弱点を見せていないことこそが無敗馬の弱点だ

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「無敗という事実には無限の可能性がある」

競馬仲間である高校時代の友人から教えてもらったこの概念を、私は今でもはっきりと覚えている。彼は今や大学の教授になったほどの数学オタクで、人に教えるのも上手く、高校に入ってから数学が苦手になった私は、よく彼に教えてもらっていた。彼に補助線を引いてもらうと、それまでの霧が一気に晴れたように感じたものだ。
彼がこの言葉を発したのは、98年のNHKマイルCでのこと。新設されて間もないG1レースで、当時はスピードと仕上がりの速さに優る外国産馬の独壇場になっていた。そして、この年のNHKマイルCには、無敗の馬がなんと4頭も出走してきたのである。新馬戦から4連勝中のエルコンドルパサーが1番人気に推され、トキオパーフェクトやロードアックス、シンコウエドワードがそれに続いた。

無敗の馬たちの中でどの馬が本当に強いのか、私たちは嬉々として予想した。たとえ1度でも負けていたら、その馬の能力の限界はある程度において推測することができるが、事実として1度も負けたことがないのだから、能力の底がどこなのか分からない。彼が言いたかったのは、実無限とか可能無限とか、アルキメデスは亀に追いつくか追いつかないのか、そういう数学的なことだったのかもしれない。その隣で私は、もしかするとシンボリルドルフのような名馬が潜んでいるかもしれない、と果てしない空想に耽っていた。

結果としては、エルコンドルパサーが5連勝で危なげなくNHKマイルCを制し、2着にもシンコウエドワードが突っ込み、無敗馬同士のワンツーフィニッシュとなった。エルコンドルパサーはその後、ジャパンカップを3歳にして勝利し、海を渡って凱旋門賞ではモンジューの2着と、世界レベルの伝説の名馬となった。私は無敗の馬の無限の可能性を改めて体感したと共に、エルコンドルパサー以外の無敗の3頭が敗れ、その後は鳴かず飛ばずであった事実も同時に確認した。無敗とは、いつか負けるというサインでもあるということを。

今となっては、無敗であることはリスクでもあることを私は知っている。何と言っても、無敗であることの最大のリスクは、弱点が分からないまま、ここまで来てしまったことだ。無敗のキタノカチドキに跨って74年のダービーに出走した、武邦彦騎手のレース後のひと言に、そのことは表れている。

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すっきりと仕上がったロワジャルダン:5つ☆

アウォーディー →馬体を見る
各パーツが長く、伸びがあって、サラブレッドとしての美しさがある。
やや腰高に映るように、どちらかというとスピードタイプであり距離は合う。
Pad45star

ラニ →馬体を見る
兄弟のアウォーディーと比べて、手脚の長さ以外はまったく馬体は似ていない。
表情からは伝わってこないが、気性的に難しいところがあるのは確かなのだろう。
Pad3star

アスカロマン →馬体を見る
前駆が勝っていて、いかにもパワーとスピードで勝負するダート馬らしい体型。
表情は難しさが伝わってくるように、ギリギリまで仕上げられている。
Pad3star

コパノリッキー →馬体を見る
大型馬のわりには大きく見せないのは、全体のバランス(均整)が極めて良いから。
冬場になって、やや皮膚に厚みが出てきているが、それでも走るので問題ない。
Pad3star

モーニン →馬体を見る
前駆が力強く、腰高に映るように、典型的なダートのスピード馬の馬体である。
フェブラリーSは馬場が湿ったことに助けられたが、基本的には1400mがベスト。
Pad3star

アポロケンタッキー →馬体を見る
手脚が短く、全体の重心が低いため、重厚感あふれる体つきになっている。
パワーだけで粘り込めるレースを得意とし、今回も同じような流れになるかどうか。
Pad3star

ゴールドドリーム →馬体を見る
馬体全体のシルエットが四角く角ばって映るように、やや硬さは感じさせる馬体。
それでも前後躯の力強さは3歳随一であり、推進力を確実に発揮できる理由である。
Pad4star

ノンコノユメ →馬体を見る
このメンバーの中に入ると、どうしても線の細さが目立ち、非力に映るのは仕方ない。
馬体重も含め、それでも第一線級で活躍しているのは、天性の木の強さがあるのだろう。
Pad3star

サウンドトゥルー →馬体を見る
前後躯にふっくらとした良い筋肉がつき、叩かれつつ体調は上向きになっている。
胴部がコロンとして短く見えるように、距離短縮はプラス材料になるはず。
Pad4star

ロワジャルダン →馬体を見る
腹が巻き上がっているように映るのはいつものことで、ダート馬らしくはない。
それでも、これまでで最もすっきりと仕上がっていて、体調は抜群に良いはず。
Pad5star

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チャンピオンズCを当てるために知っておくべき3つのこと

Championsc

■1■スピード&器用さ優先
かつて行われていた東京競馬場の2100mダートというコースは、スピードだけで押し切ることは難しく、マイラータイプの馬にとっては厳しい条件であった。2000mまでならゴマカシが利くが、わずか100mの違いでマイラータイプの馬はバテてしまったのだ。もちろん、スピードがなければ速いペースについて行くことはできないが、勝ち切るためにはそのスピードを支える豊富なスタミナが必要であった。

