に恵まれれば、この2頭が間に割って入ってくることもあり得ます。そもそも、秋華賞はペースの乱れやすいレースです。枠順や展開を味方につけた馬とジョッキーが、混戦を制することになるのではないでしょうか。最終結論は、枠順が発表されるまで待った方が良さそうですね。

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「幸運」なんてものは

Rudolf_2

牝馬の質は本当によくなりましたねえ。血統も素晴らしいし、どんどん競走能力も高くなってきていると思います。このおやじが競馬を始めたころには、強い牝馬が現れると女傑だの女王だの騒がれたものですが、今では死語になってしまいましたね。それほど牝馬の質が上がっている。今が花だったってことにならないように、これからも頑張りたいものですね。おやじが頑張ってどうする、と言われそうですが、もちろんせっせと馬券を買えるように頑張るわけですよ。馬券なしに日本の競馬は成り立たないわけですから。

のっけから秋競馬のハイライトがやって参りました。2強対決とおっしゃる方もいれば、3強という方もいる。4強という人は3着までが馬券の対象だということをうっかり忘れてる。戦国という人もいれば大奥絵巻に鼻の下を長くしている人もいる。つまり、まつりだな、祭りだ、祭りだ、マツリだヴァンゴッホ!

と、浮かれているととんでもないことになる。

3強だろうが、2強だろうが、競馬で勝つのはただの1頭。フルゲートなら17頭は負けるわけです。そこへもってきて、たまさか、その1頭の勝ち馬の中に勝つ理由の解しがたい馬がひょいと顔を出すもんだから競馬は危うい。

ブゼンキャンドル。

平地23戦3勝という生涯成績を残したこの馬のG1競走を勝つ理由を探すのは、探鉱夫が金脈を掘り当てるより難しいのかも知れません。母系はムーティエイチなどがでる地味な障害血統です。父のモガミはすでに活力を失いつつあった種牡馬。モガミは輸入されたNダンサー系の種牡馬のなかでも最も成功した馬ですが優秀なハードラーも出すことでも知られていました。キャンドルの生産者、上田牧場の配合の意図はこんなところにあったのでしょうが、ブゼンキャンドルは秋華賞を勝っちゃった。

日本の競馬が大金持ちのパトロンによって支えられていた時代がありました。炭坑王、上田清次郎をご存知ですか。彼もそんな羽振りのいい馬主のひとりでした。彼は、ダービーの1着賞金が1000万円の時代、ダービーを勝つためにレースの直前にダイコーターという馬を2500万円で買い取ったのですが、ダイコーターはダービーで負けちゃった。彼は、その後馬産にも事業を広げ、ブゼンやホウシュウの名を冠して馬を走らせました。ブゼンキャンドルのふるさと、上田牧場は清次郎ゆかりの牧場です。

「幸運」なんてものはブゼンキャンドルのように意図せぬところから突然やってくるものかもしれないし、ダイコーターのように掴み取ろうとするとするりと逃げていってしまうものかもしれない。競馬が賭け事に過ぎぬものならば、これほど危ういものはありません。現にキャンドルの血統表には「No Luck」と大書してある。キャンドルとともに秋華賞を追い込んできた騎手はその大書には気づかなかったのだろうか。夏の終わり、社会面の片隅に載った記事を何度か読み返しながらそう思わずにはいられませんでした。

競馬の危うさを思い出しながらも、好メンバーのそろった今回の秋華賞、秋華という名に相応しい楽しさを味わいたいものですね。

ダイワスカーレットのトライアルは2冠に挑む彼女にとって有意義なレースだったと思います。他の馬にスカーレットと同じ位置取りで競馬をしても無意味だと悟らせたからです。他の馬はスカーレットの前で競馬をするか、後ろから不意をうつか、いづれにせよ、厳しい選択肢しかない。ゲートが開く前からレースのスタートは切られているわけですが、スカーレットの前走、見事な先制の一撃であったとみました。これが1番人気ですか。うむ2番人気か?

ウオッカは宝塚のような競馬をするに違いありません。治郎丸さんはダービーの観戦記だったと思いますが、「ダービーはマイルの競馬になった」と書かれてましたね。おやじも春、ウオッカは強いマイラーだとどこかで書いた覚えがあります。ウオッカには脚をためて究極の切れを見せてほしいものですが、3歳の頂点に立った今、四位騎手は安全策をとらざるを得ないでしょう。4角過ぎて早々にスカーレットに並びかけるはずです。仕上がりの早い気のいい馬で緒戦からも十分に戦えますし、むしろレースを使わないほうがよいタイプのようにも思えます。秋は秋華賞を含め3戦というローテだそうですが好感がもてますね。これが1番人気ですか。うむ2番人気か?

両者に迫る力量の持ち主は、ローブデコルテではなく、ラブカーナではなく、ベッラレイアだと思います。秋山騎手のオークスの騎乗ぶりは決して過ちではありません。能力の極めて高いこの馬にふさわしい騎乗だったと思います。首を深く沈めて走るこの馬、徒者ではありません。ローズステークスのパドックではスカーレットよりも好印象をもちました。秋山さんは残念ですね。チャンスは再び巡ってきます。

誠につきなみで申し訳ありませんが、このおやじは3強だと思っています。ただこの世代の牝馬はテンポイント世代の牡馬を思わせる強さを秘めていますので、たやすくワン、ツー、スリーを決められるというわけでは無論ありませんね。

3歳牝馬に心よりGood Luck!

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◎アイルラヴァゲイン

Jiromaru

素晴らしい手紙をありがとうございました。ケイエスミラクルはクラフティープロスペクターなんですね。そう考えると、ケイエスミラクルがまるで今でも走っているようで、とても嬉しくなります。うんうん。私も最近はルドルフおやじさんの影響を受けて、母系の血統を少しずつ勉強し始めています。母系に脈々と流れる血の深さを知れば知るほど、父と母父ぐらいでしか血統を理解していなかった自分が恥ずかしくなります。ぜひこれからもまた色々と教えてくださいね。

「配合の中にある究極のスピードを生かすにはそのバックボーンに異種のステーヤーの血が必要だ」というルドルフおやじさんのご指摘、まさにその通りだと思います。スプリンターズSは中山競馬場の芝の状態が最高に良い時に行われるため、スタートしてから究極のラップを刻み続けるスピードレースになります。そうした中で、最後の最後まで究極のスピードを維持しつづけるためには、どうしても力強いスタミナの血が必要になります。バンブーメモリーもフラワーパークもサクラバクシンオーもそうなんですね。この傾向はスプリンターズSの開催が9月になって、さらに強まった気がします。

この手紙を書いている今、関東ではまだ小雨がパラついています。もしこのまま降り続けば、野芝がしっかりと根を張った馬場とはいえ、レースはパンパンの良馬場というわけにはいかないはずです。現時点ではやや重~重馬場という前提で考えています。とすると、どうしても前に行ける馬、特に逃げ馬にかなり有利なレースになります。平成12年のダイタクヤマト、平成16年のカルストンライトオ、平成18年のテイクオーバーターゲットと、道悪になったスプリンターズSは全て逃げ馬が制しています。ここまで来ると、もはや偶然ではありませんね。必ずしも逃げ馬でなければならないということではないと思いますが、前に行けない馬の勝機は少ないでしょう。

どれだけ行き切れるかということを考えると、アイビスサマーダッシュといレースが大きな意義を持って現れてきます。かつてはカルストンライトオという馬がアイビスサマーダッシュを制した勢いで重馬場のスプリンターズSも連勝しました。今年のアイビスサマーダッシュを振り返ってみると、勝ったサンアディユと2着のナカヤマパラダイスは差した馬なんです。どちらもラスト400mくらいからエンジンが掛かって先行集団を飲み込みました。ということは、前に行った馬にとってはかなり厳しい展開だったということでもあります。レースをよく見ると、最後は差されてしまいましたが、前に行って最後まで粘ったクーヴェルチュールとアイルラヴァゲインはかなり強いレースをしたことになります。重馬場のスプリンターズSということで考えると、この2頭は当然マークが必要です。

本命は◎アイルラヴァゲインに打ちます。もし良馬場であれば、この馬の勝ち目はないと考えていました。たとえ8分の出来だったとしても、前走のセントウルSで勝ち馬と同じ位置からあれだけ離されてしまったレースに不甲斐なさが残りましたからね。たとえ展開や条件が好転するとしても、良馬場ではサンアディユを逆転するのは相当に難しかったのではないでしょうか。しかし、重馬場で行われるという前提で考えると、行き切れるスピードを持っているということ、そして中山の最後の急坂をこなせる牡馬のパワーがあることを評価します。アイビスサマーダッシュ→セントウルSとステップを踏んで、ここに照準を絞って順調に調整されてきています。母系にはこれといって特筆する馬がいませんが、重馬場の凱旋門賞を2着したエルコンドルパサーの血を引く馬ですから、こういった馬場は得意とするところでしょう。松岡騎手には内枠を引いた利を生かして騎乗してもらいたいですね。

同じくらい魅力的なのがクーヴェルチュールです。レースセンスの良い馬で、スタートも抜群、テンも速く、スッと好位につけられますので、自分でレースを作ることができます。サマースプリントシリーズを捨て、セントウルSをスキップしてここに照準を絞ってきただけあって、最終追い切りの動きを見ても完璧に仕上がっています。直線に坂のある中山コースだけが不安材料でしょうが、春当時に比べ気性、馬体共に格段に成長した今なら、という思いがあります。

また、ルドルフおやじさんのおっしゃるように、クーヴェルチュールの母系は種正から出る系統です。種正は下総御料牧場がイギリスから輸入した繁殖牝馬で、第2回ダービー馬トクマサ(父トウルヌソル)の母として有名ですね。種正は7頭の後継牝馬を残していて、その中でも特に成功したのがダイオライトを父に持つ神正です。ダイオライト自身はマイラーでしたが、種牡馬や母の父としては力強いステイヤー血統として成功しました。ダートや重馬場に強い力のある血脈なので、母系にこのダイオライトが入ると大レースでの底力が補強されます。たとえばスペシャルウィークの母系にも、ダイオライトが入っています。このように種正→神正からの血を絶やすことなく繋げてきた結晶がこのクーヴェルチュールでしょう。もちろん、父ブラックホーク(父父ヌレイエフ)からも力の要る荒れた馬場、重馬場、ダートにも強く、単なる早熟ではない成長力を受け継いでいます。まさに雨の降ったスプリンターズSを勝つために生まれてきたような馬です。

サンアディユの音無調教師が「自分の競馬が確立していないので不安はある」とコメントしていましたが、その気持ちはよく分かる気がします。前走のセントウルSは差す競馬を予定していたものの、スタート良く飛び出したために2番手の競馬になってしまいました。それで揉まれずに済んで、結果的に圧勝に繋がりましたが、内心は複雑だったはずです。先行すべきか差すべきか。今回はおそらく出たとこ勝負で、川田騎手としては出来るだけ前に位置取りをしてくるはずです。そうした時、周りの騎手もマークしてくるはずで、前走のようにはスムーズに運べない可能性は高いのではないでしょうか。厳しいペースの中で揉まれて、精神的に嫌気を出して凡走してしまうことも十分に考えられるでしょう。もちろん、前走をあれだけのタイムで走った馬ですのでノーマークには出来ませんが、本命までは打てませんでした。

当初はスズカフェニックスに本命を打つつもりでした。こういうスピードの勝ったマイラーがスプリント戦に狙いを定めてきた以上、そう簡単には負けないからです。本質的には軽い瞬発力で勝負するマイラーですが、高松宮記念では自ら動いて勝負できる持続力もあることを証明しました(スプリント戦だからですが)。安田記念はマイル以上のスタミナを問われて負けてしまいましたが、最後まで伸びてきているように、ようやく本格化してどんな状況でも力を出し切れるようになりましたね。このメンバーでは力が一枚も二枚も上ですので、馬インフルエンザの影響で調整が遅れて急仕上げだとしても、問題なく勝ってくれるはずだと思っていました。

ところが、残念なことに、馬場が渋ってしまいそうですね。これまでのレースが示すとおり、馬場が悪化してしまうと後ろから行く馬にとっては厳しいレースとなります。高松宮記念で勝っているように、決して道悪を苦手とする馬ではありませんが、スプリンターズSはレースの性格上、どうしても雨が降ると前に行った馬が有利になってしまいます。急仕上げで体調が100%でない上に、馬場にも恵まれないとなると、スズカフェニックスにとっては二重苦です。ということで、スズカフェニックスは泣く泣く評価を落としました。

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さよならはなしよサンアディユ 

Rudolf

お返事ありがとうございます。今回は、例の茶番劇のせいで普段にも増して憂鬱になっていたのですが、前回の手紙に対する読者からのコメントで、なんと、なんとですぞ、「自由穴党」党首から激励の言葉を頂戴して少し元気になった次第です。正々堂々、「国民血党」幹事長代理補佐の手下として論戦を繰りひろげてみようかと思いまする。

まずインフルエンザの件、治郎丸さんのおっしゃるとおり!肝心なことを説明しないのがお上なんですな。どうでもよいことはくどくど説明して時間をかせぐ。こうなったら、このおやじが馬インフルに罹患してみせようか?いいのかい?いいのかい?いいのかい?・・・。発生源を突き止めるのは極めて難しいと聞くがそれならそうと正直に説明すればいい。いまだに出走取り消しってえのがやけにめだつじゃないか。

うむ、うむ。ケイエスミラクル、忘れていました。もう16、7年前のお話ですか。ケイエスミラクルが倒れた、第2回G1スプリンターズSの勝ち馬のダイイチルビーはキューピットの末裔でしたね。大好きな血統だったんで迷わず本命にしてました。迷ったのは何万と見た馬名のなかでも、とびっきりの粋を感じたナルシスノワール。ミラクルの勢いをとるかナルシスの粋をとるか、ミラクルの勢いをとってしこたま負けた悔しさだけを覚えている、情けないおやじです。

ちょっと気になってミラクルの血統をのぞいてみました。クラフティープロスペクターの近親で似通った血の配合の持ち主でした。クラフティープロスペクターはAデジタルなどでおなじみになった種牡馬ですが、日本で彼の走りをイメージできる人はまずいないでしょう。これからは血統表にクラフティーの名を見つけたら、奇跡の名馬ケイエスミラクルを思い出せばいいのですね。

唐突な質問でごめんなさいね。ハイペリオン系の母系にエルバジェ系の種牡馬がかけられるとどんな馬が誕生するでしょうか?

春の天皇賞やステーヤーズステークスを悠々と走っていそうな馬を想像しますよね。実はこれ、第1回G1スプリンターズSの勝ち馬、バンブーメモリーの配合なんです。G1スプリンターズSを彩った名スプリンターには、名ステーヤーの血が生かされています。短距離の名牝フラワーパークにはダイクというこれもエルバジェ系の種牡馬がかけられていますし、最強馬バクシンオーにもアンビオポワーズというステーヤーがかけられています。バクシンオー産駒の中にハードルで活躍する馬がいるのもうなずけますね。配合の中にある究極のスピードを生かすにはそのバックボーンに異種のステーヤーの血が必要だということ、ちょっと注目してみたいですね。

クーヴェルチュールはスプリンターズSの申し子のような血統です。父はスプリンターズSの勝ち馬、ブラックホーク。彼も母父にシルバーホークというスタミナのある種牡馬をもっています。そして母系はバンブーメモリーと同じ「種正」から出る一族です。洋芝で力の必要な北海道の競馬で活躍できたのは、まさに血のなせる業。底力血統というのならこの馬が1番。サマーシリーズ組のなかでは、ぜひ買ってみたい1頭です。

サマーシリーズのなかで、というよりも日本のレースの中でアイビスSDというレースのもつ意義は大きいと思っています。それはアイビスが直線だけで競われるレースだからです。欧州にあって日本にないもの、かつてはこの直線だけのレースでしたね。ごまかしの効かないところで競ってこそ、真の実力は磨かれます。アイビスを強い競馬で勝ち上がる馬というのはなかなかの実力者だと思っています。カルストンライトオーを忘れてはいけませんね。アイビスのサンアディユは他馬が外埒を頼って走るのを尻目に、馬場の悪い大内(?)をついて差しきっています。このとき最も馬場の良い大外の埒をたよって先行したのがアイルラヴァゲインです。セントウルSでついた5馬身差は両者の実力の違いを物語る着差ではないでしょうか。

サンアディユの母系はすばらしいですよ。アックアック系の種牡馬ユースがかかっている。この血統こそ貴重な血統です。この手紙でよく出てくるテディー系よりも希少価値はあるんじゃないのかなあ。日本でこの直系をみることはほとんどありません。ブロードアピールという凄まじい末脚を繰り出していた馬が日本での直系の活躍馬です。サンアディユの素晴らしいスピードと爆発力はアックアックに由来してるんじゃあないかしら。

北九州記念の敗因は治郎丸さんのおっしゃるとおり、「揉まれてどうか」です。父のフレンチは母系のプリンスローズの気難しさと勝負強さを両方伝える種牡馬だと思います。よく言われるようにフレンチ産駒が東京コースに良績を残すのはレース中にストレスを感じなくてすむからなんでしょう。サンアディユはプリンスローズのクロスを何本かもっています。狭くコーナーのきつい中山コースのG1はやはり心配です。ただ今回は他の馬も弱みを抱えている馬が多いので、アディユの弱点より強さが目立ちます。

アディユは仏語で「さようなら」サンは前置詞のsansかなあ、withoutと同じような意味なので、「さようならはなしよ」という、今回の茶番劇をチクリと皮肉る馬名だったのですね。じゃあ、おやじの本命はこれで決まり!まだ枠はわからないのですが、内なら2番手につける競馬を、外枠なら思い切って大外を差す潔い競馬を希望します。

アストンマーチャンの前走はマーちゃんの強さを十分に感じさせてくれた内容でした。あのハイペースで飛ばして4角から先頭に並びかけようというのですから。しかし、そこからはさすがに息がもたなかった。今回はひと叩きされて折り合いもつくでしょうし、息ももつはずです。G1マイルでウオッカと接戦を演じた力は、このメンバーだと「格」が違います。かわいい名にふさわしくないゴツゴツした体つきはまさにスプリンターのものですね。4角過ぎで先頭に立ってそのままというシーンもあるのかもしれません。母系にはサンインロー系(エルバジェの祖)の種牡馬がかかっていました。

おやじはSフェニックスの高松宮を高く評価しています。きちんとスピードにのって中段より前目を進み最後に2馬身突き放すとは見事なスプリンターです。ここで宮杯に出走した連中に負けることはないでしょう。ただこれもアディユと同じようにプリンスローズをもっているので東京コースむきではあります。まあ、フェニックスのイメージとは程遠いハゲタカではありますが、どこかの「美しき国」の新首相も復活した政治家ということでちょいと怖くなってきました。

イイクニツクロウカマクラバクフ、なぜか遠い遠いむかし唱えた呪文を思い出しました。
イイクニツクロウカマクラバクフ、
イイクニツクロウカマクラバクフ、政治決着のときが近づいています。投票はお早目に。

◎サンアディユ (さよならはなしよ、前首相)
○Sフェニックス(よみがえるハゲタカ新首相)
▲マーちゃん
△クーヴェルチュール
△アイルラヴァゲイン
×キングストレイル(考えても考えても分かんないときは取り敢えず買っておこう)

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サンアディユは揉まれてどうか

Jiromaru

「ダービー馬のオーナーになることは、一国の宰相になるよりも難しい。その難しさは、ペーパーオーナーとて同じ。しかし、難しいと言われれば、チャレンジしたくなるのは人の常である」として昨年初めて挑戦したPOGですが、1位指名のフサイチオフトラが新馬を快勝し、札幌2歳Sで4着に好走したのがまるで昨日のように感じられます。今年は私たちのPOG指名馬であるポルちゃんが札幌2歳Sで走りますね。大物なんて騒がれていますが、周りに流されることなく、まずは堅実に健康に完走してもらいたいものです。

政界の茶番劇もそうですが、JRAの馬インフルエンザ騒動にしてもお粗末なものでした。まるで何事もなかったかのように流してしまうのは、いかにも日本人らしい解決法だと思いますが、果たしてこのままで良いのかという不安を感じます。マスコミが騒ぎ、情報通が演説をぶっただけで、結局、JRAからの肝心な情報は何一つ流れて来なかった気がするのは私だけでしょうか。

まあ、一番の被害者は、まるっきり予定を崩されてしまった馬とその関係者たちでしょうね。特に、海外に遠征しようと予定していた馬たちは、その心意気が泡となってしまい、大変気の毒に思います。その1頭であるメイショウサムソンは、何としてでも今年挑戦したかったでしょうね。高橋成忠調教師も、まさかこんなことで全てが白紙に帰すとは思ってもみなかったことでしょう。出走回避のコメントからも、無念の思いが伝わってくるようでした。

そういえば、高橋成忠調教師はあのケイエスミラクルも管理していたのですよね。日本脳炎を奇跡的に克服してデビューした馬で、名前はそこに由来しているのですが、レコードを連発して活躍したスーパースプリンターでした。平成3年のスプリンターズSで1番人気に推され、4コーナーを抜群の手応えで回って楽勝かと思った瞬間、左第一趾骨粉砕骨折で予後不良となってしまったレースは今でも伝説です。脚を引きずったケイエスミラクルのすぐ横を、ダイイチルビーがあっと言う間に抜き去っていったシーンを、私は今でも忘れられません。競馬における勝負の世界の厳しさと残酷さを初めて思い知ったのが、あのレースだったような気がします。

スプリンターズSの開催時期が9月の頭に移行したのは、このケイエスミラクルの死がきっかけとなった部分が大きいと思います。実際に移行されたのは9年後になりますが、厳寒期に極限のスプリント戦を行うことの危険性を、多くのジョッキーやファンたちが唱え続けた結果ですね。マイルCSの後にスプリンターズSがある方が、ローテーション的には完成度が高く、面白いのですが、馬の脚元のことを考えると、9月の頭に移行して正解だと思います。

さて、今年のスプリンターズSは外国馬の参戦もなく、どうしても小粒なメンバーであることは否めません。そもそも、スプリンターズSの時期が移行した7年前から、スプリンターとマイラーの分極化が進み、小粒なメンバーしか出て来なくなったのですが、今年はそれをさらに小粒にした感じがあります。フルゲートに38頭が登録したように、混沌としたレースになりそうな雲行きです。

この時期に行われるG1レースにおいては、いかに夏を順調に越せたかが大切になってきます。なんらかの事情があって始動が遅れてしまった馬や、先に目標がある馬では、余程力が抜けていないとこのレースを勝つことは難しいはずです。今年は馬インフルエンザ騒動の影響で入厩が遅れてしまった馬も多く、調整過程が狂ったスズカフェニックスやコイウタ、ペールギュントなどは苦しいレースを強いられそうです。

その点だけで言うと、ルドルフおやじさんの挙げた4頭は順調に来ていますね。キンシャサノキセキはスプリンターだと思っていますので、私も期待していたのですが非常に残念です。出走してくれば、間違いなく勝ち負けにはなっていたはずです。

「信」の馬、サンアディユは前走セントウルSを5馬身差と、まるで別馬かの圧勝でした。この馬は直線競馬でも勝利しているように、揉まれないレースが出来た時は好走していますね。北九州記念は馬群にもまれてしまったことが敗因です。すんなりと先行することが出来れば、パワーに支えられたスピードがありますので、ちょっとやそっとじゃ止まらないでしょう。フルゲートの競馬になりますので、スムーズに走ることが出来るかどうかがポイントです。枠順にも左右されるかもしれません。サマースプリントチャンピオンがG1でどういう走りをするか注目です。

アイルラヴァゲインはスプリンターズSに向けて、最も順調に調整が進んでいる馬なのではないでしょうか。サマースプリントシリーズを叩き台として、休み明け3戦目で本番を迎えることができます。先行力も武器になるコースですし、最後に急坂が待ち受けているコースですので、この馬の持ち味であるパワーが最大限に生かせるはずです。ピリッとした脚はない馬ですので、あとは先行してどこまで持ち応えることができるかどうかでしょう。そのためには、好枠を引いて、ロスなく前半を乗り切ることが条件となります。

1番人気は武豊騎手のスズカフェニックスでしょうか。この馬はマイルの距離でG1レースを勝つには少しだけ底力が足らない馬ですね。マイルをこなせるスタミナは十分にあるのですが、やはりG1レースになると道中の流れも厳しくなりますので、字ヅラ以上のスタミナを要求されることが多く、中距離も走られる強いマイラーとマイル戦で戦うと分が悪いのです。そういった意味で、スズカフェニックスはスプリント戦ではかなり強いスプリンターであるとも言えますね。あとは仕上がりの問題だけでしょう。春は叩いて良くなった馬だけに、調整遅れをどこまで取り戻してくるでしょうか。

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「徳」の馬、「信」の馬

Rudolf

治郎丸さん、そしてガラスの競馬場の読者の皆様、お元気ですか。
おやじは・・・・・・怒ってます。

チャーチル曰く、「一国の宰相になることよりもダービー馬の馬主になることのほうが難しい」。ノーベル文学賞を、第2次世界大戦の戦史で受賞したウィンストン・チャーチルの言葉は名言の宝庫で、有力な馬主でもあった彼ならばいかにも言いそうな言葉です。ここに込められた機知と皮肉の味付けは最高ですね。この言葉を聞くと、このおやじは自分が褒められているように感じられてなぜだかうれしくなってしまいます。おっちょこちょいはいつまでたっても治らない。ところが、どうもこの言葉、チャーチルの言葉ではないようなんですな。

救国の英雄だったチャーチルが無類の選挙下手だったというのは案外知られていません。英国伝統の小選挙区で彼は幾度か落選しているわけなんです。救国の英雄という言葉が出ました。確かに彼は瀕死の英国を卓越した戦略で救った国民的英雄ですが、大戦後すぐに辞任に追い込まれ宰相の座を追われているんです。このことも案外忘れられているんじゃないでしょうか。「ああ、本当に疲れたよ」とうのが彼の末期(まつご)の言葉です。政治の世界で辛酸をなめたチャーチルが「一国の宰相よりも・・・」なんてよもや口にはしますまい。

一方、「美しい国」の宰相の座はなんとも軽いもんですなあ。人気が出ればかつがれて、落ち目になればポポイのポーイの捨て神輿(みこし)。己が保身と出世がすべての亡者がかつぎます。他人様のことなど何処吹くかぜの捨て神輿(みこし)。己が良ければすべてこの世はこともなし。哀れ、今は昔のうまし国。政変の茶番も早、出がらしとはなりぬべし。

第41回スプりンターズステークスの勝者は、今回の茶番とともに思い出されるはめになるのでしょうか。だとすれば余りに可愛そうだぞ。勝者に同情はまったくふさわしくはないのですが。

さて、今回の1番人気はどの馬でしょうか。キンシャサノキセキが出て来れなかったのは残念ですね。この馬は「美しい国」の宰相より人気があるんですから偉いもんです。1番人気にかつがれてはこける。こけてもこけても、またかつがれる。「美しい国」の宰相だったらポポーイのポイってところですがね。まあ「徳」があるってことですわ。

今回出ていれば10回目の1番人気になったはずで、いままで世間様のご期待にこたえたのはわずか3回。それでも人はついてくる。孔子曰く、「徳、孤ならず」と。 徳とは人を惹きつける力のことだそうです。マイルで甘くなるならスプリントでどうだという魅力。桂川ステークスでみせた本物のスピード。夏を休養にあててセントウルSをひと叩きしたという理想のローテ。魅力たっぷりでしたね。

そして何より南半球生まれの彼がいわば遅れてやってきたサラブレットだというのが、彼の魅力の源泉になっているように思います。そこには遅生まれというハンデを背負う者に対する判官びいきの気持ちといつかサラブレットとして完成すればもう負けないぞという期待が込められているんじゃないかと思います。

対してセントウルSの覇者、サンアディユは15戦して1番人気に推されたのはわずか3回。7勝もあげていることを考えると、どうやら彼女は走っても走っても人気の出ない馬の典型のように思われます。かわいそうなアディユちゃん。捨てられても捨てられても健気に走ってるじゃないか。しかも1番人気に推された3戦では3勝。憎まれるいわれはないぞ。きちんと信頼にこたえている。今回の茶番劇で「信の国」を目指す、なんて言う政治家がおられたが、まずアディユちゃんに「信」の意味を尋ねてほしいものですな。がっはははは。でも、やはり夏を走りぬいてきたローテから今回も1番人気に推されることはないのかなあ。しかし+18キロでセントウルSを楽勝した彼女をここで見限るとまた痛い目に遭いそうな・・・・。

アイルラヴァゲインはレースぶりに人柄(馬柄)が滲み出ています。先行していつも一生懸命に走ってくれますね。セントウルSは残念な結果に終わりましたが、3番人気以内に推されて3着以内に入る確率は7割近くになります。金になる馬です。こういう人に税金のことは任せたい。パワータイプのごつごつおやじのように思われがちですが、2歳にして6ハロン1分7秒台の時計を刻んでいることは忘れてはならないような気がします。

夏競馬でも3歳牝馬の勢いは止まりませんでした。春先に3強といわれた、マーちゃんがここに登場するのはとても楽しみです。アイドルってのはちょいと軽薄だけど世間の憂さを忘れさせてくれていいじゃないですか。こんなことを言うのは、マーちゃんは8回走ってまだ4回しか1番人気に推されてないからなんです。世間様はまだマーちゃんの実力を認めてないということ、まだマーちゃんはアイドルにすぎないんです。しかし、アイドルから実力派へというのはよくある話。女の子のマーちゃんには失礼ですが、前走の重戦車のような体つきを見ていると、実力派スプリンターへの脱皮も近いかなあと思いました。

「徳」の馬、キンシャサノキセキ。
「信」の馬、サンアディユ。
走る金庫番、アイルラヴァゲイン。
アイドル、 マーちゃん。

「徳」の馬、キンシャサノキセキは走りませんが、おやじが気になっているのはこの4頭です。待てよ、今回の茶番の主人公たちは皆、首相の息子や孫たちじゃないか、そうすると極めつけの良血、キングストレイルっていうのも考えておくべきか。競馬の神様はチャーチルより皮肉屋ですから、おまえたちがやってることはこんなことなんだぞと思い知らせるかもしれません。

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◎メイショウサムソン

Jiromaru_41

62年前のちょうど今日、沖縄では事実上、戦闘が終結したとされています。当時、沖縄県内各地で起きた日本軍の強制による(といっても過言ではない)集団自決の問題が、今年の歴史の教科書から強制削除されたそうです。こうやって、日本はどんどん美しい日本になっていくのでしょうね。私たちの競馬の歴史教科書にはたくさんの事実があってもいいですが、高校生が使う歴史の教科書には真実を載せて欲しいものです。ちなみに、私の競馬の歴史教科書では、平成10年天皇賞秋はサイレンススズカが7馬身差で逃げ切っています。

宝塚記念の本命は◎メイショウサムソンに打ちます。放牧でリフレッシュしたことにより、今年に入って完全復活しました。昨年の秋は体調面が優れませんでしたね。夏を放牧に出さずに、自厩舎で過ごしたことが裏目に出て、精神面に悪い影響を与えていたようです。それでもほとんど負けていないように、この馬の忍耐力には恐れ入ります。

前走は速い時計で走りましたので、さすがにレース後は疲れが出たようですが、それがかえって良かったのではないかと思います。中間で疲れを出さなかったばかりに、レースに行って疲れが噴出してしまった馬を何頭も見てきましたから。そういう面では、2ヶ月という間隔もピッタリだったようで、怪力サムソンの「体調」は順調に回復しています。

前走の天皇賞春は直線が平坦な京都コースで切れ負けすることを心配しましたが、自ら動いて、まさに肉を切らせて骨を断つという強い競馬でした。京都競馬場の長距離戦をサムソンが勝つにはあの乗り方しかないはずで、石橋騎手の見事な騎乗でもありました。前走に比べ、最後の直線に坂のある阪神コースは、安心して乗ることが出来るはずです。最後の直線で一気に来られることがない分、パワーでねじ伏せる競馬が出来ます。

また、宝塚記念は上がりがそれほど速くはならないレースになることも、持続力で勝負する怪力サムソンのようなタイプの馬には味方します。今の阪神の馬場は速いですが、全体の上がりが35秒を切ることはないでしょう。コンスタントに34秒台で上がることの出来るサムソンにとっては、敵は外枠だけでしょう。枠順はもう変えられませんので、いつでも動ける枠で有利だと、かえってプラスに考えて乗って欲しいものです。鞍上が自信を失うと、それは馬にも伝わりますから。全ての馬を受けて立って、勝って凱旋門賞に行ってほしいですね。

ウオッカは、33秒台の脚を使って勝った反動が出るはずです。実は、桜花賞もこの理由で2着に敗れています。2mmの歯鉄のついた蹄鉄を履いてあれだけ強烈な脚を使えば、たとえ目に見えなくとも、反動が出て当然です。その反動の限界を超えて、走ってしまうと馬は壊れてしまいます。ウオッカは歴史的な名牝であることは間違いありませんが、それと同時に1頭のサラブレッドです。この馬のポテンシャルから考えると、反動が出ていても好勝負になることは確かですが、何とか無事に負けてくれることを祈ります。

また、宝塚記念は、芝のG1レースの中で最も上がりの掛かるレースのひとつとして記憶しています。逃げ先行馬が多い今年のメンバーを見渡しても、ハイペースはあっても、スローペースは望めません。おそらく35秒後半の上がり時計での決着となるはずで、そうなると、ウオッカが瞬発力勝負で制したダービーとは180℃異なるレースの流れになります。これまでスローの展開しか経験したことのないウオッカにとっては、とても苦しく良い経験になるでしょう。

また、どうしてもウオッカに注目が集まりますが、カワカミプリンセスという世代を代表する牝馬も、果敢に挑戦してきています。スピードや一瞬の切れだけで勝負する女らしい牝馬ではありませんので、前走のヴィクトリアマイルのような軽いレースは不向きでしたね。体調イマイチだった前走をひと叩きされて、状態は上がってきています。巻き返しを期待できるはずで、今年の宝塚記念の台風の目になるかもしれません。

アドマイヤムーンは3歳時から素晴らしい末脚を持っていましたが、今年に入ってからの充実振りは目を見張るものがあります。私も京都記念のアドマイヤムーンを見て、更に強くなったことを実感しました。行かせたわけでもないのに、中団の位置が自然と取れたように、体全体に力が付いてきたのだと思います。体に力が付ききっていなかった頃のレースでは(たとえば天皇賞秋)、後ろから行って、直線で追い出されてからもフラフラしていましたからね。ドバイデューティーフリーで見せた強烈な切れ味は、世界を戦々恐々とさせたはずです。

前走はドバイデューティーフリーの反動が出ていたようですね。武豊騎手の騎乗ミスでは決してありません。馬に行く気がなかったことと外枠がアダとなりましたが、それでも3着に入っているように、どんな状況でも一生懸命に走る馬ですね。生き物であるサラブレッドにはバイオリズムというものがあって、いつも勝てるというわけではありません。こんな当たり前のことを理解しない人がいることを、武豊騎手も悲しく感じていることでしょう。

ドバイ→香港という輸送続きで、「体調」が気になりますが、追い切りの動きを見る限りにおいては、全く心配はなさそうですね。そうなってくると、この馬の勝ち目も見えてきますが、後は展開が向くかどうかですね。スローの瞬発力勝負になれば、この馬には大きなチャンスが訪れますが、ペースが速くて、スピードの持続力を求められる展開になってしまうと、末脚が不発に終わることも考えておかなければなりません。おそらく逃げるであろうアドマイヤメインのペース次第といったところでしょうか。果たしてアドマイヤメインはスローに落として逃げることが出来るのでしょうか。

ルドルフおやじさんの印があまりにも潔いので、びっくりしてしまいました。
アドマイヤムーンVSメイショウサムソン

展開と枠順が勝負を左右することになりそうです。

追記
その他の有力馬情報に関しては、メルマガ「馬券のヒント」にて配信させていただきます。日曜日の9時までにご登録いただければ、宝塚記念の配信に間に合うはずです。

メルマガ「馬券のヒント」へは、利用規約をご一読の上、以下のフォームからご登録ください。


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Mrプロスペクター系エンドスィープの後継としてアドマイヤムーンは勝っておきたい

