針の穴を通せ

Jiromaru

オグリキャップが有馬記念を勝った年に競馬を始めた私にとって、トウカイテイオーの勝ったダービーが初めてのダービーでした。トウカイテイオーがあまりにも悠々と勝ってしまったので、あの時はダービーの重みが分かりませんでしたが、競馬と共に歳月を過ごせば過ごすほど、ダービーという言葉が重くのしかかってきます。毎年生まれる1万頭近いサラブレッドの中から、たった1頭だけが頂点に立つことができる一生に一度のレース。競馬に携わるものであれば、誰もが一度は夢見る檜舞台。今年もまた眠れない夜を過ごすことになりそうです。

さて、ルドルフおやじさん、オークスに続いてお手紙ありがとうございます。今年のダービーは役者が揃いましたね。どの馬が先頭でゴール板を駆け抜けても、どのジョッキーが勝利の拳を握り締めても、ドラマチックな結末になりそうな予感がします。

まずは皐月賞馬アンライバルドについて。レース毎に成長していて、ダービーで堂々の1番人気に推されるまで上り詰めました。ただ正直に言うと、ここまでの馬になるとは想像すらしていませんでした。馬を観る人が観れば、アンライバルドにはこの血統に特有の馬体の幼さや気性的な心配があることが分かります。能力の高さは疑いようがないのですが、それを発揮することを妨げる潜在的な悪さや弱さが見え隠れしている馬です。伝説の新馬戦を勝ち、あたかもエリート街道をそのまま走ってきたようにも見えますが、そうではないでしょう。

アンライバルドに関わる全ての人々が、この馬の潜在的な悪さや弱さを出さないよう、慎重に慎重を重ねてケアしてきた結果がここに繋がっているのです。離乳から始まり、仔別れ、馴致、トレセンへの運動、そして入厩に至るまで、ひとりひとりの愛情がこの馬を最高の形でダービーに導いたのです。道を分けた選択もたくさんあったのではないでしょうか。たとえば、京都2歳を3着に破れたのち、もし友道調教師がラジオNIKKEI杯にアンライバルドを出走させていたとしたら、勝っても負けても、おそらく別の馬になってしまっていた可能性もあると思います。それぐらい表裏一体の馬ということです。1番人気のオッズが示しているほど、陣営は簡単に勝てるとは思っていないはずです。

岩田康誠騎手の手綱が担ってきた役割も少なくありません。アンライバルドの走ったどのレースを観ても、先につながるように、技術の限りを尽くしてゴールまで持ってきていることが分かります。運に恵まれた部分も確かにありますが、アンライバルドが走ることを嫌いにならないよう、その時点での力を出し切れるよう、馬にレースを教えながら導いてきました。田原成貴元ジョッキーは、「針の穴を通すようなレース」と表現していましたね。かつては馬を壊すなどと揶揄された時代を乗り越えて、ようやくここまでたどり着きました。もしこの難しい馬でダービーを勝つことが出来れば、喜びもひとしおでしょう。

皐月賞でスキャンダラスな惨敗を喫したロジユニヴァースも巻き返してくるはずです。「サラ系」として蔑まれた母系なんですね。もう一度書きますが、この馬の皐月賞の敗因は、無敗で連勝してきたことによる人間のプレッシャーが馬にも伝わってしまったことに尽きます。負けられない、負けたくないという陣営の気持ちがロジユニヴァースに伝わり、思わず早く仕上がってしまい、ピークを保っていた精神状態がちょうど皐月賞前にプッツリいってしまったのでしょう。

ただ、変な言い方ですが、あそこで大敗を喫して良かったと思います。下手に食い下がって余力を使い果たしてしまうよりも、底をついた状態からの方がダービーに向けての回復が望めるからです。あれから6週間の間に、少しずつコップに水が溜まってきているはずです。そもそも、2歳時に2度関西に輸送して圧勝してきた馬ですから、その素質は一級品であることに疑いの余地はありません。連勝が途切れた馬が巻き返すのは極めて難しいことなのですが、横山典弘騎手の言うように、この馬の生命力、回復力、成長力に賭けたいと思います。

リーチザクラウンも巻き返しが期待できます。大跳びの馬だけに、小回りの中山競馬場よりも、伸び伸びと走れる府中の方が合うことは間違いありません。無理して行かせることのない枠を引きましたし、前半はひたすら折り合いに専念するはずです。体がグニャグニャしていて、実が入ってこれから強くなる馬だと思いますが、この馬の走りが出来れば、直線ではあわやというシーンを作ることもあるかもしれません。気楽に乗って一発を狙ってくる武豊騎手は怖いですね。

アプレザンレーヴは、内田博幸騎手が最高に上手く乗って、どこまで来ることが出来るでしょうか。青葉賞を勝った父シンボリクリスエスと同じ道を歩んできていますが、父の方がこの時期の完成度は高かったですね。私のイメージとしては、同じ藤沢和雄厩舎のゼンノロブロイと同じぐらいではないでしょうか。皐月賞組と比べると、やはり完成度という点で劣る気がします。それでもダービーはネオユニヴァースの2着なのですが。それから全然関係ないかもしれないのですが、実はこの馬は芦毛なのですね。芦毛は私の中でキーワードなので、そういった意味では2着候補としては注目しています。

今年もダービーを見ることができて、ありがとうと私も言いたいです。
感謝の意を込めて、ダービーの印を打ちたいと思います。

◎アンライバルド
○リーチザクラウン
▲ロジユニヴァース
△アプレザンレーヴ

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アプレザンレーヴは次代の競馬を担っていく血統

Rudolf

こんにちは。
今年は録画でダービー観戦かな、と思って残念がっていたところ、なんたる僥倖!
出張がキャンセルになって、今年も馬券を握りしめて観戦できるようになりました。
うれしいです。
ただ、これでもう運を遣い果した気もしないではない。・・たぶん馬券ははずれるなあ。
というわけでダービー出走予定馬の短評をば急いで書いてしまいました!

ロジU。
皐月賞での敗戦はまさにスキャンダルな敗戦でした。堕ちた偶像、大いなる挫折、そんな感じの敗北かな。この母系は今はきちんとサラブレッドと認められているんですが、40年ほど前までは、血統書がなくていわゆる「サラ系」として蔑まれた母系なんです。プリンスリーギフトが流行した時代に、その直仔のソーブレスドという種牡馬が輸入されたのを覚えていますか?確かなスピードをもった母系なのですが、「サラ系」ということで誰にも見向きもされなかった。あの馬もロジUの母系から出てました。So blessed(たいそう祝福されたる)という名が悲しいですな。

やるせないロジUの敗北。何が災いしたのかなあ?2歳にして2度の関西遠征、ちと過酷だったかもしれない。その2度目の遠征の2歳Sがあまりに激しいレースで消耗度が大きかったのかもしれない。短期放牧で立て直されたというが、角居調教師などは短期放牧の効用を認めていないという・・。この手の血は良くないことをいっぱい手繰り寄せる・・・うーむ。

Uライバルド。
ソーブレスドと同時期に輸入された種牡馬にサンプリンスという馬がいました。この馬も種牡馬としては失敗しました。しかし、こちらは英国の至宝といっていいほどの良血!なかでもこの血統から出たサンプリンセスは、12馬身差でオークスを圧勝した伝説的な名牝であります。彼女の娘にバレークイーンというのがいて・・・ここからはもう書く必要はありませんね。奇跡の馬Fコンコルドを筆頭に、リンカーン、ヴィクトリー、ボーンキング・・・・両手の指でも数え切れないほどの活躍馬がこの血統から出ています。

四白流星のUライバルドはまさに、プリンスとプリンセスの中で育った貴公子ですね。うらやまのしいたけである。ちなみにUライバルドの父親のネオやレディーパステルもこの一族から出ています。この血統の魅力は単なる良血のボンボンを生まないところにあるんですな。Uライバルドにはそうした荒々しい、有無を言わせぬ血が唸っているように思えてなりません。雨のスプリングSを圧勝したあの強さはこの血の良さがもたらしたものです。

リーチザC。
並の世代だったら、この馬が5連勝で皐月賞馬になっていたはずです。そうはいかの○○玉!デビュー戦でUライバルやビスタに出会ってしまったのがケチのつき始め。Uライバルドに負けたせいで2歳S前に1戦多く走るはめになってしまった。狂った歯車はなかなか元にはもどらぬものです。ただ、母系は6クラウンズから出ている非常に勢いのある血で捨てがたい魅力のある馬です。

トライアンフマーチ。
この馬の皐月賞2着をもって、日本の血統用語に「クインナルビー系」という言葉を加えてもいいでしょう。クインナルビーは牝馬のクラシックには縁はなかった馬ですが、天皇賞1着、ダービー、菊花賞3着など牡馬を相手に華々しい活躍をした女傑ですね。レダなど、この世代の牝馬を牝馬最強世代という人もいます。クインナルビーを起点に、オグリキャップ、オグリローマン、キョウエイマーチに、このTマーチ、ぽつぽつと怖い馬を出しています。3着の穴候補といった評価でしょうか。

セイウンワンダー。
この馬を侮ってはいけませんよ。この馬によって名門サンキスト系は完全復活を果たしました。Mサムソンとは同系になります。成長力と底力ならこの馬だと思います。岩田Jもこの馬を捨てるのに悩んだはずです。久々に朝日杯の王者がダービー馬になるかもしれません。

ナカヤマフェスタ。
タイキブリザードを出す良血ですね。しかし、この血統がダービーを勝てるのかなあといつも疑問に思っています。捨てようと思っているのでおやじにとって怖い1頭です。

ベストメンバー。
ブルリーの出ている血統ですが、これは良血とはいいません。日本ではチョーカイキャロルを出した血統です。タフで強い血統です。あっ、骨折したのですね、残念。

デルフォイ。
シックスセンス、スペルバインドの弟。走っていますねえ。この血統!出走可能であればベストメンバーよりもこちらに魅力を感じます。

ジョーカプチーノ。
スタミナをスピードと切れ味に転換する父、Mカフェの本質を体現したような馬です。母系もスピードがかった血統です。何としてもダービーには参加してみたかったのでしょうか。感心しません。

ブレイクランアウト。
NHKを勝てなかった馬がダービーを勝てるのかと考えればほんの少し穴で押さえればよい程度の馬かなと思えてきます。母系に代々気難しい馬が配されているのも気になります。

アイアンルック。
この馬もあまり買いかぶらないほうがいい馬なのかもしれませんね。

フィフスペトル。
遠く遠く遡れば上のルックと同系ですが、こちらはネバーベンドやボールドリーズンの出た本流。NHKカップ組ではこれが大穴、あめ雨ふれ降れ、といったところですか。

ケイアイライジング。
種牡馬、ホットスパークやライジングライトの出る血統です。父がゴーンウェスト系というのに興味をそそられます。上のフィフスとどっちを買うんだと問われればこっち!

アントニオバローズ。
今年の闘魂はこの馬です。この前の手紙で書いたとおり配合のお手本のような馬!拍手、パチパチパチ。慎重にそっとそっと乗っていただければひょっとひょっとするかもしれないほどのいい馬なのですが、騎手が大胆に乗っちゃうので・・・うーむ残念。秋のマイルCSに乞うご期待!1,2,3あなうまダーッ!

シェーンヴァルト。
これぞ、良血馬。古くは米3冠馬ギャラントフォックス、最近ではトリプティックやジェネラスなど途切れることなく活躍馬を出す血統です。配合もいいですねえ!うむ、うむ、明らかに東京コースで走ります、といった配合です。それでいて皐月賞4着です。まぐれだ、恵まれた4着だとなめてかかったら、泣きをみるかもしれません。切れ味勝負になったときの穴馬です。

マッハヴェロシティー。
Mボーラーの出ている血統です。残念ですが、この馬は父Mカフェの魅力を受け継いでいないような気がします。

トップカミング。
その名とは裏腹のMr3着。しかし、ありがとう、ありがとう。君こそ、この不況下の星だ、エースだ!どんな場合でもきちんと走って己の仕事をする。うむ、うむなるほど血統も地味だな。この馬が3着に負けたときの1、2着馬からダービー馬がでるかも・・・・しれない。因みに、ダービーに関係ありそうな馬を挙げておくと、BRアウト、Aバローズ、Tマーチ、Mヴェロシティー、そしてアプレザンレーヴ。

アプレザンレーヴ。
この血統は次代の競馬を担っていく血統だと思います。母のレーヴドスカーはバレークイーンのように血を広げていける基礎牝馬です。しかし、昨年の暮れ、娘のレーヴダムールが亡くなったのはこの血にとって大きな痛手でした。貴重な後継牝馬を早くもなくした!ダムール!覚えていますか?阪神JFでは1頭だけ際立って強い競馬をしてましたね。わずか1戦1勝の経験で臨んだG1で3角からまくる競馬をしたのだから大したものでした。弟のAレーヴも体力まかせの荒々しい競馬をしてますね。レースが終わるたびに次のレースではもっと強い競馬ができるという期待を抱かせてくれます。

レベルの高いダービーをまた見ることが出来て幸せです。
20万人の人が府中に訪れるとすれば、20万のダービー物語がつむがれます。おやじはアプレザンレーヴとアンライバルドの新旧良血馬の血の物語を見たいと思っています。

◎アプレザンレーヴ
○アンライバルド

2頭をホイールにして、Sワンダー、Aバローズ、Tマーチ、KIライジング、Tカミング、シェーンヴァルトの6頭へ3連複。

ことしもダービーを見ることができて、ありがとう、と大声で誰かに言いたい。

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馬が空を

Jiromaru

ルドルフおやじさん、久しぶりの長いお手紙ありがとうございます。お元気そうで何よりです。先週で終わってしまいましたが、プレミアムギャラリーに来て欲しかったなあ。でも仕方ありませんよね。東京競馬場だけではなく、小倉そして全国の競馬場で開催できる日が、いつか来ることを願います。そう、全てはつながっているのですから。

それでは、今回お越しいただけなかった方々のためにも、展覧会の様子を報告させていただきます。雰囲気が少しでも伝わるといいなあ。

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「プレミアムギャラリー~東京競馬場で輝いた名馬たち」は5月2日~5月17日までの間、東京競馬場フジビュースタンドの3Fセンターコート内で行われました。ウオッカを中心に、東京競馬場で活躍した馬たちの写真とエッセイが12点、絵画が11点という内容でした。写真はPhotostud、絵画は武藤きすいさん、そして、主宰はグリーンチャンネルでもお馴染みの浅野靖典さんでした。

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浅野靖典さんからのあいさつ文です。
今回は様々な面で支えていただき、本当にありがとうございました。

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本馬場からスタンドやパドックへと行き来する往来の多い場所でした。

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非常に多くの競馬ファンに観ていただくことが出来ました。

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モノクロの格好いいレース写真ですね。「死闘」というタイトルをつけました。

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ウオッカとダイワスカーレットが愛くるしく描かれています。
個人的に大好きだった絵です。

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写真とエッセイが融合して、最も人気の高かった作品のひとつです。

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ウッドバーニングという製法を採っているそうです。
ブエナビスタの父スペシャルウィークですね。

ご来場いただいた皆さま、本当にありがとうございました。おかげさまで、とても楽しい6日間を送ることが出来ました。さすがに全ての作品を紹介することは出来ませんが、私のエッセイはこれからも少しずつ紹介していきますので、楽しみにしていてください。今回は2003年天皇賞秋のシンボリクリスエスについて書いたエッセイです。

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「空飛ぶ馬」として最も有名なのはディープインパクトだと思いますが、私の中では、シンボリクリスエスが最初に観た「空飛ぶ馬」です。今となっては、シンボリクリスエスとディープインパクトでは飛び方に違いがあることが分かります。シンボリクリスエスは、他馬がバテて失速した瞬間に、自身のエンジンが掛かり、高く大きく跳んだことで、あたかも飛んだように見えたのでした。対照的にディープインパクトは、低く深く跳ぶ走り方の馬でした。跳びは大きいのですが、低く深く跳ぶため一完歩に要する時間が短いのです。よって、他馬よりも速く遠くへ走ることが出来たのです。

ブエナビスタも明らかにディープインパクトに似た走り方をする馬です。低く深く跳ぶ走り方です。他馬と同じようにもしくはゆっくりと走っているように見えて、実は速く遠くへ進んでいるのです。桜花賞の時、私が「脚が速い」と称したのはこのことですね。普通に走った時のスピードが他馬とは違うということです。この真似するのが極めて難しい走り方をする2頭(ディープインパクトとブエナビスタ)を見ると、どちらも薄くコンパクトな馬体をしていますね。ずんぐりムックリの馬体では、筋肉が邪魔をして、低く走ることが出来ないのかもしれません。

当然のことながら、ブエナビスタにも危険な点はあります。それは前走で33秒台の豪脚を使って勝ったということです。安藤勝己騎手はオークスを意識した完璧な勝ち方をしたのですが、結果的にはラスト3ハロンで33秒台の脚を使うことになってしまいました。そうしなければ勝てなかったわけです。大外を回ってあれだけ鮮やかな勝ち方をしてしまうと、並の馬であれば肉体的な反動が出てしまいます。次走で人気になって飛びやすい(この場合負けてしまうという意味)、典型的なパターンです。

ただし、ブエナビスタは並の馬ではないかもしれません。彼女にとっての33秒台は、もしかすると他の馬の34秒台なのかもしれませんね。実は、ディープインパクトは、私の知る限りにおいて、33秒台の脚を使っても反動がこない唯一無二の馬でした。そう考えると、このオークスがブエナビスタにとっての最初の関門になるような気がしてなりません。果たして、シンボリクリスエス、ディープインパクトにつぐ、「空飛ぶ馬」になれるのでしょうか。最後の直線では安藤勝己騎手になったつもりで、手綱をワッセ、ワッセ!としごいて、ドイチェ、ドイチェ!と応援したいと思います。

ブエナビスタ以外に1頭挙げるとすれば、ワイドサファイアが面白いのではないでしょうか。もしブエナビスタに反動があって伸びあぐねるようなことがあれば、足元をすくうことができるかもしれません。外枠を引いてしまったことは悔やまれますが、そうなった以上は、最初の直線から第1コーナーにかけて、切れ込むような形でインに潜り込むしかありません。イメージとしては、レディパステルやトールポピーが勝った時のような乗り方です。岩田康誠騎手も分かっているでしょうから、隙あらばインを狙ってくるでしょう。クラシックシーズンに向けて成長するアグネスタキオン産駒ですし、折り合いさえつけば、直線ではスパッと切れるはずです。

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Sラインは凱旋門を目指さなあかん!

Rudolf

前回の手紙では、ドイツ血統について書かせてもらいました。父系ではアルヒミスト系がドイツ独自の父系として繁栄していること、母系には優れているAラインがあること・・・

錬金術師という名が災いしたのか、赤軍に喰われてしまうという数奇な運命をたどったアルヒミストは、晩年になって「黒い金」という不思議な金を錬金していました。「シュバルツゴルト」ですね。彼女こそドイツ競馬史上最強の牝馬という人も多いと思います。ディアナ賞(オークス)とドイツダービーを連勝している。同時代に日本ではクリフジがダービーとオークスの両レースを勝っています。クリフジのイメージをもてばいいのでしょうか。それとも最強馬から出た最強牝馬ということで、AタキオンとDスカーレットの父娘をイメージすればいいのでしょうか。いずれにせよ、ドイツの伝説の牝馬ということで神秘的ですね。

シュバルツゴルトは残念ながら、13歳という若さで夭逝してしまいます。しかも残した牝馬はわずかに1頭。普通ならばここでこの牝系は絶たれてしまいます。ところが・・・、この「ところが」があるから、競馬で人生は救われる。

ところが、その1頭から出た「シエラザード」と「ズライカ」が黒い金脈を深く掘り進めて行きます。シエラザードの血が開花したのは80年代になってからです。ルティエという仏が育てた父系と結ばれて、凱旋門賞馬サガスがでます。この馬は降着にならなければ凱旋門を連覇していた最強クラスの馬ですが、残念なことに早世してしまいました。弟のスターリフトも仏G1馬です。さらにシエラザードの血は米でBCのスタンレーン、愛でダービー馬ザグレブとG1馬を輩出します。ザグレブは日本でコスモバルクを出します。バルクの3歳の頃の不思議な強さに黒い金脈の輝きを見ていいのかも知れませんね。

「黒い金」の血はズライカからサヨナラを経てついにエプソムダービーの頂にまで上り詰めました。スリップアンカーですね。そして頂から裾野へ、サヨナラの妹、サンタルチアの血は日本に根付いていきます。95年はドイツSラインが、アグサンを経てビワハイジを送り出し、日本で初めてG1を制した年として記憶に留めておかなくてはなりません。

そしてアグサンの妹、サトルチェンジからはMカフェ。この馬で大切なのは最強世代の菊花賞馬ということでしょう。半端な体力ではこの世代の菊花賞は勝てないのですよ。Mカフェは我が肉体のなかにその体力を留めることができない、といった風情の物凄い体力の持ち主でしたね。これこそシュバルツゴルトだ、なんて勝手に想像していたおやじです。往々にしてこの手のステイヤーはその体力をスピードや切れ味に転換して仔に伝えることがある。どうですか?Mカフェの仔はマイラーや中距離馬にいい馬が多いのではないでしょうか。桜花賞2着のMカフェ産駒、Rディザイアーが連を外すことがあるかもしれません。

この3月2日名門Aライン牝馬アーバンシーが逝きました。少し寂しい思いをしたその週末に、Sラインしかも「黒い金」の末裔、ハイジの娘ブエナビスタは英雄Dインパクトのように日本の競馬場を軽やかに飛んでみせました。2009年3月第1週にドイツAラインとSラインは交差していたんですね。

ドイツの英雄、アルヒミストが倒れて64年、この短い手紙に書いたいくつかの出来事に、治郎丸さんも、読者のみなさんもつながっていたはずです。おやじは自分がアーバンシーの馬券を握り締めたことと父親が赤軍にとらえられたということでつながっていました。

全てのことがつながっている、この週末はビスタが飛ぶ姿のなかに神秘の名馬、アルヒミストとシュバルツゴルトの姿を見つけようではありませんか。

ビスタはもしオークスを勝つことができれば凱旋門賞に挑戦するそうですね。えーでえ、えーでえ、えーでえー!なぜか大阪弁でドイツを応援したくなった。Sラインは凱旋門を目指さなあかん!

今週はシュバルツカッツをギンギンに冷やして、ドイチェ、ドイチェ、ドイチェ!である。

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ドイツ競走馬の理想像アルヒミスト

Rudolf

治郎丸さん、こんにちは。
プレミアムギャラリー!おやじも見たかったなー。
なにせ、1000里も離れて暮らしているので、下駄履きでちょいと見てこようか、とはいきません。

ブログで紹介してもらった、プレミアムギャラリーに展示された「全てがつながっている」という治郎丸さんの文に、おやじも感化されて手紙を書かせてもらっています。

おやじくらいの年になると、まさにこの世の「すべて」が輪廻のようにつながってしまって見えるんです。だから怖いことも不思議なこともない。

今回は、オークスのヒロイン、ブエナビスタとルドルフおやじがいかにつながっているかというとりとめのないお話です。

この3月2日は少しだけ悲しい日になってしまいました。というのは93年の凱旋門賞を13番人気で勝利して世界をあっといわせたアーバンシーが亡くなったからです。この年の凱旋門賞は馬券ファンにとっては地獄のようなレースでした。13番人気のアーバンシーが2着に連れてきたのが17番人気のホワイトマズルだったからです。ホワイトマズル産駒は父に似て人気薄で好走する傾向があって今でもおやじに迷惑をかけているというのはこの田舎町ではちょっとした有名な話です。

アーバンシーはレガシーワールドが勝ったJCにも招待されました。このときは10番人気。凱旋門賞以外はG3を2勝しただけの彼女が人気を集めることはありませんでした。おやじはこの低評価に胸をしめしめさせて単勝を握りしめていましたが・・・。

アーバンシーが凱旋門賞馬にふさわしい底力の持ち主だったことが証明されたのは、彼女が引退してガリレオの母となってからです。ガリレオ、21世紀のスーパーホースですね。エプソムダービー、アイリッシュダービー、キングジョージを3連続して勝つという驚天動地の偉業を成し遂げた。ガリレオということで驚天動地?

キングジョージで負かしたのが当時の最強馬の1頭、ファンタスティックライトというところも凄い。あっ、TMオペラ王やステイゴールドもFライトを負かしていますよね。日本馬も強くなったものです。

アーバンシーの底力を支えていたのはドイツ最古のそして最強の血統、Aラインだろうとおやじは思っています。ドイツ産馬は母の頭文字を仔が受け継ぐことによって、その母系がすぐにわかるようになっていますね。アーバンシー(Urban Sea)は米国産の仏調教馬ですからAの文字は継いでいないのですが、母親(Allegratta)からは代々Aの頭文字が連なっています。

母親(Allegratta)の血統図を開くとすぐにアルヒミスト(Alchimist)の4×5のクロスが目に飛び込んできます。この馬こそがドイツ競馬の歴史を体現したようなヒーローなのです。彼は1930年生まれの馬だからハイペリオンの同級生になります。3歳でウニオンレネン、ドイツダービー、ベルリン大賞などを連勝して底を見せないまま引退というのだから、ガリレオ以上の馬ですね。

このヒーローには他に類を見ない、過酷な運命が待っていました。1945年、不可侵条約を破ってドイツに侵入した赤軍はソ連にドイツの優秀な血統馬を持ち帰ろうとします。アルヒミストもその中の1頭でしたが、運悪く骨折してしまう。赤軍のクレージーなのは骨折した馬は無用ということで自分たちのお腹にいれちまったこと!この年ルドルフおやじの父親も赤軍にとっつかまっている。

しかし、アルヒミストは残した産駒から延々と自らの父系をつむいでいくのです。馬産の中心地、アイルランドやケンタッキーでNダンサー系やネイティブD系が発展するのとはわけがちがう。これはもう奇跡に他なりません。日本で最も長く続いている父系はMアサマ、Mティターン、Mマックイーンの3代ですね。アルヒミストはJCの勝ち馬ランドに至る半世紀、7代の種牡馬たちの祖になった。

例えば、アーバンシーと共にJCを走った、プラティニ(独ダービー馬)やその父ズルムーはこの父系から出ています。それにしてもランドのJCは圧倒的でしたね。逃げるTブリザードを難なくとらえて追いすがるあの、あのヒシアマゾンを1馬身半葬ってしまった。すばらしいスピードと強さ!ドイツ馬は重い馬場専用と思い込んでいたおやじにはいい勉強になりました。

そしてランドのJCから14年、あのヒシアマゾンの血統から出たAムーンがJCを勝ち、岩田騎手を男にしてやった。その男の技量と人格に感心して「全てがつながっている」と書いたのが治郎丸という男。ねっ、やはり全てはつながっていた、治郎丸さんの横には赤軍の兵士が、そしてスターリンがいたんですんな、もう怖いものなしです、がっはははは。

軽く半世紀を越えて尚、スピードとパワーを伝え続けるアルヒミストって恐ろしい種牡馬ですね。残念ながらその命脈を絶とうとしている同じ1930年生まれのハイペリオンとくらべると一層その感を強くします。では偶然奇跡的にアルヒミスト系が続いているかといえば、決してそうじゃあない。それはドイツ流の馬産によってもたらされた必然なのです。

ドイツには競走馬の理想像というものがあるようです。アルヒミストもその理想に近い1頭だと思います。理想形を未来に残すために非常に強い近親交配を行い、近親交配の限界点にたっしたときに、アイルランドや仏や米からドイツ競馬にとってどうでもいいような二流三流のNダンサーなどの血を導入して血を薄め、また理想馬の近親交配ができるようにし、未来にドイツ競走馬の理想像をバトンタッチしていく。

これを計画的にやっていくというのだから、おやじよりもドイツ人は少しおつむがいいようだ。というわけでランドにもアーバンシーにもアルヒミストの血が色濃く滲んでいる。ランドとアーバンシーの国際競争の勝利はドイツ馬産が理想を追究した結果だったのですね。(アーリア人の理想を追究したのはヒトラーだったということも忘れないでおきたいな。悪い面もあるってこと!)

おい、こら。ブエナビスタはどこへいったという、治郎丸さんの声が聞こえてきました。さすがに今回は長くなりそうです。ということで「つづく」となりました。・・・つづく

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4白流星のアンライバルドも強い

Rudolf

おげんきですか?
 
昨日、関西出張3日間を終え、無事帰宅しました。
大切なクラシックウィークの週末なのに、新聞もネットも見ることができませんでした。
 
しかし、怒らない、怒らない、・・・・
 
桜花賞はドイツSライン祭で決着がつきましたね。恐るべしドイツ血統!
 
パドックでは1頭、4歳馬が周回しているようでした。無論ビスタのことです。
 
1、2番人気の決着で馬券にはありつけませんでしたが、感動しました。飛んでましたね。
 
今、ブログを拝見しました。2強の見立てなんですね。なるほど。
Rクラウンのフォームは美しいですね。タマモクロスを思い出しています。
血統もDスカイの一族ということで勢いがあります。
 
ロジUというのはルドルフかもしれません。
今日その「かも」がとれるといいですね。
左後肢1白は名馬の証でしたね。
 
おやじは4白流星のアンRも強いと思っているので3強を唱えておきます。
これは新貴公子でしょう。おやじは自分に似たものをもつアンRに惹かれています、がはははは。あーあ。
 
他にも血統のいい馬が多くて楽しみです。
 
アントニオは、配合の手本のような馬ですね。
この馬が牝馬ならばアルマムードの再来となっていたことでしょう。
アントニオもドイツならば牧場専用種牡馬として重宝されたでしょうね。
(トウショウ牧場のトウショウサミットのような存在)
穴はこの馬とおやじは見ています。
 
そして、18頭のなかで最も血統のよろしくないのが、ロジU。
というのが、なんとも面白い今回の皐月賞。
 
ルドルフを今日の夕刻に思い出す人も多いでしょう。
 
では、また。

注)ルドルフおやじさんより、久しぶりに頂戴していた手紙です。レース後になりますが、せっかくなので紹介させてください。私の見立ては外れてしまいましたが、アンライバルドを拾ったルドルフおやじさんはさすがですね。ロジユニヴァースの血統のよろしくなさをサラッと指摘してもいます。

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◎ディープスカイ

Jiromaru

こちらこそ、お手紙ありがとうございます。

ルドルフおやじさんのおっしゃるように、ここ最近のジャパンカップは甘くないですね。かつては外国馬がアゴアシ付きの旅行気分で来日して、賞金まで持って帰られたレースでしたが、日本馬のレベルが格段に向上したことにより、よほど実力のある馬でないと輸送の不利を克服してまで勝てなくなっています。軽い馬場への適性があるだけではもはや通用しません。エアグルーヴを抑えたピルサドスキーや、シングスピール、ファルブラブ、アルカセットという超一流馬がその目安となると思います。2000年にファンタスティックライトで3着したデットーリ騎手が、勝ったテイエムオペラオーのことを「クレイジーストロング!」と称しましたね。ジャパンカップはクレイジーストロングな馬ではないと勝てないレースになってきています。もちろん日本馬にも同じことが言えるのですが。

さて、今年のジャパンカップを占う前に、まずは伝説のレースとなった天皇賞秋について改めて触れておかないわけにはいきません。何度見直してみても凄いレースでした。たとえハイペースのレースであっても、どこかしら流れが緩むところがあるのですが、今年の天皇賞秋はスタートからゴールまで息をつく隙の全くない激しいスピードレースでした。その激流を最後まで追いかけて食らいついていったのがウオッカとダイワスカーレット、そしてディープスカイでしたね。3着以下との着差はそれほど大きくありませんでしたが、上位3頭だけが全く別の次元でレースをしているようでした。

本命はクレイジーストロングな3歳馬◎ディープスカイに打ちたいと思います。天皇賞秋で最も苦しい競馬をしたのは、もしかするとこの馬かもしれません。四位騎手が馬を出して行ったのですが、意外にも流れが速くなったことにより、ダイワスカーレットのスピードについていきながらも、後ろからウオッカにマークされる形になりました。3歳馬であれだけのレースをして一歩も引かなかったことは褒められていいですし、貴重な経験になったはずです。

思えば天皇賞秋はわずかに馬体を緩く造っていたところもありましたね。ダービーをピークに持ってきた馬ですから、そこから疲れを取りつつ、わずか数ヶ月で100%の状態にネジを戻すのは困難でしょう。それでも3着に走ったことにこの馬の非凡さが窺えます。当初からの目標であった今回のジャパンカップは、明らかに馬体も絞れ、臨戦態勢が整いました。ダービーの疲れを克服して3歳馬を制したのはジャングルポケットだけですが、ディープスカイにも十分にその資格はあります。

勝負のポイントは、スタートしてから1コーナーまでにどれだけ内に進路を取れるかでしょう。今回は天皇賞秋の時ほどに押して出しては行かないはずですが、中団もしくは流れによってはそれよりも後方でも十分に間に合うはずです。メイショウサムソンやウオッカを内に見る形でレースを進めるのではなく、2頭よりも後ろでも構わないので、とにかく内にもぐり込んで欲しいものです。そこさえクリア出来れば、あとはディープスカイの末脚を信じるのみですね。

このメンバーに入っても、ウオッカの実力は上位です。もはや牝馬の肉体を超越していますので、まともにぶつかり合う形になったとしても、この馬を負かせる牡馬は見当たりません。エアグルーヴを彷彿させる正攻法で、世界にこの馬の強さを見せ付けて欲しいものです。そうすれば、私のエアグルーヴという宿病もいささか癒えることでしょう。それでもウオッカに本命を打たなかったのは、前走がかなりの仕上がりに映ったからです。パドックでもトモの筋肉が削げたように見えるほど、ギリギリの仕上がりでした。競走馬というのは、100%の仕上がりの後は必ず下降線を辿ります。今回のジャパンカップは、ウオッカが下降線の体調の中でどこまで踏ん張れるかに注目です。そういった意味で、ディープスカイに逆転のチャンスがあるかなと評価しました。それでも心からウオッカの好走を祈っています。

天皇賞秋組では、アサクサキングスが面白い存在です。前走はぶっつけで多少体が重かったように、決して完調ではありませんでした。休み明けであれだけのスピードレースは厳しいですよね。途中まで付いていったのですが、最後の直線で脚が止まってしまいました。菊花賞を勝ったように、もともとじっくり行く方が良さの出る馬なので、400mの距離延長は明らかにプラスになります。ひと叩きされて、馬体を見る限り、体調は大きくアップしているようです。ただ、長く良い脚を使うタイプなので、府中2400mというコースで切れ味が問われるレースになった際には弱みを出してしまうかもしれません。あとはフランスの魔術師ルメール騎手の腕に期待しましょう。

もう1頭のダービー馬メイショウサムソンは、フランスから帰国後の初戦になります。天皇賞秋を回避してきたように、このジャパンカップに賭ける意気込みが伝わってきます。武豊騎手から石橋守騎手への乗り替わりは、偶然のようで必然のような気もします。サムソンを知り尽くしている石橋騎手がどのように馬を御すのか興味津々です。好枠を引きましたので、前半からかなり積極的に攻めていけるのではないでしょうか。果たして昨年の悔しさを晴らすことができるでしょうか。ただ、馬体を見る限りにおいては、海外遠征で減った馬体が戻っていないのかなという印象も受けました。もしかすると、ひと叩きされた次走が狙い目なのかもしれませんね。

ルドルフおやじさんの評価も高いオーケンブルースリですが、おっしゃる通り、前走の勝ち方は並の馬には出来ない、真のステイヤーの勝ち方でした。メルボルンカップを勝ったあのデルタブルースのようなロングスパートでした。そういう意味では、今年のメンバーで言うと、アサクサキングスに近い特性の持ち主であるとも言えるでしょう。ということは、府中の2400m戦で切れ味勝負になってしまうと分が悪いということです。3歳馬にとってはタフな条件の菊花賞を勝った馬だけに、疲労残りも心配です。別の言い方をすると、この馬の真価を問われるレースということですね。

外国馬ではシックスティーズアイコン、というよりもムルタ騎手に注目しています。今年はエイダン・オブライエン厩舎の主戦ジョッキーとなったことで、キングジョージやアイルランドの5大クラシックを含むG1レースをなんと21勝!という驚異的な活躍をしています。近年は外国馬よりも外国人ジョッキーの活躍が目立ちますので、ぜひ世界レベルの腕を見せてもらいたいものです。もちろん、父ガリレオ、母がイギリスのオークス馬という超良血馬だけに、チャンスがあるからこその来日だと思います。

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ペイパルブルとウオッカの叩き合いが目に浮かぶ。

Rudolf

お手紙ありがとうございました。

治郎丸さんの青い空にはいまだにエアグルーヴいたんですな。それを宿病と表現するのは、言いえて妙でした。治郎丸さんはJCにウオッカがその宿病を癒してくれるか、問うているんですね。わかりました。JCとウオッカがどんな答えを返してくれるか、楽しみです。ただおやじは前回も書いたとおり、今回のJCは甘くはないと思っています。

落ち目だ、落ち目だと陰口を叩かれているJCですが、その気位はますます高くなっていますね。最近は半端な志で臨んだ半端な招待馬は絶対に勝たせません。エアグルーヴをおさえたピルサドスキーのようにチャンピオンSを勝ったり凱旋門賞で2着するような真の実力馬が本気でやってこないとJCは相手にしません。ファビラスをおさえたシングスピールもBCターフ2着を経たよいローテでJCに臨みました。ファルブラウの勝利は完成前のSクリスエスを相手にしたものだから、これはかなり恵まれた勝利だった。

ピルサドスキーのような馬が今回の招待馬のなかにいれば、冷静に日本馬の実力を教えてくれるでしょう。その馬はペイパルブルだと思うんです。今年の英国競馬の白眉はなんと言ってもKジョージ6世&QエリザベスSでしょう。4歳になって急に力をつけG1を3連勝してきたデュークオブマーマレードの独壇場かと思われていたレースです。デュークは、大方の予想通り4角から外目を回って楽な手ごたえで他馬をねじ伏せにかかりました。デュークが2着に何馬身差をつけるかということだけがレースに残された興味かと思われたとき、1頭、デュークに猛然と襲いかかる馬がいたんです。

ペイパルブル。直線半ばペイパルブルはデュークを内らちに追い詰め、半馬身リードします。そこからの叩き合いが凄まじかった。内に閉じ込められたデュークが巻き返す。ペイパルブルも譲らない。最後はデュークの執念に屈し、もう少しのところで金星を逃したペイパルブルでしたが、3着のユムゼインには9馬身もの差をつけていました。ユムゼインは凱旋門賞でザルカヴァの2着を確保した底力のある馬です。7月のアスコットの風は思っていたより冷たかったなあ、がはっははは。

ペイパルブルの父はあのモンジュなんですね。モンジュはきっとJCでシラオキ系のスペシャルウィークに負けたことを覚えていたんでしょう。今度はシラオキ系のウオッカをJCに呼び寄せて仕返ししようとしている。恐るべき執念、モンジュ。

おやじの目にはペイパルブルとウオッカの叩き合いが目に浮かんでいます。実力ではペイパルブルですが、ウオッカには地の利がありますね。ウオッカは勝とうとする意欲のとても高い馬で、この点もペイパルブルを上回っていると思います。岩田騎手が乗るのもいいですね。安田記念の背筋の凍るようなウオッカの強さが忘れられません。彼はきっとウオッカの闘争心をうまく引き出してくれると思います。好勝負が期待できます。

レベルが低いと言われた3歳世代ですが、ディープスカイはやはり強い馬でした。治郎丸さんと同じくおやじも天皇賞でこの馬に◎を打って観戦していました。異種色の濃い父タキオンと超良血の母系の組み合わせに、異種色を強調したスカーレットとは違った血の趣を感じます。天皇賞の馬体を見ているとウオッカ以上に今回は上積みを期待できます。「勝ったも同然だった」と言い放った天皇賞後の四位騎手のコメントに頼もしさを感じました。

怪力サムソンは人気を落としていますが、こういうときは押さえておいたほうがいいのかな。春の天皇賞の長ロングスパートは圧巻でした。年齢を重ねて母系のフォルティノの切れ味が顔を見せ始めたのかもしれません。ペイパルブルは早目に動く馬ですので、じっと内で脚を溜めておくと最後の最後にチャンスが巡ってくるかもしれません。ただ、鞍上の石橋騎手はそのような乗り方を選択しないと思います。鞍上が石橋騎手ならば次走の有馬記念で期待したいと思います。

穴馬にはならないとは思いますが、王拳ブルースリ、アチャ、アチャ、アチャは非常におもしろい存在です。この馬は世間が思っているよりうんと強い馬です。前走の菊花賞のようなレースは並の馬には到底できません。最強と讃えられたAタキオン世代。ジャングルポケットの仔にもこんな強い馬が現れたことをうれしく思っています。グレイソブリンの命脈はこの馬によって保たれ、再び発展していくことでしょう。よかった。母系はあのMrプロスペクターの母、ゴールドディガーなんですね、アチャ、アチャ、アチャ。

その他の招待馬も今年は面白いですね。ただ60'S ICONはペイパルブルより落ちる馬なので買う気は起こりませんでした。名前と血統は素晴らしいのですが・・・。他は大穴としての魅力がある馬たちです。

ウオッカにとって今年のJCが甘くはないのは英国の一流馬と、3歳の超良血馬2頭が彼女の行く手を阻んでいるからなんです。それでもウオッカは、進んでいくでしょう。それでも・・・。

では結論です。
◎ウオッカ
○ペイパルブル
▲王拳ブルースリ
△ディープスカイ
この4頭の3連複ボックスもかって、ビールもかって観戦です。

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高慢なJCにどうウオッカが挑むか

Rudolf

ご無沙汰しております。お元気ですか?