しかし、舞台が阪神1800mダート、そしてさらに昨年から中京1800mダートに移り変わったことにより、東京の2100mダートほどにはスタミナが要求されなくなった。もちろん、速く厳しいペースになるので、スピードだけでは押し切れないが、どちらかというとスピードに富んだマイラータイプの馬にも勝つチャンスが訪れるということだ。そして、4つコーナーと小回りコースということを考えると、勝ち切るためには上手く立ち回れる器用さも求められる。

■2■関西馬有利
ただでさえ西高東低の状況が続く中、開催競馬場が関東から関西圏に移った以上、関西馬にとって条件はさらに有利になった。長距離輸送を考えなくてよい分、あと1本追えたり、また手加減なしに攻める調教を施すことが出来るだろう(栗東からは当日輸送、美浦からは前日輸送になる)。ダート競馬はどの馬も最後はバテて、それでもそこからもうひと伸びすることを求められるので、輸送を考慮した軽い仕上げではなく、ビッシリと仕上げられた馬でないと苦しい。

■3■3歳馬にとっては厳しい戦い
阪神競馬場に開催地を移した2008年より、3歳馬の斤量が55kg→56kgとなった。11月から12月に開催時期が変更されたことによる措置だろうが、この1kgが3歳馬にとっては大きな負荷となる可能性は高い。たとえ日々成長著しい3歳馬とはいえ、この時期に歴戦のダート古馬とぶつかるのに1kgの斤量差は少ない。現に2008年はカジノドライブが6着、サクセスブロッケンが8着と大敗した。この2頭が翌年明けのフェブラリーSで1、2着したことからも、3歳冬の時点で古馬と戦うことの厳しさが分かるだろう。

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武豊ここにあり

Japancup2016
ジャパンカップ2016―観戦記―
1枠1番を引いたキタサンブラックが好スタートからハナを切り、第1コーナーの時点で先行争いは落ち着き、道中は大きな動きもなく緩やかに流れた。時計的にも前半1000mが61秒7、後半が58秒9というスローペース。かといって、渋った馬場の影響もあってか、極端に速い上がりにはならず、最終的にはスタミナが問われたレースであった。2、3着にはスタミナ型の馬が突っ込み、久しぶりに総合力が要求されるレベルの高いジャパンカップとなった。

勝ったキタサンブラックは道中を気持ち良く走り、最後の直線に向いても余力十分、そのまま押し切った。3歳時はヒョロっとして頼りなさもあったが、古馬になってからは付くべきところに筋肉が付いて、完全に本格化した。530kgある充実した馬体を大きく使って走る今のキタサンブラックを見る限り、バテて止まってしまう姿を想像することが難しい。私の好きな映画『ファイトクラブ』の中で、「長身の痩せ型の奴はスタミナがあってバテないから見た目よりも強い」というようなセリフがあり、キタサンブラックの走りを見るたびに、いつもそのことを思い出す。今回は極限の仕上がりが施されていたので、次走の有馬記念に向けて体調は下降線を辿るだろうが、それでも止まることはないだろう。

武豊騎手は本当に絵になる格好の良いジョッキーである。16頭の一流馬たちを従え、ひとりだけ手綱を持ったまま、最終コーナーを回ってくるシーンは見どころ十分。左手の大きなアクションで見せムチをしてゴーサインを送り、右手だけで少しずつ完歩を伸ばし、最後の1ハロンは失速しかけたキタサンブラックを叱咤激励する。教科書どおりではあるのだが、一つひとつの所作が実に美しい。ゴール後の激しいガッツポーズも、競馬ファンと共に喜びを共有したいという気持ちの現れだろう。久しぶりにジャパンカップを勝利し、武豊ここにありと世界に向けてアピールすることができるはず。

サウンズオブアースはマイナス8kgと絞れ、今回のジャパンカップに臨むにあたって、馬体のつくりが大きく変わっていた。スッキリしたというべきか、研ぎ澄まされて、この馬本来のスタミナを存分に生かすことができた結果であろう。さすがにキタサンブラックとは力差があったが、このメンバーで最後の直線の追い比べを制したことで、今後の展望が広がった。有馬記念で内枠を引くことができれば、昨年以上の結果が出ても驚かない。

シュヴァルグランは調教駆けしないタイプであり、その分、この時期は馬体が絞れにくい。にもかかわらず3着に入ったように、もうすでにG1レースを勝てるレベルにまで達している。あとは暖かくなって馬体が絞れ、スタミナを問われる流れの中で自分から動くことができたとき、この馬のステイヤーとしての本質が浮き彫りになるだろう。そう考えると、やはり来年春の天皇賞が狙い目か。

ゴールドアクターは、キタサンブラックの後ろを進み、考えていたとおりのポジションを走れたはずだが、最後の直線では逆に突き放されてしまった。これまで勝ってきたのは、スローの瞬発力勝負でちょい差しのレースが多く、今回のようにスタミナを問われる流れになると、このメンバーではやや分が悪いということだ。ただし、器用に立ち回れるタイプだけに、小回りの6つコーナーの有馬記念ではチャンスがある。