Rudolf_43

サイレンススズカは「音速の貴公子」っていうんですね。宝塚が彼の唯一のG1タイトルだったとはまさに意外でした。おやじは肝心なところを見てないくせに、彼のデビュー当初のことだけはしっかり覚えているんですよ。何ともいえない不気味な雰囲気を漂わせる馬でしたね。サンデーの本当に走る馬ってこんな雰囲気を醸し出す。おやじはヘイローの血だと思っています。今更のことではありますが、スズカの宝塚記念はみたかったなあ。

さて、どうも週末は雨模様のようですね。いつもはそれだけで落ち込んでしまうんですが、今回はそれがどうしたっていう気分なんですよ。コース不問、展開不問、枠順不問、そして晴雨不問ってのが名馬の条件です。これだけのいい馬がそろって、日本一や凱旋門遠征という大儀を背にして戦うんでしょ。晴れじゃないと勝てない最強馬でどうする。重馬場の宝塚を勝てないような馬が欧州へ行っても仕方ない。雨でむしろすっきりした!馬鹿おやじの心は晴れ晴れしています。

治郎丸さんの馬体評価を読んで、アドマイヤムーンの◎に迷いはなくなりました。使い減りするタイプのようで少し心配しましたが、体調はまずまずのようですね。プライドを苦しめた香港Cのムーンのレースぶりは秀逸でした。有馬記念でディープと対決するのを楽しみにしていたんですが、馬がガレておやじの夢は叶いませんでした。半年も待たされたムーンの◎ということで、今回の◎は実にうれしい◎なんです。この年になってお恥ずかしい限りの◎。

2月の暖かい雨の降る日、ムーンは京都記念のパドックに500Kをはるかに上回るように見える逞しい馬体で現れました。(実際は480Kそこそこしかありませんでした)薄手で切れを感じさせる昨年春の馬体のイメージが強かったので、すこし驚かされました。ドバイDFを勝ったあと、武騎手も「去年の秋から馬が変わった」とコメントしてましたね。本来の切れ味を出せる馬体に、パワーがプラスされました。夭逝した父の天才種牡馬エンドスィープも、他の名種牡馬と同じようにBS(母の父)のポテンシャルを最大限に引き出せる種牡馬です。ムーンの成長力はBSのサンデーに支えられているんでしょうね。

レース振りも京都記念やドバイDFでは先行馬を睨みながら差すという、それまでの追い込み一辺倒だったレースぶりとは一変してます。パワーが増したことで堅実なレース運びが可能になりました。今回は岩田騎手の騎乗ということでさらに積極的な競馬になると思います。今のムーンに最も相応しい騎手かな。エルコンドルも逝った今、ミスタープロスペクター系の血は最も望まれている血ではないでしょうか。Mrプロスペクター系エンドスィープの後継としてムーンは今回の宝塚を是非とも勝っておきたいところです。ちょっとムーンも気味悪い馬だなあ。

基礎牝馬のなかで今尚その勢力を誇示しているのがフローリスカップです。48回を数える宝塚で最も素晴らしい馬たちをそろえた今回の宝塚で3頭、サムソン、ウオッカ、そしてインティライミーの父スペシャルウィークが、血統表の中でフローリスカップ系として再開を果たします。因果は巡る風車。

サムソンの天皇賞はよかった。ああこの馬、ディープより弱いけれども素晴らしく強い馬ですね。今畜生! おやじのムーンを負かすかもしれない。だって負けない馬ですもの。ムーンは勝つ馬、サムソンは負けない馬、さあどっちだ。ラップとラップの隙間で闘争心をあらわにするこの馬、天皇賞では、差して抜かせないという剣の達人のような競馬をしました。シンザンだねえ。フローリスカップのなかでもサンキストは四半世紀に一度こんな大物を出します。おやじが前に見たのはアサクサエールという牝馬でした。スピード感はないがこんな馬が強い馬ですね。配合もNダンサーの強さにフォルティノの切れ味と悍性(かんせい)の強さ、それに隠し味トサミドリの底力と、文句なし!しまった、これ治郎丸さんの◎だったんですね、褒めるのやめとこっと。

ウオッカはフローリスのなかのスピード自慢、シラオキの血統ですね。カミソリの切れ味と伯楽がいったコダマもこの一族です。デビュー当初は、なんともゴツゴツした馬で、これがシスタートウショウの一族か、と馬鹿にしたもんですが、ダービーでは研ぎ澄まされた馬体を見せて、シラオキの本性を剥き出しにしてました。おやじは馬体減でアウト、なんて決めつけてのんきにビールをのんでましたが・・・・。それにしても一頭際立ったレースをしたものです。今回の宝塚挑戦はルドルフの菊花賞のあとのJC挑戦を思い出せばいいんでしょうか。ウオッカは宝塚のはるか向こうに見える地平を見ています。弱点は過剰な切れ味でしょうね、桜花賞は自らの才能に負けてしまいました。

インティライミはディープさえいなければという名馬です。残念ながらディープにつぶされてしまいましたね。ダービー史上最も美しい競馬をしたダービー2着馬として心に秘めておこう。この馬の父がシラオキから出ていることも忘れないでください。

Dメジャーも人気しますか。「宝塚の適性は有馬の適性」とはおやじの家に248年間伝わる家訓です。昨年の有馬記念で3着になっている。でもちょっと外枠がいやだなあ。

ポップロック。「宝塚の適性は有馬の適性」です。しかも強くて軽いよい配合は魅力的。

シャドウゲート。金杯でこの馬の圧勝ぶりを見たときタマモクロスをふと思い出しました。隠していた能力をちょっと見せてやったという勝ち方。この血統は怖いですよ。ポツポツポツポツポツポツ走る馬を出し続けている。ダイナコスモスが皐月賞を制したあとこの血統からG1馬は途絶えていますが、ミュゲロワイヤルやクラフト兄弟など潜在能力の高い馬がこの血統からでています。祖母のカッティングエッジも非常に強い馬でした。シンガポールで見せた馬群の外めを先行する力はかなりのものです。この馬には賭けで大切なソロソロの魅力があります。

川上プリンセス。この馬が惨敗してスイープトウショウが調子落ちするようなヴィクトリアMCっていうのは罪なレースかもしれない。この馬は好きなタイプの馬なので今回は見守るほかないと思っています。

スイフトカレント。前走は強い競馬をみせました。きちんと折り合っているところをおやじは見たわけです。強い馬だが渋ってどうか、晴雨不問という名馬の条件に照らしてみて今回は見送りたいと思います。

アサクサキングス。3歳牡馬の中ではかなり強い馬だと思います。底力が売りの血統ですね。福永騎手も父の幻想からすっかり解放されましたねえ。

ソロソロ、結論といきますか。

◎アドマイヤムーン

以上です。

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ウオッカの挑戦に感謝

Jiromaru_40

私もずいぶんご無沙汰していた気がします。いつも素晴らしいお手紙をありがとうございます。面白くて、何度も何度も読み返していますよ。

これだけ長く競馬を見続けてきたルドルフおやじさんも、サイレンススズカやグラスワンダーの勝った宝塚記念はご覧になっていないのですね。「音速の貴公子」サイレンススズカが勝った唯一のG1レースが、この宝塚記念です。金鯱賞の伝説に残る逃げ切り(4コーナーで拍手が起きた!)後に臨んできたのですが、逃げ切りが難しい宝塚記念ではヒヤッとさせられました。しかしまた、弥生賞で寂しくてゲートをくぐってしまった馬が、これからどこまで強くなるのだろうと思わせられた瞬間でした。馬房の中をグルグル回ってストレスを解消する面白いクセのある可愛い馬でしたね。続く毎日王冠は、競馬史上、最も美しいレースのひとつです。まさかその次のレースであんなことになるとは…。サイレンススズカについては語っても語りつくせませんね。もしかすると、身体能力という面からいうと、ディープインパクトと同じもしくはそれ以上の馬だったかもしれません。

グラスワンダーが一番強く映ったのが宝塚記念でした。阪神の2200mという舞台は、まさにスピードとスタミナの究極の融合であったグラスワンダーという馬のためにあったのではないでしょうか。あのスペシャルウィークを、まるで赤子の手をひねるかごとくねじ伏せたんです(天皇賞春から間隔が空きすぎていたスペシャルウィークは、本調子になかったのですが)。スペシャルウィークに凱旋門賞に挑戦することをあきらめさせたくらい強かったんです。最後の直線で、的場騎手がパシっと入れた肩ムチがカッコよかったなぁ。

さて、夏に近い時期に移して12年目となりますが、今年の宝塚記念はおそらく史上最高の面白いメンバーが揃いましたね。まさに日本版のキングジョージです。強い馬が強いレースをした上で、怪我をすることもなくここに集結してきたことは、奇跡に近いような気がします。この奇跡が来年以降も続くよう、今年の出走全馬には何としても無事に走り終えて欲しいものです。

夏に近づきつつある体調管理の難しい時期だけに、今年の宝塚記念のポイントはやはり「体調」にあると思います。このレースで、春シーズンの目に見えない疲れがドッと噴出して、惨敗してしまう馬もいるでしょう。目に見えない疲れは、目に見えないだけに厄介です。これだけ強い馬たちが揃っていますが、どの馬が強いというレースではなく、どの馬の「体調」が良いか、どの馬が「体調」を崩していないかというレースになるのではないでしょうか。

そういう意味では、ウオッカの挑戦には拍手を送りつつ、その「体調」には不安を感じます。あの角居調教師が入念にチェックをして、問題ないと考えての判断だけに間違いはないと思います。ただ、フっと幻の光を見てしまうのもまた人間です。ダービーの時のようなワクワク感での挑戦はなく、何か魔が差したような挑戦をしてしまうこともあると思います。古馬と力比べをしたかったと調教師はコメントしていますが、現実的なことを言えば、ヨーロッパに行ってから古馬と走っても良いと思います。ということは、関係者の本音は、日本で最後の顔見せということでしょうか。そういうことであれば、私たちは感謝の意を持ってウオッカの挑戦を迎えなければなりませんね。ここは勝っても負けても、無事に行けば全ては良い経験になることでしょう。

ルドルフおやじさんのおっしゃるように、ウオッカはトキノミノルと違い、負けるべきところで負けている強かなお嬢さんですね。壊れてしまうのは、負けるべきところで負けないサラブレッドです。そういう意味では、ウオッカにとって、今回の宝塚記念は負けるべきレースです。お分かりになっているかもしれませんが、その理由は次回の手紙に書きます。

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賭けるということは何かを捨てること

Rudolf_42 →ルドルフおやじってどんな人?

ずいぶんご無沙汰していたような気がします。

サクラショウリのころから馬券を買っているので宝塚記念は新しいレースというイメージがあったのですが、もう今年で48回を数えることになるんですね。お前もずいぶん年取ったじゃないか。実は何年間か日曜日も仕事をしている時期があったので、グラスワンダーが圧勝した宝塚記念やサイレンススズカの宝塚記念など肝心なところを見てないんですよ。

そういえばハヤヒデとアイルトンの1点勝負と意気込んだ宝塚の馬券も仕事で買えなかったなあ。おやじの日曜日とお金を返してちょうだい。まあ、仕事のおかげでおまんま頂いているんだから、文句言っちゃあ、競馬の神さんにもしかられますな。

旧阪神2200Mコースというのはとてもよいコースだったんでしょうねえ。歴代の勝ち馬や2着馬を眺めていると、スピードとスタミナの調和のとれた良い馬がずらりと並んでいますね。変な話だけど、この手紙を書くまでずっと、グリーングラスが宝塚でサクラショウリやバンブトンコートをまるで赤子の手をひねるように下したと思い込んでいました。Sショウリが優勝した第20回宝塚記念のことです。実際に目の前でこのレースを見て馬券も買ったのに、いつの間にか現実と幻想がスルリと入れ替わっている。もしこの手紙を書かなかったら、このおやじの頭のなかで、永遠にGグラスはダービー馬や無冠の帝王に大差をつけて宝塚のゴールを走り続けていたことになります。案外、歴史というのはこういう虚実の交差するスリルのあるものなのかもしれません。一冊の歴史書や教科書で書かれる歴史なんていうのはないんじゃないかな。

さて今年は宝塚にどんな歴史の一幕が刻まれますか。話題も多いし、メンバーもいい。ここをステップレースにして欧州へ向かおうとしている馬もいるようですね。それにしても去年の宝塚はつまんないレースでした。なんて書いたらまた叱られるかなあ。天皇賞(春)を空前絶後の競馬をして圧勝したディープにとって、宝塚記念の勝利はどんな意味があったのでしょうね。このおやじにはその意味がさっぱり分からなかったので、つまんないなあと感じてしまった次第です。もし宝塚を使わなかったら、凱旋門賞はどうなっていたのかな、というおやじのような門外漢の「IF」でも少しは意味があるような気がします。大事の前の小事。ディープには凱旋門賞という大事を取ってほしかった。おやじの歴史教科書にはアイルランドで悠々と種牡馬生活を送っているディープインパクト号がギネスを呑んでいい調子になっている写真が記載されています。若いのにギネスの味がわかるってえのはいい奴だねえ。

ウオッカにとってはオークスは小事として捨て置くべきものだったんでしょう。賭けるということは何かを捨てることに他なりません。ウオッカがダービーを勝てたのはオークスを捨てたからですよ。捨てることの清々しさを思い起こさせてくれたというだけでもウオッカは有り難い馬です。ウオッカ曰く、「ちまちま流してちゃらにしようなんて思うなら、馬券買っちゃあいけねえよ、おやじ!がっははは。」一所懸命という言葉がもてはやされてますが、たまに捨てることの爽快さを思い出してもいいじゃないですか。なかなか捨てられるものではありませんからねえ。あっ、ウオッカはがっはははなんて下品な笑い方はしませんね。

治郎丸さんは、トキノミノルを思い出しながら、ウオッカの宝塚出走について少し危うさを感じているようですね。トキノミノルがなぜ幻の名馬といわれるか、それはダービーを勝ったからではなく、ダービーまでの9戦のほとんどをレコード勝ちで圧勝するという、大衆が求める幻想を体現し続けたからなんです。そうですねえ・・・

例えばモンローがずっとモンローを演じたり、ジェームズ・ディーンがずっとジェームズ・ディーンを演じながら、逝ったのと同じ危うさをトキノミノルは演じていたんです。トキノミノルの馬主が日本映画絶頂時の映画会社のオーナーだったというのは、おやじにはなるほどと思える話です。

ウオッカはダービー馬になるまでに2回も負けています。華やかな馬に違いありませんが、案外強かなお嬢さんかもしれませんよ。大丈夫なんてことは誰にもいえないんですが、ダービーから、キングジョージやアイリッシュダービーへ向かった欧州の3歳馬たちのことを思えば、今回の宝塚挑戦は決して非難されるべき挑戦ではないとおやじは思いたい。

1番人気はメイショウサムソンかな。メイショウサムソンはその名の通り、恐ろしい怪力の持ち主に成長して宝塚に登場しますね。サムソンは神によって怪力を授かりとその怪力で殺戮を繰り返すことを運命づけられた悲劇の主人公です。旧約聖書にあるサムソンとデリラの物語はなんとも悲しく恐ろしい恋の物語ですね。神戸新聞杯のゴール前で見せたメイショウサムソンの悍性(かんせい)の強さには驚かされました。まさに荒れ狂う神といった趣でした。

こういう馬と競馬をした馬はかわいそうです。調子を崩すか、骨折してしまう。目黒記念のトウカイトリックの衰弱ぶりをご覧になりましたか。あれは天皇賞のゴール前でこのおやじのために必死にサムソンに追いすがろうとしたせいなんですね。3歳時サムソンと死闘を繰り広げたDパスポートは骨折の憂き目にあっています。まだまだ「怪力」の被害をこうむった馬はたくさんいますが、それはおやじが印を打ったから骨折したり調子を落としたのではなく、あくまでサムソンが悪いのだと念を押しておきます。

サムソンにも弱点がありましてね、頭にかみそりを当てると「怪力」が失せてしまうんです。その弱点を聞き出したのが、恋人の「デリラ」だった。今回の宝塚には強烈な牝馬が3頭出ますが、果たしてサムソンの弱点を知っているのは、Kプリンセスなのか、スイープTなのか、ウオッカなのか、デリラはダレだ、ダレがデリラだ。3回言ってみよう!宝塚の答えが見つかるかもしれません。

サムソンは凱旋門に行くのですか。それならこの宝塚を勝って、日本の馬で最も強い馬であることの証を立てなくては・・・。最強馬の壮行会に過ぎなかった昨年の宝塚より1000倍面白い宝塚です。はたしてサムソンの殺戮の旅は続くのか、宝塚の最大のみどころです。サムソン、「明笑」とはいうものの、孤独な影のある馬なんです。

おやじはもちろんサムソンも応援しますが、サムソンの旅に立ちはだかる馬がいるんじゃないかと思っています。それは次回の手紙で書きましょうね。と、もったいぶらない。皐月賞の手紙で大阪杯のサムソンにオーラを感じた、と書きましたが、京都記念のアドマイヤムーンには「格」を感じました。この馬も凄い馬に成長しています。使い減りのするタイプで今回実力を発揮できるかは微妙なところなんでしょうが、今、日本で最も強い馬はこの馬だと思っています。この最上級の宝塚に2頭の仔を送り出す、奇跡の種牡馬、エンドスウィープの貴重な後継馬として、アドマイヤムーンにはこの宝塚を勝たなくてはならないという大儀があります。大儀と大儀のぶつかり合い、マツリダ、マツリダ、ヴァンゴッホ。はやくも馬鹿おやじは興奮しております。

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◎ダイワメジャー

Jiromaru_39

論理をユーモアで包み込んだような素晴らしい手紙、拝見いたしました。血統に関してのくだりも、大変参考になりました。最後の、グッド馬場(闘魂で失敗したので…)の部分には吹き出してしまいましたよ。ここの意味が分かる人は、相当なルドルフおやじフリークだなぁ。

事実上、今回がサンデーサイレンス産駒の最後の安田記念になりそうです。なぜサンデーサイレンス産駒は安田記念を勝てなかったかともう一度考えてみましたが、やはり、府中のマイル戦はスピードの持続が求められるからという私なりの結論に達しました。秋華賞をサンデー産駒が苦手とする理由と同じですね。また、安田記念は春の府中のブービー開催になりますので、少なからず馬場が傷んでいるということも関係しているのではないでしょうか。つまり、安田記念は軽さや一瞬の切れではなく、パワーとスピードの持続が試される、ある種、アメリカ型のレースになるということです。

ご存知の通り、サンデーサイレンスの産駒には、手先が軽く、一瞬の切れ味で勝負する馬が多いですね。しかし、サンデーサイレンスの凄いところは、そうではない特徴を持った産駒もたくさん出しているということです。だからこそ、芝やダートを問わず、スプリンターからステイヤーまで、数知れない一流馬を輩出してきているのだと思います。いるんですよね、サンデーサイレンスの産駒にも、パワーとスピードの持続が要求されるアメリカ型のレースに強い馬が。たとえば、今回の安田記念であれば、ダイワメジャーがそれに当たります。スズカフェニックスは、どちらかというと逆のタイプでしょう。

本命は◎ダイワメジャーに打ちます。前走のドバイデューティーフリーは、この馬に向かないヨーイドンの競馬になってしまったので、残念な結果には終わりましたが、幸い疲れは残らないレースでした。だからこそ、この中間も調整がしやすかったはずで、順調に来ている様子が窺えます。昔はビッシリと追い切られていた馬ですが、本格化してからは、馬任せで十分なぐらい、調教でも良い動きをするようになりましたね。今週の最終追い切りは珍しくビッシリと追われ、安定感のあるフットワークで完全に仕上がりました。

もちろん、この馬にもたくさんの不安材料はありますよね。まず、外枠からレースの主導権を取りたかったはずですが、内枠を引いてしまいました。これで3年連続で内枠を引いてしまったことになりますが、日本には、「2度あることは3度ある」と「3度目の正直」という、相反する2つのことわざがあります。私は後者のことわざの方を選択してみたいと思います。多少のロスがあるかもしれませんが、安藤騎手のことですから、どこかで外に出すチャンスを見逃さないでしょう。

ルドルフおやじさんのおっしゃる、後ろから差されてしまうというイメージもよく分かります。もしパワーとスピードの持続力のある強いマイラーがいたら、安田記念の舞台ではダイワメジャーも苦しいはずです。昨年のブリッシュラックのように一気に来られてしまうと、競って強いこの馬の良さが出ませんからね。ただ、今回のメンバーを見渡す限り、ダイワメジャーよりも強いマイラーが見当たらない気もします。

それから、昨年の秋の連戦による精神的な反動が考えられます。ディープインパクトのような余程力の抜けた馬でない限り、競走馬が最高のパフォーマンスを維持できる期間は半年(ひとシーズン)だと思っています。G1レースのような高いレベルで鎬を削ることによって、精神面が磨耗しない馬はいません。最後の直線でゴールまで我慢できる精神力を維持できるのは長くて半年ですね。毎日王冠→天皇賞秋→マイルCS→有馬記念という激しいシーズンを戦った精神的な疲労は計り知れないものがあります。肉体的には十分に走れる状態にあっても、精神面での疲労が抜けていないと、最後の最後で競り負けしてしまうかもしれません。ただ、これについては、走ってみないと分からないというのが現実です。ダイワメジャーは私たちが思っているよりもタフな馬かもしれませんよ。

ジョイフルウィナーは、墨を塗って魚拓にして取っておきたいほど珍しい血統の馬なんですね。この馬の安田記念への適性は、前年の走りで証明済みでしょう。ハイペースで前の馬たちが止まったとはいえ、外々を回して、見所のある走りでした。もう少し上手く乗っていれば2着はあったかなというレースでしたね。その後、体調を崩し、立て直すのに時間が掛かったようですが、ここ3走の走りを見る限りでは、ようやく立ち直ってきたようです。3走前は直線で前が詰まっていますし、前走はスローペースに嵌ってしまいました。それでも3着、2着とほとんど負けていませんし、最後まで伸びています。

最終追い切りはキャンターのみにとどめましたが、陣営からの話を聞く限りでは、帯同馬を連れてきたことにより、昨年よりもずっと良い体調での出走になりそうです。何よりも内枠を引いたことが大きいですね。ここからであれば、道中はロスなく立ち回り、直線の末脚に賭けることができそうです。昨年以上のレースが出来ると私も思います。ただ、どうしてもスタミナの不安がつきまとい、後ろからのレースになってしまうため、勝てるかどうかという点では本命には推せませんでした。

コンゴウリキシオーの前走は、前半と後半の3ハロンを34秒台でまとめて、マイペースの逃げで圧勝しました。他馬が勝手にペースを落としてズッコケてくれたという感じですが、コンゴウリキシオー自身、ラストから2ハロン目では10秒7の脚を使っているように、内容は悪くないレースでした。これまでマイラーズカップは安田記念に直結しないレースでしたが、阪神1600mコースの形状も東京のマイル戦に近い形状に変わりましたので、あまり気にしなくて良いのかもしれませんね。

この馬の評価を一枚下げた理由は、府中のマイル戦を逃げ切るのは至難の業だからです。東京競馬場で大改修が行われた後の東京芝1600mに限定すれば、逃げ馬の勝率は9%程度になっており、改修後の阪神1600mの17%に比べると圧倒的に低い数字になっています。さすが、JRAのあらゆるコースの中で最も逃げ切りが難しいコースですね。もちろん、コンゴウリキシオーが勝てないという意味ではなく、勝つとすれば、藤田騎手が2、3番手に抑える競馬をした時ではないかと思います。香港のエイブルワンは逃げないと宣言していますが、これもゲートを出てみないと分からない部分ですね。

それでは、春の競馬最後のG1を楽しみましょう!

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コンキスタやナタルマの血が活かされないかジョイフルウィナー

Rudolf_41

お手紙いただいて再度ドバイデューティーフリーをチェックしてみました。なるほどDメジャーは強い競馬をしてますね。日本での競馬と同じようにゴールまで走りぬいています。距離がマイルより少し長めのレースだったこと、小回りコースだったことなど、Dメジャーが好走できた要因はいくつかあったと思います。しかし、リンガリという追い込み馬が差し脚を繰り出せた、レースの流れを考えると、メジャーの先行力はやはり大したものです。トップクラスとはいえないかも知れませんが、世界で通用する先行力なんでしょうね。

安田記念では何かに差される可能性は大きいのでしょう。ただ今回は「金剛力士王」という、タマに見かけるタイプの良血馬がグイグイとレースを引っ張っていって、ある程度粘ってくれるでしょうから、メジャー好みの展開になるんじゃないでしょうか。いつも自分でレースを切り拓いたてきたDメジャーですから、タマに誰かさんの助けがあってもいいんじゃないかなあ。「金剛力士王」、神さんがメジャーを助けるために遣わしてください賜うた。

先ほどのリンガリが追い込みを決められなかったレースが、チャンピオンズマイルですね。リンガリはなかなか強い馬なので体調が悪かったのかもしれません。それにしても、完璧に追い込み馬を封じ込めた、エイブルワンのMキネーン騎手は流石です。このキネーンが作り出した絶妙な逃げ馬の流れに逆らうようにして追い込んだ、ジョイフルウィナーは強い馬ですね。

昨年の安田記念で3着になったことは忘れて構いませんが、ジョイフルウィナーで忘れてはならないのは、あのサイレントウィットネスを7ハロン戦で1度負かしていることですね。サイレントウィットネスは、見たことがあるというだけで自慢話のネタにできるほどの強い馬です。

コンゴウリキシオーの血統をたまに見かける良血と書きましたが、ジョイフルウィナーの血はめったに日本では見られませんね。血統表が手元にあれば覗いてほしいんですけど、ナタルマ(Nダンサーの母)のクロスの仕方は実に珍しいですよ。Jウィナーの父の父コンキスタドールシエロはMrプロスペクターがいっかいのスピード馬でないことを示した名馬でしたが、残念ながらその良さは仔に伝わらず種牡馬としては失敗してます。コンキスタの仔、エルモキシーは母系の良さだけで種牡馬になった馬なんでしょうね。しかし、そこからサイレントウィットネスやジョイフルウィナーという、快速馬が現れて世界の果てで競馬を見ている人を感動させているというんだから、実におもしろい。

ジョイフルウィナーにはぜひ安田記念でよいところを見せて米国へ行ってほしいものです。今の北米のターフならチャンスはあります。そしてコンキスタの名をもう1度世界に示してほしいものです。おやじが応援してるのはこの失敗を積み重ねた血統から出たJウィナーです。この陣営は内枠を強く希望してました。前走も内から追い込んできているところをみると、折り合いに問題のある馬かもしれませんね。そういう点でこの馬はマイルで甘さを見せてきました。今回は折り合いうんぬんよりもコンゴウリキシオーとDメジャーが作り出すタフな流れに対応できるかがレースの鍵を握っていると思います。Jウィナーのコンキスタやナタルマの血がここで活かされないでしょうか。

では短評を繰り出しながら春競馬最後の印をば。
◎ジョイフルウィナー(墨をぬって魚たくにしてとっておきたいほど貴重な馬)
○ダイワメジャー  (金剛力士王がついている)
▲スズカフェニックス(成長力のある母系の良さが出た前走のすばらしいレースぶり)
△エイブルワン   (Danzigのクロスより南半球産馬独特のサーアイヴァーのクロスに注目したい)
△グッド馬場    (闘魂で失敗したので・・・・)
◇エイシンドーバー (前走は良いレースをしています)

えっ?◇ですか。ダイヤモンドです。香港といえば風水ですよ。風水で縁起がいいの
は◇!アジアの競馬という趣旨を踏まえての◇です。

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ダイワメジャーはマイラーの切れに屈するか

Jiromaru_38

ダービーが終わって、味噌汁の底に残ったニボシのようになっていらっしゃったんですね。お手紙がなかなか届かなかったので、まさかと心配しましたよ。最近は心悲しい出来事が多いですからね。農林水産省のトップはウオッカの歴史的な勝利を見ることなくあの世へと旅立ってしまいました。もしダービーを観戦しに来て、ウオッカのあの懸命な走りを見ていたら、光を見出せたかもしれないのに…、とウオッカを応援していた人が言っていました。彼は競馬をやらなかったんでしょうね。

競馬をやる人は、決して自ら命を絶つことはありません。なぜって、来年のダービーの勝ち馬が気になるじゃないですか。1万頭に近い馬たちが、来年のダービーを目指して、デビューできる日を今か今かと待っているんですよ。そんな先のことではなくても、今週の安田記念はどの馬が勝つのだろうって気になりますよね。安田記念が終われば、POG馬の選択をしなければなりませんし、ローカル競馬場に美味しいものを食べにも行かなければなりません。そうこうしている内に、今年も日本馬が凱旋門賞でリベンジ出来るのかが気になり出して、あっという間に秋のG1シーズンが始まりますよ。どんなことがあっても、競馬をやる人は生きるという選択をするはずです。

さて、今週の安田記念は農林水産省章典なのですね。サンデーサイレンス産駒が安田記念を勝てないことは毎年話題になりますが、これにははっきりとした理由はありません。分かりやすい(分かりにくい?)言葉で言えば、“巡りあわせ”ということでしょうか。岡部騎手が桜花賞を勝てなかったように、サンデーサイレンス産駒でも勝てないG1はあっても不思議ではありませんよね。

今年の安田記念も、サンデーサイレンス産駒が有力馬のほとんどを占めています。ドバイ遠征帰りになりますが、実績からも一番期待が掛かるのはダイワメジャーでしょう。スピード、根性、パワー共に世界レベルの馬ですので、ここでも明らかに力上位です。前走のドバイデューティーフリーは瞬発力勝負になってしまい、力を発揮できませんでしたが、それでも3着と健闘しています。それほど負担の掛かるレースではありませんでしたので、遠征帰りの休養明けですが、体調面ではそれほど心配することはないでしょう。

ただ、東京コースのマイル戦に関しては、ピリッとした脚が使えない分、苦戦は免れないはずです。マイルのG1戦になると、かなりの末脚で追い込んでくる馬が必ずいますので、一気に来られるとダイワメジャーは厳しいですよね。昨年のマイルCSは重馬場に助けられましたが、良馬場になるとマイラーの切れに屈することも十分に考えられます。

末脚の切れといえば、同じサンデーサイレンス産駒のスズカフェニックスが最上位ですが、この馬のローテーションは気になるところです。高松宮記念では強い競馬をしましたが、スプリント戦で強さを見せたことがかえって心配材料になります。スズカフェニックス自身は東京のマイル戦を勝ったこともあり、距離やコースは問題ないのですが、前走から条件がガラッと変わることの不利は否めません。武豊騎手の腕を持ってしても、高松宮記念から安田記念という2つの異なった階段を登らせることは、相当に難しいことです。

コンゴウリキシオーはノーマークで逃げることが出来れば、再度アっと言わせることがあるかもしれません。前走のマイラーズCは、走りやすい馬場だったことは確かですが、58kgを背負ってレコードでの快勝だけに、決してフロックではありません。前後半と同じラップを刻める馬だけに、枠順や展開次第では面白い存在になりそうですね。たとえば、ダイワメジャーが後ろからの差しを気にした場合、この馬がマンマと逃げ切ってしまうなんてことも考えられます。

チャンピオンズマイルをステップにして、香港から大挙4頭が押し寄せてきましたが、勝負になりそうなのはジョイフルウィナーでしょうか。前走は前残りの展開を1頭だけ差して来たように、昨年よりも充実しての挑戦です。ただ、昨年のレースや過去の走りを見る限り、短距離の差し馬の印象は拭えませんので、中距離のスタミナが要求される府中のマイル戦は少し長い気がします。昨年は外を回して失敗していますが、今年もよほど巧く乗らないと勝ち負けにはならないでしょう。逆に言うと、内で脚をタメて、コースロスなく伸びてくれば、日本馬にとっては脅威になるのではないでしょうか。

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自分の眼力で選んだ馬を信じて賭ける

Rudolf_40 →ルドルフおやじってどんな人?

ダービーが終わり、味噌汁の底に残ったニボシのようになっているおやじであります。

ウオッカの勝利を予想した方がたくさんおられました。すばらしいですね。ウオッカの歴史的な勝利を言い当てたのですから!来年も再来年も、いや64年後もずっと自慢していいんじゃないかなあ。ウオッカもウオッカの勝利を予想した方も、本当におめでとうございます。

レースの後、ヒカルイマイの騎手のような名言が飛び出すかもと、騎手や調教師のコメントを楽しみにしていました。「僕がやったことはないんです」と調教師は語り、騎手は「もうやめてもいいです」と涙ぐんでましたね。平凡といえば平凡なこの2つの言葉が未来の競馬史のなかで思い出されることはないでしょう。しかし、誰にもなしえないことを成し遂げた人間の言葉というのは、案外こんなに謙虚なものかもしれませんね。

調教師はダービーの前に「オーナーには僕からお願いしたんです」とダービー挑戦のいきさつを語っていました。オークスを捨てダービーへ向かう勇気を持てたのは、調教師がウオッカの力を見抜き信じることができたからですね。チャレンジ精神なんていう類のものじゃない。馬の力を見抜き信じる。あらためて、競馬で最も大切なことを思い出させてくれたダービーでした。今回、ウオッカを本命に推した方も「力を見抜き信じる」ことができた方ですね。すばらしい。牝馬だからと迷ったおやじには、3馬身も牡馬をちぎるウオッカの力を見抜く眼力がなかったわけです。

自分の眼力で選んだ馬を信じて賭ける、つまるところ自分に賭けているわけだ。だから競馬はこの上なく楽しいし、危い。2007年牝馬の勝利で幕を閉じたダービーは、賭けるって何だ、ということを思い出させてくれた爽快な出来事として心に残るでしょう。

さて安田記念、どれだけ眼力を発揮できるか?馬を観ず、天機を見るかあ、伯楽はうまいこといいますなあ。マイル、スプリント路線の層は薄くなっていますね。日本馬のなかでこの馬で行こうとそそられる馬がいません。

Dメジャー。昨年秋のこの馬の活躍には目をみはるものがありました。左まわりうんぬん、距離うんぬん、いろいろ言われましたが、堂々と天皇盾を手にしました。喉鳴りで不調が続いていたころを忘れさせるすばらしいパフォーマンスと成長をみせてくれましたね。完成したサラブレッドとはこういうもんだと思わせました。できればJCに駒を進めてほしかった。今回も1番人気に推されるのでしょうか?