天皇賞(秋)はすばらしいレースでしたね。あと30年くらいは、あのレースを知ってるんだぞ、4着に来たカンパニーってのはおやじの古いカンパニーで、いつでも携帯で呼び出せるんだぜ、などと自慢することができますね。3強の父にAタキオンとTギムレットの内国産種牡馬が名を連ねたというのも味噌で、日本のサラブレッドの到達点を示すことができました。彼らはレースをつくった父親として永遠に語り継がれるでしょう。競馬を長い間見ていてよかった。

それにしても長い長い写真判定でした。TV観戦していたおやじにはDスカーレットが優位に見えました。半年の休み明けのせいか、パッドックではずいぶんと機嫌が悪そうだったので、最後の直線で彼女が馬群に呑み込まれそうになったときは、「こりゃあ、だめだわ」と思わず呟いたのですが、その瞬間から彼女の中の異形の血が騒ぎだすんですな。ロイヤルスキーやら、リマンドやら、クリムゾンサタンやら、果てはテディーやら、報われない亡者たちがワイワイ言いながらスカーレットを後押しする。OS!OS!おおっ、ついでにルドルフおやじも走っておる。まるで亡者のお祭りのようにしてたどりついたゴール。これが1着でなかったとしたら競馬のご先祖さまに申し訳ない。頭があがらない。

それにしても武騎手は冷静に乗りましたね。写真判定の間、首をかしげる安藤騎手の横で100分の1ほどの笑みをもらしていましたもの。武騎手はレースをつまらなく見せる天才ですね。いやいや、言い方が違う、つまんなく見せることを繰り返せたところに彼の天才が閃いているですな。そこが他に天才と言われた騎手と武騎手の決定的に異なるところです。彼にとって今年初のG1制覇ですか?1着武豊、2着安藤勝己という結果は日本競馬史のメルクマールを示しています。

それにしても3着と4着の写真判定も微妙でしたね。カンパニーのような一流馬でなければ、このレースで4着にたどり着くことはできなかったでしょうね。しかし我が友、カンパニーを誰も褒めようとしません。むべなるかな!自分でレースをつくった3強とレースの流れにのったカンパニーの実力の差は歴然としていますから。3着Dスカイと4着カンパニーの鼻差には埋めようのない力の差が横たわっています。今回の天皇賞(秋)は「超」のつく一流馬が何たるかを解説するもっとも分かりやすい教科書となりました。

それにしても日本人の美徳は失われてしまいましたね。何かというと物事をあいまいにしておく、決着をつけないという美徳です。あのすばらしいレースの後、勝者と敗者にウオッカとスカーレットを振り分ける必要があったのか?あいまいにできるという能力というのは大人の能力ですよ。子供に98円を恵んでやっても、なぜ100円じゃないのかと抗議されるのがおちですが大人は「おおよそ」という言葉で98円を受け入れられるんです。そうやっておやじは10年間給料を下げ続けられていますが、これはおやじが大人だからではなく馬鹿だったからです。

それにしてもいつから競馬はオリンピックのような幼稚な競技になってしまったのでしょうか?あのレースを見て2cmにこだわる子供は誰だい?間近で判定写真を見てる奴なんていないんだから、白黒つけるおせっかいなどはいらなかった。1着同着ということでウオッカとスカーレットに花をもたせてあげてほしかったなあ。花があったり、彩があったりするのが文化なんだから、競馬はスポーツではないということを、競馬会はきちんと理解してほしい。2cmで猛抗議がきたらどうするって?無視してやりすごす。あいまいに事を済ませるというのは大変なことなんです。ウオッカとスカーレット、咲き続ける花の物語を永遠に見たかった。

サッカーにだって、マラドーナの「神の手」によるゴールがあったでしょ。ある日、マラドーナに神が降り給ひ、その「御手」で彼のゴールを助け給ふた。一瞬、マラドーナは反則を犯したのではないかと疑いをもたれたましが、今ではやはり神がいたんだ、という神話になっています。なぜ東京競馬場に神のご降臨はなかったのか。長い写真判定の後に「同着」という2文字を掲げてスカーレットとその血の素晴らしさを讃えてあげてほしかった。東京競馬場の夕暮れはもっと素敵な歓喜と喝采とそして幸福に包まれていたはずです。ただスカイとカンパニーを同着にしてはいけませんよ。こちらは大きな鼻差でしたから。

さて、今回のJCもおもしろそうですね。まずスカーレットの回避。これはよかった。安心しました。彼女がJCを勝てないからというわけではなく、名馬は大切にされなくてはならないからです。ウオッカには有馬記念はパスしてほしいと思っています。かつてない、そしてこれからもありえない名牝の対決は天皇賞(秋)で幕をとじていいんです。2度とないことをもう1度と願うところに天罰はくだる気がするんです。

ウオッカは1番人気に推されそうですね。JCというレースはなんとも意地が悪くて気位の高い高慢なレースです。ヒシアマゾン、エアグルーブ、そしてファビラスラフィン。3頭の狂ったように強い牝馬の冠を奪っている。これより弱い牝馬は歯牙にもかけないという高慢さ。嫌な奴ですな。そのくせ金髪娘には甘い。日本女性の敵ですな。この3頭に共通するのは、3歳春に東京で強烈な印象を残すレースをしたという点かな。ファビラスのNZTの凄まじい差し脚は今でも鮮明に思い出すことができます。3歳春にダービーを勝ち、4歳で安田記念と天皇賞を勝ったウオッカは3頭を凌駕しつつあるのかも知れません。凌駕したとはいいませんよ。だって3頭が鎬を削っていたのは超一流の牡馬でしたから。

見所はこの高慢なJCにどうウオッカが挑むかですね。さらに、さらにですよ、JCというのは皮肉屋で、東京2400を勝つために営々と築かれてきたはずの日本の古い血脈をなかなか勝たせてくれないですよ。勝たせてくれるのはディープのような輸入牝馬の仔か、ルドルフのように輸入牝馬の2代目、あるいは3代目あたりの馬がほとんどなんです。唯一、シラオキのスペシャルウィークを勝たせてくれたのは、例外というべきなのでしょうか。今回もシラオキはウオッカによって、何を日本の血脈が求めてきたか、明かそうとしています。

天皇賞(秋)のウオッカの馬体を見ていると難なくJCの高慢さや皮肉を越えていきそうな気もしますが、今回のJCはそう甘くはないでしょう。

治郎丸さんが今回のJCに何を問おうとしているのか、お返事がとても楽しみです。

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夕陽よ、急ぐな

Jiromaru

突然のお手紙ありがとうございます。私も今週のスプリングSを前にモヤモヤしていたところでしたので、なんというタイミング!と驚いてしまいましたよ。遠く離れていても、競馬テレパシーで繋がってしまうのでしょうね。有難いことです。

血統評論家でもない限り、ブリガディアジェラードは聞き慣れない名前ですね。かくいう私も記憶の片隅の片隅に知っていた程度です。そこで、ブリガディアジェラードについてちょっと調べてみたのですが、もの凄く強い馬だったのですね。18戦17勝。エプソムダービー馬ロベルトに逃げ切りを許すまで16連勝をして、6ハロンから12ハロンまでのG1レースを6つ勝利しました。

大きく見せるゴツイ馬格や、レースに行っての凄まじいばかりの闘志は、まさにショウナンアルバに受け継がれている気がします。ちなみに、ブリガディアジェラードは重馬場を嫌うことはなかったそうです。唯一、違う点としては、ブリガディアジェラードは後ろから追い込む馬だったのに対し、ショウナンアルバは逃げ・先行するタイプであることぐらいでしょうか。

ウォーエンブレム産駒ということで注目されていますが、毛色や風格から見ても、ルドルフおやじさんのおっしゃる通り、ショウナンアルバはブリガディアジェラードなのでしょうね。そう考えると、ショウナンアルバの連勝はどこまで続くのか楽しみになってきます。ここに新しい物語が生まれましたね。

私もまた別の物語を見ています。ルドルフおやじさんは寺山修司が好きでしたよね?私も好きです。寺山修司の書く物語は傑作揃いですが、その中でも私の大好きな「夕陽よ、急ぐな」という競馬エッセイがあります。ルドルフおやじさんもご存知かもしれません。私は何度も読み返しました。

主人公は李という男です。李は祖国の韓国にいた頃、貧しくてかっぱらいを働き、少年院にブチ込まれて以来、ずっと逃げることだけを青春として生きてきた男です。「オレは弱いから逃げてばかりいた」というのが李の口癖でした。「夕陽よ急げ」という言葉が好きで、下宿の壁に大きく書いていたのですが、寺山がその意味を尋ねても教えてくれなかったそうです。この李という男が、キーストンという希代の逃げ馬に己を投影して、馬券を買い続けるという話です。

デビューしてからのキーストンは連勝街道まっしぐらに進み、一方の李も警察から逃れ続け、キーストンの馬券のおかげで貯金も少しずつ増えていきました。ところが、スプリングSを境目として、キーストンと李の運命は少しずつ変わり始めます。彼らの前に立ちはだかったのは、ダイコーターというスゴイ追い込み馬でした。このダイコーターにキーストンは4コーナーであっさりと捕まってしまいます。あまりの強さにショックを受けたのか、キーストンは続く皐月賞でも14着と惨敗を喫してしまいます。

そして、ダービーの朝、どしゃぶりの雨の中、激しくドアを叩く音に目を覚ますと、玄関のところに李がレインコートを着て立っていました。「どうした?」と聞くと、警察に追われていて、これから海峡を渡って祖国である韓国に密航するのだと言う。そして、李は「今日のダービーで、俺の残していく金全部で、キーストンの単勝を買ってくれ」とだけ言い残して、雨の中に消えて行きました。寺山は無茶だと思ったのですが、李の切迫した何かを感じたそうです。

レースでは、評価のガタ落ちしたキーストンが、1番人気のダイコーターを振り切って、捨て身の逃げ切り勝ちを収めたのです。このレース以来、キーストンは再び連勝を続けました。キーストンが逃げ切るたびに、寺山は警察から逃れている李の身を思って安心したといいます。キーストンの逃げ切りと李の逃亡生活を、二重写しにして考えないわけにはいかなかったのです。

Keystone_2暮れの阪神大賞典の4コーナー。キーストンは突然もんどりうって倒れます。折れた肢を引きずりながらも、気を失った騎手のもとまで歩き、鼻づらを押しつけて無事を心配したシーンはあまりにも有名です。寺山修司はキーストンの骨が折れた音が、遠い異国にいる李が拳銃で撃たれた音に聞こえたそうです。キーストンには安楽死処分が採られ、李の消息もそれ以来プッツリと途切れてしまいました。

マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや

寺山修司による名歌が哀しく響きます。「8頭のサラブレッドが出走するならば、そこには少なくとも8編の叙事詩が内包されている」と寺山は言いましたが、まさにその通りですね。

さて、今週のスプリングS、そしてクラシックに、キーストンの影を見てしまう馬がいます。サダムイダテンという馬です。韋駄天のイメージからはほど遠い、フォーティナイナー産駒らしからぬ細身の体躯は、まるで盗みを働いた少年が必死で裏町を逃げていくような、悲劇的なムードを漂わせていたキーストンを思わせます。繊細な馬でもあり、前走は初の輸送で気を遣ってしまい、力を出し切れませんでした

そもそもサダムイダテンは逃げ馬なのではないかと私は思っています。道中の耳の動きや、走り方、そして華麗なる一族の血統背景を見ても、あり余るスピードを生かして小細工なしの競馬をした方が、この馬に合っているのではないでしょうか。直線で他馬と叩き合うような競馬は本質的には向かないはずです。安藤勝己騎手は将来のことを考えて、抑える競馬をしてきたのだと解釈しています。急がず逃げて、最後まで無事に逃げ切って欲しいですね。

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気まぐれルドルフおやじからの特別寄稿

Rudolf

忙しそうですね。凄い嗅覚でしょ。お元気ですか。
おやじは元気でもやもやしてますよ。

さよならはなしよ、のサンアディユのさよならで少しめげていたところです。サンアディユ怪死事件として後世に語り継がねばなりませんね、治郎丸さんが。相もかわらぬ無責任なおやじですが、今週のスプリングSが楽しみでメールさせてもらいました。

1971年の2000ギニーは、昨秋の秋華賞のようなレースだったのでしょうか。ゲートが開くのが待ちきれないほどワクワクさせられるレースはめったにありませんね。2強対決は見ていて胸が痛くなりますが3強は楽しい。

1番人気 マイスワロー
2番人気 ミルリーフ
3番人気 ブリガディアジェラード

2008年に生きているおやじは、この人気を見て英国の競馬ファンの目は節穴か、なんて偉そうに思うわけです。どうみても力はジェラード、ミルリーフ、スワローの順ですよね。がっははは、競馬は終わってみればすべてがわかる。ミルリーフはマイスワローにミドルパークSで負けていたから、素人には少しわかりにくかったかな、がっははは。

この3頭に逆らう馬鹿者は3頭。いつでもこういう人がいるのでなぜかおやじも心強い思いをしています。その中の1頭がニジンスキーの弟、ミンスキー。

で、結果は。
1着 ブリガディアジェラード
2着 ミルリーフ
3着 マイスワロー
ついでに4着がミンスキー

71年のギニーレースで3強と讃えられた3頭ですが、その血脈を残せたのはミルリーフだけだというのが競馬の辛いところです。ミルジョージはたいそう良い種牡馬でしたね。最近ではフジキセキがミルリーフの面影を伝えています。

3着に敗れたマイスワローはその後、勝ち星に恵まれず、種牡馬としても完全に失敗してしまいます。この脱落者を敢えて輸入したのがテンポイントの吉田牧場。すぐにワカクモの娘と交配させダービー2着のワカテンザンを送り出しています。恐るべし吉田牧場。ハギノカムイオーの時代です。ミンスキーも輸入され良血ぶりを発揮しましたが早逝してしまいました。71年の史上最高のギニーレースは意外なことに我々の身近なところにありました。

最強馬のジェラードはロベルトのタフネスに屈するまで連勝を重ね続けます。世紀の敗北として有名な一戦でしたが、素人にはロベルトの強靭さが見えにくかったのですね。競馬はゴールするまで何もわからない、がっはははは。

種牡馬として失敗し、亜国へ追い払われたジェラードの血を日本で見つけ出すのは至難のわざです。ミルリーフを最強馬という方は今でもたくさんいらっしゃいますが、ジェラードを語る人は少なくなりました。ちょいとさびしい結末。

ところが・・・。人生には「ところが」はないのですが、競馬にはある。Sアルバには5×3の強烈なジェラードのインブリード。なるほど史上稀な混戦を演出しながら、ジェラード准将が名誉を取り戻しにきたのかも知れない今年のクラッシック。

配役は以下の通りです。
主演   Sアルバ(ブリガディアジェラード)
助演   Aダンディー(ミルリーフ)
友情出演 Mチャールズ(ロベルトクレメンタイン)
共演   Sイダテン(マイスワローが敗れたカムイオーにちなんで)
監督   武豊

というような馬鹿を考えて、もやもやをはらしているおやじでありました。
来週からの治郎丸さんの予想、はやくはやくと心待ちにしておる次第です。


関連エントリ
ガラスの競馬場:さよならはなしよサンアディユ

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◎メイショウサムソン

Jiromaru

最後のお手紙ありがとうございました。そして、1年半の長い間、本当にありがとうございました。お子さんと遊ぶ大切な時間や睡眠を削ってまで、競馬に対する愛情を綴っていただいたことに感謝しております。深夜に届くお手紙を拝見して、100キロ離れていても、気持ちはつながっていることを深く感じておりました。無理を言ってお願いしたやりとりですが、楽しかったと最後に言っていただけたことを嬉しく思います。最後のお手紙をアップする時、さすがにジーンときてしまいました。

私だけではなく、たくさんのルドルフおやじファンがいましたね。ルドルフおやじさんから私たちが教えてもらったことはたくさんありますが、その中でも一番の教えは、競馬はがっはははははと笑って楽しむものだということです。競馬は負けることの方が多いですもんね。あの武豊騎手でさえ、競馬は負けることの方が多いので楽しんで乗ることが何よりも大切と言っていました。勝とうと思えばこそ負けることの方が多く、それでも勝っても負けてもがっはははははと楽しめるようになりたいと思います。それでこそ、初めて競馬が好きだと言えるのかもしれませんね。

それからもうひとつ、ルドルフおやじさんには血統の奥深さを教えてもらいました。特にサラブレッドの母系に流れる大河のような血脈を、これほどまでに分かりやすく、面白く教えてもらったことは初めてでした。たとえ血統の奥行きを知らなくても馬券は当たるかもしれませんが、知ることによって1頭1頭の馬の輪郭がよりハッキリと見えてくるものですよね。包み隠さずに言うと、それまで私が持っていた血統の知識がどれだけ浅はかなものだったかも思い知らされて、ひとり赤面したものです。

最後にこれまで頂いていたお手紙をもう一度読み直してみました。宝塚記念の◎アドマイヤムーンや今年の菊花賞の3連複はお見事でしたね。誰もルドルフおやじさんの印が冗談だとは思っていませんよ。私の知っている方がこんな賭け方をしていたそうです。ルドルフおやじさんの本命と私の本命とその方の本命でボックス馬券を買うそうです。当たったことはあるのかなあ?まあそんなことは大した問題じゃありませんよね。

お手紙を読み直してみて、私の勝手ですが、ルドルフおやじの名言集を作ってみました。この他にもたくさんありましたが、私の心に残った名言をピックアップさせていただきました。

「綾のあるゲーム」
実力があっても負けることはあるものです。だから競馬がギャンブルとして成立しているわけです。日本の競馬場がギャンブルという要素によって支えられていることは忘れてはいけません。ここに競馬の胡散臭さがあります。失礼、魅力があります。一言いっておきます。競馬は綾のあるゲームです。

「2強3強について」
2強とか3強といって、レース前によく煽り立てられることがありますよね。レースの綾が出るのは2強と言われたときですよ。互いを意識して、自分のレースができないからですね。(中略)馬券というものは、それほど無理して当てるものではないので、黙って見ておくのが競馬の神様仏さまというものです。

「メイショウサムソンについて」
サムソンを皐月賞馬にしたのは、父オペラハウスのタフネスではなくこの鋭さです。この鋭さはエールのブルードメアサイアー、フォルティノからきているんだろうなあ、と想像しています。フォルティノは、マンノウオー系レリックの肌馬に快速馬グレイソブリンというとても分かりやすい配合で生まれた名馬です。フォルティノ系は確実に切れ味を代々伝えることによって、世界的血脈になっています。日本にいた種牡馬で、これほどの血の広がりをみせた馬はいませんね。

「ウォッカについて」
来年のクラシックということになると、この馬に注目です。力のある馬だと思います。母系は名門シラオキです。シスタートウショウ、シーズトウショウが血統的に近いところにいます。女の子にウォッカという名前、おもしろいですねえ。バクシンヒロインなんていう勇ましい女の子も出走しますが、こちらもシラオキ系、メイショウサムソンの近親です。今年はシラオキ復活年、実にめでたい年だったんですね。

「シメシメ馬券について」
クラッシクロードが続いていきます。本番までわたしはいつもシメシメ馬券を小額買って馬を見るようにしています。やはり馬券を買ってレースを見るのと買わずにみるのとでは違いますなあ。どんなに人気薄でもシメシメと思えば買って観戦する。小額ですよ、あくまで。ほとんど外れますが、時にシメシメの馬たちの中におもしろい発見をすることがあるんです。この発見が競馬をするわたしの喜びのひとつになっています。

「記憶というものは」
だいたい記憶というものは、おおよそ25年ほど過ぎれば美しくなるということが、最近わかってきました。30年前ひどい目に遭ったあの馬この馬、今ではすべてこのおやじの名馬か、愛馬であります。競馬ファンをながくやろうと思えば忘れっぽくならなくてはいけません。

「ラップについて」
慣れないラップを見ましょうか。このおやじがついていけてたのはレゲーのボブ・マーレーまでで、どうもラップは苦手なんですなあ。Everything gona be all right!

「さあどっちだ」
ムーンは勝つ馬、サムソンは負けない馬、さあどっちだ。

「幸運」なんてものは
「幸運」なんてものはブゼンキャンドルのように意図せぬところから突然やってくるものかもしれないし、ダイコーターのように掴み取ろうとするとするりと逃げていってしまうものかもしれない。競馬が賭け事に過ぎぬものならば、これほど危ういものはありません。

「大種牡馬の大種牡馬たるゆえん」
大種牡馬の大種牡馬たるゆえんは母系の良さを引き出すところにあります。もちろんサンデーも例外ではありません。多様なサンデー産駒のなかにあって特にDメジャーは異質なスピードの持ち主ではないでしょうか。彼の異質なスピードはメジャーの母系で生きているヒムヤー系50年代の傑作クリムゾンサタンに由来するものかも知れません。

「イージーなレースを創ってどうする」
鏡のようなグリーン、絨毯のようなラフの上で毎日戦っている国のゴルファーがジ・オープンを制するなんてジ・オープンの歴史が終わるまでありえないでしょう。タフなコースをつくってタフなレースが行われてはじめて血は鍛えられる。イージーなレースを創ってどうする。おやじは、来年からJCDは買いません。損したなJRA、いいのかい、いいのかい。

「晴雨不問は名馬の条件」

「本格化馬恒常的好走伝説」

さて、最後の有馬記念です。本当に素晴らしいメンバーが揃いました。どの馬にも勝つ理由ある、どの馬からでも馬券が買えるドリームレースですね。たとえ重馬場になろうが、人気があろうがなかろうが、そんなことどうでもいいのです。自分の信じた馬に夢を託しましょう。

私の本命は◎メイショウサムソンに打ちます。重馬場はあまり得意でない馬ですが、なんとかこなしてくれると思っています。晴雨不問は名馬の条件ですからね。それよりも、この馬の唯一の不安は距離に対する適性でしょう。天皇賞秋で武豊騎手がこの馬に初めて跨った時、「思ったよりもスピードがあるのでビックリした」と語っていましたが、そのとおりの楽勝でした。メイショウサムソンは4歳の秋を迎え、胸前からキ甲にかけて、それから体の幅が一段と広くなり、もの凄く力強い馬体に成長しています。そのことがもしかすると距離適性を縮めているかもしれません。

サラブレッドは成長とともに距離適性が狭くなり、その馬の本質的な適距離に近くなりますが、メイショウサムソンの場合、今は2000mという距離がベストになってきているのでしょう。武豊騎手がジャパンカップで少し位置取りを下げて進めたのは、そういうことも考慮に入れてのものだと思います。4コーナーで外を回してしまったことは悔いているはずですが、道中の位置取りはあれで良かったのではないでしょうか。ジャパンカップは負けてはしまいましたが、武豊騎手としては、ロスなく乗れば、中山の2400mならばスタミナ切れは起こさないという手応えを掴んだはずです。

おそらく、今回もガツンと出していくことはないので中団からの競馬をするでしょうが、4コーナーでは先頭に立つくらいの積極的な競馬をしてくるはずです。そうあのオグリキャップがラストランを飾った有馬記念のように。

ただ、そのためには道中がスローからミドルのペースで流れることが条件です。万が一、4コーナーに縦長の馬群で向かうようなハイペースになってしまうと苦しいかもしれません。4角で先頭に立つ形に持ち込めないばかりか、もしかするとジャパンカップ以上のスタミナが要求されてしまうかもしれないからです。どのようなペースになるかは予測しがたいことですが、過去の有馬記念のラップを見比べてみることによって糸口を掴んでみましょう。

過去10年の有馬記念のラップです。
7.2-11.1-11.8-11.8-12.2-12.8-13.5-12.6-11.9-12.4-12.9-12.2-12.4
2:34.8 シルクジャスティス
7.1-12.0-12.9-11.3-11.4-12.5-12.5-12.2-11.6-12.2-12.3-12.5-11.6
2:32.1 グラスワンダー
7.1-12.6-13.1-12.5-13.2-13.4-12.9-12.7-12.1-12.3-12.4-11.0-11.9
2:37.2 グラスワンダー
7.2-12.0-12.5-12.2-12.3-13.0-12.7-11.9-11.3-11.8-12.3-12.2-12.7
2:34.1 テイエムオペラオー
6.9-12.0-12.1-12.1-12.7-13.6-13.2-12.6-11.8-11.5-11.3-11.3-12.0
2:33.1 マンハッタンカフェ
6.8-11.5-12.5-12.9-12.0-12.7-12.8-12.3-11.5-11.8-11.4-11.7-12.7
2:32.6 シンボリクリスエス
7.0-11.2-11.2-11.2-11.6-12.3-12.9-12.6-12.2-12.7-11.7-11.7-12.2
2:30.5 シンボリクリスエス
7.0-11.6-11.5-11.7-12.3-12.4-12.0-11.7-11.8-11.9-11.6-11.6-12.4
2:29.5 ゼンノロブロイ
7.0-11.4-11.7-12.1-12.9-13.0-12.2-11.8-12.0-12.3-12.0-11.4-12.1
2:31.9 ハーツクライ
7.1-11.5-11.4-11.3-11.8-12.8-12.9-12.7-12.2-12.8-12.2-11.2-12.0
2:31.9 ディープインパクト

ここで注目したいのは、前半の3ハロン(最初の100mは除く)とラスト5~6ハロン(向う正面)のラップです。大体の場合において、この2つのラップタイムはどちらかが速くなればどちらかが遅くなる傾向があります。つまり、前半が遅く流れたレースでは向う正面で各馬が動き、前半が速く流れたレースでは向う正面での動きは少なくなります。ただし、どちらがより重要かというと、前半の3ハロンのラップです。ここの動きでレースの質が変わってきます。

ちなみに、前回の手紙で紹介したテンポイントとトウショウボーイの有馬記念がありましたよね。このレースを振り返ってトウショウボーイに騎乗した武邦彦調教師(武豊の父)はこう語っています。

「勝負をファンサイドから見ると、直線の攻防がいちばんなのでしょうが、やっているほうから言えばスタートなんです、大事なのは。直線で競り負けるのは、そこまでに脚を使ってしまってるんです。」

トウショウボーイはスタートしてからスタンド前の直線でわずかに引っ掛かってしまっているように、大切な前半3ハロン部分でわずかにロスをしてしまっているのですね。その分、最後の直線でテンポイントに競り負けてしまったということです。

全体のタイムとの比較になるのですが、前半3ハロン部分で、全て11秒台のラップが刻まれているようなレースは前に行った馬にとって厳しいレースです。10年前のシルクジャスティスが勝った有馬記念は、珍しく前崩れが起きて、あのエアグルーヴでも3着に力尽きたレースでした。このレースの前半3ハロンは11.1-11.8-11.8と、時計の掛かる馬場状態であったことを考えると、かなり速いペースだったことが分かります。

また、昨年と一昨年の有馬記念は奇しくも同じタイムですが、前半3ハロンのラップタイムが違います。ディープインパクトが勝った昨年は11秒台が続き34.2、ハーツクライが押し切った一昨年の35.2と比べても1秒も速いラップになっています。昨年の有馬記念は向う正面が緩んでいるので前に有利なレースだったと誤解されることが多いのですが、一昨年に比べると厳しいレースでした。

武豊騎手が「最後の有馬記念が一番強いレースだった」と語るのも頷ける気がします。あれだけのペースで前半を引っ張ってもらえれば、ディープインパクトにとっては最も末脚を炸裂できる展開ですから。逆に言うと、前半を攻めて2、3着したポップロックやダイワメジャーはよく頑張っていると言えます。今年の成績を見ても、なるほどという感じですよね。

何が言いたいかというと、今年の前半3ハロンはどのようなペースで流れるのかということです。出走馬と枠順を見渡してみると、案外、前に行きたい馬は多いですよね。ダイワメジャー、レゴラス、ダイワスカーレット、ポップロック、ロックドゥカンブ、サンツェッペリン、コスモバルク、デルタブルース、もしかしたらチョウサンと半数以上が先行馬です。しかし、もっとよーく見ると、絶対に逃げたい馬というのも見当たりません。どの馬も、行く馬がいるなら抑えてもいいよという柔軟な先行馬たちです。

そうなると、果たしてどの馬が逃げるのでしょうか。もしサンツェッペリンに松岡騎手が乗っていたら、迷わずハナを切って、大逃げをかましていた可能性はあります。しかし、今回は折り合いをつけるのが巧い北村騎手です。強引に逃げるタイプではありません。となると、やはりダイワスカーレットが逃げることになるのでしょうか。そうなると、おおよそ前半の3ハロンはスローに流れるのではないでしょうか。たとえダイワスカーレットが逃げなくても、お見合い状態が続けば、スローになる可能性は高いでしょう。

そう考えると、メイショウサムソンの勝ちパターンに持ち込める可能性が高いと思います。たとえ向う正面で各馬の動きが速くなったとしても、全体のペースはミドル以上にはなりません。馬群に包まれないように、どこかで外に出しておけば、自らの脚力でマクっていける態勢が整うはずです。

とまあ、最後にこんな夢を観ることが出来たら最高だなと思います。寺山修司はこう語りました。「競馬ファンは馬券を買わない。財布の底をはたいて自分を買っているのである」と。私も今日は自分を買いに、中山競馬場まで行ってきます。

ルドルフおやじさんとのやりとりはこれで一時お休みということになってしまいますが、頂いた手紙は「ガラスの競馬場」のアーカイブとして永遠に残り続けます。カテゴリーの「ルドルフおやじからの手紙」をクリックすると、いつでもルドルフおやじ節が現れます。つまり、ルドルフおやじさんの想いは、常に「ガラスの競馬場」にあるということです。これから苦しいこと、つらいこと、逃げ出したくなるようなこともあると思います。そんな時は、いつでも「ガラスの競馬場」に遊びにきてください。お待ちしております。

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ルドルフおやじから最後の手紙

Rudolf

女傑ツキシロの末裔にジンクエイトという馬がいました。66,5キロを背負わされたテンポイントが競走を中止した、凍える日本経済新春杯の4角。そこで起きていることに競馬場の視線が集められるなかを、静かに1着でゴールした馬がジンクエイトです。26戦6勝、うち重賞1勝。最も静かなゴール。人間にとってはありふれたことなのだが競馬場でこんなに静かなゴールを見たことはない。主戦、清水英次。病床で自らの死を公表してほしくないとおっしゃったそうだが、敢えてお悔やみ申しあげたい。

朝日杯当日の関西テレビで放映された、サムソンのオーナー松本好雄氏のインタビューは秀逸な企画でした。「僕は高橋騎手の豪快な騎乗ぶりが好きでね、それ以来のお付き合いなんですよ」と語る松本氏、なんとなく高橋成忠師のことが分かったような気がしました。

トウメイの天皇賞で「マイルの競馬を2回走るつもりで乗れば勝てる」と清水英次騎手に助言した高橋成忠。どうやら信ずることができるという資質は誰しも持ち合わせているものではないようです。勝負師としてもっとも大切な力だと思います。奔放に馬を御すと見えた騎乗ぶりには高橋成忠の馬に対する「信」があったのかもしれません。

仮にですよ、サムソンの騎手が石橋守ならば、高橋成忠は迷わず「信じて乗れ」と言ったに違いありません。ところが騎手は武豊ですね、うむうむここが味噌で、しょうゆ、失礼しょうぶの綾が生まれそうな気がしているんです。高橋成忠、なんと言うのかなあ。「任せたよ」ならばウケにまわっている。

「ちょっと内がゴチャついていたし、馬場も内が荒れていた。1番人気馬だから無理にインに入っていくのもどうかと思いましたから」サムソンは前走、はじめての1倍台の人気で出走して敗れました。どんな名手でもはウケにまわったときは案外もろいですね。武豊のコメントはそういう騎手の心理を語っているように思えました。

馬の力を信じてウチを突き進んだ岩田騎手のムーンとは対照的に、サムソンは最大の武器である闘争心を眠らせたままゴールしたように見えました。鞍上が冷静にレースを読める名手だったからこそ負けたのでしょうね。石橋騎手ならば勝てたなんてことは言えません。が、石橋騎手ならば迷うことなくウチを突いてゴチャつく馬群をこじ開けようとしたと思います。それが信じて乗るということだからです。時に勝負の世界では冷静な分析よりも信じることの方が大切な場面があるようです。

今回、ポップロックという強力なライバルがいるのは、殺戮の神サムソンにはむしろ好都合でしょう。この馬は自分でレースをつくったときよりも強い敵がいたり混戦になったときの方が強い競馬をしてきたと思うんです。1枠1番否応なくサムソンの荒ぶる魂が掻き立てられます。

治郎丸さんはJCのサムソンを少し余裕があるように見たのですね。秋は3走、なんとか2勝1敗でいきたいと、高橋成忠は3という数字を繰り返し言っています。秋3戦を同じ体調で走られるように作ってきていると治郎丸さんのおっしゃる通りです。インフルエンザ、天皇賞制覇、JCの敗戦、まさに禍福はあざなえる縄のごとし、有馬の勝利はそこに見えています。後は武騎手がどれだけサムソンを信じて乗るかでしょう。

「関係者に、勝っていると言われてホッとしたよ。これで3冠騎手? いや、それよりこの馬が菊花賞を勝ってくれた喜びの方が大きいね」と語るのは、菊花賞の四位騎手です。この方はダービーの後で「もう騎手をやめてもいいです」と言っておられました。やめなくてよかった、がっはははは。

この方は気持ちのやさしい人なんでしょうね。菊花賞4番人気の馬で勝ってホッとしたり、ダービーを勝って騎手をやめたくなったりするんですから。彼岸の清水騎手もこの方になら、「信じろ」と助言しやすいかもしれません。

「力があることが改めて分かったよ。一瞬、オッ!という感じがあったから」というのがJC後のコメントです。おやじも一瞬、オッと感じましたよ。力があることが改めて分かったのならそれを信じて乗るでしょう。今回、ウオッカが挑もうとする相手はどんな競馬をしても勝てるというような相手ではありません。勝つチャンスがウオッカに訪れるのは、先行する古馬より鋭い末脚を繰り出せた時だけです。ワンチャンス。ならば四位騎手はウオッカの最大の武器である末脚を信じて賭けるほかありません。

中山開催は外の伸びない、内にいる先行馬有利の馬場で開幕しました。少しは馬場も荒れて追い込みがきくようにはなりましたか。それでもウオッカにとっては苦しい馬場には違いありません。しかし負けを恐れてはいけません。勝負だから負けはあります。それどころが競馬ならば九割以上は負けます。大きく負けるのは負けを恐れる人なのです。レースの流れに乗って・・・など考えてはいけないような気がします。先行して末脚をさらに伸ばそうという馬がそろって先行馬群から脱落する馬も多いと思います。この馬にもチャンスはありと見ました。

角居勝彦師は頭脳派の調教師として有名ですが、おやじにはおおらかな人柄が魅力です。この方のコメントは正直でおもしろいですよ。秋華賞の前には「ウオッカは一流馬だからそのレベルを維持することに努めている」というウッカを褒めているんだか、自信がないんだかわからないようなコメントを出していました。エリザベスを取り消してJCに向かう時には「ご迷惑をかけました。損を取り戻してもらいます」と軽口を叩いている。そして今回はコメントの冒頭で「ご心配をおかけいたしました」ときた。心配は過去のものなんですね。もう大丈夫、心配はいりません。

「スタートが良く、スムーズに流れに乗れた。勝った馬は強いね。でもこの馬の強さも分かってもらえたはずだ」ペリエ騎手はJCのあと、ポップロックをこう評しています。確かに去年の暮れよりもポップロックは強くなっていると思います。

ポップロックは日本のG1に参戦して毎回堅実な走りを見せています。外国人騎手や地方の騎手は馬の特長をつかむのが本当に上手です。ポップロックの母系はパワー血統なんです。来年ここから必ずダートの大物が登場しますよ。ペリエ騎手はパワーを生かす積極的な競馬をしてくると思います。徹底的に逃げ馬をマークして底力勝負に持ち込むでしょう。先行馬の死命を制するのはペリエ騎手です。

父のエリシオはポップロックを唯一の活躍馬として送るワンホースサイヤーですね。実は有馬記念はワンホースサイヤーの歴史でもあるんですよ。ポップロックという歴史の1ページが加わるかも知れません。

ダイワスカーレットの松田国英師は「なぜ人気がないのか」と語っています。その通りですね。フサイチパンドラを破った(失格になった)Kプリンセスが宝塚で強い競馬をしたことを思うと、スカーレットにも十分すぎるほどの勝機はあります。コースや距離はむしろウオッカより向いています。今回はこの馬を頭にしないのでおやじにとっては実に怖い存在です。しかしウッカのようにダービーやJCなどで一流の牡馬に揉まれた経験がないというのが負い目となります。ただ雨の降る有馬記念ならば1着も考えておくべきだと思います。

Dメジャーはラストランですね。お疲れ様でした。なぜおやじに馬券を取らせてくれませんでしたか。失礼。不屈の魂をもった馬です。アメリカから種牡馬としてオファーがあったそうですね。もったいない。日本での初年度の種付け料は500万だそうです。おやじの月収ほどでまあまあかな。因みにユートピアのアメリカでの種付け料は30万ほどだそうですので、アメリカへ渡れば価値が下がるということかな。それでもこの血は明らかにアメリカ競馬向きなので本当に惜しい気がします。

ロックドゥカンブはMキネーンを配してきました。キネーンはカンブの父も母も知っているそうです。うむ、うむ、これが競馬だ。前走はもう少し前につけられれば、という恨みを残したのでこの手がわりはいいかも知れません。それにしても3歳牡馬はか弱いですね。菊花賞1、2着馬がJCにも有馬にも顔を見せない。

堀宣行調教師がおもしろいことを言っています。
「いいえ、必ずしもそうとは思っていません。ディープインパクトが負けた時もこの臨戦過程だったように、むしろ仕上げは難しいかもしれません。だから、一度放牧に出して心身ともにリフレッシュさせたのです。」

冒頭の「いいえ」というのは「余裕をもったローテですね」という言葉を否定したものです。堀宣行調教師という方はおやじには馴染みのない調教師なのですが、このインタビューを読んで恐ろしい人物のように思えました。ディープの失敗をきちんととらえて自らのとるべき方策を打ち出している。セントライトの強い競馬を忘れたら痛い目に遭うかもしれません。

佐藤哲三とインティライミにはJCで悪いことをした。おやじの気合いが馬に乗り移ってしまいましたね。おまけに佐藤さんは怪我までして本当に申し訳ない。

Dパスポートは世代最強馬だと思っています。ただ20年に一度出てくる無冠の帝王というやつですね。治郎丸さんは無冠の帝王といえば何を思い出しますか。おやじならバンブトンコートなんですがそれ以外は思い浮かびません。帝王であって無冠という二律背反した命題を解く存在なので3冠馬より珍しいわけだ。なるほどこの馬、無冠の帝王でいたいがためにわざと負けてるんだな。よし次は無冠の帝王特集でいこう、いや、有馬記念ワンホースサイヤー伝説でいこう、しまった!おやじは隠居するんだった。