ライアン・ムーア騎手が乗ったリアルスティールは、外枠から先行したが、最後は脚が上がってしまった。この馬にとっては、外枠がマイナスであっただけではなく、スタミナを要求されるレースになったことが苦しかった。逆に驚かされたのは、3歳馬レインボーラインの健闘である。最後の直線ではあきらめることなく脚を伸ばし、上位争いに加わった。シルクジャスティスを思い出させる走りであり、有馬記念に出走してくれば、穴候補の筆頭として考えるべきだろう。

Photo by 三浦晃一

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一完歩を長く走らせる技術に秀でた″押せる”武豊騎手

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ジョッキーに求められる技術のひとつに、馬を追う技術がある。レースにおける勝負所からゴールまで、競走馬の持てる力を最大限に尽くして走らせる技術。もちろん、騎乗馬を勝たせるためには、馬を追う以外にもあらゆる技術が必要になるのだが、言ってみれば馬を追う技術は詰めの部分にあたる。将棋でいえば終盤。序盤、中盤でたくわえた力を終盤で発揮する。最近では、競馬の騎乗も将棋も、終盤よりも中盤、中盤よりも序盤の重要性が高まっているが、それでも終盤の詰めが甘ければ勝利を手にすることはできない。終盤を制する者がレース(ゲーム)を制するのである。

馬を追うことにも様々なスタイルや方法論がある。海外や地方の競馬場からジョッキーが参戦してきたことによって、中央競馬のターフの上で観られる騎手の追い方もバラエティに富んできた。どのスタイルや方法が正しいということではなく、ジョッキーそれぞれの肉体的資質に合わせたフォームで、コース形態や馬場に即した乗り方で、サラブレッドを適切に推進することができれば良いのである。

ちなみに、サラブレッドのスピードは、「一完歩の長さ(ストライド)×頻度(ピッチ)」で決まる。もちろん、疲労してバタバタになった馬は脚が伸びないように、同じ馬でも状況によって一完歩の長さは変わるが、走る頻度(ピッチ)が同じであれば、当然、一完歩(ストライド)を長く走った馬の方が先にゴール出来る。

一完歩の長さ(ストライド)は馬の持って生まれた肉体的特徴によるところが大きいのだが、数センチ位の長さであれば、実は騎手の技量によって補うことが出来る。ゴール前1ハロンの完歩数は平均27完歩であり、もし一完歩が10cm長くなったとすると、27完歩×10cm=270cmで2.7m。つまり、ゴール前1ハロンだけで、なんと約1馬身の差が生じることになる。このことからも、一完歩を少しでも長く走らせることが、一流騎手の仕事だといっても過言ではないだろう。

日本のジョッキーでは、やはり武豊騎手が、この一完歩を少しでも長く走らせる技術に長けている。たとえば、

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馬体が変わってきたルージュバック:5つ☆

ゴールドアクター →馬体を見る
昨年時と比べて大きくは変わっていないが、それだけ馬が傷んでいないということ。
胴部や手脚にも十分な長さがあって、馬体全体のシルエットが美しい。
Pad4star

ディーマジェスティ →馬体を見る
腹周りに余裕があって、ややコロンとした体型に映るのはいつものこと。
血統的にはスタミナ豊富なはずだが、体型的には2400mがベストかも。
Pad4star

キタサンブラック →馬体を見る
530kg以上ある馬とは思えないほど、馬体が薄く華奢に見える体型。
正直に言うと良く見せないが、これが研ぎ澄まされたステイヤーの馬体である。
Pad4star

サウンズオブアース →馬体を見る
母父の影響があるのか、やや馬体が重く感じられたが、今回はすっきりしている。
この時期だけに毛艶は冴えないが、リラックスして立てており、体調は良さそう。
Pad4star

ラストインパクト →馬体を見る
ドバイから戻ってきてからの中では、馬体が回復しつつ、今回が最も良く見せる。
迫力があるように見せるときは重いが、今回は余計な部分が絞れて仕上がった。
Pad45star

シュヴァルグラン →馬体を見る
胴部がコロンとして映るのは体型的なものもあるが、さすがに重苦しさは否めない。
調教で動かない馬だけに、この時期は絞れにくくなってきているのが現状か。
Pad3star

リアルスティール →馬体を見る
古馬になってから馬体の硬さが抜けてきて、今回もすっきりとして好仕上がり。
3歳時ほどのパワーは感じさせないが、この距離だとモデルチェンジして正解。
Pad3star

トーセンバジル →馬体を見る
時期的な理由で毛艶が冴えないのは仕方なく、どうしても新陳代謝が悪く映る。
前駆には力強さがあるが、トモの肉付きは物足りず、どこまで走れるか。
Pad3star

レインボーライン →馬体を見る
レースを重ねるごとに、馬体がふっくらとしてきて、疲れを微塵も感じさせない。
表情を観ても気持ちの強さが伝わってきて、いかにも走りそうなステイゴールド産駒。
Pad4star

ルージュバック →馬体を見る
今年に入ってからだけではなく、過去のレースの中でも最も今回が馬体を良く見せる。
線の細さや頼りなさ、そして幼さがあった馬だけに、馬体が変わってきた印象を受ける。
Pad5star

