◎アサクサキングス

とうとう春のG1シリーズのフィナーレ、宝塚記念がやって来てしまいました。ウオッカやアドマイヤジュピタの出走がないのは残念ですが、少頭数ながらも個性豊かなメンバーが揃いました。ウオッカが宝塚記念に出てくれば好勝負になったことは間違いないのですが、陣営はコースや馬場適性を考慮に入れて、より勝利の可能性の高い天皇賞秋の方を選択したということですね。
宝塚記念を勝ち、なおかつ秋の天皇賞に良い体調で出走することはローテーション的に至難の業ですので、そういう各陣営の思惑を読むことも重要になってくるでしょう。もう少し具体的に言うと、秋の東京コースのような軽い馬場ではなく、今の阪神コースのような力を要する馬場に適性がある馬を狙うべきということです。
また、宝塚記念はシーズンオフに近いG1レースですので、どれだけ余力があるかも大きなポイントになってきます。天皇賞春で力を使い果たしてしまっていたり、年明けから走り続けてきているような馬は、宝塚記念で遂にガス欠を起こしてしまうことが往々にしてあります。サラブレッドの苦手な夏に向かいつつある時期でもありますので、体調には十分な注意が必要でしょう。
結論から述べると、本命は◎アサクサキングスに打ちます。実は前走の天皇賞春でも本命を打ったのですが、なんとも不甲斐ないレースでした。1番人気を背負って、他馬の目標にされてしまったということはあったにせよ、直線で一度も先頭に立つこともなく、伸びを欠いてしまいました。今から冷静に振り返ってみると、もしかすると3200mの距離が少し長かったのかなとも思います。3000mの菊花賞を勝ったアサクサキングスに、距離が長いと言うのは変だと思われるかもしれませんが、マイラーを輩出するスピードの勝った母系という血統的背景だけではなく、およそ20kg増えて逞しくなった馬体からも、中距離馬としての本質が顕在化してきたということがうかがい知れます。横から見るとスラっとしたステイヤー体型ですので、それだけ前から見た馬体の幅が広がっているということでしょう。古馬になって、パワーとスピードの資質が増強されたのです。
フットワークの大きなアサクサキングスにとって、明日の天気次第では重馬場が不安材料になりますが、首の高い走法からもこなせる可能性は十分にあります。逆に、外枠を引いたことはプラス材料になります。逃げるエイシンデピュティの外、2、3番手を伸び伸びと走ることが出来るはずです。向こう正面、そして3~4コーナーにかけて淀みないラップが刻まれることも、この馬にとってはおあつらえ向きのレースになるでしょう。瞬発力勝負になると分が悪いのですが、ジワジワと進出して、最後まで踏ん張り通すレースをしてくれるはずです。さらに、今年に入って3戦目というフレッシュなローテーションにも好感が持てます。菊花賞後に無理をさせることなく成長を促したことが、ここに来てプラスに働くのではないでしょうか。アサクサキングスには、ここを勝ってヨーロッパへの遠征を期待したいです。
メイショウサムソンは人気どおり、勝つ確率という点では最も高いかもしれません。なんといっても、好枠を引いたアドバンテージを生かして、武豊騎手が積極的に乗ってくるはずです。昨年の秋は、天皇賞秋をピークとして、ジャパンカップ、有馬記念と体調は下降線を辿りましたが、今年はその反省を生かして仕上げてきています。産経大阪杯は余裕残しの仕上げで、叩いた天皇賞春では一変しました。この馬も今年に入って3戦目で、昨年のこの時期に比べると体調面では上のはずです。あっさりと勝たれても仕方ありませんね。それでもサムソンに本命を打たなかったのは、1週間前追い切りはバツグンでしたが、最終追い切りの動きがあまり良く見えなかったからです。舌を出して集中力を欠いていたように映りました。杞憂に終わるかもしれませんが。
エイシンデピュティは、当初、本命まで打とうかと考えていた馬です。前走の金鯱賞では、苦手の左回りもなんのその、あっさりと押し切ってしまいました。なんといっても、産経大阪杯で見せた走りは本物です。アサクサキングスやメイショウサムソンと比べ、使ってきていたアドバンテージはあったものの、ダイワスカーレットに食い下がりましたから。渋太いレース振りを見る限り、2200mの距離も心配ありませんし、パワータイプだけに宝塚記念への適性は十分です。展開次第ではアッと言わせることもあるはずです。ただ、私がこの馬の評価を最後に下げたのは、やはり昨年から今年にかけて使い詰めの厳しいローテーションで走り続けてきているからです。体調維持に専念したかのような最終追い切りにも、少し疑問符が付きました。
ロックドゥカンブは、前走を叩いて上向きの体調で臨んできますし、力の要る阪神の馬場も合うはずです。将来性ということでいえば、4歳馬の中でも一番かなと評価している馬ですので、好走してくることは間違いないでしょう。ただ、前走で太目残りとはいえ、あっさり負けてしまったのが気になります。アルナスラインについても同じことが言えますね。まだ完全に力が付き切っていないからこそ、G2レベルを勝ち切れないのでしょう。果たして古馬の定量戦である宝塚記念を勝ち切れるでしょうか。





「ダービーを勝ったら騎手を辞めてもいい」という柴田政人元騎手(現調教師)の言葉には、全てのホースマンのダービーに対する思いが込められているような気がします。競馬の世界では誰もが一度はダービーを夢見ますが、実際にダービーの栄光を掴み取ることが出来るのはわずか一握りの者にしかすぎません。だからこそ、ホースマンは自らの存在と引き換えにしてでも、ダービーの名誉を手に入れたいと思うようになるのです。ウイニングチケットでようやくダービーを勝った時のインタビューにて、柴田政人元騎手は、「世界のホースマンに、第60回のダービーを勝った柴田ですと伝えたい」と答えました。もしかすると、ホースマンはダービーを勝つことで初めてホースマンになるのかもしれません。

先日、ダービー馬を探しに東京競馬場まで足を運んだついでに、JRA競馬博物館で「オークス展」を見てきました。優駿牝馬の70周年を記念して、歴代の優勝馬の写真や貴重な資料などが展示してありましたが、その中でも、第36回の優勝馬であるテスコガビーのメンコには感激しました。