治郎丸さん、今日までありがとうございます。

手紙でよかった、往復書簡がこの1通で区切りを迎えると思うとやはり泣けてくるからねえ。

1年半付き合ってもらったのですか。「楽」のある時間を過ごさせてもらいました。だって好きなことをバンバン書けるわけでしょう。ノーコンピッチャーが好きに投げていいよ、と言われて「楽」しんでいたようなもんです。こんな「楽」な時間をもたせてもらった人間はおらんだろう。

受けとめる方は毎回大変だったと思います。あらためて治郎丸さんに感謝です。おやじの方は治郎丸さんの球を受け損なったことがある。これは反省だ。分からなかった部分はこれからまたひとつひとつ考えます。

惜しむ、惜しむ。おやじの隠居のことではありませんよ。病床にあるオシム監督のことです。とんとサッカーの分からぬこのおやじがオシムサッカーを見て何となくサッカーが好きになった。本当に物が分かっている人ってすばらしいですね。サッカーが見えなかったおやじにちゃんとサッカーを見せてくれている。

治郎丸さんが目指しているのはたぶんそういうことなんだと思っています。競馬、好きですか、がっはははは。おやじは大好きです。がっははははは。しかし競馬を競馬として見せるというのは難しいですね。サッカーや野球はスポーツという言葉で括れるんでしょうが、競馬は競馬ですからね。スポーツだと誤解されたりギャンブルだと誤解されたり、数学や統計学だと思われたり、色々難しい。

1000キロも離れていますがおやじは治郎丸敬之を応援します。そしてちょくちょく邪魔させてもらいますよ。ありがとう、ありがとう、感謝の言葉しかありません。

最後になりましたが手紙を読んでくださったみなさん、ありがとうございました。てめぇーのせいで大損こいた、なんて苦情がないのは心外だったなあ。これでも毎回当てにいってたんですよ。いつも手紙の最後に載せている◎とか○とか、あれ、冗談ではなかったのですよ。がっはははは。ガラスの競馬場に訪れていらっしゃる方は皆手強い。お元気で、またお目にかかれればと念じております。ありがとうございました。

◎ウオッカ
○メイショウサムソン
△ポップロック
×ロックドゥカンブ
×ダイワスカーレット
穴パンドラ

雨はだいじょうぶかな、事故のないようにお願いしたいものです。

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一時お休みさせていただきます。

Rudolflast

大変残念なお知らせがあります。昨年秋より始まった人気コーナー「ルドルフおやじからの手紙」を、来年から一時お休みさせていただきます。次がルドルフおやじさんからの最後の手紙ということになりますので、しっかりと拝読させてもらいましょう(1通目のトウメイの話も珠玉のストーリーでしたね)。血統表を読む天才であっただけではなく、競馬のイロハを名文で語るルドルフおやじ節がしばらく聞けなくなるのは悲しいことですが、新たな旅立ちを笑顔で送り出したいと思います。ルドルフおやじさん、振り返ってはいけませんよ。後ろには夢はありませんから。私の感謝の気持ちは、次の手紙にて書かせていただきます。「ガラスの競馬場」は私が生きている限り続いていきますので、また良きタイミングが来たら手紙のやりとり始めましょうね。長い間お疲れさまでした。そして、ありがとうございました。

photo by fake Place

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こんな名勝負を観てみたい。

Jiromaru

お手紙ありがとうございます。前回の馬インフルエンザ騒動があった年に、有馬記念を制したのが牝馬のトウメイでしたね。トウメイは牝馬として、ガーネット、スターロッチに次ぐ史上3頭目の有馬記念の勝ち馬になったのですが、それ以降、ずいぶん長いこと牝馬から勝ち馬が出ていませんね。やはり、常識的に考えて、古馬の牡馬に混じって、2500mもの距離を走って先頭に立ち続けることは並大抵のことではないのでしょう。また、暮れの中山だけに、通常より力の要る馬場になっていることも関係していると思います。

トウメイという名前は、本当は銘刀(メイトウ)と付けたかったところが使用できず、仕方なくひっくり返して付けられた名前だそうですね。名前のひっくり返しとしては、これは母と子の名前ですが、クモワカとワカクモが思い浮かびます。どっちがどっちだか分からなくなってしまうのですが、テンポイントの母がワカクモで、祖母がクモワカです。クモワカは馬伝染性貧血という、伝貧(でんぴん)とも呼ばれるウイルス性の伝染病であると診断されて、一時は殺処分命令を受けた馬です。

今年の馬インフルエンザどころの騒ぎではなくて、馬伝染性貧血は発熱を繰り返して死に至る病です。当時、治療法はおろか正確な診断法すらなく、伝貧(でんぴん)と診断されてしまったクモワカは処分しなければならなかったのですが、診断に疑いを持っていた関係者は秘かにクモワカをかくまい、子供を産ませました。結局、裁判にもなって感染していないことが認められ、クモワカの仔ワカクモは晴れて競走馬としてデビューし、桜花賞馬になりました。

寺山修司は「ワカクモは幽霊の仔であった。なぜなら死んだ馬から生まれたからである」と書きましたが、まさにそのとおりで、クモワカは当時の規定に従っていれば死んでいた馬でした。その幽霊の仔からテンポイントという名馬が出たのですから、競馬というのは本当に奥が深いというかドラマチックですね。貴公子と呼ばれたテンポイントは幽霊の孫ということになります。

ちょっと強引にトウメイからテンポイントにつなげてしまいましたが、有馬記念といえば、いつもフト思い出すのがテンポイントとトウショウボーイの有馬記念です。もちろん、私はこの名勝負を生で観てはいませんが、それは鳥肌が立つほどの素晴らしいレースだったそうですね。

私がこの名勝負のことを知ったのは、ナリタブライアンとマヤノトップガンがお互いに一歩も引かないマッチレースをした阪神大賞典の時でした。私の周りにいた人たちは皆、立ち上がって感動していて、私が知っている中でもベスト3に入る名勝負でした。そんな名勝負に対して、マヤノトップガンに乗った田原成貴元騎手は、「あれは名勝負なんかじゃない。マヤノトップガンが打てるもんなら打ってみろと真っ直ぐに投げたストレートを、ナリタブライアンが見事に打ち返しただけのレースだ。もしあの阪神大賞典が名勝負だとしたら、テンポイントとトウショウボーイがスタートからゴールまで馬体を併せた、あのマッチレースの有馬記念はどうなるんだ?あれこそが名勝負だ。」とコメントしたのですね。私はそれを聞いて、田原騎手がそれだけ言うテンポイントとトウショウボーイの有馬記念って、どんなレースなんだろうと観てみたのがきっかけです。

レースを観ただけでも、これぞ名勝負というのが伝わってくるのですが、さらにこの2頭のそれまでの生い立ちや戦績を知ると、このガチンコ勝負がどれだけ大きな意味を持っていたか分かるのです。トウショウボーイにとってはこれが引退レースでしたし、テンポイントにとってもこのレースが実質最後のレースになってしまったのですから。それまでトウショウボーイに苦杯を喫し続けてきた貴公子テンポイントが、最後の最後に先着した瞬間でもありますし、また天馬トウショウボーイが生涯初めて、負けたくないという自らの意志を見せて、差し返した瞬間でもあります。こんな名勝負を今年の有馬記念でも観てみたいものです。

さて、いよいよ有馬記念です。粒ぞろいの面白いメンバーが揃いましたが、必ずしも強い馬が勝つとはいえないレースです。それはシーズンの最後であるため、強くてもピークを過ぎている馬がいるということ、そしてもうひとつはスタートしてからゴールまで、なんと6つのコーナーを回らなければならず、展開のアップダウンが激しいということが理由です。

3歳馬であれば、この秋の最大目標は菊花賞や秋華賞であったはずです。古馬であれば、それはジャパンカップやエリザベス女王杯であったりしたはずです。有馬記念が目標でローテーションを組む馬は皆無ですので、最大の目標で最高に仕上げて、そこからおつりが残っていればこれ幸いという感じで仕上げてきます。そして、大抵の場合、おつりが残っていないことが多く、あれだけ強い勝ち方をした馬たちが凡走してきたのはそこに理由があります。

ですので、いささか逆説的ではありますが、最大目標のレースであった前走で好走してしまった馬は、有馬記念ではおつりが残っておらず惨敗して、前走で思わぬ凡走をしてしまった馬の方が平行線以上の上積みが望めるはずです。有馬記念を2連覇したシンボリクリスエスは、ジャパンカップで凡走したからこその走りだったとも考えることが出来るでしょう。

有馬記念が荒れやすいもうひとつの理由として、スタンド前を通ってコーナーを6つ回りながら1周するというトリッキーなコースであることが挙げられます。レースの流れというのは、コーナーを回るところで落ち着きますので、そのコーナーが多いということは、ペースのアップダウンが激しいということになります。ペースが上がったと思ったら落ち着いて、落ち着いたと思ったら急激に上がってという乱ペースになりかねません。

秋華賞→エリザベス女王杯を連勝して、堂々の1番人気に推されて臨んできた牝馬のファインモーションが、タップダンスシチーにハナを奪い返され、惨敗したことは記憶に新しいですよね。あのレース以来、ファインモーションは自分のリズムで走ることが出来なくなってしまいました。

そんなことをアタマに入れながら有力馬を見ていきましょう。

1番人気に推されるのは、当然、メイショウサムソンでしょう。ジャパンカップは負けてしまいましたが、内外を通った分が、ゴール前の差として出てしまったアンラッキーなレースでした。この馬としては、最後まで良く走っていると思います。馬インフルエンザの影響で凱旋門賞に出走することが出来なくなってしまいましたが、秋3戦に目標を切り替えて調整されてきました。逆にジャパンカップで負けているのも好ましいですね。もし勝ってしまっていたら、反動が出たり、おつりのない状態で出走していたかもしれません。

前走のジャパンカップ時に思ったのは、高橋調教師はジャパンカップを獲りに来たというよりも、秋3戦を同じ体調で走られるように作ってきているなということです。私にとっては、その分、ジャパンカップの体調は100%のものではなかったように映りました。ほんの少し余裕残しという感じでしょうか。引退レースとして100%に仕上げたアドマイヤムーンとの差が、ゴール前での着順になって表れたということでもあります。今回は本年最後のレースでもありますので、ビッシリと仕上げてくるはずです。今度こそ、高橋調教師も馬を信じて自信を持って送り出してくるのではないでしょうか。

ポップロックは道中ゆったりと行って、ラストの末脚で勝負する馬ですが、ほんの僅かエンジンの掛かりが遅いことが勝ち味の遅さにつながっています。その分、府中のような直線の長いコースを得意とするはずで、中山競馬場は昨年で2着しているとはいえどうでしょうか。昨年のようにスムーズに回ってくることが出来なければ、直線伸びたものの届かないということにもなりかねません。ペリエ騎手の手綱さばきと、枠順にかかっていると思います。

ウオッカはダービーの疲れが抜けきれていないのか、秋2走は精彩を欠いた走りをしています。四位騎手がこの馬を前に付けられないのは、ウオッカ自身がどこか苦しいところがあって折り合いを欠いてしまうからでしょう。ジャパンカップは満足な体調ではなかったので、そんな中、よくぞあそこまで走っていると思います。この馬が本来の体調を取り戻したら、このメンバーでも正攻法で勝負して勝てるだけの能力を持っています。それが来年になるのか、それとも今回の有馬記念になるのか、見極めなければなりませんね。

ダイワスカーレットは鞍上に安藤勝己騎手を得て、まさに百人力ですね。おそらく、この馬が逃げてまた主導権を握ることになるのでしょう。しかし、私としてはファインモーションと被るのですが、もし道中で絡まれるようなことがあれば惨敗も覚悟しなければならないかもしれません。そうでなく、誰も競りかけてこなければ、この馬は止まらない馬ですので、あわやという見せ場を作ってくれるのではないかと期待しています。

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清水英次騎手が肩入れしているのはどちらなんでしょう

Rudolf

そろそろ年賀状のことが気になり始めました。この歳になると12月に入って続々と喪中の葉書が届きます。ほとんどが年賀状だけのお付き合いの方からの便りで、はてどういう方が亡くなられたかで済むところですが、たまに喪中の葉書で遠方に住む友の父上や母上の訃報にはじめて接することがあります。そうした場合は無性にやるせない気持ちになる。歳をとるというのは悲しいことです。

清水英次騎手はすでに鬼籍に入っておられたのですね。牝馬が人気を集める有馬記念ということでトウメイでも書いてみようかな、とネットを眺めていてはじめて知りました。おやじが知らなかっただけのお話なんですが、やるせない。申し訳ない気になった。12、3年前でしょうか、おやじが競馬から少し離れているときに落馬事故に遭われて、それ以来懸命にリハビリに取り組んでいらっしゃったそうですが、ついに体調は戻ることはなかったようです。

愚息が騎手になりたいなんていったら、バカの一言で済ますことにしている。理屈などない。命がいとおしいから。一生涯勝てないかもしれぬ馬の背から落とされ、どんじりを走っている馬の蹄に背骨を砕かれる悪夢を背負わされ、それでも勝ちにいかねばならぬのが騎手ならば、騎手というのはもはや生業とはいえないないだろう。年に1度は畏怖の念をもって競馬を見たいものです。

岡部幸雄、柴田政人、福永洋一など、清水英次騎手と同じ年にデビューした騎手は花の15期生なんて呼ばれてもてはやされていました。天才もいれば哲人もいる、アローエクスプレスからタイキシャトルの時代を体をはって支えてくれた偉大な騎手たちです。レスター・ピゴットが福永騎手の天才を一瞥して見抜いたという治郎丸さんの話はおもしろかった。

清水英次騎手は花の15期生とは呼ばれません。長期騎手講習を経ず、短期講習によって騎手免許を取得したからです。よって花はない、といったらあまりにも失礼か。だが15期生のなかに職人と呼ばれた騎手はいなかったはずです。清水英次騎手は玄人を唸らせる職人でした。素人のおやじの目には凄みのある追い込みが今でもやきついています。自らも京都の外回りコースや東京で追い込みを決めるのが好きだと語っておられたと思います。

1967年にデビューした騎手のなかで最初に世間に注目されたのは、どの騎手だったのでしょうか。1970年はアローエクスプレスの年でしたが、皐月賞前までアローの馬上には柴田騎手がいました。1971年の秋には福永洋一もニホンピロムーティエで初めてクラシックを勝っていますし、春には既に岡部騎手が、カネヒムロでオークスを制しています。ああ、岡部騎手はこの中では遅咲きの花でしたね。

1971年、牡馬の強豪を何度も退け強いマイラーと目されていた女傑トウメイの手綱は清水英次騎手に託されました。もともと3着を外さない金になる馬だったトウメイですが、清水英次騎手に乗り替わってからは連勝を続けました。以後清水英次騎手はリーディングの上位に顔を出す騎手になっていきます。

トウメイといば牡馬相手に秋の天皇賞を勝ち、天皇賞馬テンメイの母になったことからステーヤーのイメージをもっていらっしゃる方も多いと思うのですが、当時の評価はあくまでマイラー。トウメイが天皇賞を勝ったときは3番人気でした。貧弱な母親から生まれ、売れ残って「ネズミ」と呼ばれた410キロそこそこの馬に天皇賞3200Mを走りぬく力を期待するのは酷でしょう。

おやじが実際に見た小柄な牝馬ならラフォンテースかな、かわいい馬でずいぶん入れあげたものです。彼女も秋の天皇賞に出て健闘はしたものの掲示板にのれませんでした。仮に牡馬であっても400キロ前後の馬には天皇賞2マイルを勝つのは難しい。

ところで花の15期生にはどうも名言がないような気がしているのですが、いかがでしょうか。なにせ天才や哲人たちなので言葉にする前に腕で語ってみせる。トウメイで天皇賞に挑んだ清水英次騎手にはひとつの名言があります。「マイルの競馬を2回走るつもりで乗ればいい」トウメイの距離不安について尋ねられたときの言葉でした。 

ここまではすべて若いころに耳にしたり読んだりした話なのですが、この言葉の真意がおやじにはずっと分かりませんでした。この言葉に2マイルの競馬の奥義が隠されているんじゃあないか、清水英次騎手は若くして奥義を窮めた仙人じゃないかと、天皇賞のたびにいつも清水英次騎手のことが気になっていました。今から思えば彼が倒れた後もずっとそう思っていたわけですね。

今回、1マイル+1マイル=2マイルという競馬では成立しえぬ足し算の謎が少し解けた気がしました。マイルの競馬を2回すれば勝てる、と清水英次騎手が言ったというのはどうもおやじの思い込みだったようでして、ネットをたどっていくとどのページにも先輩の助言だったと書いている。

その先輩というのが高橋成忠騎手。桜花賞(2着)を経てオークス(3着)までトウメイの主戦を務めていました。「トウメイは確かにマイルを得意としているが、強い馬だ、馬を信じて乗れば2マイルだって勝てる。」助言ならばそういう意味だろう。

高橋成忠は天皇賞を2度制して全国リーディング1位にもなった大騎手ですが、おやじは騎手時代の晩年をかすかに覚えているだけです。調教師となってからは実に個性的な馬を育てていらっしゃいますね。サンレイジャスパーやメイショウバトラー、情を感じさせる馬が多いのは人柄のせいでしょうか。

これまでG1勝ちはありませんでしたが、今年の春、サムソンを引き受けて天皇賞を勝たせています。そのときの高橋成忠師のコメント。「石橋くんはすごい自信でのったんじゃないですか」菊花賞で負けたメイショウサムソンもトウメイと同じように距離を云々されていましたね。人気も2番人気でしたか。

馬券を買う者なら分かるはずですが、必ずチャンスは何度か訪れる、訪れるがそれをチャンスだと信じることはむずかしい。おおよそ、あの時なあという話になっている。1枚の馬券でさえあの時なあである。それがトウメイならどうだ、サムソンならどうだ、と思う。高橋成忠師は清水英次にも石橋守にも「信じろ」と説いたのかもしれません。

トウメイは続く有馬記念も勝ちました。わずか6頭の競馬でしたがこのときも2番人気。メジロムサシに1番人気を譲っています。我々は既にトウメイが名馬であることを知っているので2番人気だったことをとても不思議に思いますが、牝馬に対する評価というものはそんなものでしょう。どんなに強くても、信じるというのはなかなかむずかしい。ただ、清水英次騎手はトウメイに「すごい自信でのったんじゃないですか」

余談ですが、トウメイの有馬記念を少し軽く扱う人もいますね。インフルエンザの大流行で有力馬が出走を取りやめていたからでしょうが、八大競争の勝利をけなすのは上品な態度ではありません。

彼岸にいらっしゃる清水英次騎手の目には今年の有馬記念はどう映っているのでしょうか。強い牝馬の挑戦、インフルエンザの流行。自らの1971年を思い出していらっしゃるかもしれません。物語は1971年に始まりました。そして今年、牝馬の挑戦を受けるのは、清水英次騎手に「信じろ」と助言した高橋成忠です。これが物語に仕組まれたプロットです。

2007年春、自らに訪れたウオッカというチャンスを信じて今年のダービーを制した角居勝彦師を清水英次騎手なら見守ってくれていたはずです。高橋成忠と角居勝彦、清水騎手が肩入れしているのはどちらなんでしょう。年の瀬には不思議な時間が流れているのでしょうか。時間に追いまくられながら1年の始末をつけているうちに、過ぎこし年月や別れた人を思い出してしまいました。

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◎サブジェクト

Jiromaru

丁寧な血統解説ありがとうございます。ここまで奥深く血統について語れる人は希少だと思います。マルゼンスキー記念というのは、昨年、ルドルフおやじさんに命名していただいたのですが、やはりそれほどマルゼンスキーという馬は人々の記憶に残る凄い馬だったのでしょうね。残念ながら、私は現役のマルゼンスキーを知りませんし、当時の競馬ファンの興奮も知りません。それでも、当時、持込馬であったためダービーに出走することができなかったマルゼンスキーの主戦の中野渡清一騎手が言った、あの有名なセリフは強烈に印象に残っています。

「賞金なんか貰わなくていい。
28頭立ての大外枠でもいい。
邪魔なんかしない。
頼むから出してくれ。
そうすれば、どれが日本一かわかる」

この言葉だけでも、マルゼンスキーがどれほど強い馬だったか想像がつきます。結局、後続につけた合計の着差が61馬身という圧倒的な強さを見せ付けて、8戦8勝の戦績で引退していきました。引退式の日に、スタンドから上がった垂れ幕には、こんな文字が躍ったそうですね。

「さようなら、マルゼンスキー。
語り継ごう、おまえの強さを」

その通り、マルゼンスキーの強さは多くの人々によって語り継がれてきたわけですし、またマルゼンスキー自身も種牡馬として己の強さを証明してきましたよね。本当に素晴らしい馬だと思います。

もう1頭、後世に語り継いでいきたいマルゼンスキー記念の勝ち馬がいます。フジキセキです。私が実際に見てきた中で、最も強烈な強さを誇ったマルゼンスキーの後継者です。フジキセキが勝った平成6年のマルゼンスキー記念は曇天の下行われたのですが、内ラチにぶつかりながらも抑えきれない手応えで直線に向いたフジキセキが、ラチ沿いをスルスルと伸びた時の興奮は今でも忘れられません。外からスキーキャプテンが伸びてきて、あわや交わされるかというところがゴールでした。着差以上に余裕があったのですが、レース後の角田騎手の「ムチを入れていませんから」というコメントが印象的でした。実際には肩ムチを一発だけ入れているのですが、そう言わせたのはフジキセキが圧倒的に強いという角田騎手の意地なのでしょうね。

フジキセキは坂路コースの申し子でもありました。栗東トレセンに坂路コースが出来たのは、今からおよそ20年前のことです。今でこそ関西馬が強くなったのは坂路コースのおかげなどともてはやされていますが、完成当初の調教師たちの反応は冷ややかなもので、実際に坂路コースを使って追い切られる馬などほとんどいませんでした。そんな中でも、坂路コースに活路を見出し、坂路コースに己の調教師生命を賭けた2人の調教師がいました。戸山調教師と渡辺調教師です。

戸山調教師は、ミホノブルボンやレガシーワールドを育てた、スパルタ式の調教で有名です。今ではちょっと考えられないかもしれませんが、通常では1日3本で限界の坂路コースを、ミホノブルボンなどは1日5本も追われて鍛え上げられていました。後ろからミホノブルボンのお尻を見ると、他馬の2倍くらいの大きさがあったそうです。戸山調教師のスパルタ調教には賛否両論が飛び交いましたが、ミホノブルボンやレガシーワールドの活躍が救ってくれましたよね。戸山調教師の試行錯誤が現在の坂路コースのノウハウにつながっています。

もう一人がフジキセキを育て上げた渡辺栄調教師です。戸山式のスパルタ調教を受け継ぎながらも、入厩当初のヒ弱なフジキセキを鍛え上げていきました。幸いなことに、フジキセキは食欲の旺盛な馬だったため、どれだけ苛酷な調教を課してもカイバの量が落ちたことは全くなかったといいます。だからこそ、坂路で猛特訓を受けながらも、デビュー戦では472kgだった馬体重がマルゼンスキー記念では492kgにまで増えていました。

フジキセキは全くの無駄のない素晴らしいフォームで走る馬でした。坂路を駆け上がってくるところを真正面から見るとよく分かるのですが、脚を外に振り回しながら上がってくる馬もいます。これは無駄のある走り方で、フジキセキはどれだけ速いタイムで上がってくる時にも、脚を真っ直ぐに伸ばして駆け上がってきていましたね。坂路コースがなければ、フジキセキもあれだけの強さを発揮することもなかったかもしれません。

残念ながら、フジキセキは弥生賞を圧勝した後に屈腱炎を発症してしまい、幻の3冠馬になってしまいました。弥生賞も凄いレースだったのですよ。外からホッカイルソーがもの凄い脚で強襲してきたのを一旦受けて、そこからエンジンをふかして3馬身ほどチギってしまったのですから。フジキセキはその漆黒の馬体やレースぶりや気性からも、サンデーサイレンスに最も似ている馬と言われますが、私もそう思います。鋭敏な馬が多いサンデーサイレンス産駒の中でも、最も鋭気を感じさせる馬でした。

さて、今年のマルゼンスキー記念は、そのフジキセキ産駒の◎サブジェクトに本命を打ちます。父ほどに鋭気を感じさせる馬ではありませんが、新馬戦の末脚はなかなかのものでした。直線が短く先行馬に圧倒的に有利な札幌競馬場の1800mコースで、直線だけで差し切ってしまったのですから、その能力と完成度はかなり高いと言っても良いのではないでしょうか。ルドルフおやじさんのおっしゃる通り、札幌2歳Sでは自ら動いて勝ちに行った強い競馬でした。展開の綾で負けてしまいましたが、底力を証明しましたね。前走は初の当日輸送で馬が気負っていたこと、やや重馬場で他馬よりも1kg重い56kgを背負って、しかも出遅れてしまったことに敗因を求めます。巻き返しは十分可能とみます。

母系はトゥールビヨンを生んだ牝系なんですね。知らなかったです。典型的なアメリカ血統ですので、この馬の完成度やスピードはこちらから受け継いでいる部分もあるのでしょう。そういった意味では、前回の手紙にも書きましたが、マイルへの距離短縮は好材料だと思います。マルゼンスキー記念は厳しいレースになりますので、マイル以上のスタミナが要求されます。だからこそ、意外と中距離を使ってきた馬に分があるレースになります。距離が短縮されて、サブジェクトの中距離での実績とスピードが生きてくるはずです。

心配はやはり大外枠ですよね。中山の1600mコースの外枠は、JRAの全競馬場のコースの中で最も不利と言われていますので、決してプラス材料に働くことはありません。しかし、決まってしまったことをあれこれ言っても仕方ありませんので、私がサブジェクトに乗るつもりで作戦を考えてみました。

幸いなことに、この馬は末脚で勝負できる馬ですので、スタートしてから無理に好位を取りに行く必要はありません。ですから、他馬よりも少し遅めにフワッとゲートから出して、最初のコーナーである2コーナーへ向けて、内に切れ込みながら経済コースを取ります。最初のコーナーを回る時には馬場の内を進んでいますので、コーナリングのロスは少なくてすみます。

この時点で、前から数えてどれぐらいの位置にいるかが重要ですね。最後方にいるようであれば、向う正面の中間から3コーナーにかけて、ある程度位置取りを上げておく必要があります。内ラチピッタリを進めればいいのですが、そうはいかない場合は、馬の間を縫わなければならないかもしれません。

3コーナーから4コーナーまではジッと我慢ですね。坂を下るような形になりますので、外から動き出す馬も多くいるはずですが、もうひたすら我慢の子です。内ピッタリを回っていますので、動かなくてもそれほど他馬から離されることはないでしょう。勝負所の4コーナーを向くまでは、ピクリとも動いてはいけません。最後の直線310mに全てを賭けるのです。

そして、ここからが最大のポイントです。最後の直線は内を突くのです。外枠発走のロスを取り戻すには、最後の直線は内を突くしかないでしょう。一か八か内を突けば、先に抜け出した馬たちとの差は一気に詰まるはずです。あとは最後の高低差2mの急坂で、前の馬たちの脚色が鈍るかどうかです。これは道中のペース次第ですが、マルゼンスキー記念はハイペースになりがちなレースですので、最後の最後で先行馬の脚が上がって逆転できる可能性はあります。

もちろんシナリオどおりに進まないのが競馬のレースですが、安藤勝己騎手もこのようなイメージを描いて臨んでくるのではないかと思います。あとは、その場その場での安藤勝己騎手の判断に任せましょう。それが出来るのが、不可能を可能にしてきた安藤勝己騎手だと思っています。マルゼンスキーの28頭立ての大外枠に比べれば、16頭など大したことないとも思えますしね。

アポロドルチェはやはり1番人気に推されていますね。前走の勝ちっぷりを見ても当然だと思います。この馬の強さに関しては、前の手紙で書きましたので詳しくは書きません。マルゼンスキー記念に出走できる確率が4%で、勝てる確率は0%という異系(マンノウォー系)なのですね。勝てばミホランザン以来35年ぶりか。クシュン、ここに赤ん坊からおやじになった人がいますよ。そんな話を聞くとつい応援したくなっちゃいますね。

後藤騎手の騎乗スタイルから考えて、外枠を引いたということもあるので、かなり強引に攻めてくるはずです。前走で立ち遅れていたのは心配材料ですが、今回は前半から中団よりも前につけて、4コーナーでは先頭に立つぐらいの勢いで回ってくるはずです。そうするためには外々を回らなければならず、スタミナがもつかどうかの1点に勝敗はかかってくると思います。この馬の体型は短距離馬のそれですが、走りに柔軟さとスケールの大きさがありますので、パタッと止まる馬ではありません。ただ、ハイペースの中を最後まで押し切れるかどうか微妙なところです。この馬が最後までレースの主導権を握りそうなのは間違いありませんが。

スズジュピターが2歳Sを使わないのはマイラー色が出ているからなのですね。馬っぷりも抜群に良いですし、長いところを使っていけば距離も持ちそうなだけに残念です。この時期の若駒は、どの距離のレースを使うかで将来が変わってきてしまうので、もし本気でダービーを目指すのであれば2歳Sに使って欲しかったなあ。ということは、逆に考えると、ここは勝負が掛かっているということでもありますよね。後藤騎手はアポロドルチェを選びましたが、ことマイル以上のスタミナという部分ではこちらに分があると私は思っています。あとは器用に立ち回れるかどうかです。アポロドルチェに比べると少し鈍重なイメージがありますので、柴田騎手がどのように捌いてくるでしょうか。枠順は文句なしです。

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名門ビューチフルドリーマーのフォーチュンは託された

Rudolf

武文のお話はおやじも聞いたことがありました。泣かせる話ですね。
ありがとう、でしたね。そのとおりです。そう、そう、一生を賭けたのですから、ありがとうですね。名馬にめぐりあったのですから、ありがとうですね。名人にあったから、ありがとうですね。

さて、キャプテントゥーレなどおやじが切ろうとしていた馬が何頭かいたのですが、お手紙を読ませてもらうとどうも侮ってはいけないようですね。おやじも思い込みが激しいのでもう1度きちんと考えて結論を出そうと思います。

アポロドルチェ。やはりこれが1番人気か。お手紙には余裕綽々、圧巻なんて言葉があって頼もしい。おやじはステップレースのなかでは京王杯のレベルが高いのかなと思っています。心情的にはマンノウォー系のこの馬は是非買ってみたいなあ。ここ20年ほどで日本の父系地図もすっかり塗り替えられてしまって、もはやエクリプス系、その中でもファラリス系以外の馬の出る幕はないようですね。ヘロド系のトウカイテイオーが頑張っているなんていうのは奇跡に近い話です。前の手紙で書かせてもらったように、朝日杯に異系が出走できる確率は4%。何年かに1頭出走するか、しないか。そしてこの10年のデータ上では勝つ確率は0%。

名馬中の名馬というのは己が負けた馬の名前まで歴史に残すことができるのですね。21戦して1敗、マンノウォー唯一の敗戦は6ハロン戦で大きく出遅れてしまったという偶然によってもたらされた出来事でした。負けた相手につけられていた名はアップセッター(どんでんがえし)。ついでにネイティブダンサーに黒星をつけたのはダークスター。なんともおもしろい。

もしマンノウォーが勝つとすれば35年ぶりか。ミホランザン以来となります。忘れられた馬ですが35秒台の時計で朝日杯を勝った快速馬です。キタノカチドキやイットーと同世代で当時はマンノウォー系を異系なんていってませんでしたよ。主流とはいわないが大種牡馬の「月友」、イットーの父ヴェンチア、オグリの母父で有名なシルバーシャークなど、日本の競馬とマンノウオーは相性がいい。ダービーではトウショウボーイもマンノウォーに敗れていますね。

最近ではサニングデールがマンノウォーの目ぼしい活躍馬ですか。彼は青森で種馬生活を送るそうです。マンノウォー系の現在の地位を物語っていますね。ミホランザン以来の35年といのは馬にとってはとてつもなく長い時間です。人間だって赤ん坊がおやじになる。今、くしゃみしませんでしたか。現役では美形で有名なブラックバースピンもこの系統です。気になるのはこの系統が淡白なスピードを押し出していることですね。Aドルチェ、先週のオディールのように強い馬なのでこの馬も掲示板は確保できると思います。しかし不世出の名馬マンノウォーの血にとって大切なのは、ドルチェが35年の時を経て勝利できるか否か、です。異系に追いやられたマンノウォー、今度は彼がアップセッターになる番です。ここが第2回マルゼンスキー記念の見所だと思います。

ターントゥはエントリーした馬の半数を送り込んできました。有力馬もたくさんいますね。なかなか掘り尽くすことのできない鉱脈です。

キョプテントゥーレ。父のタキオンには早く一流の牡馬を出してほしいものです。活躍馬が牝馬に偏るというのは種牡馬にとって危険な兆候ですから。おやじはタキオンを競走馬としても種牡馬としても高くかっています。タキオン産駒AアークはマイルCSでなんとも惜しいことをしました。Aアークの力は相当なもので種牡馬としても期待していいのですが、このまま引退となるとその道も厳しくなりますね。治郎丸さんはトゥーレを高く評価しているのかな。感性が大切という治郎丸さんは一見凡庸にうつる前走に何か感じとっているのですね。この馬は父と母それぞれの母方にロイヤルスキーをもっている点がユニークなところであり、長所だと思います。競走馬としても種牡馬としても一流と呼べないロイヤルスキーのような良血馬は母系に入ってその血の良さをきちんと伝えてくれます。次の手紙が楽しみです。感性ですよねえ。まず感性があって次に血統だ。そしていろいろあって、最後におやじがもうけるのが望ましい。

スズジュピター。これは治郎丸さんのおっしゃるように父ギムレットの影響の強い馬かも知れません。何度か書いたようにギムレットは大種牡馬になる可能性のある馬です。仕上がりが早くマイルから選手権距離まで力をきちんとだせる。2歳Sを使わないのはギムレットのマイラー色がこの馬に濃く出ているためなのかも知れません。

スマートギャング。父のグラスワンダーからはなぜG1馬が出ないのですかねえ。あれ、忘れた、出ているのかもしれない。良血で素晴らしい能力の持ち主なのに不思議です。ちょっと良血を集めすぎてよくばったかな。スマートギャングの母系は芳しくないのでグラスワンダーと足して2で割ってちょうどいいさじ加減になっているかもしれませんよ。くんくん、穴の臭い。

サブジェクト。フジキセキは父サンデーの死を待っていたかのように強い馬を送り出しています。やはり恐ろしい種牡馬です。サブジェクトが洋芝の札幌2歳Sで力を出せたというのは底力のある証です。このレースは武騎手と安藤騎手の駆け引きの見えたとても良いレースだったと思います。馬の力を信じたのは安藤騎手の方だったかな。強いレースをさせています。母系はとてもいいですよ。近いところではジョリーズヘイローなんかがいます。ルドルフの祖、トゥールビヨンを生んだ牝系だと知ったら驚きですよね。安藤騎手を乗せても人気は出ないかな。くんくんくん。

ミリオンウェーブもフジキセキ産駒です。ユートピアの出る一族で意外と活気のある牝系ですがサブジェクトの牝系の魅力には勝てません。

ギンケイ。父も母もおやじには馴染みの薄い馬ですが、前走は意外と強い競馬をしているのではないでしょうか。ミリオンウェーブを穴で買うならこっち、こっち。

勢いはネイティブダンサーです。前の手紙のエントリー馬の割合より出走馬の割合がぐっと多い。レベルの高い馬を出していることがうかがえます。

ドリームシグナル。例のファンシミン系で底力ならどの馬にも負けません。前走を見ていると無類の道悪後者なのかもしれません。雨ならばこの馬です。強い部類の馬ですが、まだまだ成長しそうですし今回狙っていくのは案外得策ではないかもしれません。

セレスハント。父のコロナドズクエストは先週書いたようにダービーで1着か未勝利でどんじりか、といった魅力をもった種牡馬だと思います。セレスの成績も極端です。ただ芝とダートのマイルで勝っているのは頼もしいですね。母系はなつかしいリボッコ、リベロという兄弟種牡馬が出る牝系でスタミナを蓄えていると思います。リベロについては治郎丸さんの以前の手紙でも触れられていましたね。

ドリームガードナー。新馬でスマイルジャックの2着していますね。ここでも好戦できると思います。母系は江川卓さんのところで書いたレディーゴシップと同系です。すばらしい活力の血脈ですねえ、一言、驚きです。この血脈からは今年コイウタがG1を勝ち、Aアークが2着していますね。

ヤマニンキングリー。Aデジタルの牡馬のエースに育ってほしい馬です。使われるごとによいレースをするようになっているのは父の特長なのかも知れません。ちらっと見ただけですが、大きなフットワークで走る馬だと思いませんか?中山マイルはちと苦しいか。この馬は2歳Sに出てほしかった。まあ、いいか。母系はティファニーラスが出る超のつく良血でキングリーと命名したのもうなずけます。キョプテントゥーレを良血というならこの馬はもっと騒がれなくてはいけません。前走トールポピーをおさえた末脚は見事。あとは小回りをどう乗るか、武騎手が乗ってくれるのはいいですね。

Nダンサー系はやはり少数精鋭できました。いい馬をそろえています。

フォーチュンワードがどんなレースをするか、クラシックのクの字が少し見えてきそうです。父のデヒアをはじめとしてこの牝系にかけられているのは頑健な種牡馬ばかりです。祖母のビクトリアクラウンは今年亡くなったのですか。名門ビューチフルドリーマーのフォーチュンはこの馬に託されています。京王杯は4着でしたがすばらしいレースをしています。今回は中段につけるレースをするはずです。松岡騎手というのもいいなあ。

ゴスホークケン。前走は少し馬体に余裕があったと思います。今回はきちんと仕上げてくるはずです。穴人気以上の評価をされて然るべき馬だと思います。はずかしいので理由はいえませんがこの馬は東京コース向きだと思っています。気になるでしょ、今度お会いしたときに長い長い理由を話しましょう。この馬が3着までにきたときには忘れてください。はずかしいことって多いですよね。母系はこれまたレディーゴシップの一族ときた、怖い血統です。

エーシンフォワード。上と同じストームキャット系ですが、近親には活躍馬が見当たりません。それでずーっと、ずーっとさかのぼると、なんとプラッキーリエージュにたどりついた。サーギャラハットやブルドックそしてボワルセルを生んだ20世紀の母ですね。しかしリエージュの仔の活力も母系そのものの活力も失われています。ボアルセルが最後の戦いに敗れたのは今年のエリザベスの日でしたね。痛い目にあった。

レッツゴーキリシマ。はい、手拍子、手拍子。GO、GO、GO!もっともっとGO、GO、GO!おやじは日本酒党だが、焼酎なら霧島だ、GO、GO、GO!はい、これが今年のマルゼンスキーですね。母系がマルゼンスキーを出しています。だから強いなんて理屈はないがG3級の兄のキリシマよりもいいんじゃないかな。父のMライアンの産駒は中山コースに相性がいい。Nダンサーのサイヤーラインはなぜか日本に根付きにくいのですが、この父系は別ですね。名馬にして名種牡馬、ライアン最後の代表産駒に育ってほしいものです。前走もなかなかの競馬をしていると思います。

ナスルーラからは1頭。ウイントリガー。トウショウボーイの母ソシアルバタフライから出る血統ですね。ここまでくるとですよ、なんだか分からなくなるところが血統のおぞましところですな。がっはははは。結局、馬が見えてないときは血統を見てもだめだな。

まず主流血脈から1頭ずつチョイスしましょうか。

ターントゥ系からはサブジェクト
ネイティブダンサー系からはヤマニンキングリー
Nダンサー系からはフォーチュンワード

この3頭に挑むのがアポロドルチェ
そして焼酎を呑んでいい機嫌なのがレッツゴーキリシマ

◎フォーチュンワード
○サブジェクト
▲アポロドルチェ
△ヤマニンキングリー
×エアトゥーレ
×レッツゴーキリシマ 

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名馬の条件とは

Jiromaru_3

名馬の条件ですか?とても難しい質問ですが、私は「ほとんど負けないが、負けても大きくは負けない」ことじゃないかなと思っています。いくら名馬とはいえ、やはり色々な理由があって負けることもあります。それでも、そんな中でも意地を見せるというか、底力を見せる馬こそが真の名馬だと思います。ですから、勝つ時は強いけど、負ける時はあっさりという馬は真の名馬ではないのではないでしょうかね。また、マルゼンスキー(8戦8勝)のような無敗馬も、もし走り続けていたとしたら…と考えてしまいます。