ビッシュ →馬体を見る
このメンバーに入ると、3歳牝馬らしい線の細さとパワー不足を感じさせる。
しかし、バネがあって、脚の速い馬だけに、馬体以上の走りを見せてくれるはず。
Pad3star

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ジャパンカップを当てるために知っておくべき3つのこと

Japancup

■1■日本馬のレベルアップ
ジャパンカップで最も大きな問題となってくるのが、外国馬と日本馬の比較である。近年は完全な日本馬の優勢であり、日本馬が1~3着だけでなく、掲示板を独占することがあっても驚かなくなってきた。ここ十数年で、生産、調教の技術が飛躍的に向上したことによって、日本の競走馬のレベルそのものは、海外のそれと比較しても同等かそれ以上のところまで上がってきている。

日本国内における一流馬であれば、海外に出ていっても十分通用することは、古くはジャックルマロワ賞のタイキシャトル、凱旋門賞のエルコンドルパサーから、インターナショナルSのゼンノロブロイ、アメリカンオークスのシーザリオ、メルボルンCのデルタブルース、そしてハーツクライ、ディープインパクト、そして最近でいうとナカヤマフェスタやオルフェーヴルまで多くのG1ホースらが示してくれた。もちろん自分の土俵(日本の競馬)で戦うのであれば、堂々と胸を貸すぐらいの気持ちで立ち向かうことができるはずだ。

外国馬に関する情報は極めて少なく、日本の馬場で一度も走ったことがない馬の実力を推し量ることは、はっきり言って非常に難しい。それでも、ひとつだけ大きなものさしを示すとすれば、「力をつけた日本馬に地の利がある以上、外国馬は余程の実力、実績を持った馬でないとジャパンカップで勝ち負けにはならない」ということになる。日本の軽い馬場が合いそうだとか、招待されたからなどというレベルの外国馬では勝負にならないところまで日本馬のレベルは上がってきている。
ちなみに、外国馬に関して述べると、海外遠征未経験馬は疑ってかかるべきである。今回のジャパンカップ挑戦が初めての遠征になるような馬では、よほど能力が抜けていないと極東の地での激しい戦いを勝つことは出来ない。ヨーロッパの馬でヨーロッパの外に遠征した経験がない馬も同じである。

■2■凱旋門賞、ブリーダーズC馬は消し ジャパンカップの前にはヨーロッパで凱旋門賞、アメリカでブリーダーズカップとG1レースの中のG1レースが行われている。海外の馬は当然そちらを目標に出走するため、ジャパンカップにはピークを過ぎた状態で出走してくることが多い。

特に、凱旋門賞、ブリーダーズCを勝った馬は、ほぼ間違いなく調子落ちでの出走となるはず。ピークの仕上げで臨まなければ、凱旋門賞やブリーダーズCといった大レースは勝てないため、勝った勢いでジャパンカップに挑戦してきても、結局、状態は下降線を辿ることになるのだ。ブリーダーズカップを勝ったコタシャーン、凱旋門賞を勝ったエリシオ、モンジュー、デインドリーム、ソレミアなどがあっさりと敗れてしまったのは、明らかにピークを過ぎた状態で出走してきたからである。また、凱旋門賞を勝つ馬は、深い芝で走れるだけのパワーとスタミナが勝っている馬である(今年の凱旋門賞は別)。軽い芝でスピードと瞬発力を要求される日本の競馬には合わないことが多いだろう。また、ブリーダーズCを勝った馬はローテーション的に厳しい。死力を尽くして大レースを勝った後に、遠征を含めて、もうひとつG1レースで勝つことは難しい。

逆に言うと、凱旋門賞、ブリーダーズCで負けてしまった馬の巻き返しは期待できるということだ。

■3■迎え撃つのは4、5歳馬
過去10年の勝ち馬は、4歳馬が5勝、続いて5歳馬が3勝、3歳馬は2勝、6歳以上の馬は0勝となっている。ジャパンカップのレベルが上がったことにより、肉体的に最も充実する4、5歳馬が圧倒的に有利なレースとなった。百戦錬磨の外国馬を迎え撃つのは日本の4歳馬という図式が成り立つだろう。

また、ジャパンカップを勝ち切るためには高い壁があって、日本馬、外国馬に関わらず、連対率が50%を切るような馬では厳しい。高い競走能力と、どのような状況や環境にも対応できる資質の持ち主であることが問われるのだ。


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何も変わらない


マイルCS2016―観戦記―
外枠をものともせず、ミッキーアイルが敢然と先頭に立った。スタートを決めたネオリアリズムがそれに続き、前半マイルが46秒1、後半が47秒ジャストという平均ペースで流れた。これぐらいのペースだと、前に行った馬たちに比較的有利になるが、力があれば差せない展開ではない。しかし、逃げたミッキーアイルが最後の直線で外によれたことで、後ろから差して来た馬たちの進路が閉ざされてしまったことが、勝敗を分けた感は否めない。あの不利がなければ、後続の馬たち(特にサトノアラジンとディサイファ)と先行集団が入れ替わっていた可能性は十分にある。馬券を買っていたファンからすると、さすがにこれはないという結末であり、これが降着にならない判断は首をかしげざるを得ない。