実はこの馬、昨年の春、そうですね、安田記念のころには肉体的にも精神的にも完成していたのではないでしょうか。昨年の安田記念で厳しい流れを先行した馬のなかで唯一上位に食い込んだのがDメジャーです。タフなスピードでレースを押し切っていくというこの馬の競馬スタイルはすでに昨年の安田記念で完成したのだと思っています。それでも昨年の安田記念をこの馬は勝ちきることはできませんでした。この馬の本質と安田記念の本質は微妙にずれているんじゃないか、と考えています。

高松宮記念で、スズカフェニックスのスプリントの力を見抜いた治郎丸さんはすばらしかったですね。おやじにはフェニックスのスプリントの力がまったく目に映ってなかったので驚きました。この馬の母系は底力のある血統です。ここから古くはボンモー、ちょっとさかのぼってプルラリズム、そしてシンコウキングなどのタフな馬が出ています。Sフェニックス自身も重馬場で条件戦を圧勝してますね。Sフェニックスは歴史的名馬ではないかもしれませんが、父サンデーから切れ味を受け継いでシンコウキングよりもはるかに強い馬として成長してます。前走はスピードに乗っていって最後に切れを見せましたね。底力と速さと切れ、Dメジャーよりも安田記念では期待がもてるのではないでしょうか。あっ、サンデーは安田記念はだめだったんですね。それでもおやじは印を打ちますよ。勝ち負けだけではなく、この馬の本質が分かるという意味で安田記念は本当に楽しみなんです。

もし安田記念のサンデーを嫌うならばMrプロスペクター系のエイシンドーバーには十分に注意を払っておく必要がありますね。もうすぐ、われもわれもとMrプロスペクター系に草木もなびく時代がくるんじゃないかな。レコード決着したレースを中段から追い込んだ力は侮れません。安田記念ではこういう人気の出ないタイプが怖いですね。この馬にも印を打ちます。

マイラーズCを制したコンゴウリキシオーのような血統はたまにみかけますね。一族を挙げるとひっくりかえるような良血。アルマムードそのものから出ていて、Nダンサーの繁栄を映してアルマムードのクロスが生じているという、たまーに見る血です。タマーに驚くべき強さを発揮するんですが、ヨークずっこける血統だと思います。配合というのはまさに天の配剤。難しいものです。この馬には印は打たないつもりです。

案の定、ヴィクトリアMの影響で牝馬の強いところが逃げていってしまいましたね。ちょっとさびしい気がします。本当に価値あるレースをつくっていくのは難しいことです。JCだって世界の基幹レースからほど遠いところにあるというのが現実ですからね。安田記念はアジアに門戸を開いたということで価値あるレースに育ちつつあるのかもしれません。ヴィクトリアMの施行時期を再考すれば牝馬の最強馬も安心して参加できるもっとすばらしい安田記念になるのではないでしょうか。

外国馬については次回の手紙で触れたいと思いますが、おやじの頭もすっかり国際化していて、1頭応援している外国馬に◎を呈そうかと思っています。

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◎アドマイヤオーラ

Jiromaru_37

昨夜は競馬ファンにとっては最高の夜でした。普段はインスタントコーヒーしか飲まない私が、昨日は近くの珈琲屋で挽いて貰った豆から入れたコーヒーを飲みました。そういう日ですよね、ダービーの前日って。いつもより濃いコーヒーのせいか、今日のダービーに向かう興奮のせいか、昨夜はなかなか眠れませんでした。

断然の1番人気になっているフサイチホウオーは、デビュー前は大人しいというか、泰然自若とした風格のある馬でしたが、父ジャングルポケットがそうであったように、レースを使うごとに煩く(うるさく)なっていくのだろうなという予感はありました。しかし、この馬は意外や新馬戦から煩いところをみせており、ここに来て少し落ち着いてきたようです。それでも、首を高く上げて己を誇示する姿などは父そっくりですね。「父方のグレイソブリンの影響が大きな、神経質で天才肌の馬」というルドルフおやじさんの評価には、私も諸手を挙げて賛成します。

馬体や走法は、母系の影響が強いのでしょう。父ジャングルポケットは他馬よりも拳2つ分ほど伸びのある長い胴をした馬で、全身を生かして走る、まさに府中コース向きといった馬でした。それに対し、フサイチホウオーは、筋骨隆々といった感じの馬体で、上半身(前)の強さで走る馬ですね。こういった力で走るタイプの馬は、直線に急坂があって、芝が比較的重い中山や阪神競馬場の方が合っているのも事実です。

昔、グラスワンダーという馬が、左回りが苦手とされていましたが、あれは回りの問題ではありませんよね。左回りの府中コースでも素晴らしい走りを見せていましたが、それ以上に、直線に急坂があって、芝が比較的重い中山や阪神競馬場の方が合っていたということですね。グラスワンダーとフサイチホウオーに共通するのは、バネよりも筋肉の強さ、特に上半身(前)の強さが尋常でないということです。こういうタイプは、距離が長すぎるとパタリと止まってしまいますが、2400mまでぐらいの距離であれば何の不安もないでしょう。

フサイチホウオーの最終追い切りをご覧になりましたか?もの凄い胸前の筋肉の盛り上がりです。安藤騎手がこれまでで一番の動きだったと言うのも分かる、究極の仕上がりです。

この馬にとって不安な点をひとつだけ挙げるとすれば、「前走で連勝が止まってしまった馬は次走も凡走しやすい」ということぐらいでしょうか。ここでいう連勝とは4連勝以上のことです。3連勝くらいならよくありますが、4連勝以上する馬というのは珍しいですからね。これはガラスの競馬場のブレーンの一人であるMさんからデータもいただいたものですが、中央競馬の芝のレースで4連勝以上した馬は過去20年で92頭いますが、連勝が途切れた次走で巻き返して勝った馬は17頭しかいません。勝率にして18.5%、単勝回収値にして66円という数字です。これをどう見るかはその人次第ですが、4連勝以上もする馬というのは基本的に能力が高い馬ですので、5頭に1頭しか巻き返せていないのは不思議な感じがしませんか。

連勝が途切れた馬が次走でも凡走をしてしまうのは、2つのパターンがあります。ひとつは、連勝が途切れたしてきたことによって、肉体的にも精神的にもガタっと崩れてしまうというパターンです。つまり、連勝してきているということは、常に100%に近い状態に仕上げられて来ているということでもあり、その肉体的・精神的な疲れが、負けたことによって噴出してしまうということですね。もうひとつは、クラスの壁にぶち当たってしまうパターンです。つまり、トントンと連勝してきたものの、あるクラスに入ってから、突如、能力の壁が立ちはだかるということです。とはいえ、せっかくデータを引っ張ってきたのですが、フサイチホウオーにはどちらも当てはまらないかもしれませんね。前走をひと叩きされて逆に体調は上がっていますし、前走の内容からも、すでにG1級の能力の持ち主であることは間違いなく、クラスの壁は感じさせません。

安藤勝己騎手は、今回は少し後ろからの競馬をするのでしょうか。前走の皐月賞で、道中はタメて行く競馬を試みていますので、400m距離が延びることも含めて、今回は無理をして好位を取りに行くのではなく、フサイチホウオーのリズムに合わせて中団からの追走になりそうです。左にモタれる癖も前走を見る限りにおいては解消していますので、直線に向いてから、ゆっくりと追い出せばダービーの栄光まで一直線に伸びてくれるはずです。安藤勝己騎手が馬上から一礼をする姿も見てみたいですね。

それでも本命は◎アドマイヤオーラに打ちます。フサイチホウオーを負かせるとすれば、やはりアドマイヤオーラをおいて他にはいないと思います。“この馬でダービーを勝てるかも”という感触を、武豊騎手は弥生賞の時に掴んだのではないか、と皐月賞の手紙で私は書きましたが、こんな結果になるとは皮肉なものです。皐月賞での伸びもフサイチホウオーには劣っていましたし、なんと鞍上はダービーを目前にして岩田騎手に乗り替わってしまいました。

この乗り替わりに関しては、私がどうこう言う問題ではありませんが、陣営に取っても苦渋の決断だったと思います。この時期に武騎手を下ろして岩田騎手に替えるということは、逆に言うと、是が非でもダービーを獲りに来たということもあります。そして、アドマイヤオーラが騎手の巧みな補助さえあれば、ダービーを勝つだけの能力を秘めた馬であるという確信もあるのでしょう。そうでなければ、あえてこの時期に乗り替わりをする必要性はありませんから。

アドマイヤオーラの母系には、ドイツのSラインの重厚な血が流れています。兄のアドマイヤジャパンがまさにマイラーといった体つきだったにもかかわらず菊花賞で2着したのも、この母系のなせる業でしょう。アドマイヤオーラは、切れる脚とコロンとした体型から、マイラーと見る向きもありますが、そうでない可能性も十分に考えられます。軽量化された馬体からは、兄と比較すると距離は持ちそうな気もします。特にこの時期のサラブレッドの距離適性は曖昧なので、決め付け過ぎるのは怖いですよね。

ダービーで乗り替わりのあった馬が勝っていないという歴史(事実)や距離適性に対する不安を全て承知の上で、岩田康誠アドマイヤオーラには、そういった全てを振り払って欲しいと思います。「皮肉」もいつかは人々の記憶の中で「歴史」に変わるのですから。

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妖馬ゴールデンダリアの可能性に賭けてみましょう。

Rudolf_39

お手紙ありがとうございます。ダービーウィークもあと3日、1年の戦いの締めくくりもいよいよ近づきました。もう1週間ダービーウィークが続けばなあ、なんて夏休みの終わりが近づいた子供みたいなことを思っています。

お手紙にあった騎手のお話を興味ぶかく読ませていただきました。なるほど謙虚さを忘れた騎手がダービーを勝てるわけはありませんね。治郎丸さんらしい言葉でとてもよかった。

治郎丸さんはFホウオー、ヴィクトリー、ウオッカの3頭を上位と見てるんですね。ここにいろんな皮肉やジンクスがあったり、人間模様が垣間見えたりしてワクワクするというよりもドキドキして見守るダービーになりました。そこにもってきて東京は金曜から雨なんですね。ああいやだ、いやだ。これはおやじ語でえーぞ、えーぞという意味なんですな。

FホウオーのトレーナーはギムレットやカメハメハでNHKマイルCからダービーという、世間をあっと言わせる積極的なローテを組んだ松田師ですね。FホウオーやDスカーレットには実に緻密で慎重なローテを考えているようですね。Fホウオーに皐月賞トライアルをすべてパスさせたのはダービーだけは獲るという強い気持ちの現れのようにも思えます。好感のもてる使い方です。

皐月賞を見るかぎりFホウオーはこの世代のなかでは文句なしに強い馬ですね。ダービーはこの馬が勝つか負けるかと考えて印を打ちたいと思います。まず皐月賞の前に唱えた、Fホウオー=Mサムソン説ですが、あれ撤回しておきますわ。ホウオーはやはり父方のグレイソブリンの影響が大きな、神経質で天才肌の馬ですね。サムソンはラップとラップの隙間で類まれな闘争心をみせる猛者ですが、ホウオーにはそんな強さがちょっと欠けているような気がします。

皐月賞では前半で敢えてポジションを下げて追い込むといういささか強引とも思える作戦をとりました。安藤騎手はこの馬の末脚を信じているんですね。この乗り方はラジオN杯でも実は試されていました。先行して押し切るというレースもできる馬だと思いますが、ここという勝負どころでは脚をためて末脚を活かす作戦を採るということなんでしょう。安藤騎手はダービーでも追い込んでくるはずです。

馬の力とローテの緻密さを考えるとFホウオーがダービー馬になる可能性は高いと思います。心配なのは展開ですね。皐月賞のあの末脚をみた他の有力馬の騎手は手をこまねいてはいないでしょう。治郎丸さんのおっしゃるように、まさに安藤騎手の腕の見せ所です。もう1つの心配。Fホウオーが目いっぱいのレースをしたのは皐月賞で2度目だったと思うんです。1度目はラジオN賞です。そこでデビュー2戦目のヴィクトリーや休養明けのNマースに際どい勝負に持ち込まれています。この辺りにFホウオーのひ弱さを見てとれないでしょうか。ダービー馬に限りなく近いところにいる、負ける可能性のある馬。これがおやじのFホウオーの見立てです。ならばよし、負けるほうに賭けるとしよう。

ウオッカについては正直言って走ってみないとわかりませんね。あの角居師がオークスを見送ってダービーに挑戦するんだから、きっと勝算はあるんでしょうね。チトセホープはオークスからの連闘でしたが、ウオッカは十分に余裕をもって調教を積んでいます。角居師は今年の牡馬ならいけると踏んでいるのかも知れません。楽しみなダービー挑戦ですね。

クラシックが始まる前、おやじは桜花賞はウオッカ、樫はスカーレットと予想してました。ウオッカは京都コースで切れに切れる馬なので、ちょっと東京2400Mは不安かな、というわけでした。それに黄菊賞(1800M)でMソリストというそこそこの力をもった牡馬に負けてますね。JFに向けた調整過程での敗北だったとは思いますが、現に牡馬に負けているのは気にはなります。善戦間違いない最強牝馬ですが、突き抜けるか、と問われればちょっと微妙だと答えるしかありません。

ヴィクトリーは強い馬ですよ。新馬戦を経て2戦目にしてFホウオーを苦しめているんですからね。そして新馬戦での圧勝振りはクラッシックに欠かせない魅力のある勝ち方だったと思います。それにしてもかつての欧州最強牝馬、サンプリンセスの血統が日本の血で根付くとは本当にすばらしいことですねえ。ついでながら、ユーザーフレンドリーの血統も日本で栄えるといいですね。ダービー当日は皇太子殿下のご来場が予定されているそうです。そこでヒラボクロイヤルに注目している方もいらっしゃるそうですが、とんでもない、ヴィクトリーの母方にある、プリンスとプリンセスを見ればヴィクトリーがご下賜を賜るはずでありまする。再度この馬がFホウオーを撃破してもおかしくはありますまい。

治郎丸さんの4番手はヒラボクロイヤルですか。ヒラクボロイヤルと言い違えるのはボクの頭が悪いからです。おっしゃる通り、この馬成長してますね。お手紙でこの馬がハードルの稽古をしていたと初めて知りました。ハードル帰りの馬を狙えというのは古風な馬券作戦ですが、治郎丸さんはその辺りの理屈を上手に説明してくれましたね。ボクはマルゼンスキーの一族でもっと成長するかもしれません。しかし、この馬が強いところをみせた青葉賞のメンバーはやや手薄なメンバーだったのではないでしょうか。中に将来の福島記念馬ホクトスルタンという立派な馬はいましたが・・・。おやじはこの馬を買うなら、休養明けでもFホウオーを追い込んだナムラマースを狙いたいと思いマース。前走惨敗で狙いごろですよ。よい馬体とよい配合、それに使いながら体重が増えてるというのも逞しく映ります。

今年のダービートライアル2戦は、なんだか出がらしのような感じがしました。しかしただ1頭、ゴールデンダリアには目を奪われました。かかり気味に先行したのにもかかわらず、33秒台の末脚をくりだしたレースぶりにはおっと言わせるものがあったと思います。これも強い馬です。先行してよい脚を使えるというのは最近のダービーを勝つ最も大切な能力です。ひょっとしてこの馬Fホウオーを負かせる力を秘めているかもしれません。

ダリアの母父はNテーストですね。四白流星は貴公子の印、左後肢一白は名馬の証、と昔言いましたが、Nテーストは女の子には人気の出ないタイプの馬でしたね。墓標づら、なんていって顔面を覆うような流星の垂れる顔をしてました。おまけに短い脚。たしかダリアにもこんな流星があったような?「妖馬ゴールデンダリア」とでも渾名しておきましょうか。もしダリアがNテーストの本質を受け継いでいるとすれば、2400Mは少し長すぎる距離かもしれませんが、リアルシャダイの一族ということで奥行きのある血統にはちがいありません。馬体重が減っているのが少し心配ですが、思い切ってこの魅力ある馬の可能性に賭けてみましょう。主戦の柴田騎手もこの馬にいかにもお似合いです。

おどろおどろしい07年ダービーは墓標に自らの栄光を刻むという皮肉な馬ゴールデンダリアの優勝で幕を閉じるのではないでしょうか。ゴールデンダリア、いわく言いがたい怪しい響きをもつ馬名ですね。

名残おしい1年ではありますが、しめくくりの印をば。
◎ゴールデンダリア
○ヴィクトリー
▲フサイチホウオー
△ナムラマース
☆ウオッカ

追伸1 流石にダービー、印がいくつあってもたらない。上の印はホウオーを負かせ
る力をもった馬ということです。

追伸2 ヒットトップガンは今週レースにでるのでしょうか。未勝利戦も残りわずか
となりました。

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安藤勝己騎手のウデが試される舞台

Jiromaru_36

「皮肉」なのは、私たちの馬券だけではないのですねぇ。そういえば、先週のオークスも皮肉でした。ウオッカ、ダイワスカーレット、ベッラレイアの3強の熾烈な戦いが期待されていたのですが、ウオッカがダービーに挑戦したことによって2冠が濃厚になったはずのダイワスカーレットは出走回避の憂き目を見て、1強に追い出されたベッラレイアはプレッシャーに押し潰されてハナ差で勝利を逃してしまいました。もしかすると、競馬とは皮肉の歴史なのかもしれません。

騎手の世界にも皮肉は当てはまりますね。G1レースをあれだけ勝てなかった田中勝春騎手が、皐月賞を逃げ切っただけではなく、シンガポール国際カップまで制し、今や関東リーディングのトップを走っています。関西のリーディングに目を移しても、上位2人はなんと地方競馬出身のジョッキーたちです。中央競馬の騎手養成課程とは一体何なのでしょうか?そして騎手とは一体何なのでしょうか?

サラブレッドがゲートに入るまでには、関わったたくさんの人々の気持ちと時間の積み重ねがあります。特にダービーともなると、その積み重ねは最高潮に達します。騎手がリレーのアンカーと言われるのは、そういうことです。騎手は華々しい部分を一手に引き受けますが、その栄光の後ろには、たくさんの人々の想いが詰まっています。だからこそ、騎手たるべき者は、決して謙虚さを失ってはいけないと思います。また、謙虚さを失った騎手がダービーを勝つこともないでしょう。

安藤勝己騎手によって、中央と地方ジョッキーの壁が崩れ落ちました。本人にはそんなつもりはないのかもしれませんが、とてもエポックメイキングな出来事だと思います。野球で言えば、古臭い日本野球の体制を飛び出した野茂英雄投手に近いものがあります。この2人は自分の好きな世界を追求し、高いレベルにチャレンジした結果、その世界のルールを変えてしまった英雄です。その安藤勝己騎手が、平成16年のキングカメハメハに続き、再び1番人気の馬に乗ってダービー制覇に挑みます。1番人気で受け取ったバトンを、果たして1着でゴールまで持ってくることができるでしょうか。

フサイチホウオーは、父のジャングルポケットと同様、皐月賞を僅差の3着に敗れてダービーに臨んできます。皐月賞の追い込みづらい馬場・展開を、あきらめることなく、よくぞあそこまで追い込みましたね。同じラスト3ハロン33秒9でも、アドマイヤオーラとは一味違う、ダービーのゴール板へとつながることを予感させる末脚でした。左にもたれたり、手前の替え方がうまくなかったりと、器用さに欠ける馬だけに、中山は難しいコースでしたね。唯一の心配はそこだけです。左回りは乗りにくいはずですし、直線に向いてから、きちんと右手前に替えて伸びてこられるでしょうか。安藤勝己騎手のウデが試される舞台でもあります。キングカメハメハの時ほど、簡単には勝てないはずです。

ヴィクトリーは皐月賞であっと言わせる逃げ切り勝ちでした。力の要る追い込みづらい馬場が合っていたとはいえ、皐月賞を逃げ切ることは容易ではありません。過去に皐月賞を逃げ切った馬は3頭(カブラヤオー、ミホノブルボン、サニーブライアン)いますが、全ての馬がダービーをも逃げ切っています。しかも、皐月賞を差し返して勝ったことには、大きな意味があると思います。接戦に見えますが、余力を残して相手なりに走る馬という証明でもあり、たとえ府中のチャンピオンディスタンスでも、そう簡単にはバテないはずです。唯一の不安の激しい気性は、確かに気掛かりですね。スンナリとハナに立たせてもらえるのか、それともサンツェッペリンに絡まれてしまうのか。

牝馬ながらも挑戦してくるウッカは、牝馬離れした身体能力を持つ馬です。「なんだかんだ言っても結局のところ牝馬だから」というセリフは、この馬には相応しくないのかもしれません。横からみると、長方形に近い、まるで重戦車のような馬体です。桜花賞の時はスッキリ見せていましたが、仕上がりすぎていたのかもしれませんね。桜花賞終了後、ジックリと時間を掛けて立て直してきました。そういう意味でも、桜花賞から1週でも遅いダービーはローテーション的には良いかもしれません。この馬に対しては牝馬という意識は持たずに臨みます。距離の延長も大きなマイナスにはならないはずです。唯一の不安は、体調面が戻りきっているかどうかということです。

青葉賞の勝ち馬ヒラボクロイアルは、ここに来て成長著しいですね。障害を飛ぶ練習で、前脚の捌き方のコツを憶えて、さらに伸び伸びと走られるようになっています。おそらく得意ではないだろう前走の重馬場でも、他馬とは力の差を見せ付けての楽勝でした。上記3頭には一枚劣りますが、この馬にもチャンスはあるはずです。

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一篇の小説として語られるようなダービー

Rudolf_38

歴史とは何か、と若いころ考えた。

今は主に今晩の酒の肴は何にしようかと悩んでいる。

文学史とは反文学の歴史である、なんて言葉にうっとりとしていた紅顔の美少年がですよ、ビール呑んで赤ら顔してるんだから、人生は皮肉なもんですなあ。あっ、紅顔の美少年というのは気づきにくかったとは思いますが、このおやじのことです。

競馬というのも、「皮肉」を上手に表現する芸術家ですね。

5月5日、5月の鷹が大空を舞う日のことです。新潟の第1レース3歳未勝利、ヒットトップガンはいつものように道中5番手を進み先行しましたが、4角を少し過ぎたところで力尽き、この日も1勝目をあげることはできませんでした。日曜日にダービー馬という称号を与えられる馬は、何千頭といるヒットトップガンのような未勝利馬や未出走馬、それから命を落とした馬たちの頂点に立つ1頭なんですね。

ヒットトップガンの母馬、ムツノアイドルを覚えてますか。5勝もあげた上級の条件馬で、穴馬としてちょいと有名な馬でした。鋭い末脚は父のユタカオーから受け継いだ力だったのでしょうね。新聞には「サラ系」という文字がムツノアイドルという馬名の下に括弧書きで記されます。

「サラ系」という言葉は、JRAのレースを扱う競馬新聞では、血統書のない馬、という意味で用いられているようですね。サラブレッドには間違いないんだけれども血統書はどこかに紛れている。今では「サラ系」という烙印を押されて生まれついた牡馬はどんなに能力が高くても種牡馬になる見込みはありません。ダービーを頂点とするレースがより良い血を選定するために行われているわけですから、「血の証」のない「サラ系」が競馬史に生き残れるよしは初めからありません。最近、めっきり「サラ系」の文字を見なくなったのは当然ですね。

ムツノアイドルはその「サラ系」の中でも最もマイナーな母系です。そういう意味で明日なき戦いを続けるHTガンの1勝は是非とも見てみたいものです。確か80年初頭までは、バウアーストック系という素晴らしい「サラ系」が繁栄していたと思います。有馬記念ではおやじもこの直系、ヒカリデュールにお世話になった記憶があります。ダービー史では天の川系のグランパズが2着して「サラ系」の歴史は閉じられたままになっています。1986年のことですか。

さきほど競馬というのは皮肉を上手に表現する芸術家だと書きました。最良の血を選定する競争として始められたダービーの第1回優勝馬が「血の証」をもたない「ミラ」の4代子孫だったというのは競馬史最大の皮肉でしょう。このミラ系こそダービー史に異彩を放つ「サラ系」ですね。「僕はダービーに乗ったんじゃない、ヒカルイマイに乗ったんです。」当時史上最年少でダービーを制した、田島良保騎手のこの言葉は、ダービーの興奮とヒカルイマイの追い込みの凄さを見事に表した1行の詩です。ミラから数えて5代目にあたるのが、この若いジョッキーが御したヒカルイマイでした。ミラ系からはこのころランドプリンスなども出てちょっとした「クラシック血統」になっていました。70年台初頭の話ですね。

「サラ系」で最後に脚光をあびたのは、1年前JRA最多出走記録を更新したハートランドヒリュです。127戦4勝。この記録のひとつひとつが明日のない戦いの記録だったことを思えば少し感傷的になりますね。彼はもうこの世にはいません。彼の一族、テルノエイトはカツラノハイセイコーの勝ったダービーに出走していました。

日本ダービーは、キングカメハメハやディープインパクトのような馬が強い勝ち方を見せることができるすばらしいレースに成長しました。70年の時を経てダービーは名実ともに種牡馬選定競争の頂点に立ったのです。「サラ系」がダービーに楔を打ち込むことはもうないのかもしれません。

しかし日本ダービーが「皮肉」な出来事で始まったことを忘れてはいけません。今年のダービー担当の神様は、かなりシニカルな神さんらしいですよ。

96年のビワハイジ以来となる、ウオッカによる牝馬のダービー挑戦。既にここに神さんの「皮肉」がこめられてますな。ハイジの仔、Aオーラは鞍上を武騎手から岩田騎手にかえたんですね。タスカータソルテが岩田騎手から武騎手に鞍上をかえたという人はいませんね。武騎手は追い込みを得意とする騎手に思えるので、タスカータには大いにプラスになる乗り替わりだとおやじには思えるのだが・・・。

牝馬のダービー挑戦といえば、チトセホープを思い浮かべます。チトセホープの血統からはブルーコンコルドが大活躍しているというのも歴史の不思議ですね。チトセホープはオークスからダービーへ連闘するという、少々無謀とも思える挑戦をしましたが、そこには牡馬が弱いというしたたかな計算があったそうです。角居調教師の才能はどんな計算を巡らせているのか。チトセホープのときには、それでも1番人気の牡馬には勝てないという「皮肉」があったのだが・・・。

1番人気に推されるのはFホウオウか。前走は負けて強しと言われるが、東京ならばと言われるが、おやじには手の内を晒したというようにも見えてしまった。皐月賞でなぜ先行しなかったのだろうか・・・。桜花賞で絶賛を浴びた騎手が1週間後に罵倒されるという競馬の「皮肉」を名手はどう乗り越えたのか・・・。

今年のダービーは将来、一篇の小説として語られるようなダービーになるかもしれませんね。そしてもしダービーの日にヒットトップガンがどこかで走っていたなら応援馬券を買いたいですね、歴史的な馬券になるかもしれませんよ。

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◎ミンティエアー

Jiromaru_35

ライブが終わりました!今回も素晴らしい(面白い?)面々で、とても楽しく刺激的でした。ルドルフおやじさんとのやりとりが面白いと、たくさんの方々に褒めていただけました。「うんうん、そうそう、分かる分かる、あなた、分かってるねー!」って、いつも共感しながら読んでいると言っていただいた方は、ルドルフおやじさんと同い年でしたよ。とても嬉しくて、外泊をしている関係でお手紙が送れませんが、まずはブログ上にてご報告させていただきます。

さて、オークスのメンバー全体を見渡してみると、驚くべきことに、父内国産馬がなんと14頭も出走してきています。その中でも、サンデーサイレンスの直仔の産駒が10頭です。うちダンスインザダーク産駒が4頭、アグネスタキオン産駒が3頭という内訳になっています。これだけ見ても、内国産馬が強くなったというよりは、サンデーサイレンスの血が見事なまでに伝わっているということが分かります。中でも、今年に入ってからのアグネスタキオン産駒の活躍ぶりには目を見張りますね。

本命はアグネスタキオン産駒の◎ミンティエアーに打ちます。この馬はデビューが遅く(1月)、まだわずか3戦のキャリアしかありませんが、それゆえの上積みもあるはずです。過去15年で3歳になってからデビューしたオークス馬は7頭いますが、その中で重賞を勝っていたのはわずか1頭だけ(ベガ)です。ベガはキャリア2戦で桜花賞を制した別格の天才少女だったので例外として、3歳にデビューした馬であれば、オークスに臨むまでに重賞を勝っていなくて当然ということです。言い換えれば、勝っていない馬の方が、成長曲線が本番のオークスとピタリ一致するということにならないでしょうか。ミンティエアーについては、そういう意味で本命視します。

ミンティエアーの馬体を見ると、アグネスタキオン産駒にしては伸びがあって、距離が長くなって良さそうです。兄弟が気性の激しい馬だったこともあって、厩舎でゆっくりと調整されたのも良かったのでしょう。レース振りを見ても、騎手の指示にスッと従える素直さがあります。肉体面でも精神面でも、まさにオークス向きの馬と言ってよいのではないでしょうか。これまでは負荷をなるべく掛けないように、馬なり追い切られることが多かったのですが、今回の最終追い切りは、これまでになくビッシリと追ってきました。ここをピークに合わせるために、陣営も勝負を賭けてきましたね。

もちろん、フローラSで負けたベッラレイアとの力差は考えざるを得ません。ミンティエアーはほぼ完璧なレース内容で抜け出してきたのに対し、ベッラレイアは少し強引に外に出しての追い込みでした。あのレースだけを見ても、ベッラレイアとは力差を感じます。しかし、前回も書きましたが、ベッラレイアについては体調が心配ですので、その末脚が不発に終わることも十分にあり得ます。人気になりますし、前走も少し折り合いを欠くところが見られましたので、安心して乗られる気はしませんね。もし前走ほどの末脚を使えないとすれば、上積みを感じさせるミンティエアーの逆転がないとは言い切れないでしょう。

ダイワスカーレットが抜けた桜花賞組では、ダンスインザダーク産駒のカタマチボタンを一番上に取ります。最後まで渋太く伸びていますし、あのメンバーに入っては、少し距離が短かった印象を受けました。スタート後のスローな流れでも、掛かる素振りをみせませんでしたので、折り合いは問題なさそうです。今回は長距離輸送がないのもいいですね。この馬はダンスインザダーク産駒らしく伸びのある馬体なのですが、気性は母のタヤスブルームから受け継いだキツいところがあります。馬体は長距離馬で、気性は短距離馬という不思議な馬です。絶好調の藤田騎手が、道中どれだけ気分良く走らせられるかどうかに懸かっていますね。このクラスに入ると少しパンチ力が不足していますが、もしここに来ての成長が加われば、一発もあるかもしれませんね。

同じダンスインザダーク産駒のザレマですが、馬体や坂路での動き、時計を見る限りでは、長いところが向いているタイプには思えませんでした。兄にマルカシェンクを持つように、この母系は少しスピードが勝った産駒を出すようです。道中ゆったり行くこの距離よりは、もう少し短い距離でスピードとパワーを生かすレースの方が合っているのではないでしょうか。

フサイチオフトラを幻のダービー馬と言っていただけるのは、もうこの世にルドルフおやじさんしかいません。POGは難しいですね。今年は一緒にやりましょうか?ピンクカメオがNHKマイルCを勝った時は、さすがのブラックホーク博士の私でさえ驚きましたよ。でも、よく考えてみると、父がフレンチデピュティに変わって、重馬場の府中のマイル戦はドンピシャですよね。あのレースは決してフロックではありませんよ。中1週というローテーションが心配ですが、追い切りも意外に強く追われていますので、もしかするともしかするかもしれません。兄ブラックホーク譲りの不屈の精神を見せて欲しいものです。

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1走ごとに強くなっているザレマ

Rudolf_37

ウオッカもスカーレットもいないオークスになってしまいました。残念ですね。ウオッカにはダービーでの健闘を期待しましょう。スカーレットには来年の秋の天皇賞で◎を打つことにしましょう。まあ、いいじゃないですか。楽しみは先にとっておいたほうがいいに決まっているのですから。

お手紙読ませていただきました。ミンティエアーを高く評価してますね。イクスキューズのつくりだした先行有利なペースを難なく差しきってしまうのですから、この馬の力は大したものです。以前にちらっと書きましたが、きちんと折り合える馬というのは強い馬だと思っています。クラッシックでは心強い武器になりますね。蛯名騎手の手腕によるところも大きいとは思いますが、前走、この馬の折り合いの良さは一際目に着きました。父タキオンですのでどんな馬場であっても掲示板以上の期待がもてる馬だと思います。

折り合いということで言えば、ベッラレイアも折り合いのとてもいい馬です。ミンティエアーの蛯名騎手が内をついたのに対して、この馬は大外を回して追い込んできました。大きな不利もあったようですね。この馬はミンティエアーより数段強いんじゃないかな、といのがおやじの印象です。あざみ賞を見てこの馬のオーラを感じた人は大勢いたと思います。この馬にはクラッシックレースで欠かせない人を惹きつける魅力があります。近親には早熟な馬が多いのが心配ですが、まあクラシックということでそんなに心配せずにいいのかな。配合を見ると、この馬がとてもよい末脚をもっている理由がよくわかります。すみれSで3着に負けてはいますが、このレースはそこそこのレベルの牡馬が集まったレースでした。ウオッカ、スカーレット、ベッラレイアの3強のオークスを見たかったなあ。

ただ一本被りの1番人気に推されたときにどうなんだろう、という心配があるのも事実ですね。馬に乗ったことがないので騎乗の巧拙には、特に拙のほうには触れたくはないのですが、敢えていうと前走のような騎乗ぶりだとクラシックでは少し心配です。ちょっとしたボタンの掛け違いで、調子を崩したり、リズムが狂ったり、はたまた運から見放されたりすることはよくあるものです。おやじの実生活のことですよ。デリケートな競馬のようなゲームなら尚更で、むしろコンスタントに能力を発揮しているというほうが珍しい。

マルカシェンクなんていうのは気の毒な馬ですな。いざクラシックというときに骨折したり、秋の天皇賞を目指せばDインパクトの出走の噂に惑わされたり、気がつけば泣かず飛ばずという始末。それでもおやじがついてる、心配するな。現4歳世代は強いといわれていますが、4歳の有力馬たちはみんなこの馬の後塵を拝しているということを思い出す人は少ないのかもしれません。ボタンの掛け違いって怖いもんですなあ。

ザレマはMシェンクの妹ですね。妹のオークスまでの足取りは兄とは対照的に実に力強い。馬体をみてるとオークスでピークを迎えられそうです。あざみ賞ではベッラレイアに完敗していますが、次走の忘れな草賞では2着以下の馬に力の違いを見せつけています。1走ごとに強くなっているという印象です。母系にゴーンウエストの血が入っているこの血統、すばらしい力を秘めているのかもしれません。鞍上の名手は大外18番を引き当てほくそえんでる筈です。各馬の出方が一望できるこの枠は先行するザレマと名手が最も欲しかった枠なのかもしれません。トレーナーは音無調教師ですか。ノアノハコブネに乗ってザレマをオークスに連れてきたというわけです。

ピンクカメオ。マイルCの走りには驚かされました、なんていうとブラックホークの血統に失礼ですね。ブラックホーク産駒に幻のダービー馬、フサイチオフトラがいて、2400Mは辛抱できると思います。この辺りはブラックホーク博士の治郎丸さんにお任せしましょう。この馬と、イクスキューズ、ローブデコルテ、ルミナスハーバーはこれまでのクラシックロードを走る2番手グループを形成してきました。それぞれ強い牡馬と互角に戦う力をもってます。カタマチボタンは3番手グループのフロントランナーといった位置づけでしょうか。

気になっているのはローブデコルテです。阪神JFで外を追い込んだ馬の中で最も強い競馬をしたのがこの馬だと思います。スティルインラブの近親ですね。父がフォルティノ系になっていてすばらしい切れ味を発揮する配合になってます。そういう展開とよい馬場に恵まれるといいですね。カメオのほうは力のいる馬場を望んでます。さてオークスの神さんはどっちに見方しますか。

穴っぽいところではミルクトーレルに注目してます。きっと穴人気しますよ。前走はベッラレイアと同じタイミングで追い出してます。もしミンティエアーを買うならこの馬も押さえておくべきか。ミスワキジャパンという名の母の仔でミスワキの近親にあたります。東京2400Mでミスワキは怖い血です。ただ馬体をみているとアイスカペイドあたりの影響が強いような気もしてます。要は荒れている春競馬だからといってこの馬にいれあげるのは危険だということです。

印ですか?うーむ、うーむ。ベッラレイアとザレマに魅力を感じます。どっちの娘にしようか、本当に迷うところです。

◎ザレマ(騎手で選択しました)
○ベッラレイア(文句なしに強い馬です)
△ミンティエアー(ペパーミントの香りがおやじの加齢臭を消してくれます)

3連も押さえておきましょうか。そろそろおやじも方舟に乗せてほしいものです。

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ダイワスカーレットを負かすのは容易ではない

Jiromaru_34

武豊騎手がアドマイヤオーラから降ろされたようですね。これだけ結果が出ていなければ替えられるのは当然とはいえ、特に結びつきが強かったアドマイヤだけに、武騎手にとっては大きな事件です。もちろん競馬サークル全体にとってもですが。かつてエリザベス女王杯で、ファインモーションを断ってアドマイヤグルーヴに乗った話は有名ですが、それぐらい、良くも悪くも仁義を通す関係だったということです。とはいえ、個人的には、アドマイヤオーラうんぬんは別にして、武騎手にとっては長い目で見ればプラスになるのではと思います。

さて、オークスと言えば、毎年のように桜花賞との関連性が取り上げられますよね。桜花賞から一気に800mも距離が延長され、どの馬にとっても未知の世界であるチャンピオンディスタンスとなります。桜花賞組が上位を独占することが多いのですが、桜花賞馬は過去10年で1頭(スティルインラブ)しかオークスとの連覇を成し遂げた馬はいません。桜花賞とオークスはつながっているのかいないのか、難しい関係にあることは間違いないですね。

そもそも、桜花賞とオークスの関係がこれだけ近くなったのは、テスコガビー(父テスコボーイ)の出現以来だと言われています。それまでは、桜花賞とオークスは完全に別物で、桜花賞はオークスのトライアル的な意味合いもあったそうです。そんな時代に、テスコガビーは桜花賞を大差、オークスを8馬身差でブッチぎってしまったんです。日本の競馬が完全にスピード系に移った象徴が、このテスコガビーだったんですね。そのオークス以来、32年が経ち、調教技術や血統の配合技術の進化によって、ますます桜花賞とオークスの距離は縮んできています。

そういう意味で、桜花賞馬を完勝したダイワスカーレットが、オークスに最も近いところにいる馬であることに間違いはありません。スピードはもちろんのこと、折り合いのつかない馬ではありませんし、何と言っても絶対能力の高い馬です。距離延長に関しては、全く心配がないと言っても良いでしょう。桜花賞を観ていただくと分かりますが、ダイワスカーレットは外枠から発走し、道中もかなり外々を回ってレースをしています。確実に1600m以上の距離を走っていますし、それでも最後まで伸び続けたように、パタッと止まる馬でもありません。

これまでの桜花賞は阪神競馬場のおにぎりコースで行われていたため、器用に立ち回られる、スピード優先の馬が勝ってきました。しかし、今年からは新設の阪神マイルコースで行われ、道中はずいぶんゆったりとしたペースで進むことが多くなっています。この新阪神コースへの変更によって、桜花賞馬に求められる資質も変わってきて、それによって桜花賞がオークスにつながる確率はこれからさらに高くなると思います。つまり、ダイワスカーレットは、新生阪神コースでの桜花賞を制した時点で、「スローペースに折り合えて」、「瞬発力がある」というオークス馬の条件を満たしているんですね。1週間前の追い切りの動きも抜群でしたし、ダイワスカーレットを他の馬が負かすことは容易ではなさそうです。

ベッラレイアがその筆頭候補だとされていますが、私は半信半疑なところがあります。というのは、この馬の体調に不安を感じるからです。絶対に権利を取りたかったフローラSでは、かなり仕上げてきたはずで、そのせいかパドックでもギリギリに映りましたし、馬自身も精神的に追い詰められたような雰囲気でした。レースでは豪快に伸びて勝ちましたが、あそこでピークを迎えていたのではないかと感じさせられました。跳びが大きく、瞬発力に非凡なものがある馬なので、オークス向きであることには違いないのですが、調子が下降線を辿っていないかどうか注意したほうがいいですね。

フローラSでは、どちらかというと2着したミンティエアーの方に上がり目を感じますし、距離が延びて良さそうな馬体をしています。気性的にも乗りやすそうな馬ですので、蛯名騎手は積極的なレース運びが出来そうですね。まだキャリア3戦と、フィジカルな面では頼りない部分もありますが、この時期の大きな成長が加われば、ベッラレイアだけではなく、桜花賞組を逆転することも不可能ではないのではないでしょうか。

NHKマイルCを制したピンクカメオが参戦してきます。ローテーション的には厳しいものがありますが、国枝調教師が出走させてくる以上、走られる状態で臨んでくると考えていいでしょう。この馬は長距離輸送がない関東での競馬では連対を外していませんので、そういった意味からは、今回も好走できる下地は十分にあります。内田騎手が乗られないのは非常に残念ですが、ブラックホークの妹らしく、精神的な強さを持っている牝馬ですので、もう一丁があっても不思議ではありませんね。

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オークスの「巡る血の物語」

Rudolf_36 →ルドルフおやじってどんな人?