「ほとんど負けないが、負けても大きくは負けない」の代表馬はシンザンとシンボリルドルフでしょうか。長くなってしまいますが、日本の名馬の代表ですので、ぜひその全成績を記させてください。まずはシンザンから。

競馬場レース名距離着順騎手調教師
京 都 3歳新馬 1200 1 栗田 勝 武田 文吾
阪 神 3歳オープン 1400 1 栗田 勝 武田 文吾
阪 神 3歳中距離特別 1600 1 栗田 勝 武田 文吾
京 都 4歳オープン 1600 1 栗田 勝 武田 文吾
東 京 スプリングS 1800 1 栗田 勝 武田 文吾
東 京 皐月賞 2000 1 栗田 勝 武田 文吾
東 京 4歳オープン 1800 2 栗田 勝 武田 文吾
東 京 東京優駿 2400 1 栗田 勝 武田 文吾
阪 神 4歳以上オープン 1800 2 栗田 勝 武田 文吾
京 都 京都盃 1800 2 栗田 勝 武田 文吾
京 都 菊花賞 3000 1 栗田 勝 武田 文吾
阪 神 4歳以上オープン 1600 1 武田 博 武田 文吾
阪 神 4歳以上オープン 1850 1 武田 博 武田 文吾
阪 神 宝塚記念 2000 1 栗田 勝 武田 文吾
阪 神 4歳以上オープン 1850 1 武田 博 武田 文吾
東 京 目黒記念(秋) 2500 1 栗田 勝 武田 文吾
東 京 天皇賞(秋) 3200 1 栗田 勝 武田 文吾
中 山 4歳以上オープン 2000 2 武田 博 武田 文吾
中 山 有馬記念 2600 1 松本 善登 武田 文吾

もうため息が出てしまうような成績ですよね。シンザンは19戦中4戦しか負けていません。しかも負けているのはG1レースへの叩き台であったオープン戦がほとんどです。なんとG1レースでは一度も負けていないのですね。おそらくかなり太目で使ったであろう叩き台のレースでも、全て2着とほとんど負けていません。この時代において、シンザンはそれほど抜けた存在だったのでしょう。「シンザンを超えろ」というのがホースマンたちの合言葉だったのが良く分かりますね。

次に皇帝シンボリルドルフです。

競馬場レース名距離着順騎手調教師
新潟 3歳新馬 1000 1 岡部 幸雄 野平 祐二
東京 いちょう特別 1600 1 岡部 幸雄 野平 祐二
東京 3歳オープン 1600 1 岡部 幸雄 野平 祐二
中山 弥生賞 2000 1 岡部 幸雄 野平 祐二
中山 皐月賞 2000 1 岡部 幸雄 野平 祐二
東京 東京優駿 2400 1 岡部 幸雄 野平 祐二
東京 セントライト記念 2200 1 岡部 幸雄 野平 祐二
京都 菊花賞 3000 1 岡部 幸雄 野平 祐二
東京 ジャパンC 2400 3 岡部 幸雄 野平 祐二
中山 有馬記念 2500 1 岡部 幸雄 野平 祐二
中山 日経賞 2500 1 岡部 幸雄 野平 祐二
京都 天皇賞(春) 3200 1 岡部 幸雄 野平 祐二
東京 天皇賞(秋) 2000 2 岡部 幸雄 野平 祐二
東京 ジャパンC 2400 1 岡部 幸雄 野平 祐二
東京 有馬記念 2500 1 岡部 幸雄 野平 祐二
アメリカ サンルイレイS 2400 6 岡部 幸雄 野平 祐二

シンボリルドルフは15回走って、ルドルフおやじさんが書いてくれたジャパンカップと天皇賞秋の2回しか負けていません。これだけを見ても、シンボリルドルフは負けてはいけないという使い方をされていますね。シンザンは悪く言えば本番を勝てばいいやという使われ方だったのに対し、シンボリルドルフはたとえ叩き台のレースでさえも負けられないという陣営のプライドのようなものが感じられます。

その完璧主義が裏目に出てしまったのが、負けた4歳時(現3歳時)のジャパンカップと天皇賞秋でした。ジャパンカップは無敗で3冠を制した疲れがドッと出てしまったレースです。当日はシンボリルドルフも下痢をしていたと言いますね。天皇賞秋はブッツケで馬が気負ってしまっての2着でした。負けてもいいからどこかで叩いていれば、間違いなく勝っていたレースでしたね。付け加えるとシンボリルドルフは最後にアメリカのサンルイレイSにも出走し6着に敗れましたが、左前脚繋靭帯炎を発症したため、まともに競走をしていません。

このように、シンザンもシンボリルドルフもどれだけ体調が悪くとも、惨敗を喫しなかった馬でした。負け方に名馬の意地があったというか、勝ったレースよりも負けたレースでその強さを競馬ファンに見せ付けた馬だったのではないでしょうか。この2頭が20世紀の真の名馬であることに異論を挟む余地はないと私は思います。

21世紀の名馬はやはりディープインパクトでしょう。私は幸いなことに、この馬のレースを新馬戦から同時代で観ることができました。ルドルフおやじさんはシンボリルドルフとディープインパクトの2頭の名馬を観ているのですから、羨ましい限りです。名馬と同時代に生きた幸せは、年月を経るに従って大きくなっていきますよね。

競馬場レース名距離着順騎手調教師
阪神 3歳新馬 2000 1 武 豊 池江泰郎
京都 若駒S 2000 1 武 豊 池江泰郎
中山 弥生賞 2000 1 武 豊 池江泰郎
中山 皐月賞 2000 1 武 豊 池江泰郎
東 京 東京優駿 2400 1 武 豊 池江泰郎
阪神 神戸新聞杯 2000 1 武 豊 池江泰郎
京都 菊花賞 3000 1 武 豊 池江泰郎
中山 有馬記念 2500 2 武 豊 池江泰郎
阪 神 阪神大賞典 3000 1 武 豊 池江泰郎
京 都 天皇賞春 3200 1 武 豊 池江泰郎
阪神 宝塚記念 2200 1 武 豊 池江泰郎
フランス 凱旋門賞 2400 3 武 豊 池江泰郎
東京 ジャパンカップ 2400 1 武 豊 池江泰郎
中山 有馬記念 2500 1 武 豊 池江泰郎

ディープインパクトも、フランスの凱旋門賞を含め14戦走って2回しか負けていません。負けた菊花賞にしても、3冠達成の反動から、まともに走れる体調にありませんでした。凱旋門賞はシーズンオフに近い宝塚記念を勝ったことによる反動がありましたし、現地(フランス)での調教で仕上げが少し緩かった気がします。それでも有馬記念は2着、凱旋門賞は3着ですから、今から考えても信じられないぐらいの能力を持った名馬でした。

「ほとんど負けないが、負けても大きくは負けない」という私の名馬の条件は、ルドルフおやじさんのおっしゃる「晴雨不問は名馬の条件」ということと重なりますよね。雨が降ったから、ドロドロの馬場だからなどと言ってあっさりと負けてしまうのは、真の名馬ではないということでしょう。

そして、ひづめ、性質、体格、血統、生産地の「五調」。これらが揃っていなければ、どんな条件でもどんな状態でも「ほとんど負けないが、負けても大きくは負けない」ということを実現するのは難しいでしょう。ディープインパクトは蹄が薄く、決して強い馬ではありませんでしたので、現代の装蹄の技術に助けられたという部分もあるとは思います。また、体格という面でも決して恵まれた方ではありませんでしたが、天性のバネと性質の良さで補っていたのかもしれません。

シンボリルドルフが菊花賞で3冠制覇に臨む直前に、和田共弘オーナーと野平祐二調教師のもとを、シンザンを管理していた武田文吾調教師が訪れた話はご存知ですか?ちょうど20年前に3冠馬シンザンを送り出した武田文吾調教師は、これからシンボリルドルフで3冠を目指す二人に対してこう言ったそうです。

「ありがとう。私の生きている間にシンザンを超える馬が出ない。それが実に寂しかった。つい最近までは諦めていたのだが、君たちはシンボリルドルフという立派な馬をこしらえた。ルドルフは完全にシンザンを超えた。私はもう思い残すところはないよ。ありがとう和田君、そして野平君」

真のホースマンたちは、こういう絆で結ばれているのですね。もし和田共弘オーナーや野平祐二調教師が生きていて、ディープインパクトの走りを見ることが出来ていたら、彼らは何を思ったでしょうか。ディープインパクトはシンボリルドルフを超えたと思ったでしょうか。それともまだまだシンボリルドルフの域には達していないと感じたでしょうか。彼らもまた、吉田勝己さんや池江調教師の手を握って「ありがとう」と言ったに違いない、と私は思っています。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、今週は朝日フューチュリィティS改めマルゼンスキー記念でしたね。先週のウオッカ記念は、同厩舎で同じようなローテーションで臨んできた馬が勝ちましたが、果たして今回はどうでしょうか。ちなみに、マルゼンスキーは府中3歳Sを勝って、旧朝日杯3歳Sに臨んできました。府中3歳Sとは今でいう東京スポーツ杯2歳Sのことですね。

マルゼンスキー記念をひとことで言えば、「絶対能力と完成度が問われるレース」ということです。この時期にしてはかなり速い時計での決着となりますので、現時点においてマイルを1分33秒台で走れるかどうかという資質を試されるということになります。つまり、実力の有無がはっきり出てしまうレースということになります。だからこそ、1番人気が強くて、過去10年間の成績は【3・4・4・0】となっています。1番人気が強いマイルCSと比べても高い数字で、今となっては最も1番人気の信頼度が高いG1レースと言ってもよいのではないでしょうか。

その1番人気になりそうなのはアポロドルチェですかね。この馬の前走のレース振りは圧巻でしたね。出遅れ気味のスタートでしたが、余裕綽々で上がって行き、4コーナーでは大外を回しての楽勝でした。2着馬との差はわずかでしたが、着差以上の力差があったと思います。パワーのある馬ですので、重馬場が向いていたと解釈することも出来ますが、晴雨不問という名馬の条件はクリアしていることになりますね。

3着に負けてしまったいちょうSは、折り合いを教えている過程でのものですので、それほど心配することもないかもしれません。あそこで控える競馬をしっかり教えたからこそ、行ったっきりの馬にならずに済んだということでもありますから。欲を言えば、負けるにしても2着は確保して欲しかったなと思います。名馬は負けても2着ですからね。ただ、この馬の武器はスピードとパワーで、それに加えて柔軟性も持ち合わせているようです。外国産馬にありがちな一本調子のところがなく、スッと抑えられて、ゴーサインにも瞬時に反応する素直さが強みでしょう。

スズジュピターは、タニノギムレット×サンデーサイレンスという血統の良さが、馬体にも如実に表れていますね。タニノギムレットの種牡馬としての価値は、これまでも何度か書きましたが、2歳の種牡馬チャンピオンでないにもかかわらず、初年度からクラシック馬を出したという点に集約されていると思います。外的要因などもありますので一概には決められませんが、タニノギムレットはサンデーサイレンスやトニービン級の影響力のある種牡馬になる可能性を十分に秘めていますよね。

この馬も仕上がりが早く、夏の新潟で早々に2勝した後、新潟2歳Sには目もくれずに休養に入りました。まるでシンボリルドルフのような使い方ですね。そして休み明けで東京スポーツ杯2歳Sを使って、敗れてしまいましたがキッチリと2着は確保しています。休み明けを叩いて、ここはさらに良化してくることは必然で、好勝負になることは疑いようがありません。

ただ、どうしても引っ掛かるのが、高橋調教師は「ゆくゆくはダービーを目指したい」と語っているにもかかわらず、なぜここを使ってくるのかということです。もし本気でダービーを目指すならば、ここ(朝日杯フューチュリティS)ではなく、ラジオNIKKEI杯を使うべきなのではないでしょうか。この時期にマイルのスピードレースを経験してしまうと、来年ダービーの2400mをこなせるようなリズムで走れなくなってしまいます。かつてサクラプレジデントという素質馬がいましたが、あの馬は無理にここを使ってダメになってしまいました。特に若駒だけに、ちょっとしたローテーションの違いで大きく歯車が狂ってしまうことがあります。そんな馬をたくさん見てきただけに、スズジュピターのような馬は、もっと長い距離を使ってあげるべき馬だとも思っています。

キャプテントゥーレは、近代日本の競馬の申し子のような血統ですね。あのスキーパラダイスを祖母、スキーキャプテンを祖父に持ち、母は阪神牝馬Sを勝ちフランスのモーリスドゲスト賞で2着したエアトゥーレ、そして父が今をときめくアグネスタキオンです。前走のデイリー杯は楽勝でしたが、馬体を見ても、まだ距離が伸びても良さそうなタイプです。

デイリー杯はスローの逃げでしたのでフロック視されるでしょうし、デイリー杯の勝ち馬自体が軽視される傾向にありますが、この馬をあまり見くびらない方がいいと思います。新馬と野路菊Sはコロッと負けていますが、これはソエを気にしていてシッカリ調教できていなかったからです。ソエが治まり、ビシッと追い切れるようになった前走は全くの楽勝でした。今回も坂路でビシッと仕上げてくるはずですので、好勝負は間違いなしです。

サブジェクトは3戦共に1番人気を背負いましたが、1度しか期待に応えられていません。新馬戦は追い込みの利きにくい札幌1800mコースで、直線だけで差し切ったように、スピードに乗ってからの脚は素晴らしいものがあります。札幌2歳Sは早めに動いてオリエンタルロックに差されてしまいましたが、内容は悪くありませんでした。

ただ、前走の萩Sに関しては、スタートで出遅れたにしても、最後もこの馬らしい伸びもありませんでしたし、不可解な負け方でした。やや重馬場で他馬より1kg重い斤量を背負っていたということもあったのでしょうか。いずれにせよ、3戦の走りを見る限り、この馬には距離が長かったという印象を受けました。こういうタイプの馬はマイルで末脚を生かす乗り方をしたほうがいいですね。安藤勝己騎手も今回は一発狙ってくるでしょうし、ハマれば勝ち負けになるはずです。

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Nダンサーの鉱脈を探ってみよう

Rudolf

いきなりで申し訳ありませんが、人のふんどしを借りて寄り道してよろしいですか?

いや、10月27日付け朝日新聞(夕刊)に載った「漢字んな話」(前田安正氏)というコラムがあまりに興味深かったので、是非治郎丸さんに紹介したくて今日までとっておいたんです。

漢字んな話に移る前に治郎丸さんに質問。おやじはよく「晴雨不問は名馬の条件」なんてほざいてますが、名馬の条件ってなんだと思います?いくつか挙げてみていただけますか・・・うむうむなるほど。

で、漢字んな話です。「がんじょう」という言葉には今は「頑丈」という漢字を当てますが、江戸時代までは「五調」と書いて「がんじょう」と読ませたそうなんです。この「ごちょう(五調)」というのが元々は昔の名馬の条件だったそうです。

ひづめ、性質、体格、血統、生産地。

この5つを「五調(ごちょう)」といって、5つそろって丈夫でたくましい名馬が誕生すると昔の日本人は考えたようです。そして、たくましい名馬を連想させるということで「五調」を「がんじょう」と読んだそうです。

いかがですか、5つの名馬の条件。もちろん昔の話ですので在来馬の名馬の条件ですが、そっくりそのままサラブレッドの名馬の条件に当てはまるような気がして驚いた次第なんです。インティライミはひづめの病に悩まされましたね。もっとも美しいダービー2着馬だけれども名馬の域には達していないのかもしれません。性質は従順な方がいいのか、かん性がきついのがいいのか、おやじはサムソンのようなかん性のきつい馬が名馬だと思ってます。サラブレッドの理想体重は480キロなんておやじの若いころいってたけど、ウソうそ。血統がなければ競馬は成り立ちません。生産地も大事ですね、牧草の栄養分やミネラル分、そして水は大地が育むものですね。いい土地で育った馬はやっぱり強い。

平家物語には10頭ほど名馬が登場するんですか?木曾義仲や義経を鞍上にすえてずいぶん格好がよろしいが、体高は120センチあまり。これが在来種なんですな。おやじが跨ると足が地についてしまいます。プッ。今笑い声が聞こえました。木曾義仲や義経の馬を見る目と武豊が馬を見る目が同じ、なんて想像するとなんだかうれしくなってしまいます。ネアルコやリボーを育てたFテシオだって「五調」という言葉にうむ、うむとうなずくかもしれません。

明治時代、北海道に渡って牧場を開いた人たちには四国の武家が多かったという話を聞いた覚えがあります。案外、今の競馬の隆盛を支えているのは日本の伝統的な馬文化なのかもしれません。おやじもパドックで芦毛馬の調子を見るとき、連銭芦毛(れんぜんあしげ)なんて古い言葉をブチブチいいながら、銭形の模様を探しています。

あっ、忘れてました。第2回マルゼンスキー記念ですね。マルゼンスキーが記念碑的レコードを打ちたて今尚その血を送り続けるレースということで、去年、勝手におやじが命名してみました。去年はスペシャルウィークの母親を通して、1番人気3着のオースミダイドウをこのレースに送りこんでいます。さて今年はどうなりますか。

先週のウオッカ記念は良血馬がそろって前評判よりもうんといいレースだったと思います。レースの質は血の質なんですね。おやじの馬券は外れましたがなぜか満足しています。

先週に続いてちょっと2歳ステークスと朝日杯の過去5年間の父系の勢力をみてみましょうか。大種牡馬なき後の今が大切なときなのでしつこくやらせてくださいね。
※数字は全出走馬にしめる各父系の割合です。
( )の中は3着までに入った全馬にしめる各父系の割合です。
         

2歳S朝日杯登録馬
Nダンサー 30%(20%) 15%(33%) 20%
ターントゥ 44%(47%) 41%(47%) 50%
ネイティブ 11%(20%) 18%(7%) 15%
ナスルーラ 8%(6%) 22%(13%) 12%
異系 7%(7%) 4%(0%) 4%


やはりターントゥの勢いは凄いですね。うーむ、凄いとも言えるし、こういう偏りは問題だとも言える。この数字をながめてみて面白いと感じるのはNダンサーです。( )の数字をみると2歳Sに比べて朝日杯でNダンサーがうんと力を発揮していることがわかりますね。マイルCSや安田記念でもNダンサーは健闘していて、その血は底力を生かしながらマイルで勢力を温存しようとしているのかもしれません。この辺りがNダンサーの強かなところです。出る杭は出させておいてしっかり大切なポジションだけは確保しておく。おやじには真似できねえや。今、我々はNダンサーと名づけられたエクリプスを見ているのかもしれませんね。そんな気がしました。

登録馬の父系をみると、ここ5年の勢力図と変わらないような気がします。注目はこの5年少数精鋭で臨んで結果をだしてきたNダンサー系の馬です。探鉱夫になったつもりでこの血統を探ってみましょう。メリーナイス、アイネスフージン、サクラチヨノオー、ナリタブライアン、朝日杯がダービー馬を育てた栄光を思い出しながら。

なんて言ったら、いつしか時も杉村春子、あした(朝)も、はや夕べとはなりぬるかな、と叱られそうですね。朝日杯はすっかりクラシックとは無縁のレースになってしまいました。ところがどっこい、今秋、朝日杯の卒業生がきちんと仕事をしてくれましたね。うれしかった。スワンSのFリシャールとマイルCSでDメジャーを追い詰めたSホーネット。どちらもNダンサー系の良血(母系がいいこと)馬でした。くんくん、金鉱はこの辺りに埋まっていそうだな。

待てよ、リシャールとホーネットの年の3着馬は確か、くんくんAデジタルの弟だったな。先週のエイムアットビップのようにAデジタル産駒はレースを使うごとに走るようになる。もしかして金鉱はここにあるのかもしれませんな。くんくん。

ターントゥの鉱脈はすでにこの5年を振り返ると掘り尽くされた感があります。かつてはフジキセキのような宝石がごろごろ埋まっていたものですが・・・。すでに朝日杯では無人と化した鉱脈ですがもう一度さらっておくべきか。

もうひとつ、マルゼンスキーが今年はどんな名前でこのレースにエントリーするか、これも楽しみです。去年はオースミダイドウという名前で3着賞金を彼岸にもって帰りましたね。恐るべしマルゼンスキー。くんくん、金鉱はこの辺りにも埋まっていそうだな。

名馬の宝庫だったことを思うとちょいとさびしい今年の朝日杯、治郎丸さんの楽しみ方はいかに。おやじは、日本のマイルG1の基本、Nダンサーの鉱脈をまず探ってみようと思います。幸いなことにおやじは花粉症ではないんですよ、くんくん。あれは高等な人類の罹る病気です。くんくん、おやじは今週も元気です。

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◎アロマキャンドル

Jiromaru

そうですよね。ロジータ記念とかホクトベガメモリアルという冠もありますよね。競馬は馬が一生懸命走ってくれて初めて成り立つものですから、サラブレッドに対する愛と感謝を忘れてはいけません。それでは、阪神ジュべナイルF改めウオッカ記念でいきましょう。

ルドルフおやじさんはノーザンダンサー系とネイティヴダンサー系から2頭ずつですか。特に出走馬の母系を丁寧に解説していただいたので、各馬の特徴がより分かりやすく見えてきましたよ。あのレスター・ピゴット騎手がニジンスキーよりもサーアイバーの方を高く評価していたなんて初めて聞きました。サーアイバーというのは、そんなに優秀な馬だったのですね。知らなかったなあ。

レスター・ピゴット騎手は、言わずと知れた20世紀後半における世界最高の騎手です。18歳の時にネヴァ-セイダイで英ダービーを勝ち、25歳で初めてチャンピオンジョッキーになりました。そして、ジョッキーを引退するまでに、なんと英ダービーを9勝、通算5300勝という大記録を収めました。

レスター・ピゴット騎手の馬を見る目(選馬眼)は、並大抵のものではなかったそうですね。ピゴット騎手ほどのジョッキーになると、大きなレースになれば、必ずと言ってよいほど3、4頭の有力馬への騎乗依頼があります。その中で、最も勝てる可能性のある馬をチョイスしなくてはならないのですが、ほぼ100%の確率で、勝てる馬を見極めることが出来たそうです。

たとえば、先ほどのお手馬サーアイバーは二千ギニーと英ダービーの2冠を制していますが、英ダービーの1ヶ月後に行われたアイルランドダービーでは、ピゴット騎手は騎乗をしていません。彼が選んだのはリベロという馬で、リベロに乗ったピゴット騎手は見事サーアイバーを下してアイルランドダービーに勝利を収めました。サーアイバーの能力をそれだけ評価していた上での選択だったのであれば、英ダービーを勝ったサーアイバーの調子落ちを完全に見極めていたのでしょう。

また、サラブレッドだけではなく、人間の見極めも恐ろしいほどに正確だったそうです。人間と言ってもジョッキーのことです。ピゴット騎手が来日した際、「あの騎手は誰だい?」とピゴット騎手に聞かれた競馬関係者が、「あの子ですか?あの子はつい最近デビューしたばかりで、まだ見習いのようなものですよ。名前をお教えするほどの騎手ではありませんよ。」と答えたところ、「いや、あの騎手はもの凄く上手いよ。」とピゴット騎手が反論したそうです。もうお分かりかと思いますが、その騎手とはデビューしたての福永洋一騎手だったそうです。天才は天才を知るのでしょうね。

そんなピゴット騎手ですが、晩年の1987年に脱税の容疑で3年の実刑判決を受けてしまいます。ジョッキークラブに届けている以上の騎乗料を受け取っていたということや所得の過小申告、所得隠しのための海外の会社の摘発など、脱税が悪質で長期にわたっていたという罪です。ピゴット騎手は1年間の刑務所生活を送ったのち、仮釈放を経て、2年後の1990年の秋にはジョッキーとして復帰します。そして、なんとその10日後、ロイヤルアカデミーに乗って、ブリーダーズカップマイルを勝利してしまったのですね。

このブリーダーズカップマイルでの勝利は、英紙「レーシングポスト」が2006年に企画した歴代ベスト騎乗の2位にランクインしています。1位はフレッド・ウィンター騎手が勝った1962年のパリ大障害です。これは障害好きのイギリスの競馬ファンらしいチョイスですが、2位にこのレースが入っているのは驚きでした。パット・エデリー騎手がダンシングブレーヴで勝った1986年の凱旋門賞(4位)よりも上なのですよ。それだけ伝説のジョッキー、ピゴットが復活したということが衝撃的だったのでしょう。とても55歳とは思えない、迫力ある追い出しですよね。

1990年ブリーダーズカップマイル

そんなピゴット騎手がニジンスキーよりも強いとしたサーアイバーと、シャダイアイバーは同族なのですね。この前マイシンザンのところで少しお話したガレオンの母で、仔のアイシーゴーグルからはエアジハードも出ています。日本が輸入した屈指の牝系というのも大いに頷けます。そのシャダイアイバーにターゴワイス→サンデーサイレンス→フレンチデピュティと掛けて出たのがアロマキャンドルで、ロイヤルスキー→エリシオ→タヤスツヨシと掛けたのがカレイジャスミンですね。

どちらにするか迷いましたが、私の本命は◎アロマキャンドルに打ちます。ルドルフおやじさんもおっしゃるように、この馬の強みはマイル戦を走って、既に2勝を挙げているということです。さらに直線に急坂のあるコースを経験しているということもプラス材料になります。特に、いちょうSで重賞クラスの牡馬を相手に振り切ったことには価値があります。ペース自体は速くありませんでしたが、道中で外から来られても折り合いを欠くこともなく、最後までしっかりと伸びていました。昨年よりこのレースは新阪神マイルコースで行われていますが、外回りで行われる分、距離の感覚的には東京のマイル戦に近いものがあると思います。いちょうSの勝ち馬とウオッカ記念との結びつきは、これまで以上に強くなっていくのではないでしょうか。

内枠を引きましたので、出たなりで好位を確保できそうですし、あとは直線に向いてからゆっくりと追い出すだけです。アロマキャンドルは、追われると重心が低くなっていく走りがいいですね。こういう馬はなかなか渋太いですし、最後までバテませんよ。心配は初めての長距離輸送になりますが、こればかりはどうなるか分かりませんので、心配しても仕方ないかなと思います。それよりも、長距離輸送を控えているにもかかわらず、ニューポリトラックのコースを使用して、2週続けて手加減されることなくシッカリと追い切られていることに注目したいですね。

1番人気に推されそうなオディールは、安定して力を発揮できるタイプです。行きたい時に行けて、控えたい時に控えられる馬ですので、ジョッキーも安心して乗れそうです。前走のファンタジーSは時計も速く、レベルの高いレースでしたので、今回のメンバーでもこの馬が中心になることは間違いありません。距離が伸びてパタッと止まる馬でもありませんし、血統的にもマイルが長いということはないはずです。

ただ、この馬に本命を打たなかったのは、馬体を見る限りにおいて、やはり距離が伸びて良いという馬ではないと思ったからです。これはファンタジーSで2着だったエイムアットビップにも言えることなのですが、馬体がコロンとしていて、スピードを生かす短距離馬のそれですので、距離が伸びる今回はそこに他馬の付け入る隙が生まれるのではないでしょうか。そうはいっても、今年G1レース7勝の記録が懸かっている熟練の安藤勝己騎手が乗りますので、そこをどう御してくるかが見ものです。

トールポピーはこのメンバーの中では、最もゆったりと走られる馬です。角居調教師がそのようなレースを選んできたからですが、外から見る以上に乗り難しい馬ですので、長い距離から使って正解だったと思います。少しずつ競馬を覚えて、前走も惜しいースでしたね。ただ、ウオッカと臨戦過程が似ていますので人気になるのは仕方ありませんが、私はウオッカよりも遥かに脆さを抱えた馬だと考えています。最終追い切りの動きを見ても、首を急に上げたりして幼いところを見せています。スムーズに走らせることが出来れば良いのですが、G1レースの厳しい中でどうでしょうか。

穴として興味があったのがシャランジュです。前の手紙にも書きましたが、どちらかというと村田一誠騎手に魅力を感じます。ここにきて成長著しいジョッキーですので、ここは大きなチャンスかなと思います。シャランジュ自身も、デイリー杯では道中で不利がありながらも5着と好走していますし、牝馬同士ならば大きな力差は感じません。内枠を引きましたので、無理に下げたり上げたりせずに折り合いに気をつけて乗れば、直線であわやというシーンを作ることもあるのではないでしょうか。

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もういうことのないオディールの素晴らしい血!

Rudolf

歩く将軍、いましたよね。地方馬のターフでの活躍がなぜかうれしかった。あのころは確か中央よりも地方の方が調教技術は上だ、なんて言う人もいましたね。おやじも半分以上は納得していました。ロッキータイガーの父ミルジョージはとてもいい種牡馬でしたね。今何してるのかなあ。

今週のJFも来週のFSもインフルエンザの影響でもうひとつ盛り上がりに欠けるような気がしますね。強い馬はまだ眠っているようです。われらがPOG馬(といっても治郎丸さんの指名ですが)のポルちゃんもラブちゃんも雌伏して力を蓄えているところですね。ラブちゃんは2戦2着2回という成績ですがオークスに間に合えばおもしろい馬ですな。そんなにおやじを香港に連れて行きたいのかい、いい仔だねえ。

さて今回の手紙では父系別に有力馬を見ていきたいと思います。

<Nダンサー系>
オディール。安藤騎手が乗るのでこの馬が1番人気に推されるのでしょうね。これはJF2着馬のキュンティアの娘だったんですね。キュンティアの血統というのが凄くてですね、おばに80年代のG1を勝ちまくったミエスクがいるんです。スターバレリーナの父ソヴィエトスターとの激戦は有名です。もしミエスクの直系(孫)なら見たこともないようなお金で取引される血です。ミエスクの仔には日本でもお馴染みのキングマンボがいますね。もういうことのないオディールの素晴らしい血!父の黒船にも阪神コースの適性を感じます。

ファンタジーSは確かに軽いスピードに乗った馬が勝つ、本番には直結しにくいレースですね。オディールの買えない理由のひとつはファンタジーSを勝ったということです。しかし今秋の京都コースはスピードだけでは押し切ることのできないグッド馬場だったと思います。それはエリザベスやマイルCSの1、2着馬の血統が教えてくれていますね。どうでしょうか、今年のファンタジーS組は案外侮れないのかもしれませんよ。

アロマキャンドル。父のフレンチは好調ですね。こういう血統に日本の競馬も追いついたんですな。母系はオークスを制したシャダイアイバーの直系です。社台がこのオークス馬にアイバーと名づけたのは世紀の名馬、サーアイバーと同じ一族だからなんです。今では伝説となったサーアイバーの主戦、レスター・ピゴットはニジンスキーよりもサーアイバーを高く評価していたそうです。日本に輸入されている牝系のなかでも屈指の牝系です。治郎丸さんはこれを狙ってるのかなあ。この馬の買える理由は治郎丸さんのおっしゃる通り、前走で強い(かもしれない)牡馬を退けている点ですね。マイルを2走しているのもオディールより好感がもてます。が、おやじはこの馬を見ていない、線香臭いおやじにはアロマキャンドルは少し似合わないかもしれないと思ってます。

レジッタ。これもフレンチ。母系の活力は出走馬のなかでもっともあるんじゃあないかなあ。近親にステークスウィナーがずらっと並んでいます。母系を見て馬を判断するときは今の活力をとるか、かつての活力をとるか、迷うところです。まあ、おやじは欲張りだから昔の活力のソロソロをとって馬券の妙味を味わうことにしています。当たりの感激を味わったことは少ないのですが・・・

ヤマカツオーキッド。ヤマカツスズランの娘ですね。名門フラストレート系、ソロソロに期待するならこの馬かなあ。父ダンスは今年その本質をはっきり示したような気がします。かん性(気の強さ)の強さが露わになってきました。気の悪いところを見せなければいいのですが。

レーヴダムール。われらのサムワントゥラブの2戦目は圧巻でした。パドックも見たのですが後肢の踏み込みが深くて雰囲気のある馬です。何の雰囲気かというと、お○も○なんですよ。ところが機嫌が初めから悪くて出遅れ、後方をふてくされて追走。それでいて2着というのは直線だけで追い上げたものなんです。○お○のでしょ。ラブちゃんを新馬戦であっさり退けた馬というわけで、レーヴダムールの買える魅力は大きいですね。父のファルブラウは中山のJCを勝った馬なので地味な印象をもっていましたが、やわらかい感じの馬を出していると思います。スピードと底力のうまく調和した良い種牡馬かもしれません。

ラルケット。これもファルブラウですね。ルドルフの一族は案外地味なんですが、最近活力を取り戻し始めたようですね。

<ターントウ系>
エフティマイア。混戦といわれた新潟2歳Sを制した馬だけあって勝負強い面がある馬かもしれませんね。ところが前走の京王杯2歳Sでは惨敗を喫してしまいました。陣営からは「前走は度外視」というコメントが出されています。重馬場にのめって競馬にならなかたったというのです。おやじはこれを度外視しないんですな。むしろ大きな買えない理由と考えるんです。G3なら良馬場で巻き返しというのは許されますが、重馬場で入着できない馬が底力を試されるG1で好走するのは難しいと思います。治郎丸さんもサムソンは本当は重馬場が苦手だと教えてくれましたね。

カレイジャスミン。父タヤスツヨシはこの馬でおおきなチャンスを得ました。母系はアロマキャンドルと同系です。古馬になってさらに力を発揮するタイプかもしれません。

ハートオブクイーン。良血です。ボールドアンドエイブルというとてもよい種牡馬が出る一族が地方競馬にいるというのが競馬の不思議ですね。

<ネイティブダンサー系>
エイムアットビップ。このピップエレキバンのような名の馬が2番人気になるのでしょうか。3番人気か?この母系はマイリー系でした。しかもイットーの直系ということで驚いています。もうだめかと思っていたのでやはりうれしいなあ。それにしてもこの血統はこの10数年不振を極めていましたねえ。オディールの母キュンティアはJF2着馬でした。イットーもJFの前身レース阪神3歳Sの2着馬です。1着がキタノカチドキだから価値は高い。今回のJFでオディールとビップで1、2番人気を分け合うのならちょっとした因縁話になりますね。

この牝系の魅力は卓越したスピードでしょう。ビップの前走の逃げをみてこの牝系の速さを思い出しました。逃げるところまで逃げて、そこにゴールがあったという趣。ちょっと切なくなるような、そんな逃げをうつ馬は今はいませんねえ。カムイオーはいますが牝馬に大物が出る牝系なので、この馬ヒョットするかもしれません。エイムアットヒョット、ちと苦しい。

父のアグネスデジタルがネイティブダンサーなんですな。ネイティブダンサーの速くて強くて、不気味という特長をそなえている。しかしこういう馬がネイティブDの種牡馬として失敗してきた。ヒョットはAデジタルの命運を握っていると思います。こらー!こらー!なんていいながらすべてをひっくり返すネイティブダンサーの爽快な力をデジタルは見せてほしいものです、おやじに。

ヴァリアントレディ。父ウォーエンブレムの切れ味はすばらしい。残念なことに受胎率が悪いそうですが、さすが社台が導入した種牡馬ですね。おやじが馬主なら、大金持ちの馬主なら、この馬に種付けを申し込みます。有馬で大金持ちになる予定なので待っててね、牝馬10頭連れてくからね。ネイティブダンサーのよさをそのまま伝えられる種牡馬です。

ヴァリアントレディの母系はNダンサーの母ナタルマから出ています。しかもNダンサーのクロスをもたないという100%ナタルマ。ナタルマの血統は結構輸入されているのですが、これほど清潔なナタルマはなかなかお目にかかれません。おやじは暇だから血統表を見るのですが、もし時間があればヴァリアントの血統表をご覧ください。Nダンサーがない。こんなすばらしい血統をおやじははじめて見て感激しています。おやじが馬主なら、けちな馬主ならもったいなくってJFでは無理させません。ヴァリアントレディ、名の通り価値ある女の子です。

エイシンパンサー。父コロナドズクエストも早世して産駒は少ないようですね。こちらはエンブレムとはちょっと趣が異なって、一発大物タイプの種牡馬かもしれません。ダービーを勝つか、未勝利でどんじりか、そんな魅力のある種牡馬かなあ。パンサーの母系はタイランツクヰーン系の本流です。トキノミノルやマックスビューティーが出てますね。この血統は決してコンスタントに走る馬を出す血統ではないのでパンサーに過剰な期待を寄せることは控えておくことにします。JFを好走するとすれば1着でしょう、そうでないときは凡走するかもしれません。

トラストパープル。父のマイネルラブは奮闘してますね。条件戦ではいい馬を出しています。良い牝馬にめぐり合えばもっといい仔を出せる種牡馬ですが、どうも牝馬には恵まれてはいないようですね。マイネルラブに愛を!