今回の問題を目の当たりにして、2012年のマイルCSを思い出した方もいるかもしれない。あのレースも今回と同じく、内の馬が外へ張り出す形で玉突きが起きた。私はあのアクシデントは武豊騎手がもうひと呼吸待っていれば避けられたと今でも考えているし、不利がなければグランプリボスが勝っていた可能性は十分にあった。JRAは主因を特定しない形でお咎めなしと判断を避けたが、被害の程度は今回よりも甚大であった。旧制度でも新制度でも、2012年も今年も降着が妥当であろう。声の大きさに影響されてか、2012年のようなケースをお咎めなしにしてきた積み重ねがあるからこそ、今年のようなケースもアウトにできない。結局のところ、JRAもマスコミも私たち競馬ファンも、誰が言ったかや誰が行ったかではなく、何がどうしてどのように起こったかを見なければ、降着制度が変わっても何も変わらないのだ。

ミッキーアイルは2年半ぶりのG1勝利となった。もともとNHKマイルCを勝っているようにマイル戦における実績があり、血統的にも距離延長は望むところでもあり、距離が決して長いわけではなかった。若駒の頃は、腰が高くて幼さの残る馬体で走っていたが、ここにきてバランスが良くなり、大きく成長を遂げている。休み明けのスプリンターズSを叩いて、浜中俊騎手にスイッチして、実は今年の秋はこちらが大目標だったのだろう。

8日間の騎乗停止と引き換えにG1勝利を手に入れた浜中騎手は、どういう思いで年を越すのだろうか。何とかしてミッキーアイルを勝たせたいという気持ちと、ライアン・ムーア騎手との追い比べに負けたくないという闘争心が合わさって、つい頭に血が上ってしまったのだろう。一度だけではなく2度も外によれており、さらに一度も左手にムチを持ち替えることはなかった。京都のフルゲートのマイル戦は、どの馬も直線に向いて手応えが残っているためごちゃつきやすい。そのあたりも熟知しているはずなのに、大舞台を台無しにしてしまったのは惜しい。

イスラボニータは惜しくも届かなかったが、クリスストフ・ルメール騎手の好騎乗で持ち味を生かし切った。早めに先頭に立つと気を抜くところがあるため、ゴール前でハナか首だけ前に出るイメージでルメール騎手は乗っていたはず。スタートからゴールまで、外に出すタイミングも申し分なく、あの不利にも巻き込まれることもなく、この馬が最もパーフェクトな走りであった。昨年の不甲斐ない負け方に比べると、たとえ負けはしたものの、イスラボニータのマイル適性を証明し、陣営にとっても胸のすくようなレースであったはずである。

ネオリアリズムのマイル適性のなさを隠すように、ムーア騎手はやや強引に乗った。これだけ迷いなく先行できるのは、多少バテたとしても、ゴールまでなんとか持たせることができるという自信があるから。ミッキーアイルに差し返され、イスラボニータには切れで負ける形になったが、初めてのマイル戦で3着に粘り込んだのだから大したもの。この馬の地脚の強さを生かすには、もう少し距離があった方が良い。

1番人気のサトノアラジンは悔しいレースであった。結果から振り返ってみると、2番枠を引いてしまったのが運の尽きだったのかもしれない。本来であれば、最後の直線では外に出したかったが、実際は内ラチ沿いを進まざるをえず、馬群をどう捌くかがポイントとなってしまった。たしかにエンジンのかかりが遅いタイプであり、スパッと抜け出すことができずに致命的な不利を受けてしまった(ダメ押しの2度目も)。

ヤングマンパワーはマイル適性うんぬんよりも、夏を越して使われてきた疲れが出てしまったのではないか。久しぶりの関西への長距離輸送も引き金になったのかもしれない。フィエロは不利なく回ってきたが、G1レースを勝ち切るのはワンパンチ足りない。3歳馬のロードクエストは序盤から推進力に欠けていたし、この流れではさすがに届かない。道中でハミを噛んでいた場面もあったように、気性面に若さが残っていて、乗り方が難しい馬である。


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マイルチャンピオンはマイル戦の連対率50%以上が基準

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マイルチャンピオンシップはマイルのチャンピオンを決めるレースであり、チャンピオンマイラーはマイル戦での連対率が50%を切っていてはならない。競馬を始めた頃に思いついた、純粋かつシンプルな基準であるが、25年以上経った今でも、マイルチャンピオンシップを予想する際には重用している。

なぜ連対率50%なのかというと、マイルの距離で行われるレースを走って、2回のうち1回ぐらい連対できないようではマイラーとしての頂点には立てないのでは、という単純な論理である。サラブレッドだって生き物だから、体調が優れないこともあるし、気持ちが走ることに向いていないときもあるだろう。レースに行って展開が向かないこともあれば、思わぬ不利を受けてしまったり、最後の直線で前が開かなかったりすることもあるだろう。そうしたあらゆる要素を考慮しても、チャンピオンマイラーになるべき馬は連対率が50%を下回ってはいけないということである。

私は毎年、マイルチャンピオンシップを予想するときには、出走馬の馬柱のマイル戦における実績欄をチェックすることから始める。マイル戦の連対率が50%を超えている場合は赤ペンで線を引き、超えていなければ線を引かない。ここで線が引かれない馬はつまり消しということである。