春競馬もいよいよ大団円を迎えます。オークスウィークですねえ。今週はスポーツ紙やネットの情報を毎日読んで大いに楽しみたいですね。そして来週はダービーウィーク、治郎丸さんがおっしゃるように、こういう楽しみがいつまでも続きますようにとおやじも祈ってます。5月っていいですねえ。

さすがにオークス。優勝馬を眺めていると巡り巡る大いなる血統史を見ているような感を覚えます。ダイナカールとエアグルーブの親子もすでに歴史の中を疾駆する馬になってしまったのですね。時の流れは本当にはやい。

神は人間たちの増長ぶりを嘆いておられたそうな。「いつか大洪水を起こす、お前は方舟をつくっておけ。」と神のお告げを聞いたのは、神に従う無垢の人「ノア」でありました。このときノアの齢、600歳。ノアは見たこともないような大きな船を建造し、そこに一族とすべての生き物のつがいを乗せ、ルドルフおやじは乗せずに船出しました。

我々日本人には縁遠い話ですが、欧米の科学者であれば、このノアの洪水が本当にあったことを夢中になって証明しようとしていますし、歴史家であればトルコでノアの遺跡を見つけようとしています。どうも大洪水が起きたのは事実らしく、何年か前にノアの遺跡が見つかったと何かで読んだ気もします。

日本に「ノアノハコブネ」が流れついたのは、1985年のオークスの日のことですね。ノアの一族とつがいの動物たちはすべて方舟から降りてしまっていて、音無騎手がひとり乗っていました。ノアは600歳にして方舟を造ったそうですが、日本に流れ着いた「ノアノハコブネ」には6番と書かれてありました。実に不思議な話です。

オークスといえば、おやじなんかはすぐにパーソロンを思い浮かべますね。確か産駒がオークスを4連覇したことがあったと思います。それからアローエクスプレス。この馬の産駒もオークスと相性がよかったようです。「ノアノハコブネ」はアローの産駒ですね。

アローのような超良血馬が日本で走っているというのは、それだけで奇跡的なことでした。この奇跡をもたらしたのはオーナーブリーダーの伊達氏です。伊達氏は日本のホースマンのなかでも最も尊敬すべき人物のひとりですね。アガカーン殿下から門外不出と言われた英オークス馬の血をひく、ソーダストリームを引き取ったところから奇跡の物語は始まりました。

1999年はソーダストリームの奇跡譚にとって重要な1ページを飾る年でした。プリモディーネが桜花賞を制してソーダストリームを忘れていた競馬ファンにこの奇跡譚を思い起こさせました。プリモディーネ、なんと可憐な響きをかなでる馬名でしょうか。これが伊達流の競馬センスでもあります。プリモディーネはオークスではウメノファイバーの3着に屈して、一端ソーダストリームの奇跡譚は閉じられます。

ウメノファイバー。この馬もファンに名門マンナ系の底力を思い出させた馬でしたね。第8回オークス馬、「時津風」の末裔にあたるのがウメノファイバーです。「時津風」というのは「いつも変わらず吹く風」という意味だと思います。「時津風」の時代は秋にオークスが行われていました。その年の春、「時津風」は果敢にダービーに挑戦して、見事2着になっています。今年はフローリースカップの末裔がダービーに挑戦する、というじゃないですか。結果はどうであれ、とても楽しみですね。1999年、20世紀を締めくくるこの年は、競馬が血の物語であることを、分かりやすく教えてくれました。

オークスの「巡る血の物語」といえば、イコマエイカンの血統も忘れられません。アグネスレディー、アグネスパレード、そしてアグネスフラワー。今年はこの母系からのエントリーはありません。そうそう同じ牝系からクラッシクにエントリーできるものではないのは当然です。しかしアグネスフラワーの仔、タキオンにはスカーレットという楽しみな馬がいますね。他にもタキオンの仔のなかに3着あたりの穴馬が潜んでいるかもしれません。

ベッラレイアが1番人気ですか。強い競馬をしていますね。ベッラレイアもJC馬、ゴールデンフェザントの一族です。東京2400Mで繰り広げられる血の物語、今年は馬券を抜きに楽しみたい、オークスウィーク、ダービーウィークですね。そうはいかぬルドルフおやじ、ノアノハコブネには乗れないはずですわ。

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◎フサイチパンドラ

Jiromaru_33

何とも悩ましいヴィクトリアマイルですね。やはり、カワカミプリンセスとスイープトウショウの取捨が問題になってきますね。前回の手紙でも書いたように、「牡馬相手に勝ち負けできる牝馬」という視点からは、この2頭をおいて他にはいません。しかし、今年は少し何かが違うようです。

まずはルドルフおやじさん本命のカワカミプリンセスですが、ひとつだけ気になることがあります。それはこちらにも書いたことがあるのですが、「休養への入り方は、休み明けの成績に影響を及ぼす」ということです。つまり、あらん限りの力を出し切って、おつりの無い状態で休養に入った馬の休み明けというのは、極めて仕上げが困難で、凡走しやすいということです。休養期間の長さよりも、どういう状態で休養に入ったかということが重要なんですね。あのシンボリクリスエスもゼンノロブロイでさえ、圧倒的な1番人気に応えることができずに凡走してしまいました。

カワカミプリンセスは、昨年のエリザベス女王杯であらん限りの力を出し切って、おつりの無い状態で休養に入っています。だからこそ、その反動で馬体の回復が遅れたのでしょう。牧場からガレて戻ってきたのは、輸送ではなく、昨年秋のG1を戦い抜いた反動ゆえですね。帰厩後は順調に馬体も回復して、なんとか走られる状態にまでは仕上がってきたようですが、目に見えない疲れは必ず残っているはずです。日本のキンツェムになって欲しいという思いもありますが、ぶっつけのG1レースでは、さすがのカワカミプリンセスも苦しいはずです。

スイープトウショウの昨年のエリザベス女王杯は、前走で馬体が大幅に減った影響があり、本調子にはなかったと思います。欲を言えば、そんな状態でもフサイチパンドラには負けてほしくなかったのですが、それは無茶というものだったのかもしれませんね。あの時期のパンドラは大きく成長していたのですから。そして、ルドルフおやじさんの指摘される前走の2着に関しても、評価は難しいですね。差し切って欲しかったといえばそうですし、よく2着まで追い込んできたといえばそうとも言えます。結果的には、あの馬場で激走してしまうと反動が怖いので、負けて良かったのではないでしょうか。牡馬を相手に、全く引けを取らない内容だったと素直に評価します。

まともに調教が出来なかったり、輸送、ゲート入り、東京競馬場への適性など、数え切れないほどの課題を抱えていますが、それを補って余りあるだけの身体能力は魅力的です。ただ私としては、昨年のエリザベス女王杯で現4歳世代に先着されている以上、人気を考えても、ここで本命に推すのはやめておきます。走るかどうかは本人が決めるタイプなので、人間が硬くなっても仕方ありません。気楽に見守りましょう。

本命は◎フサイチパンドラに打ちます。今年に入っての休み明けをギクシャクしてしまいましたが、馬体重の推移や調教での動きを見る限り、ようやく立ち直ってきているようです。元々、トモの弱かった馬ですが、その辺りが出ていたのでしょう。パンとすれば、相当な能力の持ち主です。臨戦過程からも人気にはならないでしょうが、この馬は仮にもエリザベス女王杯馬ですからね。調子を上げてきている今回は、好勝負が見込めるはずです。

不安点といえば、マイル戦に対する適性でしょうか。ピリッとした脚のない馬ですので、大方の予想通り、道中がスローに流れて瞬発力勝負になってしまえば、この馬にとっては苦しい展開になるはずです。しかし、アサヒライジングが逃げるレースは淀みのない展開になることが多く、そうなった場合には、シブトく伸びるこの馬にはチャンスでしょう。伸び伸びと走られる東京コースも向いています。昨年のエリザベス女王杯でワンツーを決めた今の4歳世代の勢いと、サンデーサイレンス産駒の成長力を買ってみたいと思います。

アドマイヤキッスは、大きな舞台で今ひとつ勝ちきれないレースが続いていますね。3歳時と比べると大分変わってきていますが、まだ体が緩いというか、筋肉が付き切っていないところがありますね。坂のあるコースを苦手とするわけではないのですが、そういった意味においては、平坦で切れを生かすコースでより力を発揮できるのだと思います。この馬はレースセンスに長けている馬なのでマイルの距離は問題ないのですが、ワンパンチ足りないという意味で本命には推しませんでした。勝ち負けは展開次第でしょう。

ディアデラノビアについては、前走であわやの敗北を喫していますが、休み明けということもあって、体調が万全ではありませんでした。あの激流を前に行ったため、息切れしてしまったという面もあるはずです。岩田騎手はディアデラノビアを少しでも前の位置で競馬させたいと考えているはずです。これまでのように前半を騙し騙しソロっと乗っていても、位置取りが悪すぎてはG1レースでは勝ちきることは出来ません。この馬が3着が多いのも、終いの切れを生かすために、どうしても前半の位置取りが悪くなってしまうからです。力を付けた今ならば、積極的に好位をキープして、そこから末脚を使いたいと考えるは自然だと思います。そういう意図があっての前走だったと思いますが、もう少し頑張っても良かったかなと感じます。つまり、まだ力が付き切っていないのかなと。それで一枚評価を下げました。

デアリングハートは、一時期低迷しましたが、藤田騎手が競馬を教え直したことで立ち直りましたね。以前はかなりの気性の悪さで、コントロール不能になることも多かったのですが、昨年の秋あたりから常識に掛かるように成長してきました。もちろん、潜在的には悪い部分を持っているので、無理に競りかけられたり、馬群で揉まれたりすると走る気をなくしてしまうかもしれません。そういう意味では、絶好の外枠を引いたと思います。絶好調の藤田騎手ですし、自分の型に持ち込むことができれば、あわやというシーンを作ることもあるのではないでしょうか。

私はパンドラの箱を開けてしまいましたよ。

果たして、最後に残るのは「希望」なのでしょうか?それとも?

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悍性(かんせい)の強いマイル向きのカワカミプリンセス

Rudolf_35

なんとも悩ましいヴィクトリアMとなってしまいました。お世話になったあの娘、好きなタイプのこの娘、どれをとって、どれを捨てるか・・・どれをとっても恨まれそうで、うーむといったところです。

「パンドラ」はゼウスが人類に罰を与えるために作られた女神です。美しい肉体と心でつくられたこの女神はゼウスから、「絶対に開けてはいけないよ」と言われた「箱」を授かってました。「絶対に見ちゃあいけない」という話、浦島太郎や鶴女房でも見られる、まさに神話的な話ですよね。結局、見てみたいという誘惑に負けて「パンドラ」は「箱」を開けるわけですが、出てくるは出てくるは、ありとあらゆる災難、災厄。人間の「業」も飛び出してくる。「パンドラ」が慌ててふたを閉め、最後に残ったのは・・・ここから神話の解釈はわかれています。「希望」と「絶望」、どっちなんだろうとフサイチパンドラを見るたびに考えてしまいます。

春のG1、いろんなものが飛び出しています。今度は何が出てくるんだい?えっ、どうなんだい、パンドラちゃん。希望なのか、絶望なのか、幸福なのか、不幸なのか、知ってるだろ、と独り言をいっておきます。

パンドラは、母系に底力をなみなみと湛えていますね。近走不振をかこっていますし、マイルのスピードについていけるか不安もありますが、母系の「セックスアピール」を見せてほしいと思います。先週の雨で力のいる馬場になるだろうと踏んで☆としておきます。

カワカミプリンセスの強さを最もよく理解しているのは、トレーナーの西浦師だと思っています。ディープのようなローテーションを組んでレースに臨んでいます。昨秋、有馬記念をどうどうと見送ったことにも好感をもっています。君子蘭賞の内容をみると十分にマイルのスピードにも対応できると思ってます。いや、こんな悍性(かんせい)の強い馬はむしろマイルむきだと思います。思い切って◎にしましょう。

昨年のヴィクトリアMで最も強い競馬をしたのはEメサイアではなかったでしょうか。もちろんDインザムードも強い馬ですが、しっかり折り合いをつけさせたうえに追い出しをぎりぎりまで我慢した北村騎手の騎乗ぶりも光っていました。昨年不利といわれた大外を回って追い込むという競馬をして2着をきちんと確保したという点でメサイアは高く評価できると思います。そのメサイアを白梅賞で子供扱いしたのが、ディアデラノビアですね。3着の多い馬ですが、潜在的な力は相当のものです。南米血統の母系にも魅力を感じます。金杯で楽勝したので前走で激しい競馬をしたのは、敗れたとはいえこの馬にとってプラスだったのではないでしょうか。岩田騎手の腕の見せ所だと思います。○でいきましょう。

スイープの前走の評価次第で、今回のヴィクトリアMの見え方がちがってくるんじゃないかなあ。予想の鍵を握る馬です。「魔女」らしいですねえ。しかし、どんな印を打たれようとも、この馬は掲示板にはのってくると思っています。我々人間にとって見えないものは、存在しないも同然ですね。魔女は存在するんですよ。彼女は魔女なんですから今回も当然我々の前に姿を現しますよ。問題は掲示板の1着のところに現れるかどうかです。この魔女はわざと前走2着になったりしておやじに謎をかけています。

マイラーズCのコンゴウリキシオーが作り出したペースは、スイープが最も得意としているペースだと思います。ハイペースであれ、スローペースであれ、淀みないペースであれば今までこの馬はすさまじい末脚を繰り出してきました。2着というのは何とも微妙ですね。全盛時のスイープなら差し切れたはずだ、と考えて▲にしておきましょうか。これが魔女が仕掛けた謎に対するおやじの答えです。魔女の復活はあるのか、ヴィクトリアの見所ですね。

では神話論的印をば
◎カワカミプリンセス
○ディアデラノビア
▲スイープトウショウ
△デアリングハート(シーザリオ世代は近年のハーベスト世代だと思っているので)
☆パンドラ

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カワカミプリンセスは日本のキンツェムになれ

Jiromaru_32

私の「バケモノ」ですか?エアグルーヴと言いたいところですが、「バケモノ」といえばやはりキンツェム(1874~1887 牝)です。ドイツから始まり、ハンガリー、チェコ、オーストリア、イギリス、フランスの国々で、947m~4224mの距離を走り、なんと54戦54勝というパーフェクトな競走成績を残した名牝です。この54戦54勝という、まるでダビスタのような戦績を見たその日から、私はキンツェムの名を忘れることができません。そして、牝馬・バケモノと来れば、どうしてもキンツェムの名が思い浮かんでしまいます。

Kincsem_1 Kincsem

キンツェムといえば、“キンツェムの泉”でしょうか。キンツェムは列車で各国を遠征していたのですが、いつも飲み慣れた水を持っていっていたそうです。ところが、ドイツのバーデン大賞を目指した時に、飲み慣れた水が底をついてしまうというピンチが訪れます。しかし、なんとか似た香りのする水が、バーデンバーデン競馬場の内馬場にある泉で見つかったのです。以来、その泉は“キンツェムの泉”と呼ばれているそうです。キンツェムからの牝系はヨーロッパ各地に広がって、ドイツのWラインを形成していますね。

さて、ヴィクトリアマイルは、2年目にして既に定着した感がありますね。エリザベス女王杯よりも、折り合いを気にしなくていい分、力と力をぶつけ合える舞台になりそうです。昨年の第1回目のレースを見て分かったことは、このレースは「牡馬相手に勝ち負けできる牝馬」でないと勝つことは難しいということです。そういう視点で今年のメンバーを見渡すと、やはり中心はスイープトウショウとカワカミプリンセスで仕方がないと思います。

魔女スイープトウショウは、牡馬顔負けの身体能力を持つ馬の1頭です。何といっても、スピードとスタミナが高い次元で要求される宝塚記念で、牡馬を力でねじ伏せてしまったのですから、肉体的には牝馬の域を超えています。とても賢くて、芯の強い性格なので、人間の思うようには走ってくれないこともありますが、言われてみれば掲示板を外したのは2回だけなんですね。いつも私たちの期待が強すぎるので、気まぐれなイメージを抱いてしまっているのかもしれません。

2歳の頃から余すところなく素質を開花させていたこの馬も、もう6歳になってしまいました。ずいぶん長いこと一戦級を走り続けてきましたね。これだけでも褒めてあげたいくらいです。確かに、私もスイープトウショウには衰えを感じています。宝塚記念とエリザベス女王杯を勝った頃の勢いと比べるのは酷なのかもしれませんが、昨年のエリザベス女王杯でフサイチパンドラを差し切れなかった時、少しばかり翳りを見てしまいました。前走は目の覚めるような末脚を使いましたが、過大評価は禁物だと思います。あまり期待せずに、見守ってあげた方がいいのかもしれません。

カワカミプリンセスは、取り立てて素晴らしい馬体をしているわけでもないのですが、レースに行くと本当に強い馬ですね。最も驚かされたのは、昨年の秋華賞でした。ぶっつけのG1の直線で、中間あれだけ太目残りに映った馬が、耳を絞りながらグイグイ追い込んできたのですから、開いた口がふさがりませんでした。ひと叩きされたエリザベス女王杯は、結果は残念なことになってしまいましたが、完勝と言ってよいレースでした。牝馬同士の戦いでは力が一枚も二枚も上ですね。

それでも、敢えて死角を挙げるとすれば、レースが極端なスローで瞬発力勝負になるとどうかなということです。昨年のエリザベス女王杯ではそれを理由に本命にしなかったのですが、珍しくハイペースのエリザベス女王杯になってしまいました。つまり、この馬はこれまでに、ヨーイドンの33秒台で上がって来なければならないレースを体験したことがないということです。昨年のヴィクトリアマイルがそういうレースになっただけに、もし負けるとすれば、武幸四郎騎手が慎重に乗ったばっかりに切れ味勝負に持ち込まれてしまうということでしょうか。あのエアグルーヴも一度そういう負け方をしています(エリザベス女王杯で)。休み明けよりも、今回はそちらの方が死角になるのではないでしょうか。

なんだかんだと死角を書きましたが、カワカミプリンセスは瞬発力のない馬ではありませんし、ラスト3ハロンをコンスタントに34秒台でまとめられる馬ですので、ほとんど心配はいらないとは思います。そして、何よりもカワカミプリンセスには負けてほしくないという気持ちもあります。事実上は6戦5勝ですが、誰がどう見てもこの馬は6戦6勝の実力を持つ馬です。これから先は牡馬とガップリ四つに組んで闘わなければなりませんが、できれば無敗のまま走り続けて、日本のキンツェムになってほしいですね。

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本物の魔女スウィープトウショウ

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20代のころは兎に角競馬に夢中でした。「競馬ブック」を毎週買って来ては隅から隅まで読んでました。読むところがなくなれば、最後に載っている特別競争登録馬一覧を眺めて寝ることにしてました。もちろん「優駿」だって手垢がつくほど読んでました。そういう幸せな時代はあっという間に過ぎて、もう十数年、いやもっとか、「優駿」さえ手にしなくなってしまいました。

強い牝馬はいつの時代にでもいます。女の子なのにカイブツとかバケモノなんて呼ばれる気の毒な牝馬もいましたよね。治郎丸さんの「バケモノ」は何かなあ?

このおやじが競馬にいれあげていた時代に比べると最近はぐっと牝馬のレベルが高くなったと思っています。おかしなことを言いますが、牡馬と伍して戦える強い牝馬の数は増えているんじゃないでしょうか。おやじが「優駿」も読まずにさぼっている間に調教技術も向上したし、血の更新もうまくいったというふうに理解してます。

ヴィクトリアマイルですね。東京マイルというのは春の最強牝馬を決するにもっともふさわしい舞台です。ただ強い牝馬がここを勝って休養に入ったり、調子を落としたりすることも考えられ、安田記念のレベルが下がるんじゃないかと心配しています。

早速、スイープトウショウからいきましょうか。不勉強で申し訳ないのですが、この馬の牝系について詳しく知らないんですよ。古い血統なんですが、日本に導入されてからしばらく活躍馬のでなかった牝系ではないでしょうか。80年代になってぼちぼち活躍馬が出てきて、スイープの祖母、マーブルトウショウでようやく桜花賞3着にたどりついた地味な血統です。どろんこのこの桜花賞は鮮明に覚えていますよ。ブロケード、テンモンという名門出の優美な馬で決着した華やかな桜花賞でしたから。マーブルは引き立て役に過ぎませんでした。

マーブルの仔にサマンサトウショウ。これはマーブルより強い馬で「サマンサおばさん」、なんて呼ばれてましたか。昔の言い方で言えば7歳までコンスタントに活躍した、とても良い末脚を繰り出す馬でした。サマンサというのは、おやじが子供のころに見ていた「奥様は魔女」というアメリカのファミリードラマの主人公の名前です。とても美しい女優さんが演じていて子供ながら淡い憧れを抱いてたのを覚えてます。(今、治郎丸さん笑いませんでしたか?)その孫に本物の「魔女」が現れるわけですね。スイープトウショウ。

この頃、ドウカンテスコ、ドウカンヤシマという本当に地味な重賞勝ち馬を出しただけの牝系も、トウショウ牧場の手にかかると、これだけの強い牝馬を生む牝系に発展するというのは驚きですね。母から仔そしてその孫と確実に強い馬をつくりだす凄さ。

「魔女」スイープは大駆けタイプのイメージをもたれていますが、このイメージは「魔女」が世間の目から自分の正体を隠す魔法のひとつなんですな。実は超のつく堅実な馬で掲示板を外したのは今まで2回きりです。おやじはどんな条件でも堅実に走る力を底力といってます。

「魔女」も6歳ですか。宝塚を制したころの「魔法の切れ味」が健在なのか。ここを治郎丸さんにお尋ねしたいと思います。おやじはパドックを見ているとどうも覇気を感じさせなくなっているな、という気がしてますが、いかがでしょうか?踏み込みが浅いという感じです。

もう1頭、ノビア。この馬の牝系については去年の秋に書きましたが、今後注目すべき牝系だと思います。やはりというべきか、今年に入って強さを見せていますね。京都の牝馬特別を勝って、牝馬マイル戦線のフロントランナーに踊り出ました。前走で7ハロンの激しい競馬でも敗れたとはいえ、強い競馬をしていました。しかしその7ハロンの激しい競馬を経験したというのはこの馬にとってプラスだったんでしょうか。

底力のある、この2頭の取捨を迷いに迷っています。

人気を集めるであろう、アドマイヤキッス。この馬も強い馬ですね。この馬のベストパフォーマンスは秋華賞トライアルです。まさに圧巻でした。感動を覚えるほどの強さを見せました。平坦小回りの2000M、これがこの馬が力を最大に発揮できるベストの条件ではないでしょうか?東京マイルとあまりにも条件が異なるので今回は見送ろうかと、考えています。

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◎ハイソサエティー

Jiromaru_31

「競馬場には言葉も走っている」という意味、よく分かります。競馬の本質を、寺山修司ほど見事に捉えていた作家を知りません。彼の書いた作品は、今となっても瑞々しく切実な意味を持って私たちに響いてくるような気がします。「馬敗れて草原あり」というエッセイがあるのですが、その中で私の大好きな一節があるので紹介させてください。

競馬ファンは馬券を買わない。 財布の底をはたいて「自分」を買っているのである。 (しかし、どの馬が、自分の「もうひとつの人生」を見事に勝ち抜いてくれるかを知ることは難しい。帽子のひさしで、午後の日を翳(かげ)らせながら、人たちは「もしかしたら」の期待をこめて競馬場へ集まってくる。ふみつけられる競馬新聞、煙草の吸殻と負けた馬券。そして、あてにならない予想屋の太鼓判。-それらの中を、人は限りなく迷いながら「自分を買う」ことに熱中する)

競馬場には馬が走っているだけではなく、私たちの人生の希望や期待、夢、情念が言葉となって走っているんですね。そして、賭けるという行為を通して「自分」を買うことができるからこそ、私たちはこんなにも競馬に熱中できるのでしょう。

さて、ルドルフおやじさんから手紙をいただいて、とても驚きましたよ。ルドルフおやじさんの悪夢の印にも驚いたのですが、まさか重なるはずもない私の本命◎がそこにあって、なおさら驚いたんです。そうです、私の本命◎はハイソサエティーです。

ハイソサエティーは小島太厩舎の期待馬で、あのデットーリ騎手が来日した時には乗ってもらっているほどの馬です。ダートが合わなかったというよりも、まだ馬がパンとしていなかったので9着と惨敗してしまいましたが、その後は休養を挟んで、馬が良くなってきていますね。前走もまだまだ余裕のある勝ち方でした。母はフランスのヴェルメイユ賞(2400m)を勝った名牝で、ルドルフおやじさんがおっしゃるように母系にゼダーンが入っていて、府中のマイルはピッタリという感じがします。

あまりに時計が速くなると心配ですが、前走から1秒詰めるくらいであれば大丈夫でしょう。何と言っても気性が素直なので、初騎乗の柴山騎手も乗りやすいはずです。外枠からジワっと先行して、馬を前に置きながら追走、ラスト400mあたりで先頭に立つというレースをイメージしているはずです。最終追い切りでも、そういった準備が見られました。もちろん、雨が降って馬場が渋ることも考慮に入れての本命◎ですが、今年のメンバーであれば突き抜けても不思議ではありません。

NHKマイルCの動向を考えてみたのですが、創設当初は外国産馬による外国産馬のためのレースといった感じで、5年連続でマル外の馬が勝っていました。その傾向はテレグノシスが勝利した年からガラッと変わり、それ以降、5年連続で内国産馬が勝利しています。さらに面白いのは、昨年はなんと父内国産のロジックが勝利したんですね。そして、2着もフジキセキ産駒で、なんと父内国産のワンツーでした。10年前からこれだけ傾向が変わったレースも珍しいのではないでしょうか。NHKマイルCというレースは、まさに今の日本競馬の勢いを象徴しているかのようですね。

という流れの中で、狙ってみたいのは、やはり父内国産馬でしょう。それも、SS系の父内国産馬。というのも、東京に開催が変わってからSS系の産駒の活躍が目立つからです。SS系は飽和しているという説もありますが、そうではなく、ただ単に馬場の問題ですよね。昨年の春の東京開催は見た目以上に力の要る馬場でしたが、今年はスピードと切れが要求される馬場に戻っています。もしこのままの馬場状態で行くのであれば、SS系の馬たちの活躍が続くはずです。

ダイレクトキャッチ(父スペシャルウィーク)は府中のマイル戦がドンピシャでしょう。母父がストームキャットであることや、そのコロンとした体型から見ても、ダービーの2400mは長すぎて勝負にならなりません。だからこそ、プリンシパルSではなくNHKマイルCに照準を絞ったのは正解ですし、おそらくここで勝負をかけてくるはずです。共同通信杯からかなり間が開いていますので、休み明けの不安はないといえば嘘になります。とは言っても、最終追い切りの動きを見ても、最後まで矢のような伸びを見せており、仕上がりは悪くありません。このひと追いで変わってくるでしょう。唯一の不安材料はお天気ですね。雨が降って馬場が悪くなれば、跳びが大きいこの馬には苦しいかもしれません。

皐月賞組の評価は難しいですね。私は中2週というローテーションに多少の疑問を感じます。皐月賞を目標にビッシリと仕上げて、レースでは厳しい競馬をして、そこから中2週で走るのは、この時期のサラブレッドには酷かもしれませんね。

アサクサキングスは、マイル戦を勝っていますし、跳びが大きいので府中コース替わりも好材料です。長めの距離を使われつつ力をつけてきた馬ですが、やはりローテーションからの目に見えない疲れが気になり、本命は打ちませんでした。

ローレルゲレイロは、使える脚が短いので府中コース向きでないということと、マイル戦で好走はしても勝ったことがないという点で評価を下げました。そもそも、私の記憶が正しければ、朝日杯フューチュリティSを使った馬がNHKマイルCを制したことはありません。今年になって力をつけてきた馬を上に取るべきだと思います。
*私の記憶が正しければと書きましたが、これについてはアイスさんから詳細なデータをいただいております。ぜひご覧ください。

そういった観点からは、オースミブライトも成長力という点に疑問があります。もちろん、昨年暮れからの休み明けという大きなネックはあるのですが、それ以上に、朝日杯フューチュリティSの時点で完成度が高かったこの馬を、どうしてもNHKマイルCでは本命には出来ませんでした。

イクスキューズは、桜花賞から直行で来れば、私もオークスで狙おうと思っていました。しかし、フローラSを挟んでしまったので、色々な意味で妙味がなくなってしまいましたね。フローラSの走りを見て、オークスからNHKマイルCに照準を変えたのでしょうが、どう見ても雑な使い方ですよね。幸いにも、馬自身は体調が安定して、ほとんど疲れはないと見ていいでしょう。

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五月の鷹は大空を舞っている

Rudolf_33 →ルドルフおやじってどんな人?

世間さまは黄金週間とやらでうらやましい!このおやじは3日、4日と仕事でがんばってます。治郎丸さんは休日を楽しんでいるようですね。おやじも30日に、愚息と近くのドブ池で鯉つりをたのしみました。30センチ超の鯉5尾、全部リリースしてあげました。当たり馬券をくわえて戻って鯉。

5月っていいですねえ。1年で最もすばらしい月です。

「目つむりていても 吾を統ぶ 五月の鷹」

目を閉じても自分を支配し(統ぶ)続ける、大空を舞う5月の鷹よ。そんな意味の句でしょうか。5月の空を舞う鷹。爽快なイメージを喚起するすばらしい俳句です。5月4日はこの句を作った寺山修司の命日です。天皇賞の手紙で「競馬場には言葉も走っている」と書きましたが、これは寺山修司に教わったことです。

寺山修司は、三島由紀夫と並ぶ、戦後の天才芸術家ですね。俳句、短歌、現代詩、随筆、評論、演劇、映画・・・様々な分野に寺山の才気はあふれでました。五月の鷹の句は彼が高校生のとき作ったものです。随筆のなかには競馬を題材としたいいものがありましたよね。

寺山修司は、いつも後方でレースを進める吉永正人騎手に人の孤独を見ていたようです。寺山が天才ともてはやされていたときずっと吉永正人騎手は八大競争を勝てませんでした。83年のダービーは希代の追い込み馬、ミスターシービーが吉永正人騎手を背に優勝した年ですが、その3週間前に寺山修司は逝きました。もし寺山が生きてたら、と泣いた5月から24年も過ぎたんですね。吉永氏もいなくなりました。それでも、五月の鷹は大空を舞っています。5月っていいですねえ。1年で最もすばらしい月です。

さて、石を拾うか玉をつかむかのNHKマイルC。このおやじが見つけた「玉」はルミナスハーバーだったんですが、故障してしまいました。次に見つけた「玉」はアドマイヤヘッド、復調してきてフォルティノの切れ味を治郎丸さんにご覧いただけるとわくわくしていたのですが、回避。こりゃあ、馬券買う前から外れてますわ。

そこで作戦変更。磨けば玉になる石を拾ってみましょう。シャドウストライプについてお尋ねがありました。良血馬ですね。この馬の値段はいったいいくらだったんでしょうか?母親はサンダーガルチの全兄弟ですね。シャドウストライプの完成度は今の時点で高いんじゃないでしょうか。母の欧州血統とMrプロスペクターという配合はマイルCでよく見かける配合です。父バクシンオーで全体としては穴馬だったエイシンツルギサンのような配合になってます。母父のガルチはイーグルカフェやブレーブテンダーを出していてマイルCと好相性ですね。いとこにはアスカロンという馬がいて芝でも心配ないと思いますが、ダートで力をもっとも発揮できる血統であることには違いありません。

ローレルゲレイロ。応援したくなるタイプの馬です。これまでのマイルでの実績と実力がかわれて1番人気に推されるのかな。前に書いたようにクリペロの血統の復活を見てみたい気もしますが、穴馬血統なので、人気を集めたときにどうかと思います。どこかで強い勝ち方をしていれば迷わず本命でしたが。

アサクサキングス。弱くない馬だと思っているのは「鍵レース」で良い走りを見せたからです。治郎丸さんの馬体診断もよかったので買います。ただホワイトマズルが1着になるというのはあるのか。

オオスミダイドウ。朝日杯が期待したほどの走りでもなかったのと骨折明けで潔く無印にします。

ダイレクトキャッチ。母父のストームキャットというのに惹かれますねえ。前走は十分スピードについていっていたと思います。クラッシックロードにのって強いところを見せたというのはこのレースを占う上で大切な要素です。

トーホーレーサー。これも応援したい血統です。母系にかかる、ユタカオー、ダッパーダン、ネプチューヌス、みんなしっかりしてます。前走はこの馬1頭が強い競馬をしたと思います。毎日杯での好走で才能が目覚めたのでしょうか。シャドウストライプを買うのなら素直にレーサーでいきます。ソネラ系の復活なるか。

マイネルシーガル。この馬と後藤騎手が展開の鍵を握っているのかもしれません。強気の競馬をすれば内枠に先行馬がそろっているので、追い込み馬や外枠の人気薄の台頭があるかもしれません。おやじはそんな展開を予想しています。

イクスキューズ。穴人気するでしょう。父方のシアトルスルーはマイルカップで怖い血統です。ただ牝馬がこのレースを勝つためにはSパールやRクラフトくらいの力がなければいけないのかな。この馬は強い世代の2番手グループのトップをゆく馬です。オークスで狙っていたので少し残念です。

ピンクカメオ。オカメは愛嬌で勝負です。かわいい名前ですねえ。
マイネレーニア。ローレルを買わないのなら、この馬は買えません。
マイネルフォーグ。レーサーを買わないのなら、この馬は買えません。
ゴールドアグリ。ダイドウを買わないのなら、この馬はかえません。

ダノンムロー。この世代の短距離組は意外とレベルがあるかもしれませんよ。中距離組は例年に比べてどうかなあ。答えは秋まで待ちましょう。ちょっと怖い馬です。父のゴーンウエストに期待してます。

キングスデライト。やっと走れる体重になってきました。太めで走っていたころにもよい競馬をしていたので穴で狙おうと思ってます。

ハイソサエティー。重厚な欧州血脈とフレンチデピューティー。いいですね、買います。母方にゼダーンが入って感じいいなあ。

ムラマサノヨートー。バサッ!ルドルフおやじやぶれたりー。ついに「玉砕」。

では「悪夢の印」をば。
◎ダイレクトキャッチ
○ハイソサエティー
▲トーホーレーサー
△キングスデライト
☆アサクサキングス、ローレルゲレイロ、ダノンムロー

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情報信ずべし?信ずべからず?