<ナスルーラ系>
トールポピー。牡馬相手に好走したこと、マイル以上のレースを勝っていること。買える魅力の多い馬ですね。兄のフサイチとは違ってこの馬はグレイソブリン系らしい切れ味をもっていると思います。うーむ、治郎丸さんはこれでいきますか・・・

マイネブリッツ。パラダイスクリークってしぶといですね。ここにもいた、という趣。リバーマンの強いクロスをもっているというユニークな馬で、母系はいいですよ。いかにもマイネル好みの血統だと思います。前走はレッツゴー霧島に勝っています。うーむ、距離が問題となりそうですが、穴ならこれかもしれません。

はい、終わりましたよ、治郎丸さんねてませんかあ。
馬券作戦は4点の3連複でいきます。

Nダンサー系2頭+ネイティブD2頭の良血を狙います。
◎オディール
○ヴァリアントレディ
△エイムアットビップ
▲レーヴダムール

つまんないなと思っていたJF、案外おもしろいレースになりそうです。
ところでJFという呼び方はよくないですね。
先週でしたかハイセイコー記念というレースがありましたね。地方競馬には愛があるなあ、馬に対する感謝があるなあ、JF改め「ウオッカ記念」でどうか、お願いします。

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オディールの母キュンティアがキャリア1戦で2着した衝撃

Jiromaru

お手紙ありがとうございます。シンボリルドルフが遂にリベンジを果たしたジャパンカップ当日の様子が、まるで手に取るように伝わってきました。熱狂が冷めやすいのは、いつの時代も同じですね。改めてレースを観てみましたが、あのクールな岡部騎手から、なにがなんでも勝ってやる、いや勝って当然だという気迫が伝わってくるように感じました。最後の直線でシンボリルドルフが先頭に立った瞬間、岡部騎手が重ねていた最後のゴーグルを取るシーンが私は好きです。

このレースではロッキータイガーという地方馬が2着に突っ込んできて、ジャパンカップ史上初めての日本馬同士のワンツーとなったことでも有名ですよね。もちろん、2004年のコスモバルクに至るまで、地方馬としてのジャパンカップ2着は快挙でした。雨で馬場が渋っていたことが好走につながったのでしょうが、当時の南関東のレベルは相当に高かったようですね。キングハイセイコーやステートジャガーなどと鎬を削って、実力をつけていったのでしょう。450kgぐらいの小柄な馬ですが、父ミルジョージから受け継いだバネを全身に漲らせながら、シンボリルドルフに迫ったのですから大したものです。

Rockytiger

この2着に勇気付けられて、地方馬がジャパンカップに挑戦する気運が高まりました。翌年にはジュサブローが出走し、これまた7着と健闘しました。しかし、それ以降、パタリと地方馬の勢いは止まってしまいます。中央競馬のレベルが上がったのか、それとも地方競馬のレベルが下がってしまったのか。ロジータ→ジョージモナーク→ハシルショウグンと最下位を迷走してしまいます。ジョージモナークとハシルショウグンはいずれも2年連続最下位という不名誉な記録を打ち立ててしまい、ハシルショウグンは最後にはアルクショウグンと言われてしまいましたね。

個人的には、白いシャドーロールをした芦毛馬のジョージモナークが大好きでした。オールカマーで2着に来た時には、「もしかしたらジャパンカップを勝ってしまうのではないか」と思いました。当時、私の高校の担任が山本という名前で、ジョージというあだ名で呼ばれていて、そういうこともあって「もしかしたら…」の幻想はどんどん膨らんでいったのです。結局、15番人気の15着という人気どおりの結果になってしまいましたが、ずいぶんと長い間、夢を見させてもらった記憶があります。これからまた夢を見させてくれる地方馬の挑戦を期待したいですね。

そういえば、ロッキータイガーもロジータもジョージモナークも、ミルジョージの仔でしたね。今年の10月に永眠してしまいましたが、本当に素晴らしい種牡馬でした。南関東の競馬は、ミルジョージによって支えられていたところもあったのではないでしょうか。

さて、そのジャパンカップも終わり、今週は阪神ジュべナイルFです。昨年から新設の阪神コースで行われましたが、ウオッカという相応しい馬が勝ったように思います。もし昨年のレースが以前の阪神1600mコースで行われていたら、アストンマーチャンが楽勝していたでしょう。それぐらい、レースの特性が大きく変わってしまいました。

阪神1600mのコースの特徴は3~4コーナーの形状にあると思います。大きくグルっと回る、典型的なスパイラルカーブですので、ゆったりと回りながらも、後続が差を詰めるタイミングがありません。直線が長いことも含めて、後続が動き出すのが遅くなりますので、逃げ・先行している馬にとってはコーナーを回りながら息を入れられる楽なコースとなります。そうなると、直線に向いてからの瞬発力勝負になりますので、速い脚のない馬にとっては苦しいレースになるでしょう。もちろん、前に行ける馬の方が有利になることは間違いありません。

ペース感覚から言うと、マイルよりも長い距離を走るような感じでしょう。ですので、マイル以下のレースを走ってきた馬の中では、折り合いを欠いてスタミナを失う馬も出てくるかもしれません。そういった意味でも、1600m以上の距離でのレース経験は必要です。また、最後の直線には高低差約2mの坂が待っていますので、坂のあるコースで勝った経験のあるパワーを持った馬にとっても有利になるはずです。

以上のことを頭に入れながら、出走馬を眺めてみると、今年のメンバーは一長一短があって難しいですね。

ファンタジーSの1、2着馬であるオディールとエイムアットビップが人気にはなるのでしょうが、ファンタジーS組の取捨は慎重に行ったほうが良さそうです。というのも、ファンタジーSはスプリント的な要素が求められるレースですので、スタミナがそれほどない馬でも勝ててしまうからです。

ファンタジーSを勝ったオディールは、気性の素直な馬で、とても乗りやすそうですね。コロンとした体型からは、スタミナが豊富な馬には思えませんが、引っ掛かってスタミナをロスしない分、昨年のアストンマーチャンのように何とかごまかすことが出来るかもしれません。内枠を引いて、経済コースを進めることが好走の条件でしょう。G1レース年間7勝の記録が掛かっている安藤勝己騎手が、どのようにこの馬の力を発揮させるか楽しみです。

オディールの母であるキュンティアは、今からちょうど10年前にこのレースを2着した馬です。それもキャリア1戦ですから、当時は少なからず衝撃を受けたほどです。当時、つけていた競馬ノートに、「そのうちキャリア1戦の馬からも勝ち馬が出るであろう」と書いた記憶があります。それ以降、ヤマニンアルシオン、シークレットコードの2着があるのみで、いまだ勝ち馬は出ていません。一昨年のシークレットコードはチャンスだなと思っていたのですが、最後の最後で差し切られてしまいました。さすがに1戦のキャリアでは苦しいのかもしれませんね。

アロマキャンドルのいちょうSは牡馬を従えての強い勝ち方でした。2着のスマイルジャックが東京スポーツ杯で3着、3着のアポロドルチェが京王杯2歳Sで勝利していますので、その勝利にも大きな価値があります。1頭前に置いて追走しても引っ掛からなかったように、折り合い面に心配もなさそうです。フレンチデピュティ産駒らしい、骨太な骨格をしていて、牝馬ながらにパワーを感じさせてくれる馬です。スピードは母父であるサンデーサイレンスから受け継いだものでしょう。あとは初めての輸送を克服することが出来るかどうか。それだけが心配です。

牡馬に混じって走ってきているシャランジュも面白い1頭だと思います。関東馬はどうしても輸送の不安があるので不利ですが、この馬はデイリー杯で経験していますから心配いらないでしょう。デイリー杯は唯一の牝馬でしたが、スローペースをあわや2着というところまで追い上げました。中間にも美浦の坂路で49秒台の時計を出しているように、ここに来て力をつけてきています。410kg台の小さな馬ですが、折り合いさえつけば、最後の坂もしっかり駆け上がってくるのではないでしょうか。

また、鞍上の村田一誠騎手も魅力です。天皇賞秋の日に、東京競馬場で平場のレースものんびりと観戦していましたが、最も印象に残ったのがアドマイヤスバルが勝ったレースでした。馬の背中に張り付くようにして先行させ、直線に向いても追い出しをしっかり待ち、いざ追い出すと豪快なアクションで最後まで馬を伸ばしていました。騎手は誰だと思ってみたところ村田騎手だったのですね。トップジョッキーかと思っていたら村田一誠騎手だったので、失礼ながらも少し驚いてしまいました。その後、アルゼンチン共和国杯を勝ったように、ここに来て成長著しいジョッキーだと思います。

トールポピーも抽選をクリアしてくれば、上位争いをする1頭でしょう。あのフサイチホウオーの全妹になるのですが、走り方などはそっくりですね。前脚のかき込みがしっかりとしていて、パワーを感じさせますので、京都競馬場よりも直線に坂のある阪神コースの方が合いそうです。マイルよりも長い距離を使ってきていることや、伸びのある馬体からも、スタミナも十分にあることが分かります。あとはデビュー時より20kg減っている馬体重をどう捉えるかでしょう。若駒の馬体重は分からない部分もありますので、しっかりと追い切って来られるかどうかに注目です。

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NダンサーとネイティブD馬連1点

Rudolf

で、続きですが。
何かと言うと負けられない馬、ルドルフが天皇賞で負けた話の続きです。
このおやじの睡眠障害はいまだに続いていて、うとうとすると決まって何かに追われる悪夢にうなされるはめになってしまいました。(秋の天皇賞でルドルフは直線で早めに先頭に立って追い込み馬に差された)

1985年11月24日は、シンボリが会ったこともない者たちとの約束を果たす日でした。朝から季節外れの生暖かい雨が蕭然と落ちている。この日の昼過ぎ、シンボリはJCを勝ってみせなくてはならなかった。

その日はシンボリだけをみればよかったのでおやじはいつもより遅くに起床し、例の大阪球場横の場外へ足を運んだ。雨はまだ降り続いていて心なしか午前中よりも暗くなったような気がする。シンボリの単勝はいつまでも2倍を割ることはなかった。少し単勝を買って実況用テレビの前の人だかりに潜り込んだ。

今日は大人しい。シンボリは素直に名手の指示に従っている。淡々とレースは流れるがいつもの喚声はあがらない。最後の直線半ば、シンボリが馬群を割る。静まり返った人だかりの後ろから、突然、「シンボリ、今日は大丈夫やでえ」という絶叫が響いた。振り向いて見ると、痩身の50がらみの男が脱力するかのごとく、膝を折っていた。人だかりから少し失笑がもれる。シンボリは1完歩ごとに差を広げてゴールしたが歓声はない。ようやく地方馬ロッキータイガーが2着に押し上げたところで、よっしゃあ、などといつもの場外の気合が入った。

人の熱狂なんてこんなものなんですね。頂点に達した瞬間に凍りつく。ただ雨中のターフを照らす照明の中をゴールしたルドルフの美しさと脱力しひざまずいた男とのコントラストが目に焼きついている。ルドルフはこの男にどんな約束を果たしたのだろうか・・・。

さて、ウオッカとマーちゃんのすさまじい叩き合いからもう1年がすぎたのですね。それにしてもJCのウオッカの強かったこと。パドックは秋華賞よりは若干よかったかな。それでもまだピンとくるものはない。いやあ、実に恐ろしい馬である。

今年の2歳牝馬はどんな走りを見せてくれますか。今年はポストサンデー元年ということで、この十数年あまり日本で猛威をふるったターントゥ系の勢いはどうなったんだろうという興味がわいて下のような表をこしらえてみました。数字は阪神JFの6年間の年度ごとの出走頭数に占める各主流血脈の割合をパーセントで示したものです。今年は全登録馬29頭をあたって調べてみました。

6年前5年前4年前3年前2年前昨年今年
Nダンサー 28% 56% 0% 22% 11% 28% 38%
ターントゥ 44% 17% 50% 61% 50% 44% 24%
ネイティブD 17% 11% 11% 17% 17% 0% 24%
ナスルーラ 11% 17% 17% 0% 11% 28% 14%
異系 0% 0% 22% 0% 11% 0% 0%

本来なら全種牡馬に占める各主流血脈の割合と上の数字を比較してこそ意味のある表なんですが、時間がない。そもそも数学や統計で最も大切なのは「だいたい」とか「おおよそ」なんですから、まあいいじゃないですか。

昨年まではターントゥ系が出走馬の約5割を送り込んでいます。日本にいるサラブレッドの半分がターントゥというはずはないのでこれは驚異的な数字というほかありません。ところが今年は25%に落ち込んでいる。おやじはよく血の勢いという言葉を使いますが、半分に減るというのはターントゥにとって危機的な状況が現れているというのは間違いありません。サンデー系の種牡馬でもタキオンやディープのような異種の臭いのする種牡馬しか生き残れないかもしれません。

Nダンサーの数字はばらつきがあるように思えますが、数学的にみると30%ということでいいでしょう。あっ、算数的でしたね。今年は38%と好調なようですがNダンサー系のサラブレッドの数を想像すると、やや勢いを取り戻したと理解するべきなんでしょう。アイルランドの種牡馬の90%以上がNダンサー系で占められていることを考えればものたらないといっていいのかも知れません。

ナスルーラ系の不振は目を覆いたくなるばかりです。おやじの若いころはナスルーラの黄金時代でしたがね。この血統で活躍するのはグレイソブリン系ばかりです。Aコジーンやジャングルには今後も何年かに1頭、大物を出してほしいものですし、その期待ももてると思っています。しかしブラッシンググルーム(オペラオーの母系に入っている種牡馬)のように母系に入って力を発揮する種馬がナスルーラ系から出てきているというのは、この血がすでにアウトサイダーに追いやられているということなのかもしれませんね。パラダイスクリーク(9歳馬アサカデフィートの父)なんてのは異種の臭いのプンプンする種牡馬です。おやじが主流血脈といっているのはすべてファラリスという20世紀初めの種牡馬から出た父親たちなのですが、ナスルーラはファラリス系の異種になりつつあるのかもしれませんね。

ファラリス系以外の種馬もなかなか元気なところを見せています。異系の活躍が他のG1より目立つのはよい母馬決定戦にふさわしいですよね、阪神JFは早熟な血の争いだけではなく、それなりに底力も試されているんですね。

今年目立つのはネイティブダンサーの躍進です。この血統こそサラブレッドの魅力のすべてを兼ね備えた血統だとおやじは思っています。速くて強くて不気味、そして万能。日本ではこの血統がターントゥにとってかわるのかも知れません。

優勝馬の父系をみるとやはりNダンサーが強いですね。16年のJFの歴史の中で7頭の優勝馬を出しています。今年も有力馬のほとんどがNダンサー系の牝馬です。ターントゥの優勝馬は4頭、意外に少ないので驚きました。今年はエントリーした馬の4分の1ほどしかターントゥはいないので確率的には優勝馬を出すのは更にきびしくなりました。逆にいうとNダンサーの馬を狙えば馬券はとれるかも・・・ということになりますか。そんな単純がまかり通ればおやじも今頃大金もち!

ナスルーラの優勝馬は1頭、やはり厳しい。ことしも勝ち馬を送り出すまではどうでしょうか?異系からは2頭、いずれもトゥルービヨン系からのチャレンジでした。今年の異系からのエントリーはありませんでした。

ネイティブD系の優勝馬は2頭、今年はこの血統のエントリー馬が例年の倍近くあるので、勝ち馬を出す期待がもてますね。人気はNダンサーに集まると思うので馬券の妙味もあると思います。そういえばJFが牝馬限定G1となった、初回の勝ち馬、ニシノフラワーはネイティブDの娘でした。河内師の全盛時代の名馬です。初めて西山牧場にクラシックの栄冠をプレゼントした馬だったと記憶しています。

ニシノフラワーから8年後、2頭目のネイティブDの娘がJFを勝っています。ヤマカツスズランです。今年はというと、それからまた、8年後にあたるわけです。それはいい・・・。先週は佐藤哲三に全部もっていかれたので、今週は地道に血統の研究でもして楽しみたいと思っています。NダンサーとネイティブD馬連1点に少額賭けて楽しむとしようかな。

母系については次回の手紙で書かせてください。

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◎メイショウサムソン

Jiromaru

今から12年前のジャパンカップが行われた日、私は東京競馬場のスタンドにいました。11月も末になると寒さが増しますので、朝からずっとスタンドに立ち続けると、身体の芯から冷え切ってしまいます。それでも一歩たりともスタンドを離れなかったのは、その日の3時45分に、私の目の前を、ある牝馬が先頭に立って走り抜けることを信じていたからです。

ルドルフおやじさんは、テリー・ラムスデンという人物をご存知ですか?バブル期直前、デリバティブ取引で莫大な成功を収め、イギリスの競馬界に颯爽と現れるや、わずか数年間で200億円を競馬に投じたとされる、「競馬史上最大のギャンブラー」です。1レースで1頭の馬に数千万円単位で賭けるなんてザラで、多いときには2億円も賭けたこともあったそうです。当然、イギリスはブックメーカー相手の賭けだからこそ出来ることですよね。日本の競馬でそれをやったら、オッズが下がりまくって大変なことになってしまうでしょう。

テリー・ラムスデンは競馬のレースに賭けることも大好きでしたが、また競走馬を所有して走らせることも誇りにしていました。多いときには、70頭以上のサラブレッドを走らせていたそうです。彼が所有して走らせた馬の中で、最も有名なのはケイティスという牝馬です。ケイティスを買った時、テリー・ラムスデンはこう言ったそうです。「僕はこの馬を見ないで買った。予感があったからだ。僕は結果を恐れていなかった。人生にはリスクがつきものだからね。」この賭けにもテリー・ラムスデンは勝ち、ケイティスはアイルランドの千ギニーを勝つ名牝になりました。

しかし、その栄光も長くは続きませんでした。テリー・ラムスデンを破滅させたのは、競馬ではなく、彼の本業であった株取引でした。ブラックマンデーの到来によって、彼の失った額はおよそ100億円。イギリスのジョッキークラブからは追放され、ブックメーカーからは借金の取り立てに追われ、歴史の表舞台から姿を消してしまいました。そして、最愛の馬であるケイティスも手放すことになってしまったのです。

そして、ケイティスはひょんなことから日本人の手に渡り、当時は評価のさほど高くなかったシアトリカルという種牡馬をつけて、あのヒシアマゾンが誕生しました。私が今から12年前、府中のスタンドから走りを見守っていた、その牝馬です。賭けた金額はテリー・ラムスデンの1万分の1ほどにしかすぎませんでしたが、テリー・ラムスデンがケイティスを愛したと同じくらい、私もヒシアマゾンという牝馬に惚れ込んでいました。ヒシアマゾンがランドというドイツの屈強な血の前に敗れ去ってしまったあの日は、私にとってのまさにブラックサンデーでした。

今年のジャパンカップには、あのブラックサンデーを思い出させる馬たちが2頭出走してきます。ウオッカとアドマイヤムーンです。ウオッカはヒシアマゾンの面影を感じさせる牝馬です。雄大な馬体や走りだすと空の上を飛んでいるような大きなフットワーク。顔つきや毛色こそ違え、その美しさという点においては変わりません。ウオッカの阪神ジュべナイルFの走りを見た時に、まるでヒシアマゾンが走っているのかと見間違うほどでした。それ以来、この馬のことは秘かに見守っていました。まさかダービーまで勝ってしまうとは夢にも思いませんでしたが。

もちろん、今回のジャパンカップでも応援したいと思っています。この応援というのは、勝ち負けになると思っているという意味です。ダービーを勝った肉体的、精神的な疲れがどこまで回復しているかが不安ですが、悪い部分はエリザベス女王杯の出走取り消しで吐き出してしまったと考えてもよいでしょう。それは何よりもウオッカの最終追い切りに表れていると思います。あれだけ続けて脚元に不安の出たウオッカに対して、角居調教師は坂路で攻めの調教を施してきましたね。ウオッカが走る気持ちになっているということと、秋の最大の狙いはこのジャパンカップであるということの表現以外のなにものでもないでしょう。

もう1頭のアドマイヤムーンは、祖祖母にケイティスがいます。ケイティスにクリス→サンデーサイレンス→エンドスイープと掛けたのがアドマイヤムーンですね。つまり、ヒシアマゾンと母系が同じということになります。3歳時はコロンとしていたアドマイヤムーンの胴が、古馬になって伸びたのは、母系の影響が大きいのではないでしょうか。もちろん、本格化した今ならば、2400mというチャンピオンディスタンスが長すぎるということはないでしょう。

前走の天皇賞秋は、宝塚記念から間が開いていなかったということも含め、とても力を出し切れる体調にはなかったと思います。直線の不利がなくても、メイショウサムソンには勝てなかったことでしょう。前走を勝てばそのまま引退という予定だったのでしょうが、ルドルフおやじさんもおっしゃっていたように、あれでは難しいですよね。そんなに競馬は甘くありません。しかし、天皇賞秋をひと叩きされて、馬自身に走る気が蘇ってきたように見えます。馬体を見る限りにおいては、前走とは比べ物にならないぐらい、筋肉のメリハリが出てきました。あとは展開ひとつだと思います。望むべくは、スローの上がり勝負になってほしいところですね。

もし私がテリー・ラムスデンなら、ウオッカかアドマイヤムーンを買ったことでしょう。「僕はこの馬を見ないで買った。予感があったからだ。僕は結果を恐れていなかった。人生にはリスクがつきものだからね」と言いながら。しかし、私にはテリー・ラムスデンほどの精神的な強さがありません。結果を恐れてしまいますし、無意識のうちにリスクを避けてしまっていると思います。だから、予想がブレてしまうのでしょうね。馬券も人生も最後は精神的な強さなのかもしれません。

ジャパンカップの本命は◎メイショウサムソンに打ちます。メイショウサムソンにははっきり言って死角が少ないと思います。他の有力馬にはない、自分でレースを作れるという強みがありますし、今年のG1戦線ではそういった馬たちがトレンドです。良馬場であれば、どんな距離を走っても34秒台の上がりでコンスタントに上がってくる馬ですので、自然と後ろの馬たちが勝つために要求される上がりは厳しいものになってきます。怖いのは極端なスローか極端なハイペースだけでしょう。それ以外の展開であれば、勝利の計算が成立するだけの強い馬ですね。

オペラハウスの血か、この馬自身も古馬になって肉体的に成長しています。真横から見た時の、胸前からキ甲までの幅がさらに拡がったように見えます。まさに怪力サムソンといった感じで、これだけ前から見ても横から見ても幅の大きな馬は見当たりません。まるで牛のようですが、走らせたら速いのですよね。府中の芝コースも11月になり、やや力の要る馬場になってきていますので、パワーを増したサムソンにとっては望むところでしょう。3歳時のように、舌がハミを越す癖も解消されたようで、それが最後のもうひと伸びにつながっていると思います。天皇賞秋のように簡単に勝てるとは思いませんが、武豊騎手の言うように、あまり細かいことを考えて乗らなくても結果が出てしまう馬ですよね。

実を言うと、私も当初はインティライミを本命にしようかと考えていました。あっ、ルドルフおやじさんは佐藤哲三騎手に◎でしたね。この馬が今年の秋に大仕事をしそうだと感じたのは、朝日チャレンジカップでの走りを見た時です。メルマガにも書いたのですが、以前とは打って変わった理想的なフォームで直線を駆け抜けていたからです。ぜひ一度朝日チャレンジカップのゴール前写真を見ていただきたいのですが、まさにサラブレッドの理想的なフォームで走っているのが分かります。首の下がり具合や前脚の伸び方など、何ともいえない優美さを漂わせています。続く京都大賞典も同じものでした。

なぜこれほどまでに変わってきたのかというと、おそらく慢性の疾患として抱えていた脚元の病気が治まり、しっかりと調教(追い切り)が出来るようになったということが大きいのではないでしょうか。それは秋緒戦のマイナス10kgの馬体重にもはっきりと表れていますよ。これは馬体重が減ったということではなく、しっかり調教が出来るようになって絞れてきたということです。1週間前にはDWコースで1番時計を叩き出し、今週の最終追い切りはもう仕上がったと言わんばかりにサラッと流しました。今回も万全の出来で出走してくるはずです。最終的にこの馬ではなくサムソンを取ったのは、この馬が秋2戦で走ってきたレースがどちらとも軽い馬場でのものだったからです。今回のジャパンカップはある程度力の要る馬場になり、スタミナ勝負になる可能性が高いので、そのギャップに戸惑うかもしれないという心配だけです。もちろん、この馬が2番手評価ですね。

今回のジャパンカップは買いたい馬がたくさんいて、1頭を選ぶのが勿体ない気がしました。ディラントーマスが出てくれば、史上最高のメンバーになったことでしょう。もちろん、ディラントーマスがいなくても近年稀に見る好メンバーであることに違いはありませんが。どんなレースになるのか、今から楽しみでなりません。

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佐藤哲三に全部

Rudolf

お返事ありがとうございました。JCDを調べていてわからないことが1点。外国馬の競走成績に全天候型という言葉が出ていて、はて?と思っていたところだったんですよ。ポリトラックのことだったのですか?従来の米国のダート(土)とは違う。そこで結果をだしたスチューデントカウンシルは侮れないというわけですね。おもしろくなってきました。幻のように短かった東京2100MのJCDの歴史をしめくくるにふさわしい大変意義のあるレースになりました。血統を考えるのが好きなおやじにはJCよりも楽しみなレースです。僭越ながらふたりの手紙をまとめてJCDの見所とさせてもらっていいですか。

1、日本と米国のアメリカ血統の攻防(来年のJCDを予言する戦い)
2、日本の血統とアメリカ血統の攻防(今までのダートの歴史の総括)

歴史的な戦いにヴァーミリアンは終止符をうつことができると思います。

さて、久々に海外から有力馬が何頭か参戦して楽しみなJCになりましたね。怪力サムソンを日本の代表として応援する人もいればディラントーマスの名声に惹かれている人もいることでしょう。あっ、ディランは取り消しになりましたね。おやじは日本馬だけでもかなりおもしろいレースだと思っていたのですぐに立ち直りました。多士済々、日曜日は爽やかな熱狂が東京競馬場を包みます。

今の時点で招待馬の体調を推し量ることは非常に難しいですね。やはりパドックはみたい。種牡馬入りが決まっている馬もいてJC参戦の意図をはかるのも難しい。自慢じゃあないが、ファビラスラフィンのJC以来馬券は当たってない。去年も同じこと書きましたかなあ。去年もしくじっている。今年も、うーむ悪い予感だけはしています。

なまじ馬の力量や体調を悪い頭で無理に考えようとするもんだから当たらない。それならよーし、今回は人でいこう、人で。馬に乗ったことはおろか触ったことさえないおやじなので騎手の腕を云々する資格はまるでない。まるでないが、騎手の気合ならばわかるような気もする。

◎は佐藤哲三。競馬は馬券を買わないと見えてこないことが多いのですが、偶然買った若いころの佐藤騎手の騎乗ぶりを見て、彼がよく馬を追う騎手だということに気づきました。そのころからのファンなんです。きっぷがいい、タップダンスの好走はまさに人馬一体。タップが佐藤なのか、佐藤がタップなのか、そんな趣。上手な騎手は何人もいるのでしょうが、個性的な騎手は少なくなったようで少し寂しい思いをしていたところです。

ところで落馬寸前の状態でスタートを切ったのにもかかわらず圧勝劇を演じたディープの皐月賞から、もう2年も立ちましたか。あのインパクトの強い走りを見て、ダービーでこの馬を負かしてやれと思った騎手はいったい何人いたでしょうか。いやそんな騎手はいたか、どうかですね。

そのダービーで佐藤哲三は自分の追い込み馬に先行を命じ、4角で先頭に立ってディープとの距離を広げていきました。ディープを負かすには4角過ぎで何メートルディープの前にいるかということを考えるしかありませんね。佐藤哲三は間違いなくディープに勝つことだけを考えてダービーに臨んだと思っています。2着に敗れたとはいえ、ダービー史上もっとも美しい敗戦としてディープの衝撃よりも深くおやじの心にはやきついています。あのダービーを見て佐藤哲三がますます好きになりました。

佐藤哲三の勝利騎手インタビューほどぶっきらぼうなものはありません。京都大賞典のインタビューを再現してみましょうか。
 アナ おめでとうございます。
 佐藤 うーむ、ありがとうございます。
 アナ どういうところに気をつけて乗りましたか。
 佐藤 全部
 アナ どの馬がライバルでしたか。
 佐藤 全部
アナ 勝因を教えてください。
 佐藤 全部
 アナ 馬のいいところを教えてください。
 佐藤 全部
 おやじ がっはははは。

いつもはもう少し口を開く佐藤哲三なんですが、この日は特に口数が少なかった。なにせ「全部」としか言ってない。余程期するものがあるんでしょう。翻訳すると「黙ってJCの結果をみてろ」ということです。凄い気合のりですねえ、勿論佐藤哲三の気合。単に機嫌が悪かったのかもしれませんが・・。

ディランがJCに出走していたならば凱旋門のようにゴール前200M辺りで先頭に立つような競馬をしたでしょう。待っているのは怪力サムソン、そして両馬のすさまじい叩きあい。これを見て猛然と佐藤哲三が鞭を振るう、というゴール前を想像してたのですが、ディランの回避は競馬にも予想にも「綾」を生じさせましたなあ、と全く心配しなくてもよいのが佐藤哲三なんですよ。信じた馬に賭けることができるところが、他の神経質な騎手とは断然違うところなんです。どうですか、治郎丸さん、やるでしょ。このアンちゃん、いや、おっさん。大橋巨泉のクイズダービー風にいえば、今回のJC、佐藤哲三に「全部」となります。

鞍下は蹄の病気さえなければディープ時代の名脇役をつとめたはずの馬です。ひょっとするとディープの調子が悪いときにはディープを苦しめたかもしれない。佐藤哲三は朝日CCで鞍下に手ごたえをつかんだはずです。そのとき鞍下が楽々と負かした相手は毎日王冠でそこそこの競馬をしています。日本馬の中でも最もローテに好感のもてる実に怖い存在です。

鞍下の血統もいいですよ、とは言いません。兄弟にサンヴァレンティン、近親にワンモアチャッターにフォルテベリーニ。言わずと知れたどさまわり血統です。えっ、どさまわりの何処が悪い。おやじだって3回転半どさまわっているんだぞ。この血統にいわゆるクズはでません。非常にポテンシャルの高い血統です。遠くにテスコボーイなんかいて、こりゃあ世界的などさまわりだ。もし1977年に中山2000MでJCやったら7馬身つけてテスコボーイの仔トウショウボーイが優勝したはず。

対抗は武豊になるでしょうか。この騎手のコメントを読んだり聞いたりしていると、馬券のヒントになるものがあるのでいつも注目しています。今年はこんなのがありました。

・桜花賞トライアルの後の勝利騎手インタビュー。通り一遍の返答で、なぜか浮かぬ顔。
・桜花賞後のコメント。「馬が短距離にシフトしている」

1400Mの勝利で浮かぬ顔をして1600Mで強い競馬をしたことのある馬を短距離にシフトとしたと言うのだから、アストンマーチャンについて迷うことがあれば、例えばスプリンターズSでは買う方向で考えればいいし、スワンSでは切ればいいわけだとおやじは参考にするわけです。

今回の作戦について武豊は「あまり細かいことは考えていない」というコメントを出していますね。翻訳すると「一流馬だからこそ細心の注意を払って乗れば勝てますよ」となります。さて、佐藤哲三が武豊にどんな戦いを挑むのでしょう。2年前のダービーの対決が思い出されます。

残りは手短に書かせてください。

外国馬の実力はAムーンが教えてくれているような気がします。香港でプライドに迫ったムーンは世界的な実力をもっている馬ですし、ドバイできちんと結果も出しています。今回の外国馬にレイルリンクに迫るような馬はいるでしょうか。オッズの上ではたいそう妙味はありそうですが、無理に買おうとは思えませんでした。逆に人気を落とすAムーンは無理をしても買う必要があります。それが馬券のセンスというものです。あっ、はいはいナンセンスでしたね。

ウオッカ。大丈夫かなあ、おやじも年だからあまり心配させんでくれよ、という思いで見守るのは切ないですね。切ない。そうとしかいいようがおやじにはありません。

パンドラちゃん。エリザベスでは強いところを見せました。昨年より断然強くなっています。さすがにベストインショーの血統ですね。ドイツ馬のサデックスと同じ牝系です。騎手がルメールからの乗りかわりになって人気を下げるでしょうから、おやじには妙味のある馬に思えます。

お返事に困るような手紙もたまにはいいじゃないですか。あっ、いつものことですね。
ではまとめます。

◎佐藤哲三に全部(インティライミ)
○武豊(怪力サムソン)
▲Aムーン
△パンドラちゃん
×Dパスポート(好きなので買わせてください)

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◎ヴァーミリアン

Jiromaru

今から7年前に始まったJCダートの歴史の流れを、一通のお手紙で堪能させてくれるなんて、さすがです、ルドルフおやじさん。あのクロフネの衝撃は、日本の古い血脈が葬り去られた衝撃だったのですね。「これがG1か?」って思ったほどの圧勝、楽勝劇でしたが、あれが米国血統のパワーとスピードの象徴だったとは…。

おっしゃる通り、フェブラリーSならばなんとかなっても、JCダートはなんともなんらんという馬はたくさんいますね。この東京2100mという設定は、JRAもうまいことやるなと常々思っていたのですが、来年から阪神1800mになるということで残念です。売り上げの問題や、WSJSとの絡みもあったのでしょうが、せめてもう少しタフなコースでやって欲しかった。阪神1800mだと、もしかすると東京のマイル戦よりもスタミナは必要ないかもしれません。

ルドルフおやじさんのお話と少し矛盾するように思えるかもしれませんが、この阪神1800mという設定は、アメリカ馬にとって有利なものに直したのではないかと私は思っています。普段、スタートからガンガン飛ばし、どこまでそのスピードを持続できるかに全てを賭けているアメリカ馬にとって、府中の2100mで同じことをやったら最後まで持たないのです。もちろん、アメリカはダート(土)で日本はサンド(砂)であるということも大きいです。府中の2000mまでならギリギリ粘りこめるかもしれませんが、2100mは苦しいかなと思います。結局、条件があまりにも違いすぎて、強いアメリカ馬は積極的に来日しなかったというのが現実ですよね。つまり、東京の2100mを阪神の1800mにすれば、スピード優先の競馬になって、アメリカ馬が出走しやすくなるという算段ではないでしょうか。強いアメリカ馬が参加してくるのは大いに結構ですが、日本古来の血脈が育たないのでは本末転倒ですね。強いアメリカ馬を米国血統の日本馬が迎え撃つという構図になるのでしょうか。うーん。

アストニシメント系のサンフォードシチー、もちろん覚えていますよ。なにせ、第1回JCダートの私の本命ですから。今から思い返しても、渋いところに印を打ったものだと思います。その頃からひねくれた馬券を買っていたのですね。あのレースは、アメリカ馬がウマシカみたいにすっ飛ばして、殺人的なハイペースで進みましたね。前に行った馬は4コーナー手前でみんなバテてしまって、直線に向いた途端、岡部騎手のウイングアローが持ったままの手応えで先頭に立りました。ウイングアローの鬼のような強さの前にひれ伏してしまいましたが、サンフォードシチーもよく走っていたと思います。村山明騎手にもG1を勝って欲しかったですね。

あっ、それから、ルドルフおやじさんが?にしてくれていたビューチフルドリーマー系の90年代代表には、ぜひレオダーバンをいれてあげたいなあ。ダービーではトウカイテイオーの影さえ踏めませんでしたが、夏を越して成長し、菊花賞を勝った大物です。マルゼンスキー産駒の最後の大物でもあったのではないかと記憶しています。


さて、今年のJCダートですが、ビューチフルドリーマー系とアストニシメント系の対決は見ものですね。ドラゴンファイアーとブルーコンコルドですね。古馬G1の壁をブチ破れるか、それとも古豪健在を見せつけられるか、新旧世代の対決でもありますね。どちらも己の意地にかけても負けられないところでしょう。

3歳馬のドラゴンファイアーは、まだ成長途上といった体つきで、歴戦のダート馬たちの中に混じると少し見劣りしますね。それでも4連勝してきているように、潜在能力は優にG1級でしょう。前走も直線でヒヤッとさせられましたが、本人は何ともなかったように抜け出してきましたから、精神的にも相当太いものがあります。ここ2年、3歳馬が勝っていますし、去年も4連勝で条件戦から臨んできたアロンダイトが突き抜けたように、決して越えられない古馬の壁ではありません。久保田厩舎からはワイルドワンダーとの2頭出しになりますが、私はこちらを上位に見ます。ワイルドワンダーはプロキオンSでの切れ味や、その後のローテーションからも、2100mという距離が微妙に長い気がします。

ブルーコンコルドは前走のJBCクラシックで惨敗して人気を落としましたが、昨年よりもローテーション的には良い形での出走となります。実は私の昨年のJCダートの本命だったのですが、よーく考えてみると昨年は前走がマイル戦(JBCマイル)だったのがマズかったですね。マイルのペースで走ってしまい、道中で引っ掛かっていました。内が開いていたとしても、勝ち負けにはならなかったでしょう。もし昨年の勢いを持って、今年のローテーションで臨んで来ていれば、この馬で勝負したかもしれません。ただ、馬体を見る限り、昨年時の迫力が感じられませんでした。この馬も7歳。すでに39戦をこなしているのですから当たり前ですよね。

メイショウ闘魂は前走エルムSを強烈な末脚で勝ちましたね。フェブラリーSでも書きましたが、この馬は非常に珍しいタイプのダート馬で、スローの瞬発力勝負に強いんです。平安Sにせよ、東海Sにせよ、エルムSにせよ、ゆったりとしたペースで先行馬は楽勝と思っていると、後ろから芝のレース並みの末脚で飛んでくるのです。芝のレースではサンデーサイレンス産駒がこういうレースを得意としますが、それをダートで体現している個性的な馬です。でも、道中が速くなって追走に手一杯になってしまうと、意外と伸びを欠いてしまう面があります。フェブラリーSはそんな負け方でした。今回のJCダートは例年ハイペースになりますので、そのあたりが不安です。

ずいぶん引っ張ってしまいましたが、私も本命は◎ヴァーミリアンに打ちます。前走のJBCクラシックの勝ち方にはウイングアローに通ずる「鬼」を感じてしまいました。ダートの鬼とは、今まさにこの馬のことでしょう。昨年の秋あたりから、馬が良くなってきましたよね。昨年のJCダートも6ヶ月の休み明けでも4着と好走しましたし、その後、ドバイを挟んで馬が変わってきました。ドバイから帰ってきてから無理をしなかったのも良かったのでしょう。石坂調教師の「無理をさせなければ、馬はいつか恩返ししてくれる」っていう言葉は素敵ですね。世間では逆にとられていますが、馬も人間も実は休んでいる間に成長するものです。

地方での勝利が多いだけに、深いダートが合っていると思われがちですが、そんなことはないでしょう。芝の重賞を勝っているように、このメンバーでもスピードは抜けています。そもそも、大井のダートは砂厚7cmで、東京の8cmよりも浅いぐらいで、速い時計の出る競馬場です。中央のレースの方が時計が速いのは、ペース自体が速いからです。その速いペースについて行って、最後にもうひと伸びすることが出来るかの勝負ですが、そこでドバイの経験が生きてくるはずです。世界のハイペースに食らいついて行ったヴァーミリアンにとっては、もしかしたら周りが止まって見えるかもしれませんね。

フリオーソはJDDを勝って、JBCで2着に好走したように、ここにきて力を付けてきています。内田博騎手も相当な意気込みで臨んでくるはずです。ただ、速い時計での決着となったJDDを圧勝したように、走りやすい馬場を得意とする馬ですので、微妙に厚い中央競馬の砂と2100mという距離が微妙な気がします。かなりタフなレースになるはずですので、ここで結果を出せれば本物でしょう。

サンライズバッカスは安藤勝己騎手をしても乗り難しい馬です。安定して追い込んできていますが、自分でレースを作れない分、どうしても全てが嵌らないと勝ちまで届きません。ただ、展開を考えると、ハイペースになることは間違いありませんので、この馬の末脚が生きる流れにはなりそうです。あとは2100mという距離をどこまで克服できるかどうかでしょう。私はこの馬はマイル前後のスピード馬だと思っていますので、嵌っても2着までかなと評価しています。

フサイチホウオーは価値ある挑戦だと思います。この馬の走り方を見ると、間違いなくダート向きではありますので、一発狙いということではJCダートは正解でしょう。ただ、この馬の場合、ダービー以降、精神的に切れてしまっている様子が窺えますので、その点がどうでしょうか。道中で砂を被って、嫌気を出してしまわないとも限りません。ダートは合っているとは思いますので、今回だけの結果で判断して欲しくないところですね。

最後にアメリカ馬のスチューデントカウンシルです。アメリカ馬は府中2100mの砂をこなせないと前述しましたが、この馬は少し違うようです。先週、美浦トレセンにも導入されて話題になりましたが、ポリトラックという合成素材で作られた馬場をデルマー競馬場でこなしてきているようです。簡単に説明しておきますと、アメリカ競馬の通常のダート(土)に比べ、ポリトラックの馬場はスタミナとパワーを要します。そのポリトラックの馬場で行われたパシフィッククラシックSを勝っているということは、つまり府中2100mの砂にも適性があるかもしれないということになります。もちろん、日本の砂とポリトラックは別物ですので、何とも言えないところはありますが、これまでのアメリカ馬と同じだと思っていると痛い目に会うかもしれませんね。

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米国血統の恐ろしさを見せてくれる

Rudolf →ルドルフおやじってどんな人?

来年からJCDは阪神で行われるそうですね。しかも1800Mで。なんでもJCの前日に行われるために、G1の中でもJCDの売り上げは不振を極めていたらしい。東京2100Mだからこそ試される力があったはずなのにね。イージーなレースをつくって競争馬の能力の向上につながろうはずはあるまい。平坦なターフの上を10マイル走っても意味はあるまい。

鏡のようなグリーン、絨毯のようなラフの上で毎日戦っている国のゴルファーがジ・オープンを制するなんてジ・オープンの歴史が終わるまでありえないでしょう。タフなコースをつくってタフなレースが行われてはじめて血は鍛えられる。イージーなレースを創ってどうする。おやじは、来年からJCDは買いません。損したなJRA、いいのかい、いいのかい。

JRAはクロフネを越える馬を作りたくないわけね。クロフネのJCDはカーラジオで聞きました。テレビ実況のないころ場外で競馬をはじめたので、アナウンスの声を聞くだけでレースの様子を理解するという秘儀を身につけた。1着はクロフネというアナウンス、そこから2着はウィングアローまでの間(ま)の長いこと。衝撃的でしたね。おやじがくたばるまで日本馬の凱旋門賞制覇を見せたくないわけね、JRA。冥土の土産をとりあげるわけだな。来年からJCDは買いません。損したなJRA。

フェブラリーSの手紙でダートコースというのは日本の競馬風土だと書きました。だからダートレースで日本の血統が今でも健闘する。第1回JCDの優勝馬が輸入されて5代続いている母系から出たウィングアローだったというのはそのことの象徴的な出来事だったと思います。G3時代からG2、G1と格上げされてもフェブラリーSは古い血脈の牙城そのものでした。今回のJCDにエントリーはありませんが、ウィングアローの血脈はロングプライドを送り出しています。

今回のJCDのひとつの見所はビューティフルドリーマーとアストニシメントの久々の対決です。ここで云々するまでもない日本の代表的な牝系ですね。いささか気がひけるのですが、それぞれの牝系の年代ごとのおやじのベストホースをあげてみましょうね。

ビューティフルドリーマー     アストニシメント
50年メイジヒカリ          50年ヤマイチ(クリフジの娘)             
60年シンザン            60年チトセホープ
70年タケホープ          70年レディースポート(テンモンの母)
80年ニッポーテイオー       80年ブロケード(テンモンのライバル)
90年?               90年メジロマックイーン
00年ティーエムオーシャン    00年?