今は昔、1995年のマイルチャンピオンシップを予想し始めたとき、私の心臓の鼓動は一気に高まった。

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シンプルな馬体に成熟したミッキーアイル:5つ☆

サトノアラジン →馬体を見る
身体を持て余していた印象だが、ここに来てようやく本格化してきて。
前後躯にしっかりと実が入って、筋肉のメリハリも素晴らしい。
Pad45star

フィエロ →馬体を見る
胴部が長いこともあり、重心が低く映り、重厚感をさらに増している。
腹回りに余裕が感じられるように、年齢を重ねて絞れにくくなっている。

ミッキーアイル →馬体を見る
前走もそれなりの仕上がりだったが、ひと叩きされて、さらに上向いている。
若駒の頃は腰高に映った馬体も成長して、シンプルな良い馬体に成熟した。
Pad5star

ロードクエスト →馬体を見る
鮫頭からも分かるように、気性的に難しい反面、それが爆発力につながっている。
馬体的にはごく標準的なシルエットだが、3歳馬らしい筋肉の弾力がある。
Pad4star

ダノンシャーク →馬体を見る
長らく一線級で走ってきたが、さすがに8歳になり馬体の張りが失われてきた。
顔つきからも闘争心が消えて、このメンバーでどこまで素質だけで走るか。
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ウインプリメーラ →馬体を見る
冬の時期の牝馬にしては冬毛も少なく、皮膚に薄さがあって新陳代謝が良い。
このメンバーに入ると、どうしても線の細さが目立ってしまうようにパワー不足。
Pad3star

ヤングマンパワー →馬体を見る
胴部が長くて、馬体全体のシルエットとしては、ややバランスは良くはない。
首の高い立ち姿からも、先行して粘り通すタイプであり、京都競馬場は合わないかも。
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ディサイファ →馬体を見る
ディープインパクト産駒ではあるが、どちらかというと母系の力強さが表に出ている。
ややトモが落ちていることもあり、一瞬の切れ味勝負になると分が悪いだろう。
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スノードラゴン →馬体を見る
馬体はふっくらとして、胴部にも長さがあり、決してスプリンターの体型ではない。
さすがに筋肉のメリハリという点では今ひとつだが、今はマイル戦の方が合っている。
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イスラボニータ →馬体を見る
つくべきところに筋肉がついて、最近の中では、最も仕上がりの良い馬体を誇る。
毛艶も素晴らしく、ようやく昨年のこの時期の出来を取り戻してきた。
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ネオリアリズム →馬体を見る
前駆がふっくらとして力強く、いかにもパワーが溢れていそうな好馬体。
ただ、堀厩舎の管理馬にしては筋肉のメリハリに乏しく、もうひと絞りできそう。
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マジックタイム →馬体を見る
これと言ってアピールをしてくる馬体ではないが、前後とも平均的にまとまっている。
目つきや表情を見ると、気性的にとても素直な馬だということが伝わってくる。
Pad3star


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京都芝1600m

Kyoto1600t1

向こう正面の直線を2コーナー側に延長したポケットからのスタート。第1コーナーとなる3コーナーまでの距離は711mと長く、逃げ馬が気分よく行ってしまうとオーバーペースになりやすい。しかし、3コーナー過ぎてからは下り坂となるため、多少のハイペースで行ったとしても、前もなかなか止まらない。結果として、平均ペースのレースになりがちで、実力どおりの決着となることが多い。力さえあれば、展開にはあまり左右されることのないコースといえる。

京都の1600mコースには内回りと外回りがあり、G1であるマイルチャンピオンシップは外回りを使って行われる。外回りコースは、4コーナーで内回りコースと合流するため、内にポッカリとスペースが開きやすい。そのため、直線で前が詰まる心配がほとんどなく、差し馬にとっては安心して乗れるコースである。

第1コーナーまでの距離が長いため、枠順による有利・不利はほとんどない。あるとすれば、最初の直線において、ポケットの直線から本線に入る際、わずかに内の馬が窮屈になることぐらいか。とはいえ、1番枠でない限り、ほとんど気にする必要はないだろう。


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マイルCSを当てるために知っておくべき3つのこと

Milecs

■1■マイルの連対率は重要な目安
マイルのチャンピオン決定戦である以上、1600mのレースにおける連対率が50%を割っているような馬はチャンピオンとして相応しくない。1600m戦での連対率は、その馬のマイル戦に対する適性を顕著に表すからだ。

大荒れとなった平成7年は、出走馬18頭中、1600mのレースにおける連対率が50%を超えている馬がわずか2頭しかいないというレベルの低いレースであった。その2頭が、安田記念も勝ったトロットサンダーと、なんと大穴のメイショウテゾロである。このことからも、マイルチャンピオンシップにおいて、マイルの連対率がどれだけ重要なデータとなるかが分かる。マイルの連対率が50%を切っている馬は軽視すべきである。