Minatomirai21_2ゴールデンウィーク、真っ只中ですね。いかがお過ごしでしょうか?あまりにも天気が良いので、私は横浜の大桟橋に行って来ました。意外と穴場で人が少なく、大好きな場所なんです。これだけ壮観な景色を見ていると、外れた天皇賞のことなんか忘れてしまいますよね(いやむしろ忘れたい笑)。久しぶりに関東に戻ってきて、ゆっくりと時を過ごすことができました。

ちなみに、左にある高い建物がランドマークタワーで、日本一の超高層ビル(高さ296m)です。そして真ん中にある赤茶色い建物が赤レンガ倉庫で、私が昔ハマったドラマ「あぶない刑事」で、タカ(舘ひろし)とユウジ(柴田恭平)がバイクを乗り回していたシーンなどをよく撮影していました。右手にある建物がインターコンチネンタルホテルです。とても面白い形でしょ?(*写真をクリックすると大きくなります)

さて、先日は貴重な情報をありがとうございました(笑)。ホクトスルタンは、さすがメジロマックイーンの仔です。4コーナーまでは私たちに夢を見させてくれました。まあ、ルドルフおやじさんと興奮を共有できたのでヨシとしましょう。ちなみに質問の答えはどちらもCです。さすがにミニクーパーのパンフレットは取り寄せませんでした。

武田文吾の凄いところは、馬だけでなく人も育てたところなんですね。今の調教師には耳の痛い話でしょう。「馬を観ず、天機を観る」名伯楽のメールアドレス、私も知りたいです。ただし、伯楽の中にも「玉」と「石」はあるようで、伯楽らしき人の甘い言葉には要注意です。「情報信ずべし、然もまた信ずべからず」と、あの菊池寛も語っていましたね。

これだけ情報化された現代において、いまだ関係者情報などというものがまことしやかに語られているのは不思議であり、驚きでもあります。私たちの中にある、怖いもの見たさのようなものがくすぐられるのでしょうか。こちらでも書きましたが、実は私もかつてインサイダー情報らしきものに踊らされそうになったことがあるんですよね。あの時は、そんな美味しい話はないと分かっていても、頭の中からずっとあの言葉が離れませんでしたから。

今週のNHKマイルカップですが、除外対象になっているスズカコーズウェイが1番人気になりそうなくらい、混沌としたメンバーです。路線別でいうと、ニュージーランドトロフィー組、皐月賞組、ぶっつけ組が有力候補ですが、その中でもこれといった馬が見当たりません。まあ、どの馬かが勝つのでしょうが、本当にここに勝ち馬がいるの?という不思議な感じです。

ニュージーランドトロフィーを勝ったトーホーレーサーはいい馬ですね。ポンと出て、すぐに抑えて2、3番手を追走し、直線に向いてからも後続を寄せ付けませんでした。前に行った馬に有利なレースでしたが、あの速いペースであの勝ち方が出来れば、文句なしといったところでしょう。この馬は体質が弱くてダートを中心に使ってきましたが、明らかに芝向きの体型・走法ですね。-8kg→-8kgの馬体減も、強い調教が出来て体が絞れてきていると解釈していいでしょう。フットワークの大きな馬なので、かえって東京競馬場は走りやすいはずです。

ローレルゲレイロは、マイルの距離ならばもっと積極的に乗れるはずです。前走は距離を気にしたのか、慎重に抑えてしまい、せっかくの前残りの競馬を無駄にしてしまいました。昨年の暮れから、高いレベルのレースで戦い続けてきていますので、今回のメンバーであればチャンスは十分でしょう。ただ、ジワジワと伸びるタイプなので、後ろから一気に来られてしまうと苦しく、藤田騎手は仕掛けどころが難しいですね。

アサクサキングスは広々とした東京競馬場の方が良いタイプです。前走の皐月賞では、速いペースと器用さを要求される小回りコースに戸惑ったのか、本来のフォームで走れていませんでした。この馬もレベルの高いラジオNIKKEI杯2歳Sで好走し、きさらぎ賞を勝っていますので、スピード
・スタミナ共に、このメンバーでも上位は間違いありません。ただ、もう少しゆったりと行ける距離の方が合っているはずで、いくら府中とはいえ、G1のマイル戦だけに、この馬のペースで走らせてくれるかどうかです。

シャドウストライプは、サクラバクシンオー×ガルチという血統からはイメージが難しいほど、手脚が長く、伸びのある雄大な馬体をしています。それゆえ、まだ緩いところがあるのが現状ですが、前走は外を回して見せ場を作りました。馬体がしっかりとしてくれば、もの凄い脚を使いそうな馬です。

スズカコーズウェイも、まだ未完成の体つきですが、潜在能力は高いです。前走は少し緩く仕上げていたのではないでしょうか。今回、出走がかなえば、ビッシリと仕上げてくるはずで、怖い存在になりそうです。前走も外々を回して、勝ち馬と差のないレースをしています。舞台が府中に変われば、逆転の目もあるかもしれません。

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「玉」をつかむか、「石」を拾うか、「伯楽」になった気分で。

Rudolf_32

深刻な1着3着病をわずらっているおやじです。

NHKマイルCですね。

このG1は音楽好きのうちの嫁がもっとも楽しみにしているレースなんです。NHK交響楽団がファンファーレやるでしょ、あれを聴くのが楽しみというんですね。ドもファもわからないおやじですけど、嫁に言われて聴いてみると、なるほど、すばらしいですね。年に1度30秒ほどのぜいたくを味わえるG1です。今年も馬券を買ってNHKでテレビ観戦する予定です。

さて、治郎丸さんを差し置いて申し訳ないのですが、これを読んで下さっている読者のみなさんにお尋ねします。

質問1 
真夜中2時すぎに「情報」という件名のメールが突然送られてきたらどうしますか?
aすぐに削除する
b安全を確かめて開いてみる
cわくわくする

質問2 
質問1でbとお答えいただいた方のみ考えてください。そこに「青葉賞」「ホクトスルタン」「ファンシミン系」「明日買う」という言葉があったらどうしますか?
a無視する
bホクトスルタンに注目して観戦する
cホクトスルタンを買ってみる
d新車の購入計画を立てる

おやじなら、わくわくしてレクサスのパンフをまず取り寄せたりしますが・・・。こんな悪質な「情報」をメールで個人的に送りつける人が「ガラスの競馬場内」にいるんですよ。みなさん気をつけてください。で、誰かというとこのおやじなんですね、治郎丸さんにはこの情報に付き合ってもらいました。付き合いいいですねえ。すみません。

実はこのおやじも「武田文吾らしき人物」の言葉に踊らされた経験があるんです。NHK杯がダービートライアルだったころの話です。武田文吾といえば、「伯楽」の前に「名」のつく競馬界の大功労者ですね。「伯楽」という言葉は、今では優れた人物を育てる教育者や指導者という意味で使われているように思います。ある馬を「伯楽」が振り返ってみるだけでその馬の値段が何倍にも跳ね上がったという故事から生まれた「伯楽の一顧」という言葉があるように、元来「伯楽」というのは馬の才能を見抜く力をもった人物の名でした。

「世に伯楽あって、しかる後に千里の馬あり」という言葉があります。才能を見抜く目をもった人物がいないと千里を走る名馬も世にでないという意味でしょうか。我々は千里を走る名馬にばかり目を奪われていますが、「伯楽」あっての名馬なんですね。シンザンやコダマ、そして栗田騎手や福永洋一騎手を見出し、世に送り出した武田文吾はまさに名伯楽ですね。では馬の才能とは何か。伯楽は「馬を観ず、天機を観る」といったそうです。馬の形や能力はある程度訓練すれば分かるというのです。大切なのはその馬の「天機」つまりその馬がもって生まれた運を見抜く力だそうです。うーむ、すごい。

武田文吾は馬や人物の才能を見抜く力のあった人物にちがいありません。大変厳しい人物としても有名でしたが、「馬を無駄に使うな。」と、常々言っていた言葉には深い愛情が感じられました。福永洋一騎手は武田文吾にもっとも厳しく鍛えられたそうです。彼が落馬した後、何度もテレビインタビューのマイクの前に現れては丁寧に容態について語る武田文吾の姿には心を打たれました。こういう深い愛情があるから人がついていくんですね。これぞ、名伯楽。

で、22、3年前、NHK杯の何日かあと、友人のKがこのおやじに言うんです。「おい、タケブンが言ってたぞ、トウショウサミットがダービーを勝つんだって。」どうせスポーツ新聞か何かで読んできたんでしょう。TサミットはNHK杯を人気薄で勝っていました。ソーシャルバタフライの仔でしたが、この血統の馬にしてはスピードが感じられませんでした。混戦といわれたダービー当日、サミットの単勝オッズをみると7番人気。この瞬間、Kの言葉は天啓に変わり、おやじは大枚を突っ込むこととあいなりましたが、はたしてサミットは18着、勝ったのはシリウスシンボリという強い馬でした。Kの言葉の真偽はいまだにわかりませんが、「伯楽」と呼ぶにふさわしい人物がいた時代の最後の思い出です。

「伯楽」になった気分でNHKマイルCには参加しましょうか。「玉石混交」するメンバーです。「玉」をつかむか、「石」を拾うか。

ローレルゲレイロには心惹かれます。1番人気に推されるのでしょうか。クリヒデの血統ですね。クリヒデは天皇賞を勝った馬です。血統は不思議なものでゲレイロと同じようにコンスタントに走る馬だったようです。カツアールという堅実な馬もこの一族です。アサクサキングスも人気を集めますか。皐月賞では凡走しましたが、この馬も弱くない馬だと思っています。この2頭は皐月賞のパドックで良い印象をもった馬です。はたして体調を維持できているか。マイネルシーガルにも強さを感じます。エイシンテンダーの近親ということで一発あるかもしれません。

ダイレクトキャッチの配合はいいですねえ、底力を感じます。JC馬ルグロリューが出る一族です。前走で大穴をあけた、トーホウレーサーも底力のある血統だと思います。母系はメジロ牧場でメジロブライトやベリーを出して成功している、ソネラ系です。この馬はメジロ以外から出た、久々のソネラ系のステークスウィナーとなりました。母系にネプチューヌスというテディー系の名種牡馬が入っているのも頼もしいかぎりです。上に書いたお話のころまで日本は異種の種牡馬天国でした。マンノウォー系のヴェンチャ-、なんていうのも大活躍してました。この辺りも人気を集めますね。

女の子では、ピンクカメオが注目されます。イクスキューズの登録もありますが、使いすぎてませんか。

えー、次は・・・、ひとつひとつ石を見分けていくのも大変ですねえ。「玉」はひとつしかないわけですから。誰か「伯楽」のメールアドレスを教えてくれませんか?

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◎アイポッパー

Jiromaru_30

ルドルフおやじさんの夢の印、しかと拝見させていただきました。第3のステイヤー、トウカイトリックですね。第3の刺客みたいで、格好いいですね。トウカイトリックは面白い存在だと思っています。人気の面からも、有力馬の出方を待ってから仕掛けることができますからね。おっしゃるように、以前はスタミナとパワーだけで走っていた感がありましたが、抑えるレースも身につけて、前走はなかなかの末脚でした。万が一、ペースが遅ければ逃げてもいいでしょうし、折り合いを欠く心配がないので、池添騎手も安心して立ち回れることでしょう。変幻自在のトリックスターはどんな走りをするでしょうか。

かなり紆余曲折がありましたが、私は◎アイポッパーに本命を打ちます。前走の着差はわずかでしたが、勝っているという厳然とした事実を評価しました。これまでなかなか重賞すら勝てなかった馬が、ステイヤーズS→阪神大章典と連勝して充実一途です。それを裏付けるのは、ここにきてレースで前に行けるようになっているということです。以前は線の細い面があって、自然と後ろから付いていく競馬をせざるを得ませんでした。それが、ステイヤーズSや阪神大章典では、2、3番手を楽に追走することができています。おそらく腰に十分な筋肉が付いてきたのでしょう。これまでとは、道中での推進力が違ってきています。血統面に関しても、母父のサンデーサイレンスが底力を補ってくれていますので大丈夫でしょう。前走をひと叩きされて、ここは万全の体調で臨んでくるはずです。あとは安藤勝己騎手の手綱に全てを託します。

実は、当初はデルタブルースを本命に考えていました。阪神大章典のレース振りを観て、本番はこの馬の巻き返しがあるだろうと思ったんですね。前走は窮屈なレースを強いられた上に、苦手とする瞬発力勝負になってしまいました。それもこれも、全ては自ら動けなかったからで、ひと叩きされて体調さえアップすれば自分の型に持ち込めるかなということです。希望どおり、外枠を引いて、自分のリズムで走れそうなのですが、ひとつだけ大きな不安があります。それは、ルドルフおやじさんが詳しく解説していただいているので省略しますが、展開面で激流に飲み込まれてしまわないかなということです。今の京都の高速馬場は前が止まらないので、デルタブルースと同じように、3コーナーからの滑り台(下り坂)を利用して仕掛けていこうとする馬が多いですよね。そういうスピード勝負になると、やはり厳しいかもしれないということで評価を落としました。

人気どおりかもしれませんが、2番手に評価したいのは怪力サムソンです。今回の天皇賞春に臨むにあたって、メイショウサムソンの菊花賞の敗因について、もう一度ゆっくり考えてみたんです。私は単純に距離や馬場だと思っていたのですが、あそこまで負けたのは、メイショウサムソンの体調が優れなかったからでしょう。夏を自厩舎で過ごしたことが、精神的には悪い影響を与えていたようです。昨年の秋一連のレースは、ダービーからの精神的な疲労をずっと引きずったまま走っていたはずで、それでも大して負けていないのですから、怪力サムソンはさすがだと思います。約3ヶ月の放牧を経て、リフレッシュされたのでしょうか、前走は道中気持ちよく走っていました。おそらく、これで復活と見ていいでしょう。

それを承知でこの馬に本命を打たなかったのは、京都コースに対する適性です。メイショウサムソンのように、切れではなく、パワーでねじ伏せる競馬をする馬にとっては、やはり直線が平坦な京都コースというのはプラスにはなりません。直線に坂があるコースでこそ、他馬の脚色が鈍るところをその怪力でねじ伏せるという戦い方ができるのですから。この馬がラスト100mでグイっと出ているのは、全て直線に坂のあるコースです。直線が平坦なコースでは、切れのある馬に差されています。それ以外では、血統的にも距離は問題ありませんし、コロンとした体型はこの馬の特徴なので大丈夫でしょう。かなりの好勝負が見込めますね。

3連勝中の上がり馬のネヴァブションは、最終追い切りの軽さが気になります。前走の馬体減や輸送を考慮しての仕上げでしょうが、やはり3200mでしのぎを削る消耗戦だけに、生半可な体調では勝ち負けにはなりません。資質の高いステイヤーですが、今回は見送りたいと思います。

もしアイポッパーが勝つことがあれば、過去67年の歴史上、初めて7歳馬が天皇賞春を制することになります。これは素晴らしいことですよね。じっくりと力をつけたステイヤーにも陽が当たらない競馬は、いずれ衰退してしまうでしょうから。時代遅れと言われるかもしれませんが、私の中では、天皇賞春は3200mで行ってほしい、その時代の最強馬を決めるレースです。メジロマックーイン、ライスシャワー、ビワハヤヒデ、サクラローレル、マヤノトップガン、彼らは距離不問の名馬たちです。3200mが長いなどと言っているボンクラな馬では、あと何十年かかっても凱旋門賞は勝てないでしょう。底力のある強いステイヤーを育てることは、血統の未来にとっても大切なことですよね。

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第3のステイヤーはトウカイトリック

Rudolf_31

「アーチャーが乗ればカタツムリでさえも勝てる。」アーチャーについては知りませんでした。福永洋一騎手に確かに似ているので大変驚きました。この世には不思議なことがあるんですね。手紙を読みながら若いころのゾクゾクする気持ちが蘇ってきました。「福永洋一が勝った理由は説明できなかった。」というある騎手の言葉もいいですねえ。騎手が語る言葉のなかには鋭く本質を言い当てる言葉があります。おやじが買った馬券にも理由はありません。これじゃあ、いけませんなあ。

今回の天皇賞の評判はあまりよろしくないのですか?春の天皇賞はかつてのように名馬の対決する舞台ではなくなりました。さびしいものですね。しかしことしは3頭のステイヤーの争いに2冠馬がからむ、なかなか興味深い天皇賞になりました。高齢馬が勝てないというデータがあるんですね。伏兵もどこかに潜んでいるような気もします。

3頭のステーヤーとしてのレベルは高いと思います。この3頭のなかでどれが、先着するかを当てるのは至難のわざです。あれこれと考えたのですが、3頭ともにそれぞれ「強み」をもっていて何れも切れないというのが本音です。古馬のG1にはよくあることですが・・・。

まず1番人気が予想される、アイポッパー。京都コースを得意とする切れのある馬が、年齢を重ねて阪神や中山といったタフなコースでも重賞を確実に勝てるようになりました。肉体的な成長があったのでしょうね。治郎丸さんが書いていたように、前走のパドックをみてると、この馬は「生涯のピーク」を迎えている、といっていいと思います。鞍上も勝負師、安藤騎手ですし、いうことないですね。

昔は今でいう6歳馬の、カシュウチカラが天皇賞を勝ったというだけでニュースになりました。この馬、テンポイント世代の脇役でしたが、「さすが3強世代の生き残り」なんて気の毒な褒められ方をされました。今年は高齢馬が活躍してます。時代は変わっていますね。アイポッパーも大切に使われ、ピークを迎えたわけですので、年のことは気にしなくていいでしょう、と自分に言い聞かせておきます。ぜひ買いたい馬です。

重箱の隅をつつくと、父サッカーというのがちょっと気になってはいます。サッカーについては昨年暮れに書かせてもらいました。阪神3歳ステークスや函館記念で見せた力には驚かされました。このおやじが見た馬のなかでも5本の指に入る力の持ち主だと思ってます。ただ生涯自分自身の能力を越えて走ったことはなかったんじゃないか・・・。気難しさがあったり、体調を崩したりと、強い相手に立ち向かったときに「ひ弱さ」が顔を出す馬でした。人気を背負っての天皇賞ということで、優等生、アイポッパーは力をだしきれるのか・・・。

デルタブルース、阪神大賞典では、「次はまかせてちょうだい」といった気配を漂わせてましたね。Dパスポートを除けばこの馬が1番強い競馬をしていたのではないでしょうか。鞍上の岩田騎手も絶好調とくれば、これは切れません。体つきといい、血統といい、屈指のタフガイですね。長距離G1を日本と海外で勝っているこの馬を切り捨てるのは勇気がいります。

これも重箱の隅をつつきます。岩田騎手は積極的なレースをする、と示唆しているようですね。ブルースのスタミナを活かす作戦でしょう。レースは「夢の印」が引っ張ります。「夢の印」はいつのまにか馬群に呑み込まれて消えるようなやわな血統の馬ではありません。「ヨコテン」がにらんでいるので逃げ残りは許してもらえないとは思いますが、かなり善戦すると思います。ブルースが「夢の印」をつかまえにいくわけですね。そこに「怪力サムソン」と最短距離を走ってきた、「祭りだヴァンゴッホ」がからんでくるという、ゴール前300Mあたりの攻防が目に浮かびます。この激しい攻防を切り抜けて1着になるのもなかなか難しいことではないか・・・。

昨年の菊花賞は大変よいレースでした。3着までに入選した馬がすべて体調を崩すか、骨折していることからもその激しさがうかがえます。そこで自分の競馬をして、今、好調を伝えられる「怪力サムソン」は恐ろしい底力の持ち主です。タフガイ、ブルースとて「怪力サムソン」をつぶして1着でゴールにたどり着くのは容易なことではないかもしれません。

第3のステーヤーはトウカイトリックです。4番人気あたりなので気楽に乗れるのが1番の強みですね。前走は後方でしっかりと折り合いをつけてよい末脚を見せました。本番に向けて良いリハーサルを行えたのではないでしょうか。そして本番ではゴール前300Mの攻防を見届けてから仕掛けられるという、展開の利が見込めます。この馬は変わりましたね。以前はパワーだけで走っていた気がします。たとえば昨年の阪神大賞典で見せた逃げなんかには豊富なスタミナが感じられました。前走を見るまでは軽い京都コースで勝つのはどうか、と思ってましたが、あの末脚を繰り出せるのなら京都でも期待がもてます。馬体重も増えて好調なんでしょう。エルコンドルって本当にいい種牡馬ですねえ。母系もマルゼンスキーをだす一族なのでしっかりした血だと思います。甲
乙つけがたいステーヤー3頭ですが、賭けてみたいのはトリックです。

まぎれにまぎれることがあるとすれば、ダークメッセージですか。前々走で見せた素晴らしい末脚は京都コースなら有力馬にも脅威になるはずです。ブションは好きなタイプの馬ですが、馬体重が減っているのが気になります。

天皇賞の未来は強いステーヤーの出現に託されています。底力のある強いステーヤーを育てることは血統の未来にとっても大切なことです。ただ春にAムーンのような名馬の走りを見られないのは残念です。香港やドバイに負けない2400Mか2000Mの国際レースの新設が待たれます。ここに天皇賞の未来を託すという選択肢はないのでしょうか。

では、おやじの「夢の印」です。
◎トウカイトリック
○アイポッパー
▲デルタブルース
△Mサムソン
☆ダークメッセージ
ステーヤー3頭の3連がいいオッズをつけているので押さえておきます。

※今回から「×」というのは縁起が悪いので「☆」に変えてみたという小技!

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アイポッパーとデルタブルースは未来を変えるのか?

Jiromaru_29

「武豊は天才ではない。なぜなら、武豊が勝った理由は説明できるからだ。福永洋一が勝った理由は説明できなかった。」とある騎手が語っていましたが、おそらくその通りなのでしょう。天才福永洋一は、全ての騎手にとって、今でも遠いところにいるのでしょうね。福永洋一騎手が無事であれば、天皇賞春の勝利騎手には彼の名前がずらっと並んでいたかもしれません。

Archer_1福永洋一といえば、山本一生氏が「競馬学への招待」の中で、「福永洋一が話すときの口まわりが、僕にはフレッド・アーチャーの絵の口まわりに似ているような気がしてならない」と書いていましたが、私にとっても福永洋一=フレッド・アーチャーというイメージなんですね。先日、東京競馬場に行ったのですが、フジビュースタンドの2階にフレッド・アーチャーの絵が飾ってあったので、ふと思い出してしまいました。

フレッド・アーチャーは19世紀後半に活躍した、イギリス史上最も有名なジョッキーです。13年連続でリーディングジョッキーになり、「アーチャーが乗ればカタツムリでさえも勝てる。」と言われたほど、その当時の彼は天才の名を欲しいままにしていました。しかし、彼はピストルで自分の頭を打ち抜いてしまい、29歳の若さにしてこの世を去ってしまうんですね。減量苦だとか、最愛の妻と息子の死だとか、自殺の理由には様々な憶測が飛んでいますが、本当の理由は今でも謎に包まれたままです。いつの時代も、天才は遠いところに行ってしまうのでしょうか。そういえば、私の敬愛するデットーリ騎手も、あやうく飛行機の墜落事故で命を落としかけましたね。

さて、本題の天皇賞春に移りましょう。今年はレベルが低いとされていますが、それは今年に限ったことではないのかもしれません。ルドルフおやじさんのおっしゃるように、そろそろ春の天皇賞の栄光にも夕日が差してきたのでしょう。昨年にしても、ディープインパクト以外は、陽の当たらないメンバーでした。メジロマックイーンやライスシャワーが鎬を削っていた頃が懐かしく思い出されます。マンハッタンカフェが勝った天皇賞春が最後の年だったのかもしれません。

やはり、1番人気は阪神大章典を勝ったアイポッパーでしょうか。阪神大章典の勝ち馬であるアイポッパーは、それだけで本番も最も勝利に近いところにいると考えて間違いはないでしょう。この馬のフットワークや気性はまさに長距離馬のそれで、馬の形から言うとナリタトップロードに近い気がします。父サッカーボーイの勝負弱さを、どこまでサンデーサイレンスが支えてくれるのでしょうか?前走をひと叩きされて、さらに良くなってくるはずですし、もし前走がピークだとしても、典型的なステイヤーである同馬のピークは天皇賞春まで続くはずです。体調の心配は全くありません。

ひとつだけ心配な点は、やはり7歳馬であるということです。十分なケアを施されながら使われている印象はありますが、この馬の走行距離はかなりのものですからね。ただ、全体としてみれば、この馬の生涯のピークは今でしょう。私は一昨年の天皇賞春が一番のチャンスだと思っていましたが、どうやら違ったようですね。あの頃は、まだ重賞も勝っていませんでしたし、阪神大章典も僅差とはいえ2着に敗れていました。その後、メルボルンカップへの挑戦を含め、少しずつ馬がしっかりと本格化してきて、ようやくステイヤーズSで重賞を勝つことができました。そして、何と言っても、阪神大章典を勝って天皇賞春に臨んできているという点は、動かしがたい事実です。武騎手から安藤騎手に乗り替わりましたが、全く問題はないですね。むしろ、また違った味が出るのではないかと期待してしまいます。

2005年にアイポッパーが勝てなかったメルボルンカップを、昨年制したのがデルタブルースです。この馬は骨量豊かで、はちきれんばかりの筋肉が付いており、非常に良く見せるタイプの馬です。メルボルンカップは、力の要る馬場であったことが最大の勝因だと私は考えています。だからこそ、そのままの実績を信用する訳にはいきませんよね。オセアニアで走った馬が日本でも走るのは難しいというか、つまり、オセアニアで走ったから逆に日本で好走を期待できないという感覚です。時計の速い勝負になってしまうと厳しいですね。スピードが上がったところで付いて行けない、というレース振りを嫌というほど見てきましたから。ただ、この馬は日本の菊花賞を勝っているわけで、もしかすると京都コースに限っては勝算があるかもしれません。

メルボルンカップに挑戦した、この2頭のステイヤーは7歳馬と6歳馬です。天皇賞(春)が創設された1938年の勝ち馬ハセパークから、2006年の勝ち馬ディープインパクトに至るまで、全67頭の勝ち馬は全て4歳~6歳馬でした(アイスさんによる)。歴史上、7歳馬による勝利は一度もありません。そして、6歳馬について言えば、過去20年でライスシャワーの1頭のみ。過去67年に広げても、4頭しか勝利したことがありません。しかし、今年の天皇賞春には昨年の春天、宝塚、菊花賞、JC、有馬の1~3着馬が1頭もいないという事実もあります(さとしさんによる)。実績と勢いのある強い4、5歳馬が、全く出走していないという見方もできます。うーん、データの扱いは難しいですね。「今日変わるのは未来である」というルドルフおやじさんの言葉にも、ますます重みが出てきましたね。何歳の馬が勝つのかというだけで、興味深い天皇賞春になりそうです。

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展開のなぞを解く鍵は「怪力サムソン」が握っている

Rudolf_30 →ルドルフおやじってどんな人?

天皇賞(春)の歴代の勝ち馬と勝利ジョッキーを眺めています。かつては古馬最高の栄誉と讃えられていただけあってずらりと名馬、名手が並んでますなあ。

武騎手のように祐一騎手のお父さんも何度も天皇賞(春)を勝っているようなイメージをもっていたのですが、おやじの記憶なんて頼りないですねえ、1度エリモジョージで勝利を記録しているだけでした。どろんこの天皇賞をスイスイと逃げる祐一騎手のお父さんと大穴エリモジョージの印象があまりにも鮮烈だったせいですね。確かこの勝利のころから祐一騎手のお父さんを世間が天才と讃えるようになったんじゃないかなあ。

先日スポーツ紙で、内田博騎手が器械体操を得意としていたという話を読んでなるほどね、と納得しました。聞くところによると、祐一騎手のお父さんは他のスポーツはまったくだめでキャッチボールさえうまくできなかったそうです。おもしろい話でしょ。あの天才がですよ。前にも書きましたが、祐一騎手のお父さんの騎乗ぶりにはいつも鬼気迫るものを感じました。文章で具体的に説明できないので、桜花賞をインターグロリアで勝った騎乗ぶりなどを一度ごらんください。鳥肌が立ちますよ。

天才は当時あどけない少年の面影を残していた人でした。話し方も朴訥として競馬について多くを語るのを拒んでいるという風情でした。彼が倒れた暗い3月の土曜日のことは今でもよく覚えてます。競馬の「奇跡」について前々回語りました。今回の桜花賞は「奇跡」というのがみんなの願いのさらに遠いところにあるもんだと教えてくれました。競馬の「天才」も我々の願いのさらに遠いところにいるのかもしれませんね。

エリモジョージには「きまぐれジョージ」というあだ名がついてました。人気を背負っては凡走し、見捨てられては穴をあけるという個性は憎めませんでした。福永騎手の活躍したした時代には、粋なニックネームがスポーツ紙に踊ってましたよ。「貴公子」といえばテンポイントやタイテーム、血統も姿もいい馬につけらえるニックネームの定番です。56戦7勝、隔週で競馬に使われる馬が春の天皇賞で2着になってます。この馬また走ってるよ、という感じの馬です。さてその馬の名は?トウフクセダン、そしてついたあだ名が「走る労働者」。なんとも切ない、わが身を振り返れば実に切実なニックネームです。昔の競馬場には言葉も走ってたんですな。

今は馬名そのものが粋でウィットに富むものが多くなりました。わざわざファンがニックネームをつける必要もないのかもしれませんが、少しさびしい気もしています。

メイショウサムソンというの名はやぼったくていいですね。ぜひニックネームをつけてあげたい馬です。サムソンは悲劇の主人公ですね。大阪杯では格の違いを見せつけましたね。「格の違い」という言葉を久々に実感できたすばらしい内容のレースでした。まさにサムソンと同じ怪力。本番では怪力があだにならなければいいのですが・・・。

マツリダゴッホ、大変失礼ですが、この名を聞くたびに吹き出してしまいます。いいですねえ。祭りだ!祭りだ!ヴァンゴッホ!わっしょいわっしょい!平成の爆笑王とさせてもらいます。ごめんなさい。騎手は横山騎手ですか。「ヨコテン」という愛称がありますが、「職人」をイメージさせる愛称です。イングランディーレの逃げはまさに職人技。しかしいかに職人とて首の高い走りをする「祭りだヴァンゴッホ」に2マイルを走らせるのは至難の技か・・・。

安藤騎手、「平成の勝負師」はアイポッパーにまたがるんですね。これが1番人気か。前走のパドックを見ているとピークの出来だったように思います。この状態を維持できれば勝ち負け間違いありません。ただ重賞をなかなか勝てなかったのは父のサッカーボーイのせいでしょう。ひ弱さが本番で顔をみせなければいいのですが・・・。

デルタブルースってしゃれた名前ですねえ。母父のデキシーランドバンドに由来するいい命名です。残念なのはおやじが好きなブルースが「伊勢崎町ブルース」だということくらいですか。前走のパドックはいかにも本番をにらんだ仕上げに見えました。それであれほどの競馬をするのですから、だてにメルボルンCを勝っているわけではありませんね。菊花賞馬ですが、不思議なことに京都コースで勝ったのは菊花賞の1回きりです。あの時も確かスタミナ勝負の菊花賞でしたね。そういう天皇賞になりますか、どうか・・・。

トウカイトリックはその名とは裏腹に愚直な馬ですね。エルコンドル産駒には成長力があります。去年の春より数段力をつけている印象をもちました。母系はマルゼンスキーの一族でまさにステーヤー。去年はスタミナとパワーで押し切ろうとするレースをしてましたが、今年は京都でも、と思わせる切れを阪神大章典で見せました。人気もほどほどですので、おもしろい存在かと・・・。エルコンドルは1着タイプの種牡馬ですのでそこに賭ける手もあります。

トウショウナイトも力をつけてます。京都記念でAムーンの3着というのは立派です。確実な馬です。もちろん重で気をつけナイトいけません。

久々に見た、巨頭!おやじも頭は悪いが巨頭だぞ。ネヴァーブション。これは強い馬だと思います。悍性(かんせい=たけだけしさ)の強そうな馬でよい雰囲気をもっています。「荒法師」といっておきましょうか。マーべラスの強い馬ってこんな感じなのかもしれません。レベルの高い世代なのでこの馬、要注意ですね。ただ前走の馬体減をどう見るかが問題です・・・・。

4歳世代の穴馬としてダークメッセージを挙げておきましょう。「ファイター」佐藤哲三が乗るんじゃないでしょうか。この馬名こそ完璧な馬名です。父と母から上手に言葉をつむいでます。母の名、every wisper(あちこちのささやき)からダークなメッセージを耳にしたという命名でしょう。どんなメッセージだったのでしょうか。134回天皇賞の謎を解く言葉があったかもしれません。ケチケチせず、早くこのおやじにだけその答えを教えてほしいものです。「なぞの馬」ダークメッセージ、阪神の大外を追い込める馬は強いんじゃないでしょうか。

長距離は騎手の腕の見せ所といいます。馬を御す腕前と展開を読む力がものをいうのでしょう。おやじも展開を一生懸命に読むことにしましょう。展開のなぞを解く鍵は「怪力サムソン」が握っているように思います。

春の陽は日に日に長くなっています。しかし、そろそろ春の天皇賞の栄光にも夕日が差してきたのではないでしょうか。2マイルのG1競争の意味は問われなければなりません。明日が来ても明後日が来ても、なつかしさは変わりません。今日変わるのは未来なんですね。おやじもまだまだわかいぞ!