一概にはいえないのですがビューティフルドリーマー系は牡馬に大物を出し、アストニシメント系は牝馬に大物を出すと言われてましたね。ところが90年前後のニッポーテイオーとメジロマックイーンを最後にこの帝国を思わせるような牝系から大物は現れていません。活躍馬の数も少なくなってきているような気がします。シラオキの系統の隆盛を思うとさびしい限りですね。

不思議なのことに、ターフの大物を失ったころから続々とこの両血統からダート馬が現れる。第1回JCDの2着馬、サンフォードシチーを覚えていらっしゃいますか。あれはアストニシメントから出ています。ターフを駆けるスピードは失われたが底力は満々と湛えられているということか。ならばきっと帝国はいつか復活するはず。その日まで競馬、止められんわ。

今回、ビューティフルドリーマーはドラゴンファイヤー、アストニシメントはブルーコンコルドを送りこんできました。ドラゴンはニッポーテイオーの血をコンコルドはチトセホープの血を背にどんな走りを見せてくれるでしょうか。夢のようです。

しかし夢は夢。シラオキの血脈だって70年代半ばから80年代にかけて不振を極めていたのですから。底力のある血統と地味な主流血脈を交互に何代も重ねてシラオキ系にウオッカが誕生したことを忘れてはいけませんね。帝国復興への道は緒についたばかりです。

社台ファームが導入し育てた牝系といのは実にたくましい。他の牧場に移っても花を咲かせ実をつける。特にナイトアンドデイという牝馬から続く血脈は、春に種を蒔き秋に収穫する年々の農業の営みように堅実で、大地の広がりを思わせます。70年代にはNテーストという種を蒔き、皐月賞馬ダイナコスモスという大輪を咲かせ、80年代はファバージから名牝カッティングエッジを得て、90年代は人目にはつきにくいが小さな実をたくさんつけていました。そして今、この血脈は豊穣年を迎えています。シャドウゲートは今回出走しないようで残念でしたが、この馬の海外G1制覇ほどこの血脈にとって喜ばしい出来事はありません。

今回のJCDにはアントニオ猪木がこの血脈の切り札としてエントリーしてますね。メイショウ闘魂は新冠で種を蒔かれて根をはった、メイショウトウ根。底力は凄いのかもしれない。東海Sのレースぶりをみていて、今回も大いに期待できるのではないかと思いました。

今年のフェブラリーSで久々に古い血脈の底力を証明してくれましたのはサンライズバッカスでした。人気を落としている今回は要注意です。ああ、できればNFDC(G1)というのをつくってあげたい、何のことかって、日本のふるい血統ダートカップ(G1)ですよ。

確かにフェブラリーSでは今も古い血脈と新しく導入された血脈がしのぎをけずっています。ところがです、ここからが肝心なんですけど、JCDにおいては早くも第2回にしてクロフネが一気にその流れを変えてみせました。第1回JCDの覇者ウィングアローを7、8馬身葬って、米国血統のパワーとスピードの恐ろしさを見せつけた。クロフネはダート競馬の黒船。太平の眠りを覚ます蒸気船というわけです。以来JCDの1、2着馬から古い血脈は締め出されています。古い血脈は東京1600Mの壁を越えることはできるけれども、東京2100Mの壁は打ち破れない。現在の日本の血統の到達点と限界を示す、これが東京2100Mの本質だと思います。米国血統の強い馬がいるかぎり、残念ながら古い血統の馬が2100Mの向こう側にたどり着くことは難しいと考えています。

ビューティフルドリーマーやアストニシメントの敵は外国馬でも米国血統でもなく東京2100Mです。JRAはそういう壁を日本馬のために壊してくれるのね、ああ親切だ。損したなJRA。

結論は出ました。スチューデントカウンシルはパシフィッククラシックSを勝った格上馬ですね。この馬には東京21
00Mを悠々と越えていく力はあるでしょう。しかしおやじは去年のJCDでもっとも強い競馬をしたヴァーミリアンを狙います。おやじもしつこくてね、1年も待てるんですわ。この馬が米国血統の恐ろしさを見せてくれると思います。おやじ儲けて損したJRA。

これだけの馬がそろっているのでヴァーミリアンの単にも複にも妙味があるかもしれませんね。◎ヴァーミリアン以上です。

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◎アグネスアーク

Jiromaru

私も関西で中学生時代を過ごしましたので、「もろうた!」と「あかんわ…」の2つがセットであることはよーく知っていますよ。「もろうた!」と思った馬券があかんかったり、「あかんわ…」と思った馬券の方が案外もろうてたり、馬券は思ったとおりにはいきまへんなぁ(関西弁?)。

さて、スランプ時の買い方のお話、まことに身に染みました。当たらぬことを前提に絞り込んで、穴馬の買えない要素を見つけて、買える魅力は他の馬のそれと比較して、できれば買わないのですね。この4か条は、治郎丸家の家訓として、掛け軸に書いてかけさせたいと思います。

で、教えの通り、実際に今回のマイルCSでもやってもみましたよ。私がみたお化けはベクラックスです。実はこの前の手紙を書いた時に、この馬の存在自体を見落としてしまっていました。あの後に気付いて、この馬もクサイなと気になり始めたのです。というのも、他の日本馬でどうしてもこの馬という馬が見当たらなかった、またどの馬にも買えない理由が見えてしまっていたからです。日本馬でなければ外国馬なのでは、ということですね。

もちろん、それだけではありません。何よりもこの馬が魅力的に思えたのは、ベクラックスを管理するのがニール・ドライスデール調教師だからです。おそらく競馬ファンよりも日本の調教師たちの方が、ドライスデール調教師が連れてきたベクラックスを恐れているのではないでしょうか。ドライスデール調教師はアメリカではそれはもう有名な調教師で、日本でブレイクしたフレンチデピュティやラーイ、米国の種牡馬チャンピオンであるエーピーインディ、そしてあのフサイチペガサスを育て上げた敏腕調教師です。今年でもう60歳になるのですね。

そのドライスデール調教師が若き頃に師事したのが、これも世界的に有名なチャーリー・ウィッティンガム調教師です。もうここに書くまでもないかもしれませんが、あのサンデーサイレンスを育てた調教師です。あれだけ気性の激しいサンデーサイレンスが引退するまで連対を外すことなく走り続けたのは、ウィッティンガム調教師の手腕があったからでしょう。その他、アックアックやファーディナンドなども彼の管理馬ですね。ウィッティンガム調教師について面白いエピソードがありまして、ある調教師に「もしあなたの馬が口が利けるとしたら何て言うでしょうね?」と聞いたところ、「ウィッティンガム厩舎に入れてくれ!って言うに決まってるだろう。」と答えたそうです。

そんなウィッティンガム調教師に教えを受けたドライスデール調教師が連れてきたのが、このベクラックスです。ジャパンカップにアルティストロワイヤルを連れてきていて、べクラックスは帯同馬として見られがちですが、どうして、ドライスデール調教師が付きっ切りで調整をしているではありませんか。どちらの馬でも勝ちに来ているようにしか私には思えません。

だからといって、勝つとは限らないのが競馬ですね。この馬の買えない要素は、マイル以上の距離で実績がないということでしょうか。マイル戦で6勝しているように、典型的なマイラーなのでしょう。日本のような速い時計の出る馬場も得意としているようですが、マイルがギリギリという感じがしないでもありません。マイルCSは3コーナーの下りからゴールまで、坂を下りながら一気に流れが厳しくなりますので、2000mの中距離を走られるくらいのスタミナを持った馬でないと最後が苦しいのです。これが、天皇賞秋組がスワンS組よりも良績を残している一因ですね。ベクラックスは中距離をこなせるスタミナに欠けるという理由で、勝ち切るところまではいかないと判断しました。

そうしたら、なんだかスッキリと答えが出ました。私の本命は◎アグネスアークに打ちます。あれれっ?ルドルフおやじさんと同じですね。おかしいな(笑)。

アグネスアークについての不安点はこの前の手紙で十分に書きましたので、今回はこの馬を買う理由を書きたいと思います。ひとつはマイル戦3戦2勝という実績があるからです。負けたマイラーズCにしても、前の止まらない流れでしたからね。その後、休養を挟んで本格化しましたし、毎日王冠で速い時計にも対応できることを証明しました。

ちなみに、この1年、京都芝1600mの種牡馬成績のトップはアグネスタキオンです。1位のアグネスタキオンは【10・5・3・16】の勝率29.4%、連対率44.1%に対して、2位のサンデーサイレンスは【5・2・0・35】で勝率11.9%、連対率16.7%です。この条件はアグネスタキオン産駒が最も得意とする条件といっても過言ではありませんね。

もうひとつは、札幌記念や天皇賞秋で示したように、アグネスアークは中距離を走りきるだけのスタミナを有しているからです。札幌記念はスローの展開に泣き、天皇賞秋は道中の不利があっても2着を確保しました。道中で遊びがあるのも、距離をこなせる一因になっているのかもしれません。3コーナーの丘を越えてから少しずつスパートをかけて、ゴールまで十分に伸び切れることでしょう。

さらにもうひとつ。河内調教師は、この馬に長谷川騎手、津村騎手、吉田隼人騎手と若手を乗せ続けてきました。今の調教師にしては珍しく、若手を育てようという姿勢がこちらにも伝わってきます。そして、それぞれの若手がその期待に見事に応えて、アグネスアークと共に成長しましたね。それだったらここも若手で行けよ、という声も聞こえてきますが、私はあらゆる方面から考えても最良の決断だったと思います。若手騎手たちから受け継いだバトンを、藤田騎手はなんとしても最後までつなげなければなりません。今の藤田騎手なら、その大仕事を果たしてくれるはずです。

福永祐一騎手が騎乗するカンパニーは、私も最後まで悩みました。おっしゃる通り、買えない要素の少ない馬ですよね。マイルの連対率が低いことが気になっていましたが、ルドルフおやじさんが心配ないとおっしゃるのであればそうなのでしょう。となると、買えない要素は年齢でしょうか。とはいえ、クラフティワイフの晩成の血統のなせる業もあるかもしれません。最後に私が買えない要素として導き出したのは、天皇賞秋のあの3着という着順です。2着のアグネスアークとの間にあるあのクビ差は、見た目以上に大きい気がします。先に抜け出したカンパニーが最後の最後に差されたのは、2000mの距離が少し長かったのではないでしょうか。もちろん、今回はマイルに距離が短縮されるのですが、先ほど書いたように、マイルCSは中距離のスタミナを問われるレースになりますので、その点においてアグネスアークを上に取りました。

ダイワメジャーは前走で大きな不利を受けてしまいましたが、まともに走っていてもメイショウサムソンには勝てなかったでしょう。それでも、あの惨敗で人気を少し落とすならば、今回は逆に妙味があると思っています。前走の天皇賞の4コーナーで、なぜあんなにも手応えが悪かったのか不思議に思っていたのですが、安藤勝己騎手がああいう乗り方をしていたようですね。安田記念で最後にビュっと伸ばすレースが出来たので、行き過ぎた毎日王冠の敗戦を受けて、前走は少し後ろから脚を伸ばすレースを意識的にしていたようです。安藤勝己騎手は、「こんなことだったら、前に行っておくべきだった」というような言い訳をする騎手では決してありませんので、真意を図りかねていましたが、そういうことだったのです。今回は距離も短縮されますので、この馬の良さを最大限に活かす攻撃的な騎乗をしてくるはずです。精神面での衰えはあると思いますが、私はこの馬に勝たれてもおかしくないと思っています。

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小柄な馬体に何かが秘められているはず。

Rudolf

治郎丸さんは気がついてないとは思いますが、おやじは予想した段階でほとんど「もろうた!」(注関西地方の方言で成就の可能性が極めて高いときに口をついて出る言葉)と思っているんですよ。どう思われます。がっはははは。今回は年に1度あるかないかの弱気な予想をしています。

競馬をして楽しいのは、これだと思って賭けた馬が走ってくれることに尽きますね。穴馬ならばその喜びも格別ですな。もちろんこういう場合おやじは知人のひとりひとりに花柄地の電報を送りつけることにしています。例 サケダイスキ号快走御礼 など

しかし、どの馬も穴馬に見えるときは馬券のスランプだと断じていい。こういう場合は勇気をもって自重すべしですね。当たったときの快楽が身にしみているもんだから、自重するのは本当に難しい。だから勇気が必要なんですね。今回、おやじには穴馬が数頭も見えているんです。まあ秋に幽霊を見ているというわけですわ。

しかし、折角のG1だから参加料を払うつもりで買うことにします。ただきちんと買い方を決めて外れても悔いの残らないようにすることにして。

<スランプのときの買い方>
1、当たらぬことを前提に絞り込む。(見る目が間違っているのだからいくら買っても当たらない)
2、買えない要素を探す。(穴馬に見えることから冷静になれる)
3、買える魅力を各馬で比較する。(買える馬の魅力から冷静になれる)
4、できれば買わない。(無理だ!)
こんなもんでどうでしょうか?

まず買える、買えないの基準を探さなくてはね。G1馬4頭、G1好走馬(3着以内)6頭という今回のマイルCSのレベルですが、これを額面どおりに受け取ると並のG1のレベルのように見えますが、例年にない高いレベルの天皇賞の好走組が今回のマイルCSのレベルを押し上げていると思います。水準以上のレベルを勝ち抜くだけの魅力ある馬を探しましょう。

フサイチリシャール。スワンSでは久々に走るところを見せつけました。G1馬ですし、買えない要素は少ないのですが前走、レースの流れにのって最もスムーズに競馬できたという印象を受けました。京都1400は外枠を狙えという古い格言もあって、7枠発走のこの馬にはうってつけのレースだったと思います。先行馬に厳しい流れだったのですが案外魅力は乏しいですね。

スーパーホーネットとキングストレイルがスワンSを追い込んできて好印象を得ました。トレイルは治郎丸さんが指摘したように内で揉まれて競馬をしていません。でもゴール前は鋭い足を使っています。近年、軽いレースをしたスワンS組が本場で不振を極めていますが、この両馬は底力を見せたのではないでしょうか。嫌われるスワンS組ということで案外魅力はありますね。ホーネットは6枠発走だったので内で揉まれたキングストレイルの方に穴の魅力があるのかもしれません。

Sフェニックス。距離を云々された高松宮をあっさり勝ったスプリントの力には驚かされました。秋ひと叩きされて絶好調が伝えられます。高松宮を勝ってマイルCSを2着した馬にキングヘイローがいますが、問題はフェニックスがキングヘイローと同等以上の力をもっているかということですね。マイルと6ハロンのG1を制するというのはひとつの事件ですからね。もしフェニックスにその力があるのなら、春の安田記念のDメジャー以外のメンバーなら勝てていたように思います。人気落ちの実力馬とはいいますが、そこまでの魅力は感じません。

ジョリーダンス。これもレディーゴシップの近親でしたね。凄い勢いのある一族ですねえ。今スランプだからこそ、この勢いにはなんかあると思っちゃあいけない。春のヴィクトリアMと安田記念は先行ペースのレースになりました。そこで追い込んで5着、先行して3着、今回のマイルCSを勝つためには少なくとも連は欲しかった。同族、コイウタは先行してヴィクトリアを優勝。厳しい言い方だけれども高い評価はどうかなと思います。マイルCSを制する牝馬は名牝中の名牝です。そう考えるとレディーゴシップの牝馬2頭の魅力は一気にかき消されてしまいます。ごめんね。

エイシンドーバー。9ハロンのレースでも好走できる力のある馬です。夏場をしっかり休養ににあてて体調もいいらしく、カイ喰いもいいよ、というコメントも漏れてきているようです。ポン駆けもきいてまさに穴馬らしい穴馬ですね。しかしG1レースを休養明けでポンポン勝つというのはディープやサムソンに任せておいた方がいいんじゃあないかと、ここは冷静に判断しておきます。

トウショウからはカレッジとヴォイス。ラストタイクーン産駒の両馬をマイルCSに送り込んだ牧場のすばらしさは賞賛に値します。あっ、ヴォイスは回避ですか。ちょっとひと言、トウショウボーイの母、ソシアルバタフライの血統ですね。この名牝系に地味な種牡馬ばかりをかけ続けている牧場の営みには頭がさがります。また来年会おう。カレッジはシラオキの血統でウオッカの近親です。先行有利の富士Sで3、4番手を進んで勝ったマイネルシーガルを買うなら、追い込んだカレッジに食指が動きます。穴の魅力というやつですね。

ピンクカメオ。牝馬を比較して買える魅力をもっているのはこの馬です。秋華賞はともかくローズSではおっと思わせるところを見せていました。治郎丸さんの好きなブラックホークの下ですね。この血統の底力は素晴らしいですね。血統表だけを見るとステイヤーと見まごうばかりの配合でいてマイルで力を発揮する、これぞまさしく底力血統。秋華賞が底力血統のワンツーで決着したように今の京都にはぴったり合っている。カレッジという大穴の魅力を狙うのならオカメの底力の魅力をとるべきか。待てよ、マイルCSで活躍する牝馬は桜花賞でも力を見せていたはず、オカメは遠慮させてもらおう。

穴の魅力のある馬はキングストレイル、スーパーホーネットということになりました。馬券の調子がよければ2頭とも買っていいのですが、今回は当たらないということを前提としての予想なので1頭落とす決断をします。

Kトレイルは真の良血馬ですね。本格化したと言われてますね。しかし、シンコウラブリーの血統にふさわしい目の覚めるような勝ち方をこれまでにも見せたことがあります。元々強い馬だけど少しひ弱なところがある馬だと考えるほうが無難なんでしょう。トレイルには今回も期待を裏切るかも知れないという買えない要素が顔を出しました。でもね、前走惨敗したというのがなんとなく臭うんだよなあ。

Sホーネットの母系はフレーミングページの一族ですね。世紀の名馬ニジンスキーを送り出した牝系というのは魅力があります。この10年マイルCSを振り返ると父か母父にNダンサー系の種牡馬がかけられている馬が3着以内に20頭も入っています。中でもニジンスキーの血脈が強い。ホーネットの場合はG1朝日杯で2着したという買える要素を思い出した方がいいような気がします。でもね、前走勝っているというところがいやなんだよなあ。

迷いに迷いますが雨のスプリンターSでおっというところを見せたトレイルを穴馬とします。

では人気馬をみてみましょう。

ダイワメジャー。治郎丸さんも調子落ちと年齢を気にかけているようですね。年齢だけはどうしようもないことなので、この馬にははっきりとした買えない理由があるといっていい。残念ですがね。しかし無印にするというのは根性がいりますよね、どうしよう。スピードと底力が試されるという点でマイルは競馬の基本だと常々思っています。NPウィナーとTシャトルがマイルCS2連覇、安田記念制覇を果たしたというのはうなづけます。今回メジャーが勝てばこの2頭に並ぶ、うむ、そういう歴史的事件が今回あるの?ないの?と考えて◎は打ちません。

カンパニー。この晩成血統をPOGで指名した馬鹿おやじです。まあ、馬鹿にも馬がついているからいいじゃないですか。出走馬のなかで驚くほど買えない要素の少ない馬です。福永騎手が乗るのはなんともいいんじゃあないかと思っています。彼は肝が据わっている。エリザベスでは秘策があるとコメントしてスカーレットの直後につけて競馬しましたね。買って痛い目にあったけれども納得、納得。マイル実績が乏しい点も関屋記念のすばらしい勝ち方で気にする必要はありません。ちょっと怖いなと思うほどすっきり買える馬です。こういう馬こそ、○にとどめておくのが馬券のセンスというものです。だって見えてない今だからきっとおやじの気づかない欠点があるはず。失礼、ああ、さっきのセンスはナンセンスでしたね。

アグネスアーク。これはレディーゴシップの血統だけにちょいと陰がありますよね。やはり不利を受けたあとの精神的なダメージは心配です。さらに好事魔多しで1週前の追いきりでは他馬と接触寸前のアクシデント。冷たい向かい風の中を進んでいる。しかし、この馬には天皇賞で強い競馬をしたという魅力があります。天皇賞ではカンパニー以上の不利を受けていたと思います。毎日王冠でも大外をまわって追い込んだこの馬が一番強い競馬をしたのでしょう。マイルCS3勝2着2回、数々の名馬に乗ってきた河内師が自らセレクトセールで競り落とした馬だそうです。小柄な馬体にマイルCSを勝つための何かが秘められているはずです。真っ白な馬より少々傷がある方が強いのかもしれない。

最後にベクラックス。外国馬1頭というのは買える要素です。複数いるならばチョイスが必要ですけれど。簡単だあ?

スランプ馬券のまとめ。おやじが切り飛ばした馬のなかに真実が隠されているので注意ですぞ。そして残った馬のなかに治郎丸さんの◎がないようにお祈りします。
◎アグネスアーク
○カンパニー
△キングストレイル
×ベクラックス

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福永祐一騎手を応援しないわけにはいかない。

Jiromaru

お手紙ありがとうございます。まさか落合監督の采配に対する返答をいただけるとは思ってもみませんでした。なるほど、勝利を優先させたのではなく1球に集中していたのですね。そう考えれば、あの采配は誰にとっても納得のいくものになります。私もレースに勝つことばかりではなく、1頭1頭の馬に集中しなければなりません。そして、たとえ孤独であっても、本質を言い当てて実行できる人間にならなければなりませんね。

私が最初にテレビで観た野球選手が王貞治選手でした。その日から、野球と王貞治選手が大好きになりました。小さい頃は、私もボールが見えなくなるまで草野球をやっていましたよ。5時に「カラスが鳴くから帰りましょ~」という放送があってトモダチが皆帰ってしまった後も、壁に向かってボールを投げていました。いわゆる壁当てというやつですね。壁にストライクゾーンを書いて、それに向かってストレート、カーブ、落ちないけど落ちているつもりのフォークなどを投げるんです。この壁当てが私は大好きでした。なぜって、いつでも好きなピッチャーになって、相手バッターをビシバシと三振に取れるのですから。9回2アウト満塁なんていう苦しい状況を勝手に作り上げて、外角低めにストレート、空振り三振!なんてやって一人で楽しんでいました。

その中でも、一番、よくマネをして投げたのは江川だったかもしれません。あの独特のピッチングリズム覚えていらっしゃいますか?両手でシッカリと振りかぶって、左足は90度上げて、右足はつま先まで伸び上がってワンテンポためを作って、それから投げるんです。全盛期の江川のストレートはホップして伸び上がっていましたが、私が壁に向かって投げた球は残念ながら真っ直ぐ下に落ちていました。それでも私にはホップしているように見えたのですけどね。

小学生の私にとって、江川のゴシップは聞いてもよく分かりませんでした。巨人のエースでヒーローということだけで十分だったのでしょう。もちろん、レディゴシップのことも知りませんでした。小林繁氏とのCMはあのぎこちなさがまた良いですね。人って、もっとぎこちなくてもいいと思うのですよ。私も含めた現代人はスマートに生きすぎているような気がします。って、なんの話でしたっけ?そうここはガラスの野球場、ではなかった、ガラスの競馬場です。

ルドルフおやじさんは天皇賞秋でカンパニーに対抗○を打っていましたね。まさに期待通りの走りだったのではないでしょうか。私も注目して見ていましたが、それは間隔を空けた方が走るタイプなのではないかなと考えていたからです。でもそうではないのかも知れませんね。長期休養明けの関屋記念をあれだけのタイムで勝った反動を考慮して、じっくりと乗り込んでいたということでしょう。ルドルフおやじさんは大器が開花したと見ているのですね。我らがPOG馬サバースもデビューを目前にして放牧に出されてしまったようですが、このクラフティワイフの母系は晩成なのでしょうか?

ルドルフおやじさんも福永祐一騎手に注目しているのですね。私は安藤勝己騎手の大ファンですが、彼が引退した後は、福永祐一騎手をつぶさに観て行きたいと思っています。それぐらい魅力のあるジョッキーだと思います。何といっても、父はあの福永洋一騎手ですから。競馬ファンは人間の血統は重んじないところがありますが、血は水よりも濃いのです。そして、彼の祐一という名前の祐は、私が尊敬してやまないあの故野平祐二調教師の祐に由来します。これだけ揃ったジョッキーを私が応援しないわけにはいきません。

父親の福永洋一騎手については、語るまでもないかもしれませんが、日本競馬史上に残る伝説のジョッキーです。伊藤雄二元調教師は、武豊騎手のことを「何千年に1人の名手」と評価しながらも、「日本競馬最高の騎手は福永洋一」と断言しています。福永洋一騎手を乗せると、能力的に足りないと諦めていた馬でも走ってしまったそうです。しかも、レースの内容が他の騎手を乗せていたときとは全く違い、追っ付けても進んで行かなかった馬をスイスイと逃げさせたり、先行してはバタバタになっていた馬を最後方から一気で勝たせてみたりして、周りは呆気に取られました。エリモジョージで逃げ切った天皇賞春などが有名ですよね。同じ騎手の立場から見ても、なぜ福永洋一騎手の乗る馬が走るのか分からなかったそうです。それほどに卓越した技術、もしくは並みのジョッキーとは違う何かを持っていたということでしょう。

その福永洋一騎手を不幸な落馬事故が襲ったのは、福永祐一がまだ2歳の頃でした。頭蓋骨骨折、脳挫傷、舌裂傷という大怪我を負って、それでも奇跡的に一命を取り留めたのですが、それ以降今もリハビリの日々が続いています。福永祐一は中学生になって競馬のことを知るまで、父がなぜ怪我をして、どうしてこんなに頑張っているのかも分からなかったそうです。福永祐一が小さい頃からずっと見てきた父の姿とは、母と一緒に懸命にリハビリに取り組んでいるところだったそうです。「それだけで僕にとって父は尊敬できる存在だった」と福永祐一は言います。

福永祐一が騎手になりたいと言った時、母親はもちろん大反対しました。しかし、福永祐一が「僕も騎手になるよ」と父に耳打ちした時、父洋一はにっこりと笑い返してくれたそうです。この笑顔に支えられて、現在の福永祐一ジョッキーが誕生したのです。

Hukunagayuiti by fake Place

正直に言って、福永祐一騎手はジョッキーとして父ほどの素質を持ち合わせてはいないと思います。近づいては来ていますが、現在のトップジョッキーたちと比べても、まだまだ足りないところがたくさんあります。それは本人が一番分かっているはずです。それでも、父のおかげもあり、たくさんの人々にサポートしてもらいながら、その期待に少しでも応えられるように懸命に騎乗しているのが伝わってきます。手の届かない父の背中と、父のおかげで恵まれている環境と、騎手としての自分の力の間にある蜃気楼をいつも彷徨っているのでしょう。福永祐一騎手の右目と左目は形が違いますよね。葛藤を物語っている彼の目が私は好きです。

さて、マイルチャンピオンシップは大混戦で、どこからでも狙えそうな面白いレースとなりました。

当然のことながら、天皇賞秋でカンパニーに先着したアグネスアークには注目すべきです。レディゴシップと同じ母系に、あのヒッティングアウェーがかかっていますね。いかにも底力のありそうな母系です。この馬は前走の直線で不利を跳ね返して、最後はカンパニーを差し切ったように、見た目からは想像もつかないほど根性のある馬ですね。馬体だけを見ると、とてもG1を勝てるような馬には見えませんが、前走で58kgの斤量も克服してしまいました。

重賞でなかなか勝ち切れていませんが、どのレースも恵まれなかったものです。札幌記念はスローの展開に泣きましたし、毎日王冠は外を回しすぎました。そして天皇賞秋は直線で挟まれる形になってスタミナをロスしてしまいました。それでも大きく負けていないあたりに、この馬の大きな成長を感じます。河内調教師も鞍上を藤田騎手に替えて、必勝体勢で臨んできています。河内調教師に初のG1タイトルをもたらすことができるかもしれません。

ただし、不安材料がないとはいえません。それは夏から使い詰めで来ていることです。馬体重の430kgはこの馬のベスト体重の下限なので心配はないでしょうが、ローテーション的にはピークを過ぎている可能性があります。今回で5戦目となりますので、充実の4歳の秋とはいえ、さすがに上がり目はないでしょう。今の勢いをして、どこまで踏ん張れるかといったところです。

もうひとつ大切なことは、前走の不利が後を引かないかどうかということです。落馬などの大きな事故や不利に巻き込まれた馬は、そのことを必ず覚えています。そのレースではアドレナリンが出て、アグネスアークのように好走する馬はいるのですが、次走では思わぬ惨敗をしてしまったりします。それは精神的にショックを受けてしまうからでしょう。勝負どころで怯むようになってしまい、それ以降、当分の間、走らなくなってしまう馬は結構多いのです。

昨年の覇者ダイワメジャーはどうでしょうか。本命を打っていたから言うのではありませんが、天皇賞秋で最も大きな不利を受けたのはダイワメジャーだと思います。というのは、これはコーナーを回る時にも当てはまるのですが、遠心加速度は外に振られるにつれ2倍、3倍ではなく2乗、3乗と大きくなってきます。つまり、アグネスアークよりもシャドウゲイト、シャドウゲイトよりもダイワメジャーに、2乗3乗のG(重力加速度)がかかったということです。アドマイヤムーンは一番外でしたが、馬体の接触はこの3頭に比べると軽いものだったように見えました。トップギアに入ったところで、2乗3乗のGがかかったのですから、その圧力は想像を絶する大きさだったと思います。ですので、あの結果(9着)を鵜呑みにすると痛い目に遭いそうな気がします。とはいえ、ルドルフおやじさんのおっしゃるように、年齢的なものもあってか、調子、特に精神的なものが下降線を辿っているのは間違いありませんので、積極的には買いたくない馬ですね。

もう1頭、岩田騎手に手替りをするキングストレイルにも注目したいですね。スプリンターズSでは追い込みにくい不良馬場を猛然と追い込んできましたし、しかも外枠を克服してのものだけに価値があります。スワンSは内に閉じ込められてまともに走っていませんので、巻き返しのチャンスは十分にあります。何といっても、藤沢調教師が遂に岩田騎手に騎乗を依頼したところを見ると、今回のレースはなんとしても勝ちたいという気持ちが伝わってきます。関西のトップジョッキーとなった岩田騎手が、関東のトップトレーナーである藤沢調教師の管理馬をどのようにして勝利に導くのか見ものです。

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レディーゴシップの演出

Rudolf →ルドルフおやじってどんな人?

前の手紙で落合監督の話が出ましたね。

落合が好きなのでいつか書こうと思っていたのですが、競馬との接点が見つからないので出し惜しみしていたところなんです。何をやっても誤解を受けたり、疎まれたりする人はいるものですが、落合はそういうタイプの人なのかもしれませんね。野球では「名選手、名監督にはあらず」という言葉がありますが、落合は名選手にして名監督、そして名伯楽だと思っています。ドラゴンズの二遊間は落合のノックバット1本で育て上げられたそうです。うむうむ、治郎丸さんがおっしゃるように例の投手交代劇には、名伯楽落合の山井投手を育てようという深慮が隠されているのかもしれませんね。

第2戦の勝利監督インタビューを落合は「ボールに集中することが大事だ」という言葉で締めくくりました。短期決戦では力が劣っているチームでも集中力があれば勝つことが出来ます。それがボールゲームの本質だと思います。おやじもヘボヘボ卓球チームのヘボヘボ監督をやっていて「勝ち負けに集中する方は負けますよ、ピン球に集中してくださいねえー」なんて選手のみなさまにお願いしています。選手も少ないし練習ぎらいの監督だから結果はまだ出てないんですが、どんなヘボ選手でも集中する姿は美しい、と思いながら見ています。

第5戦8回表、外野に飛んだ1球を見て落合は考えたのでしょうね。次はホームランもありえるな、おやじもそう思ったので、例の交代劇は得心できました。日本シリーズ7戦の戦略よりも「ボールに集中することが大事だ」と初めに言い切った言葉の結末にふさわしい交代だったと思います。センターフライを打たれた投手の1球の球威を見た監督の決断には他意はなかった。勝利を優先させたのではなく監督としてただ1球に集中していたのだと思います。

本質を言い当てて実行するような人は世間からはなかなか理解されませんね。それが落合です。そういえばこの方、名球会にも入ってらっしゃいませんねえ。爽快な孤独、落合博満氏。

治郎丸さんは野球少年だったそうですね。
王貞治のファンだったとどこかで書いてましたか?それはよかった、このおやじの正体をここではじめて明かしますが、わたくしは王貞治だったんです。これからは「王貞治からの手紙」ということでお願いいたします。

このおやじの世代は毎日寒くなって青洟(注青い色のはなみずで現代の人類からは分泌されない)が出るまで草野球をやってました。ガキの数も昔は多かったので2チーム18人なんてすぐに集まる。で、打席に入る前に必ずひとりひとり大声で叫ぶんですな。「1番セカンド、王」「2番ピッチャー、王」「4番サード、長島」そして、このおやじが「9番ライト、王」と叫べば、さすがに「てめーは黒江だろ、おやじ」なんてやじも飛んでましたかな。

そのころ堀内恒夫というピッチャーがいてこれも凄かった。150キロは超えているだろう速球に鋭く落ちるカーブ。当時はこれをドロップなんていってましたな。彼はこんなことを言って引退したんです。「ON(王長島)はきちんと書いてもらってないけど、俺はきちんと書いてもらったよ。」

何のことかというと伝記のことなんです。ONの伝記はうわべだけをなぞったものが多いけれど、俺はきちんとした作家に伝記を書いてもらって俺の人生を残せたぞ、というのです。ONと自分を並べてみせる堀内氏の強烈な自負心がうかがえるエピソードだと感心した覚えがあります。一度読んでみたいと思っていましたが、まだその伝記を手にしたことはありません。

怪物と呼ばれた江川卓氏の人生は伝記ではなく小説で読んでみたいなあと思っています。日本酒のCMで小林繁氏と江川氏が顔を合わせてますよね。ご覧になりましたか。CMでもおふたりの表情がとても硬く、うーむと考えさせられました。この辺りの経緯を書くとまたガラスの野球場になってしまうので止めときますね。

江川氏ほどスキャンダラスな半生を送ったスポーツ選手はいませんし、今後も現れることはないと思います。彼を巡るひとつひとつの事件の真相は問いません。が、その事件は彼が本物の怪物だったからこそ引き起こされたということだけは間違いありません。時代もONという怪物の後を襲う本物に飢えていた。

江川卓の最盛期は高校時代だったのではないかと今でも思っています。とにかく速い。何かで読んだのですがそれでもキャッチャーが捕球できるように加減して投げていたといいます。甲子園といえばチームワークだとか友情なのだが、江川卓はひとりで野球をやっていた。やっていたように思わせる、とても18才の少年とは思えない孤独感をにじませるマウンド。30年以上前のことですが、江川卓が敗れた甲子園は静かで、雨も落ちていたことをはっきり覚えています。

日本中を敵にまわしたことのある江川氏の人生がどんなものだったか、うーむとこれも考えさせられます。ただその孤独感はひとり図抜けた才能をもって生まれ、そして育った彼の幼少のころからずっと続いているようにおやじは思います。

そんな江川氏が共同馬主になった馬がレディゴシップ。ゴシップなんです。

今でもそうかもしれませんが、あの頃はプロスポーツ選手や芸能人の方が社台ファームの共同馬主になっておられました。ダイナという冠語のつく馬たちはことの他よく走って社台ファームの経営基盤を安定させました。ホームランキングのランディー・バース氏はダイナキングダムという馬の共同馬主。女優、南田洋子氏はダイナアクトレス。江川氏がゴシップと命名したのは、世間に対して少しすねてみせていたのかもしれません。

しかし、その名とはうらはらにゴシップは堅実に走りましたよ。月に1度は走ってたかなあ。そして賞金をいつもくわえて帰ってきた。タフな母系かもしれません。この一族から今回のマイルCSに2頭のエントリーがありました。コイウタとアグネスアーク。同一G1にひとつの母系が2頭の馬を送り込むといのは繁殖牝馬の数が増えた現代においては大変価値のあることですね。

袖ふれあうも多少の縁とはいいます。江川氏にとって人の縁も馬の縁も2007年は宿縁というものを感じさせた年だったのではないでしょうか。

アグネスアークには何かの印がいるんでしょうね。今年の天皇賞で外に弾き飛ばされても追い込んできた馬はやはり強い馬だと思っています。ただこの馬は体重を減らし続けているのが心配ですね。父の母系からも母からもタフな血を受け継いでいるのと、天皇賞のパドックは馬体を減らしながらもぎりぎりには映らなかったので、個人的には大丈夫だとは思っていますが・・・。

天皇賞で不利を受けた有力馬のなかで唯一最後の伸びを欠いていたのはDメジャーです。やはり彼の調子は下降曲線をたどっているのでしょうか。毎日王冠でもプラス体重とはいいながらおやじには馬体を戻しているようには見えませんでした。

カンパニーには今回厚い印が並びますね。天皇賞で思い切って○を打った馬なので個人的には買いにくくなりました。こういうとき印を打っても打たなくても外れるというのは競馬の不思議です。間隔を空けて使ったほうがよい馬だという意見がありましたが、おやじは晩成の器が完成したと思っています。天皇賞のパドックには既に一流馬の雰囲気を感じました。鞍上も一歩々々、父に近づいていると思いますよ。武騎手と安藤騎手をのぞいて、今おやじが積極的に買いたいと思っているのは福永騎手です。

メガワンダーは1発狙っているようなローテで参戦します。前走はいかにもひと叩きといった感じのレースで好感がもてました。レベルの高い世代の隠れた存在ですので侮れないと思っています。

スワンS組ではキングストレイルに魅力を感じます。人気を下げるのならば買ってみたい1頭です。

レディーゴシップの演出する2007年マイルCS、意外な結末が待っているかも知れません。

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◎アサヒライジング

Jiromaru

お手紙ありがとうございます。ウオッカは淡々と自らの道を歩んで行っているのですね。オークスを捨ててダービーを目指した角居師が「スカーレットにエリザベスで借りを返す」とは考えていない、というお考えにはナルホドと思わされました。そういう志の馬や人たちではないですよね。でもそのおかげで、古馬の女王を決めるエリザベス女王杯に相応しいメンバーが揃いました。ここにベッラレイアがいたら、なおさら華やかなレースとなったことでしょう。

そういえば、1週間お手紙のやり取りをしていないうちに、中日ドラゴンズが日本シリーズで日ハムを破って日本一に輝きましたね。最後は山井-岩瀬の継投で完全試合という劇的な幕切れでした。山井投手の完全試合を目前にした落合監督の采配に賛否両論が飛び交ったようですが、ルドルフおやじさんはどう思われました?野球少年だった私は、小さい頃からテレビの前に噛りつくようにしてプロ野球を観てきたわけですが、ああいう状況で投手を交代させたのは初めてだと思います。私は続投だと思っていたので、ピッチャー交代が告げられた時には少し驚きました。でも、その後に分かったのです。

あの日の山井投手のリズムと振れていない日ハム打線を考えると、あのまま投げさせた方が勝利の確率は高いことは落合監督も分かっていたはずです。ですから、「記録よりも勝利を取るのが監督の当然のミッション」というマスコミの意見には、大きな誤解が含まれていると思います。それでも代えたのは、山井投手の将来のことを考えてのことではないでしょうか。山井投手の肉体(肩)のことだけではなく、精神的な面も含めて、ここで完全試合をしてしまうことが山井投手ひいては中日ドラゴンズのために良くないと判断したのだと思います。

言葉ではうまく説明できないのですが、もし日本シリーズという大舞台で完全試合を達成してしまったら、その投手は精神的に燃え尽きてしまうのではないでしょうか。失礼な言い方になりますが、あの日の山井投手の投球は普段の実力ではなく、なにか神がかった極限の力を発揮していたように思えます。そういう形で大記録を達成してしまった、一本の線を越えてしまった投手のその後には何が起こるのか。落合監督はそのあたりを直感的に知っていたのではないでしょうか。

「宇宙からの帰還」(立花隆 著)の中に、月に降り立った宇宙飛行士のその後が書かれていました。アポロ11号でアームストロングに次いで人類2番目に月面にたどり着いたバズ・オルドリン氏は、その達成とともに人生の目標を失い、終には精神病院に入ったそうです。これは極端な例ですが、月面を描く画家になった人、普通の生活を送ることが出来なくなり離婚してしまった人、超能力研究者、宗教の伝道者、政治家など、極限の体験をした人たちには大きな内的変化が起こるようですね。