■2■勝つためにはスタミナが必要
京都1600m外回りコースで行われるため、スピードだけでは押し切れないレースである。前4走ともに1600m未満の距離を使っていたスプリンタータイプの馬では、最後の直線でスタミナ切れすることになる。スプリンタータイプの馬では勝ち切ることは難しい。勝つためには、中距離を走り切れるだけのスタミナが必要とされる。1600m以上の中距離レースでの実績は必要。 

■3■サンデーサイレンスの血を引く馬?
過去10年のレースラップ(下参照)を見ても、昔は前半から飛ばす馬がいてハイペースになることが多かったが、ここ最近は、さすがにスローにはならなくても、全体的にフラットな落ち着いた流れになる傾向が強い。1分32秒台後半から33秒前半という全体時計は変わらないということは、前半が厳しい流れになる昔のレースの方がレベルは高かったということになる。

そのため、ズブズブのスタミナ勝負になることは少なく、スッと先行して4コーナーを持ったまま先頭で押し切れるぐらいスピードに富んだ馬、もしくは瞬発力勝負に長けた馬にとっては競馬がしやすいレースになる。デュランダル、ハットトリック、ダイワメジャーと、サンデーサイレンス産駒が5年連続でこのレースを勝ったのも、そういう特性(軽さと瞬発力)こそが問われるからである。もし血統的に狙いを絞るとすれば、ありきたりではあるが、サンデーサイレンスの血を引く馬ということになる。

12.3-10.6-11.1-12.0-11.5-11.6-11.2-12.4(46.0-46.7)M
1:32.7 ダイワメジャー
12.6-10.6-11.2-12.0-11.6-11.5-11.3-11.9(46.4-46.3)M
1:32.7 ダイワメジャー
12.5-10.6-11.3-11.9-11.6-11.4-11.6-11.7(46.3-46.3)M
1.32.6 ブルーメンブラッド
12.1-10.9-11.8-12.4-11.5-11.4-11.2-11.9(47.2-46.0)S
1.33.2 カンパニー
12.1-10.7-10.9-11.6-11.4-11.1-11.9-12.1(45.3-46.5)H
1.31.8 エーシンフォワード
12.4-10.8-11.2-12.3-11.9-11.8-11.6-11.9(46.7-47.2)M
1.33.9 エイシンアポロン
12.5-11.1-11.4-11.9-11.3-11.3-11.5-11.9(46.9-46.0)M
1.32.9 サダムパテック
12.5-11.1-11.5-11.7-11.5-11.2-11.4-11.5(46.8-45.6)S
1.32.4 トーセンラー
12.0-10.4-11.3-11.6-11.4-11.5-11.3-12.0(45.3-46.2)M
1:31.5 ダノンシャーク
12.6-10.9-11.1-12.5-11.9-11.1-11.5-11.2(47.1-45.7)S
1.32.8 モーリス

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馬を抑える本物の技術と自信が問われている


エリザベス女王杯2016―観戦記―
外枠から人気薄のプリメラアスールが先頭に立ち、それをメイショウマンボとシングウィズジョイがマークする形で序盤は流れた。前半1000mが61秒8、後半が58秒5という究極のスローペース。マリアライトに道中の不利があったことで、まくってペースを上げる馬が失われたことが、レースの流れを大きく変えてしまったと言える。とにかく前に行った馬にとって圧倒的に有利な、ラスト3ハロンの瞬発力勝負となった。

勝ったクイーンズリングにとっては、スタミナを問われる流れにならなかったことが最大の勝因である。これだけのスローでもかからない折り合いの良さがあり、上がってゆくべきときに鞍上の指示に反応できる素直さがあり、最後まであきらめない真面目さがある。体型的にもスタミナが豊富なタイプではなく、決して肉体的に恵まれている馬でもないが、今回はクイーンズリングの良さが全て良い方向に出たレースであった。

2着に粘り込んだシングウィズジョイは明らかに展開に恵まれた。体調が整って、自分の型にはまれば大崩れはしない馬だが、それにしても今回は楽に行けたことに尽きる。クリストフ・ルメール騎手はテン乗りということもあり、思い切って馬を出していけたのだろう。たまたま展開に恵まれたというよりは、展開に恵まれることを期待して前を攻めたところ、思っていた以上に恵まれたということである。

デムーロ騎手とルメール騎手のワンツーフィニッシュとなり、今回のレースに騎乗して、または観て、他の日本人騎手たちはどう感じたのだろう。馬を抑えて、脚をためる技術は目に見えにくいものだが、彼我の間には天と地ほどの差がある。認めたくないかもしれないが、彼らは意図的に出してポジションを取りに行っているのに対し、多くの日本人騎手たちは馬任せでポジショニングをしている。このようなヨーロッパに近い流れは彼らの得意とするところだと分かっていても、自らは動けないというジレンマがある。馬を抑える本物の技術と自信が日本人騎手に問われているのである。

ミッキークイーンは良い体つきになっており、肉体的にはリフレッシュされていたが、その分、最後は伸び切れなかった。浜中騎手はソツない騎乗をして、同馬の力を出し切っている。どのような状況でも好走するのがこの馬の良さであり、ひと叩きされた次走は、かなりの確率で勝ち負けになるのではないだろうか。3歳馬のパールコードは積極さが生きて、4着に粘り込んだ。これだけ流れに乗って、展開に恵まれての結果だから、現時点では古馬とは力が劣る。