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◎アドマイヤオーラ

Jiromaru_28

考えれば考えるほど、迷宮入りするレースですね。フサイチホウオーとアドマイヤオーラが内外と極端な枠を引いて、余計に難しくなった気がします。ルドルフおやじさんが○(対抗)を迷われたのもよく分かりますよ。こういう時こそ、あまり深く考えずに結論を出しましょう。

本命は当初から考えていた◎アドマイヤオーラに打ちます。この馬を評価する鍵となったレースは、もちろん前走の弥生賞です。このレースでアドマイヤオーラを評価したポイントは2つあって、ひとつは「自ら動いて勝ちに行って勝てた」こと。そして、もうひとつは、「ゴール前で右の耳を立てていた」ことです。

アドマイヤオーラはそれまでの3戦で、直線まで我慢して追い出すという、タメてタメて切れを生かす競馬をしていました。そういう経緯を踏まえて、弥生賞で武豊騎手は敢えて早めに動くというトライアルに徹しました。その結果、アドマイヤオーラには長くいい脚を使えるスタミナがあること、そして騎手のゴーサインに瞬時に反応することが確認できたということです。

ただ、ルドルフおやじさんのおっしゃるとおりで、本番前の弥生賞で手の内を見せてしまったのは確かです。これまでの弥生賞では、武豊騎手は脚を計るような(手の内を見せないような)騎乗をすることがほとんどだったので、正直、今年の弥生賞はあれ?と不思議に感じたことも事実です。皐月賞でそうしたいパフォーマンスを、トライアルでやってしまったように感じたからです。さらにメンバーの厳しくなる本番で、同じパフォーマンスが出来るでしょうか。このあたりの感覚は、ルドルフおやじさんも同じなのでは。

それでも私が弥生賞を評価したのは、武豊騎手があの弥生賞のパフォーマンスで、アドマイヤオーラでダービーを勝てるという手応えを感じたのではないかと思うからです。皐月賞ではありませんよ。ダービーです。皐月賞は紛れが多く、運不運に左右されやすいレースですが、ダービーはそうではありません。もう一度言いますが、ダービーをアドマイヤオーラで勝てるという手応えを、武豊騎手はあの弥生賞のパフォーマンスから掴んだと思うのです。

ゴール前で右の耳を立てていたのは、まだ馬に余力がある証拠です。ぜひ弥生賞のゴール前の写真を見ていただきたいのですが、まだゴールしていないにもかかわらず(ココナッツパンチに詰め寄られているにもかかわらず)、アドマイヤオーラの右耳はすでに立っているのが分かります。これは「半眼」といって、私が勝手に名付けたのですが、左後ろから襲い掛かってくるココナッツパンチは気にしながらも、半分は力を抜いている状態です。最後の直線でフラついたことは、このことと大いに関係があるのですが、アドマイヤオーラは苦しがってヨレたのではなく、馬が若くて遊んでしまってヨレたのです。着差は半馬身ですが、自ら動いて、余力残しで勝ったアドマイヤオーラには底知れない強さを感じました。

アドマイヤオーラの母系はドイツのSラインなのですね。この前お会いした時に教えていただいて、はっと気付きました。この馬の兄アドマイヤジャパンは少し無駄の多い馬だったというイメージなのですが、アドマイヤオーラは兄同様のエンジンを搭載していながら軽いですよね。馬体重だけではなく、馬体の造りが。父がアグネスタキオンに変わって、なぜ兄よりも良い馬が出たんだろうとずっと思っていたのですが、この母系は重かったんですね。前回の桜花賞で詳しく書きましたが、アグネスタキオンは血統構成の割に淡白で軽い馬が出るという印象があって、そういう面が母系の重さとうまくマッチしたのでしょう。ルドルフおやじさんの話を聞いて、オーラとジャパンの間にあった謎が解けたのです。ありがとうございました。

もちろん、弥生賞馬が皐月賞で勝てないというジンクスも踏まえていますよ。これはアイスさんからのコメントで教えてもらったのですが、それまで無敗だったような完成度の高い馬しか、弥生賞と皐月賞の連勝はできていないそうです。皐月賞では厳しいレースになって、アドマイヤオーラは若さを覗かせてしまうかもしれません。さらに悪いことに、中山の2000mでは不利とされる外枠を引いてしまいました。こんなことを言うと怒られそうですが、このレース(皐月賞)で勝てるという保証はないと思っています。それでもアドマイヤオーラを買うのは、ダービーへの布石としての1手として考えているからです。そういう賭け方もあっていいのではないでしょうか。

ルドルフおやじさんの本命であるフサイチホウオーについてですが、この馬も強い馬だと思います。共同通信杯からのローテーションを心配する声もありますが、馬体の仕上がり具合を見る限り、力を出し切れる出来にはありますね。おっしゃる通り、しっかりとした競馬をする馬ですね。強さが分かりにくい馬ではありますが、テンよし、中よし、終いよしという3拍子揃った馬です。パワーもあって、父がジャングルポケットということで東京向きとされていますが、私は最後に急坂のあるような阪神とか中山コース向きではないかと思います。他馬が坂でバテても、踏ん張り通せる馬ですね。そういう意味でも、ルドルフおやじさんの「フサイチホウオーはメイショウサムソン説」に同意します。

「初年度産駒がクラシックを勝つのは難しい」と桜花賞で書きましたが、果たしてジャングルポケットには当てはまるのでしょうか。私はジャングポケットには当てはまるけれども、フサイチホウオーには当てはまらないと思います。というのは、フサイチホウオーの母父がサンデーサイレンスだからです。種牡馬リーディングを見てもらえば、父としても母父としてもサンデーサイレンスがトップに立っています。つまり、表から見ても裏から見てもサンデーサイレンスなんですよね。フサイチホウオーはジャングルポケットというよりもサンデーサイレンスの底力に支えられています。だからこそ、G1レースを勝ち切れる可能性は十分にあるのではないでしょうか。

ひとつだけ、フサイチホウオーの心配材料を挙げるとすれば、俊敏さに欠けるという点です。肉体の構造上もそうなのですが、この馬は道中でかなり力を入れて走るタイプです。だからこそ、急な動きが難しいのではないかと思います。1番枠を引いて、おそらく道中は馬群の難しい位置でレースを強いられることになるでしょう。そして、直線までどのようなコースを通って来られるか分かりませんが、器用に立ち回ることが求められる皐月賞ですので、そういった意味では、他馬に付け入られる隙もある馬ではあります。あえて重箱の隅を突くような話なので、安藤勝己騎手であれば、その辺りは十分に承知の上で最上の騎乗をしてくるでしょう。勝ち負けになること必至ですね。

忘れていました。「3強」のもう1頭ですね。この2頭に割って入る馬として、私はナムラマースを考えてマース。あっ、ルドルフおやじさんの口ぐせが移っちゃいました。この馬は早熟だと思っていたのですが、前走はダイナミックなフォームで、なかなか良いレースをしました。私もラジオNIKKEI杯は評価していますので、藤岡騎手が4コーナーだけ上手く外を回してくれば勝ち負けになると思います。ここに来て、体調が上向いてきているのもプラス材料ですね。

ダービーを見据えている以上、馬券で焦る必要はまったくありませんよ。

今年の皐月賞は本当に楽しみなレースになりましたね。

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ラジオNIKKEI杯が鍵になりそうなレース

Rudolf_29

治郎丸さんありがとうございました。がっははは。「Aきさらぎ賞」も「Bきさらぎ賞」もラップでは評価できない、というわけですなあ。このおやじにはとても納得できる話でしたよ。また1本とられましたなあ。競馬必勝法というのがない、というのと同じですね。感性をみがいてじっくり落ち着いて競馬をみることにしましょう。それが的中への近道なんですね。いやあ、的中への遠い近道か・・・。

1番人気はFホウオーか、Aオーラか、馬券も楽しみな皐月賞です。他にも有力馬が何頭かいて馬連を中心に買うこのおやじは少々入れ込み気味になってます。今回はお伝えしたいこともたくさんあって、何を先に書くべきか迷っています。てきぱきいきましょう。まずはクラシックロードの評価から始めましょうか。

弥生賞はドイツ血統大会でした。1着のAオーラはドイツ牝系Sラインの出身ですね。2着のパンチの父Mカフェの母系もSラインから出ています。AオーラとMカフェは極めて近い血筋なんです。こういう血統を入れるというのが社台の凄いところですね。

Liebeslied(母母母母母)
Lis   (母母母母)
Liberty (母母母)
Licata  (母母)
Laurea  (母)

がっはははは、ときて、ジャパンカップでHアマゾンをくだして1着になったLandにたどり着くのがドイツ血統なんですね。何かというと、同族にはすべて同じアルファベットで始まる馬名をつけるというドイツの合理性をいいたいわけです。牝系が一目でわかって便利ですね。馬名評論もしているこのおやじは、SラインのAオーラはサイレントオーラ、Mカフェはサンデーカフェがよかったかな、と残念がるしだいです。ドイツ血統を一言でたとえると、おやじも乗ってる(夢を見た)「ベンツ」ですか。合理性と職人技に支えられた確かな品質です。数は少ないんですけれど。

ドイツ血統が1、2着をしめた弥生賞はやはり底力の試されるレースだったんでしょうね。先行馬に厳しい流れのレースでした。武騎手はオーラを敢えて先行させて本番での走り方を教えていたように見えました。自ら先行馬をつかまえにいきました。強い競馬をしたのはこの馬ですね。ただ試走で手の内を見せてしまったというのは本番でどうなんでしょうか。厳しいマークを受けそうで心配です。

弥生賞では追い込み馬が2着~4着をしめました。そういう流れでした。しかしよく見ると追い込んだ各馬はレースの流れにきちんとのって、漫然と脚をためていたわけではありません。パンチの追い込みを展開に助けられたと見るのはどうかな、と思います。新馬を勝っただけのこの馬、なかなかのものです。母系は仕上がりの早い軽快な血統で父のMカフェの重厚さとよくマッチしていると思います。また母系にブラッシンググルームが入っているのはとてもいいですね。

印象のもっとも良かったのはDジャーニーです。いつもより前で積極的な競馬をしていました。本番に向けて自らの脚をはかってたんでしょうね。で、直線の不利。本番で変わる余地を残したとみました。ホウオーの勝った東京スポーツ杯でもっとも強い競馬をしたのはこの馬ではなかったでしょうか。軽く飛んだと、大外を一気にくるイメージをもたれてますが、前走を見る限り馬群に入れても平気ですね。このちびっこなかなかのタフガイです。小さいのは父のステイゴールドなのか、Nテーストのクロスなのか。小回りコースで瞬発力を生かす血統ですね。筋肉の付き方などは母父マックイーンに似ているような気もしますが・・・。

弥生賞の読み方が馬券に直結しますね。Aオーラが強いことはよくわかりました。本番も積極的に前をつかまえにいくんでしょうね。Aオーラがつかまえにいく相手が、本番でSタイガースからヴィクトリーとAキングスにかわるというところが今回の皐月賞の展開を読むときのポイントになりそうです。ヴィクトリーとAキングスはなぜか地味な印象をもたれていますが、弱くない馬です。4角手前からの激しい攻防が目に浮かぶようです。しっかりした競馬のできる馬、そして一瞬の脚を使える馬がここから抜け出してくるはずです。Nダンサーの血が生きる皐月賞だと読みました。

こう考えると、今年「鍵になりそうなレース」はラジオNIKKEI杯じゃないかと思います。まず平凡な勝ち時計と先行有利なラップに助けられて、前に行った馬が楽に残ったレースのように見えますが、実は縦長でしかも出入りの激しいレースでした。今年の皐月賞もこんな感じになるんじゃないかな。ここで先行していた馬は弱くはないと思います。ヴィクトリー、ナムラマース、マイネルソリストですね。エントリーはありませんが、ソリストはウオッカに土をつけている馬です。Aキングスは出遅れて自分の競馬ができませんでした。そして、ホウオーは安藤騎手のひとつ遅らせて追出すという好判断に助けられたとはいえ、阪神コースの大外を回って勝利をものにしています。ここに挙げた馬たちはそれぞれの不利を克服しながら良いレースをしていたと見ています。4頭とも、次走で楽勝していますね。マースは2着でもスローを追い込むという強い競馬をしています。この4頭のうち1頭は皐月賞で連を確保するんじゃないか、と見ました。

Nダンサーということでいえば、AキングスとNマースは要注意でしょう。特にマースの配合はいいですよ。この馬にはいろんなパターンの競馬を経験した強みがあります。ホウオーはNダンサー系ではありませんが、4×4のクロスをもっていてNダンサーの強い影響を感じます。前の手紙で書いた、「ホウオーはサムソン」説をとっているので◎はこの馬。掻きこむようなフットワークから荒れ馬場もこなせるとは思います。激しい競馬もラジオNIKKEI杯で経験しているし、3月のトライアルをすべてパスしたのもいい結果につながると思ってます。調教師はDスカーレットのトレーナーですか、このローテーションに何か深い思慮が隠されているような気がします。1枠1番は少々不安ですがこれでいきましょう!オーラは手の内を弥生賞で見せたのが気になって印をさげます。枠も内のほうが良かったかなと思います。

○が問題。ナムラマースをどう見マースか。Nダンサーの3×4だぞ。なつかしい言葉をだそうか。奇跡の血量だぞ。18.75%だぞ。おまけに母方にMrプロスペクターも入ってる、ターントゥの次の血はMrだ。いいんじゃないかと思いマースときたもんだ。混戦になれば経験が生きると思いマース。待てよ、ホワイトマズルは荒れ馬場にいいんじゃないか。Aキングス、おやじはキンクス(kinks)の曲が好きだった。殿様キングスも好きだった。捨ててはおかれぬ。

しかし、ヴィクトリーはどうなんだあ?見捨てる気かあ。同族のリンカーンにはさんざん世話になったじゃないか。Dジャーニーの血統は日本でしか見られないぞ。こういう馬をほっといてどうする。内枠を引いてシメシメと思っているのはこいつだあ。蛯名騎手はいいやつだと思いマース。ローレルゲレイロ、なんて名前なんだ、すぐ忘れるじゃあないか。いいやつだ?オーラはどうした、ドイツ血統だぞ、タキオン産駒とくれば、おやじの好きなアウトサイダーのなかのアウトサイダーじゃないか、これを切ろうというなら冷たい奴だ。Mレガーロは、デットーリ先生もいい馬だとコメントしていた記憶がある。ここはうーむ。うむむむ。熱くなったときこそ、涼しげな顔、ココナッツパンチといきましょうかあ。大外をひいて笑っているはずだ。

あららっら。○は考えても考えてもわかりませんでした。がっはははは。ダービーもあるじゃないですか。馬券で焦る必要はまったくないですね。

枠順を考えて○以下の印を打っておきます。
◎ ホウオー
○ パンチ
▲ ジャーニー
△ マース
× オーラ
× キングス
× ヴィクトリー

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ラップについて(小さな声で)

Jiromaru_27

ボブ・マーレーですか?大学生の頃に聴いていた記憶がありますよ。レゲエのリズムって、歩くテンポらしいですね。激しい感情を内に秘めて、ゆったりと歩くテンポに乗せて歌を歌うんです。レゲエが歩くテンポなら、ラップは走るテンポでしょうか。せわしない現代を象徴しているようです。

さて、牡馬クラシック第1弾、皐月賞ですね。クラシックを制するには、鍵となるレースを見極めなければならないという話、ストンと腑に落ちました。おっしゃる通り、ひとつのレースの評価を間違うと、その次も間違えて、結局、あれよあれよという間に、クラシックが終わっていますから。その逆も然りで、いもづる式に当たることもあって、昨年のルドルフおやじさんはまさに神懸っていましたよね。もちろん、今がそうでないという意味ではないですよー。

しっかりとステップレースを評価していきたいところですが、その前にレゲエ、いやラップについてお話させてください。最近、猫も杓子もラップですが、そのほとんどが競馬の本質からは程遠いと思います。むしろ、本質から離れていってしまっているんじゃないかなぁと。

そもそも、ラップって先頭の馬が走った時計ですよね。各馬のラップは存在しないばかりか、阪神ジュべナイルFのラップとか、桜花賞のラップとかいうのも存在しないわけです。存在しないものを単純比較することはできません。また、そのレースが行われた時の馬場状態や各馬のコース取り(内か外か)、馬群の長さや密集度などの要素を考慮しないのは、あまりにも乱暴すぎると思います(たとえ考慮したとしても、考慮しきれるものではないのですが)。

失礼を承知で言いますが、ルドルフおやじさんの挙げられた、AのレースもBのレースもほぼ同じです。繰り返しになりますが、馬場状態や各馬のコース取り(内か外か)、馬群の長さや密集度などの条件が微妙に違って絡み合っていますので、AとBのレースのラップを比較してどうこう言うことはほとんど無意味です。それぐらいのラップの違いであれば、レースにおけるちょっとした綾で変わってしまいます。つまり、ラップだけを比較しても、マイネルブルックとメイショウサムソンの違いは分からないということになります。ラップ病にかかると、恐ろしいことに、マイネルブルックとメイショウサムソンの違いが分からなくなるのです。

ラップという数字で表すともっともらしく見えるので安心するのでしょうが、ラップ分析は科学的に見えて非科学的という、競馬ファンをミスリードしやすいツールだと思います。誰も言わないので、こっそり言っちゃいました。もちろん、素晴らしいラップ理論もありますし、なんだかんだ言いながら、私も競馬の面白さを説明するときに使いますけど。

そもそも、ルドルフおやじさんがメイショウサムソンの強さを見極めたのは、ラップを見てではないですよね。「Bきさらぎ賞」を見て、ほんとうにいいレースだったと、感動したということなんですよね。ラスト50mでドリームパスポートの切れを差し返そうとしたメイショウサムソンを見て、その根性が凄いと思ったのですよね。そういうことだと思います。ルドルフおやじさんが酒を飲みすぎていたわけではありません。フサイチホウオーはメイショウサムソン説、面白いですねー。

Everything gona be all right!

ちょっと調子に乗って、ラップについて書きすぎました。皐月賞については、次の手紙で書きます。最後にひとつだけ書いておくと、この前お会いした時に、ルドルフおやじさんは、皐月賞はフサイチホウオーとアドマイヤオーラとドリームジャーニーの「3強」だとおっしゃっていましたね。「3強」は「3強」でも、私が考える「3強」は違います。

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フサイチホウオーはメイショウサムソンかもしれない

Rudolf_28

奇跡は奇跡かあ。マーちゃんは外枠に負けましたなあ。スカーレットの見立てはまあまあ合っていたので、少し満足です。さて牡馬のほうはどうなりますか。

先日お目にかかったとき、クラシックロードには鍵になるレースがある、というお話をさせてもらいました。昨年はきさらぎ賞という「鍵になるレース」をたまたま発見できて、皐月賞やダービーの勢力図を事前にある程度つかむことができました。たまたまなんですけど。

「鍵になるレース」というのはなにか、ということですよね。慣れないラップを見ましょうか。このおやじがついていけてたのはレゲーのボブ・マーレーまでで、どうもラップは苦手なんですなあ。

Everything gona be all right!

A   11.3  11.5  12.1  12.5  12.5  11.8    11.7  11.7
B ▼11.0  11.5  12.2  12.5  12.5  11.9  ▼11.3  11.7
   
Bが「鍵になるレース」のラップです。Bの▼のつけたところがAと比べて速いですね。これ、Bのレースは前半も後半もAのレースより厳しい流れのレベルの高いレースだったと、読んでいいんですか。逃げにくく追い込みづらい流れと読んでいいんですか??

おー、頼りない、Everything gona be all right!

「Aきさらぎ賞」の勝ち馬はマイネルブルックという馬です。ネオユニバースも「Aきさらぎ賞」のようなラップを先行して勝ってます。ネオユニバースにとっては楽勝の「Aきさらぎ賞」だったんでしょうね。例年に比べて逃げにくく追い込みづらい「Bきさらぎ賞」を、追い込んで勝ったのはDパスポート、そして先行して2着に粘ったのはMサムソン。2頭の実力がわかります。

そのレースが「鍵になるレース」かどうか、を見極めるためには上位入着馬の着差も見なければいけません。3角からまくって5着に入ったAメインと先行集団からさして4着に入ったGウィークがDパスポートから1馬身半のところに詰め寄ってます。3着に先行したスケルツィー。「Bきさらぎ賞」の上位馬がそれぞれに有利とはいえない流れのレースで渾身の力をふりしぼって走りきった様子がよくわかります。「Bきさらぎ賞」は有力馬がしのぎを削るいいレースだったわけです。こういうレースで半馬身でも勝つ馬が強い馬です。

で、レゲーおやじがラップで何を語りたいかというと、要は「Bきさらぎ賞」を見てほんとうにいいレースだったと、おやじは感動したということなんですよ。自慢じゃないが、当然馬券は外してますよ、ウォッカの兄、Tベリーニという馬から流したわけですから。それでも、すばらしいと素直に思えるレースがクラシックで「鍵になるレース」なんです。たまたまこういうレースが昨年あったというだけの話なんです。毎年お目にかかれるわけではないかもしれません。

このハイレベルの「Bきさらぎ賞」ですごいと思ったのが、Mサムソンの「根性」です。おやじたちは「根性」がないやつはだめだと、星ひゅうまのお父さんなどに教えられながら育って参りましたが、結局のところ根性は身につくことはなく、毎晩晩酌に励む身とはあいなりました。その点Mサムソンは偉いですよ。Dパスポートの鋭い切れに屈したかに見えたゴール手前50M辺りから巻き返そうとしたのですから。Mサムソンの強さはラップではうかがい知ることは難しいですね。なにせ「根性」をラスト50Mで発揮するのですから。先週の大阪杯でも他馬と同じようなラップを刻みながら、サムソンは異様なオーラを放って勝ちましたね。(注意 酒を飲みすぎると競馬をこのように見てしまうことがあります)

ラップでは捉えきれない強さをもった馬はいると思います。今年の馬でいうと、人気のフサイチホウオーですか。この3走、2着馬につけた着差は、それぞれ0.0、0.0、0.1。なんとなく勝っているように見えるこの馬、このおやじにはどうしても切れ味勝負のグレイソブリン系の血統の馬には見えませんでした。体もゴツゴツしてますしね。血統をのぞいてみると、Mサムソンの配合にそっくりなんです。Nダンサーのクロスにフォルティノの隠し味。しっかりした競馬をするところはNダンサーの血のなせる業でしょうね。根性というか、悍性(かんせい)という古い競馬用語でいうところのたけだけしさは、フォルティノやトニーを経たグレイソブリンからきているのでしょうね。まずは「フサイチホウオーはメイショウサムソンかもしれない」説を唱えておきます。

ことしのきさらぎ賞は「Aきさらぎ賞」のパターンに近いのかなあ。「鍵になるレース」とは思いませんでした。しかし「Aきさらぎ賞」からも皐月賞馬は生まれているのは事実ですから、AキングスとNマースについては検討しておきます。「Bきさらぎ賞」ほどの深い印象は持ちませんでしたが、弥生賞の各馬の評価が鍵になると思います。このあたりは次回の手紙で触れますが、魅力を感じているのはホウオーです。ホウオーが強い馬なのか、弱い馬なのか、治郎丸さんがどんな道具を使って見たのか、気になります。

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◎ウオッカ

Jiromaru_26

遅ればせながらですが、誕生日おめでとうございます!ご家族の皆さまに祝われて、がっははははと笑っているルドルフおやじさんの姿が目に浮かびます。本当なら駆けつけて祝杯をあげたいところですが、なにせ梅酒ぐらいしか飲めないもので…。まあ、今日の桜花賞はお互いウオッカで完敗、いや乾杯しましょう。

と不吉なことを書いてしまいましたが、私も◎ウオッカに本命を打ちます。オッズが低いので馬券的な妙味はありませんが、印を打つとすればこの馬ということです。血統についても詳しく教えていただいたので、もうウオッカの強さについてはこれ以上語る必要もないでしょう。追い切りの動きを見ても、角居調教師にしては、仕上がりが良すぎるくらいに仕上げてきていますね。この後の体調が心配になるほどです。前進意欲の強い馬ですが、賢い気性なので折り合いがつかなくなる心配はないでしょう。何といっても、今年から新阪神コースで行われるというのは、馬券を買う私たちだけではなく、陣営にとっても大きな安心材料でしょう。スピード、スタミナ、瞬発力、そして底力を備えたこの馬を、素直に評価したいですね。

もし死角があるとすれば、外枠を引いたことでしょう。包まれなくて良いという意見もあるでしょうが、私は反対に考えています。新阪神コースの長い直線であれば、たとえ包まれても抜け出してこれるはずですが、怖いのは外枠から外々を回して、脚をなし崩し的に使ってしまうことです。いくらウオッカが能力的に一枚も二枚も抜けているとはいえ、あまりに脚をロスしてしまうと、あわやというシーンもあり得ますよね。3~4コーナーではペースが落ちますので、馬群が固まり、そこで外を回されてしまうとかなりの距離ロスになります。そしてまた、四位騎手は外を回すのが好きな騎手ですから。

四位騎手が外を回す意図も良く分かるんです。多少の距離ロスがあっても、大外を回して、自分のフットワークで走らせた方がいい馬はたくさんいますし、何といっても、馬が外を回ってスムーズに走っていると、四位騎手の綺麗なフォームがより一層引き立つんですよね。でもやっぱり、それを差し引いても、手応え良く大外を回ってきたら直線で伸びないという騎乗が目に付きます。騎乗馬がウオッカということで、父タニノギムレットの皐月賞での騎乗が思い浮かびますが、あれは今から思えば先を見越しての騎乗だったと思います。皐月賞でただ勝ちに行くレースをしていたとしたら、もしかしたらダービーは勝てなかったかもしれません。もしかしたら、今回の桜花賞のウオッカでも先を見越した乗り方をするのでしょうか。怖い怖い。

さて、3番手以下という評価をしたダイワスカーレットですが、この馬はマイラーだとは思っていません。地脚の強そうな走りや血統的背景からも、2000m前後の中距離が適性かと思います。速い脚を平均的に長く使える馬ですが、瞬発力勝負になると分が悪いので、マイルよりも少し長い距離で速いラップを刻み、他馬の脚をなし崩し的に使わせるレースが合っているはずです。うまく説明するのは難しいのですが、引っ張ってペースを上げても、マイルのG1クラスだと、ハイペースに乗じて後ろから伸びてくるマイラーが必ずいるんですよね。つまり、どんなペースになっても、マイルの距離だと差し切られてしまうイメージです。そうはいっても、安藤勝己騎手は今回、積極的に行く方を選ぶと思います。前走で瞬発力勝負ではウオッカに勝てないことはよく分かったので、今回は肉を切らせて骨を断つつもりで早目に仕掛けてくるでしょう。それで相手がミスをしてくれるのを待つということです。雨はどうでしょうか。兄ダイワメジャーはこなしましたので、大丈夫かもしれませんね。

アグネスタキオンが4頭も産駒を送りこんできましたが、今年はこれまでと違ったイメージの馬が出てきていますね。おっしゃるように、アグネスタキオンは調子落ちでさえ皐月賞を勝った、あの世代においても能力が傑出していた馬でした。その底力溢れる血統を見ると、吉田勝己さんが入れ込むのもよく分かりますね。ただ、私のイメージとしては、アグネスタキオン産駒はどうも淡白な走りをする馬が多い気がします。血統的な底力がうまく伝わっておらず、軽いだけの馬が多い印象です。しかし、今年は少し違いますね。ダイワスカーレットや、来週登場する予定のアドマイヤオーラなど、底力も秘めた馬が出現してきています。サンデーサイレンスがいなくなって、さらに良質な繁殖が回ってきたことが大きな理由でしょうか。

実は、ルドルフおやじさんの言う「奇跡」をぶち壊す馬としてイクスキューズを考えていましたが、最終追い切りが気に入りませんでした。内枠を引いたのは良かったのですが、この馬は長距離輸送に難があるのかもしれませんね。阪神ジュべナイルFの走りを見ると、本来の体調ではなかったような気がします。今回は、その苦手な輸送を考慮しての仕上げのように映りました。クイーンSでの走りを見る限り、能力が高いことは確かなので、狙いはオークスではないでしょうか。

あっ、2番手評価は変わらずアストンマーチャンですよ。坂路での最終追い切りは、いつも通りスピードとパワー溢れる動きでした。もし万が一、道悪になるようなことがあれば、ウオッカにとってマイナス材料になるであろう分、この馬にとってはかなりのチャンスだと思います。ただ、この馬にとっても外枠を引いたことは不安材料ですね。武豊騎手は内を回って、出来るだけ脚をタメたかったはずです。果たして、どこかのタイミングで内にもぐりこめるでしょうか。武豊騎手の腕が問われるレースです。

初年度産駒ワンツーの「奇跡」は起こるのでしょうか?
3強ワンツースリーの「奇跡」は起こるのでしょうか?
めでたいルドルフおやじさんの願いが叶いますように。

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ウォッカは父系の強さと母系の速さがみごとに調和した馬

Rudolf_27

お手紙ありがとうございました。結論が書いてあったのでちょっと驚きましたよ。ウォッカとマーちゃん。初年度産駒(ファーストクロップ)どうしのワンツーの「奇跡」はあるか、ですね。言われてみるとこんなこと確かになかったですねえ。ますます桜花賞が楽しみになってきました。

このおやじもマーちゃんは高く評価しています。3頭のなかで、世間さまにちょっと頼りないかなと思われているのがマーちゃんですか。名前がかわいいというのもあるのかもしれませんね。幼いというか、そんなイメージです。ところが血統をみると、そうじゃない。父Aコジーンは治郎丸さんが昨夏に書いてたとおり、偉い馬です。このおやじがもっとも見習わなければならない、くじけない、へこたれない立派な馬です。

Aコジーンの不屈の精神を支える成長力は、父系のフォルティノからきてますね。そして母父、母母父にNテースト、トライバルチーフと頑健な血が重ねられている点も見逃すことはできません。トライバルチーフ自身は5ハロンの短距離実績のある馬ですが、わずかな産駒から菊花賞の3着馬、母父として皐月賞2着Nタイセイ、オークス2着Fガリバーを出す底力のある種牡馬です。Aコジーン産駒早熟説がありますが、血統からは逆に古馬になって楽しみな血統だといえるんじゃないかと思います。

マーちゃん自身の母系は主流血脈の中でも影響力の少ないウッドマンとノースフィールド、異系のタピオカなどが丁寧に重ねられていておもしろいですね。世間の評価とは裏腹にマーちゃんには頑丈な血が流れているわけです。マーちゃんにはベストスプリンターに成長していってほしいものです。

桜花賞はベストマイラーを決するレースではありません。マイラーも中距離馬もスプリンターも集うクラシックですから、最強のスプリンターが勝っても不思議ではありません。マーちゃんにもチャンスは十分にあると思いますよ。この馬の前走はいかにもトライアルといった感じで余裕がありました。この点はウォッカやスカーレットより評価できると思います。前々走の阪神JFでは前半かかり気味に走っていたのにもかかわらず、ゴールまでウォッカに食らいついていたじゃないですか。世間で言われているよりは脆くない馬だと思ってます。武騎手もトライアルでは必死に「我慢」を教えてましたなあ。3番人気になったときもっとも怖い馬です。もちろん雨が降っても・・です。

ウォッカは治郎丸さんのおっしゃるように完璧な馬ですね。1完歩、1完歩に強さを感じさせる馬です。ちょっとごつごつしていてパワータイプの印象を受けますが、血統的には京都のようなコースで最も能力を発揮できる鋭い切れ味を身上としている馬だと思います。あえて言うならこの辺りにウォッカの落とし穴があるのかもしれません。父のギムレットも京都のマイルで素晴らしい末脚を繰り出してました。

ギムレットはファーストクロップからウォッカのような産駒を得て幸せですね。今後は良い繁殖牝馬に恵まれることでしょう。ギムレットの売りはグロースタークの3×4のインブリードとレディージョセフィン系という大種牡馬を輩出する母系のすばらしさです。確かに時代を代表するような種牡馬に成長する可能性はあります。ただリボーの影響が強いのでコンスタントに走る馬を出すタイプではなく、何頭かのとても強い馬を出す一方で、多くの凡馬も出すといったタイプの種牡馬かもしれません。勝てる種牡馬というのでしょうか、こういう種牡馬は魅力的です。平均的に走る馬をだすDスカーレットの父タキオンと対照的な種牡馬だと思います。桜花賞を勝ちたいウォッカには頼もしいパパといったところでしょうか。

ウォッカの母系はシラオキですね。日本の血統を代表するクラシック血統です。近親には京都で行われた桜花賞を一気に追い込んで勝ったシスタートウショウの名が見えます。シスタートウショウは薄い感じの体形をしたいかにも切れる馬でしたね。ウォッカは父系の強さと母系の速さがみごとに調和した馬かもしれません。頭の高い走りをするのでこのマイルの桜花賞はぜひともものにしてほしいと思います。強いマイラーだからオークスも大丈夫だとは思いますが・・・・・

Dスカーレットの父タキオンのセールスポイントは、何と言っても自身の競争能力の高さですね。レベルの高い世代で勝ち続けたというのは驚くべきことです。調子落ちで臨んだ皐月賞をも勝つこの馬には何とも言えぬ雰囲気が漂っていました。こういう雰囲気が産駒に伝わればいいんですけれども、競争能力を伝えることさえ難しいというのが種牡馬人生の厳しさです。多くのタキオン産駒にもタキオン自身の競争能力は伝わってないような気がしますね。

じゃあ、タキオンが何を産駒に伝えようとしているかというと、底力だと思うんです。「底力」という言葉を、このおやじはどんな展開になっても掲示板にのるほどの力という意味で使っています。サンデーサイレンスの母系は異種で固められてます。そしてタキオンの母系も異種の権化のような血統です。タキオンはサンデーの後継馬のなかでも、異種を何代も配合している底力のあふれる種牡馬なんです。もちろん素晴らしい種牡馬ですね。本命には推しにくいという面はありますが、馬連や三連複の軸にすると頼りになるんじゃないかなあ。

Dスカーレットの母系はナスルーラを経ない快速血統ですね。こういうのはいい血統だよとDメジャーがこのおやじに教えてくれました。実にコンスタントに走ってくれますし、速さだけでなく力強さも感じさせる走りをします。スカーレットは父と母から底力をうまく受け継いだ馬だと思います。底力が問われる新阪神コースでの桜花賞というのがミソで、「3強」のなかで3連複の軸としてもっとも頼りになるのがこの馬だと思ってます。もちろん雨が降っても・・です。ここ治郎丸さんと見解が分かれましたねえ。

そろそろ結論を書きたいと思いますが、血統を眺めていると、ますます「奇跡」が起こってほしいと思うようになりました。このおやじが「3強」に印を打つので「3強」ワンツースリーの「奇跡」はちょっと遠のいたかもしれませが・・・がっははははは!と笑っていると、テレビがスカーレット18番と言ってました。天の神様の中でも競馬の神様の演出力は一流ですなあ、さすがです・・・・がっはははは。

◎ウォッカ
○スカーレット
▲マーちゃん
願いを3連複1点にこめましょう。

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初年度産駒によるワンツーは一度もない

Jiromaru_25

Sakura_2今日は近くのお寺に行ってきましたが、ソメイヨシノが咲き始めていました。ソメイヨシノって、オオシマザクラとエドヒガンザクラの雑種で、最初は1本から始まったそうです。なんとなくサラブレッドに近いものがありますよね。

毎年、この季節がやってくると、阪神競馬場にサクラとサラブレッドを見に行きたくなるのですが、今年はこれまでで一番その思いが強いかもしれません。今年の主役を張る3頭の牝馬は、それぞれに個性豊かで、どの馬をも応援したくなりますね。今年も残念ながら現地へ赴くことは出来ませんが、自宅で目を皿のようにして観戦したいと思います。

さて、その3頭の牝馬は3強と呼ばれていますが、私は少し違うイメージを持っています。というのは、3頭の中では、競走馬の資質という面において、ウオッカが一枚以上抜けていると思っています。スピード、スタミナ、パワー、レースセンス、そして追ってからの瞬発力と、現時点の牝馬としては非の打ち所がありません。その血統的な背景や弾むようなフットワークからは、大物感がたっぷりと伝わってきます。馬体だけ見ると、柔らか味と十分な伸びがあって、父タニノギムレットよりも良いのではないかとさえ思います。

年明けのエルフィンSは、6分程度の仕上がりで完勝でした。前走のチューリップ賞は、最後の直線だけ走っただけのヌルいレースでしたが、道中あれだけのスローペースに我慢できたことは収穫でした。角居調教師のジワジワと仕上げる調教に合わせて、桜花賞にも万全の状態で臨んでくるはずです。最も勝利に近い位置にいるのはこの馬でしょう。

そのウオッカを苦しめるとすれば、アストンマーチャンの他にいません。前走のフィリーズレビューは、レース自体のレベルはチューリップ賞よりも高かったと思います。アストンマーチャン自身は、休み明けで少し掛かり気味でしたが、それでも最後まで良く伸びています。2歳時よりも成長していますし、ひと叩きされて、ここへ向けてほぼ万全の体調で臨んでくるでしょう。

マイル戦をこなせるスタミナは十分にありますので、距離延長自体はそれほど問題はないはずです。ただやはり、中盤がどうしても緩んでしまうレースに、折り合いがつくかどうか心配です。少なからずスタミナのロスはあるはずで、それが最後の最後の伸びに響いてくるかもしれません。内枠を引いて、道中のロスを極力少なくできてこそ、初めてウオッカと勝ち負けになるはずです。

ダイワスカーレットについては、あくまでも3番手以下という評価をしています。この馬は、まるで全妹かと思うくらい、つい先日のドバイで3着した兄ダイワメジャーとタイプがそっくりですね。追ってからそれほど伸びる馬ではありませんが、バテ知らずの地脚の強いタイプです。 前走のチューリップ賞は、ウオッカの瞬発力に屈してしまいましたが、本番へのメドは立ったと言えるでしょう。安藤騎手も今度は早目に仕掛けてセーフティリードを取る作戦に切り替えてくるはずです。しかしそうなると、デビューから3戦連続してスローの展開で、厳しいレースを経験していないことは大きな不安点です。G1レースらしい厳しい流れになった場合、もしくは自分で引っ張った場合、意外と脆さを露呈してしまうこともあるかもしれません。展開のカギを握るのはこの馬でしょう。

とまあ、私はウッカが一枚抜けていて、それにアストンマーチャンが続き、3番手以降の筆頭がダイワスカーレットという見方をしています。

そこで、ひとつ面白い記事を「競馬ブック」で読んだのですが、初年度の産駒からクラシック勝ち馬を出した種牡馬は、過去20年で7頭しかいないそうです。

シンボリルドルフ(トウカイテイオー)
トニービン(ベガ、ウイニングチケット)
リブリア(ナリタタイシン)
ブライアンズタイム(ナリタブライアン、チョウカイキャロル)
サンデーサイレンス(ジェニュイン、ダンスパートナー、タヤスツヨシ)
メジロライアン(メジロドーベル)
アフリート(プリモディーネ)

やはり、初年度からクラシックの勝ち馬を出すのは簡単ではないということです。そんな中で、複数頭出したのは、トニービン、ブライアンズタイム、サンデーサイレンスという時代を作った名種牡馬たちばかりです。そして、それ以外の4頭の種牡馬に共通していることは、2歳新種牡馬チャンピオンに輝いているということです。つまり、トニービン、ブライアンズタイム、サンデーサイレンスクラスの種牡馬でなければ、2歳新種牡馬のチャンピオンになっているぐらいでないと、初年度からクラシックで勝ち馬を輩出することは難しいということですね。ちなみに、昨年の2歳新種牡馬チャンピオンはアドマイヤコジーンです。もしウオッカが桜花賞を勝つようなことがあれば、タニノギムレットは時代を作る名種牡馬になるのかもしれません。

そして、もちろんのこと、初年度産駒によるワンツーも過去20年で一度もありません。

今年のメンバーの中で、初年度産駒はなんとアストンマーチャン(父アドマイヤコジーン)とウオッカ(父タニノギムレット)の2頭だけです。実力通りであればこの2頭で決まると私は考えていましたが、意外と簡単でもないようです。この2頭でワンツーをするようなことがあれば、まさに「奇跡」だということですね。

ルドルフおやじさんと出会えたこともまさに「奇跡」だと私は思っていますが、果たして今年の桜花賞でも私の考えた「奇跡」は実現するのでしょうか?