また競馬ではない方向に話が進んでしまいました。話を戻しましょう。

エリザベス女王杯の本命はミナガワマンナ、ではなく、◎アサヒライジングに打ちます。この夏を挟んで、ようやく立ち直ってきました。昨年のクラシックで頑張りすぎた影響だと思うのですが、今年の春は走る気持ちが失われていましたね。ヴィクトリアマイル(2着)までに少しずつ立て直してきて、良いタイミングで休養に入れたのだと思います。クイーンSはまだ太目残りでしたが、地力で押し切りました。府中牝馬Sは勝ち馬の切れ味に屈してしまいましたが、開幕2週目の馬場だけに仕方ないですね。外枠発走のロスもあった中、アドマイヤキッスやディアデラノビアの末脚を退けて、よく2着に粘ったと思います。

今回は軽いとはいえパンパンの馬場ではありませんし、アサヒライジング自身もペースを引っ張っていくでしょうから、切れ味勝負にはなりにくいはずです。京都の2200mは逃げ馬にとっては厳しいコースですが、私は逃げてしまっても構わないと思っています。下手に折り合って上がりの競馬にしてしまうよりも、自らのペースで4コーナーを回る競馬をするべきです。幸い今回は乗り慣れた柴田騎手に手綱が戻りましたし、主導権を握ると精密なラップを刻める騎手ですので安心して任せられますね。

そもそも、この馬がG1を勝っていないのが不思議です。桜花賞4着、オークス3着、アメリカンオークス2着、秋華賞2着、エリザベス女王杯4着と、自ら厳しいラップを刻みながらも、惜しいところで勝利を逃してきました。切れる脚がないので勝ち味に遅いのは分かりますが、体調も良く、古馬になって完成された今なら、逆に地脚の強さを生かして押し切ってしまう競馬が出来るはずです。この中間はビッシリと追い切りをこなし、この秋最高の仕上がりにあることは間違いありません。3歳馬に光が当たっているからこそ、強い古馬牝馬を狙う妙味も生まれますしね。こういう血統表にカタカナ馬名が並ぶ在来血統、しかも父、母の父ともにマイナー種牡馬という馬が活躍してくれると嬉しいですね。

対抗はというか、本来であれば本命に推すべきなのでしょうが、ウオッカには勝つためのお膳立てが整いました。休み明けをひと叩きして、調子はグンと上がってきています。ルドルフおやじさんのおしゃるように、秋華賞時はパドック写真を見ても少し薄く映りました。この中間のパドック写真をみると、筋肉が盛り上がってきていますね。私はスラっとした体、いや馬体が好みですので、4つ☆評価にしましたが、ウオッカはこういうゴツく見せる時の方が走っています。桜花賞は薄く見えましたが、ダービーはゴツかったです。

外々を回りがちな四位騎手も内枠を引いては、道中は好位でジッとしているしかないでしょう。折り合いの不安はまだ完全には解消されていないでしょうが、休み明け2戦目ということもあって、普通に出せば普通に走ってくれると私は思っています。アサヒライジングとダイワスカーレットがレースを引っ張るでしょうから、今度は脚を余すような流れにはならないはずです。この馬に初めて◎を打ったルドルフおやじさんも、大好きな私も安心して見ていられるのではないでしょうか。心配といえば、この前の手紙で書いた、ダービーを勝った後遺症を引きずっていないかどうかということです。ダービーという極限のレースを制した反動を振り切れるかどうかは、この馬の生命力に懸かっています。

ダイワスカーレットは非の打ち所のないとても強い馬ですが、前回の手紙で書いたとおり、前走で完全に仕上がっていたことによる反動を考慮して消します。もちろん、京都の2200mというコース・距離に対する適性の問題もあるでしょう。京都の2000mと2200mの間には、200mという距離以上に大きな差があります。内回りの2000mは高低差が3.1mであるのに対して、外回りの2200mは4.3mです。これは内回りコースが3コーナーにかけての坂を途中で曲がってしまう形になるためです。外回りコースは最後まで坂を登りきらなくてはならないので、200mの延長以上にスタミナが要求されることになります。ダイワスカーレットはこなせない馬ではありませんが、決して上向きではない体調のことを考えると、今回は苦しいレースになるのではないでしょうか。

スイープトウショウはマイルCSではなく、こちらに出てきました。今回で引退という話もありますが、最後までその強さを見せて欲しいですね。ハーツクライやタップダンスシチー、ゼンノロブロイを破った宝塚記念は圧巻でしたし、一昨年のエリザベス女王杯の末脚には鳥肌が立ちました。肉体面の強さだけ見ると、エアグルーヴやメジロドーベルに伍するものがあると思います。前走のパドックが案外良かったというルドルフおやじさんのお言葉には、スイープファンの皆さんも喜ばれるのでは。なかなか調教が上手く進まず、衰えも隠せませんが、それでも期待してしまうのは、この馬の持つ魔女としての魅力なのでしょうか。これだけ現役として走り続けた牝馬に、最後の声援と感謝を送ってあげたいと思います。

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ウオッカは淡々と自らの歩みを進めている

Rudolf

お手紙ありがとうございました。2強対決ムード一色に染められているエリザベス女王杯。体調さえよければこの2強は図抜けてますよね。ただウオッカに関しては春競馬の終わり方、スカーレットに関してはマイナス体重で走った反動が気になるというわけですね。

この辺りの判断はデリケートで本当にむずかしい。今年は春競馬の終わりの宝塚も秋緒戦の毎日王冠がともに激しい競馬だったので余計に考え込んでいるところです。オークスから直行したローズSで余裕ある仕上がりに見えたベッラレイア、おやじにはエリザベスまで大丈夫だな、と思えたのですが、秋華賞では気負いこんでしまってました。そして故障。案外春先のローテの狂いとオークスの激しい競馬がこたえていたのでしょうか。秋華賞3強のなかでこの馬こそ、将来を案ずべきなのかも知れません。

ウオッカの秋華賞のパドックは古いモノクロームの写真をみるようなぼんやりした印象を受けました。それに馬体も張ったところがなかったような気がしました。これはひと叩きして大きな変わり身が見込める馬体だと思います。気になったのはおやじの目には馬体が薄く映った点です。宝塚記念のダメージは本当に癒されたのでしょうか。調教とパドックは必見です。

角居師の言葉には慎重さがうかがえます。「ウオッカは能力の高い馬だから今はそのレベルを維持することに努めている」こういうニュアンスのコメントを秋華賞の前に読みました。春のコメントとは趣が少し違うかなあ。JCは使わずに慎重にやっていこうということでしょう。オークスを捨ててダービーを目指した角居師が「スカーレットにエリザベスで借りを返す」とは考えていないと思います。32回エリザベス女王杯からはウオッカの復讐物語は読めません。

ウオッカは淡々と自らの歩みを進めているようにおやじの目には映ります。体調はJCに挑戦しない程度のレベルを想像すればいいのかな。ただ治郎丸さんが手紙の最後で書いていたように、それでもウオッカがすごい馬だということは忘れないようにします。怖いのは淡々としたウオッカの歩みです。意外と気を張らずに騎手も乗れるんじゃないでしょうか。3番に入りましたね、馬の力を信じて先行策を採るでしょう。

スカーレットにとって、秋華賞との連覇のかかるエリザベスの勝利は大変価値のあるものとなりますね。この馬もおやじには秋華賞のパドックで薄く見えました。治郎丸さんのおっしゃるように馬体重もマイナスでの出走でした。デビュー以来最低の体重を記録したのですか。なるほど突然がくっときてもおかしくはありません。しかし、この馬の見方も実は難しいのではないかなとおやじは思っています。春はゴツゴツしてパワーを感じる印象でしたが、秋はいかにも切れそうな馬体に変化している。これを究極の仕上げととるか、馬が完成したととるか、うーむおやじにはわからない。

印象だけをだらだら書いてしまいましたが、京都2200Mの適性ではスカーレットはウオッカに1歩、2歩譲ることだけは間違いなさそうです。ウオッカがまずまずのコンディションならば両雄並び立たず、あれっ?牝馬だからなんというか、うーむ、いじわるした方が負けなのよ、ということになるかも知れません。

アサヒライジングは騎手が積極的に競馬をすればおもしろいと思います。昨年は厳しい競馬を強いられましたがよく粘った。地味ですが海外でも好走する実力の持ち主です。柴田騎手が乗るのかなあ、誠実な騎手で好感をもっていますが、スカーレットの出方をみてなんて考えないで、がんがん行ってほしい。底力のある血統なのできっと期待にこたえてくれるはずです。ライジングは美人じゃないからスケベ心は通用しませんよ。他の馬が音を上げるようなタフなペースをつくるといい。振り向くな振り向くな、という寺山修司の言葉におやじも励まされたことがありました。

スイープは調教がわりにスワンSを使いましたね。すでに6歳の秋ですので終わった馬と思われても仕方のないところですが、この馬の正体は魔女なので案外侮れないかも知れませんよ。ほら、おばあちゃんがサマンサです。「奥様は魔女」というコメディーのサマンサ。この馬券を買えるのも今回が最後かなあ。調教ができないと言われていたころの方がよく走っていた、という怖さがあるし、スワンSのパドックが案外よかった。魔女の馬券などめったに買えない、この馬を1着にした3連単を少々買いますよ、おやじは。

デアリングは最強世代の生き残りでさすがに強いところを今でも見せてくれています。彼女の母系にはニアークティックのクロスがあって今回の2200Mでは遠慮しておきます。ディアデラノビアは強いし怖い馬です。武騎手が乗るので馬券の上での妙味はないのでしょうが、コースも距離もいいと思います。これも最強世代の生き残りでね。ただこの馬の母系はこれから日本で発展していくはずの母系なので、この馬にG1勝ちを期待するよりも仔や孫に期待すべきだと思います。ああ最強世代なんて言葉も死語になるほど牝馬のレベルがあがっている。

「デ」のつく馬がもう一頭?、ディアチャンス。これも母系はいいですよ、エリザベス女王杯にゆかりのある血統です。この母系にかかっている種牡馬のラインアップは最高ですよ。この馬の仔や孫からG1ホースが出てもおかしくはありません。

デコルテは新最強世代で・・・あっ、最強世代って言葉やめましょうね、もう意味がない、これは父系のフォルティノに期待できます。母系もスティルインラブが出ている切れ者血統ですね。ウオッカの仕掛けは四位騎手の人柄を思うと必ず早くなるはずです。そのときものを言うのがデコルテの切れ味です。案外人気がないのですが、鞍上の腕と度胸とともに是非買ってみたいと思います。パンドラのタフネスよりこの馬の切れをとります。

うーむ、うーむ、治郎丸理論によって脳トレができました。馬券はトレないかもしれませんが結論を思い切っていきましょう!

◎ウオッカ    (この馬に◎をうってみたかった)
○アサヒライジング(ボアルセル最後の戦い、これを見ずして何をみる)
▲スカーレット  (とても強い、これを馬券の根拠として言ってみたかった)
△スイープ    (意外によかった前走のパドック、魔法は衰えない)
△デコルテ    (鞍上の度胸と馬の実力に妙味あり、来週もお願いね)

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ダイワスカーレットにとっては試練のレース

Jiromaru

お手紙ありがとうございます。エクリプスからボワルセル、ヒンドスタン、シンザンへとつながる大河の流れを、十分に堪能させていただきました。ルドルフおやじさんにかかると、難しい血統もまるで物語のように面白いなあ。

シンザンの父ヒンドスタンは、産駒が113もの重賞を勝ったように、日本で大成功した馬でしたね。この記録はサンデーサイレンスに次ぐ歴代2位です。ヒンドスタンはアイリッシュダービーを勝った後、種牡馬入りしたものの結果を残すことが出来ず、日本へシンジケートを組まれて輸入されました。

この時、おまけが付いてきたのをご存知ですか?ブッフラーという全く無名の種牡馬ですが、なんとヒンドスタンよりも先にダービー馬を出しちゃうんです。1960年のダービー馬、コダマです。母はあのシラオキですね。ブッフラーはコダマ以外には大物を出していませんので、母シラオキの繁殖能力によるところが大きかったのかなあ。

コダマもシンザンと同じ武田文吾調教師によって育てられました。「シンザンはナタの切れ味、コダマはカミソリの切れ味」と後に評されたように、シンザンが持続力に優れた馬だったのに対し、コダマは瞬発力を身上とする馬でした。お尻のもの凄く大きな馬だったそうです。その名前の親しみやすさもあったのか、超特急コダマの名は普段は競馬など見たこともない人たちの間まで浸透していき、競馬ブームが起こり始めたのはこの頃からだったとされています。コダマは人々の期待に応え、無敗でダービーを制し、「トキノミノルの再来」とまで言われました。

Kodama

そして、その4年後にシンザンが登場するのですね。シンザンの競走馬としての栄光は語るまでもありませんが、種牡馬としては意外に苦労した馬だったのですね。それでもミナガワマンナやミホシンザンなどたくさんの名馬を出しているのですから、偉大な名馬です。そうですか、ミナガワマンナはボワルセルの末裔なのですね。私も古い人間ですので、ぜひともミナガワマンナ、いやアサヒライジングを応援したいと思います。

私がかろうじてシンザンの栄華の残り火に触れたのは、マイシンザンという馬でした。ミホシンザンの産駒で、獅子のようなタテガミを揺らし、ワッサワッサと走る豪傑だったことを憶えています。私の中で最も印象に残っているのは皐月賞ですね。3コーナーから4コーナーにかけて、幻のダービー馬と呼ばれたガレオンと互いに斜行し、何度も何度も馬体をぶつけ合いました。まるで力士のぶつかり稽古のようでした。

おかげでマイシンザンは惨敗してしまうのですが、次走のNHK杯ではガレオンにきっちりと借りを返します。借りを返して燃え尽きてしまったのか、ダービーでは4番人気に推されたものの惨敗してしまいましたね。その後は屈腱炎との戦いでしたが、松永幹夫騎手がナリタブライアンの騎乗依頼を断ってマイシンザンに乗ったほどで、脚元さえ悪くなければG1のひとつやふたつは獲れた馬だったと思います。

話は戻りますが、マイシンザンとガレオンがぶつかり稽古をした皐月賞で、その争いのもっと後ろから光速の寄せをみせたのが武豊騎手のナリタタイシンでした。まるで届かない位置からの差し切りで、テレビがウイニングチケットばかりを映していたため、まるで画面の外から飛んできたような感じがしました。あの頃から、誰しもが武豊騎手をアイドルではなくトップジョッキーとして見るようになったのではないでしょうか。

そういえば、武豊騎手が3000勝を達成しましたね。「こんなにあっさりしてすいません」なんて余裕のコメントで、あくまでも通過点という気持ちが強いのでしょう。武豊騎手の最大の長所は「目」、だと田原成貴元ジョッキーが語っていました。視力が良いということではなく、レース中におけるポジショニングや、レースの流れを読む「目」が優れている。他の部分部分では武豊騎手に勝っている騎手は何人もいるのですが、この「目」という部分では他の人を大きく引き離してナンバーワン、世界にも十分通用すると。天皇賞秋の直線で不利を受けることもなく、メイショウサムソンをスムーズに勝利に導けたのは、この「目」によるところが大きいですね。

さて、エリザベス女王杯です。今年は3歳馬のレベルが高いので、秋華賞の再戦のムードが漂っています。秋華賞を楽勝したダイワスカーレットに、ダービー馬ウオッカが挑み、その間隙を虎視眈々と古馬勢が狙うといった図式でしょうか。

ダイワスカーレットは本当に強い馬ですね。前にも書きましたが、この馬の強さは素軽いスピードの持続力にあるので、少々上がりが掛かるぐらいの流れの方が合っていると私は思っています。ですので、スローでヨーイドンの瞬発力勝負になると分が悪いのですが、そういった流れになりそうな中でも常に勝ち続けてきているのは、鞍上の安藤勝己騎手のスパートのタイミングが絶妙だからでしょう。最後まで止まらないダイワスカーレットの能力を信頼して、勇気を持って早目から動いて行っていますね。兄ダイワメジャーにも乗って結果を出してきた経験も大きいと思います。

ダイワスカーレット自身、前走でも示したとおり、緩急のある流れにも対応できる馬です。エリザベス女王杯の流れに乗られるでしょうし、200mの距離延長も全く気にならないでしょう。京都の2200mコースはスタートから最初のコーナーまでの距離も長いので、無理することなくスッと先手が取れるはずです。道中はキッチリと折り合って、あとはペースに応じてどの時点から動けばいいかを判断するだけです。ウオッカに比べると、主導権を握れる、自らレースを作れるという点においては一日の長があります。こうして見ると、ほとんど非の打ち所のない馬ですね。

しかし、今回のエリザベス女王杯に限っては、ダイワスカーレットは負けると思っています。その理由は前走の秋華賞を-6kgの馬体重で勝った反動です。春と比べ体質が安定したということが大きいのでしょうが、しっかりと乗り込まれ、細く映るくらいビッシリと仕上げてきていました。この馬としては究極の仕上げにあったのでしょう。あれだけのレースが出来たのも頷ける気がします。しかし、秋華賞を勝ちに行った反動が、ここで噴出してしまうのではないでしょうか。

松田国調教師は、「ローズSの後より心身ともに回復が楽だった」と語っていましたが、にわかに信じることは出来ません。ダイワスカーレットぐらいの超一流馬になれば、どんな体調にあっても肉体的、精神的にもしっかりしているもので、普段の動きや調教から疲れが見えないこともよくあります。もちろん、ダイワスカーレットが全てを超越するだけの強さを身につけているのであれば、ここもあっさりと勝ちあがってしまうでしょう。ただ、私としては、ダイワスカーレットにとっては試練のレースとなると思います。

それに対して、前走よりも全てにおいて上向きで出走してくるのがウオッカです。ひと叩きされた効果は必ずありますし、距離延長も望むところでしょう。前走の秋華賞で折り合いに専念して、ゆっくり行かせたことも、今回のレースではプラスに出るはずです。これで逆転というパターンは、競馬の歴史で幾度となく繰り返されてきました。おそらく、今回はダイワスカーレットを逆転する可能性はかなり高いはずです。そのために陣営もジャパンカップを回避してまで臨んできていますし、ダイワスカーレットに勝つことがウオッカと四位騎手に課せられた至上命令です。今回は徹底的にダイワスカーレットを意識してマークしてくるはずです。

ただわずかに不安に感じるのは、秋華賞の手紙にも書いたとおり、ダービーを勝ったことによる疲れを引きずっていないかどうかということです。最近のダービー馬は、秋緒戦だけではなく、秋シーズン全体を通して、勝てそうで勝てないレースを続ける馬が多くいます。唯一巻き返したのは、菊花賞4着の後、ジャパンカップを制したジャングルポケットですが、あれは極めて珍しいパターンでしょう。叩いて秋2戦目ともなれば、肉体的には回復してきているのですが、精神面で疲れが残っていて最後まで伸び切れないのです。秋華賞では展開に恵まれなかったとはいえ、レインダンスを交わしきれなかったあたりに精神面での不安を感じます。

そういえば、秋華賞の4コーナーで写真を撮っていたPhotostudが、「ウオッカが4コーナーでマクって来た時の勢いは凄かった。あのディープインパクトほどではないけど、ちょっと衝撃的なスピードだった。さすがダービー馬だね。」と言っていましたよ。もしかすると、私の心配など杞憂に終わるかもしれませんね。

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ミナガワマンナは生きています。

Rudolf →ルドルフおやじってどんな人?

エリザベス女王杯はその名に相応しい良血馬の勝つレースですね。

お世辞にも良血と呼べないのはグリーングラスの娘リワードウィングと、キョウエイタップかなあ。ただウイングの勝利は種牡馬グリーングラスの名をG1の歴史に残したのと、Mサムソンの祖母アサクサスケールを2着に退けたという点でたいそう価値のある勝利だったと思います。勝ち時計も当時としては優秀でさわやかな印象がこの馬には残っています。キョウエイタップのことはどうしても思い出せない。たまにこんな馬もいますねえ。

ホクトベガを良血というかどうかは、血統を見る人によって意見が分かれるところでしょうね。レディージョセフィンの名を彼女の血統表の中で見た瞬間、おやじなんかは手を合わせて拝んでしまいます。この血を失ったというのはあまりにも悲しい。

リンデンリリーはどうか、クインナルビーの一族なんですね。オグリキャップに始まったこの血の復活はとても印象的だった。亡くなった岡潤一郎騎手がのってらっしゃいましたね。リンデンリリーからはヤマカツリリーが出て岡騎手の名を今でも思い出させてくれています。

最近のエリザベスを勝つ馬は本当に良血がそろってますね。人気馬では、メジロ菩薩の三代目ドーベルが2勝、エアグルーブの仔Aグルーブが2勝、穴馬ではSチトセオーの妹Sキャンドル、というように人気馬であろうが、穴馬であろうが良血馬が強い、そしてついに昨年はエルグランセニョールの母セックスアピールの孫が勝ちました。調教技術が向上して、良血馬にも強い調教が施されるようになったからなんでしょうね。ひと昔前は良血牝馬といえばまさに箱入り娘だった。悪い意味で可愛がられていた。

そういう点でいうとアサヒライジングってのはどうなのかなあ。決して良血ではない彼女が今年のエリザベスを勝つのは難しいのかもしれませんね。良血でもないし小町娘でもない、オカメじゃあないが人が寄ってくるタイプじゃあない。でも実に健気じゃあないか、堅実に走って父の名を広めている。まさに「家貧しゅうして孝子出ず」のたとえどおりですね。たぶん◎は打たないと思いますが、情にほだされますなあ。今回も掲示板は外さないでしょう。タフな流れを作り出すとおもしろいかも知れない。

おやじは彼女がなぜ強いか知っているんですよ。それは彼女がミナガワマンナだからなんです。ミナガワマンナを覚えていらっしゃいますか?シンザン晩年の傑作にして初のクラシックホース。ミナガワマンナが彼女の母父です。

シンザンは内国産種牡馬として大変苦労した馬です。シンザンが種牡馬になったころからナスルーラ系の種牡馬が台頭してきて、3冠馬のシンザンであっても決して繁殖牝馬に恵まれていたわけではありません。それでいてリーディングの上位に常にいて晩年にクラッシックホースまで出したシンザンはやはり偉大な種牡馬です。因みにシンザンの父系はヒンドスタン→ボワルセルとたどるセントシモン(セントサイモン)系でしたね。

Mrシービーやルドルフがシンザン以来の久々の3冠馬として脚光を浴びる直前だったと思いますが、本格派の対決と賞せられる戦いがありました。一方の雄はアンバーシャダイ。父はNテーストでしたね。日本の古い血統と決別して新時代を築こうとする社台牧場の決意を象徴するような血統と馬格の持ち主でした。一方はミナガワマンナ。父シンザン、母系はオートキツなどで有名なマンナ系、脈々と続く在来の血を受け継いでいます。いかにも鍛えられた血の結晶のような馬格の持ち主でした。

両馬とも先行して更に脚をのばしてゆく競馬を得意としていました。この底力みなぎる両馬の対決を「本格派の戦い」とファンは褒め讃えていたのです。両雄はアルゼンチン共和国杯などであいまみえましたが、ほぼ互角の勝負だったと思います。ただAシャダイは60キロを背負わされることもありました。

既に歴史の彼方に置き忘れられた感のある対決ですね。当時のファンの方でも思い出せない方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。しかし今思い返せば凄い血の対決でした。捨てられようとしている血が主流血脈に最後の戦いを挑んだのですから。

ヘロド(ルドルフの祖)、マッチェム(サニングデールの祖)そしてエクリプスを3大基礎種牡馬というのですか。1935年はネアルコとボワルセルの2頭の名馬を世に送り出して、3大基礎種牡馬のうちの1頭、エクリプスの血の優位を決定づけた年です。現在のサラブレッドの父系の98%以上はエクリプス系ではないかなあ、いやそれ以上か。

アンバーシャダイはネアルコの末裔、そしてミナガワマンナはボワルセルの末裔です。

ネアルコは14戦不敗の名馬にしてチャンピオンサイアー。イタリア生まれでしたね。ボワルセルは英ダービー馬。両国の誇りをかけて両者はパリ大賞典であいまみえ、ネアルコはボワルセルを3着に退けます。種牡馬としても両者は激しく競い合いました。ボワルセルは1度だけネアルコを退けてリーディングに輝いています。ネアルコはご存知のようにNダンサーやターントゥ、ナスルーラを介して現在の一大父系を築き上げていますね。

ボアルセルもミゴリやテヘランを送り出し、さらに快速馬ギャラントマンなどへ続いていく父系を築きました。しかし、ギャラントマンの種牡馬成績は期待外れに終わり、ボワルセルの血は急速にネアルコに圧倒されていきます。ただ日本だけは例外で、ボワルセルが送り出した、愛ダービー馬、ヒンドスタンの活躍に助けられ、その血は絶えることはありませんでした。

1935年に生まれ、競走馬としても種牡馬としても覇を競ったネアルコとボワルセル。半世紀後の1982年、ネアルコはアンバーシャダイと名のり世界の果てまで、まるで隠れ潜んでいたものを暴き出すかのように、ボワルセルを追いかけてきたんですね。ボワルセルはミナガワマンナと名のって久々のクラシック制覇の美酒に酔いしれていたところでした。ちょっと怖い話でしょ。これが血の争いなんです。寛容なんていうものはどこにもありません。アンバーとミナガワ、本当はどっちが強かったかって、このおやじにはアンバー優勢に見えたなあ。

1980年代の日本はネアルコ系の父親たちが他の父系を次から次に駆逐していった時代です。先日の菊花賞で掲示板にのった馬はすべてネアルコの末裔たちですね。若いころのおやじがアンバーシャダイとミナガワマンナの血の争いに気づいていたかって?当然ボーッとして見過ごしていたのでご安心をば。

ああ、9月11日、ミナガワマンナも死んじゃいましたねえ。でも、どうですか、何かの歌みたいに死んでなんかいません~と歌ってもいいじゃないですか。アサヒライジングの母系にミナガワマンナは生きてますよ。おやじはサラブレッドの母系に滅んだものの嘆き節を聞いているわけです。

さて今回のエリザベス女王杯、スカーレットの作り出すタフな流れにミナガワマンナ、失礼Aライジングはどんな抵抗をみせるのでしょうか。1935年に始まった戦いの本当の終末をしっかりと見届けたいと思います。

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◎ダイワメジャー

Jiromaru

我らがPOG馬である、サムワントゥラブとエイシンチーターが京都の3Rで仲良くツー、フォーフィニッシュ(2着4着)を決めましたね。詰めが甘いのはいかにも私らしいのですが、2頭が揃ってデビューできただけでも嬉しい限りです。これで香港も見えてきたかなぁ。

ルドルフおやじさんの「本格化馬恒常的好走伝説」、しかとお受けしました。本格化した一流馬に大崩れはない、どんな条件でも走り抜いてしまうということですね。まさにその通りだと思います。そして、タマモクロスを見つけてくるとはさすがですね。過去10年より前に歴史を遡ると、実はテイエムオペラオー以外にも宝塚記念→天皇賞秋を連勝した馬が1頭います。それがあの時、7連勝中とまさに本格化していたタマモクロスですね。しかも、宝塚記念から天皇賞秋はブッツケでしたから驚異的です。上がり馬が天まで昇って行った良い例だと思います。

しかし、それはまだ宝塚記念が6月の頭に行われていた時の話でもあります。宝塚記念は平成8年に開催日程が7月の頭に移行し、現在は6月の末で定着していますよね。開催時期が1ヶ月ほど後倒しになったことで、宝塚記念で激走した馬が秋の緒戦に完調で出てくることが難しくなったような気がします。そして、無理をして出てきたばかりに、その後のレースに支障をきたしてしまうというケースが多くなったのではないでしょうか。せっかく「宝塚激走馬秋下降曲線説」と命名していただきましたが、「宝塚記念激走馬秋調整困難説」とした方が分かり易いかもしれません。

宝塚記念で激走した疲れを秋シーズンまで引きずる馬がいることに私が気付いたのは、おそらくグラスワンダーが毎日王冠を辛勝した時だったと思います。宝塚記念でスペシャルウィークを力でねじ伏せて休養に入り、秋緒戦の毎日王冠を勝つには勝ったのですが、そのレース内容はとてもグラスワンダーらしくないものでした。その後、グラスワンダーは左肩のハ行を起こしてしまい、ジャパンカップを回避しました。疲れが癒えた有馬記念では、再びグラスワンダーらしい走りを見せてくれましたが、毎日王冠時の精彩を欠いた走りは今でも忘れられません。

思い返してみると、マヤノトップガンは秋緒戦である産経オールカマーでアッと驚く凡走をしました。もちろん、春シーズンを天皇賞春で早めに切り上げたサクラローレルとは仕上がりの違いもあったのでしょうが、牝馬2頭にも遅れを取ったことは、単なる休み明けということだけではない、明らかな体調不良が感じられました。その次の天皇賞秋では、一度使ったこともあってか、少し立ち直っていました。私は2000mという距離であったことが、逆にマヤノトップガンには刺激になっての好走だったとも思います。その後の、有馬記念ではまたらしくない凡走をしてしまいました。精神的にも疲れがあって、気力がないような走りに私の目には映りました。

ルドルフおやじさんは、ディープインパクトの凱旋門賞の遠因として、宝塚記念に出走して勝ったことを挙げられていますよね。私もそれはあると思います。そして、これはあまり大きな声では言えないのですが、もしかしたらサイレンススズカが天皇賞秋を最後まで走りきれなかった遠因として、宝塚記念を勝ったにもかかわらず、秋緒戦の毎日王冠でもあれだけの走りをしてしまったことにあるのではと考えてしまうことがあります。橋田調教師に言わせると、サイレンススズカの毎日王冠はかなりの急仕上げだったそうです。エルコンドルパサーやグラスワンダーが出るということで、レースを盛り上げるために、少し無理をして出走させたのですね。そういえば、もうすぐサイレンススズカの10回目の命日ですね。

私も偉そうに書いていますが、競馬がひとつの切り口でスパッとやれるとはこれっぽっちも思っていませんよ。白か黒か分からないグレーの霧の中で、いつも彷徨うのが競馬だと思っています。ひとつの切り口の裏には、全く別の切り口が隠されていることが多いですよね。たとえば今回、「宝塚記念激走馬秋調整困難説」の裏には「本格化馬恒常的好走伝説」がありました。そして、実はこのどちらの説も正しいのだと思います。アドマイヤムーンは、シーズンオフに近い宝塚記念で激走した疲れが完全には回復していないでしょう。それでも本格化した今ならば、圧倒的な能力の高さで他馬を差し切ってしまうかもしれません。私たちが頭で考えるよりも、現実はもっと複雑で豊かなのだと思います。

しかし、そんな不確実な状況でも、白か黒かを選ばなければならないのが競馬です。せっかく挑まれた勝負ですから、私も受けて立ちましょう!宝塚記念で激走したメイショウサムソンとアドマイヤムーンの2頭は思い切って消しますよ。どんな結果が出ても恨みっこなしで。

本命は◎ダイワメジャーに打ちます。宝塚記念での惨敗は、ドバイ遠征→安田記念快勝という疲れ(反動)がガタっと出てしまったもので、6歳馬という年齢を考えても仕方ない結果だったと思います。出張馬房が騒がしかったという外的要因もあったようですね。「宝塚記念激走馬秋調整困難説」から逆に言えば、あそこでほとんど走っていないからこそ、順調に毎日王冠をステップとすることが出来たということです。その毎日王冠は極端なハイペースを前々で追走し、59kgを背負って最後までよく粘り通していました。最終追い切りの時計が遅いことが心配されていますが、ダイナミックな動きを見る限り、全く心配はありません。願ってもみない外枠を引き当てましたので、レースの流れにスムーズに乗っていけるはずですし、渋った馬場で他馬の切れ味が削がれることも、この馬にとって有利です。

もちろん、サラブレッドにも人間にも必ず衰えがあります。サラブレッドの場合、特に精神面から衰えていきます。最後まで頑張り通せなくなってしまうのです。ノド鳴りでほとんど走っていなかった間はあったとしても、この馬は3歳の頃から一戦級で活躍し続けている馬ですので、ピークであった昨年の勢いをどこまで維持し続けることができるのかという心配は当然あると思います。そのピークは半年とも1年とも1年半とも言われます。しかし、ルドルフおやじさん風に言うと、これはとてもデリケートな問題です。馬には個体差がありますので、全ての馬が半年とか1年とか1年半で力が落ちるとは限りません。私が精神的な疲労を心配したその裏には、もしかしたらダイワメジャーは常識の壁を超えていくのではという期待もあるということですね。今年47歳にしてまだまだ勢いを失わない安藤勝己騎手がこの馬に乗るというところも、また面白いところです。


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「本格化馬恒常的好走伝説」ムーンで勝負

Rudolf

お返事ありがとうございます。
宝塚を目一杯走った馬は、秋、不調に陥ることがあるというお話ですね。

馬券を買う立場のおやじでもこういうことがある。春バンバン当てたのに秋はサッパリ。春の快走馬のイメージに引きずられて、秋も同じ馬を買い続けていたのですな。一度の成功体験にのっかかってしまうのがそもそもの失敗の始まりだな。

治郎丸さんが例に挙げたスイープトウショウはずばりこの例に当てはまるんじゃあないかなあ。宝塚で凄い切れを見せた年の秋、後肢が流れるようなパドックの歩様でした。それでもそこそこの成績を残すのだからこの馬は強い。

他の例はどうか。少し違和感を覚えるものもありましたので、敢えて書かせてもらいます。G1で何度も好戦するというのは超のつく一流馬の証です。ハヤヒデやワンダーは超がつきますね。その他の馬はどうですか。必ずしも超のつく実力馬ではない彼らの敗因を能力に求めるのか、体調に求めるのかは実にデリケートな問題です。トップガンは天皇賞(秋)でバブルガムに半馬身差で退けられています。しかしバブルガムの東京2000Mの適正の高さを考えるとこれは好戦だったといえるのではないでしょうか。トップガンは秋の緒戦、調子は良かった? おやじはドトウには超一流馬のイメージをついにもつことはできませんでした。彼が入着を繰り返した秋の戦いをどう見るかも案外難しいことではないでしょうか。

昨年の春、ディープが目を見張らせるような天皇賞の勝ち方をしました。おやじはあの後宝塚を使ってはほしくなかった。ディープといえども最高のパフォーマンスを見せた後ですからねえ。凱旋門の敗戦の遠因のひとつはここにもあったかなあと思っているんです。

じゃあ、今回の3強と言われる馬をどうみるんだという話ですよね。

Aムーンは今年の2月の京都記念で化けましたね。それまではいかにも切れそうな繊細な馬体をしていました。昔から言われているパドックの格言に、巨体馬は小さく、小さな馬は大きく見せているときが買いだ、というのがありますね。Aムーンは決してちびっ子ではありませんが、このときは裕に500キロ以上はあろうかというくらいに大きく馬体を見せてました。

武騎手がドバイでAムーンに先行策を指示したのは馬が完成したからですね。タフなレースをしても今のムーンならば、とムーンの力に賭けたわけです。ムーンも見事期待にこたえてくれました。そして香港で3着、宝塚で1着。海外であのようなレースが出来るというのはすばらしい強さです。こういうように本格化した一流馬に大崩れはないんだと思っています。タマモクロスがそうだったような気がします。春馬体を減らし続けて宝塚記念を勝って休養に入った彼は、天皇賞(秋)でオグリを叩いています。ただ気になるのはムーンが香港Cを強行軍で使ったことですね。余計な一戦だった可能性は捨て切れません。

サムソンはどうか?この馬の売りはその名の通りの怪力と狂ったような悍性ですね。こういう馬は多少調子が悪くとも、たとえば昨年の菊花賞のように頑張ってくれるもんだと思っています。これは治郎丸さんのお返事にある通りです。サムソンが、「こんなのやってられっかー、てめーらのために生きてんじゃねえんだぞ、おりゃあ帰って酒くらって寝るわ」という気分のときにはパドックできちんと教えてくれるはずです。きっとふてくされているはずです。サムソンてえのはそういう馬ですから、負けるときは4、5着に負けるんじゃなくて惨敗になるんでしょうね。今回、武騎手は番手を外して後ろからDメジャーに迫るかもしれませんよ。先行馬のイメージが定着してますが、1ハロンの切れなら、きさらぎ賞のゴール前で見せたように一流のものをもっています。母系にはフォルティノが入ってますからね。武騎手がどんな作戦をとるか、興味は尽きません。

前回の手紙で少し触れたようにDメジャーに関してはおやじも一抹の不安を抱いています。体調不良明けの激走、パドックを見てもこの馬にしては薄く映りました。一方で妹の秋華賞でのパドックも同様に薄く見えた。ありゃりゃあ、おやじの目は当てにならんがやはり心配ですなあ。しかし前走は本当に強い競馬をしました。クリムゾンサタンに支えられた母系の底力は簡単に萎えるものではありません。6歳の秋を迎えた今ならマイルより2000Mの方が競馬がしやすいかもしれません。昨秋のピークの次にもう1つのピークが聳え立っているかもしれません。なんとも怖いタフな血統です。これは「辞めてやらあ、辞表はここおいとくぞ」と言ったときでも掲示板は確保して、にやっと笑うタイプです。うらやましい!