1番人気に推されたマリアライトは最初のコーナーにおける不利が痛かった。ポジションを下げてしまっただけではなく、脚を失ってしまったのか、この馬の得意なまくりの作戦を打つことができなかった。上がり勝負になってしまうと苦しい馬だけに、昨年同様に途中から自らペースアップしたかったところだが、蛯名正義騎手は馬のダメージを気にしてためらってしまったのだろう。宝塚記念を牡馬相手に勝った馬がエリザベス女王杯で敗れるとは、競馬は本当に何があるか分からない。

マリアライトと同着のシュンドルボンも道中のポジショニングが悪かった。マリアライトがまくって行く、その後ろからついてゆく作戦だったのか分からないが、このペースであれだけ後ろを走っても勝つチャンスすらない。タッチングスピーチはスタミナ型の馬だけに、同じく今回のようなレースでは良さが全く生きなかった。

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スタミナと底力勝負ならエルコンドルパサーの名を探せ

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あの馬がもっと長く生きていたら、どのような産駒を出したのだろう。もしかすると競馬の世界が変わっていたかもしれない。サイレンススズカが不運に見舞われなければ、ナリタブライアンが病に倒れなければ、などなど。長く競馬を見ていると、ふとそのような感慨にふけることがある。競馬は血の歴史でもある以上、名馬が血をつなげないことは最大の損失であり、たとえ一滴でもその血が残ることには大きな価値がある。

エルコンドルパサーはまさにそうであった。全くその血を残せなかったということではない。2000年に種牡馬入りしてから、誕生したわずか3世代(出走頭数にして303頭)のデビューを待つことなく、2002年に腸ねん転によりこの世を去ってしまったのだ。もしあと10年、いや欲を言えば20年、種牡馬として生きることができたとしたら、おそらく日本の血統地図は大きく塗り替えられていたはずである。

サンデーサイレンスを父に持つ繁殖牝馬と配合できる種牡馬の最右翼であるキングカメハメハと同様に、エルコンドルパサーはミスタープロスペクター系のキングマンボを父に持つ。キングマンボ産駒は26頭のG1ホースを世界中に送り出したが、そのうちの最強馬である2頭が、日本馬として血を残しているのだから不思議である。キングカメハメハは芝・ダートを問わず、スプリンターからクラシックディスタンスを走る馬まで、万能な種牡馬としての地位を不動なものにしているが、エルコンドルパサーは果たしてどのような産駒を誕生させたのだろうか。

エルコンドルパサーを管理した二ノ宮敬宇調教師はこう語ってくれた。

(週刊Gallopを買い忘れた方や、超馬券のヒントだけ読みたい方はこちら
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パワーアップ著しいマリアライト:5つ☆

クイーンズリング →馬体を見る
古馬になって少しずつ馬体に成長は見られるが、それでも幼さは否めない。
胴部には長さがなく、距離的には2000mまでが限界だろう。
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シングウィズジョイ →馬体を見る
時期的に冬毛が出てきているのは仕方ないが、馬体が寂しい気がする。
立ち姿のバランスが悪く、筋肉のメリハリという点においても物足りない。
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シャルール →馬体を見る
胴部はゆったりとした造りで、血統的にもいかにも距離が延びて良さそう。
それでも、筋肉のメリハリには乏しく、このメンバーに入るとやや力が劣るはず。
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ミッキークイーン →馬体を見る
ふっくらとして休み明けらしい仕上がりだが、力は出し切れるのではないか。
体型的には2000mがベストだが、素直な気性ゆえに距離は問題ないだろう。
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タッチングスピーチ →馬体を見る
絵にかいたようなステイヤー体型であり、エリザベス女王杯は待ち望んだ舞台。
馬体も研ぎ澄まされていて、ここに向けて仕上げてきたのが分かる仕上がり。
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アスカビレン →馬体を見る
腹が巻き上がっているように、このメンバーに入るとパワーという点で劣る。
毛艶もくすんできているように、体調的にも下降線を辿っている。
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ヒルノマテーラ →馬体を見る
同じマンハッタンカフェ産駒であるクイーンズリングに比べると胴部が長い。
毛艶は冴えないが、馬体全体にパワーが漲っていて、大崩れはしないだろう。
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デンコウアンジュ →馬体を見る
3歳馬としては可もなく不可もない馬体だが、古馬に混じってしまうと見劣りする。
ただ、前駆の力強さと顔つきからも分かるように気の強さは健在でどこまで走るか。
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パールコード →馬体を見る
馬格があり、立ち姿もいつも良く見せる馬だが、季節的にいつもの迫力はない。
それでも馬体全体のバランスの良さは維持しており、古馬に混じっても問題ない。
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マリアライト →馬体を見る
パワーアップ著しいと言うべきか、歴戦の牡馬を負かしただけのことはある。
前後躯のバランスも素晴らしく、ひと叩きされて、完璧に仕上がった。
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シュンドルボン →馬体を見る
ふっくらとして、もうひと絞りできそうな馬体だが、いつも通り良く見せる。
手足が長く、首差しから後躯にかけてのラインも理想的で、文句なしの好馬体。
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