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桜花賞の「奇跡」にめぐり合いたい

Rudolf_25 →ルドルフおやじってどんな人?

宝くじが当たった人は「奇跡!」と叫ぶのでしょうかね?ちょっと違うような気がします。不治の病が完治したり、九死に一生を得て「奇跡」と言う場合はありますね。イエスが好きなうちの息子の本には、イエスが水をぶどう酒に変えた「奇跡」が分かりやすく書いてあります。物理学者や宗教家によれば、ここに生を受けて存在することも「奇跡」だそうですね。才能と練磨によってつかんだ自らの勝利をも「奇跡」と言った謙虚なメダリストがいました。

起こりえないことだけれども、起こってほしいこと。ありえないことだけど、あってほしいこと。そして実際に起こったこと。「奇跡」という言葉には希望と力強さがあふれていますね。

66回を数える桜花賞の歴史のなかで1、2、3番人気に押された馬たちがそろって3着以内を占めたのは、わずかに4回。しかもその4回は戦後間もない、馬資源の乏しい時代に記録されたものです。出走頭数は7頭、6頭、11頭、11頭でした。多頭数で争う現代の桜花賞で1、2、3番人気に押された馬たちがワンツースリーを決めるのは、まさにありえない話なんですね。「奇跡」なんです。

さて、67回桜花賞。今回は1、2、3番人気馬というレベルではなく、3頭ともに「強い」と言わしめる3強がそろいましたね。3強が「奇跡」を起こすか、そこが見所です。馬券は売れないかもしれませんが、このおやじは今年の春のクラシックの中で、桜花賞を1番楽しみにしています。「奇跡」は起こるのか?

1昨年の桜花賞は、かなりのハイレベルで争われたレースでした。このおやじは、桜花賞史上もっとも尊敬すべきレースだと思っています。シーザリオ、次にラインクラフト、そしてエアメサイアと人気は続いていました。やや先行有利の流れとはいえ、大外を克服して勝ったクラフトの先行力は後に東京の1600Mも克服します。不利を克服して追い込んだシーザリオの末脚には驚きました。彼女はシラオキ系の種牡馬の娘なんですよね。Aオークスでの彼女の圧倒的なパフォーマンスは日本競馬の到達点を示したといえます。今でこそ書けるのですが、このおやじはDインパクトの出現よりもシーザリオのAオークス制覇のほうが、日本競馬にとって意味のある出来事かな、とひそかに思っています。メサイアは展開が向かず脚を残しての4着という残念な結果に終わりましたが、無事ならば今年のビクトリアCを圧勝したはずの馬だったと思います。この3頭がいた桜花賞でさえ見ることができなかった「奇跡」です。果たして「奇跡」は起こるのか、ワクワクします。

ワンツースリー決着4回の12頭のなかで血統史に名を残すのは、第11回桜花賞2着馬、クモワカでしょうか。第26回桜花賞馬ワカクモの母、テンポイントの祖母となった馬ですね。そういえばテンポインも、トウショウボーイ、グリーングラスとともに「3強」と讃えられていましたね。この「3強」がワンツースリーをはじめて決めたのは菊花賞でしたが、このときグリーングラスは12番人気でした。菊花賞の楽しみはグリーングラスを探すことです。去年の菊花賞は、治郎丸さんもこのおやじもグリーングラス(ソングオブウィンド)をもうちょいのところで取り逃がしてしまいましたなあ、がっははは。

この「3強」が1、2、3番人気に押されてワンツースリーを決めたのは、有馬記念と宝塚記念の2回。いずれもグリーングラスが3着でした。凄いのはそのときグリーングラスが、4着の菊花賞馬と天皇賞馬をそれぞれ6馬身ちぎっていることです。爽快というべきか、痛快というべきか。ペールギュントが2着に突っ込んでくるのも競馬ですが、強い馬がしのぎを削るのはなんと言っても競馬の醍醐味ですね。

今年の桜花賞の「3強」は、言うまでもなく、ウォッカ、Dスカーレット、アストンマーチャンですね。このうちウォッカとアストンマーチャンは暮れに阪神JFで対戦して、3着馬を3馬身半ちぎってます。この3馬身半というのは、阪神JF史上ヒシアマゾンが2着馬につけた5馬身差に次ぐものです。ウォッカとDスカーレットはチューリップ賞で3着馬を6馬身ちぎってます。3頭の実力は確かに抜けていますねえ。しかし競馬は賭博なので一筋縄ではいきません。展開、馬場、枠順、体調、そして馬主の思惑や騎手の心理、まあ、得体の知れぬものと戦うわけですな。

きちんとした形で競馬が行われるようになって、いまだ桜花賞の「奇跡」は起きていません。くどいようですがシーザリオ、クラフト、メサイアでさえ起こしえなかった「奇跡」です。この2年、Dインパクトの底知れぬ強さを堪能しました。ウォッカ、Dスカーレット、アストンマーチャンには、シーザリオたちに負けない素晴らしい未来が待っているような気がします。今度は「3強」のせめぎあいを味わいたいものです。これが30年間、「奇跡」に巡り合ったことのないおやじのささやかな願いです。

「3強」ということで3連複で2倍つくか、馬券を楽しむ方には確かに辛い桜花賞です。しかし、「奇跡」という言葉を使えば実に楽しみな桜花賞になります。奇跡は偶然とはちがいますなあ。「奇跡」に巡り合うためには強い願いが必要です。ハレルヤ、ハレルヤ、晴れるや!

まずは治郎丸さんが桜花賞にどんな楽しみを見つけているか、手紙が待ち遠しいですな。

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◎スズカフェニックス

Jiromaru_24

またまた雨が降っていますね。昨年ぐらいから、どうもG1レースの週末に雨が降ることが多いような気がします。最近は馬場が良いので、少々の雨では極端に時計が掛かることはなくなっていますが、それでも気になってしまうのが、私たち競馬ファンの心理といったところでしょうか。まあ、明日のことを憂いても仕方ないので、雨という要素に振り回されないように予想します。

さて、いきなり結論ですが、本命は◎スズカフェニックスに打ちます。堅実に走りながら力をつけてきた馬で、特に今年に入ってからは充実していますね。レース振りを見る限り、非常に捌きの軽い、前向きな気性を持った馬だと思います。阪急杯でも掛かる素振りを見せていたくらいで、スプリント戦に対する不安は全くないでしょう。

なるほど、プリンスローズのクロスを母系に持っているのですね。私としては、サンデーサイレンス×フェアリーキングが軽く出た形だと思っていたのですが、母系にスタミナと底力を内包しているということになりますね。過去の高松宮記念の勝ち馬を見ても、軽いだけでは勝ち切れないのは明らかで、プリンスローズのクロスはプラスと私は勝手に解釈します。

体調も今年に入ってから安定していますし、追い切りの動きも文句なしでした。最大のポイントは、コース取りでしょう(特に4コーナーの)。8番枠を引いたので、ここならば道中は内でジッとしていることが出来るはずです。4コーナーを回るギリギリまで内で我慢して、他馬が外を回しながら馬群が広がったところで、その間を縫って仕掛けてくるという競馬が理想ですね。中京の直線は短いですが、スズカフェニックスの瞬発力を持ってすれば、ゴール前では十分に届くはずです。

プリサイスマシーンに騎乗する安藤勝己騎手は、凄みのある騎手です。どこかの競馬雑誌で、清水成駿氏が安藤勝己騎手の騎乗について、コーナーで順位を上げていくだけのワンパターンと書かれていましたが、それはあまりにも了見が狭すぎますね。
コーナリングで前との差を詰めていくのは、騎乗の基本中の基本であって、どの騎手も心掛けていることです。分かっていても難しいのですが、安藤騎手はそういった基本を当たり前のように出来るだけのことです。

安藤勝己騎手の凄さについて、私はこれまでにも書いてきましたが、もちろん語りつくせるものではありませんね。武騎手とはタイプが違いますが、それぞれに世界レベルのジョッキーであることは間違いありません。4コーナーを回るあたりからの、軽快に逃げるシーズトウショウを見据えての、二人の駆け引きは見ものですね。プリサイスマシーンについては前の手紙で書きましたが、安藤勝己騎手が乗るということも含めて、好勝負になるはずです。萩原調教師にしては珍しくビッシリと追いきってきましたし、年齢的にもここが最後の勝負でしょう。

ルドルフおやじさん本命のマイネルスケルツィは、安定して力を出し切れる馬です。馬体に少し硬いところがある馬なのですが、前走から間隔を開けたことで、少し柔らか味が戻ってきていますね。硬くてもこれまで走ってきているので、これが吉と出るか凶と出るか分かりませんが、期待はしていいはずです。この馬もスプリント戦は全く問題がありませんが、適距離かというと疑問です。少し一本調子なところのある馬なので、もう少し長い距離で細かいラップを刻んで先行する方が良いのかもしれません。前走の京都金杯は展開にも恵まれたところがあると思っていますので、それを含めてスズカフェニックスよりも評価を落としました。

その他で言えば、絶好の枠を引いたシーズトウショウは、思い切った先行策(もしくは逃げ)が打てるはずです。桜花賞を2着した馬がここまで走り続けていること自体が驚異的ですが、ルドルフおやじさんが以前におっしゃっていた血統の力が大きいのでしょう。普通の短距離牝馬の枠を当てはめようとすると、痛い目に会うかもしれません。馬体からは海外遠征の疲労や年齢的な衰えは感じられませんし、何といっても得意の中京平坦コースです。

エムオーウィナーは、雨が降って馬場が渋ればさらに面白いかもしれませんね。この馬の道悪の巧拙は未知ですが、切れ味を殺される馬が出てくる分、押し切れるチャンスは拡がるでしょう。今年に入って充実期を迎えていますし、馬体からもスピードとパワーが伝わってきます。ひとつだけ気がかりなのは、追い切りを見て、口向きの悪さが感じられたことです。直線に入ってから、多少なりとも追いづらい面があるのではと想像します。まあ、クセ馬には乗り慣れた小牧騎手なので問題ないとは思いますが。

わずか1分8秒のお祭りです。
まばたきすることなく見届けましょう。

追伸
本日、ある競馬ブログの管理者の方と会食をしてきました。お互い飲めない同士なのに無理して飲んだのですが(笑)、とても楽しく、勉強になる話を聞かせてもらえましたよ。私の思っていた通りの大人物でした。明日お会いする時に詳しくはお話しますね。それでは競馬場で!

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スペシャルな血統のマイネルスケルツィを狙う

Rudolf_24 →ルドルフおやじってどんな人?

年をとると集中力が続かなくなり、マイラーがスプリンターにシフトするというのはおもしろいですね。このおやじにはスッキリわかる話です。で、今年のオービスサマーダッシュの◎はルドルフおやじで決まりですか。

さて、1回目の手紙以来、このおやじ頭を抱え続けております。うーむ難しい!安藤Jが乗るということで、1番人気はおっしゃるようにプリサイスマシーンでしょうか。安藤Jは凄みのある騎手ですね。今はもう語られることは少なくなりましたが、福永洋一騎手は天才という言葉だけで語ることのできない、何か恐ろしいものを感じさせる騎手でした。ふたりの騎手を安易に比較するのは無礼ですが、最近の安藤Jの騎乗ぶりにも怖さを感じます。一長一短ある馬の集まった今回、騎手のサポートを最も多く受けられるのは、この馬に違いありません。

このおやじはキンシャサが高松宮で1着になるとずっと思っていたので、前走キンシャサに安藤Jを乗せたかったのですが、安藤Jはキンシャサではなくプリサイスを選択しました。ルドルフおやじと安藤Jは容易に比較できますな。プリサイスが高松宮を制する力をもっていると、安藤Jが教えてくれているような気がします??

プリサイスの祖母はグローバルダイナ(グロちゃんという愛称でした)です。牡馬と互角に戦える強い牝馬で、成長力もあり古馬になってもどんどん力をつけていきました。ただ、勝ちきれない面もあって、G1級の力はありながら歴史に名を残す馬にはなれませんでした。父のMトップガン産駒にも勝負弱い面は見られますね。血統からは好レースをして、入着するイメージが浮かびます。血筋に重きをおいて競馬を見ているおやじには◎を打ちにくい馬です。騎手は◎、血統は△という難しい馬ですね。

治郎丸さんの手紙を読んで、何度も何度も阪急杯のビデオを見ました。治郎丸さんは「間違っているかもしれません」と謙虚に書かれていましたが、そうじゃない。1番強い競馬をしていたのはフェニックスですね。おっしゃるように、確かなスプリントの力があるからこそなんでしょうね。それに内枠先行有利の新阪神コースで大外を追い込んで善戦する馬の能力は、かなり高いと見て間違いないでしょう。フェニックスは、今回も大外を追い込む競馬に徹するのでしょう。東京新聞杯でもこの馬はG1級の力をもっていることを示しました。今回のメンバーで、G1級の力があるのはこの馬だけだと思っています。ただ、配合にはやはりスプリントの力や素軽さを感じません。秋の天皇賞で狙ってみたいと思ったのは、母系にプリンスローズのクロスを見つけたからです。能力は◎、配合は△という難しい馬ですね。

エムオーウイナー陣営はシルクロードSを快勝したあと、オーシャンSを使うかどうか迷ったのでないでしょうか。オーシャンSは登録しただけで使いませんでした。細心の注意を払いながらG1に臨む陣営の意気込みが感じられます。フラワーパークの甥っ子でとても成長力のある血統です。体重も最近使うごとに増えているというのも好調の証と考えます。ただプリサイスやフェニックスと比較して、能力はどんなものなんでしょうか?臨戦過程は◎、能力は△という難しい馬ですね。

マイネルスケルツィこそ、馬体をじっくり見たい馬です。年明けに金杯を使っただけの臨戦過程は、ちょっとひっかかります。NHKマイルCを2番人気で負けたことから評価は下がっていますが、去年行われた3歳戦でもっともレベルの高かったきさらぎ賞の3着馬だったことを忘れたら痛い目に遭いそうです。

血統は5代母がスペシャルというスペシャルな血統です。ヌレイエフやらサドラーやらフェアリーKなどを輩出する母系には注目しておく必要がありますね。フェニックスと同様少々重い配合ですが、ナシュアのクロスがあるところが救いです。案外健闘するんじゃないかと思います。そういえばフェニックスの母父はフェアリーKでしたね。血統◎、臨戦過程△という難しい馬ですね。

アンバージャックは穴馬として虎視眈々と、何か狙っているような気がします。年明けを2走しましたが、1走目を-2kg、2走目を+12kgという馬体からは、1走目で仕上げておいて、2走目は試走代わりに使おうという陣営の意図を感じます。平坦コースは特に向いている馬だと思います。9歳馬アサカディフィートの活躍する、パラダイスクリーク産駒というのも不気味ですね。穴馬としては◎、能力は△というちょっと気になる馬です。

うーむ、うーむ。能力を考えるとプリサイス、フェニックス、スケルツィーの3強かなあ。このメンバーだと穴を狙う人も多いと思います。オッズはかなり割れるのではないでしょうか。不思議なことですが、こんなときは案外上位人気の馬で収まることも多いものです。このおやじも無理な穴狙いは危険かな、と思っています。

隊列は、スケルツィー、プリサイス、フェニックスの順でしょ。レースの結果は前と後ろをにらむ、プリサイスの安藤Jの仕掛けるタイミングに委ねられています。今回の高松宮記念の最大のみどころはゴール前300mでの安藤Jと武Jの駆け引きです。これは見ごたえありますよ。

穴馬と考えたTホットプレイは、週末の雨がいやですね。底力のあるPM、SF、MSには有利な雨だと思います。大穴はスリーアベニューにしておきます。去年はシラオキ復興年でしたよね。シラオキファンとしてほんの少しだけ1票を投じたいと思います。いや、こっちも迷う、アストニシメント系のサチノスイーティーもいるぞ、血統表にはブロケードの名前が見えます。雨の桜花賞で名牝、テンモンを下した馬です。雨の穴馬ならこれですね。

未だに、迷いに迷っています。迷うからこそ印は絞ります。
◎は母系と配合のよさと展開利を買って、Mスケルツィー
○はG1級の力をもっている、Sフェニックス
▲は騎手の馬を見る目を信頼して、Pマシーン
△はきりがないので打てません。
×は復活が待たれるアストニシメント系、Sスイーティー

プリサイス、フェニックス、スケルツィーの3強の三角買いを強めにおします。
4頭の3連複は少々。
今回は負けても納得のいくようにパドックはきちんと見たいと思います。

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プリサイスマシーンは短距離寄りになってきている

Jiromaru_23

待ちに待った、嬉しい季節がやってきましたね。フェブラリーSからまだ1ヶ月しか経っていないのですが、ずいぶん待たされたような気がします。やっぱり、G1レースのある週は、いつも以上にワクワクします。

いつもためになる話をありがとうございます。私も昔の高松宮記念を少しばかり知っていますが、印象に残っているのは、私の最愛の馬であるヒシアマゾンが逃げて負けたレースですね。中館騎手はボロクソに酷評されましたが、今思えば、あの頃のヒシアマゾンは精神的に消耗していたのでしょう。

ハマノパレード号事件は、恥ずかしながら知りませんでした。ウィキペディアで調べてみましたが、そんな時代もあったんですね。「本日絞め」なんて信じられませんよね…これは忘れてはいけません。

1番人気が勝ったのが一度だけ、というのは不思議ですね。私もデュランダルは相当に強いスプリントマイラーだったと思いますが、あの敗戦は明らかに仕上がり不足ですね。おっしゃるように、緻密にローテーションを組み上げて、スピードを燃焼させきる心と体をきちんと作り上げた馬が勝っているのでしょう。春先のレースだけに、ローテーションの組み方が難しいですよね。ここを目標にするのか、それともこの先のG1まで視野に入れるのか。それによって、冬の過ごし方が違ってくるはずですから。

さて、今年の1番人気は阪急杯を勝ったプリサイスマシーンでしょうか。今年に入っても、とても8歳馬とは思えない走りを見せてくれています。競走馬は年齢を重ねるにつれ、精神的な影響から、距離適性が偏っていきます。たとえば、精神的に長く集中出来なくなってくる馬は、マイラーでも短距離を好むようになります。肉体的には走られるのですが、気持ちが長く続かないんですよね。人間でも当てはまりませんか、これ?

プリサイスマシーンは年齢を重ねるにつれ、短距離寄りになってきていると思います。 だからこそ、距離の短縮は問題ありませんし、8歳となった今、スプリント戦でこそ最大限の力を発揮できるのでしょう。リーディングをひた走る、円熟期に入った安藤勝己騎手が乗ることもプラスですね。

スズカフェニックスは、年明けを3戦して、ここあたりがピークではないでしょうか。 この馬についても、距離適性に不安がささやかれていますが、私は全く問題ないと思います。ご指摘のとおり、ビリーヴと比べると血統的には重い構成になっていますが、この馬の走り自体を見る限り、軽い部類の馬だと評価しています。これぐらいの軽さでは、天皇賞秋を勝ちきることは難しいかなという軽さです。逆に言えば、もしG1を勝てるとしたら、スプリント戦なのではないかということです。 馬体やレースを見ての私の感覚なので、間違っていたらご容赦ください。

前走は敗れはしましたが、コンスタントに末脚を発揮しています。速いペースに戸惑ったというより、4コーナーで外を回したコース取りの差で敗れたということでしょう。道中は引っ掛かるような素振りを見せていますので、スプリント戦のペースでも行こうと思えば楽に追走できるはずです。先週あたりから、少しずつ歯車が絡み合い始めている武豊騎手の手綱にも注目です。

エムオーウィナーは、ここにきて力を付けてきましたね。フラワーパークの甥ということで、血統的にも奥行きが感じられます。フラワーパークとは似ても似つかないパワータイプの体型ですが、馬体を見る限りでも充実振りが伝わってきます。15日には坂路で48秒8という破格のタイムを叩き出して、まさに絶好調ですね。

あとは必然的に流れが速くなるG1レースのスプリント戦で、どこまで粘ることができるかということでしょう。追って伸びる馬ではないので、4コーナーで突き放したいところですが、カーブが急なのでなかなか難しいんですよね。力量的には上記2頭よりも1枚下だと見ていますが、展開次第では勝ち負けにまでなるかもしれません。

繊細に見せかけて実は繊細ではないAO型人間ですが、競馬は最後の最後に辻褄が合えばいいと思っています。

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緻密なローテーションとスピードを燃焼させきる心と体

Rudolf_23 →ルドルフおやじってどんな人?

治郎丸さん、皆さん、いかがお過ごしでしたか。1年で最もよい、わたしたちの季節がやってきました。どうですか、うれしいですね。まずは高松宮記念ですね。「ああ、昔はよかった」とほざけば叱られそうですが、2000mで競う宮杯は熱砂の戦いなんていって、究極のスピードを競ういいレースでしたよ。イットーとその仔のハギノトップレディー、カムイオー、その時代でもっとも速い馬が勝つ実にわかりやすい爽快なレースでした。トウショウボーイだってオグリだって当然勝ってますね。そういえばイットーの血統は最近勢いがないなあ。ちょっと心配してます。

だいたい記憶というものは、おおよそ25年ほど過ぎれば美しくなるということが、最近わかってきました。30年前ひどい目に遭ったあの馬この馬、今ではすべてこのおやじの名馬か、愛馬であります。競馬ファンをながくやろうと思えば忘れっぽくならなくてはいけません。

しかし、腑に落ちなかったことや、不可解なことは、そうそう忘れられるものではありませんね。宮杯でいえば、ハマノパレード号事件。このおやじも若いころに教えられただけの出来事なので、ここで詳しく書くことはしません。ウィキペディアに事件の顛末が出てますので、よければご覧ください。ことの真相は藪の中ですが、競馬ファンのひとりとして、少し考えさせられる事件にはちがいありません。

宮杯が6ハロンで争われるようになって、10年も立つんですね。NPウィナー産駒のフラワーパークがレコードで圧勝したのは爽快でした。2着はDanzig(これダンツィヒなのかダンジグなのかダンチヒなのかダンツィッヒなのか)直仔のビコーペガサス。宮杯はDanzigのように一気にスプリントの力を発揮できる血統が強いようです。ひとつ飛ばして、4着にNブライアン。なぜ6ハロンにNブライアン?第1回G1高松宮記念は、不可解な出来事のひとつとしてこのおやじの記憶に残ってしまっています。

11回を数えるG1高松宮記念で、1番人気に推された馬が勝ったのが1度だけというのも不思議ですね。わたしはデュランダルの能力を高くかっているんですが、彼でさえ1番人気2着という結果しか残していません。ここで、3月末に宮杯が行われるようになって、1番人気に推されて負けた馬たちを並べてみましょうか。

シンボリグラン5着(1)
プレシャスカフェ3着(1)
デュランダル2着(0)
ショウナンカンプ7着(1)
トロットスター5着(1)
ブラックホーク4着(1)

(  )の中の数字は何だと思います。

正解は年が明けてから宮杯までに使ったレースの数なんです。逆に勝ち馬の年明けに使ったレースの数はどうなっているかというと・・・。

オレハマッテルゼ(3)
アドマイヤマックス(2)
サニングデール(3)
ビリーヴ(1)
ショウナンカンプ(4)
トロットスター(1)
キングヘイロー(1)

なんですね。

なんだか対照的ですよね。たかだか中京の6ハロン、スピードで押し切っておしまい、と思っていのですが、そうじゃない。緻密にローテーションを組み上げて、スピードを燃焼させきる心と体をきちんとつくった馬が高松宮記念を制しているんですね。G1高松宮記念、実にデリケートなレースです。できればパドックで馬をじっくり見て馬券は買いたいですね。今年の宮杯は混戦が予想されてます。1番人気に推される馬を当てるのも容易ではありません。

プリサイスM、Sフェニックス、Mスケルツィー、エムオーウイナー・・・。

プリサイスとMスケルツィーは今年に入って1走しかしていないので、◎を打つならば十分に馬体のチェックとパドックの気配に注意を払うべきだと思います。

Sフェニックスはマイル2戦に7ハロンを戦っているので、臨戦過程はいいですね。ただサンデー産駒ではじめて6ハロンG1を制したビリーヴの血統構成と比べると、明らかに重いですね。秋の天皇賞で狙ってみたいほどの血です。

エムオーウイナーは慎重にレースを選択して本番に臨みます。フラワーパークの甥っ子ということで血統からも期待の大きな馬ですね。前走は好位から抜け出して快勝しましたが、初めの2ハロンが微妙に遅い先行有利な流れだったと思います。

アイルラヴァゲインは3戦を消化してダートで気分転換も図ってるんで、◎候補だったんですが出ないんですね。無念です。大穴はタマモホットプレイかな?

どの馬からも買えそうですし、買えば不安が残る、といったメンバーなので、予想にも繊細さが問われる一戦になりますね。この忘れっぽいおやじなんかおよびじゃないかもしれませんなあ。治郎丸さんの繊細さは何を見つけるんでしょうか、とても楽しみです。

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◎シーキングザベスト

Jiromaru_22

まずは、平安Sに対する見解の違いから述べておかなければなりませんね。ルドルフおやじさんのおっしゃるように、平安Sは超がつくほどのスローペースで流れました。そして、その先行馬有利の流れを、後方から飲み込んだメイショウトウコンとサンライズバッカスは強い競馬をしたと思います。素直に考えればそうなのですが、あまりにもこの2頭のレースが鮮やか過ぎたので、私は少し違った見方もしてみました。

もしかすると平安Sはラスト800mだけのヨーイドンのレースだったのではないか、というものです。道中が極端にスローに流れると、ラストの瞬発力勝負になってしまうことが往々にしてあります。そうなると、スロー=前に行った馬に有利という図式ではなく、たとえ先行していても瞬発力に劣っている馬は差し切られてしまいます。芝のレースではよくある形ですよね。

平安Sは前に行った馬もバテてはいないのだけれど、メイショウトウコンとサンライズバッカスの瞬発力に屈したのではないでしょうか。つまり、この2頭は厳しい展開を跳ね返したわけではなく、ただ単に、他馬よりも瞬発力に勝っていただけということです。そんなイメージで平安Sを捉えているので、メイショウトウコンはある意味でハマったと書いたのです。

もちろん、ダートであれだけの瞬発力を発揮できる馬を久しく見ていませんし、社台が育ててきた底力が、マヤノトップガンを経て、このような形で表出したことは本当に奥の深いことだと思います。馬格のある馬ではないので、あまり砂の深く、時計のかかるダートは向いていないでしょう。かといって、芝ではスピード不足です。脚抜きの良い、軽い瞬発力が行かせるダートでこそ、この馬の力が発揮できます。そう考えると、まさに東京競馬場のダート1600mで行われるフェブラリーSは、メイショウトウコンにとっておあつらえ向きの舞台ですね。実は私もメイショウトウコンに本命を打とうと考えていました。

しかし、当日の雨を考慮すると、◎シーキングザベストが浮上してきます。水が浮くような馬場になってしまうと、ある程度のハイペースで行ったとしても、前に位置できる馬が有利になります。テンからガンガン行って最後まで粘りきるという、まさにアメリカ競馬のようなレースになってしまうかもしれませんね。そういう馬場、展開になれば、シーキングザベストがゴールまで押し切ってしまうシーンも考えられます。どちらかというとスピードが勝った馬だけに、砂が締まって、時計が速くなることはプラスに働きます。

ルドルフおやじさんのおっしゃるように、血統も成長力があって力強い馬です。アメリカンなスピードだけではなく、スタミナを補強する血がちりばめられていますね。 5月生まれということもあって、完成されるのに時間が掛ったのでしょうが、ここにきてようやく本格化といったところでしょうか。根岸Sは多少なりとも余裕を持たせたつくりで、勝ちきれませんでしたが、本番への上積みも見込めそうです。最終追い切りはビシッと追って、100%の力を出し切れる仕上がりです。今の勢いならば、同厩のシーキングザダイヤの上に来ることも出来るかもしれませんね。

フィールドルージュはメイショウトウコンと同じ平安S組ですが、この馬は瞬発力には欠ける馬だと思います。道中のラップが速くなったところで付いて行けなかったように、あまり速い上がりになると厳しいですね。道中で他馬がバリバリとやり合って、ラストの時計が掛かるようなレースが望ましいです。東京のマイル戦は得てしてそういうレースになりやすいですし、展開の助けがあれば、この馬にもチャンスがあると思います。ただ、雨の影響で時計が速くなって、追い込みにくい馬場になると、この馬の出番はないでしょう。そういった意味で、馬場や展開に大きく左右される馬です。

ブルーコンコルドは最終追い切りもビッシリと仕上げられて、体調は万全で臨めそうです。ダートでの能力という点では随一のものを持っていますが、パワー型という本質は変えることはできません。特に、雨が降るようなスピード馬場では、持続的なスピードに富んだ馬には勝てないのではないでしょうか。最もこの馬自身もスピードがないわけではありませんし、それを支えるスタミナも十分にあります。間違いなく好勝負になる下地はあるのですが、最後の最後でスピード負けしてしまうかもしれません。一旦は先頭に立つくらいの強引な競馬でねじ伏せにくると思いますが、果たして最後まで先頭に立っていることが出来るでしょうか。

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元気があればG1も勝てる!

Rudolf_22

今回は◎からいきましょう。メイショウトウコンです。前走の平安Sでは、Sバッカスと「闘魂」は強い競馬をしていたと思います。1000mを1,02,2で通過するような先行馬ペースをなんなく差しきるというのはナカナカのものです。

バッカスの鞍上の安藤Jにはいつも感心させられますねえ。先行馬が、6ハロン目から急激にペースを上げたところを見逃さず、スパートをかけてます。6ハロンから7ハロン目のラップは11,8でした。速いですね。ここで仕掛けなければ先行馬の逃げ切りを許していたでしょうね。彼にはレースの流れを読みきる嗅覚があるんですね。バッカスも馬体に余裕があってフェブラリーでは更に前進が期待できます。この馬にも印が必要です。

「闘魂」の方はのんびりしてましたよ。安藤Jが仕掛けてもまだ動こうとしないんですから。それでいて、直線だけで全馬を呑み込んでしまう末脚を繰り出すというのはナカナカです。「はまった」というものではなかったと思います。バッカスはこれまでもフェブラリーやJCDで健闘してきたG1で通用する力量の持ち主です。バッカスをものさしにすると「闘魂」もG1で力を発揮できると思います。新年早々見解が違ってしまいましたねえ。

前回の手紙で、本当に地味な血脈、エスサーディー系がフェブラリーでは大活躍をしていると書きました。エスサーディー系のもつ素晴らしい底力がわかりますね。この活躍はわずか10年の間に集中しています。これが血の勢いというものです。「闘魂」は社台が育てたシャダイプリマから出ている血統です。80年代はダイナコスモスやカッティングエッジを出して注目されましたが、その後少し低迷していました。ところがこの数年クラフトマンシップやクラフトワーク、そして今年の金杯でシャドウゲイトを出して勢いを取り戻しています。「闘魂」は社台の生産馬ではありませんが、血はまさにメイドイン社台です。最近、20年前、30年前に社台が導入した血があちこちで開花していますよね。心強いかぎりです。そしてシャダイプリマとはかなり離れていますが、アグネスデジタルも「闘魂」の一族のようです。元気があればG1も勝てる!