じゃあ、おまえは何が言いたいのかって話ですよね。

ひとつの切り口でスパッとやるのはあまりにも惜しいレースが今回の天皇賞じゃないか、というお話でした。というわけで、治郎丸さんの「宝塚激走馬秋下降曲線説」に対して「本格化馬恒常的好走伝説」という切り口で◎をムーンにしておいて、久々に治郎丸さんと勝負だ。楽しいねえ。

体調に不安のないのは、待ってました、4番サード長嶋茂雄。チョウサンですね。この馬のローテはいかにこの馬が大切に使われているかを物語っています。毎日王冠を勝ったのは決してフロックでないのは、陣営のコメントの通りです。確かに前走は先行馬には厳しい流れでした。しかしこの馬は後ろで遊んでゴール前のおいしいところだけつまみ食いしたわけではない。レースの流れにのってきちんと追走してました。そもそもDメジャーを差しきるというのは並みの力じゃない。2走前にマイルのレースを使ったことで天才は目覚めたか。それに7代前はラフショッドとは驚きですよ。ラフショッドの娘の名牝ソングには直接つながらないがソングの一族には違いありません。なるほどあのハイペースを差し切るほどの底力だ。人気の高い牝系で何頭か繁殖牝馬が輸入されてきたが、チョウサンの一族からは目ぼしい馬は出てませんよ。待ってました、4番サード長島、というわけだ。こういう牝系からはいつかでるんですよ、長島クラスの大物が。見事にパワーとスピードの調和のとれた馬です。まさに長島茂雄。天覧試合といえば長島のホームランです。

ところが今年は天皇陛下の行幸はない。そこで登場するのが我友カンパニー。何でおやじのおともだちが出てくる。まあいいじゃあないですか、クラフティーワイフのパワーと晩成の血を受け継いでいるんですから。これもパワーとスピードの調和のとれたすばらしい馬なんです。関屋記念の勝ちっぷりは尋常ならざるものです。次に重い印を打つなら今回打っておくのが馬券のセンスというものですが、ナンセンスといわれるかもしれませんね。それでも○です。

シャドウゲイトは有馬記念にでるのなら印を用意しておこうと思える強い馬です。有馬記念まで爪を隠しておいてほしいものですが、今回も×を打っておいて、年末嫁さんに、おやじは天皇賞から印をうってるんだぞ、とさんざん自慢してやりたいと思っています。忘れられた名牝、グローバルダイナの出る母系。いつか必ず大仕事をやってくれるはずです。

また長話になってしまいましたね。まとめます。
ムーンとカンパニーの馬連とワイドで勝負です。

◎アドマイヤムーン「本格化馬恒常的好走伝説」
○カンパニー(遅れてきたおともだち)
△チョウサン(隠れた良血)
△怪力サムソン(狂おしい悍性)
△ダイワメジャー(真紅のスピード、クリムゾンサタン)
×シャドウゲイト(待ってろ、嫁さん?)
重馬場でも晴れでも印は変わりません。晴雨不問が名馬の条件です。

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メイショウサムソンは良馬場でこそ

Jiromaru

先日の手紙の続きになります。

ダイワメジャーの不安点は、これはよく挙げられていることですが、精神的な疲労です。サラブレッドの精神的なピークが続くのは、およそ1シーズン、長くて2シーズンだと私は思っています。G1レースのような激しいレースを連戦すると、サラブレッドは肉体的にだけではなく精神的にも消耗します。サラブレッドが走らなくなってしまう原因は、肉体的なものよりも、精神的なものが大きいですね。いわゆる“燃え尽き”ということです。燃え尽きてしまった馬の特徴として、ゴール前での踏ん張りが利かなくなります。レースで最も苦しい最後の叩き合いでは、他馬に抜かれまいとする気持ちが何よりも大切になります。燃え尽きて、気持ちが萎えてしまっている馬は、あっさりと負けてしまいます。肉体的には走られるので好走はするのですが、最後の詰めのところで、体ひとつふたつ前に出ることが出来なくなるからです。

昨年の秋シーズンのダイワメジャーには鬼気迫る強さがありました。ルドルフおやじさんと同じ意見で、もしジャパンカップに出走していたらディープインパクトを最後まで苦しめたはずだと思っています。距離が長かった有馬記念でも3着と走っていますし、まさにこの馬にとってのピークのシーズンでした。そして、今年の春も立派な走りを見せてくれましたね。ドバイではアドマイヤムーンに負けてしまいましたが、3着の成績は立派だと思いますし、安田記念は楽勝でした。長い目で見ると、3歳の皐月賞をも勝っているのですから、本当に素晴らしい馬です。けれども、生涯最高の出来であった昨年以上の走りが、また出来るかというと疑問です。精神的な燃え尽きが、最後の最後でダイワメジャーの脚色を鈍らせるような気がします。

3強の中では、これといった不安点がないのがメイショウサムソンです。この夏は、凱旋門賞への挑戦プランもあって、放牧に出されず厩舎で過ごしました。宝塚記念の疲れも癒えて、さほど馬体を緩めることなく調教を続けてきました。馬インフルエンザに罹ったとはいえ、幸いにしてほとんど調教を休ませていませんし、調整の狂いという点では全くといってよいほど心配はないでしょう。この秋は3戦(天皇賞、ジャパンカップ、有馬記念)する以上、今年の春シーズンのことを考えても4戦はしたくないはずで、この天皇賞秋から始動するのが妥当だと思います。気持ちで走る馬なので、休み明けもほとんど問題ないですし、むしろゆったりと余裕を持って調整してこられたのではないでしょうか。

ひとつだけこの馬の不安点を挙げるとすれば、道悪になることです。この週末は雨が降る可能性があるとされていますので、もし道悪になった場合、この馬にとっては厳しいレースとなるでしょう。これは結構誤解されていることですが、メイショウサムソンは決して道悪が得意な馬ではありません。力の要る荒れ馬場は得意ですが、どちらかというと道悪は苦手な部類に入るのではないでしょうか。

私も意外に思ったので覚えているのですが、確かきさらぎ賞の時、石橋騎手が「こういう馬場は苦手なので、良いところを選んで走らせた」と語っていました。能力の高い馬なので、多少の渋った馬場ならばこなしてしまいますが、道悪までなってしまうとどうでしょうか。宝塚記念は、早く動いたこともありますが、道悪だったことも大きな敗因だったと思います。メイショウサムソン陣営としては、是非とも良馬場でやりたいはずです。事前に予想をするだけに、当日の馬場を把握することはなかなか困難ですが、雨が降って道悪になるようであればメイショウサムソンも苦しいのではないでしょうか。

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3強はかなりアヤシイ

Jiromaru

菊花賞は残念な結果になってしまいましたね。ロックドゥカンブの力を買っていた私は、悔しくて悔しくて久しぶりにふて寝をしてしまいましたよ。

競馬を始めた頃は、馬券が外れると悔しくてよくふて寝をしたものです。馬券を当てたいという見栄ばかりで、なかなか当たらない現実とのギャップにいらだっていたのかもしれません。今から思い返しても恥ずかしいのですが、当たったら当たったで○戦○勝!とか回収率○○%!とか言いふらして、自慢ばかりしていました。自分の都合の良いところだけを取り出していただけなんですけどね。その頃は1点予想で外してばかりいた井崎修五郎先生をバカにしていましたが、今となっては先生の偉大さがよく分かります。自分の負けを認めることができるか、外れてもガッハッハと笑い飛ばせるかどうか、そして自己批判できるかどうかを、競馬は私たちに問うているのですね。反省。

シンボリルドルフは負けられない馬だったのですね。私はまだ小学生ぐらいでしたので、ルドルフの凄さを生で観たことはありませんが、その当時の競馬ファンの熱気とパニックがお手紙からも伝わってきました。期待を一身に背負って走った天皇賞秋でギャロップダイナにまさかの敗北、「あっと驚くギャロップダイナ!」ですよね。東京競馬場はもちろんのこと、大阪球場横の場外も、静寂に包まれたのですか。あのレースの後、ルドルフは馬房に戻り、瞳から涙を流したといいます。よほど悔しかったのでしょう。私たちだけではなく、サラブレッドも負けたら悔しいのですよね。

私にとっても、シンボリルドルフはえも言われぬ魅力を持った馬であることは確かです。それは何よりも、私が尊敬してやまない故野平祐二調教師が管理されていた馬ということ。そして、父パーソロン、母の父スピードシンボリという血統。最後にトウカイテイオーの父であるということが理由だと思います。

パーソロンはシンボリルドルフの父として有名ですが、今は亡きシンボリ牧場の故和田共弘オーナーの名を不動のものにした名種牡馬でもあります。実はパーソロンが故和田共弘オーナーによって日本に輸入された当初は、短距離血統と決め付けられて、あまり注目される存在ではありませんでした。しかし、産駒のメジロアサマが天皇賞を制したのをきっかけとして、カネヒムロから4年連続でオークス馬を輩出し、サクラショウリでダービーをも制覇しました。故和田共弘オーナーのパーソロンに対する思い入れはもうハンパではなく、麻雀をする時でさえ“パーソロンルール”というのがあったそうです。どんな形であれ八索(パーソー)で上がれば、一翻高くなるパーソ・ロンということですね。

ルドルフの母スイートルナの父スピードシンボリは、“祐ちゃん”こと故野平祐二調教師が最も愛した運命の馬です。野平調教師がジョッキーだった時、アメリカ、イギリス、フランスを共に戦って回った、海外に挑んだパイオニアの1頭でもあります。今の日本競馬があるのも、こういう人や馬がいたからこそだと私は思っています。スピードシンボリは、線が細く、迫力のない、どこから見ても強さを感じさせない馬でしたが、とにかく我慢の馬だったそうです。直線に向いてもうダメかと思わせたところから、もうひと踏ん張りふた踏ん張りをするのです。

気性の激しいシンボリルドルフがあれだけの名馬になれたのは、このスピードシンボリの精神力の強さが遺伝したからだと私は密かに思っています。また、彼らがヨーロッパ遠征から貨物機に乗って一緒に帰った話は有名ですよね。故野平祐二調教師は、「結局騎手としては牡馬三冠を勝てなかったけど、スピードシンボリに乗れたことだけでも幸せだよ」という素敵な言葉を残しています。

Sinborirudolf

シンボリルドルフは馬体重の増減が大きかった馬ですが、天皇賞春を-12kgの馬体重で圧勝した反動で、宝塚記念は出走を取り消しました。この取り消しを巡って、故和田共弘オーナーと故野平祐二調教師の間に確執が生まれました。見た目には問題ないルドルフを故和田共弘オーナーはどうしても宝塚記念に出走させようとしましたが、ルドルフの体調に明らかな異常が発生し、休養を必要としていることを見抜いた故野平祐二調教師は、断固として首を縦に振りませんでした。その後の天皇賞秋の負け方を見ても、私は故野平祐二調教師の考えが正しかったと考えているのですが、どうでしょうか。

さて、今年の天皇賞秋には負けられない十字架を背負った馬はいませんね。でも、負けたくない馬はたくさん揃いました。ダーレーに40億円で買い取られたアドマイヤムーンは、さすがに休み明けとはいえ、引退して種牡馬入りするまでの残された戦いは負けたくないはずです。凱旋門賞への挑戦の道を不運にも絶たれたメイショウサムソンも、日本国内のレースでは負けたくないはずです。妹のダイワスカーレットが2冠馬となり、自身の天皇賞秋連覇もかかるダイワメジャーも負けたくないはずです。そして、この負けたくない馬たちの背に跨る3人のジョッキーも、互いのプライドにかけて負けたくないはずです。負けたくない馬や人がたくさんいるレースは本当に面白いですね。

しかし、今回の天皇賞秋に限っては、この3強はかなりアヤシイと私は思っています。

というのも、まずアドマイヤムーンについては、今回のレースに果たして万全の体調で臨めるのかという不安があります。「天皇賞秋を当てるために知っておくべき3つのこと」でも触れていますが、宝塚記念を制した馬が同一年に天皇賞秋も勝つことは至難の業です。理由としては、求められる資質が異なるということと、宝塚記念でピークを迎えた馬がわずか4ヶ月で再び完調に戻すのは難しいということです。唯一、宝塚記念→天皇賞秋を連勝したのはテイエムオペラオーですが、私は天皇賞秋で雨が降って馬場が重くなったことに助けられたと思っています。

アドマイヤムーンは札幌記念や宝塚記念を勝っているように、どちらかというとパワーが勝っていて、多少なりとも重い馬場を得意とするタイプです。おそらくドバイもそういう馬場だったのでしょう。だからといって、軽くて瞬発力の生きる馬場が全くダメだとは私も思いません。母父はサンデーですし、これぐらいのレベルに達してしまったエンドスイープ産駒はどんな馬場でも切れ味を発揮します。ということで、この馬に資質うんぬんを言うのは失礼な気がします。

私が不安に思うのは、アドマイヤムーンの体調の方です。春シーズンをドバイ→香港と連戦していた関係で、宝塚記念にどのような体調で出走してくるのか分からない部分がありましたが、あの勝ち方を見る限りは、ピークの出来で宝塚記念に出走してきたことは間違いないでしょう。100%の仕上がりで、持てる力を最後の1滴まで使い果たした勝ち方でした。おそらく、レース後には、肉体的にも精神的にもかなりの疲れが出たことでしょう。

私の覚えている限りで、かつてビワハヤヒデ、マヤノトップガン、グラスワンダー、メイショウドトウ、ヒシミラクル、タップダンスシチー、スイープトウショウという数々の名馬たちが、宝塚記念で力を出し尽くして、秋シーズンを不調に過ごしました。しかも恐ろしいのは、これらの馬たちは調教では普段と変わりない動きを見せていたことです。超一流馬は体調が悪くても調教は動いてしまうので、見た目では好不調の判断が難しいのですよね。いざ走ってみたら凡走してしまったということです。果たしてアドマイヤムーンはどこまで回復して出走してくるのでしょうか。

長くなりましたので、メイショウサムソンとダイワメジャーの不安点については、次の手紙に書かせてください。

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アドマイヤムーンは王道を歩めるか

Rudolf

負けられない戦いがここにある、おっぱっぴーである。

最近テレビのスポーツ中継を観戦していて一番鼻につくのがこの言葉なんですな。ついこの前まで、試合を楽しんでくださいと選手にお願いしてたのにね。そして背水の陣をしいた割にはコロコロ負ける、ざんねえーえんである。どんな素敵な言葉でもマスメディアにのったとたん消費され尽くされてしまう、おっぱっぴー。

天皇賞(秋)といえばシンボリルドルフを思い出します。負けたことのない奇跡的に強い馬は確かに何頭かいますが、彼は、ただ一頭の負けられない馬じゃなかったかなと思っているんです。

天皇賞(秋)が2000Mに短縮されて2回目にシンボリは登場します。この年の春、天皇賞をマイナス馬体で圧勝したシンボリは体調を崩して宝塚記念をパスしています。半年振りの天皇賞、今なら治郎丸理論の餌食となるところであったが、幸いにしてこの時、治郎丸氏はこの世に生を受けていませんでしたね。(未確認)

シンボリほど大外枠を引き当てた馬も他にいないだろう。当時は単枠指定といって、競馬会が人気を予想して人気馬を予めシードしていました。シードされた馬は8分の1で大外を引く不運にさらされます。この時も案の定といおうか、またもといおうかシンボリは大外を引き当てた。単勝1.4倍。

ご存知のように以前の東京2000Mの大外はスタートしてすぐにカーブの待ち受ける、人気馬の鬼門でした。鞍上の名手は絶妙なスタートをきり鬼門を通過する。シンボリが種牡馬として大成しなかったのは気位の高さと気性の激しさを仔に伝えたせいだと聞きます。それまでのレースでは素直に名手の指示に従ってきたルドルフでしたが、鬼門を通過し終えるころから名手の手をはなれ、2、3番人気の馬たちとやり合おうとする。ニシノライデンやウィンザーノット、それからスズマッハもいたか。

この頃の競馬界は一種異様なパニックに陥っていたのではないかと思います。それはジャパンカップで海外にレースを開放したからなんです。なんとか己の身を守りたいのだがその方法がわからない。自信もない。こういうとき己のプライドだけは肥え太り、虚勢をはる。第1回JCでは日の丸特攻隊と称して短距離馬のサクラシンゲキが無謀な大逃げをうったが他の日本馬とともに完敗。肥満気味のプライドはすぐに傷つきます。

その3年後、今まで見たこともないような立派な馬体の三冠馬が登場して、シンボリならばとヒステリックにJC制覇を期待しました。ああもちろんおやじもその一人でした。カツラギエースが快挙を成し遂げてはいたのですが。

かくしてシンボリは負けられない馬とあい奉られた。JCを制覇するまでは日本馬には負けられないのです。テンポイントに寄せられる期待とは明らかに異なる期待がシンボリに寄せられていました。

4角過ぎ、名手の手をはなれたシンボリは早々と人気薄の逃げ馬に襲い掛かる。今はない大阪球場横の場外におやじはいたのだが、日本一うるさい場所だと思っていたその場外は鎮まりかえっている。おやじだって東京の直線の長いことは心得ていました。

それでもシンボリの怒りは収まらない。もう何秒も独走を続けている、これはまるで必ず破綻の訪れる悪夢じゃないか。沈黙が喚声に変わる、ゴールが目の前に迫りひょっとするとこれで悪夢から開放されるのだと思えた刹那、ギャロップの鋭い影が馬群の最後方から伸びてきて、破綻の待ち構える悪夢は永遠に続くこととなりました。多くの人の、決して良くはない夢の中でシンボリは今も東京の直線を独走しているのではないでしょうか、ゴール前で湧き上がった悲鳴に包まれながら。

JCで凱旋門賞馬、モンジュを心から応援する方のいらっしゃる今から思えば、滑稽な話に思えるかもしれませんが、JC黎明期の雰囲気ってこんな感じだったかなあと思い出しています。まさにニッポン、ニッポンの雰囲気のなかをシンボリは走っていたような気がします。負けられない馬を必要とする時代は危い時代です。もしシンボリがいなければどうなっていたか、途方もない無秩序が続いていたにちがいありません。しかし負けられない馬はシンボリルドルフ1頭でもうたくさんなのです。

第135回天皇賞、ここには負けられない戦いはありません。なんと幸福なレースでしょうか。我々は人馬の全力を尽くす様を想像し、勝ち馬のことを考え、そしてレースを堪能すればよいのです。

テーマは「アドマイヤムーンは王道を歩めるか」につきるでしょう、と決め込みました。
武騎手がムーンに乗るならば微塵も逡巡せずに先行馬群を(競輪用語でいう)大名マークしてゴール前で突き放す競馬をするはずです。

挑戦者は怪力サムソン、前走宝塚ではムーン以上の強いレースをしていますね。なんて言ったら釈迦に説法ですな。真紅のスピード、Dメジャーの毎日王冠はどうみまた。おやじは途轍もなく強いレースをしたもんだという印象をもっています。問題は体調を崩した休養明けの激走が今回どう影響するかですね。最近のおやじは治郎丸さんの教えをよく守る優等生だ。

おやじはカンパニーにも注目しています。大外一気の前走は近年のレースのなかでもインパクトの強いレースだったのではないでしょうか。休養明けの一戦でしたがその後また2ヶ月間隔をあけられて反動はないのではないかと思います。

最後は4番サード、チョウサン。待ってました。7代前がラフショッドとは驚きですね。そこからソング、スペシャル、フェアリーブリッジと続くこの血統の本流にチョウサンはいないのですが、フロックだと高をくくっているとまた痛い目に遭う。G1馬は3頭、しかしG1レベルの馬は5頭いるとおやじは見ています。あら?他にもいますか。

間違いなく天皇賞の名に相応しいすばらしいレースが繰り広げられるはずです。

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◎ロックドゥカンブ

Jiromaru

ロックドゥカンブは江夏豊級ですか。江夏豊と言えば、1971年オールスターでの9連続三振や日本シリーズで9回裏、無死満塁のピンチにスクイズを見抜いた江夏の21球が有名ですよね。実は私が物心ついた頃、江夏豊はもう晩年で、日ハムで抑えの切り札として活躍していました。ですから、その凄さを生では観ていないのですよね。

私にとっての怪物ピッチャーといえば江川卓です。江川卓もオールスターゲームで8連続三振まで達成したのですが、最後の最後に近鉄の大石大二郎選手に当てられてしまったのですよ。あの時、野球少年だった私は、テレビの前で正座しながらドキドキして観ていた記憶があります。松坂や上原がスゴイとは言っても、まだまだ江夏豊や江川卓級の凄みはないなぁ。

あっ、ここは「ガラスの野球場」ではありませんでしたね。競馬、そう、菊花賞の話をしましょう。

Roc_2ロック・ドゥ・カンブとはフランスのワインの銘柄が由来だそうですね。蒸留酒によって失われた希望を取り戻すのは、醸造酒のなせる業かもしれませんと読者の方が教えてくれました。それから、私のワイン好きの友人も、なぜか急に思い立って恵比寿までロック・ドゥ・カンブを買いに行ったそうです。中身は飲んじゃうけど、エチケット(ラベル)はプレゼントしてあげると言ってくれました。

だからということではありませんが、本命は◎ロックドゥカンブに打ちます。ラジオNIKKEI賞の勝ち方を見た時に、もし菊花賞に出てくれば勝てるのではないかと思いました。なぜなら、ラジオNIKKEI賞というのは、福島競馬場の小回りコースで行われるため、全体的に緩みのない厳しいラップが刻まれやすいレースだからです。また、その時期の福島は馬場がかなり傷んでいるため、どの馬も馬場の外々を回るレースになります。外々を回りながら厳しいラップを刻むのですから、実際には1800m以上のスタミナを要求されるレースになりますよね。そういえば、昨年の覇者ソングオブウインドもラジオNIKKEI賞2着と好走していましたね。ロックドゥカンブは、そのラジオNIKKEI賞を持ったままで4コーナーで先頭に立ち、楽々と押し切ってしまいました。スタミナ面での心配はないでしょう。

そして、ロックドゥカンブの現時点での馬体の緩さも、距離延長に関してはメリットとして働くはずです。というのも、馬体が緩いからこそ、距離がこなせるというところもあるからです。若駒の頃には距離をこなせた馬が、古馬になってから次第に距離適性が縮まってしまうのは、馬体が締まって硬くなってくるからです。重厚になってくる分、サスペンションが失われるというイメージでしょうか。ロックドゥカンブも将来的には2000~2400mあたりを最も得意とする馬になるでしょう。ただ、現時点での3000mの距離は、ゆったりと走られる分、かえって合っているかもしれませんね。

不安材料を敢えて挙げるとすれば、やはり一度も負けていないということでしょうか。どれだけ強い馬でも連勝を伸ばしていくことは非常に難しいからです。5連勝となるとなおさらです。連勝が難しい理由は2つあって、ひとつは相手が強くなるから、もうひとつは好調を維持しなければならないから。この2つを同時にクリアしていくことが難しいのですね。今回のロックドゥカンブについては、まず他馬との力関係に関しては実際のところ走ってみないと分かりませんが、これまでのレース振りを見る限り十分に通用すると思います。そして、体調に関しては、前走の休み明けから、叩いて良くなることはあっても、悪くなることはありません。こう考えると、まだ連勝を伸ばすことは十分に可能だと思います。もちろん競馬に絶対はありませんが、菊花賞は通過点のひとつにしてもらいたいものです。

あっさりと本命が決まったと思われるかもしれませんが、本当のところは最後まで悩みましたよ。それは神戸新聞杯で3着したヴィクトリーの巻き返しが怖かったからです。本来、菊花賞は神戸新聞杯とつながりの強いレースですし、今年から距離が2400mに延長されて、なおさらその結びつきは深まるはずです。神戸新聞杯のラップ構成を見ても、菊花賞のそれと同じタイプのものでした。ということは、神戸新聞杯で上位に来た馬は素直に評価していいということですね。その上位組の中でも、最も本番に向けて巻き返してきそうなのがヴィクトリーです。

夏を挟んで馬体には大きな成長が感じられますし、兄に菊花賞2着のリンカーンがいる血統からも、3000mの距離に不安はありません。道中で我慢することに徹した神戸新聞杯でしたが、本番に向けてレース内容も良く、岩田ジョッキーも手応えを感じているはずです。唯一の不安材料といえば、やはりまだ激しさを残した気性と大外枠でしょう。上手く前に馬を置いて、ペースが急激に緩む中盤を我慢しきれるかどうか。地力のある馬だけに、岩田騎手が上手く乗れば、この馬が最も脅威ですね。

展開面でのカギは、横山典弘騎手のホクトスルタンが握っています。横山典弘騎手が過去10年、この菊花賞で連対を外したことがないのは周知の事実ですが、それはこのレースの勝ち方を知っているからです。京都競馬場の3000mは、1986年~96年の間で一度も逃げ切りがなかったコースです。それぐらい逃げ馬にとっては苦しいコースなのですが、1997年の万葉Sで南井元ジョッキーがビッグシンボルで逃げ切るや、1998年に横山典弘騎手のセイウンスカイが菊花賞を逃げ切りました。逃げ切りが難しいとされている京都競馬場の3000mを逃げ切るには、ちょっとしたコツがあることを彼らは発見したのです。

そのコツとは、前半の1000mを60秒前後の速いペースで行った場合、上がり3ハロンが35秒前後になるため、意外や逃げ、先行馬に有利になるということです。それまで逃げ、先行馬に乗った騎手は、とにかく前半をスローで乗り切ろうと躍起になっていたのですが、発想の転換で、前半に速いラップを刻んでいくことによってスタミナを奪い、後続の末脚を封じることが出来ることが分かったのです。横山典弘騎手はこの逃げ切りを体現してきたジョッキーだけに、ホクトスルタンの脚質と豊富なスタミナを考慮すると、今回はまず間違いなく前半は速めのラップを刻もうとしてくるはずです。速く行く馬がいなければ自ら逃げるでしょうし、速いペースで行ってくれる馬がいれば好位に控えるはずです。展開というのはゲートが開いてみないと本当に分からないものですが、体内時計の正確な横山典弘騎手が前に行けるホクトスルタンに乗っているだけに、差し馬にとっては厳しいペースになるのではないでしょうか。当然のことながら、メジロマックイーン産駒のホクトスルタンにも有利な流れになるはずです。

ということは、前に行くサンツェッペリンにとっても有利な流れになるはずです。この馬の表面的な血統は短いところ向きですが、過去に遡ればステイヤーの血が脈々と流れています。ジワジワと伸びるタイプであることや、休み明けは走らないこと(ステイヤーの特徴)を見ると、一変する可能性を大いに秘めている馬だと思います。走っても走っても人気にならない馬ですので、妙味もありますね。

*この手紙の続きは、メールマガジンの方で配信させていただきます。
配信希望の方は、本日の12時までに、右サイドバー上のボックスからご登録ください。

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エラマナムーがかかっているというのがなんともいい。

Rudolf

お手紙ありがとうございました。見事に菊花賞の歴史をまとめあげましたねえ。ダービー馬はダービー馬から、というのは競馬のスローガンですね。ダービー馬からダービー馬が生まれるはずだ。生まれるべきだ、生まれてほしいといった意味ですが、血の更新を輸入馬に委ねる日本ではなかなか実現しない。しかし、菊花賞馬は菊花賞馬から、というのはありなんですね。菊花賞血統というのもありなんですね。

このおやじが勝手に掘り起こしたテーマは「ウオッカによって奪われた希望を取り戻せるか」でした。半端な勝ち方ではだめなんですよ。また勇気が湧き上がってくるような、感動を覚える勝ち方が是非ほしいところです。

去年の菊花賞はおやじの菊花賞のなかでベストレースでした。3冠馬誕生の瞬間は4度拝見しましたが去年のレースがベストです。Aメインの乾坤一擲の逃げを渾身の力を振り絞って捕らえようとするDパスポートとMサムソン、激しかった!勝ち馬のウィンドを含めてこのレースで力を出し切ったものはMサムソン以外すべて故障している。死力を尽くすとはこのこと。

こんなレースを期待できるのはどの馬か。
中学生エースが甲子園球児に挑むようなもんですが、おやじの希望はロックドゥカンブに託します。他の馬では希望を取り戻せるようなレースは期待できないと思っているんです。甲子園球児が中学生エースを相手にしているようなもんですから50%以上の確率で他の馬が勝つ可能性はあるんですが・・・。ただこの中学生エース、江夏豊級じゃあないかしら。実力もふてぶてしさも。

カンブはマカオJCTというレースを勝っていますね。その前日カルバニックという馬が同じようなラップを刻んで条件戦を勝ち上がりました。JRAの場外でこの2つのレースをラジオ日経賞の参考レースとしてたまたま見比べることができました。ラップは少しカルバニックが勝っていたようですがインパクトは断然カンブが上なんです。ゾクっとするような抜け出し方!前走もGダリアに並ばれそうになってからの脚が際立っていました。Mサムソンと同じでラップとラップの間で強さを見せる馬なのかもしれません。怪力が売り物のサムソンと違ってどことなくカンブには上品さが漂っていますが・・・なんて言ったらまた叱られますね。

今回は強敵に先行馬がそろっていますね。これも前走、次から次に並びかけられる厳しいレースを経験できたので心配はないと思います。血統を不安視する向きもありますね。母系のベースはファインモーション、ピルサドスキーでしょ、しっかりしている。去年のソングオブウィンドのように異種がかかっている母系ではありませんが、まずBSとして定評のあるフェアリーキングから底力を受け継いでいます。

それだけでも十分なんですが、次にエラマナムーがかかっているというのがなんともいい。覚えていらっしゃる方もいるかと思いますが、競馬会が購入したピットカーンが欧州に残してきた大物で古馬になってG1を勝ちまくった馬です。ペティション系といってファラリスから出ている系統なので異種とはいいませんが、ネアルコ系とは別系統なので傍流のひとつには違いありません。この父系には先ほどのエラマナムーやサンプリンセスなど、底力のある馬が並びます。この父系は軽い競馬の日本ではたびたび失敗しているのですが母系に入ると心強い。ディープの母系にもクィーンズフザーを介してペティションがかかっています。

中学生エースですが、彼が江夏豊だと信じてここからいきましょう。キンシャサの10倍強いというありがたいお言葉!おまけにヒッタイトグローリーだか、ヒクソングレーシーだか知らないがとても強いらしい。今年は意外な出来事で彩られる1年かも知れませんよ。ただ武騎手の最新のコメントに「主役不在」とある通り、カンブはあくまで中学生エースなんだと肝に銘じて◎を打とうと思います。1番人気に祭り上げられるのはすこし癪ですが。

対抗はアルナスラインでいきましょう。これは中1週という無茶なローテですね。前走の京都大賞典はG2の中でもレベルの高いレースでした。神戸新聞杯組ではポップロックとはかなりの差が開いたのではないでしょうか。世代屈指の実力馬だと思います。母系はレディージョセフィン系ですのでクラッシックでは十分に注意を払う必要があります。ただこの馬はLJ系でもマムタズビガムを経ない血統なんで、近親には最近これといった活躍馬は出てません。マムタズ経由のLJ系にはギムレットがいますよね。ちょっと前にはベガはベガでもホクトベガがマムタズ系ですね。なにベガだと、アルナスラインのてておやはアドマイヤベガではないか。こりゃあカンケーネーや。世代屈指の実力とありがたい血統、中1週という不利を上回る魅力はありますよ。

Aキングスはどうか。この血統はジェニュインのころから苦手なんです。この血統にもずいぶんいじめられたなあ。ダービーではツェッペリンより強い競馬をしていると思います。おやじが思うよりうんと強い馬かもしれませんね。カンブの1着に賭けてますので▲は打てませんが怖い馬です。

春の牡馬最強はフサイチでしょう。グレイソブリン系ですからスランプはある。夏をはさんで2走の凡走をどうみるか、今回ではっきりするでしょう。とりあえず展開も向きそうなので△は打っておいた方が無難でしょうか。

8枠はメジロマックイーンゆかりの枠になりましたね。特にDジャーニーは今回展開が向きそうです。武、横山、岩田、騎手も名手が3人そろって怖い枠です。無印にさせてもらいますが、おさえでカンブとの枠連は買っておこうかな。

×はエーシンダードマン、ヒラボクロイヤル、デュオトーンに打ちます。
エーシンは大穴になると思います。春、この馬が条件戦を走るところをみました。何とも大きなストライドで走る馬です。京都コースでの一発が・・・。ダンスの仔ということでほんの少し3着候補として期待してます。ヒラボクロイヤル、ボクはカレのスタミナに期待してます。デュオはエーシンを完封しています。

さて、まとめますか。
カンブとアルナスの実力が抜けていると思います。特にカンブには今後とも大きな期待を寄せていいんじゃないかなあ。この2頭の馬連とワイドに賭けることにします。

◎ロックドゥカンブ
○アルナスライン
△Aキングス、フサイチ
×エーシンダードマン、ヒラボクロイヤル、デュオトーン
押さえ 8枠
なんか、すっきりしたー!

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ロックはキンシャサの10倍強い

Jiromaru

今年の菊花賞は、失われた希望を取り戻せるかがテーマですね。そういえば、昨年の私たちも、惜しいところで勝ち馬を取り逃がしてしまいました。ソングオブウインドの母系に眠るヒッティングアウェーという異種の塊に、20数年間、代々トニービン、サンデーサイレンス、ノーザンテーストなどの力を注入しながら、走る仔を出すように育ててきた社台のソロソロでしたね。

菊花賞は日本競馬のレース体系の中でも特殊な部類に入るレースですので、やはり血統的にも他のレースとは異なった偏りが求められます。そのことは、菊花賞の父仔制覇がダービーのそれよりも多く見られることからも分かります。

今年のダービーはタニノギムレット→ウオッカという父仔制覇でしたが、これは歴史上5ケース目に当たります。その前はシンボリルドルフ→トウカイテイオーですから、実に16年振りということになります。

★ダービーの父仔制覇

父馬名仔馬名
1組目 カブトヤマ マツミドリ
2組目 ミナミホマレ ゴールデンウエーブ
3組目 ミナミホマレ ダイゴホマレ
4組目 シンボリルドルフ トウカイテイオー
5組目 タニノギムレット ウオッカ

対する菊花賞はというと、これまでに8ケースの父仔制覇があります。

★菊花賞の父仔制覇

父馬名仔馬名
1組目 セントライト セトノオー
2組目 トサミドリ キタノオー
3組目 トサミドリ キタノオーザ
4組目 トサミドリ ヒロキミ
5組目 シンザン ミナガワマンナ
6組目 シンザン ミホシンザン
7組目 ダンスインザダーク ザッツザプレンティ
8組目 ダンスインザダーク デルタブルース

「ダービー馬はダービー馬から」というよりも、「菊花賞馬は菊花賞馬から」と言った方がより適切だということが分かります。最近でいうと、ダンスインザダーク→デルタブルースがそれで、実はその前の年もダンスインザダーク→ザッツザプレンティという父仔制覇でした。また、パッと見て分かるように、8ケースが4頭の種牡馬で占められています。これは明らかに菊花賞に強い種牡馬があるということを表していると思います。

さらに、菊花賞の血統的な偏りを示すのは父仔制覇の多さだけではありません。菊花賞は兄弟制覇もまたダービーのそれよりも多いのです。ビワハヤヒデ→ナリタブライアンを最後にして出ていませんが、4組もの兄弟が菊花賞を制覇しています(ダービーは2組のみ)。

★菊花賞の兄弟制覇

兄馬名弟馬名母馬名
1組目 セントライト トサミドリ フリッパンシー
2組目 キタノオー キタノオーザ バウアーヌソル
3組目 メジロデュレン メジロマックイーン メジロオーロラ
4組目 ビワハヤヒデ ナリタブライアン パシフィカス

菊花賞の父仔制覇と兄弟制覇を比べてみると面白いですね。セントライトとトサミドリは兄弟で、なおかつ父として菊花賞馬を計4頭も生み出しています。また、トサミドリの仔であるキタノオーとキタノオーザは兄弟として菊花賞を制していることになります。ちなみに、キタノオーとキタノオーザの母であるバウアーヌソルは、血統表上で純粋なサラブレッドと証明されていないサラ系でした。

何が言いたいかというと、ここで名前が出てきている種牡馬の血を引く馬がいたら要注意だということです。メジロマックイーンは、天皇賞春を親子3代制覇したように、長距離血統の権化のような馬です。昨年に急逝したことが惜しまれますが、残った産駒が天皇賞春を勝てばまさに歴史的な勝利となりますし、もちろん菊花賞を勝つ可能性も十分にあります。ダンスインザダークはもしかするとトサミドリの記録を超えるかもしれません。ドリームジャーニー、ホクトスルタン、ローズプレステージ、エイシンダードマンからは目が離せませんね。もちろん、菊花賞2着馬リンカーンを兄弟に持つヴィクトリーも侮れないでしょう。

さて、今年の菊花賞には無敗で挑戦してくる馬がいます。「競走馬とは、どんな名馬であれ、負ける理由を背負って走っている」。これはルドルフおやじさんの名言ですね。私も数々の名馬が負けるシーンをこの目で見てきましたので、競走馬とは基本的には負けるものだと考えています。どんな名馬でも、明日には負けるかもしれない。あのディープインパクトでさえ、有馬記念と凱旋門賞の2つを落としました。そのレースでたまたま負けなかった馬が勝ち馬となるのだと思います。

菊花賞を無敗のまま制した馬は、シンボリルドルフとディープインパクトだけです。シンボリルドルフは7戦7勝、ディープインパクトは6戦6勝での挑戦でした。シンボリルドルフとディープインパクトだけという事実が意味するところは深いですね。ルドルフおやじさんのおっしゃる通り、皐月賞の頃の成長段階の馬が、4戦4勝の僅かなキャリアで菊花賞を制することがあるとすれば、まさに空前絶後の快挙でしょう。

ロックドゥカンブ。しかし、この馬は恐ろしく強い馬ではないかと私は思っています。実は生で馬を見たことはないのですが、ラジオNIKKEI賞のレース振りを見て、この世代でナンバーワンであることを確信しました。スピード、スタミナ、パワーが高い次元で融合され、それらが体全体から漲っているのがこちらまで伝わってきました。レース後にガタっとくるというのが信じられないくらい、レースに行くと古馬顔負けのしっかりとしたレースをしますね。

南半球生まれということで思い出されてしまうのはキンシャサノキセキです。同じオーナーの馬でもあって、ロックドゥカンブにとっては兄貴分のような存在だと思います。兄貴分のキンシャサノキセキが人気になりながらも期待に応えられないのと対照的に、弟分のロックドゥカンブは負け知らずというところが面白いですね。

ルドルフおやじさんは、ヒクソン・グレイシーという挌闘家をご存知ですか?400戦無敗という戦歴の持ち主で、日本では高田延彦や舟木誠勝にも勝っています。このヒクソン・グレイシーはグレイシー一族最強の男とも呼ばれていて、この一族にはホイス・グレイシーという実弟がいます。この弟もまた強くて、UFCと呼ばれる何でもありのトーナメントで、グレイシー柔術を武器に、第1回、2回、4回大会で勝利を収めている1990年代の格闘技界に最も影響を与えた一人なのです。その弟をして、「兄は私より10倍強い」と言わしめたのがこのヒクソン・グレイシーなのです。

えっ、それがどうしたのかって?
格闘技も好きなので、つい脱線してしまいました、スイマセン。

これはキンシャサノキセキのファンの方には失礼に当たるかもしれませんが、もしキンシャサノキセキが口をきけたなら、「弟分のロックドゥカンブは私よりも10倍強い」って言うと私は思うのですよね。もちろんキンシャサノキセキも能力の高い馬であることは間違いありません。しかし、ちょっと大袈裟かもしれませんが、ロックドゥカンブはそれぐらいの強さを持った馬ではないでしょうか。菊花賞うんぬんではなく、将来的にはかなりの大仕事をやってのける器だと思っています。

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失われた希望を取り戻せるか

Rudolf →ルドルフおやじってどんな人?

去年は、治郎丸さんもこのおやじもソングオブウィンドでちょいと悔しい思いをしましたね。今年はいいことあるかなあ。

とは言ってもこのおやじ、いつものように最初から躓いてます。バブルウイズアランに期待を寄せていたのですが、故障したようです。3角からまくった小倉のレースを見て、馬力のあるバブルガムから出た最後の大物かな、と思ったのですが、残念です。ハイペリオンの遠いクロスを何本ももっていて今後も期待できる馬なので来春を楽しみに待つことにします。と、心の広いところを見せていたら、ゴールデンダリア、蹄に不安ときたもんだ。セントライトは最後の坂で息切れしたようなので、平坦コースの京都ならばどうだ、3着以内はあるぞと意気込むおやじになぜ競馬の神さんは辛くあたる!レースが始まる前になぜ負けさせる。

競走馬というのは、どんな名馬であれ負ける理由を背負わされて走っているんだ、と思うときがあってたまに馬券を買うのが怖くなることがあります。ことしのダービーではすべての牡馬が負けてしまいました。ウオッカの勝利は永遠に賞賛されて然るべき偉業ではありますが、すべての牡馬が負けたという競馬の怖さにはやはり戦慄を覚えずにはいられません。牡馬の勝つ理由と希望のすべてが奪われてしまったわけですから。

今回の菊花賞には失われた希望を取り戻せるか、というテーマが隠されていると思っています。半端なレースや勝ち方ではだめですね。3歳クラッシックに立ち込める深い霧を晴らしてくれるような胸のすくレースを期待したいと思います。

3歳チャンピョンが神戸新聞杯を勝つというのは珍しい。ドリームジャーニーは父のステイゴールドからも、トゥルービヨンのクロスをもった母系からも成長力を受け継いだようです。阪神コースを追い込んで勝ったというのは、この馬の力が3歳牡馬のトップクラスにあることを示しているように思います。しかし武騎手の口からは「距離がどうか」という慎重なコメントがもれていますね。ドリームジャーニーは、弥生賞で中位でレースを進めるレースを試みて失敗しています。融通のきかない気性と420キロ台の体力から距離うんぬんと武騎手は言っているんでしょうか。この馬の負ける理由はこのあたりにあります。しかし、魅力は不安を口にする騎手の腕ですね。最近ますます凄みを増してます。

アサクサキングスは強い馬なのか、弱い馬なのか、このおやじにはよくわかりません。ただダービーで2着を確保したというのはきちんと評価しておかねばなりませんね。この馬の魅力は母系の良さと父ホワイトマズルのスタミナですね。でもこの馬ヴィクトリーと相性がわるいんじゃあないかしら。ヴィクトリーがまともに競馬をしたときには惨敗しています。負けるとすればヴィクトリーとやりあったときかな。

神戸新聞杯で最も強い競馬をしたのは、そのヴィクトリーではないでしょうか。行くのか行かないのか、ちぐはぐな競馬をしてもきちんとゴール前は伸びています。皐月賞馬という名は伊達ではありません。派手な勝ち方こそありませんが、その名に恥じない実力のある馬だと思っています。しかし岩田騎手が神戸新聞杯で控える競馬を試みたは、やはり距離に不安があるからなのでしょう。それほど荒々しい気性の馬です。

フサイチホウオーはいかにもグレイソブリン系らしい神経質な馬なんですね。人生嫌なことのほうが多いんだからまあ一杯呑もうや、なんて誘っても無駄なのがグレイソブリン系の主たる特徴なんですな。傍からみていると少しこっけいに見えたりもするのですが、自己主張の強いタイプでいつか必ず立ち直る。それが今週の菊花賞だったらどうします?

ホクトスルタンはやはり成長してますね。覚えてくれていますか?春に変な情報を流してご迷惑をかけたのを。ラインクラフト、ソングオブウィンドと続く、ファンシミン系の血の勢