根岸Sで強いと思ったのはシーキングザベストです。この馬はどんな展開になってもへこたれませんね。レースはNPサートが追い込んでくるようなペースでしたがベストは先行して2着をきちんと確保しています。馬場不問、展開不問というのが名馬の条件です。配合をみるとますます買ってみたくなります。バックパサーとウォーアドミラルのクロスがあって、見かけよりうんと力強い馬だと思います。もちろん成長力もあります。おまけに母系がラトロワンヌとくればいうことなし、○です。

週末の天気は雨かなあ。先行馬が有利だとは思いますが、案外こんなとき、「我先に」という騎手心理が働いて必要以上にペースがあがるものです。そう考えると「闘魂」に出番が回ってくるかも知れません。「先行馬そろったときの先行馬」「逃げ馬いないときの追い込み馬」とは昔ながらの馬券作戦ですが、今回は「逃げ馬いないときの追い込み馬」の展開からも「闘魂」を狙いましょう。先行馬のなかではザベストの配合のよさを買いましょう。

ブルーコンコルドは▲ですね。名門アストニシメント系エベレストの復活をみたいものです。しかし、この馬については治郎丸さんと同じで、少々危さを感じています。最近のコンコルドの馬体をみると、ゴツゴツしてパワータイプに成長したのかなあと感じています。ここは見解は同じで、一安心と・・・。ただオールドファンのこのおやじは心のなかでしっかり応援しますよ。

フィールドルージュは無印にします。昨年のJCDでは△を打って3着にがんばってくれたのでちょっと応援したくなります。しかしこの馬、リンドシェーバー、ルドルフ、モガミとくる母系が重すぎやしませんか。JCDでこそ、頑張れる血統です。勢いのないアマゾンウォリアー系というのも気になっています。その昔メジロイーグルという胸のすくような逃げを見せてくれる馬がいました。彼もこの血統でした。その妹でメジロエマという条件馬がいてこれはダートで本当に気持ちのよい追い込みを見せてくれました。ルージュはエマに似てますね。もうあれから30年も過ぎたのか、このおやじはいったい何をしてきたのか、なんて言うのはちょっとさびしいかな。かわいい馬ですが今回は見送ります。平安Sで同じ位置取りをしていたバッカスや「闘魂」の前にルージュがゴール板を通過することはないんじゃないかなあ。

シーキングザベストが根岸Sで強い競馬をしたと書きましたが、ビッググラスもナカナカのものでした。道中の折り合いが実にすばらしい!こういう折り合いのいい馬は強いですよ。母系は地味ですが、父のエルコンドルに賭けてみたくなります。胸前が厚いところなどはいかにもエルコンドルという感じでとてもいいですね。ザベストの○と迷ったほどですが、週末の雨が気になって△にしました。こう見てくると今年はエベレストを頂点として日本の血統も頑張っているな、という印象をもちました。

さて印をまとめておきますか。
◎メイショウトウコン
○シーキングザベスト
▲ブルーコンコルド
△ビッググラス
△サンライズバッカス

厚めに買いたいのは「闘魂」-ザベストと「闘魂」-グラスのフォーカスです。
魔よけにザベストとグラスの縦目も少々。

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ブルーコンコルドの本質はパワー

Jiromaru_21

今年初めてのG1レースがやってきました。有馬記念からわずか2ヶ月しか経っていないのですが、やっぱりG1レースはワクワクしますね。お互いに良いスタートが切れると良いですね。

ダートこそ日本の競馬風土と言われて、目からうろこでした。本当にそうですよね。ダートが日本の牝系を育てたんですよね。古い血統からフェブラリーSでの活躍馬が出るのも、当然といえば当然のことですね。

確かにここ最近は、古い血脈のこの牙城が外国勢のパワーとスピードによって崩されそうになっています。ここで食い止めるのか、それとも屈してしまうのか。そんな視点でこのフェブラリーSを見るのもまた面白いでしょう。

フェブラリーSはステップレースが多岐に渡ることもあって、今年もまさに多士済々のメンバーが揃いました。中でも1番人気に推されそうなのは、暮れの東京大章典を圧勝したブルーコンコルドですね。他馬と上がりが1秒も違う末脚を見せられては、新興勢力も見当たらないメンバーでは中心視されて当然です。どこから見ても短距離馬の体型ですが、マイルの距離は全く問題がないと思います。年齢を重ねた今となっては、かえってマイルくらいの距離の方が走りやすいでしょう。 追えば確実に伸びる馬なので、府中コースはうってつけですし、左回りが苦手ということは全くありません。ローテーションもいいですね。ガーネットSなどの短距離をステップに出走してきた馬は、府中のマイル戦とのギャップに戸惑いますが、2000mのレースからであれば、折り合いなど心配することがありません。

全ての条件が揃ったように見えますが、ひとつだけ心配なのはやはり馬場状態でしょう。 不凍剤の撒き方や、気温による砂質の変化によって、ダートの馬場状態も移り変わるものです。ルドルフおやじさんのおっしゃるように、35秒台前半の決着になってしまうと苦しいかもしれません。大井の東京大章典を圧勝したということは、イコール馬力型ということでもあります。 東京大章典を勝った馬がフェブラリーSになかなかつながらないのは、要求される条件が違うからではないでしょうか。唯一、東京大章典とフェブラリーSを勝ったのはゴールドアリュ-ルですが、実はこのフェブラリーSは中山競馬場で行われたものです。中山の1800mは上がりいらずと言われるように、パワーで押し切れるコース設定ですから。ブルーコンコルドはスピードがないわけではありませんが、本質はパワーで勝負する馬なので、馬場があまりにも軽くなるようであれば、この馬の良い面を生かしきれないということがあるかもしれませんね。

森厩舎からの3頭の中では、シーキングザベストを最上位に取ります。この馬はダートで堅実に駆けてきているように安定感もありますし、もちろんスピードにも溢れています。なかなか使い込めなかった馬ですが、6歳にして丈夫になってきたようです。前走の根岸Sでは、森調教師らしい、100%に仕上げない状態での出走でした。ここは勝負レースでしょうし、ビッシリと仕上げられてくれば、好勝負間違いなしの1頭です。若干行きたがる面があるので、マイルの距離はギリギリかもしれませんね。もし私がこの馬に騎乗するなら、いつもの位置取りから馬1頭か2頭分を下げて乗りますね。そして、追い出しを我慢すれば、最後まで伸びてくれるのではないでしょうか。前走もほとんど完璧なレースをしていますが、今回はさらに上手い乗り方が要求されますね。

平安Sを勝った上がり馬のメイショウトウコンは、本当に軽いダートに適性があるんですね。前走はヨーイドンの瞬発力勝負になりましたが、最後方から極上の切れ味でした。ダートの瞬発力勝負に強い馬というのは珍しいですが、この馬は芝ではなくて、やはりダートなのでしょうね。ただ、前走はある意味でハマッた感もあって、今回は同じようなレースにはならないはずです。厳しく激しいペースとなって、果たして最後は力強く抜け出てこれるでしょうか。

平安Sを1番人気で惨敗してしまったフィールドルージュの巻き返しもあるかもしれません。エンジンのかかりが遅い馬なので、前走のようなヨーイドンの競馬は合わなかったのでしょう。府中にコースが変わることは、この馬の末脚を生かすにはプラスに働くはずです。距離は伸びて良い馬だけに、マイルの距離が忙しすぎないかということが不安材料でしょう。ただ、前が引っ張ってくれて、差しが生きる展開になれば、この馬の台頭も十分にありえます。

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猪木の闘魂に賭けてみたい

Rudolf_21

蹄春の候。治郎丸さんお元気でしたでしょうか。みなさま、またお世話になります。昨年の10月ころでしたか、ある騎手がスポーツ紙で「サンデーの後の馬も強いですよ。」と語っていました。まさにその言葉通りに、強い馬が何頭も現れて心躍る春となりました。いいですなあ、まさに蹄春の候。

さて、フェブラリーS。真新しいG1ですが、実はこれ、このおやじのようなオールドファン必見のレースなんです。フェブラリーSは古い日本の血と輸入された新しい血のせめぎあいの場なんですよ。次から次に襲いかかってくる外国勢にどう立ち向かうか。相手は鉄の爪あり、覆面あり、吸血鬼あり、サーベルあり、なんでもあり。こっちは16文キックに空手チョップ、いささか頼りない。それでも正義は勝ってG馬場は偉かった、というのがフェブラリーSなんです。

フェブラリーHG3の時代、このダート重賞は日本の古い血脈の牙城そのものでした。日本で行われる全レースの芝とダートの割合はどうなんでしょうか。もちろん地方競馬を含めての話ですが、9割以上がダートでしょ。ダートこそ日本の競馬風土なんですね。ダートとはいえ、砂でしょ、本当に稀有な競馬風土です。ダートが日本の牝系を育てたと大胆にいっても許されるのではないでしょうか。今回のエントリー馬の中にも日本の古い牝系から出た馬が何頭もいますが、その比率は最近の芝のG1レースに比べると抜けて高い数字になっているはずです。いつか調べておきますね。ともあれダートで穴を狙うなら古い血統には目を配っておくべきだと言っておきます。

第2回フェブラリーHの覇者、アンドレアモンはクインナルビーの血を継いでいます。この程度の古さを古い血とこのおやじは言っているわけです。ナルビーはダービーや菊花賞で3着した他に天皇賞も勝っている怪物ですね。しかし繁殖成績は大したことはなく、繁栄している血脈とは言い難い血です。まあ古い血統のほとんどがスピード更新から取り残されているというのが現実ですから無理もない話です。古い血脈がフェブラリーで活躍するのは、スピードという真価を問われない砂上の戦いなら頑健な血の力を存分に発揮できるということなんでしょう。(もっともアンドレアモンの
ひそかな活躍の5年後、ナルビーの血統から本物の怪物が出ますがね・・・。)

フェブラリーSG1になってからだって、古い血統からスウヰイスーの血を引くGフロンティアが勝っています。なかでもエスサーディー系の活躍はすばらしいの一言です。芝ではリンドプルバン、ネーハイシーザー、ツルマルボーイなどしぶい馬をぽつぽつと出すほどの牝系ですが、フェブラリーSでは、カリブソング、ライブリマウント、メイセイオペラの3頭もの優勝馬と2着馬、トーシンブリザートを輩出しています。まるでサンデーのような優秀な種牡馬なみの驚くべき成績ですよね。40年も50年も昔、サラブレッドの数も少なかったころならいざ知らず、近年のグレードレースではありえないことです。日本の古い血脈が培ってきた力の一端をうかがい知ることができます。

しかし、古い血脈のこの牙城も外国勢のパワーとスピードによって侵されつつあります。まあ、これが時代の趨勢というものだから仕方ないですね。トーシンブリザードが2着したときの優勝馬が、丸外アグネスデジタルだったというのは象徴的です。フェブラリーSは芝でもG1を勝てるスピードがなければ勝てないレースに変質しつつあるのかもしれません。トーシンブリザードの2着を最後に古い血脈から、3着以内に入賞した馬はでていません。

さて今年はどうなりますか?日本勢からはアントニオ猪木級の切り札、ブルーコンコルドが出ます。彼は過去2回、5着、4着、そしてJCDで9着と外国勢に傷めつけられています。おっと、猪木の額から血が出ています。立て猪木!立つんだ。

彼は名門中の名門、アストニシメント系出身ですね。しかもエベレストを経ているときてる。泣けてきますなあ。オークス1着、ダービー3着の女傑チトセホープのいる血統です。地方競馬で何馬身もちぎって勝つ、彼の派手さはこのあたりに由来してるんでしょうね。得意のドロップキックから卍固めだ。

フェブラリーはニジンスキーの独壇場でもあります。ニジンスキーがこれほど入着馬の血統表に現れるG1はありません。コンコルドの父系にはニジンスキーとサドラーが入ってます。とてもいいんですが、母系にリボー、ターントゥときて、フェブラリーを勝つにはにはちょっと重いかなあ、という気もします。猪木、またピンチだ!立て猪木。

猪木、しまった、コンコルドが勝つときは、その本格的な血統から他の馬を寄せつけない勝ち方をするんじゃないかと思います。35秒後半くらいのタイムが理想です。34秒台の時計がでるような競馬だとちょっぴり心配かな。心の中で応援するのはこの馬です。エベレストが再び輝きを取り戻せるか、これが今年のフェブラリーSの最大の見所だと思います。

ところが、この欲張りおやじがお金を賭けてみたいのは、猪木の闘魂の方なんです。メイショウトウコン、こちらは古い血統とは言いませんが、社台が大切に育てた血脈の出身です。ぽつぽつと走る馬がでてきてソロソロ爆発しそうな勢いをもっています。そしてシーキングザベスト、ラトロワンヌの末裔です。この2頭は次回の手紙で触れたいと思います。治郎丸さんの見解がたのしみです。

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ディープインパクトは飛ばない。そして、衝撃の結末とは?

Jiromaru_20

ジャパンカップのディープインパクトは完勝でした。直線の伸びが足りなかったとか、武豊騎手がムチを連打していたとか、強さを感じなかったという見解がありますが、あれはあれで強い勝ち方です。今年の春よりも強化されたメンバーを相手に、スローを最後方から外々をマクって勝ちました。周りも伸びているので、着差こそわずかでしたが、素晴らしい瞬発力で、見た目以上に強かったと思います。その強さは、武豊騎手が一番感じたことでしょう。

そろそろ、私の結論も書かなければなりませんね。

結論から述べると、ディープインパクトが有馬記念を勝って引退するのは難しいでしょう。ディープインパクトが飛ばない理由はただひとつで、前走のジャパンカップからの反動です。国際レベルのメンバーを相手に、スローペースのレースを、上がり33秒5の極限の脚を駆使して勝ったことによる反動です。海外遠征明けのレースを、最高の状態で、最高の勝ち方をしてしまったことによる反動が、今回の有馬記念で噴出してしまうのではないでしょうか。

ディープインパクトについて考える時には、「飛ぶか飛ばないか」が全てだと思います。それ以上でも、それ以下でもありません。もう少し正確に言うと、「普通に走ることが出来るコンディション(体調)にあるか否か」ということです。普通に走ることが出来るコンディション(体調)であれば勝ち、普通に走ることが出来ないコンディション(体調)であれば負け。ただそれだけのことです。つまり、ディープインパクトが負けるとすれば、それはディープインパクト自身にだけなのです。

だからこそ、ディープインパクトの死角探しという表現には違和感があります。たとえば、“中山競馬場では一度も上がり34秒を切る脚を使ったことがない”といった類いのあら探しは、チャンチャラおかしいと思います。走る足の速さが他馬を凌駕しているディープインパクトは、そういったレースの綾のような断片に負ける馬ではありません。凱旋門賞の敗因も色々と考えましたが、結局のところ、昨年の有馬記念と同じく、ディープインパクトが普通に走ることのできるコンディション(体調)になかったということでしょう。斤量とか馬場とかペースとか、そういう以前の問題だったのではないでしょうか。

そして、今回の有馬記念は、ディープインパクトは普通に走ることのできるコンディション(体調)にはないと思います。繰り返しになりますが、前走のジャパンカップで、スローペースのレースを、上がり33秒5の極限の脚を駆使して勝ったことによる反動ゆえです。ディープインパクト級の馬になると、調教や普段の動きから察知することは非常に困難ですが、目に見えない疲れがあるのではないでしょうか。最後にひと言だけ。たとえディープインパクトが有馬記念で敗れるとしても、私の知る限りにおいて、この馬が最高のサラブレッドであることに変わりはありません。

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ディープインパクトの応援馬券でいきましょう!

Rudolf_20

寺山修司は「賭博には、人生では決して味わえぬ敗北の味がある」と言ってたんですね。自慢じゃありませんが、競馬だけでなく人生でも10000回以上は負けているはずのこのおやじにとっては、とてもよくわかる至言です。 で、治郎丸さんは「それでも、また来年も頑張ろうと思えるのが人生というか、競馬の魅力でしょう。」と続けるわけですね。いいですなあ。このおやじは「それでも」というところが大切だと勝手に解釈しました。それでも人生はあるし、それでも有馬記念はあるわけですね。

昨年、菊花賞のあとにディープを追ったNHKのドキュメンタリー番組がありましたね。レースでいかに折り合いをつけさせるか、腐心するトレーナー、グルーム、ジョッキーの姿を描いた番組です。すばらしい視点だと感心して見ました。その中でディープカメラというのがあって、レース中のディープとディープを御すジョッキーの様子をつぶさにとらえていました。番組は見事に折り合いをつけさせた関係者の卓越した技術を描いていたのですが、ふと、この馬ずいぶんストレスを溜めているじゃないかなあ、と心配になりました。疑心が暗鬼を呼ぶ確率はかなり高いのでしょうか。次走でディープは思わぬ敗北を喫することになってしまいました。治郎丸さんのいう体調の下降はこの時のストレスによるものなのではないかと思っています。凱旋門の敗戦もレース中のストレスが原因だったと考えてます。ディープの敵はサンデーから流れるヘイローの激しさです。ヘイローは厩務員の方を死亡させたといわれる種牡馬です。

今年は大丈夫ですね。前走の東京2400Mという広いコースで快勝したというのがいいですね。大丈夫です。わたしはJCの予想で僅差のレースを予想しましたが、今回も1馬身以内の決着を考えています。今回の出走馬は決して楽な相手ではありません。

デルタブルース。よい血統よい名前です。メルボルンC制覇はまさに歴史的な快挙ですね。母方はDブレーブの一族で、父がDインザダークを考えると重厚な血統といえます。少し切れ味を欠く配合ですのでディープと好勝負することは難しいかなと思います。欧州でずっとレースを続けてみると大仕事をやってのけるかもしれません。

ポップロック。ブルースよりもポップな配合ですね。とてもよい配合だと思います。ロイヤルチャージャーのクロスにナスルーラをいくつかもっています。ナスルーラでもボールドルーラーを経ているところがいい。前走今までにない差しを決めたのはこの配合が本領を発揮し始めたからなのかもしれません。単調なブルースに飽きたらポップスですなあ。デルタより上位にくる可能性を秘めています。

コスモバルク。この馬も多くの人の思いを乗せて走っていますね。強い馬です。ザグレブはたぶんドイツの名門Sラインの出だと思います。今後も注目したい種牡馬です。この馬がいいところまでいって、なかなか勝てないのは母方のプリンスリーギフトの不可解なクロスのせいかなあ、といつも感じていますがよく分かりません。今回も健闘してくれると思います。

アドマイヤメイン。これもわかりません。菊花賞の健闘はサンデーのなせる業か。母方のウッドマンではないような気はしますが。いずれにせよ、この馬の強さはよくわかりました。この馬は詰めて使うとよい結果を残すのではないでしょうか?ぜひ出走してほしい馬です。出ればこの馬がレースの鍵を握ります。

ダイワメジャー。Mr中山という血統。サンデーのすばらしい成長力をみせてくれた馬ですね。ローテも他の馬よりずっと有利です。鞍上の魅力もあり、買う材料はたくさんそろっています。こういう時こそ、よく考えたいものです。まず、秋3走の相手は本当に強かったのか?次に、先行してアドバンテージを作り出す馬ですが、もしメインが出走して強烈なペースを刻んだ場合どうなるか?そして、本来母系がもっている単調さはやはり気になります。メジャーはかなり強い馬ですが、ディープを最後まで追い詰めるのは難しいと思います。

ドリームパスポート。好きな馬です。フジキセキの後継として大切にしてほしい馬です。菊花賞では能力の高さを見せつけましたね。わたしはディープより前にいないと勝てないかなあと思います。ディープは大外を回るのでうちぴったりにつけて5、6馬身アドバンテージをとりながらディープの様子をうかがい、一瞬の脚を使う、皐月賞のようなレースが切れ味血統のこの馬の真骨頂です。ただこの母系独特のかよわいところはやはり気にはなります。サッカーボーイの血統ですね。サッカーは類まれな能力の持ち主でしたが、真の実力を大レースで発揮したことはありませんでしたね。そのことは頭の隅に残しながらも大いに期待しています。

だってこれだけ海外遠征馬がそろっているのだから、パスポートが必要なんですよ。そういえば、松坂のメジャー行きだって考えないといけませんね。レッドソックス、なるほど3枠か、なに60億円、6番だな。まあ、いいじゃありませんか、有馬記念なんだから。

アドマイヤムーン。今日火曜の時点では、出否は未定だそうです。この馬が出ないときは、今回の有馬記念はディープの応援馬券を買って観戦しようかと考えています。前回の手紙で14頭の2回連対馬をとり上げました。ロイヤルチャージャーが半数を占めるなか、ただ1頭のネイティブダンサー系としてオグリがいました。マンノウォーの母にネイティブダンサーとは、オグリは強烈な血統ですよねえ。ネイティブダンサーにはどうも、時に魔法を操る力があるらしいんですよ。マイルCSで辛勝を収めたオグリの南井騎手が、例の調子で泣きながら、「次は勝ちます。」と言い切ったのを鮮明に覚えています。次というのは1週間後のJCです。はたして勝ちはしませんでしたが、2分22秒2のレコード同タイムで2着、魔法にかけられたとしか言いようがありません。これがネイティブダンサーの魅力です。

アドマイヤムーンの父、エンドスイープはその母系を考えるとネイティブダンサーの中でも異色だと思います。魅力のある種牡馬です。ムーンの香港でのレースぶりを見ると末脚に更に磨きがかかったなと感じました。ローテと距離、出走するとすれば常識外れの使い方ではあります。ネイティブダンサーの魔法が、その常識とやらを覆してくれないでしょうか。ディープの3、4馬身前にいて、ディープが横を通り過ぎたときにスパートをかけると最後までディープを苦しめると思います。賭けて悔いの残らない馬です。頭がかたいときの紐穴というので、同じエンドスイープのトウショウにも注意はいるかなあと思います。

これが今年最後の手紙になります。治郎丸さん、馬鹿話に付き合ってくれてありがとうございました。教えられることばかりでした。手紙を書いているだけで若返った気がします。本当に感謝しています。読者の皆様にはいつも惑わすことばかり書いて申しわけなく思っております。励ましのメールまで頂戴して恐縮しております。よい有馬記念を、よいお年を。

結論
◎ディープインパクト
○アドマイヤムーン
△ドリームパスポート
×ダイワメジャー
×アドマイヤメイン
×ポップロック
穴スイープトウショウ
と流しておいて、

1着ディープ・ムーン
2着ディープ・ムーン
3着パスポート・メジャー・メイン・ポップ・トウショウ
を少々。

追記
残念ながらアドマイヤムーンは出走してきませんでしたので、悔いのない馬がでないということで、予定どおりディープの応援馬券でいきましょう!賭けるものがない。こういうときは馬券はお楽しみ馬券にした方がいいですね。レッドソックス3枠にディープが入ったというのはうれしいですね。隣にメジャーもパスポートもいます。ムーンは来年のお楽しみにとっておきます。全馬無事完走祈願。ディープがんばれ!

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ドリームパスポートはディープより早く仕掛けてはならない

Jiromaru_19

とうとう有馬記念ですね。そして、同時にディープインパクトの引退レースでもあります。何事にも終わりはやってくるのですが、ディープインパクトの走りも見納めだと思うと正直寂しいですね。

有馬記念は何とも言えない魅力を持つレースです。競馬関係者だけではなく、競馬ファンのそれぞれの想いが交錯するからなのかもしれません。私も、有馬記念にも色々な思い出がありますよ。もちろん馬券の思い出もありますが、個人的な思い出もたくさんあって、その時々のレースと共に記憶に残っています。

そもそも、中山競馬場のあの混雑とこの時期の寒さが私は大嫌いなのですが、気が付くとなぜか足を運んでしまうレースなんです。大抵は負けて帰ることになるのですが、船橋法典の駅まで、寒風に吹かれながら、この一年の全ての敗北を背負って歩いて帰るんです。故寺山修司が言った「賭博には、人生では決して味わえぬ敗北の味がある」という言葉が、この時ほど身に染みることはありませんね。毎年、勝って一年を締め括りたいと思いますが、そんなに競馬は甘くありませんよね。 それでも、また来年も頑張ろうと思えるのが人生というか、競馬の魅力でしょう。

2回も有馬記念で連対をした馬14頭のドリームレースですが、私ならシンボリルドルフに◎を打ちます。やはり、この面子でも気の強さは一枚上かなという印象を受けます。もちろん、トウショウボーイとテンポイントのスピードも魅力的ですが。そう考えると、昔の馬は個性的だったんですね。最近だとグラスワンダーがワンダーホースらしく個性が立っていましたが、それでも昔の馬に比べるとストーリーがありません。でも、ディープインパクトはストーリーのある馬ですよね。果たしてこのメンバーに入ることが出来るのでしょうか。

ロイヤルチャージャー系の種牡馬ですね。サンデーサイレンス産駒が、このレースで強さを発揮するのも頷けます。切れ味にタフな感じを補うというのではなく、タフな感じに切れ味を出すという配合がいいというのは、とても示唆に富んでいると思います。

ダイワメジャーはロイヤルチャージャーの5×5ですね。タフな感じに切れ味という感じはしませんが、距離は問題がありませんし、中山コース自体は適性がありますよね。あとはマイル→2500mというローテーションがどうかというところでしょうか。前走のマイル戦でも、引っ掛かるような格好を見せていましたから、スローになりやすい展開をどう乗り切ることが出来るのでしょうか。

ディープインパクトについては、もうここで私が語ることはないと思います。私が見てきた中で、最も走る能力の高い馬ですし、普通に走れば負けるはずがありませんから。昨年は明らかに体調が下降線を辿っていたための敗戦で、中山2500mという舞台が合っていないという問題ではありません。ゲートを普通に出て、道中は折り合いだけに気をつければ、4コーナー手前からスッとマクってくるはずです。あとはこの馬の体調だけですね。フランスへの遠征を経て、負けられないジャパンカップを勝って、どれくらいの体調でこのレースに臨んでくるかです。

ドリームパスポートはジャパンカップで最高の走りを見せました。無理をせずに好位を取れるようになり、終いは確実にいい脚を使ってくれます。2000mが最適距離だと思いますが、肉体的、精神的にも充実している今なら、乗り方次第ではアッと言わせるかもしれません。レース毎に騎手が替わることはあまり好きではありませんが、国内年間最多勝利数を更新した内田博幸騎手なら全く心配はないでしょう。乗り替わりのあった馬は【0・0・4・34】というデータがあるようですが、有馬記念まで来て有力馬の乗り替わりは少ないので、これはあくまでもデータですね。逆に、これまで勝ち切れなかったというマイナスイメージを背負っていない分、乗り替わりはプラスと解釈することもできますから。

ひとつだけ言うと、もしディープインパクトに勝とうと思うなら、ディープよりも後ろから行くべきです。ディープに勝つためには、ディープよりも前にいなければならないという考え方は疑問です。前に行こうが後ろから行こうが、ディープが飛んでしまえば、勝てるはずがありません。 つまり、ディープが万が一飛ばなかった時には、ドリームパスポートにも勝てるチャンスが生まれて、その時、この馬の一瞬の脚を生かすには、ディープの後ろで死んだふりをして脚をタメておかなければならないということです。ディープより早く仕掛けてはいけません。先入観のない内田騎手が、どんな乗り方をするか楽しみです。

ポップロックはメルボルンカップで1番人気に推されたものの、差して届かずの悔しい競馬でした。スローの後方からという展開を考えると、負けて強しだったのではないでしょうか。エリシオ×サンデーサイレンスという配合も、まさにタフな感じに切れ味を出しているのではないでしょうか。そして、これはデルタブルースもそうなんですが、遠征帰りにも関わらず、どちらも馬の体調が良さそうです。気温の変化の影響があると思っていたのですが、角居調教師の腕もあるのでしょうか。 大跳びの馬なので、小回りの中山では乗り方が難しいでしょうが、有馬記念を3回勝っているペリエ騎手の手綱捌きにも注目です。

デルタブルースのメルボルンカップ制覇は、偉業というより他に言葉がありません。日本の中長距離馬の底力を見せ付けたと共に、この馬自身の成長が見られました。長い間、調子を崩していましたが、ここに来て完全復活しています。何よりも馬に行く気が戻ってきたことは大きいですね。肉を切らせて骨を断つレースをする馬だけに、馬自身が走る気を持って先行できると騎手も乗りやすいはずです。そして、海外遠征を経ても、意外と馬が痛んでいない印象を受けます。痛んでいないというよりも、かなり良くなっていますね。日本が誇るステイヤーの完成形ここにありという感じでしょうか。

こう見ると、本当に素晴らしいメンバーが揃いました。ディープインパクトもウカウカしていられませんね。本当に楽しみな有馬記念です。


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タフな感じに切れ味を出すという配合がいい

Rudolf_19

有馬記念は世界で1番寒いターフG1でしょ、おそらく。何が寒いって?無論、気温ですよ。ヨーロッパではだいたい凱旋門賞をもってシーズンオフに入りますよね。クリスマス寒波の中を走るサラブレッドの細い脚には極限の負担がかかっているはずです。わたしほどの年になると、寒さといえばテンポイントのことなども思い出してしまって、もう見ていられないというか、ちょっといたたまれない気分にもなります。2500Mという距離といい、有馬記念は1年を締めくくるレースとしては芳しくはありませんよね。

なのに惹かれるんですよねえ。有馬記念を生で見たことはありませんが、一昔前は他場のスタンドも人で埋め尽くされて、季節はずれの霞のように紫煙が立ち込めていたのを思い出します。今も有馬記念の熱気は変わりませんね。ただ以前は熱気というよりは気合のようなものが競馬場に漂っていたと思います。パドックから馬が出て行くときなんか、鋭い声がかかったりしてちょっと怖い雰囲気でしたよ。今は手拍子に○×コール、若い方は協調性があるんですね。競馬場も和やかな雰囲気に変わりました。右と言われれば左を向くこのおやじなんぞは、一番に見習わなくてなりません。たまに「君はどんな馬券握ってたんだい?」と○×コールやっている人に質問してみたくなったりもしますが・・・・。まあ、いいじゃないですか。有馬記念は有馬記念なんですから。

ちょっとお遊びで馬の名前を並べてみます。
カブトシロー    スピードシンボリ   トウショウボーイ
テンポイント    ホウヨウボーイ    アンバーシャダイ
シンボリルドルフ  オグリキャップ    グラスワンダー
シンボリクリスエス タカマガハラ     アカネテンリユウ
マーベラスサンデー タップダンスシチー

強い馬やら個性派やら、良い面子が集まっています。14頭と頭数も手ごろなので、これで第51回有馬記念をやってみましょうか。まさにドリームレースです。何が勝ちます?もちろんこの中から一番強い馬を探すというは、無茶なことではなく無意味なことですよね。しかし、もし馬券を買えるのなら、という前提ならばいろんな想像ができて案外おもしろいのではないでしょうか?わたしなら最後方待機ができるオグリ◎でいくかもしれません。

実をいうと、この14頭は、有馬記念で2回連対を果たした馬たちなんです。ただ並べてみただけですけれど、トウショウボーイをはじめ、かつて最強と讃えられた馬たちがきちんと入っていて有馬記念というレースの本質をうかがい知ることができるのではないでしょうか。そしてカブトシロー、アカテン、タップと、記憶に残る強烈な個性派もいて、強い馬が勝つとばかりはいえませんよ、レースの綾もきちんと読まないとね、と教えてくれているようです。

2回も有馬記念のような大レースで連対を果たすのは並大抵のことではありません。まずその能力がずば抜けているということ。当たり前のことですが、何年競馬をやっても馬の本当の実力を見抜くというのはなかなか難しいですねえ!今年、仮にディープが出ないとすればどの馬の実力を買いますか?馬連を中心に買っているわたしなどには思案のしどころです。次に中山2500Mに対する馬の適性が高いということ。東京2400Mとは違いますからね。この14頭には実力だけでなく優れた適性もあったと考えてよいと思います。トウショウボーイなどを思い出してもらえればいいかと思います。

14頭の血統をみると面白い偏りがあります。父か母にロイヤルチャージャー系の種牡馬をもっている馬が6頭いるんですね。ホウヨウボーイは父も母もロイヤルチャージャーなんです。勝負どころでもてる力を一気に出し切ることのできるこの血統は中山2500Mによほど相性がいいんでしょう。ロイヤルチャージャーのおじさんにあたるナスルーラ系は3頭、一昔前の繁栄ぶりを考えると意外な数字ですね。テンポイントもTボーイもナスルーラ系ですが母系のハイペリオンで底力を補っています。シンボリクリスエスはロイヤルチャージャーのクロスにナスルーラという配合です。切れる配合だけでは中山2500Mを勝ちきるのはなかなか難しいようです。

5番人気以下で連対した、いわゆる穴馬は26頭います。穴をあけるというのも適性が高いからなんでしょう。26頭に血統的な偏りは見つけられませんでしたが、ここでもナスルーラは苦戦気味でした。切れ味にタフな感じを補うというのではなく、タフな感じに切れ味を出すという配合がいいのかもしれません。26頭はすべて重厚な配合の持ち主でした。以前この手紙で書いたテディーもとてつもない穴馬として、3頭この中に入ってましたよ。

今年の登録馬を見ると、サンデーの影響でほとんどがロイヤルチャージャー系の馬で占められています。ナスルーラはおろか、テディーもへったくれもない。これじゃあ、いかんでしょう。繁栄は衰退の始まりといいますからね。なんとかしないと。サンデーに全く罪はないのですが・・・。

あふれるロイヤルチャージャー系の中でも特にロイヤルチャージャーを強調している配合の持ち主はダイワメジャーです。彼が皐月賞を強い競馬で勝ったのも頷けます。母系にはハイペリオンのクロスもあっていうことなしですね。この馬がマイルCSではなくJCを狙うという話があったときには穴で一考したいと思いましたが、舞台が中山ならもっと期待できるでしょう。レース間隔も十分にあいて余力が残っているのもいいですねえ。ただひねくれ者のこのおやじは世間が注目すればするほど、疑ってかかりたくなるので、レース展開と血統を再考してみたいと思っています。

ちょっと悲観的なことを書いてしまいました。しかし今回のメンバーはなかなかいいですね。海外でレースをした馬がたくさん出走します。本当は有馬記念に出たくなかったという馬もいるかもしれませんが、日本馬の実力の向上を目の当たりにできてうれしい限りです。50回を数える有馬記念の歴史は国際派のホースマンの歩みでもあります。第2回優勝馬、ハクチカラは米国であのラウンドテーブルを破った馬ですね。連対馬のなかには、フジノパーシア、スピードシンボリ、・・・多くの渡航経験者が名を連ねています。テンポイントの夢は叶いませんでした。そうした歴史を経てディープがいるんだということを忘れずにじっくり見たい有馬記念ですね。とても楽しみです。


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◎オースミダイドウ

Jiromaru_18

私も◎オースミダイドウに本命を打ちます。この時期の2歳馬にしては、かなり完成度の高い馬体をしています。マルゼンスキーの血を引いたスペシャルウィークと、母父のストームキャットの良さが出ていますね。とても聡明な顔をしていますし、燃えやすい気性はスピードとラストの爆発力につながるはずです。最終追い切りは、終いのみ伸ばした形でしたが、なかなかの反応でした。大型馬なので、絞りきれないことを心配していましたが、あの動きを見る限りは大丈夫でしょう。仕上げに関しては、中尾謙調教師を信頼するしかありません。

6枠11番を引きましたが、外過ぎず、ギリギリの枠順ではないでしょうか。ペリエ騎手は朝日杯の乗り方は心得ていますので、あまり無理に抑えることなく、中団から好位で競馬を進めるのではないでしょうか。直線に向いてから、慌てることなく仕掛ければ、中山の急坂もグッと駆け上がってくれるはずです。

デイリー杯の勝ち馬で、この朝日杯フューチュリティSを制した馬はいませんが、それはレース自体の質が異なるからですね。デイリー杯は、京都のマイル戦らしく、スローから平均で流れて、速い上がりで決着するレースになります。それに対して、朝日杯フューチュリティSは、速い流れで行って、上がりが36秒以上も掛かる底力を問われるレースになります。

ここ最近のデイリー杯の勝馬で、朝日杯フューチュリティSを勝ち切れなかった馬を思い浮かべてみると分かります。エイシンキャメロンに始まって、レジェンドハンター、そしてメイショウボーラーと、3頭共に、終いの甘さを京都の平坦コースに助けられて勝った馬ばかりです。つまり、デイリー杯でヌルいレースをして勝ってきても、朝日杯フューチュリティSでは最後の踏ん張りが利かないということです。もちろん、デイリー杯から朝日杯フューチュリティSまでのレース間隔が微妙に長いということもあると思いますが、やはり最大の理由はレースの質の違いです。武豊騎手もそのことは分かっていて、あえてデイリー杯で差す競馬を試みたのだと思います。デイリー杯を逃げてラクして勝っても、朝日杯フューチュリティSにつながらないということを身をもって知っているからですね。

ルドルフおやじさんとやり取りを始めて以来、おそらく本命が同じになったのは初めてではないでしょうか。まあ、1番人気ではありますが、最後の直線では一緒に声を張り上げて応援しましょう。

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マルゼンスキーがスペシャルウィークを経て蘇る

Rudolf_18

今週は、マルゼン級の歯痛のためいつも以上に頭脳の回転がよろしくありません。

本命はオースミダイドウ
マルゼンスキーが、スペシャルウィークを経て、朝日杯の舞台で蘇るのではないでしょうか。ダイドウの母系は、例のラトロワンヌだったと思います。

ゴールドアグリ
父はTギムレットですね。先週のウォッカの勝利で早くもG1ホースの父となる、華やかな種牡馬生活のスタートを切りました。BTの後継種牡馬の本命といったところでしょうか。ギムレットの母系は名門レディジョセフィンで種牡馬血統です。大種牡馬として君臨するような活躍を期待しています。アグリに関してはウォッカほど母系から大きなサポートを受けているとはいえません。

ローレルゲレイロ
父キングヘイローというところに個人的な魅力を感じます。人気はどうなんでしょうか。父は激しい闘争心をもつ仔を出しています。名馬ホッコーソレソレー号のように・・・ね?人気がなければシメシメと買ってみたい馬です。母系はケンタッキー系で少しおくてかなあ、とも思いますが、この馬、いつかあっと言わせるようなことをやってくれますよ。シメシメ。

フライイングアップル
これはビートルズなのか、パソコンなのか?いい名前ですねえ。最近は馬名評論家になってしまいました。父はブラッシンググルーム系ですね。アップルは父系の良さを継いでいるような気がします。勝負根性に優れ、「それでも勝つ」というような走りを見せてくれるかも知れません。混戦が予想される今回の朝日杯。案外シメシメとアップルは考えているかもしれません。シメシメ。人気次第ですね。

アドマイヤヘッド
この仔はおりこうさんですね。アウトサイダー的な魅力のあるフォルティノ系ではめずらしいのではないでしょうか?札幌ではきちんと騎手の指示を守って走ってました。完成度が高いのかもしれません。世間が不良をもてはやす時代だから、ヘッド君のような優等生はアウトサイダーなんでしょう。きちんと折り合ってスイスイと混戦を走りぬくといいなと思ってます。シメシメ。

クラッシクロードが続いていきます。本番までわたしはいつもシメシメ馬券を小額買って馬を見るようにしています。やはり馬券を買ってレースを見るのと買わずにみるのとでは違いますなあ。どんなに人気薄でもシメシメと思えば買って観戦する。小額ですよ、あくまで。ほとんど外れますが、時にシメシメの馬たちの中におもしろい発見をすることがあるんです。この発見が競馬をするわたしの喜びのひとつになっています。

今回残念だったのは、マンハッタンカフェ産駒がでなかったことです。彼はドイツ血統の精華、Sライン系の種牡馬です。スターアピール、スリップアンカー、サガス・・・。すべてSで始まりますね。ドイツでは母の血統が一目でわかるように馬名を付けます。いいことか悪いことかはかわかりませんが合理的ですね。ドイツ血統は計り知れない底力をたたえています。カフェが人気薄で菊花賞を圧勝できたのはドイツ血統だったからだとわたしは思います。クラッシクロード、カフェのシメシメを見つけてみたいと思っています。

朝日杯フューチュリティSのシメシメ
◎ダイドウ
○ゲレイロ
△アップル
×ヘッド


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